JP2006322533A - 締結体の弛み止め機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ボルトが、外周面の少なくとも一部にねじ山11aを有する軸部11と、上記軸部11の先端に着脱可能に取り付けられたチップ部12とを備えたものであり、チップ部12の外周面の少なくとも一部には、係合部12aが形成されたものであり、キャップ3が、ボルト1に対してナット2が締結された状態において、上記係合部12aと係合が可能なボルト配位部31と、ナット2の外周の一部と係合が可能なナット配位部32とを有することを特徴とする締結体の弛み止め機構を提供する。
【選択図】 図3
Description
これにより、特許文献1または2に記載された発明のように、キャップを無理に嵌めたり、ナットをわざわざ緩める再調整をすることなく、キャップを取り付け可能とできたものである。また、特許文献3に記載された発明よりもナットの弛みの許容値を小さくできたため、ナットの締め付け力の管理をより高い精度で行うことができるようになった。
また、弛み止めを特に必要としない用途に、この締結体を流用する場合にあっては、この突出部の存在が邪魔であった。
また、突出部のみが損傷した場合、キャップの取り付けができず、弛み止めの作用を果たす使用ができなくなるため、ボルト全体を廃棄しなければならないこともあった。
このように、特許文献4に記載の発明に係る締結体の弛み止め機構は、弛み止めの面では大変優れたものではあるものの、汎用性に欠ける場合や、使い勝手の悪い場合もあった。
また、弛み止めを特に必要としない用途に、この締結体10を流用する場合にあっても、軸部11の先端に突出するものがないため、このように一般的なボルトの代用として用いた場合であっても、邪魔になるものがなく、汎用性の高い締結体が提供できたものである。
また、チップ部12だけを軸部11に対して取り換え可能であるため、チップ部12のみが損傷した場合であっても、軸部11は再利用が可能である。
これらにより、汎用性や使い勝手をより向上させたものであって、しかも優れた弛み止めの作用を有する、締結体の弛み止め機構を提供することができたものである。
なお、ボルト本体部1aの形態は本例のものに限られるものではなく、寸切ボルトとしても良いし、シャフト等と一体化したものであっても良い。また、軸部11の全てにねじ山11aを形成したものであっても良いし、JISで規定された通り、先端側の所定範囲内にのみねじ山11aを形成したものであっても良い。つまり、軸部11にナット2を締結するためのねじ山11aを形成したものであれば、多種多様な形態での実施が可能である。
このように軸部11と分離したチップ部12を用いることにより、軸部11の長さにかかわらず、チップ部12を共通部品とできるため、在庫管理が容易となり、その結果、流通コストを低減することができる。
なお、図1(A)に示すように、チップ部12の軸中心Zと係合部12aの頂点部分12a’とを結ぶ仮想線をボルト側仮想線X1とする。これについては後ほど説明する。
なお、上記のように断面形状を「−」状に形成した場合は、チップ取付溝11bとの位置合わせを容易に行うために、取付用突起12bの中央下方に、図5に示すように中心突起12dを形成し、ボルト1のチップ取付溝11bにも、図6に示すように、中心突起12dを嵌めるための中心穴11cを形成しておき、この中心突起12dと中心穴11cとの組み合わせによって、位置合わせができるようにしておくことが望ましい。
その他、図示はしないが、取付用突起12bを、外周にねじ山を備えた軸とし、これに対応するねじ山を設けたチップ取付溝11bに対してねじ込むことによって、チップ部12をボルト1の軸部11に対して取り付け可能としても良い。この場合は、取付用突起12b及びチップ取付溝11bに設けるねじ山は、ボルト1のねじ山に対して逆ねじとしておくことが、チップ部12の弛み防止の点で望ましい。
上記に示したように、ボルト1の軸部11に対し、チップ部12を回動不能に取り付けることのできる手段である限りにおいては、取付用突起12bと、これに対応するボルト1のチップ取付溝11bの形態は限定されるものではなく、種々の手段、種々の形態を採用することができる。
なお、従来より、ナットの弛み止めを目的として、ねじ山の表面に樹脂を塗布したボルトが公知であるが、本例は、チップ12自体が軸方向へ抜けることを防止するため、ねじ山11aに樹脂製の抜止突起12cが配位されたものであって、作用、機能が全く異なるものである。
の内周面32bに係合することによりナット2の弛みを防止する。なお、頂点部分2aの形状は、多角形状の頂点はもとより、突起や溝など、種々の形態での実施が可能である。本例では、図10(B)に示したように、面取りがなされている。
このキャップ3は内部が空洞になっており、この空洞と連通するようにして下部が開放されている。また、上部にも貫通穴が形成されている。この下部の開放された部分がナット配位部32であり、上部の貫通穴がボルト配位部31となる。
なお、図8(A)に示すように、軸中心Zとキャップ側ボルト係合部31aの溝の底部である中央部31a’とを結ぶ仮想線は、ボルト1とキャップ3との間における取付時の遊びを無視した場合、ボルト1におけるボルト側仮想線X1と一致している。
なお、ボルト配位部31に上記のような遊びを設けず、チップ部12の露出部121と回動不能に嵌合するような形状としても良い。なお、この場合は、ナット2の頂点部分2aとキャップ3のキャップ側ナット係合部32aとの間の遊び角度が所定値(本例では片側で3°以上)になるようにナット配位部32を形成することを条件とする。
なお、図8(C)に示すように、軸中心Zとキャップ側ナット係合部32aの溝の底部である中央部32a’とを結ぶ仮想線は、ナット2とキャップ3との間における取付時の遊びを無視した場合、ナット2におけるナット側仮想線X2と一致している。
なお、ナット配位部32に上記のような遊びを設けず、ナット2と回動不能に嵌合するような形状としても良い。なお、この場合は、チップ部12の頂点部分12a’とキャップ3のキャップ側ボルト係合部31aとの間の遊び角度が所定値(本例では片側で3°以上)になるようにボルト配位部31を形成することを条件とする。
また、本例のキャップ3は合成樹脂製であるため、キャップ3に力を加え、ナット2のキャップ保持溝22とキャップ3のキャップ保持用爪33との嵌合を解除することにより、キャップ3をボルト1及びナット2から取り外すことができる。よって、キャップ3の繰り返し使用が可能であり、従来から公知である、2〜3回程度しか繰り返し使用できなかった割りピン方式よりも再使用性に優れている。
なお、キャップ保持溝22とキャップ3のキャップ保持用爪33のようなキャップ保持手段を一切設けないものとしても良い。
このキャップ取り外し工具4の使用方法について述べる。まず、図11に示すように、キャップ3の窓部34に引掛爪41を引掛けた上で、螺合により回動可能に取り付けられたハンドル42を用いて、押込部43を下方に押込んでいく。そして、この押込部43がボルト1の係合部12aに当接した後は、ハンドル42の回動を続けるにつれ、引掛爪41が上方に引き上げられ、それに伴い、キャップ3も上方に引っ張られる。これにより、ナット2のキャップ保持溝22とキャップ3のキャップ保持用爪33との嵌合が外れ、キャップ3を取り外すことができる。
しかし、ボルト1に対しナット2を締結した場合においては、当然ながら、ナット2とボルト1の係合部12aの間の位置関係はランダムとなる。そのため、従来においては、特許文献1または2に記載された発明が有する問題点として既にに示したように、キャップ3に合わせるために、ナット2を締めたり緩めたりして両者の位置関係を再調整する必要があった。
本例におけるボルト配位部31は、既に述べたように、三角形状の溝であるキャップ側ボルト係合部31aが設けられている。このキャップ側ボルト係合部31aは周方向に10個設けられている。
ナット配位部32についても、ボルト配位部31と同様に、三角形状の溝であるキャップ側ナット係合部32aが周方向に12個設けられている。よって、ナット2にキャップ3を取り付けた場合には、キャップ側ナット係合部32aの一つおきに、外形が六角形状であるナット2の頂点部分2aが配位される。
そして、キャップ側ナット係合部32aはキャップ側ボルト係合部31aに対し、180°毎、つまり全周(360°)において2箇所で一致するように形成されている。
そして、ナット2については、形状が六角形のため、頂点部分2aが60°毎に存在する。ただ、上記のように、キャップ3のキャップ側ナット係合部32aは30°毎に設けられており、キャップ側ナット係合部32aに一致させてナット2の頂点部分2aを配位可能であることを考えると、30°毎に調整可能となる。
よって、両者の調整可能な角度の差は6°となる。そして、ボルト1にナット2を締結した際においては、両者の関係は、図9(A)に示す状態から図9(C)に示す状態にかけての状態となる。
本例においては、半周(180°)分の範囲内において、図9(A)に示す状態から図9(C)に示す状態までの間の状態が1箇所必ず存在する。つまり、ずれ角が3°以下となるポイントが180°毎に存在する。
よって、図10に示す、ボルト1の係合部12aとキャップ3のキャップ側ボルト係合部31aとの間の遊びF1の角度と、ナット2の頂点部分2aとキャップ3のキャップ側ナット係合部32aとの間の遊びF2の角度との和が3°以上になるようにキャップ3のボルト配位部31とナット配位部32とを形成することにより、ボルト1にナット2を締結した状態のままでキャップ3を取り付けることが可能となる。
ここで既に述べた通り、キャップ側ナット係合部32aの形成数(X)、係合部12a(キャップ側ボルト係合部31a)の形成数(Y)については、本例以外に種々に変更できる。その例のいくつかについての、X、Y、Z(全周(360°)における、係合部12aとキャップ側ナット係合部32aの一致箇所の数)、ボルト1とナット2の間でのずれ角を下記に示す。
(1)X=6の場合
Y=7(Z=1、ずれ角±4.3°)、Y=11(Z=1、ずれ角±2.7°)
(2)X=12の場合
Y=5(Z=1、ずれ角±3°)、Y=7(Z=1、ずれ角±2.1°)、Y=11(Z=1、ずれ角±1.3°)
(3)X=18の場合
Y=5(Z=1、ずれ角±2°)、Y=8(Z=2、ずれ角±2.5°)、Y=10(Z=2、ずれ角±2°)、Y=11(Z=1、ずれ角±0.9°)
ずれ角については、あまり大きくなると、キャップ3がずれ角を基準とした遊び角度を有するものであるため、キャップ3の弛み止めの作用が甘くなる。よって、具体的には±5°未満とすることが望ましく、±3°以下とすることがより望ましい。
また、係合部12aとキャップ側ボルト係合部31aの形成数(Y)が多い方が、ずれ角を小さくできるために、弛み止めの作用から見て好ましいが、これに伴い係合部12aなどの加工が困難となるため、具体的にはYを12以下とすることが望ましい。
なお、上記の基準は一般的な締結体に関するものであって、特殊な締結体に関しては、用途などに応じて最も適した形態に形成すれば良い。
1 ボルト
11 軸部
11a ねじ山(軸部)
11b チップ取付溝
12 チップ部
12a 係合部
12a’ 係合部の頂点部分
12b 取付用突起
12c 抜止突起
2 ナット
24 ねじ山(ナット)
2a 頂点部分(ナット)
3 キャップ
31 ボルト配位部
31a キャップ側ボルト係合部
31a’ キャップ側ボルト係合部の中央部
32 ナット配位部
32a キャップ側ナット係合部
32a’ キャップ側ナット係合部の中央部
F1 ボルトとキャップとの間の遊び
F2 ナットとキャップとの間の遊び
X1 ボルト側仮想線
X2,X2a,x2b ナット側仮想線
Z 軸中心
Claims (4)
- ボルト(1)とナット(2)とキャップ(3)とを備えた締結体(10)の弛み止め機構であって、
ボルト(1)は、外周面の少なくとも一部にねじ山(11a)を有する軸部(11)と、
上記軸部(11)の先端に着脱可能に取り付けられたチップ部(12)とを備えたものであり、
チップ部(12)の外周面の少なくとも一部には、キャップ(3)と係合するための凹凸である係合部(12a)が形成されたものであり、
ナット(2)は、ボルト(1)の軸部(11)にねじ込まれることによって締結されるものであって、ねじ山(24)を内面に有し、外周の少なくとも一部が、ナット(2)をねじ込むための工具の係合が可能なものとされたものであり、
キャップ(3)は、ボルト(1)に対してナット(2)が締結された状態において、少なくとも上記チップ部(12)の係合部(12a)と係合が可能なボルト配位部(31)と、
少なくともナット(2)の外周の一部と係合が可能なナット配位部(32)とを有することを特徴とする締結体の弛み止め機構。 - 軸部(11)の先端面にチップ取付溝(11b)が形成されたものであり、
チップ部(12)には、上記のチップ取付溝(11b)に対して嵌合可能な取付用突起(12b)が形成されたものであって、
また、チップ部(12)には、軸部(11)に取り付けられた際に、軸部(11)のねじ山の谷径の位置よりも、少なくとも一部が径外方向にはみ出す抜止突起(12c)が形成されたものであって、
この抜止突起(12c)は、チップ部(12)が取り付けられた軸部(11)にナット(2)がねじ込まれた際において、ナット(2)のねじ山(24)によって変形させられることを特徴とする、請求項1に記載の、締結体の弛み止め機構。 - 軸部(11)にチップ部(12)が取り付けられた状態での、ボルト(1)の軸中心(Z)と、上記係合部(12a)の頂点部分(12a’)とを結ぶ仮想線をボルト側仮想線(X1)とし、
ナット(2)の、軸中心(Z)と頂点部分(2a)とを結ぶ仮想線(X2a)、並びに前記仮想線(X2a,X2a)同士の間を所定の割合で等分した仮想線(X2b)からなる仮想線をナット側仮想線(X2)とし、
キャップ(3)のボルト配位部(31)には、上記係合部(12a)の頂点部分(12a’)と係合するために、中央部(31a’)がボルト側仮想線(X1)上に一致するキャップ側ボルト係合部(31a)が、
同ナット配位部(32)には、ナット(2)の頂点部分(2a)と係合するために、中央部(32a’)がナット側仮想線(X2)上に一致するキャップ側ナット係合部(32a)が、それぞれ形成されており、
ボルト(1)にナット(2)が締結した際の、ボルト側仮想線(X1)とナット側仮想線(X2)の位置のずれのうちで最小のものよりも、
ボルト(1)にキャップ(3)を係合させた状態における、ボルト(1)の係合部(12a)の頂点部分(12a’)とキャップ(3)のキャップ側ボルト係合部(31a)との間の遊び(F1)と、
ナット(2)にキャップ(3)を係合させた状態における、ナット(2)の頂点部分(2a)とキャップ(3)のキャップ側ナット係合部(32a)との間の遊び(F2)とのそれぞれの和の方が大きくなるように、
ボルト配位部(31)とナット配位部(32)とが形成されたものであり、
上記の遊び(F1、F2)の和が±5°未満とされたことを特徴とする、請求項1または2に記載の締結体の弛み止め機構。 - 軸部(11)にチップ部(12)が取り付けられた状態での、ボルト(1)の、軸中心(Z)と、上記係合部(12a)の頂点部分(12a’)とを結ぶ仮想線をボルト側仮想線(X1)とし、
ナット(2)の、軸中心(Z)と頂点部分(2a)とを結ぶ仮想線(X2a)、並びに前記仮想線(X2a,X2a)同士の間を所定の割合で等分した仮想線(X2b)からなる仮想線をナット側仮想線(X2)とし、
キャップ(3)のボルト配位部(31)には、上記突出部(12)の頂点部分(12a’)と係合するために、中央部(31a’)がボルト側仮想線(X1)上に一致するキャップ側ボルト係合部(31a)が、
同ナット配位部(32)には、ナット(2)の頂点部分(2a)と係合するために、中央部(32a’)がナット側仮想線(X2)上に一致するキャップ側ナット係合部(32a)が、それぞれ形成されており、
ボルト(1)にナット(2)が締結された際の、ボルト側仮想線(X1)とナット側仮想線(X2)の位置のずれのうちで最小のものよりも、
ボルト(1)にキャップ(3)を係合させた状態における、ボルト(1)の係合部(12a)の頂点部分(12a’)とキャップ(3)のキャップ側ボルト係合部(31a)との間の遊び(F1)と、
ナット(2)にキャップ(3)を係合させた状態における、ナット(2)の頂点部分(2a)とキャップ(3)のキャップ側ナット係合部(32a)との間の遊び(F2)とのそれぞれの和の方が大きくなるような、
上記の各仮想線(X1,X2)の組み合わせが、360°の範囲内で少なくとも1組存在するように、ボルト(1)の係合部(12a)が形成されたものであり、
上記の遊び(F1、F2)の和が±5°未満とされたことを特徴とする、請求項1または2に記載の締結体の弛み止め機構。
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2005
- 2005-05-19 JP JP2005146183A patent/JP4409477B2/ja active Active
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