JP2006325262A - リミッタ制御装置及びリミッタ制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】入力信号のレベルを検出し、検出された入力信号のレベルによってリミッタ動作を行うリミッタ制御装置であって、リミッタ動作のアタック時間を決定する第1のリミッタ動作手段と、リミッタ動作のリカバリー時間を決定する第2のリミッタ動作手段と、前記第1のリミッタ動作手段と前記第2のリミッタ動作手段とによって入力信号のリミッタ動作のアタック時間とリカバリー時間をそれぞれ独立して設定するアタック/リカバリー設定手段とを備える。
【選択図】 図1
Description
そして特に、音声信号をデジタルデータとして記録することで、著しい高音質化も実現されている。
このため通常、A/D変換器の前段で入力音声信号のレベル調整が行われ、変換ダイナミックレンジに合致した状態で入力音声信号がA/D変換器に供給されるようにしている。また、著しく大きなレベルの音声入力があり、それがA/D変換器のフルスケールレベルを越えてしまうと、音声データとしてのひずみとなり、音質劣化が生ずる。これを防止するために、大入力の際に機能するリミッタ回路も搭載される。
マイクロホンやライン接続により録音装置に入力された音声信号SINは、例えば可変抵抗VR2によりユーザーの操作に応じた録音レベル調整が行われた後、初段アンプ20を介してリミッタ21に供給される。
この入力音声信号SINは初段アンプ20、次段アンプ21aによりA/D変換器22の変換ダイナミックレンジに応じたゲインが与えられ、A/D変換器22でデジタルデータに変換されて、記録データDREC として後段の記録処理回路系に供給されるわけであるが、入力音声信号SINがA/D変換器22のフルスケールレベルを越えるような大入力レベルとなった際は、リミッタ21が機能してレベルが抑えられる。
電圧検出回路21bは例えば整流回路とされ、A/D変換器22への入力端での電圧に応じた電流出力を行う。
電圧検出回路21bの出力によりコンデンサC11の充電が行われ、またコンデンサC11の充電電圧に応じてトランジスタQ11のベース電圧が変動し、トランジスタQ11の導通状態が制御されることになる。
1−{r1/(R12+r1)}=R12/(R12+r1)
となる。
つまり、トランジスタQ11の導通状態に応じて抵抗R12及びトランジスタQ11による分圧抵抗が変化する。従って大レベル入力時にコンデンサC11が充電され、トランジスタQ11がオンとなり抵抗値が小さくなる(飽和状態での抵抗値r)ことで、上記式からわかるようにR12/(R12+r1)という減衰量で入力音声信号が減衰されるリミッタ動作が実現されることになる。
この場合、突発的な大レベル入力があってからリミッタ動作が有効となるまでの応答性としてのアタックタイムTAは、コンデンサC11の充電時間によるものとなる。従って、コンデンサC11の容量値及び抵抗R11による時定数を小さく設定すれば、アタックタイムTAを短くできる。
一方、A/D変換器22への入力レベルが低くなることに応じて、コンデンサC11が抵抗R11、トランジスタQ11を介した放電を行い、これによってリミッタ21としての減衰量は減少する。そしてこの場合の応答性としてのリカバリタイムTRも、コンデンサC11及び抵抗R11による時定数により決まることになる。
マイクロホンやライン接続により録音装置に入力された音声信号SINは、初段アンプ30を介して電子ボリューム31に供給され、この電子ボリューム31でレベル調整された後、次段アンプ32を介してA/D変換器33に供給される。
この場合、入力音声信号SINは初段アンプ30、次段アンプ32によりA/D変換器33の変換ダイナミックレンジに応じたゲインが与えられ、A/D変換器33でデジタルデータに変換されて、記録データDREC として後段の記録処理回路系に供給されるわけであるが、入力音声信号SINがA/D変換器33のフルスケールレベルを越えるような大入力レベルとなった際は、コントローラ34及び電子ボリューム31により形成されるリミッタ機能によりレベルが抑えられる。
コントローラ34はマイクロコンピュータにより形成される。そしてコントローラ34は、A/D変換器33における入力音声信号SINのレベル(デジタルデータに変換された入力信号レベル)を監視しており、その入力レベル値に応じて所定の演算処理を行い、電子ボリューム31に対する設定データを算出して電子ボリューム31での抵抗値を制御することになる。
即ち大レベル入力に応じて電子ボリューム31において入力音声信号SINに与えられる抵抗値を上げることで、リミッタ動作を実現する。リミッタ動作のイメージを示す信号波形は図9のようになる。
図9(a)のように入力音声信号のレベルが変動した場合に、コントローラ34の制御によって電子ボリューム31の抵抗値が可変制御されることで、リミッタ出力(A/D変換器33の入力)は図9(b)のように制御される。
なお、コントローラ34は発振器35からのマスタークロックに基づいて演算処理、転送処理等を行うことになる。
まず図6のリミッタ回路の場合、上述したようにコンデンサC11と抵抗R11による充電時定数の設定によりアタックタイムを短くでき、突発的な大レベル入力にも対応できるという利点があるが、その一方で、コンデンサC11の放電、つまりリカバリタイムもその時定数により決まるため、アタックタイムを短くするとリカバリタイムも短くなる。ところが、入力音声信号が音楽等である場合、リカバリタイムが短い状態であると、その音声が非常に不自然に聞こえるという問題があり、ある程度リカバリタイムを長くとることが要求される。
さらにその一方で、信号減衰に非線形素子(トランジスタQ11)を用いて行うため、ひずみ率が1%〜0.1%程度となり、リカバリタイムを長くすることは高音質化に不利なものとなってしまう。
即ち、アタックタイムを早めようとしても、アタックタイムはマイクロコンピュータであるコントローラ34の処理スピードやデータ転送速度に依存し、つまりマスタークロックの周波数に依存することになる。従って、アタックタイムを早くするにはマスタークロックの高周波数化及びそれに応じた高性能のマイクロコンピュータの採用が必要となるため、もしアタックタイムの短縮を計るとすれば、コントローラ34としての処理負担の増大や機器としてのコストアップを余儀なくされる。
また、前記第1のリミッタ動作手段はコンデンサ、抵抗、半導体の組み合わせによってアタック時間を決定し、前記第2のリミッタ動作手段はマイクロコンピュータによるソフトウェアによってリカバリー時間を決定するようにする。
そして第2のリミッタ回路部においてリカバリタイムを任意に設定でき、このリカバリタイムをある程度長く設定することで信号の不自然さを解消できる。また、リカバリタイムが長くなっても、その間の減衰動作は本質劣化のほとんどない電子ボリューム部によるものとすることで、高音質化への妨げとはならない。これらのことから、高品質信号保持、突発的レベル変動対応ということを、不自然なレベル制御やコストアップを招かずに実現する入力信号制御装置を提供できるという効果があり、例えばデジタル録音機器におけるリミッタとして非常に好適である。
図1に本例の入力信号制御装置の構成を示す。この入力信号制御装置は例えばデジタル録音機器の音声信号入力段でのリミッタ動作を実行できる回路とする。
マイクロホンやライン接続により録音装置に入力された音声信号SINは、初段アンプ1を介して電子ボリューム2に供給され、この電子ボリューム2でレベル調整された後、リミッタ3に供給される。
電圧検出回路3bは例えば整流回路とされ、A/D変換器4への入力端での電圧に応じた電流出力を行う。
電圧検出回路3bの出力によりコンデンサC1の充電が行われ、またコンデンサC1の充電電圧に応じてトランジスタQ1のベース電圧が変動し、トランジスタQ1の導通状態が制御されることになる。コンデンサC1の充放電時定数はコンデンサC1の容量及び抵抗R1の抵抗値によって決まる。
1−{r/(R2+r)}=R2/(R2+r)
となる。
つまり上述した図6のリミッタ21と同様に、トランジスタQ1の導通状態に応じて抵抗R2及びトランジスタQ1による分圧抵抗が変化する。
従って大レベル入力時にコンデンサC1が充電され、トランジスタQ11がオンとなり抵抗値が小さくなる(抵抗値r)ことで、R2/(R2+r)という減衰量で入力音声信号が減衰されるリミッタ動作が実現される。
コントローラ5は、A/D変換入力端子5aから、電圧検出回路3bの出力端の電圧、つまりA/D変換器4への入力音声信号電圧をデジタルデータとして取り込む。そしてその取り込んだデータレベル値に応じて所定の演算処理を行い、電子ボリューム2に対する設定データを算出して電子ボリューム2での抵抗値を制御する。なお、コントローラ5は発振器6からのマスタークロックに基づいて演算処理、転送処理等を行うことになる。
コントローラ34の設定データの算出のための演算処理としては、入力信号レベル値を用いた所定の演算式により設定データを算出してもよいし、例えばテーブルデータとして各入力信号レベルに応じた設定データを記憶しておき、A/D変換入力端子5aから入力され検出された入力信号レベルの値に応じてテーブルデータを検索し、対応する設定データを得るようにしてもよい。
図2(a)のように入力音声信号のレベルとして突発的な大レベル入力があった場合には、まず第1のリミッタ回路部としてのリミッタ3により短いアタックタイムTAで反応して信号減衰が行われる。
このように短いアタックタイムを実現するためにコンデンサC1及び抵抗R1による充電時定数は短い値に設定される。このためコンデンサC1についてはその容量を小さくする。
また時定数が短くされることで、リミッタ3でのリカバリタイムも短いものとなり、入力音声信号に対するリミッタ動作としては、リミッタ3は瞬間的にしか反応しないものとなる。
図3の特性2は、リミッタ3による入出力特性を示しており、突発的な大レベル入力となってトランジスタQ1がオンとなることで得られる特性である。
そしてこのリカバリ期間の減衰動作は、コントローラ5の演算処理により制御されるものであり、その演算ソフトウエアの設定によりリカバリタイムTRは自在に設定可能である。図3の特性1は、電子ボリューム2によるリミッタ動作としての入出力特性を示しており、緩やかなレベル変動であってリミッタ3のトランジスタQ1がオフの場合に定常的に反応することになる入出力特性である。
入力音声信号SINは初段アンプ1へ入力され(F1)、増幅された後、電子ボリューム2に入力される(F2)。
この電子ボリュームの抵抗値の設定(F3)はステップF16でのコントローラ5の演算結果により行われ、入力された音声信号はその設定された抵抗値でレベル制御されて次段アンプ3aへ入力される(F4)。
次段アンプ3aの出力はA/D変換器4への入力信号となる(F6)他、電圧検出回路3bへの入力となる(F5)。
即ち、電圧検出回路3bの出力がトランジスタQ1をオンとさせるレベルとなっている期間は、ステップF7からF11に進み、コンデンサC1が充電され、その結果トランジスタQ1が飽和状態となり(F12)、リミッタ3によるリミッタ動作としてR2/(R2+r)の信号減衰が行われる(F13)。
一方、電圧検出回路3bの出力がトランジスタQ1をオンとさせないレベルとなると、ステップF7からF8に進み、コンデンサC1が放電され、その結果トランジスタQ1がオフとなり、リミッタ3の信号減衰機能はオフとなる(F10)。
またアタックタイムの設定はコンデンサC1、抵抗R1の時定数によるものとなるため、短いアタックタイムの設定が容易である。
一方、緩やかなレベル変動に対しては電子ボリューム2とコントローラ5による第2のリミッタ回路部が機能するが、この場合歪み率の少ない電子ボリューム2を用いることで音質劣化が無く、またリカバリータイムも例えば音響的に不自然さがないようなある程度長い時間に任意に設定できることになる。またアタックタイムを短くすることによる突発的大レベル入力時の迅速な反応に関してはリミッタ3が行うため電子ボリューム2が対応する必要はなく、従ってクロック周波数やマイクロコンピュータの処理速度を早くするなどの処置は不要となり、コストアップ等を招かない。
また図3の特性例のように電子ボリューム2での制御レベルをリミッタ3での制御レベルより低いレベルで設定しておくことで、リミッタ3を突発的大レベル入力時にしか動作させないようにし、入力レベルが安定している期間は、トランジスタQ1の非線形性の影響のない歪みの少ない状態を維持できる。つまり高音質記録に好適なものとなる。
なお図1と同一機能部分には同一符号を付し、説明を省略する。
この図5の例では、初段アンプ1及び電子ボリューム2を有する入力信号経路とは並行に可変抵抗VR1を介する入力信号経路が形成され、この2つの入力信号経路がスイッチ7、8で切り換えられるようにされている。
スイッチ7、8はユーザーが記録装置に設けられているある操作子を操作することで連動切換されるものである。
このためにはユーザーはスイッチ7、8がt1端子に接続される状態とし、スイッチ9aがオフとされる状態とする。その状態は等価的に図1と同様の回路構成となる。
この場合、入力音声信号SINは初段アンプ1及び電子ボリューム2を通らず、可変抵抗VR1でレベル調整されてリミッタ3に供給される。
即ちユーザーは手動で可変抵抗VR1を操作して任意の録音レベルを設定できる。そして、突発的な大レベル入力があったような場合に関してはリミッタ3のリミッタ動作が発揮されることになる。
この場合、入力音声信号SINは初段アンプ1及び電子ボリューム2を通らず、可変抵抗VR1でレベル調整されてリミッタ3に供給される。
ところがトランジスタQ1のベースはトランジスタQ2を介して接地されることになるためトランジスタQ1はオンになることはない。従ってリミッタ3は機能しない。
即ちユーザーは手動で可変抵抗VR1を操作して任意の録音レベルを設定できるが、第1及び第2のリミッタ回路部としての機能はオフとされた状態となる。
Claims (4)
- 入力信号のレベルを検出し、検出された入力信号のレベルによってリミッタ動作を行うリミッタ制御装置であって、
リミッタ動作のアタック時間を決定する第1のリミッタ動作手段と、
リミッタ動作のリカバリー時間を決定する第2のリミッタ動作手段と、
前記第1のリミッタ動作手段と前記第2のリミッタ動作手段とによって入力信号のリミッタ動作のアタック時間とリカバリー時間をそれぞれ独立して設定するアタック/リカバリー設定手段とを
備えることを特徴とするリミッタ制御装置。 - 前記第1のリミッタ動作手段で決定されるアタック時間は前記第2のリミッタ動作手段で決定されるリカバリー時間よりも短く設定されることを特徴とする請求項1に記載のリミッタ制御装置。
- 前記第1のリミッタ動作手段はコンデンサ、抵抗、半導体の組み合わせによってアタック時間を決定し、前記第2のリミッタ動作手段はマイクロコンピュータによるソフトウェアによってリカバリー時間を決定することを特徴とする請求項1に記載のリミッタ制御装置。
- 入力信号のレベルを検出し、検出された入力信号のレベルによってリミッタ動作の制御を行うリミッタ制御方法であって、
リミッタ動作のアタック時間を決定する第1のリミッタ動作ステップと、
リミッタ動作のリカバリー時間を決定する第2のリミッタ動作ステップと、
前記第1のリミッタ動作ステップと前記第2のリミッタ動作ステップとによって入力信号のリミッタ動作のアタック時間とリカバリー時間をそれぞれ独立して設定するアタック/リカバリー設定ステップとを
備えることを特徴とするリミッタ制御方法。
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