JP2006316080A - 脂肪族ケトン系誘導体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 エチレン及び/またはエチレン性不飽和化合物、及び一酸化炭素を構成単位として含む脂肪族ポリケトンを改質し、高い結晶性を保持しつつ、工業的に利用し得る溶融成形性を有する脂肪族ケトン系誘導体、及び該脂肪族ケトン系誘導体からなる成形体を提供する。
【解決手段】 (i)エチレン、(ii)エチレン性不飽和化合物、及び(iii)一酸化炭素、並びに(iv)ポリアルキレングリコールまたは(v)アルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体を構成単位として含む脂肪族ケトン系誘導体。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、工業的に利用し得る溶融成形性を有する脂肪族ケトン系誘導体、及び該脂肪族ケトン系誘導体からなる成形体に関する。
脂肪族ポリケトンは、一酸化炭素と少なくとも1つのエチレン性不飽和化合物(例えば、エチレン、プロピレン、芳香族ビニル化合物など)からなる共重合体として知られる。特に、下記式(6)で表される一酸化炭素(該式(6)のnは、1≦n≦20,000である。)とエチレンとが完全交互に配列した脂肪族ポリケトン(ポリ(1−オキソトリメチレン)、以下、ECOと略記する)は、力学特性に優れ、且つ耐摩耗性、耐薬品性及びガスバリア性が高いことで知られる。
Figure 2006316080
しかしながら、ECOは、高い融点(Tm=260℃)と高い結晶化度を有するために溶融成形性が低いという工業的な利用への問題点を有している。例えば、ECOは260℃以上の高い成形加工温度(一般に、Tm+20〜+30℃)が必要となる上、結果、加熱溶融時のアルドール縮合に代表される熱架橋反応の進行を加速してしまい、容易にその流動性を損なう。更に、得られた該成形体の機械的・熱的性能も大きく劣化するために溶融成形による加工に供することができないでいる。(例えば、特許文献1)
一方、溶融成形性を付与するための方法も開示されている。例えば、ECOにプロピレンに代表されるα−オレフィンを数モル%ランダム共重合させる方法である。プロピレンを6モル%共重合させたポリケトン3元共重合体(以下、EPCOと略記する)は、低融点化(〜220℃)されており、熱架橋反応の加速要因である成形加工温度を低く設定することができるよう改良されている。しかし、EPCO中のプロピレンに由来する三級炭素上の水素(下記式(7))が化学的に活性なために、6モル%も存在すると低い成形加工温度にも関わらず連続的溶融成形が困難な程度に熱架橋が進行する。即ち、α−オレフィンの含量は、6モル%を超えない量に抑える方が良いことが推察できる。さらに、その結晶化度も約30%まで低下しており、ECOの特徴である力学特性やガスバリア性を損なうといった問題点を有している。(例えば、特許文献2)
Figure 2006316080
(式中、Xは炭素数1以上の炭化水素基、1≦m≦20,000、1≦n≦2,000)
一方、溶融成形時の脂肪族ポリケトンの熱安定性を高める技術が開示されている。例えば、ヒドロキシアパタイトを脂肪族ポリケトンに添加し、溶融時の安定性を高める方法である。この方法を用いると、溶融時に熱劣化により失われる流動性をある程度抑えることができる。しかし、十分な効果を得るにはヒドロキシアパタイトを多量に使用しなければならず、工業的使用に経済的な問題点を有する。(例えば、特許文献3)
ポリケトン誘導生成物として、例えば、高温高圧下に一酸化炭素、炭素数20以下のオレフィン性不飽和化合物、及びポリオールポリマー又は不飽和ゴムと反応させ得られる重合生成物が公知である。しかし、該重合生成物はECOとの混合物であったり、溶剤溶解性がまったくない、などの問題点を有する。特に、ポリオールポリマーとの反応生成物は、その構造に関して全くの不明である。(例えば、特許文献4)
従って、結晶性は高く保持しつつ、一方、工業的に利用し得る溶融成形性を有する脂肪族ケトン系誘導体の開発が望まれている。
欧州特許0121965号明細書 特開昭62−53332号公報 米国特許第5066701号明細書 日本国特許第2752167号公報
本発明は、エチレン及び/またはエチレン性不飽和化合物と一酸化炭素を構成単位として含む脂肪族ポリケトンを化学的に改質し、結晶性は高く保持しつつ、一方、工業的に利用し得る溶融成形性を有する脂肪族ケトン系誘導体、及び該脂肪族ケトン系誘導体からなる成形体を提供することを目的とする。
本発明は、(i)エチレン、(ii)エチレン性不飽和化合物、及び(ii)一酸化炭素、並びに(iii)ポリアルキレングリコール又は(iv)アルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体を構成単位として含む脂肪族ケトン系誘導体が、その結晶性を高く保持したまま、一方、工業的に利用し得る溶融成形性を示すという驚くべき事実に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)、下記式(2)、及び下記式(3)、並びに下記式(4)又は下記式(5)のユニットを含有する脂肪族ケトン系誘導体、及び該脂肪族ケトン系誘導体からなる成形体に関する。
Figure 2006316080
Figure 2006316080
Figure 2006316080
Figure 2006316080
Figure 2006316080
(式中、R〜Rはそれぞれ同じでも異なっていても良く、水素、ハロゲンで置換されていても良い炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、イミド基、シリル基、または官能基(水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、イミド基、シリル基)で置換された炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる基である。また、RとRとは互いに結合して、単環または多環を形成していても良い。1≦n≦20、1≦n≦35,000、1≦n≦40,000。)
本発明によって、結晶性は高く保持しつつ、一方、工業的に利用し得る溶融成形性を有する脂肪族ケトン系誘導体、及び該脂肪族ケトン系誘導体からなる成形体を提供する。
本発明の脂肪族ケトン系誘導体は、下記式(1)で表されるエチレン由来のユニット、式(2)で表されるエチレン性不飽和化合物由来のユニット、及び式(3)で表される一酸化炭素由来のユニット、並びに式(4)で表されるポリアルキレングリコール由来のユニット又は式(5)で表されるアルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体由来のユニットを含む。
Figure 2006316080
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(式中、R〜Rはそれぞれ同じでも異なっていても良く、水素、ハロゲンで置換されていても良い炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、イミド基、シリル基、または官能基(水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、イミド基、シリル基)で置換された炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる基である。また、RとRとは互いに結合して、単環または多環を形成していても良い。1≦n≦20、1≦n≦35,000、1≦n≦40,000。)
本発明で使用できるエチレン性不飽和化合物とは、炭素−炭素二重結合を有する化合物であり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数3〜20のα−オレフィン;スチレン、α−メチルスチレン等のアルケニル芳香族化合物;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;エチルアクリレート、メチルメタクリレート等のアクリル酸エステル;トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン化合物、酢酸ビニル等が例示される。これらのエチレン性不飽和化合物は1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらエチレン性不飽和化合物のなかで、炭素数3〜20のα−オレフィンが好ましく、特に得られる脂肪族ケトン系誘導体の力学特性が優れる点でプロピレンが好適である。また、エチレン性不飽和化合物の含有量としては、共重合体中のエチレンとエチレン性不飽和化合物の含有量の合計量を基準として0.01モル%〜50モル%、好ましくは0.01モル%〜10モル%、より好ましくは0.01モル%〜6モル%の範囲である。
本発明で使用できるポリアルキレングリコールとは、アルキレン構造がエーテル結合で連なった構造で、一般に、HO−(R−O)n−Hで表される(Rはアルキレン)。例えば、アルキレン鎖が、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレン、イソペンチレン、ネオペンチレン等であるものが挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等である。これらのものは、1種のみで用いても、同時に2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、分離膜用途には、分離能の観点からポリエチレングリコールが好ましく、また、エラストマー用途には、弾性特性の観点からポリテトラメチレングリコールが好ましい。
ポリアルキレングリコールの分子鎖末端は、ポリケトンと反応させるために水酸基が好ましいが、分子鎖末端の一つがメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基、更には他の有機基等で封鎖されていてもよい。
ポリアルキレングリコールの分子量に特に制限はないが、分離性能、強度、及び成形(製膜)の観点から、GPC測定法による数平均分子量は200〜100,000が好ましく、より好ましくは200〜20,000であり、最も好ましくは400〜10,000である。また、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、同じ理由で1〜10が好ましく、より好ましくは1〜5である。
ECOに代表される脂肪族ポリケトンは、湿式成形した際、nmオーダーから100μmオーダーの微細な孔を有する成形体となるため、平膜、中空糸等に成形して、血液透析、電気透析、逆浸透、限外濾過、ガス分離等の分離膜素材として用いるのに好適であることが特開2002−348401号公報等により開示されている。
一方、微細な孔を有する成形体は、溶融成形法によっても製造することができる。例えば、溶融製膜や溶融紡糸された成形体を延伸する方法、溶融前に予め微粒子を混合した後に溶融成形し、後工程で微粒子を除去する方法等が適用できる。
脂肪族ポリケトンの持つ低毒性、高化学安定性等の理由から、とりわけ血液透析に代表される生体関連用途が有望と考えられる。
しかしながら、1種またはそれ以上のエチレン性不飽和化合物と一酸化炭素とからのみなるポリケトン分離膜を、生体関連物質の分離に使用する場合は、ポリマーの極性が小さいために十分な分離を行うことが困難であった。極性を高くするために、カルボニル基の一部を還元して水酸基にする方法が考えられるが、この場合は極性が高くなりすぎて、やはり分離効率が低下するものであった。また、ポリケトンを製造後、還元する工程を設ける必要がある等、製造工程が煩雑であり、製造コストが高くなるという問題があった。
本発明のポリアルキレングリコールを含む脂肪族ケトン系高分子量体は、一回の共重合で製造できる上に、ポリアルキレングリコール単位が、ブロック共重合体の一ブロックとしてポリケトン鎖に末端結合しているために、湿式成形・溶融成形加工時にも分離・溶出することがない。且つ、親水性と疎水性のバランスに優れるために適度な表面極性を発現し、各種分離膜用途、とりわけ血液透析に代表される生体関連物質の分離膜用原料として有用である。
本発明で使用できるアルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体とは、共役ジエン単量体を重合して得られる高分子量体であって、且つ該高分子鎖末端に−OH基を少なくとも1つ以上有しており、更に水素を付加した高分子量体のことを言う。高分子末端に−OH基を含有した共役ジエン系重合体を構成する共役ジエンとしては、特に制限はないが、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロペンタジエン等の共役ジエン系単量体が挙げられる。これらの共役ジエン系単量体は、1種類又は2種類以上組み合わせて用いることができる。これらのうち好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレンであり、特に好ましくは1,3−ブタジエンである。
アルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体の分子量に特に制限はないが、得られる脂肪族ケトン系高分子量体の力学物性の観点からGPC法による数平均分子量は200〜100,000が好ましく、より好ましくは200〜10,000であり、最も好ましくは400〜5,000である。また、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、同じ理由で1〜10が好ましく、より好ましくは1〜5である。
このアルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体は、例えば、共役ジエン化合物をアニオン重合により所定の分子量まで重合した後、アルコール化合物を2当量付加反応させ、次いで、水素添加反応を行い調製することができる。
本発明のアルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体を含む脂肪族ケトン系高分子量体は、例えば、エラストマー材料、成形材料、接着剤、シーラー、産業用繊維、織物、編物、不織布等の機能材料として、また分離膜用途としても有用である。
これらの成形においては、溶融成形のみならず、湿式成形および乾式成形のいずれの方法も適用可能である。
本発明の脂肪族ケトン系誘導体におけるポリアルキレングリコール由来のユニット及びアルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体由来のユニットの含有量としては、該脂肪族ケトン系誘導体の応用目的に応じて適宜選択され、0.01〜99.9重量%である。好ましくは0.01〜50.0重量%、さらに好ましくは、0.01〜15重量%の範囲である。
各々のコモノマーの結合方式は、エチレン及び/またはエチレン性不飽和化合物と一酸化炭素が実質的に完全に交互共重合したポリケトン単位(A)と、ポリアルキレングリコール又はアルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体からなる単位(B)が、ブロック共重合体となることが最も好ましい。
ブロック共重合体としては、A−B、A−B−A、B−A−B、A−B−A−B、A−B−・・・・−A、B−A−・・・・・−A、A−B−・・・・−B、B−A−・・・・・−B等のジブロック共重合体、トリブロック重合体等、いずれの形態であってもよく、Aとしては、ポリ(1−オキソトリメチレン)が好ましい。
本発明の脂肪族ケトン系誘導体の分子量としては、GPC測定法による数平均分子量で200〜1,100,000、H−NMRから導出される数平均分子量で200〜150,000であることが好ましい。分離膜、成形体等へ加工する際、これらの強度、及び加工性の観点から、GPC測定法による数平均分子量で20,000〜600,000、H−NMRから導出される数平均分子量で10,000〜100,000であることが好ましい。特に、膜に加工する場合には、GPC測定法による数平均分子量で80,000〜600,000、H−NMRから導出される数平均分子量で40,000〜100,000であることが好ましく、成形体へ加工する場合にはGPC測定法による数平均分子量で20,000〜300,000、H−NMRから導出される数平均分子量で10,000〜40,000であることが好ましい。
本発明の脂肪族ケトン系高分子量体には、必要に応じて、各種の添加剤、例えば、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、界面活性剤等が含まれていてもよい。
本発明の脂肪族ケトン系誘導体の製造方法には、例えば、オートクレーブ等の反応容器の中で、エチレン及び/又はエチレン性不飽和化合物、一酸化炭素、及びポリアルキレングリコール又はアルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体を重合反応させる方法が好ましい。
本発明に使用する脂肪族ケトン系誘導体を製造するための原料としては、すでに述べたエチレン、エチレン性不飽和化合物、及び一酸化炭素、並びにポリアルキレングリコール又はアルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体が使用可能である。エチレン及び/又はエチレン性不飽和化合物と一酸化炭素の反応容器内での割合は、(エチレン及び/又はエチレン性不飽和化合物/一酸化炭素)のモル比が10/1〜1/10であることが好ましく、より好ましくは5/1〜1/5である。ポリアルキレングリコール及びアルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体の使用量としては、含有比率に応じて任意に設定することができる。
重合反応を行うに当たって、溶剤を用いてもよい。プロトン性の溶剤としては、水、炭素数1〜10のヒドロキシル基含有化合物等が挙げられ、具体的には、メタノール、エタノール、1‐プロパノール、2‐プロパノール、ブタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ベンジルアルコール;エチレングリコール等のアルコール類;m−クレゾール等のフェノール類を挙げることができる。
また、非プロトン性溶剤としては、炭素数3〜20の炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライム等のエーテル類;アセトニトリル等のニトリル類;酢酸、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、1,1、2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;トルエン、DMF、DMSO、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
反応活性の点からは、プロトン性溶剤の使用が好ましく、水、メタノール、エタノール、2‐プロパノールが好適である。一方、得られる脂肪族ケトン系高分子量体の分子量が高くできるという点からは、非プロトン性溶剤が好ましく、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトンが好適である。これらの溶剤の中から選ばれた2種以上の溶剤を同時に用いてもよい。
反応に際して、エチレン及び/又はエチレン性不飽和化合物と一酸化炭素の添加方法には特に制限はなく、予め、両者を混合してから添加してもよく、それぞれ別の供給ラインから添加してもよい。原料として用いるポリアルキレングリコール、及びアルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体は、反応の任意の段階で添加することができるが、反応の最初から添加するのが好適である。また、共重合反応の経過とともに消費される所要量を、反応系に連続的に逐次添加する方法を用いても良い。
本発明の脂肪族ケトン系誘導体の製造に際して、有機金属錯体触媒またはラジカル開始剤を触媒として用いてその重合反応を行うことが好適である。
有機金属錯体触媒は、周期律表 (IUPAC無機化学命名法改訂版、1989)の(a)第9族、第10族または第11族遷移金属化合物、および(b)第15族の原子を有する配位子からなるものである。更に、(a)第9族、第10族または第11族遷移金属化合物、および(b)第15族の原子を有する配位子に、第3成分として(c)酸の陰イオンを触媒成分として加えてもよい。
(a)成分の第9族遷移金属化合物としては、コバルトまたはルテニウムの錯体、カルボン酸塩、リン酸塩、カルバミン酸塩、スルホン酸塩等を挙げることができ、その具体例としては酢酸コバルト、コバルトアセチルアセテート、酢酸ルテニウム、トリフルオロ酢酸ルテニウム、ルテニウムアセチルアセテート、トリフルオロメタンスルホン酸ルテニウム等をあげることができる。
第10族遷移金属化合物の具体例としては、ニッケル、パラジウムおよび白金の錯体、カルボン酸塩、リン酸塩、カルバミン酸塩、スルホン酸塩等を挙げることができ、その具体例としては、酢酸ニッケル、塩化ニッケル、ニッケルアセチルアセトネート、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、塩化パラジウム、ビス(N,N−ジエチルカーバメート)ビス(ジエチルアミノ)パラジウム、硫酸パラジウム、塩化白金、白金アセチルアセトネート等を挙げることができる。
第11族遷移金属化合物の例としては、銅または銀の錯体、カルボン酸塩、リン酸塩、カルバミン酸塩、スルホン酸塩等を挙げることができ、その具体例としては、酢酸銅、トリフルオロ酢酸銅、銅アセチルアセトネート、酢酸銀、トリフルオロ酢酸銀、銀アセチルアセトネート、トリフルオロメタンスルホン酸銀等を挙げることができる。
これらの中で、安価で経済的に好ましい遷移金属化合物(a)は、ニッケルおよび銅化合物であり、脂肪族ケトン系高分子量体の収量および分子量の面から好ましい遷移金属化合物(a)はパラジウム化合物である。これらは単独で用いてもよく、または数種類を混合して用いても良い。
配位子とは、化学大辞典7縮刷版第16刷(1974)共立出版 p.4で定義されているように、錯体中で中心原子に直接結合している原子を含む原子団のことである。本発明においては、周期律表第15族の原子を有する配位子を用いることが必要である。
配位子の例として、ピリジン等の窒素の一座配位子;トリフェニルホスフィン、トリナフチルホスフィン等のリン一座配位子;トリフェニルアルシン等の砒素一座配位子;トリフェニルアンチモニイ等のアンチモン一座配位子;2,2’−ビピリジル、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジル、2,2’−ビ−4−ピコリン、2,2’−ビキノリン等の窒素ニ座配位子;1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,3−ビス{ジ(2−メチル)ホスフィノ}プロパン、1,3−ビス{ジ(2−イソプロピル)ホスフィノ}プロパン、1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパン、1,3−ビス{ジ(2−メトキシ−4−スルホン酸ナトリウム−フェニル)ホスフィノ}プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)シクロヘキサン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,2−ビス{(ジフェニルホスフィノ)メチル}ベンゼン、1,2−ビス[{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}メチル]ベンゼン、1,2−ビス[{ジ(2−メトキシ−4−スルホン酸ナトリウム−フェニル)ホスフィノ}メチル]ベンゼン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、2−ヒドロキシ−1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパン、2,2−ジメチル−1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパン等のリン二座配位子等を挙げることができる。これらは単独で用いても、複数種を同時に混合して用いてもよい。
これらの中で好ましい配位子は、リン二座配位子である。
特に、共重合性、及び脂肪族ケトン系高分子量体の収量の面から好ましいリンニ座配位子は、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパン、及び1,2−ビス[{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}メチル]ベンゼンであり、脂肪族ケトン系高分子量体の分子量という面からは、2−ヒドロキシ−1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパン、および2,2−ジメチル−1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパンである。
有機溶剤を必要とせず、安全であるという面からは、水溶性の1,3−ビス{ジ(2−メトキシ−4−スルホン酸ナトリウム−フェニル)ホスフィノ}プロパン、および1,2−ビス[{ジ(2−メトキシ−4−スルホン酸ナトリウム−フェニル)ホスフィノ}メチル]ベンゼンが好ましい。合成が容易で大量に入手が可能であり、経済面において好ましいものは1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンおよび1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンである。
触媒として、前記の遷移金属化合物および前記の周期律表第15族元素の原子を有する配位子に加えることのできる、(c)酸の陰イオンの例としては、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のpKaが4以下の有機酸の陰イオン;過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヘテロポリ酸、テトロフルオロ硼酸、ヘキサフルオロリン酸、フルオロ硅酸等のpKaが4以下の無機酸の陰イオン;トリスペンタフルオロフェニルボラン、トリスフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等の硼素化合物の陰イオンを挙げることができる。これらは単独または複数種を混合して用いても良い。これらの中で好ましい酸の陰イオンは、ポリマーの収量と分子量の両方の観点から、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸である。pKaとは、酸の解離定数をKaとしたときのpKa=−log10Kaで定義される数値で、値が小さいほど酸として強い。
触媒として用いる遷移金属化合物(a)の使用量は、選ばれるエチレン及び/又はエチレン性不飽和化合物の種類、その他の重合条件によってその好適な値が異なるため、一概にその範囲を定めることはできないが、好ましくは、反応帯域の容量1リットル当り0.01〜10000マイクロモル、より好ましくは0.1〜1000マイクロモルである。反応帯域の容量とは、反応器の液相の容量をいう。
配位子(b)の使用量も、遷移金属化合物1モル当たり、好ましくは0.1〜10モル、より好ましくは1〜5モルである。
酸の陰イオン(c)の使用量は、遷移金属化合物1モル当たり、好ましくは0.1〜1000モル、より好ましくは1〜100モル、最も好ましくは3〜50である。
触媒は、前記の遷移金属化合物および前記の周期律表第15族元素の原子を有する配位子、更に、好適には酸の陰イオンを混合することによって生成される。触媒組成物の使用法は、予め、各成分の混合物からなる触媒組成物を調製してから反応容器内に添加することが好ましい。触媒組成物を調製する場合、先ず遷移金属化合物および配位子を混合し、次いで酸を混合することが好ましい。触媒組成物の調製に用いる溶媒は、アルコール等のプロトン性有機溶剤、及びアセトン、メチルエチルケトン等の非プロトン性有機溶媒のどちらであっても良い。
また、前記の遷移金属化合物、前記の周期律表第15族元素の原子を有する配位子および酸の陰イオンの3成分から生成される触媒に、ベンゾキノン、ナフトキノン等の酸化剤を添加してもよい。これらキノン類の添加量は、遷移金属化合物1モル当たり、好ましくは1〜1000モル、より好ましくは10〜200モルである。キノン類の添加は、触媒組成物に添加してから反応容器に添加する方法、および重合溶剤に添加する方法のいずれであってもよく、必要に応じて、反応中に反応容器内に連続的に添加してもよい。
一方、ラジカル開始剤を触媒とする場合、ペルオキシジカーボネート系、ペルオキシエステル系、ジアシルペルオキシド系またはアゾ系開始剤を用いることができる。
ここで、それぞれの系には、一分子中に−O−O−結合または−N=N−結合を一個含むモノラジカル型開始剤、一分子中に−O−O−結合または−N=N−結合を二個含むバイラジカル型開始剤、一分子中に−O−O−結合または−N=N−結合を三個以上含むポリマー型開始剤が含まれる。
モノラジカル型開始剤としては、例えば、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカ−ボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシネオヘキサネート、イソブチルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4’−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
バイラジカル型開始剤としては、例えば、(α,α’−ビス−ネオデカノイルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチルー2,5−ビス(2−エチルヘキシルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ネオデカノイルペルオキシ)ヘキサンを用いることができる。
ポリマー型開始剤としては、例えば、ポリペルオキシジカーボネート等を用いることができる。
ラジカル開始剤を触媒として用いるとき、希釈剤として、シクロヘキサン、ヘキサン、ペンタン、オクタン、ベンゼン等の炭化水素、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル等の炭酸エステル類、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキサン、1、3−ジオキソラン等の環状エーテル類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類の1種以上を使用することができる。これらの中で好ましい重合希釈剤は、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、1,4−ジオキサンである。
反応温度は50〜300℃が好ましく、70〜200℃がより好ましく、50〜120℃が最も好ましい。重合温度が50℃未満では、アルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体との反応が困難になり、反応温度が300℃を越えると、反応活性が高くなって、生産性は高くなるが、得られるポリケトンの分子量が極端に低くなる等、機械的・熱的特性を十分に発揮することができない場合がある。
反応時間は1〜24時間が好ましく、より好ましくは1.5〜10時間、最も好ましくは2〜6時間である。反応時間が1時間未満では、残触媒量が多くなり、特別な触媒除去工程が必要となる。一方、反応時間が24時間を越えると、得られる脂肪族ケトン系誘導体の分子量分散度が大きくなり、優れた機械的・熱的特性を発揮できなくなる場合がある。
こうして得られる本発明の脂肪族ケトン系誘導体は、公知の溶融成形及び湿式成形のいずれの方法でも成形することができ、成形体として多様な分野に展開可能である。なお、本発明において成形体とは、圧力、熱、溶剤等で形をつくられた、有用な人工物を意味する。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
本発明に用いられる各測定値の測定方法は次のとおりである。
(1)脂肪族ケトン系誘導体の繰返し単位
1H-NMR測定より、エチレン、エチレン性不飽和化合物、及び一酸化炭素から構成されるユニット(a)、及び、ポリアルキレングリコール由来のユニット(b)又はアルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体由来のユニット(C)の存在、及び存在量を同定する。
積分値を用いてNMR導出による脂肪族ケトン系高分子量体の数平均分子量を算出する(ケミカルシフトが〜1.1ppmにあるシグナルの積分値を1と規定する)。また、ポリアルキレングリコール含有量、及びアルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体含有量を下記式を用いて算出する。
式1:ポリアルキレングリコール含有量(重量%)=
{bの数平均分子量/(aの数平均分子量+bの数平均分子量)}×100
式2:共役ジエン系高分子量体の水素付加体含有量(重量%)=
{cの数平均分子量/(aの数平均分子量+cの数平均分子量)}×100
測定機器:日本電子株式会社製 JEOL−α−400
溶媒:12wt/v% CDCl HFIP溶液
(2)脂肪族ケトン系誘導体の分子量
下記条件にて実施した、GPC測定によりGPC導出分子量を求める。
測定機器:東ソー株式会社製 HLC−8220GPC
プレカラム:昭和電工株式会社製 Shodex HFIP−G(登録商標)
カラム:昭和電工株式会社製 Shodex HFIP−606M(登録商標)×3
カラム温度:40℃
展開溶媒:0.01M CFCOONa HFIP溶液
試料濃度:0.01wt/v%
分子量換算:標準PMMAの分子量と溶出時間の関係を5次回帰曲線として検量線を作成し、算出する。
(3)脂肪族ケトン系高誘導体の融点、及び結晶化度
下記条件にて測定し、観察された吸発熱曲線において、200℃〜280℃の範囲に観測される最大吸熱ピークのピークトップ点を融点とする。
測定機器:パーキンエルマー社製 示差走査熱測定装置 Pyris1(登録商標)
雰囲気:窒素気流下(200ml/分)
昇温速度:20℃/分
温度範囲:25℃〜260℃
試料:5mg
結晶化度は、吸発熱曲線において、200℃〜300℃の範囲に観測される最大の熱ピークの面積から計算される熱量ΔH(J/g)により下記式を用いて算出する。
結晶化度 = ΔH/226 × 100 (%)
(1) エチレン/プロピレン/一酸化炭素/ポリアルキレングリコールから構成される脂肪族ケトン系誘導体
[参考例1]
[Pd((Ph) P(CH ) P(Ph) )](CH COO) の調製(以下、金属錯体−1)
酢酸パラジウム(7.0mg、28.6μmol)をアセトン10mlに溶解した(溶液A)。1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(7.8mg、18.9mmol)をアセトン9mlに溶解した(溶液B)。溶液A5mlを溶液Bにゆっくりと滴下し、ついで1時間攪拌し続け金属錯体−1の1μmol/mlアセトン溶液を得た。
[参考例2]
ポリアルキレングリコール
和光純薬株式会社製 ポリエチレングリコール(グレード名:PEG2000、以下PEG成分ともいう)を購入し、精製することなくそのまま使用した。末端アルコール基を二個有しており、数平均分子量は約2000である。
[実施例1]
100mlオートクレーブにPEG2000(和光純薬(株)製)を6g、アセトン20mlを加えた。オートクレーブを密閉後、25℃、8.0MPaで3回窒素置換を行った。次いで、プロピレン置換を3回行った。内容物を撹拌しながら加温し、内温を90℃まで加温した。反応器を常圧まで落圧した後、金属錯体−1のアセトン溶液1ml(1μmol)、0.5mol/L硫酸水溶液12μL(6μmol)、ベンゾキノン4.3mg(40μmol)を含むアセトン溶液10mlを反応器中に圧入した。すぐに、一酸化炭素とエチレンの等モル混合気体で8.0MPaまで加圧し重合を開始した。オートクレーブの内温、及びエチレンと一酸化炭素の等モル混合気体を逐次補給して内圧を一定に保ちながら、3時間重合した。重合終了後、オートクレーブを急冷しながら、内部の気体をパージ・窒素置換して重合を停止した。室温まで冷却した後、オートクレーブを開放し、内容物を取り出した。反応溶液を濾過し、アセトンで3回洗浄後、減圧乾燥し、脂肪族ケトン系誘導体1.09gを得た。
共重合活性=3.43kg/g−Pd/hであった。H−NMR導出分子量(Mn)=5.5×10;GPC導出分子量(Mn)=5.1×10、Mw/Mn=2.89;プロピレン含有量(共重合体中のエチレンとプロピレンの含有量の合計量を基準としたプロピレン含有量、以下同じ)=4.4mol%;PEG成分含有量=3.5wt%と見積もられた。融点(Tm)=234℃、結晶化度=50%。
[実施例2]
実施例1において、反応温度を95℃とした以外は、実施例1と同様な操作をおこなって、0.78gの脂肪族ケトン系誘導体を得た。
共重合活性=2.67kg/g−Pd/hであった。H−NMR導出分子量(Mn)=2.2×10;GPC導出分子量(Mn)=3.7×10、Mw/Mn=2.60;プロピレン含有量=4.3mol%;PEG成分含有量=8.4wt%と見積もられた。融点(Tm)=234℃、結晶化度=50%。
H−NMR:3.75(−C(=O)−O−CH−/−CH−O−(PEG部))、2.80(−CH−CH−C(=O)−)、1.17〜1.15(−CH(Py))、〜1.08(−CH−CH
このもののH−NMRスペクトルを図1に示す。図1中の式において、繰り返し数はエチレン部が391、プロピレン部が16、ポリエチレングリコール部が36であった。
[実施例3]
実施例1において、反応温度を100℃とした以外は、実施例1と同様な操作をおこなって、0.85gの脂肪族ケトン系誘導体を得た。
共重合活性=2.67kg/g−Pd/hであった。H−NMR導出分子量(Mn)=2.2×10;GPC導出分子量(Mn)=3.5×10、Mw/Mn=2.45;プロピレン含有量=2.0mol%;PEG成分含有量=8.3wt%と見積もられた。融点(Tm)=244℃。結晶化度=58%。
[実施例4]
実施例1において、反応温度を105℃とした以外は、実施例1と同様な操作をおこなって、1.05gの脂肪族ケトン系誘導体を得た。
共重合活性=3.30kg/g−Pd/hであった。H−NMR導出分子量(Mn)=2.2×10;GPC導出分子量(Mn)=2.9×10、Mw/Mn=2.50;プロピレン含有量=2.8mol%;PEG成分含有量=8.3wt%と見積もられた。融点(Tm)=241℃。結晶化度=50%。
(2)エチレン/プロピレン/一酸化炭素/アルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体から構成される脂肪族ケトン系誘導体
[参考例3]
[Pd((Ph) P(CH ) P(Ph) )](CH COO) の調製(以下、金属錯体−2)
酢酸パラジウム(7.0mg、28.6μmol)をメチルエチルケトン10mlに溶解した(溶液A)。1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(7.8mg、18.9mmol)をメチルエチルケトン9mlに溶解した(溶液B)。溶液A5mlを溶液Bにゆっくりと滴下し、ついで1時間攪拌し続け金属錯体−2の1μmol/mlメチルエチルケトン溶液を得た。
[参考例4]
アルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体
日本曹達株式会社製 アルコール基を含有する水素添加型ポリブタジエン樹脂(グレード名:GI−2000、以下GI成分ともいう)を購入し、精製することなくそのまま使用した。末端アルコール基を二個有しており、数平均分子量は約2100である。
[実施例5]
100mlオートクレーブにGI−2000(日本曹達(株)製)を6g、メチルエチルケトン20mlを加えた。オートクレーブを密閉後、25℃、8.0MPaで3回窒素置換を行った。次いで、プロピレン置換を3回行った。内容物を撹拌しながら加温し、内温を90℃まで加温した。反応器を常圧まで落圧した後、金属錯体−2のメチルエチルケトン溶液1ml(1μmol)、0.5mol/L硫酸水溶液12μL(6μmol)、ベンゾキノン4.3mg(40μmol)を含むメチルエチルケトン溶液10mlを反応器中に圧入した。すぐに、一酸化炭素とエチレンの等モル混合気体で8.0MPaまで加圧し重合を開始した。オートクレーブの内温、及びエチレンと一酸化炭素の等モル混合気体を逐次補給して内圧を一定に保ちながら、3時間重合した。重合終了後、オートクレーブを急冷しながら、内部の気体をパージ・窒素置換して重合を停止した。室温まで冷却した後、オートクレーブを開放し、内容物を取り出した。反応溶液を濾過し、トルエンで1回、アセトンで3回洗浄後、減圧乾燥し、脂肪族ケトン系誘導体1.03gを得た。
共重合活性=3.24kg/g−Pd/hであった。H−NMR導出分子量(Mn)=3.6×10;GPC導出分子量(Mn)=4.6×10、Mw/Mn=3.42;プロピレン含有量=5.3mol%;GI成分含有量=5.3wt%と見積もられた。融点(Tm)=223℃、結晶化度=46%。
H−NMR:3.73(−CH−O−)、2.80(−CH−CH−C(=O)−)、〜1.39、1.17〜1.15(−CH(Py))、〜0.97(−CH−、−CH−CH
このもののH−NMRスペクトルを図2に示す。図2中の式において繰り返し数はエチレン部が580、プロピレン部が33、水添ブタジエン部が28であった。
[実施例6]
実施例5において、反応温度を95℃とした以外は、実施例5と同様な操作をおこなって、1.80gの脂肪族ケトン系誘導体を得た。
共重合活性=5.66kg/g−Pd/hであった。H−NMR導出分子量(Mn)=2.6×10;GPC導出分子量(Mn)=3.6×10、Mw/Mn=3.36、プロピレン含有量=3.6mol%;GI成分含有量=3.6wt%と見積もられた。融点(Tm)=230℃、結晶化度=48%。
[実施例7]
実施例5において、反応温度を100℃とした以外は、実施例5と同様な操作をおこなって、1.42gの脂肪族ケトン系高分子量体を得た。
共重合活性=4.47kg/g−Pd/hであった。H−NMR導出分子量(Mn)=2.1×10;GPC導出分子量(Mn)=3.0×10、Mw/Mn=3.39、プロピレン含有量=3.2mol%;GI成分含有量=3.2wt%と見積もられた。融点(Tm)=232℃、結晶化度=50%。
[実施例8]
実施例5において、反応温度を105℃とした以外は、実施例5と同様な操作をおこなって、1.41gの脂肪族ケトン系高分子量体を得た。
共重合活性=4.43kg/g−Pd/hであった。H−NMR導出分子量(Mn)=1.9×10;GPC導出分子量(Mn)=2.3×10、Mw/Mn=2.65、プロピレン含有量=3.3mol%;GI成分含有量=3.3wt%と見積もられた。融点(Tm)=230℃、結晶化度=50%。
(3)エチレン/プロピレン/一酸化炭素から構成される脂肪族ケトン系誘導体
[比較例1]
実施例3において、アセトンをメタノールに、PEG成分を液体プロピレン3gに替えた以外は、実施例3と同様な操作をおこなって、0.8gの脂肪族ケトン系高分子量体を得た。この脂肪族ケトン系重合体を解析した結果、実質上、エチレンの一部が6モル%プロピレンに置き換わった、一酸化炭素、エチレンおよびプロピレンのランダム3元共重合体であった。結晶化度は30%であった。
本発明の脂肪族ケトン系誘導体は、結晶性を高く(〜50%)保持しつつ、低融点化(230〜240℃)されており、溶融成形温度を低く抑えることができることが分かる。また、機能性発現基をその骨格中にブロック成分として有し、例えば、ポリエチレングリコール(親水性基)、従来の脂肪族ポリケトンに比し機能化されていることが分かる。
本発明を好ましい実施態様に関連して説明してきたが、当業者が容易に理解されるように本発明の原理及び範囲を逸脱することなく改変及び変更を実施し得ることを理解すべきである。従って、前記改変は本発明の範囲内で実施され得る。
本発明によって、高い結晶性を保持しつつ、工業的に利用し得る溶融成形性を有する脂肪族ケトン系誘導体、及び該脂肪族ケトン系誘導体からなる成形体を提供することが可能となった。該脂肪族ケトン系誘導体は、成形材料、エラストマー材料、分離膜、接着剤、シーラー、繊維(産業用繊維、織物、編物、不織布等)、等の機能材料として有用である。
脂肪族ケトン系誘導体(実施例2)のH−NMRスペクトル図である。 脂肪族ケトン系誘導体(実施例5)のH−NMRスペクトル図である。

Claims (6)

  1. 下記式(1)、下記式(2)、及び下記式(3)、並びに下記式(4)または下記式(5)で表されるユニットを含有する脂肪族ケトン系誘導体。

    Figure 2006316080
    Figure 2006316080
    Figure 2006316080
    Figure 2006316080
    Figure 2006316080
    (式中、R〜Rはそれぞれ同じでも異なっていても良く、水素、ハロゲンで置換されていても良い炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、イミド基、シリル基、または官能基(水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、イミド基、シリル基)で置換された炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる基である。また、RとRとは互いに結合して、単環または多環を形成していても良い。1≦n≦20、1≦n≦35,000、1≦n≦40,000。)
  2. 式(1)がエチレン由来のユニット、式(2)がエチレン性不飽和化合物由来のユニット、式(3)が一酸化炭素由来のユニット、式(4)がポリアルキレングリコール由来のユニット、及び式(5)がアルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体由来のユニットであることを特徴とする請求項1記載の脂肪族ケトン系誘導体。
  3. ポリアルキレングリコール由来のユニット又はアルコール基を含有する共役ジエン系高分子量体の水素付加体由来のユニットの含有量が0.01〜15重量%であることを特徴とする請求項2記載の脂肪族ケトン系誘導体。
  4. 該高分子量体が、GPC測定法による数平均分子量で200〜1,100,000の範囲にあることを特徴とする請求項1から3記載の脂肪族ケトン系誘導体。
  5. 式(2)がプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテンから選ばれるエチレン性不飽和化合物由来のユニットであることを特徴とする請求項1〜4記載の脂肪族ケトン系誘導体。
  6. 請求項1〜4記載の脂肪族ケトン系誘導体を含有することを特徴とする成形体。
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