JP2006314287A - ミトコンドリアチトクロムb大サブユニット構成遺伝子のmRNAの選択的スプライシングバリアントの測定方法及びそのための核酸 - Google Patents
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Abstract
【課題】 被検試料中の新規なヒトSDHCのmRNAの選択的スプライシングバリアントの測定方法、それに用いることができる新規核酸並びに該方法を実施するための手段を提供すること。
【解決手段】 (1)エクソン2及びエクソン3を欠失した、ヒトミトコンドリアチトクロムb大サブユニット構成遺伝子(SDHC)のmRNAの選択的スプライシングバリアント、(2)エクソン3のみを欠失した、ヒトSDHCのmRNAの選択的スプライシングバリアント及び(3)エクソン5を欠失した、ヒトSDHCのmRNAの選択的スプライシングバリアントを正常mRNAと識別して測定することを含む、被検試料中のSDHC構成遺伝子のmRNAの選択的スプライシングバリアントの測定方法を提供した。
【選択図】 なし
【解決手段】 (1)エクソン2及びエクソン3を欠失した、ヒトミトコンドリアチトクロムb大サブユニット構成遺伝子(SDHC)のmRNAの選択的スプライシングバリアント、(2)エクソン3のみを欠失した、ヒトSDHCのmRNAの選択的スプライシングバリアント及び(3)エクソン5を欠失した、ヒトSDHCのmRNAの選択的スプライシングバリアントを正常mRNAと識別して測定することを含む、被検試料中のSDHC構成遺伝子のmRNAの選択的スプライシングバリアントの測定方法を提供した。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ミトコンドリアチトクロムb大サブユニット構成遺伝子のmRNAの選択的スプライシングバリアントの測定方法、該方法に用いることができる新規核酸、該方法に用いられる測定用核酸及び該方法に用いられる測定用キット、並びに前記測定方法による癌の検出方法に関する。
ミトコンドリアチトクロムb大サブユニットを構成する遺伝子は、succinate dehydrogenase complex, subunit C (SDHC)と呼ばれ、ヒトSDHC遺伝子及びその塩基配列は既に公知である(GenBank Accession No. NM_003001、配列番号3)。線虫のSDHC遺伝子であるmev-1遺伝子は、その点突然変異により、リポフスチンが蓄積して老化現象が起き、酸素感受性短寿命が誘導されることが確認されている(非特許文献1)。また、マウスSDHCをノックアウトすると高率に癌が発生することも解明されている(非特許文献2)。
Nature 394, 694-697, 1988
Cancer Res., 65, 203-209, 2005
本発明の目的は、被検試料中の新規なヒトSDHCのmRNAの選択的スプライシングバリアントの測定方法、それに用いることができる新規核酸並びに該方法を実施するための手段を提供することである。さらに、本発明の目的は、新規な酸化ストレスの測定方法及び癌の検出方法を提供することである。
本願発明者は、鋭意研究の結果、(1)エクソン2及びエクソン3を欠失した、ヒトSDHCのmRNAの選択的スプライシングバリアント、(2)エクソン3のみを欠失した、ヒトSDHCのmRNAの選択的スプライシングバリアント及び(3)エクソン5を欠失した、ヒトSDHCのmRNAの選択的スプライシングバリアントを見出し、それらの塩基配列を決定した。さらに、癌細胞中では、該選択的スプライシングバリアントを多く発現していることを確認し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、生体から分離した被検試料中の、配列表の配列番号1、5又は7に示される塩基配列をコード領域として含むmRNAを、配列番号3に示される塩基配列を有するmRNAと識別して測定することを含む、被検試料中のミトコンドリアチトクロムb大サブユニット構成遺伝子のmRNAの選択的スプライシングバリアントの測定方法を提供する。また、本発明は、配列番号1、5又は7に示される塩基配列を有する核酸とはハイブリダイズするが、配列番号3に示す塩基配列を有する核酸が共存していても該核酸とはハイブリダイズしない核酸又は配列番号3に示す塩基配列から成る核酸とハイブリダイズした場合にその3’末端がミスマッチとなる核酸を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の核酸から成る、ミトコンドリアチトクロムb大サブユニット構成遺伝子のmRNAの選択的スプライシングバリアントの測定用核酸を提供する。さらに、本発明は、測定用核酸を含む、ミトコンドリアチトクロムb大サブユニット構成遺伝子のmRNAの選択的スプライシングバリアントの測定用キットを提供する。さらに、本発明は、上記本発明の方法により、生体から分離した被検試料中のミトコンドリアチトクロムb大サブユニット構成遺伝子のmRNAの選択的スプライシングバリアントを測定することを含む、酸化ストレスの測定方法を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の方法により、生体から分離した被検試料中のミトコンドリアチトクロムb大サブユニット構成遺伝子のmRNAの選択的スプライシングバリアントを測定することを含む、癌の検出方法を提供する。
本発明により、ヒトSDHCのmRNAの新規な選択的スプライシングバリアントが見出され、その測定方法、該測定に利用可能な新規核酸及び該測定方法を実施するための手段が提供された。本発明により見出された新規な選択的スプライシングバリアントは、少なくともいずれかのエクソンの全部がそっくり欠失しているため、その転写産物は正常な機能を有していないものと考えられ、少なくともエクソン2及び3を欠失している選択的スプライシングバリアントは癌細胞においてその発現量が増大していることが確認された。したがって、本願発明により、新規な癌の検出方法も提供された。
ヒトSDHC遺伝子は、染色体1q21上の49kbpの遺伝子から1315bpのmRNA(エクソン6個)が転写され、169アミノ酸が翻訳される。そのcDNAの塩基配列及びそれがコードする推定アミノ酸配列は公知であり(GenBank Accession No. NM_003001)、配列表の配列番号3に示されている。配列番号3に示す塩基配列において、5'末端から1番目の塩基(本明細書及び特許請求の範囲において、「1nt」のように表示する。他の位置の塩基も同様に5'末端から何番目に位置するかの数字にntを付けて表示する)から46ntまでがエクソン1、47nt〜103ntがエクソン2、104nt〜205ntがエクソン3、206nt〜267ntがエクソン4、268nt〜431ntがエクソン5、432nt以降がエクソン6である。
下記実施例に記載するように、本願発明者は、ヒトSDHC遺伝子のcDNAのエクソン1及びエクソン6にプライマーを設定してPCRにより増幅し、増幅産物を検出していたところ、予想されるサイズよりも分子量の小さな増幅産物が複数種類検出されることに気付いた。これらの増幅産物を分離してその塩基配列を決定した。この増幅産物中のコード領域の塩基配列及びそれがコードする推定アミノ酸配列を配列表の配列番号1、5及び7に示す。なお、下記実施例に具体的に記載するように、配列番号1に示す塩基配列をコード領域として含むmRNAは、ヒト大腸癌細胞株から分離された。また、配列番号5又は7に示す塩基配列をコード領域として含むmRNAは、ヒト肝臓癌細胞株から分離された。
配列番号1の塩基配列と、配列番号3の塩基配列中のコード領域を比較検討したところ、配列番号1の塩基配列は、配列番号3の塩基配列中のコード領域中の上記エクソン2及びエクソン3の全領域がそっくり欠失したものであることがわかった。すなわち、配列番号1の塩基配列中、1nt〜20ntがエクソン1、21nt〜82ntがエクソン4、83nt〜246ntがエクソン5、247nt以降がエクソン6である。したがって、配列番号1の塩基配列中、20ntと21ntの間は、正常型のmRNAには存在しないエクソン1とエクソン4の融合点である。この融合点は、本発明により見出された、配列番号1に示す塩基配列をコード領域として含む第1の選択的スプライシングバリアント(以下、便宜的に「バリアントA」と呼ぶことがある)にのみ存在するので、本明細書及び特許請求の範囲において、「エクソン1/4特異的融合点」と呼ぶことがある。なお、配列番号1に示す塩基配列は、mRNAのコード領域だけを取り出して示すものであり、この直ぐ下流に終止コドンtgaが続き、そのさらに下流には配列番号3の537nt以降と同様な3’非コード領域が続く。また、配列番号1の上流にも、配列番号3の27ntよりも上流と同様な5’非コード領域が続く。後述する配列番号5及び配列番号7に示す塩基配列をコード領域として含むmRNAについても同様である。
配列番号5の塩基配列と、配列番号3の塩基配列中のコード領域を比較検討したところ、配列番号5の塩基配列は、配列番号3の塩基配列中のコード領域中の上記エクソン3の全領域がそっくり欠失したものであることがわかった。すなわち、配列番号5の塩基配列中、1nt〜20ntがエクソン1、21nt〜77ntがエクソン2、78nt〜139ntがエクソン4、140nt〜303ntがエクソン5、304nt以降がエクソン6である。したがって、配列番号5の塩基配列中、77ntと78ntの間は、正常型のmRNAには存在しないエクソン2とエクソン4の融合点である。この融合点は、本発明により見出された、配列番号5に示す塩基配列を有する第2の選択的スプライシングバリアント(以下、便宜的に「バリアントB」と呼ぶことがある)にのみ存在するので、本明細書及び特許請求の範囲において、「エクソン2/4特異的融合点」と呼ぶことがある。
配列番号7の塩基配列と、配列番号3の塩基配列のコード領域を比較検討したところ、配列番号7の塩基配列は、配列番号3の塩基配列のコード領域中の上記エクソン5の全領域がそっくり欠失したものであることがわかった。すなわち、配列番号7の塩基配列中、1nt〜20ntがエクソン1、21nt〜77ntがエクソン2、78nt〜179ntがエクソン3、180nt〜241ntがエクソン4、242nt以降がエクソン6である。したがって、配列番号7の塩基配列中、241ntと242ntの間は、正常型のmRNAには存在しないエクソン4とエクソン6の融合点である。この融合点は、本発明により見出された、配列番号5に示す塩基配列を有する第3の選択的スプライシングバリアント(以下、便宜的に「バリアントC」と呼ぶことがある)にのみ存在するので、本明細書及び特許請求の範囲において、「エクソン4/6特異的融合点」と呼ぶことがある。
本発明により見出されたバリアントA、B及びCでは、少なくともいずれか1つのエクソンの全領域がそっくり欠失しているので、その転写産物は正常な機能を有していないものと考えられ、下記実施例に記載するように、少なくともバリアントAでは、癌細胞においてその発現量が増大していることが確認された。したがって、生体から分離した被検試料中の、該選択的スプライシングバリアントを測定することにより、癌の検出が可能である。
本発明のヒトSDHCのmRNAの選択的スプライシングバリアントの測定方法では、生体から分離した被検試料中の、配列表の配列番号1に示される塩基配列をコード領域として有するmRNA(以下、例えば配列番号1に示される塩基配列をコード領域として有するmRNA、cDNA、核酸等を「配列番号1のmRNA、cDNA、核酸」等のようにように略記することがある)を、配列番号3のmRNAと識別して測定することを含む。なお、配列番号1の塩基配列は、mRNA及びそれを鋳型として得られるcDNAの塩基配列を兼用して示すものであり、mRNAを示す場合には、当然ながら、チミン(t)に代えてウラシル(u)が含まれるので、tをuに読み替える。また、「測定」には、定量、半定量及び検出が包含される。さらに、「mRNAを測定する」ことには、mRNAを直接的に測定する場合も、mRNAを一旦cDNAに変換して測定する場合(後述するRT-PCR等)や、mRNAの翻訳産物を測定する場合のように、mRNAを間接的に測定する場合も包含される。また、「塩基配列を有する」とは、その核酸がそのような塩基配列で並んでいるという意味である。
なお、配列表には、規則により、2本鎖核酸であってもそのうちの一本鎖(ポリペプチドをコードする核酸ではセンス鎖)のみを記載することになっている。このため、2本鎖核酸の場合には、配列表に現実に記載されている配列は1本鎖であっても、実際にはその相補鎖も配列表に記載されていると解することができる。したがって、本願特許請求の範囲及び明細書においても、ある配列番号で示される塩基配列を有する核酸が2本鎖核酸である場合又は2本鎖核酸であってもよい場合には、その配列番号に示す塩基配列は、文脈上そうでないことが明らかでない場合を除き、その相補鎖をも包含するものと解釈する。例えば、「配列番号1に示す塩基配列とハイブリダイズする核酸」とは、配列番号1に現実に記載されているセンス鎖にハイブリダイズする核酸又は該センス鎖に相補的なアンチセンス鎖にハイブリダイズする核酸を意味する。
配列番号1、5又は7のmRNAと配列番号3のmRNAは、その塩基配列が異なり、その相違点も明確になっており、分子量も異なるので、配列番号1、5又は7のmRNAを配列番号3のmRNAと識別して測定することは当業者にとって容易であり、種々の方法により可能である。例えば、エクソン1内とエクソン6以降の領域にプライマーを設定して逆転写PCR(RT-PCR)を行い、増幅産物の分子量に基づいて、そのmRNAが正常型か選択的スプライシングバリアントかを識別してmRNAを測定することができる。この場合、バリアントA、B及びC間でも分子量が異なっているので、スプライシングバリアント間の識別も同時に可能である。あるいは、得られた増幅産物について塩基配列を決定してもよい(ダイレクトシーケンス)。この場合にも、当然ながらスプライシングバリアント間の識別も同時に可能である。
配列番号1、5又は7のmRNAには、上記の通り、正常型mRNAには存在しない特異的融合点がそれぞれ存在するので、これらの特異的融合点の存在を指標にして選択的スプライシングバリアントを測定することができる。すなわち、配列番号1に示される塩基配列の20ntと21ntの間にあるエクソン1/4特異的融合点の存在を指標として配列番号1に示される塩基配列をコード領域として含むバリアントAを測定することができる。同様に、配列番号5に示される塩基配列の77ntと78ntの間にあるエクソン2/4特異的融合点の存在を指標として配列番号5に示される塩基配列をコード領域として含むバリアントBを測定することができる。同様に、配列番号7に示される塩基配列の241ntと242ntの間にあるエクソン4/6特異的融合点の存在を指標として配列番号7に示される塩基配列をコード領域として含むバリアントCを測定することができる。
これらの特異的融合点を指標として選択的スプライシングバリアントを測定する好ましい方法としては、これらの特異的融合点を含む領域にハイブリダイズするプライマーを用いた核酸増幅法を用いる方法及びこれらの特異的融合点を含む領域にハイブリダイズするプローブを用いる方法を挙げることができる。
核酸増幅法を用いる方法は、前記エクソン1/4特異的融合点、エクソン2/4特異的融合点又はエクソン4/6特異的融合点を含む領域に設定したプライマーを一方のプライマーとして用いる核酸増幅法により配列表の配列番号1、5又は7に示される塩基配列をコード領域として含むmRNA又はそのcDNAの部分領域を特異的に増幅し、増幅産物を測定することを含む。なお、ここで、「領域に設定した」とは、その領域とハイブリダイズするという意味であり、また、PCRのような核酸増幅法により増幅される核酸は二本鎖であるから、上記の通り、各配列番号に現実に示されているセンス鎖にハイブリダイズするプライマー(リバース側プライマー)を用いる場合と、該センス鎖に相補的なアンチセンス鎖にハイブリダイズするプライマー(フォワード側プライマー)を用いる場合の両者が包含される。したがって、例えば、「エクソン1/4特異的融合点を含む領域に設定したプライマー」とは、配列番号1に現実に示されたセンス鎖のエクソン1/4特異的融合点を含む領域にハイブリダイズするプライマー(リバース側プライマー)又は該プライマーに相補的な塩基配列を有するプライマー(フォワード側プライマー)を意味する。また、「特異的に増幅する」とは、配列番号1、5又は7に示される塩基配列をコード領域として含むmRNA又はそのcDNAの部分領域は増幅されるが、配列番号3に示される塩基配列を有するmRNA又はそのcDNAの部分領域は増幅されないことを意味する。
鋳型となるmRNAの部分領域と同じ塩基配列(ただしuはtになる)を有するDNAを増幅する核酸増幅法の好ましい例として、逆転写PCR(RT-PCR)を挙げることができる。RT-PCRでは、細胞からmRNAを常法により抽出し、逆転写酵素によりmRNAを鋳型として第一鎖cDNAを生成させ、この第一鎖cDNAを鋳型として相補鎖を生成させて二本鎖cDNAを得る。次いで、得られた二本鎖cDNAを鋳型としてPCRを行い、該cDNA又はその部分領域を増幅する。RT-PCR自体は周知であり、そのためのキットや装置も市販されているので容易に実施することができる。選択的スプライシングバリアント由来のcDNAを特異的に増幅するために、上記した特異的融合点を含む領域に設定したプライマーを一方のプライマーとして用いる。他方のプライマーは、増幅すべきスプライシングバリアントの任意の領域に設定することができる。なお、プライマーのサイズは特に限定されないが、通常10〜50塩基程度であり、好ましくは15〜40塩基程度である。
例えば、配列番号1のmRNAをRT-PCRにより測定する場合、配列番号1に示す塩基配列中のエクソン1/4特異的融合点を含む領域に設定したプライマーを一方のプライマー(フォワード側プライマーでもリバース側プライマーでもよい)として用いる。ここで、バリアントA由来のcDNAを特異的に増幅するためには、該プライマーは、配列番号1のcDNAにはハイブリダイズするが、配列番号3のcDNAにはハイブリダイズしないものを用いることが好ましい。ここで「ハイブリダイズする」とは、下記実施例において具体的に記載されるような、通常のPCRのアニーリング条件下においてハイブリダイズするという意味である。配列番号1のcDNAにはハイブリダイズするが、配列番号3のcDNAにはハイブリダイズしないことを確保するために、その少なくとも20%以上ずつがエクソン1及びエクソン4内の領域とそれぞれハイブリダイズするものであることが好ましい。あるいは、配列番号3のcDNAとハイブリダイズした場合には、プライマーの3’末端がミスマッチとなるプライマーを用いることが好ましい。たとえ配列番号3のcDNAとハイブリダイズしても、プライマーの3’末端がミスマッチであれば増幅は実質的に起きない。さらには、その少なくとも20%以上ずつがエクソン1及びエクソン4内の領域とそれぞれハイブリダイズするものであって、かつ、その3’末端が配列番号3のcDNAとはミスマッチになるプライマーを用いることが特に好ましい。以上のようなプライマーを一方のプライマーとして用いることにより、配列番号3のcDNAの共存下であっても配列番号1のcDNAのみを特異的に増幅することができる。なお、プライマーとしては、プライマーがハイブリダイズする配列番号1の塩基配列中の領域と完全に相補的なものが好ましいが、通常、10%以下程度のミスマッチがあってもプライマーとして利用できる場合が多い(ただし、上記の通りプライマーの3’末端が不一致となるものは除く)。
同様に、配列番号5のmRNAをRT-PCRにより測定する場合、配列番号5に示す塩基配列中のエクソン2/4特異的融合点を含む領域に設定したプライマーを一方のプライマー(フォワード側プライマーでもリバース側プライマーでもよい)として用いる。ここで、選択的スプライシングバリアント由来のcDNAを特異的に増幅するためには、該プライマーは、配列番号5のcDNAにはハイブリダイズするが、配列番号3のcDNAにはハイブリダイズしないものを用いることが好ましい。配列番号5のcDNAにはハイブリダイズするが、配列番号3のcDNAにはハイブリダイズしないことを確保するために、その少なくとも20%以上ずつがエクソン2及びエクソン4内の領域とそれぞれハイブリダイズするものであることが好ましい。あるいは、配列番号3のcDNAとハイブリダイズした場合には、プライマーの3’末端がミスマッチとなるプライマーを用いることが好ましい。さらには、その少なくとも20%以上ずつがエクソン2及びエクソン4内の領域とそれぞれハイブリダイズするものであって、かつ、その3’末端が配列番号3のcDNAとはミスマッチになるプライマーを用いることが特に好ましい。以上のようなプライマーを一方のプライマーとして用いることにより、配列番号3のcDNAの共存下であっても配列番号5のcDNAのみを特異的に増幅することができる。なお、プライマーとしては、プライマーがハイブリダイズする配列番号5の塩基配列中の領域と完全に相補的なものが好ましいが、通常、10%以下程度のミスマッチがあってもプライマーとして利用できる場合が多い(ただし、上記の通りプライマーの3’末端が不一致となるものは除く)。
同様に、配列番号7のmRNAをRT-PCRにより測定する場合、配列番号7に示す塩基配列中のエクソン4/6特異的融合点を含む領域に設定したプライマーを一方のプライマー(フォワード側プライマーでもリバース側プライマーでもよい)として用いる。ここで、選択的スプライシングバリアント由来のcDNAを特異的に増幅するためには、該プライマーは、配列番号7のcDNAにはハイブリダイズするが、配列番号3のcDNAにはハイブリダイズしないものを用いることが好ましい。配列番号7のcDNAにはハイブリダイズするが、配列番号3のcDNAにはハイブリダイズしないことを確保するために、その少なくとも20%以上ずつがエクソン4及びエクソン6内の領域とそれぞれハイブリダイズするものであることが好ましい。あるいは、配列番号3のcDNAとハイブリダイズした場合には、プライマーの3’末端がミスマッチとなるプライマーを用いることが好ましい。さらには、その少なくとも20%以上ずつがエクソン4及びエクソン6内の領域とそれぞれハイブリダイズするものであって、かつ、その3’末端が配列番号3のcDNAとはミスマッチになるプライマーを用いることが特に好ましい。以上のようなこのようなプライマーを一方のプライマーとして用いることにより、配列番号3のcDNAの共存下であっても配列番号7のcDNAのみを特異的に増幅することができる。なお、プライマーとしては、プライマーがハイブリダイズする配列番号7の塩基配列中の領域と完全に相補的なものが好ましいが、通常、10%以下程度のミスマッチがあってもプライマーとして利用できる場合が多い(ただし、上記の通りプライマーの3’末端が不一致となるものは除く)。
PCR自体は常法に従って行うことができる。増幅後、増幅産物を測定する。これも常法により行うことができる。上記の通り、本発明において、「測定」には、検出と定量の両者が包含される。さらに、増幅産物の電気泳動バンドの蛍光強度測定や、太さの目視判定のような、簡易定量又は半定量も「測定」に包含される。増幅産物の測定は、例えば増幅産物を電気泳動にかけ、増幅バンドを検出することにより行うことができる。また、蛍光標識したヌクレオチドトリフォスフェートの存在下にPCRを行うことにより増幅産物を蛍光標識し、増幅バンドの蛍光強度を測定することによっても行うことができる。さらに、電気泳動パターンをナイロンやニトロセルロースのメンブレンに転写し、増幅産物にハイブリダイズする標識プローブをハイブリダイズさせて、標識を検出又は定量する(PCR-Southern法)によっても行うことができる。さらには、増幅産物にハイブリダイズするプローブを固相化し、上記増幅工程を標識ヌクレオチドトリフォスフェートの存在下に行い、固相化プローブに増幅産物を結合させ、固相に結合された増幅産物を測定することによっても行うことができる。これらはいずれも常法であり、周知の方法により行うことができる。
あるいは、上記したRT-PCRのPCRを、リアルタイム検出PCRにより行なうことにより、より正確に増幅産物を定量することができ、好ましい。リアルタイム検出PCRでは、通常のPCRを、増幅産物にハイブリダイズする、2種の蛍光色素を結合したプローブの存在下で行なう。2種類の蛍光色素の一方は、他方の蛍光色素からの蛍光発光を打ち消すクエンチャー色素であり、2種類の蛍光色素が同一のプローブ分子に結合されている状態では蛍光は測定されないが、PCRにより増幅が起きるとプローブが増幅産物にハイブリダイズし、次いで、増幅に用いられるDNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によりプローブが消化され、2種類の蛍光色素がバラバラになるとクエンチャー色素による消光が起きないので蛍光が測定されるようになる。測定される蛍光強度が急激に大きくなるサイクル数が、試料中の鋳型核酸の濃度に依存して変化するので、連続的に反応溶液の蛍光を測定することにより試料中の鋳型核酸の濃度を定量することができる。なお、リアルタイム検出PCR自体は周知であり、そのためのキットも市販されているので、市販のキットを用いて容易に実施することができる。
なお、RT-PCRを行う場合、最初のmRNAの抽出時に混入するゲノムDNAに含まれる偽遺伝子を鋳型とする増幅が起きる場合がある。従って、用いるプライマーセットは、このような偽遺伝子に起因する増幅が起きないプライマーを選択して用いることが好ましい。偽遺伝子に起因する増幅が起きるか否かは、そのプライマーセットを用い、ゲノムDNAを鋳型としてPCRを行なった場合に、cDNAを鋳型としてPCRを行った場合と同じサイズの増幅産物が生成するか否かにより判定することができる。下記実施例で具体的に用いられているプライマーセットは、このような偽遺伝子による増幅が起きないものである。
なお、本願発明の方法をRT-PCR法により行う場合について説明したが、本願発明の方法は、上記したプライマーを用いてスプライシングバリアントのmRNA若しくはcDNA又はその部分領域の増幅を行う方法であればRT-PCR法に限定されるものではなく、他のいずれの核酸増幅法を採用することができる。例えば、NASBA法(3SR法、TMA法)によりmRNAを増幅することもできる。NASBA法では、リバース側プライマーの5'末端にT7プロモーター配列を付加したものをリバース側プライマーとして、AMT-RT等の逆転写酵素の存在下で、mRNAを鋳型としてcDNA鎖(アンチセンス鎖)を形成する。得られたRNA/DNA二本鎖ハイブリッドのRNA鎖をRNase Hにより分解して一本鎖cDNA(アンチセンス鎖)とする。次に、この一本鎖cDNAを鋳型とし、フォワード側プライマーを用いてDNAポリメラーゼ(逆転写酵素としてAMT-RTを用いる場合には、AMT-RTがDNAポリメラーゼ活性を有するのでこれで兼用する)の存在下で相補鎖を形成して、二本鎖cDNAとする。この二本鎖cDNAは、T7プロモーター配列を含んでいるので、これにT7 RNAポリメラーゼを作用させると、転写によりRNA(アンチセンス鎖)が次々に形成される。さらに、形成された二本鎖cDNAについて、変性工程、上記フォワード側プライマー及びリバース側プライマーとのアニーリング工程、相補鎖の伸長工程を繰り返すことにより、二本鎖cDNAが増幅され、これを鋳型とした転写によりさらにRNA(アンチセンス鎖)が形成される。このようなNASBA法においても、一方のプライマーとして、上記したプライマーを用いることにより、選択的スプライシングバリアントのみを増幅することができる(ただし、生成物は上記の通りアンチセンス鎖である)。なお、NASBA法自体は周知であり、このためのキットも市販されているので、市販のキットを用いて容易に実施することができる。
特異的融合点を指標として選択的スプライシングバリアントを測定する他の好ましい方法としては、これらの特異的融合点を含む領域にハイブリダイズするプローブを用いた方法がある。プローブとしては、上記各特異的融合点を含む、配列番号1、5又は7に示される塩基配列を有する核酸中の領域にハイブリダイズするが、配列番号3に示される塩基配列を有する核酸にはハイブリダイズしないものが用いられる。このような特異性を確保するために、プローブの全長の20%以上80%以下、さらに好ましくは40%以上60%以下が一方のエクソン領域にハイブリダイズし、残りが特異的融合点を介して隣接するもう一方のエクソン領域にハイブリダイズするものであることが好ましい。プローブのサイズは、特に限定されないが、通常、10塩基〜全長であり、10塩基〜100塩基程度が好ましく、さらに好ましくは15塩基〜50塩基程度である。また、プライマーの場合と同様、プローブがハイブリダイズする領域と完全に同一の塩基配列を有することが最も好ましいが、プローブ全長の10%以下の塩基が置換していてもよい。なお、プローブが「ハイブリダイズする」とは、サザンブロット等の、核酸プローブをハイブリダイズさせて被検核酸を検出する方法において採用される一般的な条件下でハイブリダイズすることを意味する。
プローブは、上記核酸に蛍光標識、ビオチン標識、放射標識、酵素標識等の周知の標識を結合して標識プローブとすることもできる。また、プローブは、例えば固相化プローブとして用いる場合に、固相に結合させる領域や、分枝プローブにおける標識を結合させるための分枝のような、被検核酸とは無関係な任意の核酸が結合されたものであってもよい。
プローブは、被検試料中に含まれるスプライシングバリアントのmRNAの直接的な測定に用いることもできるし、mRNAをRT-PCR等の核酸増幅法で増幅した後、増幅された増幅核酸の測定に用いることができる。増幅産物をプローブで特異的に測定する場合、核酸増幅には、各特異的融合点が増幅産物中に含まれるようにプライマーを設定する。この場合のプライマーは、スプライシングバリアントに特異的なものである必要はなく、測定の特異性はプローブにより確保される。
また、選択的スプライシングバリアントは、その翻訳産物を測定することによっても測定可能である。配列番号1、3、5及び7で示される塩基配列がコードするアミノ酸配列がそれぞれ配列番号2、4、6及び8に示されている。各選択的スプライシングバリアントは、少なくともいずれかのエクソンの全部がそっくり欠失しているので、それらがコードするアミノ酸配列は、正常型のアミノ酸配列とは大きく異なっているため、各スプライシングバリアントの翻訳産物に特異的な抗体(すなわち、各スプライシングバリアントの翻訳産物とは抗原抗体反応するが、配列番号3のmRNAの翻訳産物とは抗原抗体反応しない)は常法により容易に作製することができることは明らかである。従って、各スプライシングバリアントの翻訳産物は、各スプライシングバリアントの翻訳産物に特異的な抗体、好ましくはモノクローナル抗体を用いた免疫測定により容易に測定することができる。このような抗体は、各スプライシングバリアントの翻訳産物又は各スプライシングバリアントに特徴的な上記特異的融合点を含む領域にコードされるアミノ酸配列中の部分領域を免疫原として動物に免疫し、常法であるKohlerとMilsteinの方法により、各翻訳産物を対応抗原とするモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製し、それらのモノクローナル抗体のうち、配列番号3のmRNAの翻訳産物とは抗原抗体反応しないものをスクリーニングすることにより容易に調製することができる。そのような特異モノクローナル抗体を用いた免疫測定法自体も周知である。上記特異的融合点を含む部分領域にコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドを免疫原として用いる場合であって、アミノ酸数が比較的少ない(例えば20個以下のオリゴペプチド)場合には、免疫原性を高めるために、ウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)等のキャリアに該オリゴペプチドを結合して免疫原として用いることもできる。これも常法である。
本発明はまた、配列番号1、5又は7に示される塩基配列を有する核酸とはハイブリダイズするが、配列番号3に示す塩基配列を有する核酸が共存していても該核酸とはハイブリダイズしない核酸又は配列番号3に示す塩基配列から成る核酸とハイブリダイズした場合にその3’末端がミスマッチとなる核酸をも提供する。このような核酸は、上記したプライマーやプローブとして用いることができ、また、上記免疫原を遺伝子工学的手法により製造する際の遺伝子としても使用可能である。このような核酸としては、配列番号1に示される塩基配列の20ntと21ntの間にあるエクソン1/4特異的融合点を含む領域とハイブリダイズするが、配列番号3に示す塩基配列を有する核酸が共存していても該核酸とはハイブリダイズしない核酸又は配列番号3に示す塩基配列から成る核酸とハイブリダイズした場合にその3’末端がミスマッチとなる核酸、配列番号5に示される塩基配列の77ntと78ntの間にあるエクソン2/4特異的融合点を含む領域とハイブリダイズするが、配列番号3に示す塩基配列を有する核酸が共存していても該核酸とはハイブリダイズしない核酸又は配列番号3に示す塩基配列から成る核酸とハイブリダイズした場合にその3’末端がミスマッチとなる核酸、配列番号7に示される塩基配列の241ntと242ntの間にあるエクソン4/6特異的融合点を含む領域とハイブリダイズするが、配列番号3に示す塩基配列を有する核酸が共存していても該核酸とはハイブリダイズしない核酸又は配列番号3に示す塩基配列から成る核酸とハイブリダイズした場合にその3’末端がミスマッチとなる核酸が、各選択的スプライシングバリアントの特異的な測定のために好ましい。このような本発明の核酸は、塩基数が10以上であることが好ましく、特に塩基数が15〜50であることが好ましい。また、本発明の核酸は、配列番号1、5若しくは7に示す塩基配列又はその部分領域と同じ塩基配列又は該塩基配列のうち10%以下の塩基が置換した塩基配列を有することが好ましく、特に配列番号1、5若しくは7に示す塩基配列又はその部分領域と同じ塩基配列を有することが好ましい。
このような本発明の核酸は、核酸増幅法のプライマーやプローブ等の、選択的スプライシングバリアントの測定用核酸として用いることができる。
さらに、本発明は、上記本発明の測定用核酸を含む、SDHCのmRNAの選択的スプライシングバリアントの測定用キットをも提供する。キットに含まれる試薬類は、本発明の測定用核酸以外は周知のものであり、例えば、下記実施例に記載されているように、プライマーと、M-MLV逆転写酵素、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP、ランダムプライマー、RNase阻害剤、緩衝液等を含めてキットにすることができる。あるいは、キットは、フォワード側プライマー及びリバース側プライマーのみを含むものとし、他の試薬類は、市販のRT-PCR用キット等を利用するようにしても良い。
上記した選択的スプライシングバリアントは、酸化ストレスマーカーとして利用することができる。すなわち、上記した本発明の方法により、被検組織中の上記選択的スプライシングバリアントを測定することにより、その組織の酸化ストレスを測定することができる。すなわち、スプライシングバリアントの発現量が多いほどその組織が受けた酸化ストレスも大きいと考えられる。酸化ストレスは、癌の発症の原因の1つとして知られているので、本発明の方法により酸化ストレスを測定することにより癌の検出も可能である。実際、上記スプライシングバリアントは、癌細胞において増大しており、従って、上記本発明の方法は、癌の検出に利用することができる。特に、ヒト大腸癌細胞株から分離されたバリアントAは、下記実施例において具体的に記載されているように、大腸癌細胞において発現が増大しており、少なくとも大腸癌のマーカーとして利用することができる。また、バリアントB及びバリアントCは、ヒト肝臓癌細胞株から分離されたので、少なくとも肝臓癌のマーカーとして利用することができると考えられる。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
バリアントAの分離、特異的検出及び大腸癌細胞中での発現
(1)プライマーの合成
SDHC遺伝子のエクソン1領域に設定したプライマー5'-cac ttc cgt cca gac cgg aac-3'を化学合成し、フォワードプライマーとし、SDHC遺伝子のエクソン6領域に設定したプライマー5'-ctg gta tag ctg ggg aat ctt cag gc-3'を化学合成し、リバースプライマーとした。
(1)プライマーの合成
SDHC遺伝子のエクソン1領域に設定したプライマー5'-cac ttc cgt cca gac cgg aac-3'を化学合成し、フォワードプライマーとし、SDHC遺伝子のエクソン6領域に設定したプライマー5'-ctg gta tag ctg ggg aat ctt cag gc-3'を化学合成し、リバースプライマーとした。
(2)核酸抽出およびcDNA合成
肝臓癌組織由来セルラインHuh-7(入手先:ヒューマンサイエンス振興財団)106個からDNAをSepaGene(三光純薬社製)を用いて抽出した。106個の細胞に試薬I(SepaGene)を100μL加え、室温で5分静置後、試薬II(SepaGene)を100μL加え転倒混和した。試薬III(SepaGene)を700μL、試薬IV(SepaGene)を400μL加え、転倒混和した。11000×g 15分間遠心し、上層に800μLのイソプロピルアルコールを加え、11000×g15分間遠心した。遠心後、1mLの70%エタノールで洗浄し、50μLのTE溶液(2M Tris-HCl, 0.2M EDTA (pH8.5))で溶解した。
肝臓癌組織由来セルラインHuh-7(入手先:ヒューマンサイエンス振興財団)106個からDNAをSepaGene(三光純薬社製)を用いて抽出した。106個の細胞に試薬I(SepaGene)を100μL加え、室温で5分静置後、試薬II(SepaGene)を100μL加え転倒混和した。試薬III(SepaGene)を700μL、試薬IV(SepaGene)を400μL加え、転倒混和した。11000×g 15分間遠心し、上層に800μLのイソプロピルアルコールを加え、11000×g15分間遠心した。遠心後、1mLの70%エタノールで洗浄し、50μLのTE溶液(2M Tris-HCl, 0.2M EDTA (pH8.5))で溶解した。
また、106個の細胞にRNA抽出試薬Isogen(日本ジーン社製)1mLを添加し、30秒混和した。200μLのクロロホルムを添加し、再度30秒攪拌した。攪拌後、11000×g 15分間遠心し、水相に等量のイソプロパノールを加え、11000×g 15分間遠心した。遠心後、1mLの75%エタノールで2回洗浄し、50μLのRNase阻害剤添加DEPC処理水で溶解した。溶解したRNA溶液から、以下のcDNA合成溶液を用いてcDNAを合成した。CDNA合成は1時間実施した。反応溶液の組成は次の通りであった。
5×緩衝液* (Gibco BRL) 4.0 μL
0.1M ジチオスレイトール(DTT)* (Gibco BRL) 2.0 μL
10mM dNTP (宝酒造) 1.0 μL
ランダムプライマー(Gibco BRL) 0.1 μL
RNase阻害剤 (宝酒造) 10 U
M-MLV逆転写酵素 (Gibco BRL) 10 U
RNA溶液 1.0μg
合計20 μL
*Gibco BRL社製M-MLV逆転写酵素に付属
0.1M ジチオスレイトール(DTT)* (Gibco BRL) 2.0 μL
10mM dNTP (宝酒造) 1.0 μL
ランダムプライマー(Gibco BRL) 0.1 μL
RNase阻害剤 (宝酒造) 10 U
M-MLV逆転写酵素 (Gibco BRL) 10 U
RNA溶液 1.0μg
合計20 μL
*Gibco BRL社製M-MLV逆転写酵素に付属
(3)PCR反応
(1)で合成したプライマーを用いてPCR反応を実施した。
10×PCR 緩衝液* (東洋紡) 5.0 μL
2.5mM dNTP (宝酒造) 5.0 μL
フォワードプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
リバースプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
rTaq DNAポリメラーゼ (東洋紡) 2.0 U
cDNAまたはDNA 5.0 μL
合計 50 μL
* rTaq DNAポリメラーゼ に付属
(1)で合成したプライマーを用いてPCR反応を実施した。
10×PCR 緩衝液* (東洋紡) 5.0 μL
2.5mM dNTP (宝酒造) 5.0 μL
フォワードプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
リバースプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
rTaq DNAポリメラーゼ (東洋紡) 2.0 U
cDNAまたはDNA 5.0 μL
合計 50 μL
* rTaq DNAポリメラーゼ に付属
PCR反応は95℃/30秒、60℃/30秒、72℃/30秒を1サイクルとし、40サイクル実施した。増幅産物は2.5%アガロースゲル電気泳動により、目的増幅産物の確認(478bp)をした。
上記(1)、(2)、(3)の操作により、肝臓癌セルラインにおいて、目的増幅産物(478bp)の他に、319bp付近に増幅産物が確認された。また、DNA由来増幅産物はcDNA由来目的増幅産物(478bp)とほぼ同等の長さに確認された(偽遺伝子によると考えられる)。
大腸癌セルラインから検出された319bp付近の増幅産物をアガロースゲルから切り出し、ゲルから核酸を抽出するためにSUPREC-01(TaKaRa社製)にセットした。セット後、5000×gで5分間遠心し、SUPREC-01の下層に溶出した溶液を回収した。
(4)PCR反応
(1)で合成したプライマーを用いてPCR反応を実施した。
10×PCR 緩衝液* (東洋紡) 5.0 μL
2.5mM dNTP (宝酒造) 5.0 μL
フォワードプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
リバースプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
rTaq DNAポリメラーゼ (東洋紡) 2.0 U
溶出液 1.0 μL
合計 50 μL
* rTaq DNAポリメラーゼ に付属
(1)で合成したプライマーを用いてPCR反応を実施した。
10×PCR 緩衝液* (東洋紡) 5.0 μL
2.5mM dNTP (宝酒造) 5.0 μL
フォワードプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
リバースプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
rTaq DNAポリメラーゼ (東洋紡) 2.0 U
溶出液 1.0 μL
合計 50 μL
* rTaq DNAポリメラーゼ に付属
PCR反応は95℃/30秒、60℃/30秒、72℃/30秒を1サイクルとし、40サイクル実施した。増幅産物は2.5%アガロースゲル電気泳動により、目的増幅産物の確認(319bp)をした。
(5)塩基配列の決定
上記操作により、増幅した319bp付近のPCR産物をシーブカラムにセットし、2500×gで1分間遠心し、増幅産物を精製した。精製した増幅産物をダイレクトシークエンス法によって、塩基配列を決定した。
上記操作により、増幅した319bp付近のPCR産物をシーブカラムにセットし、2500×gで1分間遠心し、増幅産物を精製した。精製した増幅産物をダイレクトシークエンス法によって、塩基配列を決定した。
(1)で合成したプライマーを用いてサイクルシークエンス反応を実施した。
Terminator Ready Reaction Mix* 8.0 μL
フォワードプライマー(10pmol/μL) 0.32 μL
精製増幅産物 1.0 μL
合計 20 μL
Terminator Ready Reaction Mix* 8.0 μL
フォワードプライマー(10pmol/μL) 0.32 μL
精製増幅産物 1.0 μL
合計 20 μL
ダイレクトシークエンス反応は96℃/10秒、50℃/5秒、60℃/4分を1サイクルとし、25サイクル実施した。
Terminator Ready Reaction Mix* 8.0 μL
リバースプライマー(10pmol/μL) 0.32 μL
精製増幅産物 1.0 μL
合計 20 μL
*ABI PRIZM BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit (Applied Biosystems社製)。
Terminator Ready Reaction Mix* 8.0 μL
リバースプライマー(10pmol/μL) 0.32 μL
精製増幅産物 1.0 μL
合計 20 μL
*ABI PRIZM BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit (Applied Biosystems社製)。
ダイレクトシークエンス反応は96℃/10秒、50℃/5秒、60℃/4分を1サイクルとし、25サイクル実施した。
反応終了後、ABI 3100 Genetic Analyzer (Applied Biosystems、HITACHI社製)にて塩基配列を得た。得られたフォワードプライマー側からの塩基配列(センス鎖)とリバースプライマー側からの塩基配列(アンチセンス鎖)を比較し、最終的に塩基配列を決定した。
上記(5)の操作により、増幅産物の塩基配列を決定した。決定された塩基配列はSDHC遺伝子(Full length isoform)に対し、エクソン2およびエクソン3が欠失し、他はSDHC遺伝子と同じもの(バリアントA)であった。決定されたバリアントAの塩基配列および推定アミノ酸配列を配列表の配列番号9及び10に示す。なお、配列番号9に示す塩基配列のうちコード領域のみを取り出したものが配列番号1に示す塩基配列である。
(6) プライマーの合成
バリアントAを検出するためにSDHC遺伝子のエクソン1およびエクソン4領域にオーバーラップしたプライマー5'-gct gcg ctg ttg ctg agt tgg-3'を化学合成し、フォワードプライマーとし、SDHC遺伝子のエクソン5領域に設定したプライマー5'-gga tca gtc gtg gcc cca gac-3'を化学合成し、リバースプライマーとした。
バリアントAを検出するためにSDHC遺伝子のエクソン1およびエクソン4領域にオーバーラップしたプライマー5'-gct gcg ctg ttg ctg agt tgg-3'を化学合成し、フォワードプライマーとし、SDHC遺伝子のエクソン5領域に設定したプライマー5'-gga tca gtc gtg gcc cca gac-3'を化学合成し、リバースプライマーとした。
(7)核酸抽出およびcDNA合成
大腸癌組織由来セルラインWiDr(入手先:ヒューマンサイエンス振興財団) 106個から DNAをSepaGene(三光純薬社製)を用いて抽出した。106個の細胞に試薬I(SepaGene)を100μL加え、室温で5分静置後、試薬II(SepaGene)を100μL加え転倒混和した。試薬III(SepaGene)を700μL、試薬IV(SepaGene)を400μL加え、転倒混和した。11000×g 15分間遠心し、上層に800μLのイソプロピルアルコールを加え、11000×g15分間遠心した。遠心後、1mLの70%エタノールで洗浄し、50μLのTE溶液(2M Tris-HCl, 0.2M EDTA (pH8.5))で溶解した。
大腸癌組織由来セルラインWiDr(入手先:ヒューマンサイエンス振興財団) 106個から DNAをSepaGene(三光純薬社製)を用いて抽出した。106個の細胞に試薬I(SepaGene)を100μL加え、室温で5分静置後、試薬II(SepaGene)を100μL加え転倒混和した。試薬III(SepaGene)を700μL、試薬IV(SepaGene)を400μL加え、転倒混和した。11000×g 15分間遠心し、上層に800μLのイソプロピルアルコールを加え、11000×g15分間遠心した。遠心後、1mLの70%エタノールで洗浄し、50μLのTE溶液(2M Tris-HCl, 0.2M EDTA (pH8.5))で溶解した。
また、大腸癌患者由来癌組織約10mgおよび非癌部組織約10mgにRNA抽出試薬Isogen(日本ジーン社製)1mLを添加し、ペレットミキサー(トーホー社製)にてホモジナイズした。さらに、大腸癌組織由来セルラインWiDrおよび健常人末梢血細胞106個の細胞にRNA抽出試薬Isogen(日本ジーン社製)1mLを添加し、30秒混和した。200μLのクロロホルムを添加し、再度30秒攪拌した。攪拌後、11000×g 15分間遠心し、水相に等量のイソプロパノールを加え、11000×g 15分間遠心した。遠心後、1mLの75%エタノールで2回洗浄し、50μLのRNase阻害剤添加DEPC処理水で溶解した。溶解したRNA溶液から、以下のcDNA合成溶液を用いてcDNAを合成した。cDNA合成は1時間実施した。反応溶液の組成は次の通りであった。
5×緩衝液* (Gibco BRL) 4.0 μL
0.1M ジチオスレイトール(DTT)* (Gibco BRL) 2.0 μL
10mM dNTP (宝酒造) 1.0 μL
ランダムプライマー(Gibco BRL) 0.1 μL
RNase阻害剤 (宝酒造) 10 U
M-MLV逆転写酵素 (Gibco BRL) 10 U
RNA溶液 1.0μg
合計 20 μL
*Gibco BRL社製M-MLV逆転写酵素に付属
0.1M ジチオスレイトール(DTT)* (Gibco BRL) 2.0 μL
10mM dNTP (宝酒造) 1.0 μL
ランダムプライマー(Gibco BRL) 0.1 μL
RNase阻害剤 (宝酒造) 10 U
M-MLV逆転写酵素 (Gibco BRL) 10 U
RNA溶液 1.0μg
合計 20 μL
*Gibco BRL社製M-MLV逆転写酵素に付属
(8)PCR反応
(6)で合成したプライマーを用いてPCR反応を実施した。
10×PCR 緩衝液* (東洋紡) 5.0 μL
2.5mM dNTP (宝酒造) 5.0 μL
バリアント1用フォワードプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
リバースプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
rTaq DNAポリメラーゼ (東洋紡) 2.0 U
cDNAまたはDNA 5.0 μL
合計 50 μL
* rTaq DNAポリメラーゼ に付属
(6)で合成したプライマーを用いてPCR反応を実施した。
10×PCR 緩衝液* (東洋紡) 5.0 μL
2.5mM dNTP (宝酒造) 5.0 μL
バリアント1用フォワードプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
リバースプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
rTaq DNAポリメラーゼ (東洋紡) 2.0 U
cDNAまたはDNA 5.0 μL
合計 50 μL
* rTaq DNAポリメラーゼ に付属
PCR反応は95℃/30秒、60℃/30秒、72℃/30秒を1サイクルとし、40サイクル実施した。増幅産物は2.5%アガロースゲル電気泳動により、目的増幅産物の確認(178bp)をした。
上記(6)、(7)、(8)の操作により、大腸癌セルラインおよび健常人末梢血細胞においてSDHCバリアントmRNA由来増幅産物が確認された。また、DNA由来増幅産物は確認されなかった。
(9) 大腸癌組織中での発現
大腸癌組織および非癌部組織23 サンプルにおいてバリアントAのmRNAの発現量をゲルドック2000(Bio-Rad社製)にて半定量した。非癌部に対して癌部の方が発現量が多い(N<T)サンプルは52%(12/23)、逆に癌部よりも非癌部の発現量が多い(N>T)サンプルは26%(6/23)、両者に差異が確認されないサンプルは4%(1/23)であった。両者ともに検出されない場合は17%(4/23)であった。
大腸癌組織および非癌部組織23 サンプルにおいてバリアントAのmRNAの発現量をゲルドック2000(Bio-Rad社製)にて半定量した。非癌部に対して癌部の方が発現量が多い(N<T)サンプルは52%(12/23)、逆に癌部よりも非癌部の発現量が多い(N>T)サンプルは26%(6/23)、両者に差異が確認されないサンプルは4%(1/23)であった。両者ともに検出されない場合は17%(4/23)であった。
(10) 正常型mRNA測定のためのプライマーの合成
バリアントAを検出しないためにSDHC遺伝子のエクソン2あるいはエクソン3にフォワードあるいはリバースプライマーを設定し、一方、偽遺伝子を検出しないプライマーを設定した。すなわちSDHC遺伝子のエクソン3に設定したプライマー5'-tat agg ttc aaa ccg tcc tct g-3'を化学合成し、フォワードプライマーとし、SDHC遺伝子のエクソン5領域に設定したプライマー5'-gga tca gtc gtg gcc cca gac-3'を化学合成し、リバースプライマーとした。
バリアントAを検出しないためにSDHC遺伝子のエクソン2あるいはエクソン3にフォワードあるいはリバースプライマーを設定し、一方、偽遺伝子を検出しないプライマーを設定した。すなわちSDHC遺伝子のエクソン3に設定したプライマー5'-tat agg ttc aaa ccg tcc tct g-3'を化学合成し、フォワードプライマーとし、SDHC遺伝子のエクソン5領域に設定したプライマー5'-gga tca gtc gtg gcc cca gac-3'を化学合成し、リバースプライマーとした。
(11) 核酸抽出およびcDNA合成
大腸癌組織由来セルラインWiDr(入手先:ヒューマンサイエンス振興財団) 106個から DNAをSepaGene(三光純薬社製)を用いて抽出した。106個の細胞に試薬I(SepaGene)を100μL加え、室温で5分静置後、試薬II(SepaGene)を100μL加え転倒混和した。試薬III(SepaGene)を700μL、試薬IV(SepaGene)を400μL加え、転倒混和した。11000×g 15分間遠心し、上層に800μLのイソプロピルアルコールを加え、11000×g15分間遠心した。遠心後、1mLの70%エタノールで洗浄し、50μLのTE溶液(2M Tris-HCl, 0.2M EDTA (pH8.5))で溶解した。
大腸癌組織由来セルラインWiDr(入手先:ヒューマンサイエンス振興財団) 106個から DNAをSepaGene(三光純薬社製)を用いて抽出した。106個の細胞に試薬I(SepaGene)を100μL加え、室温で5分静置後、試薬II(SepaGene)を100μL加え転倒混和した。試薬III(SepaGene)を700μL、試薬IV(SepaGene)を400μL加え、転倒混和した。11000×g 15分間遠心し、上層に800μLのイソプロピルアルコールを加え、11000×g15分間遠心した。遠心後、1mLの70%エタノールで洗浄し、50μLのTE溶液(2M Tris-HCl, 0.2M EDTA (pH8.5))で溶解した。
また、大腸癌患者由来癌組織約10mgおよび非癌部組織約10mgにRNA抽出試薬Isogen(日本ジーン社製)1mLを添加し、ペレットミキサー(トーホー社製)にてホモジナイズした。さらに、大腸癌組織由来セルラインWiDrおよび健常人末梢血細胞106個の細胞にRNA抽出試薬Isogen(日本ジーン社製)1mLを添加し、30秒混和した。200μLのクロロホルムを添加し、再度30秒攪拌した。攪拌後、11000×g 15分間遠心し、水相に等量のイソプロパノールを加え、11000×g 15分間遠心した。遠心後、1mLの75%エタノールで2回洗浄し、50μLのRNase阻害剤添加DEPC処理水で溶解した。溶解したRNA溶液から、以下のcDNA合成溶液を用いてcDNAを合成した。cDNA合成は1時間実施した。反応溶液の組成は次の通りであった。
5×緩衝液* (Gibco BRL) 4.0 μL
0.1M ジチオスレイトール(DTT)* (Gibco BRL) 2.0 μL
10mM dNTP (宝酒造) 1.0 μL
ランダムプライマー(Gibco BRL) 0.1 μL
RNase阻害剤 (宝酒造) 10 U
M-MLV逆転写酵素 (Gibco BRL) 10 U
RNA溶液 1.0μg
合計 20 μL
*Gibco BRL社製M-MLV逆転写酵素に付属
0.1M ジチオスレイトール(DTT)* (Gibco BRL) 2.0 μL
10mM dNTP (宝酒造) 1.0 μL
ランダムプライマー(Gibco BRL) 0.1 μL
RNase阻害剤 (宝酒造) 10 U
M-MLV逆転写酵素 (Gibco BRL) 10 U
RNA溶液 1.0μg
合計 20 μL
*Gibco BRL社製M-MLV逆転写酵素に付属
(12)PCR反応
(10)で合成したプライマーを用いてPCR反応を実施した。
10×PCR 緩衝液* (東洋紡) 5.0 μL
2.5mM dNTP (宝酒造) 5.0 μL
フォワードプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
リバースプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
rTaq DNAポリメラーゼ (東洋紡) 2.0 U
cDNAまたはDNA 5.0 μL
合計 50 μL
* rTaq DNAポリメラーゼ に付属
(10)で合成したプライマーを用いてPCR反応を実施した。
10×PCR 緩衝液* (東洋紡) 5.0 μL
2.5mM dNTP (宝酒造) 5.0 μL
フォワードプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
リバースプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
rTaq DNAポリメラーゼ (東洋紡) 2.0 U
cDNAまたはDNA 5.0 μL
合計 50 μL
* rTaq DNAポリメラーゼ に付属
PCR反応は95℃/30秒、60℃/30秒、72℃/30秒を1サイクルとし、40サイクル実施した。増幅産物は2.5%アガロースゲル電気泳動により、目的増幅産物の確認(206bp)をした。
上記(10)、(11)、(12)の操作により、大腸癌セルラインおよび健常人末梢血細胞においてSDHCの全長(正常型)mRNA由来増幅産物が確認された。また、DNA由来増幅産物は確認されなかった。
(13) 大腸癌組織中での発現
大腸癌組織および非癌部組織23 サンプルにおいてSDHC全長mRNAの発現量をゲルドック2000(Bio-Rad社製)にて半定量した。非癌部に対して癌部の方が発現量が多い(N<T)サンプルは61%(14/23)、逆に癌部よりも非癌部の発現量が多い(N>T)サンプルは9%(2/23)、両者に差異が確認されない場合は30%(7/23)であった。全長mRNAはすべてのサンプルから検出された。
大腸癌組織および非癌部組織23 サンプルにおいてSDHC全長mRNAの発現量をゲルドック2000(Bio-Rad社製)にて半定量した。非癌部に対して癌部の方が発現量が多い(N<T)サンプルは61%(14/23)、逆に癌部よりも非癌部の発現量が多い(N>T)サンプルは9%(2/23)、両者に差異が確認されない場合は30%(7/23)であった。全長mRNAはすべてのサンプルから検出された。
バリアントB及びCの分離及び特異的検出
(1)プライマーの合成
SDHC遺伝子のエクソン1領域に設定したプライマー5'-cac ttc cgt cca gac cgg aac-3'を化学合成し、フォワードプライマーとし、SDHC遺伝子のエクソン6領域に設定したプライマー5'-gga aga tga tgc tgg gag cc-3'を化学合成し、リバースプライマーとした。
(1)プライマーの合成
SDHC遺伝子のエクソン1領域に設定したプライマー5'-cac ttc cgt cca gac cgg aac-3'を化学合成し、フォワードプライマーとし、SDHC遺伝子のエクソン6領域に設定したプライマー5'-gga aga tga tgc tgg gag cc-3'を化学合成し、リバースプライマーとした。
(2)核酸抽出およびcDNA合成
大腸癌組織由来セルラインWiDr(入手先:ヒューマンサイエンス振興財団)106個からDNAをSepaGene(三光純薬社製)を用いて抽出した。106個の細胞に試薬I(SepaGene)を100μL加え、室温で5分静置後、試薬II(SepaGene)を100μL加え転倒混和した。試薬III(SepaGene)を700μL、試薬IV(SepaGene)を400μL加え、転倒混和した。11000×g 15分間遠心し、上層に800μLのイソプロピルアルコールを加え、11000×g15分間遠心した。遠心後、1mLの70%エタノールで洗浄し、50μLのTE溶液(2M Tris-HCl, 0.2M EDTA (pH8.5))で溶解した。
大腸癌組織由来セルラインWiDr(入手先:ヒューマンサイエンス振興財団)106個からDNAをSepaGene(三光純薬社製)を用いて抽出した。106個の細胞に試薬I(SepaGene)を100μL加え、室温で5分静置後、試薬II(SepaGene)を100μL加え転倒混和した。試薬III(SepaGene)を700μL、試薬IV(SepaGene)を400μL加え、転倒混和した。11000×g 15分間遠心し、上層に800μLのイソプロピルアルコールを加え、11000×g15分間遠心した。遠心後、1mLの70%エタノールで洗浄し、50μLのTE溶液(2M Tris-HCl, 0.2M EDTA (pH8.5))で溶解した。
また、106個の細胞にRNA抽出試薬Isogen(日本ジーン社製)1mLを添加し、30秒混和した。200μLのクロロホルムを添加し、再度30秒攪拌した。攪拌後、11000×g 15分間遠心し、水相に等量のイソプロパノールを加え、11000×g 15分間遠心した。遠心後、1mLの75%エタノールで2回洗浄し、50μLのRNase阻害剤添加DEPC処理水で溶解した。溶解したRNA溶液から、以下のcDNA合成溶液を用いてcDNAを合成した。CDNA合成は1時間実施した。反応溶液の組成は次の通りであった。
5×緩衝液* (Gibco BRL) 4.0 μL
0.1M ジチオスレイトール(DTT)* (Gibco BRL) 2.0 μL
10mM dNTP (宝酒造) 1.0 μL
ランダムプライマー(Gibco BRL) 0.1 μL
RNase阻害剤 (宝酒造) 10 U
M-MLV逆転写酵素 (Gibco BRL) 10 U
RNA溶液 1.0μg
合計 20 μL
*Gibco BRL社製M-MLV逆転写酵素に付属
0.1M ジチオスレイトール(DTT)* (Gibco BRL) 2.0 μL
10mM dNTP (宝酒造) 1.0 μL
ランダムプライマー(Gibco BRL) 0.1 μL
RNase阻害剤 (宝酒造) 10 U
M-MLV逆転写酵素 (Gibco BRL) 10 U
RNA溶液 1.0μg
合計 20 μL
*Gibco BRL社製M-MLV逆転写酵素に付属
(3)PCR反応
(1)で合成したプライマーを用いてPCR反応を実施した。
10×PCR 緩衝液* (東洋紡) 5.0 μL
2.5mM dNTP (宝酒造) 5.0 μL
フォワードプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
リバースプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
rTaq DNAポリメラーゼ (東洋紡) 2.0 U
cDNAまたはDNA 5.0 μL
合計 50 μL
* rTaq DNAポリメラーゼ に付属
(1)で合成したプライマーを用いてPCR反応を実施した。
10×PCR 緩衝液* (東洋紡) 5.0 μL
2.5mM dNTP (宝酒造) 5.0 μL
フォワードプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
リバースプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
rTaq DNAポリメラーゼ (東洋紡) 2.0 U
cDNAまたはDNA 5.0 μL
合計 50 μL
* rTaq DNAポリメラーゼ に付属
PCR反応は95℃/30秒、60℃/30秒、72℃/30秒を1サイクルとし、40サイクル実施した。増幅産物は2.5%アガロースゲル電気泳動により、目的増幅産物の確認(566bp)をした。
上記(1)、(2)、(3)の操作により、大腸癌セルラインにおいて、目的増幅産物(566bp)の他に、464bp付近および402bp付近に増幅産物が確認された。また、DNA由来増幅産物は確認さなかった。
大腸癌セルラインから検出された464bpおよび402bp付近の増幅産物をアガロースゲルから切り出し、ゲルから核酸を抽出するためにSUPREC-01(TaKaRa社製)にセットした。セット後、5000×gで5分間遠心し、SUPREC-01の下層に溶出した溶液を回収した。
(4)PCR反応
(1)で合成したプライマーを用いてPCR反応を実施した。
10×PCR 緩衝液* (東洋紡) 5.0 μL
2.5mM dNTP (宝酒造) 5.0 μL
フォワードプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
リバースプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
rTaq DNAポリメラーゼ (東洋紡) 2.0 U
溶出液 1.0 μL
合計 50 μL
* rTaq DNAポリメラーゼ に付属
(1)で合成したプライマーを用いてPCR反応を実施した。
10×PCR 緩衝液* (東洋紡) 5.0 μL
2.5mM dNTP (宝酒造) 5.0 μL
フォワードプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
リバースプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
rTaq DNAポリメラーゼ (東洋紡) 2.0 U
溶出液 1.0 μL
合計 50 μL
* rTaq DNAポリメラーゼ に付属
PCR反応は95℃/30秒、60℃/30秒、72℃/30秒を1サイクルとし、40サイクル実施した。増幅産物は2.5%アガロースゲル電気泳動により、目的増幅産物の確認(464bp,402bp)をした。
(5)塩基配列の決定
上記操作により、増幅した464bpおよび402bp付近のPCR産物をシーブカラムにセットし、2500×gで1分間遠心し、増幅産物を精製した。精製した増幅産物をダイレクトシークエンス法によって、塩基配列を決定した。
上記操作により、増幅した464bpおよび402bp付近のPCR産物をシーブカラムにセットし、2500×gで1分間遠心し、増幅産物を精製した。精製した増幅産物をダイレクトシークエンス法によって、塩基配列を決定した。
(1)で合成したプライマーを用いてサイクルシークエンス反応を実施した。
Terminator Ready Reaction Mix* 8.0 μL
フォワードプライマー(10pmol/μL) 0.32 μL
精製増幅産物 1.0 μL
合計 20 μL
Terminator Ready Reaction Mix* 8.0 μL
フォワードプライマー(10pmol/μL) 0.32 μL
精製増幅産物 1.0 μL
合計 20 μL
ダイレクトシークエンス反応は96℃/10秒、50℃/5秒、60℃/4分を1サイクルとし、25サイクル実施した。
Terminator Ready Reaction Mix* 8.0 μL
リバースプライマー(10pmol/μL) 0.32 μL
精製増幅産物 1.0 μL
合計 20 μL
*ABI PRIZM BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit (Applied Biosystems社製)。
Terminator Ready Reaction Mix* 8.0 μL
リバースプライマー(10pmol/μL) 0.32 μL
精製増幅産物 1.0 μL
合計 20 μL
*ABI PRIZM BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit (Applied Biosystems社製)。
ダイレクトシークエンス反応は96℃/10秒、50℃/5秒、60℃/4分を1サイクルとし、25サイクル実施した。
反応終了後、ABI 3100 Genetic Analyzer (Applied Biosystems、HITACHI社製)にて塩基配列を得た。得られたフォワードプライマー側からの塩基配列(センス鎖)とリバースプライマー側からの塩基配列(アンチセンス鎖)を比較し、最終的に塩基配列を決定した。
上記(5)の操作により、増幅産物の塩基配列を決定した。464bp付近の決定された塩基配列はSDHC遺伝子(Full length isoform)に対し、エクソン3が欠失し、他はSDHC遺伝子と同じもの(バリアントB)であった。バリアントBの塩基配列(コード領域のみ)および推定アミノ酸配列を配列表の配列番号5及び6に示す。
また、402bp付近の決定された塩基配列はSDHC遺伝子(全長)に対し、エクソン5が欠失していた。この変異はフレームシフト変異をおこし、そのためアミノ酸番号81番以降は全く異なるアミノ酸配列となった。バリアントCの塩基配列(コード領域のみ)および推定アミノ酸配列を配列表の配列番号7及び8に示す。
(6)バリアントB検出のためのプライマーの合成
エクソン3が欠失したバリアントB(SDHC delta3 ASV)を検出するためにSDHC遺伝子のエクソン2およびエクソン4領域にオーバーラップしたプライマー5'-gcc ctc agc tct gta tca gaa att ggt c-3'を化学合成し、フォワードプライマーとし、SDHC遺伝子のエクソン6領域に設定したプライマー5'-gga aga tga tgc tgg gag cc-3'を化学合成し、リバースプライマーとした。
エクソン3が欠失したバリアントB(SDHC delta3 ASV)を検出するためにSDHC遺伝子のエクソン2およびエクソン4領域にオーバーラップしたプライマー5'-gcc ctc agc tct gta tca gaa att ggt c-3'を化学合成し、フォワードプライマーとし、SDHC遺伝子のエクソン6領域に設定したプライマー5'-gga aga tga tgc tgg gag cc-3'を化学合成し、リバースプライマーとした。
(6') バリアントC検出のためのプライマーの合成
エクソン5が欠失したバリアントC(SDHC delta5 ASV)を検出するためにSDHC遺伝子のエクソン4およびエクソン6領域にオーバーラップしたプライマー5'-ggt att gct ttg agt gca gat gtg g-3'を化学合成し、フォワードプライマーとし、SDHC遺伝子のエクソン6領域に設定したプライマー5'-gga aga tga tgc tgg gag cc-3'を化学合成し、リバースプライマーとした。
エクソン5が欠失したバリアントC(SDHC delta5 ASV)を検出するためにSDHC遺伝子のエクソン4およびエクソン6領域にオーバーラップしたプライマー5'-ggt att gct ttg agt gca gat gtg g-3'を化学合成し、フォワードプライマーとし、SDHC遺伝子のエクソン6領域に設定したプライマー5'-gga aga tga tgc tgg gag cc-3'を化学合成し、リバースプライマーとした。
(7)核酸抽出およびcDNA合成
大腸癌組織由来セルラインWiDr(入手先:ヒューマンサイエンス振興財団) 106個から DNAをSepaGene(三光純薬社製)を用いて抽出した。106個の細胞に試薬I(SepaGene)を100μL加え、室温で5分静置後、試薬II(SepaGene)を100μL加え転倒混和した。試薬III(SepaGene)を700μL、試薬IV(SepaGene)を400μL加え、転倒混和した。11000×g 15分間遠心し、上層に800μLのイソプロピルアルコールを加え、11000×g15分間遠心した。遠心後、1mLの70%エタノールで洗浄し、50μLのTE溶液(2M Tris-HCl, 0.2M EDTA (pH8.5))で溶解した。溶解したRNA溶液から、以下のcDNA合成溶液を用いてcDNAを合成した。cDNA合成は1時間実施した。反応溶液の組成は次の通りであった。
大腸癌組織由来セルラインWiDr(入手先:ヒューマンサイエンス振興財団) 106個から DNAをSepaGene(三光純薬社製)を用いて抽出した。106個の細胞に試薬I(SepaGene)を100μL加え、室温で5分静置後、試薬II(SepaGene)を100μL加え転倒混和した。試薬III(SepaGene)を700μL、試薬IV(SepaGene)を400μL加え、転倒混和した。11000×g 15分間遠心し、上層に800μLのイソプロピルアルコールを加え、11000×g15分間遠心した。遠心後、1mLの70%エタノールで洗浄し、50μLのTE溶液(2M Tris-HCl, 0.2M EDTA (pH8.5))で溶解した。溶解したRNA溶液から、以下のcDNA合成溶液を用いてcDNAを合成した。cDNA合成は1時間実施した。反応溶液の組成は次の通りであった。
5×緩衝液* (Gibco BRL) 4.0 μL
0.1M ジチオスレイトール(DTT)* (Gibco BRL) 2.0 μL
10mM dNTP (宝酒造) 1.0 μL
ランダムプライマー(Gibco BRL) 0.1 μL
RNase阻害剤 (宝酒造) 10 U
M-MLV逆転写酵素 (Gibco BRL) 10 U
RNA溶液 1.0μg
合計 20 μL
*Gibco BRL社製M-MLV逆転写酵素に付属
0.1M ジチオスレイトール(DTT)* (Gibco BRL) 2.0 μL
10mM dNTP (宝酒造) 1.0 μL
ランダムプライマー(Gibco BRL) 0.1 μL
RNase阻害剤 (宝酒造) 10 U
M-MLV逆転写酵素 (Gibco BRL) 10 U
RNA溶液 1.0μg
合計 20 μL
*Gibco BRL社製M-MLV逆転写酵素に付属
(8)PCR反応
(6)で合成したプライマーを用いてPCR反応を実施した。
10×PCR 緩衝液* (東洋紡) 5.0 μL
2.5mM dNTP (宝酒造) 5.0 μL
バリアント1用フォワードプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
リバースプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
rTaq DNAポリメラーゼ (東洋紡) 2.0 U
cDNAまたはDNA 5.0 μL
合計 50 μL
* rTaq DNAポリメラーゼ に付属
(6)で合成したプライマーを用いてPCR反応を実施した。
10×PCR 緩衝液* (東洋紡) 5.0 μL
2.5mM dNTP (宝酒造) 5.0 μL
バリアント1用フォワードプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
リバースプライマー(100pmol/μL) 0.5 μL
rTaq DNAポリメラーゼ (東洋紡) 2.0 U
cDNAまたはDNA 5.0 μL
合計 50 μL
* rTaq DNAポリメラーゼ に付属
PCR反応は95℃/30秒、60℃/30秒、72℃/30秒を1サイクルとし、40サイクル実施した。増幅産物は2.5%アガロースゲル電気泳動により、目的増幅産物の確認(381bp,116bp)をした。
上記(6)、(7)、(8)の操作により、大腸癌セルラインにおいてSDHCバリアントmRNA由来増幅産物が確認された。また、DNA由来増幅産物は確認されなかった。
Claims (23)
- 生体から分離した被検試料中の、配列表の配列番号1、5又は7に示される塩基配列をコード領域として含むmRNAを、配列番号3に示される塩基配列を有するmRNAと識別して測定することを含む、被検試料中のミトコンドリアチトクロムb大サブユニット構成遺伝子のmRNAの選択的スプライシングバリアントの測定方法。
- 配列番号1に示される塩基配列の20ntと21ntの間にあるエクソン1/4特異的融合点の存在を指標として配列番号1に示される塩基配列をコード領域として含む選択的スプライシングバリアントを測定する請求項1記載の方法。
- 配列番号5に示される塩基配列の77ntと78ntの間にあるエクソン2/4特異的融合点の存在を指標として配列番号5に示される塩基配列をコード領域として含む選択的スプライシングバリアントを測定する請求項1記載の方法。
- 配列番号7に示される塩基配列の241ntと242ntの間にあるエクソン4/6特異的融合点の存在を指標として配列番号7に示される塩基配列をコード領域として含む選択的スプライシングバリアントを測定する請求項1記載の方法。
- 前記エクソン1/4特異的融合点、エクソン2/4特異的融合点又はエクソン4/6特異的融合点を含む領域に設定したプライマーを一方のプライマーとして用いる核酸増幅法により配列表の配列番号1、5又は7に示される塩基配列をコード領域として含むmRNA又はそのcDNAの部分領域を特異的に増幅し、増幅産物を測定することを含む請求項2ないし4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記プライマーの塩基数が10ないし50である請求項5記載の方法。
- 前記核酸増幅法がRT-PCRである請求項5又は6記載の方法。
- 配列番号1、5又は7に示される塩基配列を有する核酸とはハイブリダイズするが、配列番号3に示す塩基配列を有する核酸が共存していても該核酸とはハイブリダイズしない核酸又は配列番号3に示す塩基配列から成る核酸とハイブリダイズした場合にその3’末端がミスマッチとなる核酸。
- 配列番号1に示される塩基配列の20ntと21ntの間にあるエクソン1/4特異的融合点を含む領域とハイブリダイズするが、配列番号3に示す塩基配列を有する核酸が共存していても該核酸とはハイブリダイズしない核酸又は配列番号3に示す塩基配列から成る核酸とハイブリダイズした場合にその3’末端がミスマッチとなる請求項8記載の核酸。
- 配列番号5に示される塩基配列の77ntと78ntの間にあるエクソン2/4特異的融合点を含む領域とハイブリダイズするが、配列番号3に示す塩基配列を有する核酸が共存していても該核酸とはハイブリダイズしない核酸又は配列番号3に示す塩基配列から成る核酸とハイブリダイズした場合にその3’末端がミスマッチとなる請求項8記載の核酸。
- 配列番号7に示される塩基配列の241ntと242ntの間にあるエクソン4/6特異的融合点を含む領域とハイブリダイズするが、配列番号3に示す塩基配列を有する核酸が共存していても該核酸とはハイブリダイズしない核酸又は配列番号3に示す塩基配列から成る核酸とハイブリダイズした場合にその3’末端がミスマッチとなる請求項8記載の核酸。
- 塩基数が10以上である請求項8ないし11記載の核酸。
- 塩基数が15〜50である請求項12記載の核酸。
- 配列番号1、5若しくは7に示す塩基配列又はその部分領域と同じ塩基配列又は該塩基配列のうち10%以下の塩基が置換した塩基配列を有する請求項8ないし13のいずれか1項に記載の核酸。
- 配列番号1、5若しくは7に示す塩基配列又はその部分領域と同じ塩基配列を有する請求項14記載の核酸。
- 請求項8ないし15のいずれか1項に記載された核酸から成る、ミトコンドリアチトクロムb大サブユニット構成遺伝子のmRNAの選択的スプライシングバリアントの測定用核酸。
- 核酸増幅用のプライマー、又はプローブである請求項16記載の測定用核酸。
- 核酸増幅用のプライマーである請求項17記載の測定用核酸。
- 請求項16ないし18のいずれか1項に記載の測定用核酸を含む、ミトコンドリアチトクロムb大サブユニット構成遺伝子のmRNAの選択的スプライシングバリアントの測定用キット。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法により、生体から分離した被検試料中のミトコンドリアチトクロムb大サブユニット構成遺伝子のmRNAの選択的スプライシングバリアントを測定することを含む、酸化ストレスの測定方法。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法により、生体から分離した被検試料中のミトコンドリアチトクロムb大サブユニット構成遺伝子のmRNAの選択的スプライシングバリアントを測定することを含む、癌の検出方法。
- 配列番号1に示される塩基配列を有する選択的スプライシングバリアントを測定する請求項21記載の方法。
- 前記癌が大腸癌である請求項21又は22記載の方法。
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