JP2006320750A - 密閉式外科用アクセス装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外科用アクセス装置は、内表面と外表面とを有する患者の体壁内の切開部を通って患者の体腔内へのアクセスを容易にする。
【解決手段】それぞれ体壁の外表面と内表面に近接して配置されるように適合された第1と第2の保持部材55,65とを含む。2つの保持部材の間に伸びる薄膜75は、切開部を貫通して伸びるように適合された咽喉部を形成し、第1の保持部材か55ら咽喉部へと伸びる第1の漏斗状部と、第2の保持部材65から咽喉部へと伸びる第2の漏斗状部とを形成する。薄膜の咽喉部は、器具が存在する時には、器具密閉を形成し、器具が存在しない時には、ゼロ密閉を形成するような特性を有する。第1の保持部材75は、固定された又は可変的な直径を有するリング66を含むことができる。リング66は、それぞれ2つの端部を有する第1と第2の部分76,86で形成されることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、一般に外科用アクセス装置に関し、更に詳細には、体壁にわたって体腔内への密閉器具アクセスを可能にする、侵襲性を最小限に抑えて外科手術で使用するようになったアクセス装置に関する。
(関連出願との相互参照)
本出願は、2000年10月19日付米国特許仮出願第60/241,953号「Hand−Assisted Laparoscopy Apparatus and Method」、並びに2001年9月21日付PCT出願番号PCT/US01/29682号「Surgical Access Apparatus and Method」に優先権を主張する非仮出願であり、これら両出願は、引用により本明細書に組み込まれる。
腹腔のような体腔への外科アクセスは、「開放式開腹術」又は「閉鎖式腹腔鏡術」と呼ばれている。開放式開腹術では、外科医が外科手術部位内に手及び器具を配置できる十分なサイズの切開部を必要とする。更にその部位は、外科医が処置していることを明瞭に視認できるように、十分に開かれている必要がある。複数の開腹器、鉗子、及びスポンジが必要とされることが多い。これらの装置は全て、外科手術部位内のスペースを求めて競合する。
腹腔鏡法又は閉鎖式外科手術法は、開放式開腹術にまつわる問題の多くを排除する。典型的な加圧腹腔鏡法においては、腹壁に穴が開けられて、少なくとも1つのトロカールが腹膜内に挿入される。腹腔内にガスが導入されて、腹壁を内臓から持ち上げる。その結果、大きな、遮るものがない手術領域が得られる。様々な施術の必要に応じて、追加的なトロカールを挿入することができる。外科手術部位の視認性を提供するために、腹腔鏡が使用される。近年、腹腔鏡法のための器具が数多く開発されてきており、外科医は、外科手術の様々な局面に対して快適な「遠隔操作」方法が可能になった。切開、解剖、焼灼、ステープル留め(stapling)、及び縫合の全てが、腹腔鏡装置の製造業者により対処されてきた。
腹腔鏡外科手術法には多くの利点があるが、この腹腔鏡検査法を困難にし、又は危険にする幾つかの複雑な処置が依然として存在する。これらの特定の場合においては、混成的な処置を行なうことが最も合理的である。腹腔鏡法における視認性及び開かれた施術域と、開放式手術法の制御性とを有する場合には、全てが望ましいものとなる。しかしながら、これら2つの様相は、互いに妨げる傾向にある。実際、開放式手術法が履行できないものとされた場合には、腹腔鏡法の進歩が無駄になると論じる者もいる。
近年、進取的な数人の外科医が、彼らが「ハンドアシスト」腹腔鏡法又は「ハンドスコピー」と呼ぶ方法を発展させてきた。この方法には、腹腔鏡で視認しながら、拡げられた切開部を通して患者の体内に外科医の一方の手を入れることが含まれる。閉鎖式腹腔鏡法において通常使用される、突出した器具を用いることなく、過度に難しい操作を行なう必要もない。
今やこの手術法において外科医が直面する課題は、拡げた切開部を十分に密閉する手段を提供することである。外科医の手は、快適且つ適正に配置され、動作の適正範囲内で自由に動かせるようにする必要がある。更に、気腹を失うことなく、外科医が腹腔内に手を出し入れできるようにすべきである。
「ハンドスコピー施術者」の要求を満たすことを試みて、これまでに幾つかの装置が提案されてきた。一般に、これらは切開部に密着する弾性密閉を含み、腹壁の片側又は両側の保持手段により定位置に保持される。これらの装置は、概ね複雑であり、配置するための幾つかの段階を要する。これらの装置の1つは、密閉が皮膚に接着するように、腹壁の外表面(皮膚)に接着剤を塗布する必要がある。これは、接着剤の塗布だけではなく、乾燥させる時間も必要とする。この製品を使用する場合には、アレルギー反応及び他の複雑な問題も考慮に入れなくてはならない。別の装置は、これを設置して切開部を密閉するために膨張させる「環体バルーン」を利用する。外科医は、外科手術部位に手を出し入れする際に、この装置の密閉圧力及び摩擦の問題を克服しなければならない。更に別の装置では、内蔵式の手袋又はスリーブを使用する。この構成は、手の移動範囲を狭め、且つ手の触感を損なう。
米国特許第5,848,992号は、開放式開腹術を腹腔鏡法に転換することを可能にする外科用アクセス装置を開示している。更にこの米国特許は、大きな内臓器官を摘出する場合における、このような装置の使用法についても開示している。この場合には、十分なサイズの切開部が最初に形成され、トロカールの挿入と同時に、該切開部がこの装置で密閉される。
これらの装置が提案されてきたにもかかわらず、人間の手を挿入するのに十分なサイズの切開部内に、可撓性の、単純且つ完全な密閉を提供する外科用アクセス装置に対する継続的な必要性が依然として存在している。
本発明は、外科医の手を含む、外科器具で使用するための外科用アクセス装置に関する要求を満たすものである。このアクセス装置を用いることにより、「ハンドアシスト」腹腔鏡法が、閉鎖された外科手術環境内で非常に容易となる。
本発明は、可撓性の潤滑性のある材料によって連結された、内側保持部材と外側保持部材とを利用する。該保持部材の少なくとも1つに張力を加えることができるようにして、切開部位に対する十分な安定性を提供する。
また、本発明は、注入ガスが漏気することなく、最大限の範囲の手の移動を可能にする密閉を提供する。この密閉は、天然ラテックス、ポリイソプレン、ニトリル、ビニール、又はポリウレタンのような手袋材料の存在によく対応する材料で形成される。
本発明の一態様において、外科用アクセス装置は、内表面と外表面とを有する患者の体壁内の切開部を通って患者の体腔内へのアクセスを容易にするためのものである。この装置は、体壁の外表面に近接して切開部を取り囲む形状にされた第1の保持部材を含む。第2の保持部材は、体壁内の内表面に近接して切開部を取り囲む形状にされる。第1の保持部材と第2の保持部材との間で延びる薄膜は、切開部を貫通して配置するようになった咽喉部を形成する。第1の漏斗状部が、第1の保持部材から咽喉部へと延び、第2の漏斗状部が、第2の保持部材から咽喉部へと延びる。薄膜の咽喉部は、器具が存在する時には器具密閉を形成し、器具が存在しない時にはゼロ密閉を形成するような特性を有する。
本発明の別の態様において、第1の保持部材は、第1の端部と第2の端部とを備えた第1の部分と、第1の保持部材の第1の端部に対して移動可能な第3の端部と第1の保持部材の第2の端部に対して移動可能な第4の端部とを備えた第2の部分と、を有するリングを含む。第1の保持部材の第1の端部と第2の保持部材の第3の端部との間には、連結部材が配置される。この連結部材は、薄膜により形成される作業通路の形状を制御するために、第1の端部と第3の端部とを分離する距離を変えるように作動可能である。第1の保持部材の第2の端部と第2の保持部材の第4の端部との間には、第2の連結部材又はヒンジを設けることができる。
本発明の更に別の態様において、第1の保持部材は、薄膜で形成された作業通路の形状を制御するために可変的な形状を有する。第1の保持部材は、環体のような膨張可能な構造として形成されることができる。第1の保持部材は、円周方向スプリングのための自己膨張性の発泡体を含むことができる。
本発明の更に別の態様においては、外科用アクセス装置は、それぞれが装置の軸線を通る平面内で延びる複数の膨張可能なチャンバを含むことができる。これらのチャンバは、全体として体壁を横断して配置するようになった作業通路を形成する。チャンバは、直線的形状でも、あるいはU字形の形状であってもよい。
本発明の別の態様において、この装置は、複数の保持部を備えたリングを含む第1の保持部材を含む。薄膜は複数の係留体に取り付けられ、これらの係留体は、薄膜に所望の形状を与えるために、関連する1つの保持部でリングに結合されることができる。
本発明の更に別の態様において、体壁に関連する任意の動きに対してほぼ独立したアクセス装置を支持するための安定台が提案される。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、関連する図面を参照しながら、好ましい実施形態の以下の説明から一層明らかになるであろう。
図1には、患者10が腹臥又は仰臥位で示されている。患者10は、腹壁18によって定められる体腔又は腹腔16を含む腹部12を有する。腹腔16に対し外科的にアクセス可能とするために、複数のトロカール20、21、及び22が配置されている。トロカール20、21、22に挿入して使用するための様々な器具23、24、25が示されている。
図2には、「ハンドアシスト」腹腔鏡検査法が示されている。患者10は仰臥しており、腹腔16は膨張させてある。トロカール20、21、及び22に加えて、外科切開部100に対する追加的な外科用アクセス装置50が配置されている。このアクセス装置50は、これを通して外科医の手160を患者10の腹腔16内に入れる際に、外科医の手を受け入れるようになっている。外科医は、挿入した手160を使用して、腹腔鏡において通常使用される器具で行なうには困難であり過ぎるか、或いは安全でない仕事を行なうことができる。腹腔16において膨張され加圧された腹部が萎まないように、アクセス装置50は、気密密閉を形成している。また、アクセス装置50は、大きな、汚染された試料あるいは病気に冒された器官又は組織も収容することができる。更に、トロカールにとっては、その他の方法では大き過ぎる器具又は道具を、アクセス装置50を介して導入し、その後でトロカール20、21、22を介して操作される装置ドライバに取り付けることができる。トロカールを介して導入される試料袋は、一杯になった場合には、アクセス装置50を介して取り出すことができる。
アクセス装置50は、外科切開部100を貫通させて配置され(図3)、第1の保持部材又はリテーナ55により外腹壁17に対して保持され、第2の保持部材又はリテーナ65により内腹壁18に対して保持される。外側の第1のリテーナ55は、第1の端部76において気密スリーブ又は薄膜75を支持する。内側の第2のリテーナ65は、第2の反対の端部86において気密スリーブ又は薄膜75を支持する。2つの対向する端部76及び86は、切開部100を通過する連通面77を維持する。外科用アクセス装置50の材料は、切開部100を形成する切開組織に対して耐久的且つ不透過的な表面を提供する。
特に図4、5、6を参照すると、アクセス装置50の好ましい実施形態は、第1の端部51と、第2の端部52と、連通する中央部分53とを有する。好ましい実施形態において、第1の端部51は、体腔16の外側に在って、拡大された調節自在部分55を含む。この第1の端部の部分55の正確な形状は、円形、卵形、長方形、正方形、三角形などとすることができる。スリーブ又は薄膜75の表面77が、適切に伸張又はテンションが加わるように、第1の端部の部分55は、面積を調節可能であるようなサイズにされ及び形状にされる。
アクセス装置50の好ましい実施形態は、開放状態に付勢された重ね板バネ56を採用している。板バネ56の対向する端部57、58が離れて拡がると、スリーブ/薄膜75に適切な張力が加わる。この印加された張力は、連通中央部分53を介して加わる引き力を引き起こす。この力は、アクセス装置50の第2の、内側の、又は遠位端部52を腹壁18の内表面に近づける。
第2の保持部分65は、折り曲げて外形を小さくした形で外科切開部100内に挿入できる、可撓性物質で作るのが好ましい。第2の保持部分65は、自己展開する部材であるか、又は少なくとも好ましいやや円形状ないしは所定の形状又は状態へと自然に復元するだけの十分な形状記憶を有するのが好ましい。そのような構成の材料の選択肢には、可撓性のビニール、ゴム、シリコン、又は他のエラストマーを含むことができる。また、このような材料には、剛性プラスチック、或いはヒンジ又は可撓性部分を備えた金属のような剛性の材料も含まれる。
更に、第1の保持部材55又は第2の保持部材65のいずれの構造も、それぞれニッケル−チタン(NiTinol)のような形状記憶金属が取り付けられた、もしくはこのような形状記憶金属を含むように成形された弾性要素の使用を含むことができる。どのような場合においても、第2の保持部材65は、可能な限り小さな外科切開部100内に容易に導入できる状態又は形状に容易に変形可能である。第2の保持部材65は、外科手術が活発に行なわれている厳しい期間中、壞死又は剥離などの組織損傷を引き起こすことなくアクセス装置50を定位置に保持するようなサイズ及び構造にされなくてはならないという点に留意する必要がある。第2の保持部材65の好ましい実施形態は、内部に封入された、又はインサート成形されたニッケル−チタン支持リングを有する柔らかなシリコン又はビニールのリング66を含む。この実施形態は、非常に変形された状態で、体腔16内に導入することができ、導入完了後に好ましい形状及びサイズを回復することになる。
代替として、ニッケル−チタンの超弾性的特性及び形状記憶特性を、該合金の温度遷移特性から引き出すこともできる。例えば、リング66が容易に、しかも高度に変形可能な温度にまで第2の保持部材65を冷却し、次いで該合金が体温にまで暖められるにつれて、保持部材55が予定された形状、サイズ、又は形状に戻るようにすることができる。
スリーブ/薄膜部分75は、第1の保持部材55と、第2の保持部材65との間の張力により形付けされる。スリーブ/薄膜75は、初めから開口78を形成しており、該開口は、管腔80を介して体腔16の外部と内部とを連通するスリット、孔、又は同様のものであってよい。管腔80は、スリーブ/薄膜75に張力が加えられていない第1の状態と、スリーブ/薄膜75に張力が加えられている第2の状態とを有する。
好ましい実施形態において、スリーブ/薄膜75に張力をかけることにより、管腔80が好ましいサイズ及び構造に調節される。このような構成は、中央部分53で直径がより小さくなり、更に第2の保持部材65において再び遠位で漏斗状拡大部67へと変化する、漏斗状の丸みを与えた開口78を形成することができる。
スリーブ/薄膜75の好ましい実施形態の材料には、ポリエチレン、ポリウレタン、又は強化エラストマーのような非膨張性又は非弾性材料が含まれる。スリーブ/薄膜75の材料としてポリエチレンを選ぶことにより、殆どの手袋素材に対してほぼ摩擦のない特性を備えた面77が得られる。ポリエチレン材料は弾性ではないため、スリーブ/薄膜75は、折り畳まれて離散的な「折り畳み」部分79を形成することになる。このような状況により、スリーブ/薄膜75の材料が、隣接する人体組織によって半径方向に圧縮されることが可能となり、その結果、アクセス装置50の管腔80内に手又は器具が存在しない時には、該スリーブ/薄膜は、咽喉部90又はほぼ閉塞された中央部分53を形成する。従って、手又は器具が存在しない時には、該咽喉部は、ゼロ密閉として機能する。管腔80内に手又は器具が存在する時には、スリーブ/薄膜75の咽喉部90における扇状に折り畳まれた材料は、挿入された手又は器具のサイズ及び形状に従って、依然として閉塞性の器具密閉を形成する。気腹術の通常の圧力が約0.18から0.28psiであることを考えると、本発明の咽喉部90は、ゼロ密閉と器具密閉の両方を形成するのに十分である。
図5の実施形態は、薄膜75が、第1の保持部材55に近接して隔膜の構造を有する点を除けば、図4の実施形態と同様である。この場合、開口78は、アクセス装置の咽喉部90へ通じるスリットとして形成される。図5の実施形態において、折り畳み部分79は、スリット又は開口78の両端部まで延びる。図6の実施形態においては、これらの折り畳み部分79は存在しない。
図7Aから図7Dを参照すると、本発明の外科用アクセス装置50の好ましい実施形態は、「タコス」に類似して折り畳まれる第1の保持部材155を含む。この第1の保持部材155の折り畳みにより、薄膜75を弛緩させて、第2の保持部材65を外科切開部100(図2)へ容易に挿入することが可能となる。その後、第1の保持部材155を広げると、例えば1対の分離可能部材156、157を引き離すことにより、スリーブ/薄膜75が結果として伸張する。この位置において、第1の保持部材155の2つの部材156、157は、単一の平面内で、つまり張力がかかったスリーブ/薄膜75と平坦になった状態で固定される。
折り畳み式の第1の保持部材155の好ましい実施形態において、開口78は細長く、スリーブ/薄膜75の折り目159、並びに第1の保持部材155の1対のヒンジ部158と同一線上にある。図8Aから図8Dに示した別の実施形態において、開口78は、細長く、スリーブ/薄膜75の折り目159と第1の保持部材155のヒンジ部158の双方を横断する。
図9から図17を参照すると、図示した外科用アクセス装置50は、第1の保持部材155を備えているが、この場合、第1の保持部材155は、その面積又は外周が調節可能である。この実施形態において、第1の保持部材155の2つの分離可能部材156、157は、調節ネジ210、230に螺合する1対の調節スリーブ200、220を動かすことにより、共通平面に沿って分離することができる。この動作は、開口78を使用可能とするために、スリーブ/薄膜75に張力を与える。スリーブ/薄膜75を伸張するように協働する、例えば2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の幾つかの調節部材200、220を備えてもよい。この伸張は、均一であっても又は不均一であってもよい。
特に図11、図12を参照すると、ここに示した外科用アクセス装置50の別の実施形態には、個別部材156、157に対して拡延する力が加わると、これらの部材を互いに反対方向へ枢動する少なくとも1つのヒンジ260を有する。この場合、この拡延力は、ネジジャッキと指動輪との組合せ265を回転させることによって加えられる。その結果生じる不均一な拡延力は、開口78を好ましい状態にする。
図13、図14を参照すると、本発明による外科用アクセス装置50の別の実施形態が示されており、細長い開口78が、その長手方向中心線278に沿って延びるように配置されている。この構造は、細長い開口78が伸張モーメントと交差している場合よりも、該開口78が自然状態でより閉鎖された状態になっている。スリーブ/薄膜75及び開口78の同一線方向の伸張と横方向の伸張とを組み合せることにより、結果として開口78の開きを一層対称的に又は均一にすることができる。
図15、16を参照すると、本発明による外科用アクセス装置50の別の実施形態が示されている。この実施形態において、分離可能部材156及び157は、図15に示された拡大位置と、図16に示された縮小位置との間で、単一平面内で移動可能である。この場合、分離可能部材156は、端部161及び163を有し、一方、分離可能部材157は、端部160及び162を有する。折り畳み式の分離部材285及び296は、端部160と161の間、及び端部162と163の間にそれぞれ配置されている。分離可能部材156及び157が縮小された状態においては、分離部材285及び296が折り畳まれて、第1の端部160及び162が、それぞれ第2の端部161及び163に当接した状態にある。分離可能部材156及び157が、図15に示されたような拡大状態へと拡げられた時、これらの分離部材285及び296は、図16に示すような中心を越えた状態から、拡げられた、平坦な状態へ移動する。この状態において、分離部材285及び296は、分離可能部材156及び157を拡げた状態で維持して、これにより薄膜175を伸張させる。
細長い開口78は、伸張方向と同一方向に、又は交差する方向のいずれに配向しても良い。外科用アクセス装置50の更なる実施形態は、スリーブ/薄膜75の伸張が多少なりとも均一になる、複数の折り畳み可能な分離部材285、296を含むことができる。折り畳み可能な分離部材285、296は、金属で作られ、別個のヒンジ付き又はヒンジ無しのいずれでもよく、或いはプラスチックで作られ、別個のヒンジか、又は「現存の」ヒンジを有しても良い。
図17は、本発明による外科用アクセス装置50の更に別の実施形態を示している。この場合、第1の保持部材155は、輪又はコイル290の形状に作られた、任意の長さの剛性又は半剛性材料を含む。コイル290は、対向する端部291及び292と、並びに外表面293及び内表面294とを有する。端部291、292が、互いに対して拡げられると、コイル290の直径と面積とが増大し、その結果、これに取り付けられたスリーブ/薄膜75の張力が増大する。
コイル端部291及び292の位置は、一連のラチェット歯295と、関連するラチェット歯止め296とにより維持することができる。図示した実施形態において、ラチェット歯295が外表面293上に形成され、ラチェット歯止め296が端部292上に形成されている。或いは、第2の一連のラチェット歯を内表面294上に形成し、関連する第2のラチェット歯止めを端部291上に形成してもよい。この両端部及び両側面を有するラチェット構造により、第1の保持部材155及びこれに伴って、スリーブ/薄膜75に非常に大きな潜在的拡張性が得られる。
この実施形態においては、第1の保持部材155、並びにラチェット歯295及びラチェット歯止め296は、ポリカーボネート、ABS、PBC、又は他の充填材料又は非充填材料のような剛性プラスチックから構成されるのが好ましい。更に別の実施形態において、第1の保持部材155を金属で形成して、殺菌可能及び再使用可能とすることができる。このような実施形態は、使い捨てのスリーブ/薄膜75及び第2の保持部材65を含んでもよい。
次に図18、19、20、21を参照すると、本発明による外科用アクセス装置50が、膨張可能又は充填可能な第1の保持部材300と、柔軟で折り畳み可能な、或いは変形可能な第2の保持部材65とを有して示されている。好ましい実施形態において、膨張可能な又は充填可能な保持部材300は、円形又は環状とすることができる、閉じた中空構造体310を含む。この中空構造体310は、非膨張時又は非充填時には、スリーブ/薄膜75に対して、あるとしても極めて僅かな伸張力又は張力しか与えない。しかしながら、膨張時には、中空構造体310は、その直径と面積とが増大し、結果としてスリーブ/薄膜75の所望の伸張又は張力が得られる。中空構造体310の好ましい実施形態は、弾性材料又は非膨張性材料のいずれで形成されてもよい。
同様に、スリーブ又は薄膜75は、弾性材料で作ることができるが、好ましい実施形態においては、薄膜75は非膨張性である。この実施形態において、中空構造体310が拡張することにより、スリーブ/薄膜75もまた伸張し、その結果アクセス装置50の咽喉部90もまた張力を受ける状態に置かれる。第1の保持部材300と第2の保持部材65とに連結する咽喉部90の張力は、第2の保持部材65を適切に引き寄せて、腹壁18(図1)の内表面に密閉係合させる。その結果、アクセス装置50の周囲が気密密閉されることになる。図19の実施形態においては、薄膜75は隔膜の形態である。
特に図20、図21に注目すると、第1の保持部材300が、膨張可能な又は充填可能な構造体310を含み、また、第2の保持部材365が、膨張可能な又は充填可能な構造体375を含む、本発明による外科用アクセス装置50が示されている。この第2の保持部材65は、該保持部材が非膨張時又は非充填時には、切開部100を通って体腔16内へ容易に挿入することができ、その後膨張又は充填して、体腔16内部で多少なりとも剛性を有する、すなわち確定した形状及び構造となる。次に、第1の保持部材300は、膨張又は充填されて、スリーブ/薄膜75の外側保持、及び同時の伸張又は張力を提供することができる。また、スリーブ/薄膜75が膨張可能な二重壁構造を有するように形成できることも明らかであるが、図20、21の実施形態の場合には、二重構造ではない。図示したこれらの実施形態においては、2つの膨張可能な又は充填可能な保持部材300、365に連結させたスリーブ/薄膜75は、単層又は単厚の非膨張性材料又は非弾性材料で形成される。この構造に関して、薄膜75は、膨張可能ではなく、中央部分又は咽喉部90に沿って切開部100を貫通する、嵌入する材料の最少の量に依存する。アクセス装置50の咽喉部90において、スリーブ/薄膜75は、表面が滑らかで、滑り易く、薄く、及び嵩張らない状態を維持している。
図22、図23には、本発明のアクセス装置50の別の実施形態が示されており、端部が開放された略円筒状のスリーブ450は、軸方向に整列し連通した中空の膨張可能で充填可能な複数の部材455から構成される。この連通部材455は、膨張管458により膨張可能又は充填可能である。特に非膨張時には、アクセス装置450の略円筒形状(図23)は、容易に変形することができ、その結果、遠位端460は、外科切開部100を通って腹腔16内へ配置することができる。膨張時又は充填時には、アクセス装置450は、砂時計の形状をとなり、中央部分490により連接された第1の保持部470と第2の保持部480とを展開する。
また、この好ましい実施形態においては、非膨張性材料又は非弾性材料の使用が要求され、その結果、摩擦が最小限に抑えられ、手袋をはめた手又は大きな器具が、アクセス装置450を通って繰返し出入りする時、中央部分490の材料にしわ又は折り目が生じることがない。
図示した実施形態において、個々の膨張可能な又は充填可能な部材455は、材料の移動を防止し、且つ腹壁18との密閉を形成する材料と手袋をはめた手との面接触を最小限にする、軸方向のチャンバと受面495とを形成する。中央部分490の管腔は、当接又は隣接し合う膨張可能な又は充填可能な部材455の継目に沿って、貯留可能な厚みのある又は粘性の材料で潤滑することができる。また、この潤滑製品は、手袋をはめた手又は器具が存在する場合には、器具密閉を完成し、又は手袋をはめた手又は器具が存在しない場合には、ゼロ密閉を完成するように機能することができる。
図24を参照すると、圧縮可能な螺旋コイル部材500が、第1の保持部材550を形成する、本発明による外科用アクセス装置50が示されている。コイル部材500は、これに取り付けられたスリーブ/薄膜75とその中央部分560とに加わる張力を最小化するように変形することができる。第2の保持部材565は、変形して外科切開部100内に配置することができ、その結果、第1の保持部材550のコイル部材500が解放又は圧縮解除されると、第2の保持部材565は、体腔の内壁に適正に接近する。包装及び出荷のために、第1の保持部材550のコイル500は、これを最も小さくした状態で収納小袋、バッグ、箱、又は同様のもの(図示せず)に収めることができる。この状態で、第1の保持部材550は、これに取り付けられたスリーブ/薄膜75に最小の張力を与えることになる。
図25に示した類似の実施形態において、第2の保持部材563は、また第2の保持コイル部材565を備える。この第2の保持コイル部材565は、小形化した形状で切開部100を通して導入され、次に圧縮解除して拡大された直径を取ることができる。これにより、腹壁18の内表面において、増大した接触面積を有するアクセス装置50を得ることができる。第2の保持部材565が圧縮解除されて該部材の直径が拡大されると、該部材はまた、これに取り付けられたスリーブ/薄膜75を伸張し又は張力をかけるように機能する。
図26、27を参照すると、患者10(図1)の腹部12を取り巻くストラップ又はベルト600により、外科切開部100上の所定位置に保持されるようになった、本発明による外科用アクセス装置50が示されている。この実施形態において、アクセス装置50は、ストラップ又はベルト600と、これに関連する閉鎖部材又は留め具610とを含む。図26の実施形態によるアクセス装置50は、隔膜密閉体615として示されている。図27の実施形態においては、アクセス装置は、図19に関連して説明したアクセス装置と同様であって、参照符号300で示されている。
次に図28、図29を参照すると、第1の保持部材55と第2の保持部材65との間に延びる薄膜75を有する外科用アクセス装置50が示されている。この実施形態において、第1の保持部材55は、アクセス装置50の軸線に対してほぼ垂直な平面内に配置された中実の剛性リング700を含む。第2の保持部材65とは反対側のリング700の側面上には、リング700の半径方向に延びる複数のスリット710が形成されている。この実施形態において、複数の係留体715が、種々の半径方向位置において薄膜75に取り付けられている。係留体715は、内端部716で薄膜75に取り付けられ、外端部718に拡大特徴部717を備えている。この実施形態において、リング700のスリット710は、少なくとも係留体715の1つと係合して、これを係止するようにサイズにされ及び形状される。このような実施形態において、拡大特徴部717は、係留体715がスリット710から引き戻されるのを防止するように働くことができる。拡大特徴部717は、薄膜75に張力を加えるために、係留体715が、関連するスリット710を通り外方に引かれる時、各々の係留体715の係合を容易にする取手として機能することもできる。
このような実施形態において、スリット710を該スリットの底部に向かってテーパが付けられるように形成することが望ましいとすることができる。これにより、関連する係留体715を圧迫することが容易になり、係留体715とリング700との摩擦係合が増大することになる。このようにして、薄膜75に所望の形状と密閉特性とを与えるように、係留体715を集めて調節することができる。係留体715を単に持ち上げて関連するスリット710との係合を解くことにより、薄膜75をリング700から解放することができる。図30において、薄膜75に不規則な形状を与えるために、係留体715は、不均一な張力が加わっている。この構成は、薄膜75に規則的な構成を与えるために、係留体に均一に張力が加わっている図31に示したものと比較することができる。
図32において、アクセス装置50は、安定台800と組み合せて示されている。まず、図示したアクセス装置50は、図28から図31を参照しながら全体的に説明したアクセス装置である点に留意されたい。しかしながら、以下に述べる利点を達成するために、安定台800が、アクセス装置50の前述の実施形態のいずれに対しても支持し、且つ機能するように適合することができることは、明らかであろう。
この実施形態において、安定台800は、ほぼ平らな構造を有するベース部803を含み、該ベース部は、その両側から垂直に延びる1対の支持フランジ805及び807を有する。1対の直立アーム810、812が、関連するフランジ805、807に枢動自在に、且つ恐らくは取り外し自在に取り付けられている。横部材814が、アーム810と812との間に枢動自在に、且つ場合によっては取り外し自在に取り付けられている。好ましい実施形態において、この横部材814は、アーム810及び812に対して垂直で、ベース部803の平面に対して平行である。アクセス装置50は、その軸線816が横部材814に対して略垂直な状態で横部材814によって支持されている。この向きで、リング700で表した第1の保持部材855は、直立アーム810、812並びにベース部803に対して枢動することができる所定平面内に配置されている。
手術時には、ベース部803は、患者10(図1)の背中に接触させた状態で患者の下に配置される。次に直立アーム810及び812は、患者10の両側でそれぞれフランジ805及び807に装着することができる。次に横部材814を、アーム810及び812に取り付けることができる。
支持プラットフォーム800は、腹圧又は気腹を維持しながら幾度か人の手を出し入れする必要のある、ハンドアシスト腹腔鏡法において非常に有利である。上述のように、アクセス装置50の密閉口又は咽喉部90(図4)は、外科医の手首又は腕の回りに緊密に密着する必要がある。外科医の手が外された時、咽喉部90は緊密に閉鎖して、ゼロ密閉を形成する必要がある。外科医の手又は腕に対するこの閉鎖された密閉密着は、手の出入り時に、腹壁18(図1)の形状、及び特に高さを変動させる可能性がある。アクセス装置50が、腹壁18に直接取り付けられる場合には、腹壁18のこの動きは、結果としてアクセス装置50を動かすことになり、腹腔鏡のような他の外科用器具の移動又は位置ずれを引き起こす。安定台800の目的は、腹壁18とは独立してアクセス装置50を支持することである。このような安定化を行なうと、腹壁18を通過する外科医の手の動きによるアクセス装置50の移動傾向が低減することになる。これは、外科処置を施す部位、及び特にアクセス装置50を通して挿入された器具を非常に安定化させる。横部材814とアーム810及び812との適切な枢動は、アクセス装置50が、様々な身体サイズ及び体重の患者に対して適正位置に旋回することが可能となる。別の実施形態において、ベース部を外科手術台の一部分として形成し、該ベースには、横部材814を支えるために、患者の一方又は両方から延びる、アーム810、812のような少なくとも1つの支持部材を備えることができる。
此処でアクセス装置50のための多くの実施形態が開示されたことにより、構造及び材料を変更する、他の多くの実施形態が明らかになるであろう。従って、本発明の範囲は開示された実施形態にのみ限定されるものではなく、添付請求項によってのみ限定される点に注意されたい。
腹腔鏡法における外科患者の側面図である。 「ハンドアシスト」外科手術法における外科患者の正面図である。 本発明の好ましい実施形態を定位置に装着した外科患者の前面図である。 2つの保持部材が示された本発明の斜視図である。 本発明の別の実施形態による斜視図である。 別の外側保持部材を有する本発明の図である。 閉じた状態の本発明の折り畳み式保持部材を示す図である。 開いた状態の本発明の折り畳み式保持部材を示す図である。 半開き状態の本発明の折り畳み式保持部材を示す図である。 張力が加わった密閉材料を有する、完全に開いた状態の折り畳み式保持部材を示す図である。 閉じた状態の折り畳み式保持部材の別の実施形態を示す図である。 部分的に開いた別の実施形態を示す図である。 横方向の密閉開口を有する半分開いた保持部材を示す図である。 長さ方向に沿って十分に張力が加えられた横方向の密閉開口を示す図である。 密閉部分を開いている、調節自在な外側保持部材を示す図である。 密閉部分が最小の張力状態にある調節自在な保持部材を示す図である。 ヒンジとネジジャッキとの組合せを有する調節自在な保持を示す図である。 密閉部材に開口張力を加えるヒンジとネジジャッキとを示す図である。 2つのネジジャッキ調節を有し、横方向位置に最小の張力状態にある密閉材を有する保持部材を示す図である。 密閉部材が最大の張力状態にある保持部材を示す図である。 密閉部材の張力が、緊張緩和用の折り畳み式スペーサにより与えられる、保持部材の実施形態を示す図である。 中心を越えたすなわち固定位置で、密閉部材に張力を加えている緊張緩和用スペーサを示す図である。 好ましい張力にて密閉材を保持するためのラチェットを有する外側保持部材の斜視図である。 外側保持部材が膨張されていないが、膨張可能な又は充填可能な中空の円環体である本発明の別の実施形態を示す図である。 密閉圧力を提供するために十分に膨張して密閉材に張力を加えた、膨張可能な保持部材を示す図である。 2つの膨張していないが、膨張可能な保持部材と、最小の張力が加わった密閉部材とを有する本発明のアクセス装置を示す図である。 十分に膨張された、2つの膨張可能な保持部材と、十分に張力が加わった密閉部材を示す図である。 膨張されていない保持部材と密閉部分とが、結合された管状区分から一体的に形成された、本発明の別の実施形態を示す図である。 膨張された状態にあって、装置が外科切開部内に挿入された時の形状にされた別の実施形態を示す図である。 外側保持部材がコイルバネである別の実施形態を示す図である。 外側保持部材と内側保持部材とがコイルバネである別の実施形態を示す図である。 外科切開部の上方の位置に維持するためにストラップが使用される、本発明の別の実施形態を示す図である。 保持部材と密閉材の好ましい実施形態がストラップにより定位置に保持される、本発明の実施形態を示す図である。 スリーブ/薄膜が、第1の状態にある張力が加わった係留体を有する、本発明の別の好ましい実施形態を示す図である。 第2の状態にある緊張係留体を示す図である。 不規則的で不均一な形状の係留体を示す図である。 規則的で均一な状態にある係留体を示す図である。 安定台と組み合せたアクセス装置の斜視図である。

Claims (5)

  1. 外科手術台上に支持された患者に対する外科手術を容易にするための組合せであって、
    患者の体腔内への器具アクセス通路を提供するために、患者の体壁を横断して配置するようになった作業通路を形成するための薄膜を含むアクセス装置と、
    前記体壁の任意の動きに対してほぼ独立したアクセス装置の部分を支持する安定台と、
    を含み、
    前記安定台が、前記外科手術台に対し固定された関係にあるベース部と、前記アクセス装置の部分に対し固定された関係にある横部材とを有することを特徴とする、組合せ。
  2. 前記ベース部と前記横部材との間で延びる少なくとも1つのアームを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の組合せ。
  3. 少なくとも1つの前記アームが、ベース部に対して枢動の関係を有することを特徴とする、請求項2に記載の組合せ。
  4. 前記横部材が、1つの軸線を有し、前記アームに対して該軸線の周りで回転可能であることを特徴とする、請求項3に記載の組合せ。
  5. 少なくとも1つの前記アームが、前記ベース部に対し取り外し自在に取り付けられていることを特徴とする、請求項2に記載の組合せ。
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