JP2006316009A - 口腔内貼付剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 均質なシートを形成できる造膜性及び口腔粘膜に対する吸着性に優れた口腔内貼付剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン及びメチルセルロースと、水又は含水エタノールからなる溶媒との混合液より、溶媒を留去させてなる口腔内貼付剤であって、混合液中の質量比が下記式(1)
(B/2)≦A≦B (1)
(式中、Aはヒドロキシプロピルセルロースとポリビニルピロリドンとの合計配合量を100%としたときのメチルセルロース配合比率(質量%)、Bは上記溶媒中における水の比率(質量%)を示す。)
である口腔内貼付剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、均質なシートを形成できる造膜性及び口腔粘膜に対する吸着性に優れた口腔内貼付剤及びその製造方法に関するものである。
従来、口腔内貼付剤には造膜性が良好であるヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと略す場合がある。)を基剤としたものが提案されている(例えば、特許文献1:特開昭62−63513号公報)。また、このHPC基剤に、高い粘膜付着性を有するポリビニルピロリドン(以下、PVPと略す場合がある。)を加えた基剤を用いた口腔内貼付剤が提案されている(特許文献2:特開昭63−280014号公報、特許文献3:特開昭64−40423号公報)。
一般的には、口腔内貼付剤は、基剤や有効成分等の構成成分を水及び/又はエタノール等の溶媒中に溶解させて溶液を作製し、この溶液をPETフィルム等の剥離用フィルム上に塗工し、これを乾燥により該溶媒を留去することでシートを形成後、打ち抜き等の成型工程を経て完成する。ここで、溶媒がエタノールの場合は乾燥工程中で気泡が発生しやすいという不具合があり、溶媒が水及びエタノールの混合液である場合は、このような不具合がなく良好なシートを形成できる。
一方、HPCとPVPとの混合系を用いた場合には、溶媒が造膜性に影響する。すなわち、水又は含水エタノールの溶媒を使用した場合、HPCとPVPが海島状に分離する。その結果、シートが斑状になるとともに、パリパリと割れやすくなり造膜性が良好でない。
このようなことから、均質なシートを形成できる造膜性及び口腔粘膜に対する吸着性に優れた口腔内貼付剤が望まれていた。なお、本発明に関連する先行技術文献としては下記が挙げられる。
特開昭62−63513号公報 特開昭63−280014号公報 特開昭64−40423号公報 特開平2−59513号公報 特開2002−275066号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、均質なシートを形成できる造膜性及び口腔粘膜に対する吸着性に優れた口腔内貼付剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、基剤としてHPC及びPVPにメチルセルロース(以下、MCと略す場合がある。)を加えることで、造膜性が良好となり、製造性に優れること、さらには、MCの配合比率と、HPC等を溶解させる溶媒中における水の比率とをコントロールすることで、口腔粘膜への付着性、特に適用時の口腔粘膜への製剤の吸着性が良好になることを知見した。また、さらに界面活性剤を配合することにより、形成されたシートが均質になることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は
[1].ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン及びメチルセルロースと、水又は含水エタノールからなる溶媒との混合液から、溶媒を留去させてなる口腔内貼付剤であって、混合液中の質量比が下記式(1)
(B/2)≦A≦B (1)
(式中、Aはヒドロキシプロピルセルロースとポリビニルピロリドンとの合計配合量を100%としたときのメチルセルロース配合比率(質量%)、Bは上記溶媒中における水の比率(質量%)を示す。)
である口腔内貼付剤、
[2].ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン及びメチルセルロースと、水又は含水エタノールからなる溶媒とを、下記式(1)
(B/2)≦A≦B (1)
(式中、Aはヒドロキシプロピルセルロースとポリビニルピロリドンとの合計配合量を100%としたときのメチルセルロース配合比率(質量%)、Bは上記溶媒中における水の比率(質量%)を示す。)
を満たす質量比で混合し、この混合液を剥離用フィルムに塗布した後、上記溶媒を留去する請求項1記載の口腔内貼付剤の製造方法、
[3].ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、界面活性剤及び薬物を含有することを特徴とする口腔内貼付剤、
[4].薬物が難溶性薬物であることを特徴とする[3]記載の口腔内貼付剤、
[5].口臭防止用又は眠気防止用の口腔用貼付剤である[1]、[3]又は[4]記載の口腔内貼付剤
を提供する。
本発明によれば、均質なシートを形成できる造膜性及び口腔粘膜に対する吸着性に優れた口腔内貼付剤及びその製造方法を提供することができる。
本発明の第1の口腔内貼付剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン及びメチルセルロースと、水又は含水エタノールからなる溶媒との混合液から、溶媒を留去させてなる口腔内貼付剤であって、混合液中の質量比が下記式(1)
(B/2)≦A≦B (1)
(式中、Aはヒドロキシプロピルセルロースとポリビニルピロリドンとの合計配合量を100%としたときのメチルセルロース配合比率(質量%)、Bは上記溶媒中における水の比率(質量%)を示す。)
である。
本発明の口腔内貼付剤は、主基剤成分として、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)及びメチルセルロース(MC)を使用する。この3成分を組み合わせることによって、層分離が発生せず造膜性が良好となる。本発明においては、HPC、PVP及びMCと、水又は含水エタノールからなる溶媒との混合液中の、ヒドロキシプロピルセルロースとポリビニルピロリドンとの合計配合量を100%としたときのメチルセルロース配合比率(質量%)を「A」とし、該溶媒中の水の比率(質量%)を「B」としたとき、(B/2)≦A≦Bである。この範囲とすることで、口腔粘膜への付着性が向上する。ここで、A<(B/2)の場合は、造膜性が不十分でありシートは形成するものの、HPCとPVPとの層分離に起因する不均質状態となるとともに、口腔粘膜への製剤の吸いつきも不十分となる。一方、B<Aの場合は、造膜性は良好であるが、口腔粘膜への製剤の吸いつきは不十分となる。従って、造膜性と口腔粘膜への吸いつきを両立するためには(B/2)≦A≦Bとする必要がある。
溶媒中の水の比率(質量%)Bは、0<B<60の範囲が好ましく、より好ましくは4<B<60である。この範囲で、特に造膜性及び口腔粘膜に対する吸着性に優れ、Bが4以下だと製造時の乾燥工程で気泡が入る場合がある。
HPC/PVPの質量比率は、HPC/PVP=70/30〜30/70が好ましく、より好ましくは35/65〜65/35である。PVPが少ないと付着性が弱くなる場合があり、HPCが少ないと保形性が悪くなる場合がある。
HPC、PVP及びMCの合計配合量は、10〜99質量%が好ましく、より好ましくは20〜95質量%であり、さらに好ましくは30〜90質量%である。なお、この合計配合量は、口腔内貼付剤が乾燥して調製される場合は、乾燥調製後の口腔内貼付剤の全質量(剥離用フィルム等は含まない)に対する合計配合量である。
本発明の口腔内貼付剤には、上記のHPC、PVP及びMCの他に、本発明の効果を損なわない範囲で、水溶性高分子化合物を1種単独で又は2種以上を適且組み合わせて配合することができる。水溶性高分子化合物としては、特に限定されないが、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラヤガム、キサンタンガム、ジェランガム、大豆多糖類、トラガントガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(Na,K等の一価塩)、カードラン、寒天、グアーガム、グルコマンナン、タマリンドシードガム、タラガム、澱粉、ローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、水溶性ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール、デキストリン等が挙げられる。水溶性高分子化合物の配合量は、口腔内貼付剤中0〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%である。
さらに、口腔内貼付剤に柔軟性を付与するための可塑剤を配合することが好ましい。可塑剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、アセチルエタノールアミン等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適且組み合わせて用いることができる。これらの中では、特にプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコールが好ましい。可塑剤の配合量は、口腔内貼付剤中0〜40質量%が好ましく、より好ましくは0〜20質量%であり、配合量の好ましい下限は1質量%以上である。
本発明の口腔内貼付剤には薬物を配合し、口臭防止剤等の各種製剤とすることができる。例えば、口臭防止を目的とする、口臭防止用の口腔内貼付剤とする場合は、口臭防止成分を1種単独で又は2種以上を適且組み合わせて配合することが好ましい。用いられる口臭防止成分としては、菌代謝阻害剤、消臭剤、唾液分泌促進剤、殺菌剤等の薬物及びマスキング香料が挙げられる。
口臭防止成分としては、サイクロデキストリン、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸及びその塩、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、銅クロロフィリンナトリウム、カテキン、ポリフェノール、フラボノイド、グルコン酸銅、クエン酸銅、リンゴ酸銅等の銅塩、ローズマリー、セージ、タイム、オレガノ、マジョラム、シソ、セーボリー等のシソ科植物、コラエキス、サンショウエキス、チョウジ、オウレン、レンギョウ、タンニン酸、没食子酸、甜茶、車前草、ジコッピ、ニンドウ、ディル、オウゴン、メース、アラメ、カキノハ、ビタミンC、ビタミンE、重曹、サラダ油、リノール酸、トリクロサン、ビオゾール、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。口臭防止成分の配合量は、口腔内貼付剤中0.001〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜20質量%である。
マスキング香料としては、メントール、メントール誘導体、イソプレゴール等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適且組み合わせて用いることができる。好ましいマスキング香料はl−メントールである。マスキング香料を配合する場合、その配合量は、口腔内貼付剤中0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは5〜10質量%である。
眠気防止用の口腔用貼付剤とする場合には、眠気防止成分を1種単独で又は2種以上を適且組み合わせて配合することが好ましい。眠気防止成分としては、カフェイン、無水カフェイン、クエン酸カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン、塩酸チアミン、グルクロノラクトン、l−メントールが挙げられる。
また、口臭防止及び眠気防止以外の効果を目的とする製剤、例えば、解熱鎮痛剤、総合感冒薬、催眠鎮静剤、小児鎮静剤、鎮咳居痰剤、口内炎用剤、歯痛・歯槽膿漏用剤、うがい薬、抗アレルギー剤、鼻炎用剤、点鼻薬、鎮暈薬、胃腸薬、ビタミン剤等にすることもできる。
口腔内貼付剤に配合する薬物は、目的とする効能・効果に応じて適宜選択すればよい。それらの薬物としては、抗菌物質、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗ウィルス剤、抗真菌生物剤、麻酔剤、免疫抑制剤、代謝拮抗剤、駆虫剤、アメーバ撲滅剤、鎮痛剤、抗関節炎剤、抗精神病剤、抗高血圧剤、筋弛緩剤等が挙げられ、さらに具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アセトアミノフェン、アスピリン、アミノ安息香酸エチル、アミノエチルスルホン酸、液状フェノール、エテンザミド、塩化デカリニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化リゾチーム、塩酸クロルヘキシジン、塩酸チアミン、塩酸ナファゾリン、塩酸ピリドキシン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸フェニレフリン、塩酸プソイドエフェドリン、塩酸メクリジン、塩酸リドカイン、グリチルリチンジカリウム、グリチルレチン酸、塩化セチルピリジニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、デキストロメトルファンフェノールフタリン塩、dl−塩酸メチルエフェドリン、カフェイン、無水カフェイン、キキョウエキス、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、クレゾールスルホン酸カリウム、グリセリン、グルクロノラクトン、グルコン酸カルシウム、グルコン酸クロルヘキシジン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、サリチル酸ジフェンヒドラミン、チモール、銅クロロフィリンナトリウム、酢酸トコフェロール、臭化水素酸スコポラミン、炭酸水素ナトリウム、トラネキサム酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ノスカピン、ハッカ油、パントテン酸カルシウム、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ブロムワレリル尿素、ベラドンナ総アルカロイド、ポピドンヨード、マレイン酸クロルフェニラミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、l−メントール、dl−メントール、リボフラビン、ロートエキス、ヨウ素、リン酸ジヒドロコデイン、ホセキシチン、N−ホルムアミドイルチェナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、カルベニシリン、コリスチン、ペニシリンG、ポリマイキシンB、バンコマイシン、セハゾリン、セファロリジン、チブロリハマイシン、グラミシジン、バシトラシン、スルホンアミド、ゲンタマイシン、カナマイシン、アミカシン、シソミシン、トブラマイシン、ナリジキシックアシッド、ノルフロキサシン、フルダラニン、ニトロフラゾン、ピリルアミン、クロルフェニラミン、テトラヒドラゾリン、アンタゾリン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、ベータメタソン、デキサメタソン、デキサメタソンリン酸ナトリウム、プレドニソン、メチルプレドニソロン、メドリソン、フルオロメトロン、フルオコルトロン、プレドニソロン、プレドニソロンリン酸ナトリウム、トリアムシノロンアセトニド、シコンエキス、インドメタシン、スリンダック、エコチオフェート、サリチル酸フィソスチグミン、ジイソプロピルフルオロフォスファート、エピネフリン、ジピボリルエピネフリン、ネオスチグミン、ヨウ化エコチオペート、臭化デメカリウム、カルバコール、メタコリン、ベタネコール、アトロピン、ホマトロピン、スコポラミン、エフェドリン、コカイン、トロピカミド、フェニルエフリン、シクロペントレート、オキシフェノニウム、オイカトロピン、チモロール、グリセロール、尿素、イベルメクチン、ピリメタミン、トリサルファピリミジン、クリンダマイシン、アシクロビル、5−ヨード−2−デオキシウリジン、アデノシンアラビノシド、トリフルオロチミジン、インターフェロン、アセタゾールアミド、ジクロルフェンアミド、アムフォテリシンB、ニスタチン、フルシトシン、ナタマイシン、ミコナゾール、エチドカインコカイン、ベノキシネート、塩酸ジブカイン、塩酸ジクロニン、ナエパイン、塩酸フェナカイン、ピペロカイン、塩酸プロパラカイン、塩酸テトラカイン、ヘキシルカイン、ブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、ローズベンガル、アドレナリン、ヒドロキシアンフェタミン、ピロカルピン、キモトリプシン、EDTA、デフェロキサミン、メソトレキセート、シクロフォスファミド、アザチオプリン、インシュリン等が例示される。これらは1種単独で又は2種以上を適且組み合わせて用いることができ、配合する場合、その配合量は全体で口腔内貼付剤中0.005〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜20質量%である。
本発明の口腔貼付剤には界面活性剤を配合することが好ましい。界面活性剤を配合することによって、難溶性薬物を可溶化、乳化又は分散し、より均質な製剤を得ることができる。難溶性薬物は、日本薬局方又は日本薬局方外医薬品規格で、「やや溶けにくい」、「溶けにくい」、「極めて溶けにくい」、「ほとんど溶けない」とされている薬物である。具体的には、水に溶けにくい(水不溶性)薬物としては、グリチルレチン酸、アミノ安息香酸エチルが挙げられ、エタノールに溶けにくい薬物としては、無水カフェイン、カフェイン、グアヤコールスルホン酸カリウム、クレゾールスルホン酸カリウム、臭化水素酸スコポラミン、塩酸チアミン、グルクロノラクトンが挙げられ、両者に溶けにくい薬物としては、デキストロメトルファンフェノールフタリン塩、トリアムシノロンアセトニド、塩酸メクリジン、クエン酸フェンタニル等が挙げられる。好ましい界面活性剤はノニオン界面活性剤であり、薬物の可溶化力・安定性の点からグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が好ましい。界面活性剤は1種単独で又は2種以上を適且組み合わせて用いることができ、その配合量は、口腔内貼付剤中0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
本発明の口腔貼付剤には香料成分を配合することが好ましい。例えば、天然香料として、マスティック油、パセリ油、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、ベイ油、レモングラス油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等が挙げられる。
単品香料としては、l−メントール、dl−メントール、メントール誘導体、dl−カンフル、カルボン、アネトール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルアンスラニレート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、エチノンアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラールトリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等が挙げられる。単品香料及び/又は天然香料も含む調合香料として、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、ライチフレーバー等が挙げられる。また、香料の形態は、精油、抽出物、固形物、又はこれらを噴霧乾燥した粉体でもよい。
さらに、甘味料を配合することができる。例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、還元麦芽糖水アメ、粉末還元麦芽糖水アメ、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、ハチミツ、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン及びサッカリンナトリウムから選ばれる1種又は2種以上を配合するのが好ましい。口腔貼付剤の製剤が小さいことから、高甘味度甘味料であるアスパルテーム、キシリトール及びサッカリンナトリウム等から選ばれる1種又は2種以上を配合するのがより好ましい。その配合量は、口腔内貼付剤中0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜7質量%である。
本発明の第2の口腔内貼付剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、界面活性剤及び薬物を含有する口腔内貼付剤である。各成分は上記で示したものである。
本発明の口腔内貼付剤は通常シート状として調製され、口腔粘膜に貼付して使用することができる。その製造方法としては、上述した成分を水又は含水エタノールに溶解乃至は分散させ、これを剥離用フィルムにキャスティングし、乾燥する方法を採用し得るが、これに限定されない。製造方法としては、第1の口腔内貼付剤の製造方法である、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン及びメチルセルロースと、水又は含水エタノールからなる溶媒とを、下記式(1)
(B/2)≦A≦B (1)
(式中、Aはヒドロキシプロピルセルロースとポリビニルピロリドンとの合計配合量を100%としたときのメチルセルロース配合比率(質量%)、Bは上記溶媒中における水の比率(質量%)を示す。)
を満たす質量比で混合し、この混合液を剥離用フィルムに塗布した後、上記溶媒を留去する方法が好ましい。
上記比率のヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン及びメチルセルロース、並びにその他の成分を、上記比率となる水又は含水エタノールからなる溶媒と混合して、成分等を溶媒に溶解乃至は分散させて混合液(キャスティング溶液)を得る。この混合液を剥離用フィルムに塗工、キャスティングし、乾燥して上記溶媒を留去する方法を採用し得る。剥離用フィルムは特に限定されないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)等が用いられる。
乾燥して得られた口腔内貼付剤中の水分量は、上限は好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。下限は、好ましくは0質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。この範囲で、特にべたつき等の不具合がなく、しかも柔軟性に優れ口腔粘膜への、吸着性・貼付感に優れた良好な口腔内貼付剤が得られる。
口腔内貼付剤の厚みは200〜5,000μmが好ましい。より好ましくは300〜1,000μmである。5,000μmより厚い場合は、口腔内貼付剤の柔軟性が失われて口腔内に違和感を感じさせ、200μmより薄い場合は、口腔内貼付剤がすぐに溶けてしまい、十分な持続効果が得られない場合がある。なお、その大きさは粘膜に適用しやすい適宜な大きさとすることができ、0.1〜10cm2程度の大きさとすることが、有効性と貼付時の使用感の点から好ましい。
以上の口腔内貼付剤は、一層形態であるが、目的とする口腔内への付着性及び口腔内での溶解性を実現するために、口腔内貼付剤を適宜積層化することもできる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
キャスティング溶液の調製
ユーカリ油0.3gにレモン油5.2g、ハッカ油3.1g、l−メントール14.6g、ポリソルベート80 1gを十分混合・溶解し、溶液Aとした。別途、塩化セチルピリジニウム1g、ローズマリーエキス0.05g、グリチルリチン酸ジカリウム2.5g、アスパルテーム0.04g、キシリトール3.1g、サッカリンナトリウム2.5gを適量の水に溶解し、溶液Bとした。残りの水(水合計225g)及びエタノール225gにHPC21g、PVP26g、MC19g、マクロゴール400 8g、サンショウエキス0.05gを投入溶解し、溶液Cとした。この溶液Cを撹拌しながら溶液Bを投入混合し、さらに撹拌しながら溶液Aを投入混合してキャスティング溶液を得た。
塗工、乾燥
50μm厚のPET(ポリエチレンテレフタレート)表面に上記キャスティング溶液を展延し、70℃の熱風乾燥機にて乾燥して、約600μm厚のシート(水分量5質量%)を作製し、14mmφにカットして、口腔内貼付剤を得た。
[実施例2〜24、比較例1〜11]
表1〜4に示す組成で、実施例1の製造方法に準じて約300〜5000μm厚のシートを作製し、14mmφにカットして口腔内貼付剤を得た。なお、表中の口腔内貼付剤の質量は、乾燥後に得られた口腔用貼付剤であって、PETは含まない。「*」は各式の範囲内を「〇」、範囲外を「×」で示す。
得られた口腔内貼付剤について、下記方法で造膜性の評価及び口腔粘膜への吸着性について評価した。
<造膜性>
下記基準にて官能により評価した。
○:均質なシートを形成している。
△:シートになるが、ムラがあり均質でない。
×:シートにならない。
<口腔粘膜への吸着性>
口腔内貼付剤を舌に乗せ、この製剤を上あご粘膜に接触させたときに、製剤が粘膜に吸いつく状況を官能により評価した。
◎:速やかに強く吸いついた。
○:速やかに吸いついた。
△:押し付けると吸いついた。
×:吸いつかない。
なお、目視で確認したところ、界面活性剤を含有する実施例1〜23は、界面活性剤を含有しない実施例24に比べ、より均質なシートとなった。
Figure 2006316009
Figure 2006316009
Figure 2006316009
Figure 2006316009
表中の略号等を下記に示す。
HPC:ヒドロキシプロピルセルロース
PVP:ポリビニルピロリドン
MC:メチルセルロース
HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース
PVA: ポリビニルアルコール
HEC:ヒドロキシエチルセルロース
CVP:カルボキシビニルポリマー
PANa:ポリアクリル酸ナトリウム
CMC−Na:カルボキシメチルセルロースナトリウム
マクロゴール400:ポリエチレングリコール400
ポリソルベート80:モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)

Claims (5)

  1. ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン及びメチルセルロースと、水又は含水エタノールからなる溶媒との混合液から、溶媒を留去させてなる口腔内貼付剤であって、混合液中の質量比が下記式(1)
    (B/2)≦A≦B (1)
    (式中、Aはヒドロキシプロピルセルロースとポリビニルピロリドンとの合計配合量を100%としたときのメチルセルロース配合比率(質量%)、Bは上記溶媒中における水の比率(質量%)を示す。)
    である口腔内貼付剤。
  2. ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン及びメチルセルロースと、水又は含水エタノールからなる溶媒とを、下記式(1)
    (B/2)≦A≦B (1)
    (式中、Aはヒドロキシプロピルセルロースとポリビニルピロリドンとの合計配合量を100%としたときのメチルセルロース配合比率(質量%)、Bは上記溶媒中における水の比率(質量%)を示す。)
    を満たす質量比で混合し、この混合液を剥離用フィルムに塗布した後、上記溶媒を留去する請求項1記載の口腔内貼付剤の製造方法。
  3. ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、界面活性剤及び薬物を含有することを特徴とする口腔内貼付剤。
  4. 薬物が難溶性薬物であることを特徴とする請求項3記載の口腔内貼付剤。
  5. 口臭防止用又は眠気防止用の口腔用貼付剤である請求項1、3又は4記載の口腔内貼付剤。
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