JP2006321743A - 睡眠改善剤 - Google Patents

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茂 奥山
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Abstract

【課題】ヒスタミンH1受容体拮抗物の睡眠改善作用を十分に発揮させ副作用を軽減させた薬剤を提供すること。
【解決手段】 ヒスタミンH1受容体拮抗物質(ジフェンヒドラミン、アザタディン、ブロムフェニラミン、セティラジン、クロフェニラミン、クレマスティン、シプロヘプタディン、デスロラタディン、デクスクロフェニラミン、ディメンヒドリネイト、ドキシラミン、フェクソフェナディン、ヒドロキシジン、ロラタディン、フェニンダミン及びそれらの酸付加塩からなる群から選ばれる少なくとも1種)及びビタミンB12類(シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン及びメコバラミンからなる群から選ばれる少なくとも1種)を配合することを特徴とする睡眠改善薬。
本発明の睡眠改善薬は、入眠障害、熟眠障害、中途覚醒又は早期覚醒の治療又は予防剤として有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は、入眠障害、熟眠障害、中途覚醒又は早期覚醒の治療又は予防に有効な睡眠改善薬に関する。
不眠の悩みを抱える現代人のための新しい薬剤として、睡眠改善薬としてヒスタミンH1受容体拮抗物質であるジフェンヒラミンが、日本、アメリカ、イギリス、ドイツなどで広く使用されている。ジフェンヒラミンなどのヒスタミンH1受容体拮抗物質は傾眠を誘発することから、催眠剤としても用いられており、主にジェフェンヒラミンが、睡眠改善薬として販売されている。ジェフェンヒラミンの睡眠改善薬としての推奨量では一般に無効で、一部の高感受性の人には効果のあることもあり、また穏やかな抗不安作用があることから、弱い抗不安薬としても用いられている(非特許文献1)。すなわち、ジェフェンヒドラミン単独では十分な睡眠改善効果が期待できないことが示唆されている。
ジェフェンヒドラミンは、副作用として鎮静作用、めまい、耳鳴り、倦怠感、協調運動不能、疲労、かすみ目、複視、多幸感、神経質、不眠症及び震顫などがあり、次に高頻度で出現する副作用としては消化管に対する作用で、食欲不振、悪心、嘔吐、上腹部痛、便秘もしくは下痢などがある。また口腔と気道の渇きがあり、時として、咳、尿貯留、もしくは頻尿、排尿障害を起す(非特許文献2)。従って、ヒスタミンH1受容体拮抗物質は必ずしも安全な薬剤ではない。副作用を回避するためには服用用量を少なく工夫が必要である。
ビタミンB12類は末梢神経障害治療薬として臨床で広く使用されている。一方、ビタミンB12類は光刺激に対する感受性を増加させる作用や、睡眠リズムを整える作用などがあると報告されているが(非特許文献3)、睡眠導入作用については報告がない。
Faingold,C.L. : Hnadbuch der Experimentellen Pharmacologie, Vol. 18,Pt.2. Springer-Verlag, Berlin, 1978,pp.561-573 Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics Tenth Edition pp.645-667, 2001 Sleep Med. Rev.,2002,Feb;6(1),45-54
このような状況で、本発明の目的は、ヒスタミンH1受容体拮抗物の睡眠改善作用を十分に発揮させ副作用を軽減させた薬剤を提供することである。
本発明者は前記課題を解決するために鋭意検討した結果、睡眠・鎮静作用の薬効成分としてヒスタミンH1受容体拮抗物質を用い、末性神経障害治療薬であるビタミンB12類を用いた配合組成物を用いることにより、ヒスタミンH1受容体拮抗物質単独投与群と比較して、睡眠導入時間を短縮させ、睡眠持続時間を延長させるこができた。すなわち、ヒスタミンH1受容体拮抗物質の睡眠導入作用及び睡眠時間延長作用の有効用量はビタミンB12類を配合することにより劇的に減らすことができた。また、安全性を評価するため、致死率を指標とした場合、ヒスタミンH1受容体拮抗物質による致死率はビタミンB12類を配合することにより劇的に減らすことができた。すなわち、ヒスタミンH1受容体拮抗物質とビタミンB12類を配合することにより睡眠改善作用の有効量を減少させること、及び毒性の軽減に成功し、本発明を完成するに至った。
かかる知見に基づき完成した本発明は、ヒスタミンH1受容体拮抗物質及びビタミンB12類を配合することを特徴とする睡眠改善薬である。
本発明において、ヒスタミンH1受容体拮抗物質1重量部に対し0.0001〜1重量部のビタミンB12類を配合することが好ましい。この範囲を外れるときは、所期の睡眠改善の相乗効果は奏し難くなる。
本発明におけるヒスタミンH1受容体拮抗物質とは、ジフェンヒドラミン(Diphenhydramine)、アザタディン(Azatadine)、ブロムフェニラミン(Brompheniramine)、セティラジン(Cetirizine)、クロルフェニラミン(Chlorpheniramine)、クレマスティン(Clemastine)、シプロヘプタディン(Cyproheptadine)、デスロラタディン(Desloratadine)、デクスクロフェニラミン(Dexchlorpheniramine)、ディメンヒドリネイト(Dimenhydrinate)、ドキシラミン(Doxylamine)、フェクソフェナディン(Fexofenadine)、ヒドロキシジン(Hydroxyzine)、ロラタディン(Loratadine)、フェニンダミン(Phenindamine)又はそれらの酸付加塩である。また、ビタミンB12類はシアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン又はメコバラミンである。これらのヒスタミンH1受容体拮抗物質及びビタミンB12類はそれぞれ1種又は2種以上を適宜配合することができる。
本発明の睡眠改善薬においては、必要に応じて、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6等)又はそれらの塩類若しくは誘導体、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE又はそれらの塩類若しくは誘導体、カルシウム、マグネシウム又はそれらの塩類、ならびに還元型グルタチオン又は酸化型グルタチオンを補助薬剤として適宜配合することができる。配合量はヒスタミンH1受容体拮抗物質1重量部に対して、ビタミンB1、それらの塩類及び誘導体は0.001〜5重量部が好ましく、ビタミンB2、それらの塩類及び誘導体は0.005〜3重量部が好ましく,ビタミンB3、それらの塩類及び誘導体は0.01〜5重量部が好ましく、ビタミンB6、それらの塩類及び誘導体は0.01〜2重量部が好ましく、ビタミンC、それらの塩類又は誘導体は0.01〜1000重量部が好ましく、ビタミンD、それらの塩類及び誘導体は0.0001〜10重量部が好ましく、ビタミンE、それらの塩類及び誘導体は0.01〜100重量部が好ましく、カルシウム又はそれらの塩類は0.01〜100重量部が好ましく、マグネシウム及びそれらの塩類は0.01〜1000重量部が好ましく、還元型グルタチオン及び酸化型グルタチオンは0.01〜100重量部が好ましい。
本発明の配合睡眠改善薬は、主として経口的に投与することができる。その投与剤型は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、トローチ剤、内服液剤等であり、いずれも慣用の製剤技術(例えば、第14改正日本薬局方に規定する方法等)によって製造することができる。必要に応じて賦形剤、滑沢剤、内服液剤の場合には界面活性剤、溶解補助剤、緩衝剤等を使用することができる。また、その他保存剤、香料、色素、甘味剤、着色剤等を使用することができる。
投与量は、通常成人に対しで、1日当たり、有効成分として1〜1000mgを、入眠前に1回ないし数回に分けて経口投与することができる。この投与量は患者の年齢、体重、症状により適宜増減することができる。
ビタミンB12類とヒスタミンH1受容体拮抗物質との配合組成物を用いることにより、ヒスタミンH1受容体拮抗物質単独による睡眠導入時間を短縮させ、睡眠持続時間を延長させることができた。また、ヒスタミンH1受容体拮抗物質の致死率はビタミンB12類を配合することにより軽減させることに成功した。
以下、試験例を挙げて本発明を詳細に説明する。
試験例1[マウス睡眠増強作用]
試験方法
7週齢ICR系雄性マウス体重23〜28gを1群7から10匹用いた。薬物経口投与60分後にペントバルビタールナトリウム35mg/kgを腹腔内内投与し、正向反射消失までの時間(睡眠導入時間)及び正向反射消失持続時間(睡眠持続時間)を測定した。ジフェンヒドラミン塩酸塩及びメコバラミンは生理食塩水に溶解した。薬物はすべて動物の体重10gあたり0.1mlを投与した。試験群は以下の通りである。
結果を表1に示した。
第1群 溶媒投与群
第2群 ジフェンヒドラミン10mg/kg経口投与群
第3群 ジフェンヒドラミン10mg/kg経口投与 + メコバラミン0.01mg/kg経口投与群
第4群 ジフェンヒドラミン10mg/kg経口投与 + メコバラミン0.1mg/kg経口投与群
第5群 ジフェンヒドラミン10mg/kg経口投与 + メコバラミン1mg/kg経口投与群
Figure 2006321743
ジフェンヒドラミン10mg/kg経口投与単独ではペントバルビタールナトリウムによる睡眠持続時間(正向反射消失持続時間)睡眠を僅かに(9%)延長させたが、睡眠導入時間(正向反射消失までの時間)には影響を及ぼさなかった。しかしながら、メコバラミン0.01、0.1及び1mg/kg経口投与を併用するとペントバルビタールナトリウム誘発睡眠の睡眠導入時間(正向反射消失までの時間)を32%〜47%短縮させた。
また、ペントバルビタールナトリウムによる睡眠持続時間(正向反射消失持続時間)はジフェンヒドラミン単独群と比較して、メコバラミン0.01、0.1及び1mg/kg経口投与を併用すると18%〜37%延長した。従って、ジフェンヒドラミンにメコバラミンを併用すると、入眠時間の短縮及び睡眠時間の延長が認められた。
試験例2[急性毒性]
7週齢ICR系雄性マウス体重23〜28gを1群10匹用いた。薬物を経口投与し、7日後までの死亡数を測定した。ジフェンヒドラミン塩酸塩及びメコバラミンは生理食塩水に溶解した。薬物はすべて動物の体重10gあたり0.1mlを投与した。試験群は以下のとおりである。
結果を表2に示した。
第1群 溶媒投与群
第2群 ジフェンヒドラミン200mg/kg経口投与群
第3群 ジフェンヒドラミン200mg/kg経口投与 + メコバラミン0.2mg/kg経口投与群
第4群 ジフェンヒドラミン200mg/kg経口投与 + メコバラミン2mg/kg経口投与群
第5群 ジフェンヒドラミン200mg/kg経口投与 + メコバラミン20mg/kg経口投与群
Figure 2006321743
経口投与されたジフェンヒトラミンのマウス急性毒性のLD50値は164mg/kgであることが報告されている(Gruhzit,OM. et al. J.Pharmacol. Exp.Ther., 89, 227, 1947)。
従って、今回LD50値以上の200mg/kgを用いて検討した。ジフェンヒトラミン200mg/kg経口投与により、全例のマウスが死亡したが、メコバラミンを0.2、2及び20mg/kgを併用経口投与すると、死亡数は低下した。すなわち、メコバラミンの併用により、ジフェンヒドラミンの急性毒性は拮抗された。
本発明により、ヒスタミンH1受容体拮抗物の睡眠改善作用を十分に発揮させ副作用を軽減させた薬剤を提供することが可能となった。

Claims (4)

  1. ヒスタミンH1受容体拮抗物質及びビタミンB12類を配合することを特徴とする睡眠改善薬。
  2. ヒスタミンH1受容体拮抗物質1重量部に対し0.0001〜1重量部のビタミンB12類を配合することを特徴とする請求項1に記載の睡眠改善薬。
  3. ヒスタミンH1受容体拮抗物質が、ジフェンヒドラミン、アザタディン、ブロムフェニラミン、セティラジン、クロルフェニラミン、クレマスティン、シプロヘプタディン、デスロラタディン、デクスクロフェニラミン、ディメンヒドリネイト、ドキシラミン、フェクソフェナディン、ヒドロキシジン、ロラタディン、フェニンダミン及びそれらの酸付加塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、ビタミンB12類がシアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン及びメコバラミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の睡眠改善薬。
  4. 入眠障害、熟眠障害、中途覚醒又は早期覚醒の治療又は予防剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の睡眠改善薬。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009136176A1 (en) * 2008-05-08 2009-11-12 E-Therapeutics Plc Compositions and methods for the treatment of fibromyalgia

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