JP2006321956A - 含フッ素ポリマー錯体を含んでなる複合材料 - Google Patents

含フッ素ポリマー錯体を含んでなる複合材料 Download PDF

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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
    • C08F8/42Introducing metal atoms or metal-containing groups

Abstract

【課題】酸などの外部環境からの影響による錯体の各種活性の損なわれやすさを改善する。
【解決手段】金属に含フッ素ポリマー配位子が配位されてなる含フッ素ポリマー錯体(A)と、マトリックスポリマー(B)とからなる複合材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素ポリマー錯体とマトリックスポリマーを含む複合材料に関する。
石英系ファイバ(GOF)またはプラスチック光ファイバ(POF)を用いた光通信システムは、大容量かつ高速のデータ伝送を可能にし、今後、家庭内LANや自動車内LANでの光ネットワークの構築が考えられている。
光通信システムでは、伝播、分岐、接続、スイッチングの際に生ずる損失が原因で、光信号の減衰が生じ、光信号の減衰を補償するため、光増幅器や光増幅素子などによる増幅が必要になる。
光増幅機能や発光機能を発現可能な材料としては希土類金属イオンをドープさせた(石英)ガラス系材料が代表的に挙げられる。しかし、それらを用いての種々な形状への加工は困難であり、例えば光導波路型の光増幅素子または発光素子として回路中に組み込むには、数多くの工程や大きなエネルギーの消費を必要とする。
そこで、容易に加工が可能で、光増幅素子または発光素子に利用できる有機系の光機能性材料が求められている。
特許文献1において有機系の光機能性材料として、含フッ素アクリレート系ポリマーに希土類金属錯体を分散させた組成物を開示している。
この特許文献1には、含フッ素メタクリレートおよび含フッ素アクリレートの具体例として、ポリ(ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロ−n−プロピルメタクリレート)およびポリフルオロイソプロピルアクリレートが例示され(特許文献1の段落番号[0069])、実施例においてもマトリックスポリマーとしてヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(iFPMA)の単独ポリマー、ナフィオン(デュポン社の商標)、iFPMAとメチルメタクリレート(MMA)の共ポリマー、MMAとフルオロイソプロピルアクリレートの共ポリマー、MMAとヘキサフルオロ−n−プロピルメタクリレートの共ポリマーなどがフッ素原子を持たないPMMAに比べて発光強度が改善されているとの目視による官能的な評価データが示されている。
しかし、これら特許文献1の希土類金属錯体を含む組成物は、発光強度、発光効率において不十分である。また耐熱性においても不充分であり、場合によっては、素子の発熱などにより形状が変化してしまう。
また、ポリエチレンをマトリックスポリマーとし、これにフエナントリンを配位させたユーロピウム(III)錯体を分散させたフィルムの発光現象が検討されている(非特許文献1)。
一方、希土類金属錯体の側からの検討も行なわれており、配位子として振動励起失活が少ない点からC−F結合を含む比較的分子量の大きい(嵩高い)含フッ素有機配位子が研究されている(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。
非特許文献2ではNd錯体としてトリス−(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ネオジム(III)(略称「Nd(hfa−D)3」)、トリス−(ビス−パーフルオロオクタノイルメタンナト)ネオジム(III)(略称「Nd(pom−D)3」)がDMSOの液状中で発光することを報告している。
同じ研究グループの非特許文献3および4では、上記含フッ素有機配位子のNd錯体について、ポリメタクリル酸メチルとポリ(ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート)での発光を確認している。
しかしこれらの研究では、配位子自体をポリマーとすることは示唆されていない。さらに、Nd(hfa−D)3やNd(pom−D)3などは酸に弱く、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などのマトリックスポリマーと混合すると配位子交換を起こしてしまい、発光強度が低下するという点で課題が残っている。
さらに金属錯体に限ってみれば、非フッ素系のポリマーを配位子とする金属錯体も提案されている(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5)。
しかしこれらは配位子自体が炭化水素系のポリマーであるため、希土類金属の発光強度が損なわれる点で課題が残っている。
特開2000−63682号公報 特開平6−166727号公報 特開2001−131542号公報 特開2001−220579号公報 特開2002−163902号公報 Pogrebら、POLYMER FOR ADVANCED TECHNOLOGIES、15、414〜418頁(2004年) Yanagidaら、Coordination Chemistry Reviews、171、461〜480頁(1998年) 柳田ら、有機化学協会誌、Vol.58、No.10、23〜33頁(2000年) 長谷川靖哉、化学と工業、第53巻、第2号、126〜130頁(2000年)
本発明は、酸などの外部環境からの影響によって錯体の各種活性が損なわれやすいという課題を解決することを目的とする。
すなわち本発明は、金属に含フッ素ポリマー配位子が配位されてなる含フッ素ポリマー錯体(A)と、マトリックスポリマー(B)とからなる複合材料に関する。
マトリックスポリマー(B)としては、エポキシ系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、フッ素系ポリマーまたはこれらの混合物が好ましく例示できる。
また、含フッ素ポリマー錯体(A)が粉体であることが、マトリックスポリマーに対する分散性が良好な点から好ましい。
前記金属としては含フッ素ポリマー配位子に配位できるものであれば限定されないが、周期律表の2〜13族および希土類金属よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属が良好な配位状態を形成できる点で好ましい。
本発明の複合材料において、含フッ素ポリマー錯体(A)がマトリックスポリマー(B)中に分散されていることが、均一に効果が発現する点から好ましい。
本発明はまた、上記の複合材料からなる成形品にも関する。成形品としてはフィルムのほか種々の形態を取りうる。
本発明の成形品は光学部材として有用である。
また本発明は、金属に含フッ素ポリマー配位子が配位されてなる含フッ素ポリマー錯体(A)と、重合性モノマー(C)とからなる硬化性組成物にも関する。
かかる硬化性組成物に用いる重合性モノマー(C)としては、エポキシ系ポリマーを与える重合性モノマー、シリコーン系ポリマーを与える重合性モノマー、ウレタン系ポリマーを与える重合性モノマー、アクリル系ポリマーを与える重合性モノマーまたはフッ素系ポリマーを与える重合性モノマーが好ましい。
本発明によれば、酸などの外部環境からの影響によって錯体の各種活性が損なわれやすいという課題を解決することができる。
まず、本発明の複合材料の(A)成分である含フッ素ポリマー錯体について説明する。
含フッ素ポリマー錯体(A)は、金属に含フッ素ポリマー配位子が配位して構成されている。ここで重要な点はフッ素原子を含んでいる点と、単に配位子が分子量が高いというだけではなく、ポリマーである点にある。すなわち、本発明で使用する含フッ素ポリマー配位子は、フッ素原子を含有しかつポリマーであることが必要である。その理由は、フッ素原子を含有することで発光強度の低下を抑制でき、さらに配位子を高分子量でかつポリマー(モノマーが重合したもの)とすることにより、配位子交換をしようとする水や酸などの金属への攻撃を防ぐことができるからである。
本発明で使用する含フッ素ポリマー錯体(A)は、金属と配位構造単位Qとの配位形態、金属の種類、金属の電荷(電荷補償型か電荷非補償型か)、配位数などによって異なるが、式(I):
[Pn−Q]nM[R−Q]m
(式中、Pn−Qは含フッ素ポリマー配位子;R−Qは非ポリマー性の配位子または非フッ素系のポリマー配位子;Mは配位金属;nは正の整数;mは0または正の整数;n+mは配位数)で示され得る。
金属Mとしては、含フッ素ポリマー配位子(Pn−Q)に配位できるものであれば限定されないが、周期律表の2〜13族および希土類金属よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属が良好な配位状態を形成できる点で好ましい。これらの金属は配位結合を形成するときは、0価(電荷非補償型)でも1〜3価のイオン(電荷補償型)でもよい。
周期律表2〜13族に属する金属としては、たとえばバリウム(Ba)などの2族元素;イットリウム(Y)などの3族元素(希土類元素は除く);チタン(Ti)などの4族元素;バナジウム(V)などの5族元素;モリブデン(Mo)などの6族元素;マンガン(Mn)などの7族元素;ルテニウム(Ru)などの8族元素;コバルト(Co)、イリジウム(Ir)などの9族元素;ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)などの10族元素;銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などの11族元素;亜鉛(Zn)などの12族元素;インジウム(In)などの13族元素が例示できる。
希土類金属は、周期律表においてアクチニウムを除くスカンジニウム族元素とランタノイド族の17種の元素のなかから選ばれる少なくとも1種であり、なかでも、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、プラセオジウム(Pr)、ホルミウム(Ho)、ネオジウム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)などが好ましくあげられる。
光学材料、特に光機能性材料として使用する場合には、これらのなかから、発光、光増幅および波長変換などの用途に応じ、また必要とする光の種類(波長)に応じて用いる金属、特に希土類元素の種類が選択される。
たとえば、波長1300〜1550nmの近赤外光を用いた光通信の光増幅用途では、近赤外領域の蛍光発生能を有する希土類元素から選択するのが好ましい。
具体的には、プラセオジウム(蛍光波長:1300nm)、エルビウム(蛍光波長:1550nm)などの希土類元素があげられ、波長850nmの近赤外光を用いた光通信の光増幅用途では、ネオジウム(蛍光波長:850nm)が好ましい。波長650nmの可視光を用いた光通信の光増幅用途では、ユーロピウム(蛍光波長:615nm)などが好ましい。
発光素子および波長変換材料としての用途では、それぞれ必要とする波長の光を蛍光として発生する希土類元素が選択される。
例えば、発光用途では、緑色発光のテルビウム(蛍光波長:532nm)、赤色発光のユーロピウム(蛍光波長:615nm)などから選択するのが好ましい。
通常、希土類金属錯体は、希土類元素に1つ以上の配位子が配位結合したものであり、希土類金属イオンと比べ、希土類元素の周りを配位子がとり囲んでいる。そのため励起した希土類元素が発光する過程で、その蓄えられた希土類元素のエネルギーが周りのマトリックスポリマーに逃げて発光強度・発光効率が低下する場合がある。本発明では少なくとも1個の配位子をポリマー分子とすることにより、マトリックスポリマーと錯体との相互作用を抑え、エネルギーが逃げるのを抑えており、その結果、希土類金属からの発光強度・発光効率が増大するものである。
つぎに含フッ素ポリマー配位子(Pn−Q)について、ポリマー部分(Pn)を中心に説明する。
含フッ素ポリマー配位子としては、式(1):
Figure 2006321956
(式中、繰返し単位Nは金属と配位可能な構造単位Qを含みフッ素原子を含んでいてもよい単位;繰返し単位Dは配位構造単位Qを含まずフッ素原子を含んでいてもよい単位;N、DおよびQの少なくとも1つはフッ素原子を含み、かつ繰返し単位Nを0.1〜100モル%含む)で示される含フッ素ポリマー鎖が好ましくあげられる。
繰返し単位Nは、さらには式(N1):
Figure 2006321956
(式中、N1はフッ素原子を含んでいてもよい炭素数2〜100の2価の有機基からなる繰返し単位;R1は結合手またはフッ素原子を含んでいてもよい炭素数1〜100の2価の有機基;Qは前記配位構造単位)で示されるものが好ましい。
繰返し単位N1としては、たとえば式(N1−1):
Figure 2006321956
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3)が好ましくあげられる。
式(N1−1)で示される繰返し単位N1の具体例としては、たとえば
Figure 2006321956
または
Figure 2006321956
があげられる。
2価の有機基であるR1としては、たとえば式(R1−1):
Figure 2006321956
(式中、X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;R2は配位構造単位Qと結合するフッ素原子を含んでいてもよい炭素数1〜100の2価の有機基;aは0〜3の整数;b、cおよびdは同じかまたは異なり、0または1)で示される有機基が好ましくあげられる。
式(R1−1)で示される有機基R1の具体例としては、たとえば
−CF2−O−Rf−
または
−O−Rf−
(式中、Rfは前記配位構造単位Qと結合する炭素数が1〜50の含フッ素アルキレン基または炭素数が2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基)などがあげられる。
以上の観点から、繰返し単位Nの好ましいものとしては、式(N−1):
Figure 2006321956
(式中、X1、X2、X3、X4、X5、R2、Q、a、b、cおよびdは前記と同じ)で示される単位N−1である。
繰返し単位N−1の具体例は、国際公開第02/072696A1号公報に式(2)として記載されている構造単位MのRfを(R2d−Qで置き換えたものが、好ましい範囲と共に例示できる。
繰返し単位Nの具体例としては、たとえばつぎのものが例示できる。
Figure 2006321956
Figure 2006321956
Figure 2006321956
(nは0〜20)
任意の繰返し単位Dは、繰返し単位Nを与えるモノマーと共重合可能なモノマーに由来する単位であり、特に限定されず、目的とする含フッ素ポリマー錯体の要求特性などに応じて適宜選択すればよい。
繰返し単位Dとして、たとえば国際公開第02/072696A1号公報に記載されたつぎの繰返し単位が例示できる。
(i)金属と配位しない官能基を有する含フッ素エチレン性単量体から誘導される繰返し単位
これらは、官能基含有フッ素ポリマー錯体およびその組成物の近赤外領域での透明性を維持しながら、基材への密着性や溶剤、特に汎用溶剤への溶解性を付与できる点で好ましく、そのほか架橋性などの機能を付与できる点で好ましい。
(ii)官能基を含まない含フッ素エチレン性単量体から誘導される繰返し単位
これらは含フッ素ポリマー錯体またはその硬化物の屈折率を低く維持できる点で、またさらに低屈折率化することができる点で好ましい。また単量体を選択することでポリマー錯体の機械的特性やガラス転移点などを調整でき、特に繰返し単位Nと共重合してガラス転移点を高くすることができ、好ましいものである。
(iii)フッ素を有する脂肪族環状の繰返し単位
これらの繰返し単位(iii)を導入すると、透明性を高くでき、また、より低屈折率化が可能となり、さらに高ガラス転移点の含フッ素ポリマー錯体が得られる点で好ましい。
(iv)フッ原子を含まないエチレン性単量体から誘導される繰返し単位
屈折率を悪化(高屈折率化)させない範囲でフッ素を含まないエチレン性単量体から誘導される繰返し単位(iv)を導入してもよい。
それによって、汎用溶剤への溶解性が向上したり、添加剤、たとえば光触媒や必要に応じて添加する硬化剤との相溶性を改善できたりするので好ましい。
(v)脂環式単量体から誘導される繰返し単位
繰返し単位Nの共重合成分として、より好ましくは繰返し単位Nと前述の含フッ素エチレン性単量体または非フッ素エチレン性単量体(前述の(iii)、(iv))の繰返し単位に加えて、さらに脂環式単量体構造単位(v)を導入してもよく、それによって高ガラス転移点化、高硬度化が図られるので好ましい。
以上の繰返し単位Dの好ましい構造や具体例としては国際公開第02/072696A1号公報に任意の構造単位Aとして記載されたものが採用できる。
含フッ素ポリマー配位子のポリマー鎖部分の構造としては、繰返し単位Nを0.1〜100モル%含んでいることが好ましい。少なすぎると金属含有量が低くなってしまう。下限は好ましくは1モル%、さらには5モル%である。また、繰返し単位Nの上限は高ければ高い方が好ましく、100モル%に近いほど好ましい。
含フッ素ポリマー配位子の重量平均分子量は、2,000以上、さらには5,000以上、特に10,000以上が好ましい。重量平均分子量が小さくなりすぎると水分や酸などの外部環境からの遮断という本発明の効果が減衰する傾向にある。上限は10,000,000、さらには5,000,000、特に3,000,000であることが、外部環境からの遮断効果が良好である点から好ましい。
含フッ素ポリマー配位子のフッ素含有率は、5質量%以上、さらには10質量%以上、特に20質量%以上であることが、中心金属の発光効率が高くなる点から好ましい。上限はPnがパーフルオロポリマー鎖の場合である。
含フッ素ポリマー配位子(Pn−Q)は、π電子を有する原子(例えばヘテロ原子など)や不飽和結合などを含むものであればよいが、炭素−炭素二重結合、炭素−ヘテロ原子間の二重結合、ヘテロ原子−ヘテロ原子間二重結合を有する含フッ素ポリマーであることが、特に、金属近傍にC−H結合が存在しないため、発光強度が低下しない点で好ましい。
さらには、配位子自体アニオンを形成し、金属イオン(カチオン)と配位結合とイオン結合を形成する電荷補償タイプの配位子を含むことが、ポリマー錯体(A)の安定性、耐熱性、耐紫外線性に優れる点で好ましい。
電荷補償タイプのポリマー配位子(Pn−Q)は具体的には、たとえばつぎのものがあげられる。
(b1)β−ジケトン構造を有する配位子
具体的には、式(b1a):
Figure 2006321956
(式中、Pnは前記と同じ;Rb1は炭素数1〜20の炭化水素基、水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換されてなる炭素数1〜20の含フッ素炭化水素基、および複素環構造を有する炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種;X11は水素原子、重水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、および水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換されてなる炭素数1〜20の含フッ素炭化水素基から選ばれるもの)
または式(b1b):
Figure 2006321956
(式中、Pn、Rb1は前記式(b1a)と同じ;Rb2は炭素数1〜20の炭化水素基、水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換されてなる炭素数1〜20の含フッ素炭化水素基、および複素環構造を有する炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種)
で示される配位子であり、これらは、錯体構成時の安定性、錯体構成時の吸収効率が良好な点で好ましい。
具体的には、
Figure 2006321956
が例示でき、なかでも
Figure 2006321956
が好ましくあげられる。
(b2)β−ジスルフォニル構造を有する配位子
具体的には、式(b2a):
Figure 2006321956
(式中、Pn、X11は前記式(b1a)と同じ;Rb2は前記式(b1b)と同じ)
または式(b2b):
Figure 2006321956
(式中、Pnは前記式(b1a)と同じ;Rb2は前記式(b1b)と同じ;Rb3は炭素数1〜20の炭化水素基、水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換されてなる炭素数1〜20の含フッ素炭化水素基、および複素環構造を有する炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種)
で示される配位子であり、これらは錯体構成時の安定性、錯体構成時の吸収効率が良好な点で好ましい。
具体的には、
Figure 2006321956
が例示でき、なかでも
Figure 2006321956
が好ましくあげられる。
(b3)カルボニルイミド構造を有する配位子
具体的には、式(b3):
Figure 2006321956
(式中、Pn、Rb1は前記式(b1a)と同じ)で示される配位子であり、これらは、発光効率、増幅効率が良好な点で好ましい。
具体的には、
Figure 2006321956
が例示でき、なかでも
Figure 2006321956
が好ましく挙げられる。
(b4)スルホンイミド構造を有する配位子
具体的には、式(b4):
Figure 2006321956
(式中、Pn、Rb1は前記式(b1a)と同じ)で示される配位子であり、これらは発光効率、増幅効率が良好な点で好ましい。
具体的には、
Figure 2006321956
が例示でき、なかでも
Figure 2006321956
が好ましくあげられる。
式(b1a)、(b1b)、(b2a)、(b2b)、(b3)および(b4)において、Pn、Rb1〜Rb3はなかでも、少なくとも一方が水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換されてなる炭素数1〜20の含フッ素炭化水素基であることが発光(増幅)効率に優れている点、錯体構成時の安定性が優れている点で好ましい。
さらに式(b1a)、(b2a)において、X11はなかでも、重水素原子またはフッ素原子であることが発光(増幅)効率に優れている点で好ましい。
(b5)式(b5)で示される配位子
Figure 2006321956
(式中、Pnは前記式(b1a)と同じ;Rb4は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換されてなる炭素数1〜20の含フッ素炭化水素基、および複素環構造を有する炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種;Y1はO、SまたはN−R′(R′は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、および水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換されてなる炭素数1〜20の含フッ素炭化水素基から選ばれるもの)で示される配位子であり、これらは発光効率、増幅効率が良好な点で好ましい。
具体的には、
Figure 2006321956
Figure 2006321956
が例示でき、なかでも
Figure 2006321956
が好ましくあげられる。
(b6)式(b6)で示される配位子
Figure 2006321956
(式中、Pn、Rb4およびY1は前記式(b5)と同じ)で示される配位子であり、これらは発光効率、増幅効率が良好な点で好ましい。
具体的には、
Figure 2006321956
Figure 2006321956
が例示でき、なかでも
Figure 2006321956
が好ましくあげられる。
(b7)式(b7)で示される配位子
Figure 2006321956
(式中、Pn、Rb4およびY1は前記式(b5)と同じ;R1′は炭素数1〜20の炭化水素基および水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換されてなる炭素数1〜20の含フッ素炭化水素基から選ばれるものであって、またさらにリン原子を伴って環構造を形成してもよい)で示される配位子であり、これらは発光効率、増幅効率が良好な点で好ましい。
具体的には、
Figure 2006321956
Figure 2006321956
が例示でき、なかでも
Figure 2006321956
が好ましくあげられる。
式(b5)、(b6)および(b7)において、Rb4は、水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換されてなる炭素数1〜20の含フッ素炭化水素基であることが発光(増幅)効率に優れている点で好ましい。
式(b7)において、R1′は、水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換されてなる炭素数1〜20の含フッ素炭化水素基であることが発光(増幅)効率に優れている点で好ましい。
本発明の複合材料に用いる含フッ素ポリマー錯体(A)は、さらに電荷(負の電荷)を有さない(0価)電荷非補償型の配位子を導入したものであってもよい。
電荷非補償型の配位子とは、配位子全体で電荷を有さず、希土類金属などの金属の空のd起動に配位可能なπ電子対を有するもので、
Figure 2006321956
などの部位を有する化合物から通常選択される。
具体的には、
Figure 2006321956
などがあげられ、好ましくは
Figure 2006321956
などがあげられる。
電荷非補償型の含フッ素ポリマー配位子において、一部にフッ素原子を導入したものが発光(増幅)効率に優れている点で優れている。
本発明に用いる含フッ素ポリマー錯体(A)は上記金属イオンに、前述の電荷補償型または電荷非補償型のポリマー配位子から選ばれる少なくとも1種の含フッ素ポリマー配位子が配位結合したものであればよく、他の配位子(R−Q)も含めて好ましくは2〜4個の配位子が配位結合したものである。これらの配位子は、電荷補償型または電荷非補償型のいずれか一方のみで構成されていても、電荷補償型と電荷非補償型の両方を含んでいてもよい。
他の配位子(R−Q)は、従来公知の非ポリマー性の有機配位子でも、非フッ素系のポリマー配位子でも、無機アニオンでもよい。
非ポリマー性有機配位子としては、上記の含フッ素ポリマー配位子のPnを各種の水素原子や非ポリマー性の有機基に置き換えたものが例示できる。
非フッ素系のポリマー配位子としては、上記の含フッ素ポリマー配位子のフッ素原子を水素や重水素などの他の原子に置き換えたものが例示できる。
含フッ素ポリマーに配位構造単位Qを導入する方法としては、つぎの方法などが採用できる。
(1)官能基を有する含フッ素ポリマーに配位構造を含む化合物を反応させる方法(高分子反応法)。
(2)配位構造を予め含む重合性モノマーを合成し、このモノマーを単独で重合するか、または他のモノマーと共重合する方法(重合法)。
製造法(1)で使用する配位構造を含む化合物は、目的とする配位構造に合わせて選択すればよく、たとえば上記(b1)のβジケトン構造を導入する場合には、ヘキサフルオロアセチルアセトンなどが使用できる。
そのほか、
Figure 2006321956
なども有用である。
含フッ素ポリマー錯体の製造法は、含フッ素ポリマー配位子と金属または金属化合物とを常法に従って反応させればよい。
金属化合物としては、たとえば酢酸ユーロピウム、酢酸エルビウム、酢酸ネオジウム、酢酸ニッケル、酢酸銅などが有用である。
従来の含フッ素錯体が液状のものもあるのに対し、含フッ素ポリマー錯体(A)はポリマー配位子を有することから、常温(25℃)で固体のものが殆どである。
以下に本発明で使用する含フッ素ポリマー錯体(A)の具体的な配位状態の代表例を示すが、これら以外に種々多様な配位状態が存在することは当業者には容易に確認できるであろう。
Figure 2006321956
本発明の複合材料は、上記含フッ素ポリマー錯体(A)とマトリックスポリマー(B)からなる。
マトリックスポリマー(B)は、含フッ素ポリマー錯体を保持する働きをするもので、含フッ素ポリマー錯体との親和性、加工性などを考慮して選択すればよい。
具体的には、エポキシ系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、フッ素系ポリマーまたはこれらの混合物が例示できる。
エポキシ系ポリマーとしては、たとえばエポキシ系化合物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;トリスフェノールメタントリグリシジルエーテルなどやこれらの水素添加物やハロゲン化物などの芳香族エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテルなどの脂環族エポキシ樹脂;1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、炭素数が2〜9個のアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールやポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ポリオールのポリグリシジルエーテルなどの脂肪族エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸、サリチル酸のグリシジルエーテル−グリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステルなどやこれらの水素添加物などのグリシジルエステル型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、環状アルキレン尿素のN,N’−ジグリシジル誘導体、p−アミノフェノールのN,N−O−トリグリシジル誘導体、m−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体などやこれらの水素添加物などのグリシジルアミン型エポキシ樹脂;1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するポリエステル樹脂;上記各種エポキシ樹脂の構造中にウレタン結合を導入したウレタン変成エポキシ樹脂;上記各種エポキシ樹脂の構造中にポリカプロラクトン結合を導入したポリカプロラクトン変成エポキシ樹脂などがあげられる。これらのエポキシ系化合物は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。エポキシ系ポリマーをマトリックスとする場合、LEDなどの封止材料として有用である。
シリコーン系ポリマーとしては、たとえば、テトラアルコキシシランのゾルゲルポリマー、トリアルコキシシランのゾルゲルポリマー、メチルトリアルコキシシランのゾルゲルポリマー、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランのゾルゲルポリマー、テトラアルコキシシランとメチルトリアルコキシシランのゾルゲルポリマー、メチルトリアルコキシシランとトリアルコキシシランのゾルゲルポリマー、テトラアルコキシシランとジメチルアルコキシシランのゾルゲルポリマー、水素シルセスキオキサン、メチルシルセスキオキサン、フッ素含有水素シルセスキオキサンなどがあげられる。シリコーン系ポリマーをマトリックスとする場合、半導体封止剤などの複合材料として有用である。
ウレタン系ポリマーとしては、たとえば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−(ビスイソシアネート)メチルシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのイソシアネート類の2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビューレット変性体、プレポリマーなどがあげられる。これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい。
アクリル系ポリマーとしては、たとえばポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリn−プロピル(メタ)アクリレート、ポリn−ブチル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリsec−ブチル(メタ)アクリレート、ポリt−ブチル(メタ)アクリレート、ポリイソアミル(メタ)アクリレート、ポリn−ヘキシル(メタ)アクリレート、ポリシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリ2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリn−オクチル(メタ)アクリレート、ポリラウリル(メタ)アクリレート、ポリn−トリデシル(メタ)アクリレート、ポリトリスチル(メタ)アクリレート、ポリセチル(メタ)アクリレート、ポリステアリル(メタ)アクリレート、ポリアリル(メタ)アクリレート、ポリビニル(メタ)アクリレート、ポリベンジル(メタ)アクリレート、ポリフェニル(メタ)アクリレート、ポリ2−ナフチル(メタ)アクリレート、ポリ2,4,6−トリクロロフェニル(メタ)アクリレート、ポリ2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリイソボルニル(メタ)アクリレート、ポリ2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリ2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリテトラヒドロフルオリル(メタ)アクリレート、ポリ2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、ポリ2−クロロエチル(メタ)アクリレート、ポリ2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ポリヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、ポリアクリル酸3−トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリ2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリ2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらのポリ(メタ)アクリル酸エステルは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
フッ素系ポリマーとしては、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などがあげられる。
含フッ素ポリマー錯体とマトリックスポリマーとの複合形態としては、たとえば多層構造、海島構造、分散構造などの多様な形態を取り得るが、含フッ素ポリマー錯体がマトリックスポリマー中に分散した分散構造とすることが、含フッ素ポリマー錯体を均一に存在させる点で好ましい。
含フッ素ポリマー錯体(A)とマトリックスポリマー(B)との配合割合は複合材料の使用目的などにより適宜選定すればよいが、一般的にはマトリックスポリマー(B)100質量部に対して含フッ素ポリマー錯体(A)を0.1質量部以上、さらには0.5質量部以上、特に1質量部以上とするのが、含フッ素ポリマー錯体の発光強度、吸収強度、電気特性の点で有利である。上限は、マトリックスポリマー(B)100質量部に対して含フッ素ポリマー錯体(A)を100質量部、さらには500質量部、特に1000質量部とするのが、含フッ素ポリマー錯体の発光強度、金属濃度の点で有利である。
マトリックスポリマー(B)としてエポキシ系ポリマーやシリコーン系ポリマーを使用するとき、重合時の触媒として酸触媒が使用されるため、従来の非ポリマー性の錯体では配位子と金属との配位結合が切れてしまい、錯体として機能する量が減少することがあった。しかし、本発明で使用する含フッ素ポリマー錯体(A)はそうしたエポキシ系ポリマー中の酸の錯体への浸入を安定なポリマー部分で阻止できるので、錯体としての機能が安定した複合材料が提供できる。さらに、配合量に見合った機能が発現するため、従来と同量であっても機能的には大きく向上させることができる。
本発明の複合材料を製造する方法には特に制限はなく、たとえばつぎの方法などが採用できる。
(1)溶剤に溶解させたマトリックスポリマー(B)または液状のマトリックスポリマー(B)に含フッ素ポリマー錯体(A)を添加混合した後、溶剤を除去する方法。
(2)マトリックスポリマー(B)と含フッ素ポリマー錯体(A)とを溶融混練する方法。
(3)マトリックスポリマー(B)を与える重合性モノマー(C)と含フッ素ポリマー錯体(A)との硬化性組成物を調製した後、ラジカル重合法やアニオン重合法等の公知の重合法で重合する方法。
これらの製造法において、含フッ素ポリマー錯体(A)をマトリックスポリマーに均一に分散させるためには、含フッ素ポリマー錯体(A)を粉体の形にしておき、添加することが好ましい。粉体としての粒径は目的、用途などにより適宜選択すればよい。通常10nm〜10μmの範囲で選択する。
また製造法(1)で使用する溶剤はマトリックスポリマーに合わせて選択すればよいし、製造法(2)の溶融混練条件もマトリックスポリマーに合わせて選択すればよい。
製造法(3)は、含フッ素ポリマー錯体(A)の存在下に重合性モノマー(C)を重合して複合材料を直接製造する方法であり、高分子量の成分同士の均一混合が不充分になる場合やマトリックスポリマー(B)の溶剤溶解性が低い場合、溶融加工時の溶融成形性が低い場合などに特に有効である。
製造法(3)に用いる硬化性組成物は、含フッ素ポリマー錯体(A)と重合性モノマー(C)とからなる。
重合性モノマー(C)としては、重合によりマトリックスポリマー(B)を与える重合性モノマーまたはモノマー混合物であり、たとえばエポキシ系ポリマーを与える重合性モノマー、シリコーン系ポリマーを与える重合性モノマー、ウレタン系ポリマーを与える重合性モノマー、アクリル系ポリマーを与える重合性モノマー、フッ素系ポリマーを与える重合性モノマーなどがあげられる。具体例としては、マトリックスポリマー(B)の例示として記載したポリマーを与えるモノマーがあげられる。
重合法および重合条件はそれぞれのポリマーの合成に好適な方法が採用される。
硬化性組成物中の含フッ素ポリマー錯体(A)の濃度は、目的とする複合材料中の含有量に合わせて選択すればよい。
本発明はまた、本発明の複合材料からなる成形品にも関する。
かかる成形品は複合材料自体が成形品である場合であってもよいし、複合材料と他の材料を組み合わせて成形加工して得られる成形品であってもよい。
複合材料自体が成形品である場合としては、フィルム、シート、ボード、ブロック、チューブなどの成形品が例示できる。成形法としては、キャスト法、溶融押出法、射出成形法などが適宜採用できる。
また複合材料の機能面から見れば、含フッ素ポリマー錯体の機能によって種々の機能を有する成形品として有用である。
そうした機能性の複合材料または成形品としては、たとえばつぎのものを代表例としてあげることができるが、これらのみに限定されるものではない。
(1)光学部材
発光材料、光増幅材料、LED、有機ELなどの光機能性材料、イメージングプレートなどが例示できる。
(1−1)光機能性材料
(A1)含フッ素ポリマー錯体
金属として希土類金属、遷移金属を含む錯体であり、金属としてはユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)などが好適である。
(B1)マトリックスポリマー
アクリル系ポリマー、フッ素系ポリマー、ポリエステル、ポリイミドなどが好適である。
光学部材において、光増幅器や光導波路等の光通信用部品や発光体として利用する場合には、この含フッ素ポリマー錯体(A1)の含有量は、蛍光強度の向上の観点から0.01〜20質量%の範囲で選ぶのが好ましく、さらに好ましくは0.1〜15質量%、最も好ましくは0.5〜10質量%である。
含フッ素ポリマー錯体(A1)の含有量が少なすぎると目的とする光増幅作用、発光強度、輝尽発光強度、波長変換効果などの目的の性能が発揮されなくなる。
一方、含フッ素ポリマー錯体(A1)の含有量が多すぎると、含フッ素ポリマー錯体(A1)とマトリックスポリマー(B1)との分散性、相溶性が悪くなるため好ましくない。
光学材料用としては、必要に応じて種々の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、たとえばレベリング剤、粘度調整剤、光安定剤、酸化防止剤、水分吸収剤、顔料、染料、補強剤などがあげられる。
また、含フッ素ポリマー錯体(A1)に加えて、無機蛍光体を配合するときは、演色性を変化させることができる点で好ましい。
無機蛍光体の具体例としては、
(1)YAG(黄色発光材料)
具体的には(YaGdl−a)(AlbGal−b)O12Ce3+など
(2)YOS(赤色発光材料)
具体的にはY22S:Erなど
(3)BAM:Eu(青色発光材料)
具体的には(Ba,Mg)Al1017:Erなど
(4)SCA(青色発光材料)
具体的には(Sr、CaBaMg)10(PO46Cl2:Euなど
(5)GN4(緑色発光材料)
ZnS:Cu,Alなど
(6)BAM:Eu,Mn(緑色発光材料)
具体的には(Ba,Mg)Al1017:Eu,Mnなど
の蛍光体があげられる。
(7)輝尽発光材料
具体的には、BaFBr:Eu2+、BaFI:Eu2+など
また、希土類金属イオンを配合してもよい。
希土類金属イオンは通常、希土類金属イオンとイオン結合できる対アニオンとの塩の形態で混合される。希土類金属陽イオンは価数には制限はなく、通常2価または3価あるいは4価の金属カチオンの塩として用いられる。
希土類金属塩としては、前記例示の希土類元素の塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物;硝酸塩、過塩素酸塩、臭素酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの塩などが挙げられる。また、有機酸の塩、有機スルホン酸の塩など、希土類金属の有機塩であってもよい。また、複硝酸塩、複硫酸塩、キレート化物も使用可能である。
具体的な希土類金属塩としては、塩化プラセオジウム、臭化プラセオジウム、ヨウ化プラセオジウム、硝酸プラセオジウム、過塩素酸プラセオジウム、臭素酸プラセオジウム、酢酸プラセオジウム、硫酸プラセオジウム、リン酸プラセオジウム等のプラセオジウム塩;塩化ネオジウム、臭化ネオジウム、ヨウ化ネオジウム、硝酸ネオジウム、過塩素酸ネオジウム、臭素酸ネオジウム、酢酸ネオジウム、硫酸ネオジウム、リン酸ネオジウム等のネオジウム塩;塩化ユーロピウム、臭化ユーロピウム、ヨウ化ユーロピウム、硝酸ユーロピウム、過塩素酸ユーロピウム、臭素酸ユーロピウム、酢酸ユーロピウム、硫酸ユーロピウム、リン酸ユーロピウム等のユーロピウム塩;塩化エルビウム、臭化エルビウム、ヨウ化エルビウム、硝酸エルビウム、過塩素酸エルビウム、臭素酸エルビウム、酢酸エルビウム、硫酸エルビウム、リン酸エルビウム等のエルビウム塩;塩化テルビウム、臭化テルビウム、ヨウ化テルビウム、硝酸テルビウム、過塩素酸テルビウム、臭素酸テルビウム、酢酸テルビウム、硫酸テルビウム、リン酸テルビウム等のテルビウム塩;塩化サマリウム、臭化サマリウム、ヨウ化サマリウム、硝酸サマリウム、過塩素酸サマリウム、臭素酸サマリウム、酢酸サマリウム、硫酸サマリウム、リン酸サマリウム等のサマリウム塩などをあげることができる。
成形品としては光機能性光学材料をコア部に使用した光学素子、すなわち光増幅素子および発光素子が提供できる。
光増幅素子とはコア部とクラッド部を有する光導波路デバイスの一種で、基板上に形成された光導波路のコア部中を光信号が通過中に信号強度が増幅される素子のことを一般的にいう。この光増幅素子ではコア部を光増幅作用をもつ材料で形成する必要がある。
本発明によれば、光増幅素子はそのコア部(光増幅作用を有する光導波路の部分)を本発明の光学部材で構築したものである。
これらの本発明の光学部材を光増幅素子のコア部として使用するには適切なクラッド材が必要となる。クラッド部用材料としてはコア部の材料よりも屈折率の低いものを使用する必要があるが、本発明の光学部材をコア部として使用する場合、クラッド部用材料は特に制限はなく、既存の有機材料が用いられる。もちろん、前記の含フッ素ポリマー錯体(A)にマトリックスポリマー(B)を使用してもかまわない。
本発明において発光素子とは、たとえばEL素子、ポリマー発光ダイオード、発光ダイオード、光ファイバーレーザー、レーザー素子、光ファイバー、液晶バックライト、光検知器、波長変換フィルター等であり、大型ディスプレイ、照明、液晶、光ディスク、レーザープリンター、医療用レーザー、レーザー加工、印刷、コピー機器などに応用される。
コア部とクラッド部とから構成される発光素子の場合、光増幅型素子と同様に、コア部に本発明の複合材料を使用し、クラッド部には既存の有機材料、たとえば前記のようにマトリックスポリマー(B)をそのまま使用することができる。
また、本発明における光増幅素子および発光素子は、他の光素子と集積化することでより多機能な光回路を構築することができる。他の光素子としては、光スイッチ、光フィルタ、光分岐素子など任意のものをあげることができる。特に、本発明における光増幅素子と、該光増幅素子のコア部の出力端に接続され該コア部と同じ材料で構成されたN分岐導波路(Nは2以上の整数)を含む光分岐素子とを同一基板に一体に具える光回路は、光損失の少ない分岐素子となり得るので好ましい。
本発明における光増幅素子および発光素子は、本発明の複合材料をコア部として使用する以外は、従来公知の製法で作製できる。
また本発明の硬化性組成物を用いて、成形することで、より精度良く、効率的に回路形成が可能となる。
(1−2)封止材料
光機能性を備えた封止材料および、それらからなる光デバイスとしても使用できる。
本発明の複合材料で封止された光デバイスは、封止部分がマトリックスポリマー、特に含フッ素ポリマーに由来する優れた防湿性、耐湿性をもつため、極めて優れた防湿、耐湿信頼性を有している。また、本発明の材料は紫外から近赤外の広範囲にわたって透明性に優れており、光学用途での封止部材に特に有用である。さらに光機能性を併せもつため、通常の封止機能だけではなく、例えば、波長変換機能や光増幅機能、輝尽発光機能といった付加価値を加えることができる。
本発明における封止部材の使用形態としては、たとえば発光ダイオード(LED)、EL素子、非線形光学素子、フォトリフラクティブ素子、フォトニクス結晶などの発光素子や受光素子や波長変換素子、光分岐挿入素子、光クロスコネクト素子、モジュレーターなどの光機能素子のパッケージ(封入)、表面実装などが例示できる。また、深紫外線顕微鏡のレンズなどの光学部材用封止材(または充填材)などもあげられる。封止された光素子は種々の場所に使用されるが、非限定的な例示としては、ハイマウントストップランプやメーターパネル、携帯電話のバックライト、各種電気製品のリモートコントロール装置の光源などの発光素子;カメラのオートフォーカス、CD/DVD用光ピックアップ用受光素子などがあげられる。
(1−3)その他の光学部材
たとえば照明器具のカバー材、液晶ディスプレイのバックライト、透明意匠ケース、表示板、自動車用部品、波長変換フィルターなどに例示されるシート状発光体、ファイバレーザー、感光性インク、センサーなどとしても有用である。
ここで本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限られるものではない。
まず、本発明で使用する各種の物性およびパラメーターの測定法について、まとめて述べる。
(1)NMR
BRUKER社製のNMR測定装置を用いて測定する。
1H−NMR測定条件:300MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
19F−NMR測定条件:282MHz(トリクロロフルオロメタン:0ppm)
(2)IR分析
Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計1760Xで室温にて測定する。
(3)重量平均分子量
含フッ素ポリマー錯体の重量平均分子量はGPC分析によって行う。
含フッ素ポリマー錯体1gを100mlのビーカーに入れ、1N−塩酸50mlを注ぎ、25℃で10時間攪拌して配位結合を切る。生成したポリマーをアセトンに溶解させた後へキサンで再沈殿して試料を調製する。
得られた試料をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、東ソー(株)製のGPC HLC−8020を用い、Shodex社製のカラム(GPC KF−801を1本、GPC KF−802を1本、GPC KF−806Mを2本直列に接続)を使用し、溶媒としてテトラハイドロフラン(THF)を流速1ml/分で流して測定したデータより、重量平均分子量を算出する。
(4)熱分解温度
熱重量計((株)島津製作所のTGA-50)を用い、窒素雰囲気の条件で昇温速度10℃/minの条件で測定し、1%質量減の温度で評価する。
(5)フッ素含有率
酸素フラスコ燃焼法により試料10mgを燃焼し、分解ガスを脱イオン水20mlに吸収させ、吸収液中のフッ素イオン濃度をフッ素選択電極法(フッ素イオンメーター、オリオン社製 901型)で測定することにより求める(質量%)。
(6)発光強度の測定
蛍光分光光度計(HITACHI社製のFluorescence Spectrophotometer F−4010)を用い、各サンプルの発光スペクトルを測定し、特定波長のピーク面積を比較し相対発光強度を測定する。
(7)金属含有量の測定
電気炉を用いて、600℃で含フッ素ポリマー錯体を灰化し、灰化後の金属酸化物の量から、含フッ素ポリマー錯体中の金属含有量(質量%)を求める。この金属含有量の値を用いて、含フッ素ポリマー錯体の配合量に応じた複合材料中の金属含有量が算出される。
(8)複合材料の外観
目視で行う。
(9)複合材料中の錯体の分散性
目視で行う。基準は、○は均一分散状態、×は白濁状態である。
合成例1(COCl基を有する含フッ素アリルエーテルモノマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた1Lのガラス製四つ口フラスコに、9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノイック酸422g(1.0mol)とジメチルホルムアミド7.4g(1.0mol)の混合液を反応器に入れ、撹拌しながら80℃でSOCl2143g(1.2mol)を滴下した。その後、反応液を100℃に昇温し6時間撹拌した。蒸留器を反応器に装着し、減圧下で反応液からSOCl2を留去し、その後減圧度を上げ、9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノイック酸クロリドの粗生成物を取り出した。
この液状の粗生成物を濃硫酸で洗浄し、60mmHgで減圧蒸留し、沸点50℃で次に示す9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノイック酸クロリド:
Figure 2006321956
441g(0.91mol)を得た(収率91%)。
合成例2(COCl基を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四つ口フラスコに、合成例1で得た9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノイック酸クロリド20gとDHP:
Figure 2006321956
の8.0質量%パーフルオロヘキサン溶液5.3gを反応器に入れ、十分に窒素置換を行った後、窒素気流下、20℃で7時間撹拌を行ったところ、粘稠で透明なポリマーが生成した。
得られた固体をアセトンに溶解させたものをヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明なポリマー7.3gを得た。
このポリマーを19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなる含フッ素ポリマーであった。
合成例3(ヘキサフルオロアセチルアセトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた50mlのガラス製四つ口フラスコに、ソディウムハイドライド0.9g(21mmol)を入れ十分に窒素置換した後、ジメチルホルムアミド20mlを入れ、懸濁した。その後、反応器を氷浴により5℃に冷却した。冷却後、ヘキサフルオロアセチルアセトン4.5g(21mmol)を滴下した。
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四つ口フラスコに合成例2で得たCOCl基を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマー3.0gを入れ、十分に窒素置換した後にジメチルホルムアミド30mlに溶解させ、氷浴により5℃に冷却した。その後、カニュレーションにより、上記で調製したヘキサフルオロアセチルアセトンのジメチルホルムアミド溶液を滴下し、5時間撹拌した。
得られた反応液をヘキサンで再沈澱したところ、高粘度の固体状物が2.0g生成した。これを分離、真空乾燥させ、無色透明なポリマーを得た。
このポリマーを19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、ヘキサフルオロアセチルアセトン基を有する上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなるつぎの式(a−1)で示される含フッ素ポリマーであることを確認した。
また、GPC分析により測定した重量平均平均分子量は、25,000であった。
式(a−1):
Figure 2006321956
合成例4(ヘキサフルオロアセチルアセトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマーを配位子とするポリマー錯体の合成)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四つ口フラスコに、合成例3で得たヘキサフルオロアセチルアセトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマー(a−1)2.0gをメタノール20mlに溶解させ、撹拌しながら、酢酸ユーロピウム1.7gを水40mlに溶解させたものを滴下した。
5時間撹拌後、30分間静置し、生成した固体を沈澱させた。上澄みの水溶液をデカンテーションして除き、固体をアセトン、ヘキサンで2回洗浄した。その後、60℃で12時間真空乾燥し、白色の固体1.8gを得た。
この固体がヘキサフルオロアセチルアセトン基を有する9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノイック酸のホモポリマーとユーロピウム(Eu)との錯体(A−1)であることをIR分析によって確認した。
またフッ素含有率は59質量%であり、金属含有量は7.7質量%であった。
合成例5(エステル基を有する含フッ素アリルエーテルホモポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた200mlのガラス製フラスコに、
Figure 2006321956
20g(33mmol)およびDHPの8.0質量%パーフルオロヘキサン溶液5.6g入れ、十分に窒素置換を行った後、窒素気流下、20℃で7時間撹拌を行ったところ、粘稠なポリマーが生成した。これをアセトンに溶解させたものをヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明なポリマー15gを得た。
このポリマーを19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなる含フッ素ポリマーであった。
GPC分析により測定した重量平均分子量は32,000であった。
合成例6(ジケトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた1Lのガラス製四つ口フラスコに合成例5で得たエステル基を有する含フッ素アリルエーテルホモポリマー50g、ジエチルエーテル250ml、ナトリウムメトキシド(8.1g、0.15mol)を入れ、十分に窒素置換を行った後、窒素気流下、0℃でジエチルエーテル100mlに溶解させたC715COCH3(62g、0.15mol)を滴下した。
2時間撹拌後、1N−HCl 100mlを入れ、激しく撹拌した。ついで反応器に蒸留器を装着し、ジエチルエーテル溶液を留去したところ、高粘度の固体状物が生成した。これをアセトンに溶解させたものをヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、黄着色透明なポリマー32gを得た。
このポリマーを19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記ジケトン基を有する含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなるつぎの式(a−2)で示される含フッ素ポリマーであった。
式(a−2):
Figure 2006321956
合成例7(ジケトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマーを配位子とするポリマー錯体の合成)
撹拌装置および温度計を備えた300mlのガラス製四つ口フラスコに、合成例6で得たジケトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマー(a−2)20gをアセトン50mlに溶解し、撹拌しながら、室温で、酢酸ユーロピウム19g(50mmo)を水100mlに溶解させたものを滴下した。
7時間撹拌後、30分静置し、生成した固体を沈澱させた。上澄みの水溶液をデカンテーションして除き、固体をアセトン、ヘキサンで2回洗浄した。その後、60℃で12時間真空乾燥し、黄色がかった固体15gを得た。
この固体がジケトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマー(a−2)とユーロピウム(Eu)との錯体(A−2)であることをIR分析によって確認した。
またフッ素含有率は59質量%であり、金属含有量は9.0質量%であった。GPC分析により測定した重量平均分子量は32000であった。
合成例8(COCl基を有する含フッ素アリルエーテルモノマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた1Lのガラス製四つ口フラスコに、
Figure 2006321956
256g(1.0mol)とジメチルホルムアミド7.4g(1.0mol)の混合液を反応器に入れ、撹拌しながら80℃でSOCl2143g(1.2mol)を滴下した。その後、反応液を100℃に昇温し6時間撹拌した。蒸留器を反応器に装着し、減圧下で反応液からSOCl2を留去し、その後減圧度を上げ、粗生成物を取り出した。
この液を濃硫酸で洗浄し、式:
Figure 2006321956
で示されるCOCl基を有する含フッ素アリルエーテルモノマー200gを得た。
合成例9(COCl基を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四つ口フラスコに、合成例8で得たCOCl基を有する含フッ素アリルエーテルモノマー20gとDHPの8.0質量%パーフルオロヘキサン溶液5.3gを反応器に入れ、十分に窒素置換を行った後、窒素気流下、20℃で7時間撹拌を行ったところ、粘稠なポリマーが生成した。
得られたポリマーをアセトンに溶解させたものをヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明なポリマー7.3gを得た。
このポリマーを19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなる含フッ素ポリマーであった。
合成例10(ヘキサフルオロアセチルアセトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた500mlのガラス製四つ口フラスコに、ソディウムハイドライド9g(210mmol)を入れ十分に窒素置換した後、ジメチルホルムアミド200mlを入れ、懸濁した。その後、反応器を氷浴により5℃に冷却した。冷却後、ヘキサフルオロアセチルアセトン45g(210mmol)を滴下した。
撹拌装置および温度計を備えた1Lのガラス製四つ口フラスコに合成例9で得たCOCl基を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマー18g(70mmol)を入れ、十分に窒素置換した後にジメチルホルムアミド300mlに溶解させ、氷浴により5℃に冷却した。その後、カニュレーションにより、上記で調製したヘキサフルオロアセチルアセトンのジメチルホルムアミド溶液を滴下し、5時間撹拌した。
得られた反応液をヘキサンで再沈澱したところ、高粘度の固体状物が20g生成した。これを分離、真空乾燥させ、無色透明なポリマーを得た。
このポリマーを19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、ヘキサフルオロアセチルアセトン基を有する上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなるつぎの式(a−3)で示される含フッ素ポリマーであることを確認した。
式(a−3):
Figure 2006321956
合成例11(ヘキサフルオロアセチルアセトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマーを配位子とするポリマー錯体の合成)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四つ口フラスコに、合成例10で得たヘキサフルオロアセチルアセトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマー(a−3)2.0gをメタノール20mlに溶解させ、撹拌しながら、酢酸ユーロピウム1.7gを水40mlに溶解させたものを滴下した。
5時間撹拌後、30分間静置し、生成した固体を沈澱させた。上澄みの水溶液をデカンテーションして除き、固体をアセトン、ヘキサンで2回洗浄した。その後、60℃で12時間真空乾燥し、白色の固体1.3gを得た。
この固体がヘキサフルオロアセチルアセトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマー(a−3)とユーロピウム(Eu)との錯体(A−3)であることをIR分析によって確認した。
またフッ素含有率は55質量%であり、金属含有量は10質量%であった。GPC分析により測定した重量平均分子量は、15,000であった。
合成例12(エステル基を有する含フッ素アリルエーテルホモポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた200mlのガラス製フラスコに、
Figure 2006321956
20g(74mmol)とDHPの8.0質量%パーフロヘキサン溶液を5.6g入れ、十分に窒素置換を行った後、窒素気流下、20℃で7時間撹拌を行ったところ、粘稠なポリマーが生成した。
得られたポリマーをアセトンに溶解させたものをヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明なポリマー15gを得た。
このポリマーを19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなる含フッ素ポリマーであった。
合成例13(ジケトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えたガラス製四つ口フラスコに合成例12で得たエステル基を有する含フッ素アリルエーテルホモポリマー5、0g(19mmol)、ジエチルエーテル25ml、ナトリウムメトキシド(1.0g、19mmol)を入れ、十分に窒素置換を行った後、窒素気流下、0℃でジエチルエーテル100mlに溶解させたC715COCH3(7.8g、19mmol)を滴下した。
2時間撹拌後、1N−HCl 100mlを入れ、激しく撹拌した。その後反応器に蒸留器を装着し、ジエチルエーテル溶液を留去したところ、高粘度の固体常物が生成した。得られた固体をアセトンに溶解させたものをヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、黄着色透明なポリマー3.2gを得た。
このポリマーを19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記ジケトン基を有する含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなるつぎの式(a−4)で示される含フッ素ポリマーであった。
Figure 2006321956
合成例14(ジケトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマーを配位子とするポリマー錯体の合成)
撹拌装置および温度計を備えた300mlのガラス製四つ口フラスコに、合成例13で得られたジケトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマー(a−4)2.0gをアセトン10mlに溶解し、撹拌しながら、室温で、酢酸ユーロピウム1.9g(5mmol)を水100mlに溶解させたものを滴下した。
7時間撹拌後、30分間静置し、生成した固体を沈澱させた。上澄みの水溶液をデカンテーションして除き、固体をアセトン、ヘキサンで2回洗浄した。その後、60℃で12時間真空乾燥し、黄色がかった固体1.5gを得た。
この固体がジケトン基を有する含フッ素アリルエーテルポリマー(a−4)とユーロピウム(Eu)との錯体(A−4)であることをIR分析によって確認した。
またフッ素含有率は54質量%であり、金属含有量は13質量%であった。GPC分析により測定した重量平均分子量は53,000であった。
合成例15(側鎖にエポキシ基を有するアリルエーテルポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた500mlのガラス製四つ口フラスコに、
Figure 2006321956
200g(0.43mol)とDHPの8.0質量%パーフルオロヘキサン溶液19g(2mol)を反応器に入れ、十分に窒素置換を行った後、窒素気流下、20℃で7時間撹拌を行ったところ、高粘度の固体状物が生成した。これをアセトンに溶解させたものをヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明なポリマー160gを得た。
このポリマーを19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記エポキシ基を有する含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなるエポキシ基含有含フッ素ポリマー(B−3)であった。
またフッ素含有率は27質量%であり、GPC分析により測定した重量平均分子量は33,000であった。
比較合成例1(EuHFA錯体の合成)
1Lのガラス製フラスコに、酢酸ユーロピウム4水和物の100g(250mmol)、ヘキサフルオロアセチルアセトン(HFA)の150g(1mol)および純水500mlを投入し、25℃で3日間撹拌した。
ついで、析出した固形物をろ過により取り出し、固形物を水洗後、水−メタノール混合溶媒で再結晶したところ、白色の固体が得られた(収率60%)。
この結晶をIR、1H−NMRおよび19F−NMR分析し、目的の錯体、Eu(CF3COCHCOCF3)であることを確認した。
また、得られた白色結晶はTg−DTA測定により2水和物であることが推測された。
実施例1
水添ビスフェノール型エポキシ(ジャパンエポキシレジン(株)製のYX−8000。フッ素含有率0質量%。B−1)6.5gとへキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物3.5gを混合し、これに合成例4で得た含フッ素ポリマー錯体(A−1)の粉末(数平均粒子径3μm)10mgを分散させた。
この混合液をシャーレにキャストし、電気炉を用いて120℃で9時間加熱して硬化させ、本発明の複合材料を得た。
この複合材料の熱分解温度は270℃であり、金属含有量は7.7×10-3質量%であった。さらに外観は白濁していたが、錯体粒子の分散性は○であった。
硬化後、蛍光光度計(励起光:350nm、観測波長:615nm)を用いて発光強度を測定し、硬化した複合材料の発光強度を1とした。
その後、再び電気炉を用い120℃で15時間後、40時間後および110時間加熱した後の発光強度を同様に測定した。加熱後の複合材料の発光強度を指数として表1に示す。
実施例2
合成例4で得た含フッ素ポリマー錯体(A−1)の粉末の配合量を100mgとした以外は実施例1と同様にして混合液を調製し、加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例1と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表1に示す。
実施例3
合成例4で得た含フッ素ポリマー錯体(A−1)の粉末の配合量を1gとした以外は実施例1と同様にして混合液を調製し、加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例1と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表1に示す。
実施例4
含フッ素水添エポキシ(フッ素含有率22質量%。B−2):
Figure 2006321956
5.3gとヘキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物1.7gを混合し、合成例4で得られた含フッ素ポリマー錯体(A−1)100mgを分散させて混合液を調製し、実施例1と同様にして加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例1と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表1に示す。
実施例5
合成例15で得た側鎖にエポキシ基を有するアリルエーテルポリマー(B−3。フッ素含有率27質量%)5.9gとヘキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物2.1gを混合し、合成例4で得られた含フッ素ポリマー錯体(A−1)100mgを分散させて混合液を調製し、実施例1と同様にして加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例1と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表1に示す。
Figure 2006321956
実施例6
水添ビスフェノール型エポキシ(B−1)6.5gとへキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物3.5gを混合し、これに合成例7で得た含フッ素ポリマー錯体(A−2)の粉末(数平均粒子径5μm)10mgを分散させた。
この混合液をシャーレにキャストし、電気炉を用いて120℃で9時間加熱して硬化させ、本発明の複合材料を得た。
この複合材料の熱分解温度は270℃であり、金属含有量は1.0×10-2質量%であった。さらに外観は白濁していたが、錯体粒子の分散性は○であった。
硬化後、蛍光光度計(励起光:350nm、観測波長:615nm)を用いて発光強度を測定し、硬化した複合材料の発光強度を1とした。
その後、再び電気炉を用い120℃で15時間後、40時間後および110時間加熱した後の発光強度を同様に測定した。加熱後の複合材料の発光強度を指数として表2に示す。
実施例7
合成例7で得た含フッ素ポリマー錯体(A−2)の粉末の配合量を100mgとした以外は実施例6と同様にして混合液を調製し、加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例6と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表2に示す。
実施例8
合成例7で得た含フッ素ポリマー錯体(A−2)の粉末の配合量を1gとした以外は実施例6と同様にして混合液を調製し、加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例6と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表2に示す。
実施例9
含フッ素水添エポキシ(B−2)5.3gとヘキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物1.7gを混合し、合成例7で得られた含フッ素ポリマー錯体(A−2)100mgを分散させて混合液を調製し、実施例6と同様にして加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例6と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表2に示す。
実施例10
合成例15で得た側鎖にエポキシ基を有するアリルエーテルポリマー(B−3)5.9gとヘキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物2.1gを混合し、合成例7で得られた含フッ素ポリマー錯体(A−2)100mgを分散させて混合液を調製し、実施例6と同様にして加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例6と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表2に示す。
Figure 2006321956
実施例11
水添ビスフェノール型エポキシ(B−1)6.5gとへキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物3.5gを混合し、これに合成例11で得た含フッ素ポリマー錯体(A−3)の粉末(数平均粒子径5μm)10mgを分散させた。
この混合液をシャーレにキャストし、電気炉を用いて120℃で9時間加熱して硬化させ、本発明の複合材料を得た。
この複合材料の熱分解温度は270℃であり、金属含有量は8.9×10-3質量%であった。さらに外観は白濁していたが、錯体粒子の分散性は○であった。
硬化後、蛍光光度計(励起光:350nm、観測波長:615nm)を用いて発光強度を測定し、硬化した複合材料の発光強度を1とした。
その後、再び電気炉を用い120℃で15時間後、40時間後および110時間加熱した後の発光強度を同様に測定した。加熱後の複合材料の発光強度を指数として表3に示す。
実施例12
合成例11で得た含フッ素ポリマー錯体(A−3)の粉末の配合量を100mgとした以外は実施例11と同様にして混合液を調製し、加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例11と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表3に示す。
実施例13
合成例11で得た含フッ素ポリマー錯体(A−3)の粉末の配合量を1gとした以外は実施例11と同様にして混合液を調製し、加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例11と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表3に示す。
実施例14
含フッ素水添エポキシ(B−2)5.3gとヘキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物1.7gを混合し、合成例11で得られた含フッ素ポリマー錯体(A−3)100mgを分散させて混合液を調製し、実施例11と同様にして加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例11と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表3に示す。
実施例15
合成例15で得た側鎖にエポキシ基を有するアリルエーテルポリマー(B−3)5.9gとヘキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物2.1gを混合し、合成例11で得られた含フッ素ポリマー錯体(A−3)100mgを分散させて混合液を調製し、実施例11と同様にして加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例11と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表3に示す。
Figure 2006321956
実施例16
水添ビスフェノール型エポキシ(B−1)6.5gとへキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物3.5gを混合し、これに合成例14で得た含フッ素ポリマー錯体(A−4)の粉末(数平均粒子径4μm)10mgを分散させた。
この混合液をシャーレにキャストし、電気炉を用いて120℃で9時間加熱して硬化させ、本発明の複合材料を得た。
この複合材料の熱分解温度は270℃であり、金属含有量は1.3×10-2質量%であった。さらに外観は白濁していたが、錯体粒子の分散性は○であった。
硬化後、蛍光光度計(励起光:350nm、観測波長:615nm)を用いて発光強度を測定し、硬化した複合材料の発光強度を1とした。
その後、再び電気炉を用い120℃で15時間後、40時間後および110時間加熱した後の発光強度を同様に測定した。加熱後の複合材料の発光強度を指数として表4に示す。
実施例17
合成例14で得た含フッ素ポリマー錯体(A−4)の粉末の配合量を100mgとした以外は実施例16と同様にして混合液を調製し、加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例16と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表4に示す。
実施例18
合成例14で得た含フッ素ポリマー錯体(A−4)の粉末の配合量を1gとした以外は実施例16と同様にして混合液を調製し、加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例16と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表4に示す。
実施例19
含フッ素水添エポキシ(B−2)5.3gとヘキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物1.7gを混合し、合成例14で得られた含フッ素ポリマー錯体(A−4)100mgを分散させて混合液を調製し、実施例16と同様にして加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例16と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表4に示す。
実施例20
合成例15で得た側鎖にエポキシ基を有するアリルエーテルポリマー(B−3)5.9gとヘキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物2.1gを混合し、合成例14で得られた含フッ素ポリマー錯体(A−4)100mgを分散させて混合液を調製し、実施例16と同様にして加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、実施例16と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表4に示す。
Figure 2006321956
比較例1
水添ビスフェノール型エポキシ(B−1)6.5gとへキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物3.5gを混合し、これに比較合成例1で得たユーロピウム錯体10mgを分散させた。
この混合液をシャーレにキャストし、電気炉を用いて120℃で9時間加熱して硬化させ、比較用の複合材料を得た。
この複合材料の熱分解温度は270℃であり、金属含有量は1.9×10-2質量%であった。さらに外観は透明であり、錯体粒子の分散性は○であった。
硬化後、蛍光光度計(励起光:350nm、観測波長:615nm)を用いて発光強度を測定し、硬化した複合材料の発光強度を1とした。
その後、再び電気炉を用い120℃で15時間後、40時間後および110時間加熱した後の発光強度を同様に測定した。加熱後の複合材料の発光強度を指数として表5に示す。
比較例2
比較合成例1で得たユーロピウム錯体の配合量を100mgとした以外は比較例1と同様にして混合液を調製し、加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、比較例1と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表5に示す。
比較例3
比較合成例1で得たユーロピウム錯体の配合量を1gとした以外は比較例1と同様にして混合液を調製し、加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、比較例1と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表5に示す。
比較例4
含フッ素水添エポキシ(B−2)5.3gとヘキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物1.7gを混合し、比較合成例1で得たユーロピウム錯体100mgを分散させて混合液を調製し、比較例1と同様にして加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、比較例1と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表5に示す。
比較例5
合成例15で得た側鎖にエポキシ基を有するアリルエーテルポリマー(B−3)5.9gとヘキサハイドロ−4−メチルフタル酸無水物2.1gを混合し、比較合成例1で得たユーロピウム錯体100mgを分散させて混合液を調製し、比較例1と同様にして加熱硬化させて複合材料を得た。
得られた複合材料について、比較例1と同様にして熱分解温度、金属含有量、外観、分散性および発光強度を調べた。結果を表5に示す。
Figure 2006321956

Claims (10)

  1. 金属に含フッ素ポリマー配位子が配位されてなる含フッ素ポリマー錯体(A)と、マトリックスポリマー(B)とからなる複合材料。
  2. マトリックスポリマー(B)が、エポキシ系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、フッ素系ポリマーまたはこれらの混合物である請求項1記載の複合材料。
  3. 前記含フッ素ポリマー錯体(A)が粉体である請求項1または2記載の複合材料。
  4. 前記金属が、周期律表の2〜13族および希土類金属よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属である請求項1〜3のいずれかに記載の複合材料。
  5. 前記含フッ素ポリマー錯体(A)が、マトリックスポリマー(B)中に分散されている請求項1〜4のいずれかに記載の複合材料。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の複合材料からなる成形品。
  7. フィルムである請求項6記載の成形品。
  8. 請求項6または7記載の成形品からなる光学部材。
  9. 金属に含フッ素ポリマー配位子が配位されてなる含フッ素ポリマー錯体(A)と、重合性モノマー(C)とからなる硬化性組成物。
  10. 重合性モノマー(C)が、エポキシ系ポリマーを与える重合性モノマー、シリコーン系ポリマーを与える重合性モノマー、ウレタン系ポリマーを与える重合性モノマー、アクリル系ポリマーを与える重合性モノマーまたはフッ素系ポリマーを与える重合性モノマーである請求項9記載の硬化性組成物。
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