以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明は、例えば図1に示すような構成の編集装置100に適用される。この図1に示した編集装置100は、SMPTE259M仕様のシリアルデジタルインタフェース(SDI)に準拠した映像信号の編集を行うもので、ローカルバスBUSを介して接続されたコンピュータ10、ハードディスク装置20及び画像処理装置30からなる。
上記コンピュータ10は、この編集装置100全体を制御するシステムコントローラとして機能するもので、内部バスBUSINTを介して接続された中央処理ユニット(CPU)11、ランダムアクセスメモリ(RAM)12、リードオンリメモリ(ROM)13やモニター装置14を備える。また、このコンピュータ10の上記内部バスBUSINTには、インターフェース(I/F)15を介してキーボード16やマウス17が接続されている。
また、上記ハードディスク装置20は、この編集装置100で編集するSMPTE259M仕様のシリアルデジタルインタフェース(SDI)に準拠した映像信号を一時的に一時的に記憶しておくためのものであって、上記ローカルバスBUSを介して制御コマンドが与えられるディスクユニットコントローラ21と、このディスクユニットコントローラ21により制御されるハードディスクアレイ22からなる。このハードディスク装置20は、2チャンネルの入力信号を上記ハードディスクアレイ22に蓄積して、上記ハードディスクアレイ22から読み出される信号を3チャンネルで出力することができるもので、上記2チャンネルの入力信号として編集用の映像素材であるソース映像信号と上記画像処理装置30から出力された画像処理済みの映像信号が入力されるようになっている。そして、このハードディスク装置20は、上記ソース映像信号と上記画像処理装置30から出力された画像処理済みの映像信号を上記ハードディスクアレイ22に蓄積し、上記ローカルバスBUSを介して与えられる制御コマンドに応じて上記ディスクユニットコントローラ21により上記ハードディスクアレイ22を制御して、上記ハードディスクアレイ22から3チャンネルの映像信号を出力するようになっている。
さらに、上記画像処理装置30は、この編集装置100で編集する映像信号に特殊画像効果処理やカラーコレクション処理を施すためのものであって、上記ローカルバスBUSを介して制御コマンドが与えられる画像処理ユニットコントローラ31と、この画像処理ユニットコントローラ31により制御されるクロスポイントスイッチ32、特殊効果処理部33、ミキサ部34やカラーコレクタ部35等からなる。
この画像処理装置30において、上記クロスポイントスイッチ32は、少なくとも6チャンネルの入力ラインと7チャンネルの出力ラインを有するマトリクススイッチャであって、上記ハードディスク装置20から出力される3チャンネルの映像信号と、上記ミキサ部34から出力される2チャンネルの映像信号と、上記カラーコレクタ部35から出力される1チャンネルの映像信号からなる6チャンネルの映像信号が入力信号として6チャンネルの入力ラインに供給されるようになっている。また、上記クロスポイントスイッチ32の出力ラインは、1チャンネルがモニタ映像信号の出力ライン、2チャンネルが画像処理済みの映像信号の出力ライン、3チャンネルが特殊効果処理部33への出力ライン、1チャンネルがカラーコレクタ部への出力ラインとして割り当てられている。そして、上記モニタ映像信号の出力ラインは、上記画像処理ユニットコントローラ31に接続されている。これにより、上記画像処理ユニットコントローラ31は、上記出力ラインから上記バスBUSを介して上記コンピュータ10のモニター装置14にモニタ映像信号を供給するようになっている。また、上記2チャンネルの画像処理済みの映像信号の出力ラインは、1チャンネルの出力ラインが図示しない後段の記録装置等に編集済みの映像信号を供給するため出力ラインとして用いられ、他の1チャンネルの出力ラインが上記ハードディスク装置20に接続されている。これにより、上記画像処理装置30は、上記出力ラインを介して上記ハードディスク装置20に画像処理済みの映像信号を供給するようになっている。また、上記特殊効果処理部33への3チャンネルの出力ラインを介して3チャンネルの映像信号を上記特殊効果処理部33に供給するようになっている。さらに、上記カラーコレクタ部35への1チャンネルの出力ラインを介して1チャンネルの映像信号を上記カラーコレクタ部35に供給するようになっている。
また、上記特殊効果処理部33は、上記クロスポイントスイッチ32を介して供給される3チャンネルの映像信号に対して特殊効果処理を施してミキサ部34から特殊効果処理済みの映像信号を上記クロスポイントスイッチ32の入力ラインに供給するようになっている。
さらに、上記カラーコレクタ部35は、上記クロスポイントスイッチ32を介してSMPTE259M仕様のシリアルデジタルインタフェース(SDI)に準拠した映像信号が入力されるデマルチプレクサ(DEMUX:Demultiplexer)36と、このデマルチプレクサ36の出力信号が供給されるプライマリー処理部37と、このプライマリー処理部37の出力信号が供給されるセカンダリー処理部38と、このセカンダリー処理部38の出力信号が供給されるマルチプレクサ(MUX:Multiplexer)39からなる。
このカラーコレクタ部35において、上記デマルチプレクサ36は、上記クロスポイントスイッチ32を介して入力されるSMPTE259M仕様のシリアルデジタルインタフェース(SDI)に準拠した映像信号を輝度データYと色差データU,Vに変換する。また、上記プライマリー処理部37は、上記デマルチプレクサ36により得られた輝度データYと色差データU,Vにホワイトレベル、ブラックレベル、ガンマ補正等の輝度レベルを中心にした映像信号の信号レベルを補正するための処理を施す。さらに、上記セカンダリー処理部38は、上記プライマリー処理部37による処理が施された輝度データYと色差データU,Vに色相を中心にした映像信号の信号レベルを補正する処理を施す。そして、上記マルチプレクサ39は、上記プライマリー処理部37及び上記セカンダリー処理部38による処理が施された輝度データYと色差データU,VをSMPTE259M仕様のシリアルデジタルインタフェース(SDI)に準拠した映像信号に変換して出力するようになっている。
上記プライマリー処理部37は、その具体的な構成を図2に示してあるように、オーバーサンプリング回路41U,41V、第1のマトリクス回路42、ルックアップテーブル(LUT:Look Up Table)43R,43G,43B及び第2のマトリクス回路44からなる。
このプライマリー処理部37において、上記オーバーサンプリング回路41U,41Vは、上記デマルチプレクサ36により得られた色差データU,Vを輝度データYのサンプリング周波数でオーバーサンプリングすることにより、上記色差データU,Vを輝度データYに同期させて上記第1のマトリクス回路42に供給する。
また、上記第1のマトリクス回路42は、上記デマルチプレクサ36により得られた輝度データYが直接入力されるとともに、上記オーバーサンプリング回路41U,41Vを介して上記輝度データYに同期させた色差データU,Vが入力されるようになっている。そして、この第1のマトリクス回路42は、同期のとられた輝度データYと色差データU,Vについてマトリックス演算を行うことにより、上記輝度データYと色差データU,Vを赤色,緑色及び青色の色データR,G,Bに変換する。
さらに、上記ルックアップテーブル43R,43G,43Bは、事前に、上記コンピュータ10の中央処理ユニット11により計算された各信号レベルに対する出力信号レベルのデータが上記バスBUSを介して画像処理ユニットコントローラ31に供給され、このデータを蓄積することにより形成されるもので、それぞれ各色データR,G,Bの信号レベルをアドレスにして対応する信号レベルの色データR,G,Bを出力する。そして、上記ルックアップテーブル43R,43G,43Bは、上記第1のマトリクス回路42から順次出力される色データR,G,Bについて、
OUT=((WL−BL)×IN)1/γ+BL (1)式
の演算処理を実行し、オペレータが事前に設定した特性曲線によりこれら色データR,G,Bの信号レベルを補正して出力する。
なお、(1)式において、INは入力レベル、OUTは入力レベルINに対する出力レベル、INは入力データ、BLはブラックレベル、WLはホワイトレベル、γはガンマ補正値である。
そして、上記第2のマトリックス回路44は、上記ルックアップテーブル43R,43G,43Bより出力される色データR,G,Bをマトリックス演算することにより、これら色データR,G,Bを輝度データY,色差データU,Vに変換して出力する。
ここで、上記コンピュータ10に設けられた上記中央処理ユニット(CPU)11は、ランダムアクセスメモリ(RAM)13にワークエリアを確保して、キーボード16やマウス17の操作に応動してリードオンリメモリ(ROM)12や図示しないハードディスク装置などに格納された一連の処理手順を実行することにより、この編集装置100の動作を制御する。
この制御において、上記画像処理装置30のカラーコレクタ部35を使用する処理をオペレータが指定すると、上記中央処理ユニット11は、制御コマンドを上記画像処理装置30の画像処理ユニットコントローラ31に送って、上記カラーコレクタ部35の動作を立ち上げる。さらに、上記中央処理ユニット11は、この状態でオペレータが処理条件の設定を指示すると、処理の条件を受け付け、この受け付けた条件に従って上記カラーコレクタ部35のパラメータ設定処理を実行する。
このとき上記中央処理ユニット11は、モニタ装置14に表示したGUI(Graphical User Interface)により処理条件の設定を受け付ける。すなわち、上記中央処理ユニット11は、プライマリー処理のうちの、ホワイトレベル、ブラックレベル、ガンマ補正に関する条件設定のメニューが選択されると、図3の(A)に示すように、赤色、青色、緑色の各色信号について、それぞれ入力信号レベルINと出力信号レベルOUTとの関係を示す特性曲線L1を表示する。なお、図3の(A)においては、1の色信号についてのみ特性曲線を示し、他の色信号についての記載は省略して示す。
さらに、上記中央処理ユニット11は、この特性曲線L1上に、所定間隔で複数の点P0,P1・・・を表示する。このような特性曲線L1においては、これら複数の点P0,P1・・・のうちの始点P0及び終点P4が、それぞれブラックレベルBL及びホワイトレベルWLを表し、曲線L1の湾曲がガンマγを表すことになる。
上記中央処理ユニット11は、オペレータの操作に応動して、デフォルト値のブラックレベルBL、ホワイトレベルWL、ガンマγにより、又は所定の記憶手段に記録されたブラックレベルBL、ホワイトレベルWL、ガンマγにより上述の(1)式の演算処理を実行することにより、入力レベルINに対する出力レベルOUTを順次計算し、この計算結果によりこの特性曲線L1を表示する。
この状態で符号Aにより示すように、オペレータがマウス17で始点P0又は終点P4をつかんで移動させると、この移動した始点P0及び終点P4の座標値を基準にして(1)式の演算処理を実行し、これによりブラックレベルBL、ホワイトレベルWLの変更を受け付けると共に、符号L2により示すように、変更したブラックレベルBL、ホワイトレベルWLにより特性曲線を表示する。またオペレータが中間の点P1,P2,P3をつかんで移動させると、この移動した点P1,P2又はP3と始点P0及び終点P4の座標値を基準にして(1)式の演算処理を実行し、これによりガンマγの変更を受け付けると共に、このガンマγによる特性曲線を表示する。
これにより上記中央処理ユニット11は、オペレータの操作に応動して種々に入出力特性を設定できるようになされている。なお、上記中央処理ユニット11は、ブラックレベルBL、ホワイトレベルWL、ガンマγについて、他に数値入力を受け付けることができるように表示画面を形成し、この数値入力によっても、特性曲線の表示を変更するようになされている。
さらに、上記中央処理ユニット11は、このようにして受け付けるブラックレベルBL等により、映像信号の取り得る信号レベルに対して順次出力信号レベルを計算する。このとき上記中央処理ユニット11は、赤色、青色、緑色の各色信号について、入力レベルINに8ビットのデータを割り振ると共に、この8ビットの入力レベルINを順次切り換えて(1)式の演算処理を実行し、これにより順次入力レベルINに対応した8ビットデータにより出力レベルOUTを計算する。
さらに、上記中央処理ユニット11は、これらの計算結果を上記画像処理装置30の画像処理ユニットコントローラ31に送ってセットし、設定された入出力特性によるルックアップテーブル43R,43G,43Bを上記プライマリー処理部37に作成する。さらにこの設定したルックアップテーブル43R,43G,43Bを用いて上記カラーコレクタ部35により画像を処理させる。
上記入出力特性を設定するに当たり、上記中央処理ユニット11は、図3の(B)に示すように、ウインドウW1を形成してこの特性曲線L1を表示し、さらに、オペレータの設定した条件による処理前後の画像を他のウインドウW1及びW2によりそれぞれ表示する。
このとき上記中央処理ユニット11は、オペレータの操作に応動して、これら特性曲線L2の表示を切り換えて、上記プライマリー処理部37のルックアップテーブル43R,43G,43Bの設定作業等を繰り返すようになされ、これにより処理結果をモニタ装置14で確認しながらマウス17を操作して、プライマリー処理の条件をインタラクティブに変更できるようになされている。
ここで、上記カラーコレクタ部35のプライマリー処理部37により、図4に示すようなオーバーアイリス気味のソースビデオイメージに対して、ガンマ値2.51に設定してプライマリー処理した結果を図5に示し、ガンマ値0.79に設定してプライマリー処理した結果を図6に示し、さらに、ガンマ値0.32に設定してプライマリー処理した結果を図7に示す。図4に示したソースビデオイメージに対して、ガンマ値2.51に設定したプライマリー処理では、オーバーアイリス状態の処理結果が得られ、ガンマ値0.79に設定したプライマリー処理では適正アイリス状態の処理結果が得られ、さらに、ガンマ値0.32に設定したプライマリー処理ではローアイリス状態の処理結果が得られた。このように、上記カラーコレクタ部35のプライマリー処理部37により、ガンマを自由に設定して自然な処理結果を得ることができる。
また、上記図4に示したソースビデオイメージに対して、ホワイトレベルを127階調に設定してプライマリー処理した結果を図8に示し、ブラックレベルを127階調に設定してプライマリー処理した結果を図9に示し、ホワイトレベル及びブラックレベルを0階調及び255階調に設定してプライマリー処理した結果を図10に示し、さらに赤色の色データについてだけホワイトレベル及びブラックレベルを0階調に設定してプライマリー処理した結果を図11に示す。図8〜図10から明らかなように、上記カラーコレクタ部35のプライマリー処理部37では、大幅に階調を変化させて、何ら画質劣化等の不都合な問題を発生することなく、信号レベルを補正することができる。図11から明らかなように、上記カラーコレクタ部35のプライマリー処理部37では、赤色の色消し効果も得られる。
また、この編集装置100において、上記セカンダリー処理部38には、例えば図12に具体的な構成例を示すように、座標変換回路51、ルックアップテーブル52及び加算回路54Y,54U,54Vからなるセカンダリー処理部50が用いられる。
このセカンダリー処理部50において、上記座標変換回路51は、上記プライマリー処理部37から出力される色差データU,Vが供給されるようになっている。この座標変換回路51は、順次入力される色差データU,Vについて、
θ= arctan(V/U) (2)式
の演算処理を実行し、これにより各色差データU,Vを色相θのデータに変換する。
また、上記ルックアップテーブル52は、事前に、上記コンピュータ10の中央処理ユニット11により計算された各θ(0°≦θ≦360°)に対応する総合補正値データΣΔY,ΣΔU,ΣΔVを蓄積するためのメモリである。このルックアップテーブル52は、上記座標変換回路51により得られた色相θのデータをアドレスにして対応するソースベクトルの総合補正値データΣΔY,ΣΔU,ΣΔVを出力する。
そして、上記加算回路54Y,54U,54Vは、上記プライマリー処理部37から出力されるソースカラーの輝度データYsと色差データUs,Vsに上記ルックアップテーブル52から読み出された統合補正値データΣΔY,ΣΔU,ΣΔVを加算することにより、デスティネーションカラーの輝度データYと色差データU,Vを生成する。
ここで、図12に示した構成のセカンダリー処理部50における補正処理の原理について説明する。
このセカンダリー処理部50における補正処理は、入力信号U,Vのなす色相(0°≦θ≦360°)に対応して演算された総合補正値データΣΔY,ΣΔU,ΣΔVを入力信号Ys,Us,Vsに加算する方式を採用したものであって、入力(Ys,Us,Vs)と出力(Yd,Ud,Vd)の関係は、
Yd = Ys+ΣΔY
Ud = Us+ΣΔU (3)式
Vd = Vs+ΣΔV
によって示される。なお、Ys,Us,Vsは、ソースベクトルの輝度レベル及び各色差レベルである。また、Yd,Ud,Vdは、デスティネーションベクトルの輝度レベル及び各色差レベルである。
ここで、この総合補正データΣΔY,ΣΔU,ΣΔVについて説明する。本発明のカラーコレクタ装置は、1つのソースベクトルだけはなく、任意の1〜n個のソースベクトル及びこのn個のソースベクトルに夫々対応付けられた任意のn個のデスティネーションベクトルを設定することができるように構成されている。そこで、第1〜第nのソースベクトルに対応する輝度成分の補正データΔY1〜ΔYnを全て累算したものをこの輝度成分に関する総合補正データΣΔYと定義し、第1〜第nのソースベクトルに対応する色成分の補正データΔU1〜ΔUnを全て累算したものをこの色成分に関する総合補正データΣΔUと定義し、第1〜第nのソースベクトルに対応する色成分の補正データΔV1〜ΔVnを全て累算したものをこの色成分に関する総合補正データΣΔVと定義している。
従って、個々の補正データと総合補正データとの関係は、
ΔY = ΔY1+ΔY2+ ・・・ +ΔYn
ΔU = ΔU1+ΔU2+ ・・・ +ΔUn (4)式
ΔV = ΔV1+ΔV2+ ・・・ +ΔVn
のように表わすことができる。
まず最初に、輝度成分に関する総合補正データΣΔYを求めるために、ソースベクトルの輝度成分Ys及びそのソースベクトルに対応付けられた第1のデスティネーションベクトルの輝度成分Ydについて着目する。
ここで、オペレータによって設定されたn個のベクトルのうち第1のソースベクトルの輝度成分をYs1とし、第1のデスティネーションベクトルをYd1とする。また、第1のソースベクトルの輝度成分を第1のデスティネーションベクトルの輝度成分に補正するための補正データをΔY1とし、この第1のソースベクトルに対して設定された任意の重み付け関数をK1(θ)とすると、Ys1,Yd1,ΔY1及びK1(θ)の関係は、
ΔY1 = K1(θ)×(Yd1−Ys1) (5)式
で表わすことができる。
なお、この重き付け関数K1(θ)については詳しくは後述する。
既に説明したように、本発明のカラーコレクタ装置は、n個のソースベクトル及びデスティネーションベクトルを設定することができるように構成されているので、第1のソースベクトルに関する補正データΔY1を求めた式(5)と同じように考え、第nまでのすべてのソースベクトル及びデスティネーションベクトルについて、
ΔY1 = K1(θ)×(Yd1−Ys1)
ΔY2 = K2(θ)×(Yd2−Ys2)
ΔY3 = K3(θ)×(Yd3−Ys3) (6)式
・・・
ΔYn = Kn(θ)×(Ydn−Ysn)
という関係式が成りたつことがわかる。
よって、(4)式に(6)式のΔY1〜ΔY1nを代入すると、
ΣΔY= ΔY1+ΔY2+ ・・・ +ΔYn
= K1(θ)×(Yd1−Ys1)+K2(θ)×(Yd2−Ys2)
+ ・・・
+Kn(θ)×(Ydn−Ysn) (7)式
となる。
輝度成分に関して(7)式を求めた演算と同じように、色成分U,Vに関する総合補正データΣΔU,ΣΔVを求めるために、ソースベクトルの色成分Us,Vs及びデスティネーションベクトルの色成分Ud,Vdについて着目すると、(7)式と同じように、
ΣΔU= ΔU1+ΔU2+ ・・・ +ΔUn
= K1(θ)×(Ud1−Us1)+K2(θ)×(Ud2−Us2)
+ ・・・
+ Kn(θ)×(Udn−Usn) (8)式
ΣΔV= ΔV1+ΔV2+ ・・・ +ΔVn
= K1(θ)×(Vd1−Vs1)
+K2(θ)×(Vd2−Vs2)
+ ・・・・・・・・
+Kn(θ)×(Vdn−Vsn) (9)式
が成り立つ。
上記中央処理ユニット11は、これらの(7)式、(8)式及び(9)式に基いて、0°〜360°の値をもつθに対して1°度毎に、総合補正データΣΔY,ΣΔU及びΣΔVを演算する。つまり、全角度に対応する360個の総合補正データΣΔY,ΣΔU,ΣΔVが生成される。これらの演算された総合補正データΣΔY,ΣΔU,ΣΔVは、ルックアップテーブル52に、各角度θによってアドレッシングされるようにストアされる。
次に、上述した重み付け関数K(θ)について説明する。この重み付け関数K(θ)は、各ソースベクトルにおける補正値のゲインを設定するための関数である。上述した補正データと同じように、各ソースベクトルに対して夫々設定される関数であるので、第1〜第nのソースベクトルが設定された場合には、第1〜第nの重み付け関数K1(θ)〜Kn(θ)が存在する。
この重み付け関数K(θ)のパラメータとして、重み付け範囲を示す色相範囲データW、ゲインレベルデータGとが設定される。この設定された色相範囲データとゲインレベルに応じて、この重み付け関数K(θ)が決定される。
以下に図13の(A)及び(B)を参照して、第1のソースベクトルSV1に対して設定された第1の重み付け関数K1(θ)の設定を例にあげて説明する。この図13の(B)は、色空間を2次元のベクトルスコープによって表現したものである。この図13の(B)に示された例は、第1のソースベクトルSV1によって表わされる点Ps1のカラーが、第1のデスティネーションベクトルDV1によって表わされる点Pd1のカラーに変換されることを表わしている例である。
また、この図13の(A)に示されるように、色相範囲データθwは、この第1のソースベクトルSV1の色相角θs1中心となるように設定されているデータである。第1の重み付け関数K1(θ)は、第1のソースベクトルの色相角θs1においてゲインが「1」となり色相角θs1−θw/2及びθs1+θw/2においてゲインが「0」となるような関数である。
つまり、この関数K1(θ)は、θs1−θw/2≦θ<θs1の範囲では、
であって、θs1≦θ≦θs1+θw/2の範囲では、
また、θ>θs1−θw/2及びθs1+θw/2<θでは、
K(θ)= 0 (12)式
である。
次に、この第1の重み付け関数を使用した場合に、どのようにカラーが変換するのかを図13の(A),(B)を参照して説明する。
この図13は、第1のソースベクトルSV1によって表わされる点Ps1のカラーが、第1のデスティネーションベクトルDV1によって表わされる点Pd1のカラーに変換され、設定された色相範囲データθw内における第1のソースベクトルSV1近傍の点Ps1’のカラーが、点Pd1’に変換され、設定された色相範囲データθw内における第1のソースベクトルSV1から離れた点Ps1”のカラーが、点Pd1”に変換される様子を表わしている。
夫々の点の座標は、
Ps1 (Ys1,Us1,Vs1)
Pd1 (Ys1+ΔY1(θs),
Us1+ΔU1(θs),
Vs1+ΔV1(θs)) (13)式
Ps1’(Ys1’,Us1’,Vs1’)
Pd1’(Ys1’+K(θ’)×ΔY1(θs),
Us1’+K(θ’)×ΔU1(θs),
Vs1’+K(θ’)×ΔV1(θs)) (14)式
Ps1”(Ys1”,Us1”,Vs1”)
Pd1”(Ys1”+ K(θ”)×ΔY1(θs),
Us1”+ K(θ”)×ΔU1(θs),
Vs1”+ K(θ”)×ΔV1(θs)) (15)式
と表わすことができる。
この図13の(A)から理解できるように、点Ps1’が、第1のソースベクトルSV1の近傍であればあるほど、重み付け関数K(θ’)の値は大きくなる。また、(14)式から理解できるように、ソースベクトルからデスティネーションベクトルへの補正データΔY1(θs)にこの重み付け関数K(θ’)を乗算した値によって、変換先の点Pd1’の位置が決定する。すなわち、点Ps1’が、第1のソースベクトルSV1近傍であればあるほど、つまり、θ’がθsに近いほど、変換前の点Ps1’の変換先の点Pd1’は、デスティネーションベクトルに近く成る。
その結果、ソースベクトル上の色を有する画素だけでは無く、点Ps1’のようにソースベクトルの周辺の色を有する画素についても、色を変換することができる。また、本カラーコレクタ装置は、色相角θを関数とした重み付け関数K(θ)を使用することによって、ソースベクトルに近い点Ps1’の色を変換する場合に、変換先の点Pd1’は、デスティネーションベクトル上の色に変換されるのでは無く、デスティネーションベクトル上の色と変換前の点Ps1’の色との中間色の色になるので、より自然な色変換を実現できる。
これに対して、図13の(A)から理解できるように、点Ps1”が、第1のソースベクトルから離れるほど、重み付け関数K(θ”)の値は小さくなる。また、上記の(15)式から理解できるように、ソースベクトルからデスティネーションベクトルへの補正データΔY1(θs)にこの重み付け関数 K(θ”)を乗算した値によって、変換先の点Pd1”の位置が決定する。従って、点Ps1”が、第1のソースベクトルSV1から離れているほど、つまり、θ”がθsから離れているほど、変換先の点Pd1”は、変換前の点Ps1”に近くなる。
つまり、変換先の点Pd1”が、変換前の点Ps1”に近くなるということは、カラーコレクション処理によって、点Ps1”の色は大きく変化しないとおいことである。従って、本カラーコレクタ装置は、色相角θを関数とした重み付け関数K(θ)を使用することによって、ソースベクトルから離れているような点Ps1”の色の変換する場合に、この点Ps1”の色をこの点自身に近い点Pd1”の色に変換しているので、より自然な色変換を実現できる。
この重み付け関数K(θ)は、図13の(A)に示したような関数に限られるものでは無く、変換する画像に応じて、図14の(A)や(B)のような重み付け関数を用いてもよい。
上記カラーコレクタ部35のセカンダリー処理部38として用いた図12に示した構成のセカンダリー処理部50により、図15に示すようなソースビデオイメージに対して、飽和度71、色相115°(輝度レベル107階調)をソースベクトルに指定し、色相87度をデスティネーションベクトルに設定してセカンダリー処理した結果を図16に示し、色相308°をデスティネーションベクトルに設定してセカンダリー処理した結果を図17に示し、さらに、色相222°をデスティネーションベクトルに設定してセカンダリー処理した結果を図18に示す。図15〜図18から明らかなように、このセカンダリー処理部50によれば、意図しない色相の変化を伴うことなく色相を大きく変化させることができる。
また、上記画像処理装置30におけるカラーコレクタ部35のセカンダリー処理部38としては、上述の図12に示した構成のカラーコレクタ部50に代えて、例えば図19に示すような構成のカラーコレクタ部60を用いるようにしてもよい。
この図19に示したセカンダリー処理部60は、座標変換回路61、第1及び第2のルックアップテーブル62,63及び第1〜第4の乗算回路64,65,66,67及び加算回路68からなる。
このセカンダリー処理部60において、上記座標変換回路51は、上記プライマリー処理部37から出力される色差データU,Vが供給されるようになっている。この座標変換回路37は、順次入力される色差データU,Vについて、
θ = arctan(V/U)
r = U/cosθ (16)式
=(U2+V2)1/2
の演算処理を実行することにより各色差データU,Vを色相θ及び飽和度rのデータに変換する。これによりセカンダリー処理部60は、順次入力される映像信号を色平面上において極座標形式により表現する。このとき第1の座標変換回路61は、各10ビットの色差データU,Vから14ビットの色相θのデータ及び11ビットの飽和度rのデータを生成する。これにより続く処理において十分な分解能を確保する。上記座標変換回路61により生成された色相θのデータは、各ルックアップテーブル62,63に供給され、また、飽和度rのデータは、第1の乗算回路64に供給される。
また、上記第1のルックアップテーブル62は、事前に、上記コンピュータ10の中央処理ユニット11により計算された総合補正データΣΔR,ΣΔX,ΣΔYを蓄積することにより形成され、上記座標変換回路61で計算された色相θをアドレスにして対応する総合補正データΣΔR,ΣΔX,ΣΔYを第1〜第3の乗算回路64,65,66に出力する。
上記第1の乗算回路64は、上記座標変換回路61で計算された飽和度rに上記第1のルックアップテーブル62から出力される飽和度rの補正データΔRを乗算して、その乗算出力を第2及び第3の乗算回路65,66に供給する。
また、上記第2の乗算回路65は、上記第1のルックアップテーブル62から出力される色相θのベクトルのU軸成分でなる補正データΔXに上記第1の乗算回路64より出力される飽和度rを乗算する。また、第1の乗算回路66は、上記第1の乗算回路64より出力される飽和度rに上記第1のルックアップテーブル62から出力される色相θのベクトルのV軸成分でなる補正データΔYに上記第1の乗算回路64より出力される飽和度rを乗算する。これにより、上記第2及び第3の乗算回路65,66は、各乗算出力をデスティネーションベクトルの色データUd,Vdとして出力する。
また、第2のルックアップテーブル63は、事前に、中央処理ユニット11により計算された各色相θに対する輝度レベルの総合的な利得ΣΔGAIN及びオフセット量ΣΔOFFを蓄積することにより形成され、上記第1の座標変換回路61より出力される色相θをアドレスにして利得ΣΔGAIN及びオフセット量ΣΔOFFを第4の乗算回路67及び加算回路68に出力する。
上記第4の乗算回路67は、上記プライマリー処理部37から順次入力される輝度データYに上記第2のルックアップテーブル63から供給される利得ΣΔGAINを乗算して、その乗算出力を加算回路68に供給する。
そして、上記加算回路68は、上記第4の乗算回路67の出力データにオフセット量ΣΔOFFを加算して出力する。このようにして、上記第4の乗算回路67及び加算回路68は、
Yd = ΣΔGAIN×Ys+ΣΔOFF (17)式
なる演算処理を実行し、処理対象の範囲Wについて、オペレータの設定した特性により輝度レベルを補正する。
ここで、この総合補正データΣΔU,ΣΔV及びΣΔRについて説明する。図12において説明したように、本発明のカラーコレクタ装置は、1つのソースベクトルだけはなくて、任意の1〜n個のソースベクトル及びこのn個のソースベクトルに夫々対応付けられた任意のn個のデスティネーションベクトルを設定することができるように構成されている。そこで、第1〜第nのソースベクトルに対応するU軸方向の成分の補正データΔU1〜ΔUnによって得られる総合的な補正データをΣΔUと定義し、第1〜第nのソースベクトルに対応するV軸方向の成分の補正データΔV1〜ΔVnによって得られる総合的な補正データをΣΔVと定義し、第1〜第nのソースベクトルに対応する飽和度方向の補正データΔR1〜ΔRnによって得られる総合的な補正データをΣΔRと定義する。
また、この図19に示されたセカンダリー処理部は、UV座標ではなくて、極座標を用いてカラーコレクティング処理を行っている。そこで、第1〜第nのソースベクトルの色相角から第1〜第nのデスティネーションベクトルの色相角に変換するための変換データを、夫々Δθ1〜Δθnと定義し、第1〜第nのソースベクトルに対応する色相角に関する総合的な補正データをΣΔθとすると、
ΣΔθ= Δθ1+Δθ2+ ・・・ +Δθn
(18)式
ΣΔR= ΔR1+ΔR2+ ・・・ +ΔRn
のように表わすことができる。
次に、色相角に関する総合補正データΣΔθを求めるために、図20の(A)のように、オペレータによって設定された第1のソースベクトルSV1の色相をθs1とし、この第1のソースベクトルSV1に対応するように設定された第1のデスティネーションベクトルDV1の色相角をθD1とする。また、第1のソースベクトルSV1に対して設定された重み付け関数をK1(θ)とする。よって、この第1のソースベクトルSV1付近の画素の色を第1のデスティネーションベクトルDV1の付近の画素の色に変更するための色相に関する補正データΔθ1は、
Δθ1 =(θD1−θS1)×K1(θ) (19)式
という式で表わすことができる。
また、(6)式において説明したように、本発明のカラーコレクタ装置は、任意のn個のソースベクトルを設定することができるように構成されている。従って、(6)式と同じように、第1〜第nのソースソースベクトルが設定されたとすると、
Δθ1 =(θD1−θS1)×K1(θ)
Δθ2 =(θD2−θS2)×K2(θ)
・・・ (20)式
Δθn =(θDn−θSn)×Kn(θ)
という式が成り立つ。
よって、(18)式に(20)式のΔθ1〜Δθnを代入すると、
ΣΔθ= Δθ1+Δθ2+ ・・・ +Δθn
=(θD1−θS1)×K1(θ)
+(θD2−θS2)×K2(θ)
+ ・・・
+(θDn−θSn)×Kn(θ) (21)式
となる。
この総合補正データΣΔθは、UV空間における局座標系のデータであるので、このデータをUV空間における直交座標系のデータに変換しなければいけない。従って、UV空間における直交座標系によって表わされたU軸方向のデータをΔU及びV軸方向のデータをΔVとすると、
ΔX= cos(θ+ΣΔθ)
= cos(θ+(θD1−θS1)×K1(θ)
+(θD2−θS2)×K2(θ)
+ ・・・
+(θDn−θSn)×Kn(θ)
ΔY= sin(θ+ΣΔθ)
= sin(θ+(θD1−θS1)×K1(θ)
+(θD2−SS2)×K2(θ)
+ ・・・
+(θDn−θSn)×Kn(θ) (22)式
となる。
次に、飽和度に関する総合補正データΣΔRを求めるために、図20の(B)ように、オペレータによって設定された第1のソースベクトルSV1の飽和度を「RS1」とし、第1のデスティネーションベクトルDV1の飽和度を「RD1」とする。よって、第1のソースベクトルSV1とデスティネーションベクトルDV1と間の飽和度の比率は、RD1/RS1と表わすことができる。
色相角に関する演算と同じように、第1のソースベクトルSV1に対して設定された重み付け関数をK1(θ)とすると、この第1のソースベクトルSV1付近の画素の色を第1のデスティネーションベクトルDV1の付近の画素の色に変更するための飽和度に関する補正データΔR1は、
ΔR1 =(RD1/RS1)×K1(θ) (23)式
となる。
また、第1〜第nのソースソースベクトルに夫々対応付けられるように設定された補正データΔR1−ΔRnは、
ΔR1 =(RD1/RS1)×K1(θ)
ΔR2 =(RD2/RS2)×K2(θ) (24)式
ΔRn =(RDn/RSn)×Kn(θ)
となる。
よって、(18)式に(24)式の各補正データΔR1〜ΔRnを代入すると、
ΣΔR=(RD1/RS1)×K1(θ)
+(RD2/RS2)×K2(θ)
+ ・・・
+(RDn/RSn)×Kn(θ) (25)式
となる。
上記中央処理ユニット11は、これらの(22)式及び(25)式に基いて、0°〜360°の値をもつθに対して1°度毎に、総合補正データΣΔX,ΣΔY,ΣΔRを演算する。つまり、全角度に対応する360個の総合補正データΣΔX,ΣΔY,ΣΔRが生成される。これらの演算された総合補正データΣΔX,ΣΔY,ΣΔRは、ルックアップテーブル62に、各角度θによってアドレッシングされるようにストアされる。
次に、ルックアップテーブル63にストアされる総合補正データΣΔGAIN及びΣΔOFFについて説明する。
本発明のカラーコレクタ装置は、任意の第1〜第nのソースベクトルの輝度信号に対して、夫々任意の補正ゲイン値GAIN1〜GAINn及びオフセット値OFF1〜OFFnを設定できるように構成されている。そこで、第1〜第nのソースベクトルの輝度信号に関するゲイン値GAIN1〜GAINnに基いて得られる総合的な補正データをΣΔGAINと定義し、第1〜第nのソースベクトルに対して設定された輝度信号に関するオフセットデータOFF1〜OFFnに基いて得られる総合的な補正データをΣΔOFFと定義している。
ここで、既に説明した重み付け関数K(θ)を考慮すると、第1〜第nのソースベクトルの輝度信号のゲインに関する補正データΔGAIN1〜ΔGAINnは、
ΔGAIN1 = GAIN1×K1(θ)
ΔGAIN2 = GAIN2×K1(θ) (26)式
・・・
ΔGAINn = GAINn×K1(θ)
となる。よって、輝度信号のゲインに関する総合補正データΣΔGAINは、
ΣΔGAIN= ΔGAIN1+ ΔGAIN2
+ ・・・ +ΔGAINn
= GAIN1× K1(θ)
+GAIN2× K1(θ)
+ ・・・
+GAINn×K1(θ) (27)式
となる。
同じように重み付け関数K(θ)を考慮すると、第1〜第nのソースベクトルの輝度信号のオフセットに関する補正データΔOFF1〜ΔOFFnは、
ΔOFF1 = OFF1× K1(θ)
ΔOFF2 = OFF2× K1(θ) (28)式
・・・
ΔOFFn = OFFn× K1(θ)
となる。よって、輝度信号のオフセットに関する総合補正データΣΔOFFは、
ΣΔOFF= ΔOFF1+ΔOFF2+ ・・・ +ΔOFFn
= OFF1×K1(θ)+OFF2×K1(θ)
+ ・・・ +OFFn×K1(θ) (29)式
となる。
上記中央処理ユニット11は、これらの(27)式及び(29)式に基いて、0°〜360°の値をもつθに対して1°度毎に、総合補正データΣΔGAIN,ΣΔOFFを演算する。つまり、全角度に対応する360個の総合補正データΣΔGAIN及びΣΔOFFが生成される。これらの演算された総合補正データΣΔGAIN及びΣΔOFFは、ルックアップテーブル63に、各角度θによってアドレッシングされるようにストアされる。
ここで、上記画像処理装置30におけるカラーコレクタ部35のセカンダリー処理部38として上述の図19に示した構成のセカンダリー処理部60を用いるようにした編集装置100では、上記セカンダリー処理部60によるセカンダリー処理に関する条件設定のメニューをオペレータが選択すると、上記コンピュータ10の中央処理ユニット11は、図3の(B)の表示画面と同様の表示画面を表示して、処理前後の静止画像をウインドウW2,W3により表示する。なおこの場合の処理後の静止画像は、オペレータの選択に応じて、デフォルトの特性により、又は記憶手段に記憶された特性により、上記カラーコレクタ部35で処理したものである。
さらに、上記中央処理ユニット11は、所定の色見本を表示し、処理前の静止画像上等で、オペレータがマウス17をクリックすると、このクリックされたピクセルの色相及び飽和度を基準にして田1のソースベクトルの色相データθS1及び飽和度RD1を演算する。さらに、上記中央処理ユニット11は、オペレータの選択したソースベクトルを表示し、ソースベクトルの場合と同様にしてソースベクトルに対応するデスティネーションベクトルの色相データθD1及び飽和度RD1を演算する。
さらに、上記中央処理ユニット11は、ソースベクトルについて、重み付け関数K(θ)の色相範囲θw、重み付け関数K1(θ)の処理の利得Gを受け付ける。さらに中央処理ユニット11は、この入力した処理対象の範囲W、利得Gにより、このソースベクトルの重み付け関数K1(θ)を生成する。
上記重み付け関数K(θ)は、処理対象の範囲W及び利得Gをそれぞれ底面及び高さにした二等辺三角形形状を高さ1により切り取った形状により作成されることになり、例えば利得Gが1以下の場合、重み付け関数K(θ)は、上述の(10)式〜(12)式で表される。
さらに、上記中央処理ユニット11は、このとき併せてソースベクトルにおける輝度レベルの補正値を受け付ける。この補正値は、利得GAIN1とオフセット量OFF1により表される。
上記中央処理ユニット11は、オペレータの操作に応動して、第1〜第nのソースベクトル及びデスティネーションベクトルに対して、所望のパラメータを設定する。つまり、第1〜第nのソースベクトル及びそれに対応したデスティネーションベクトルに対して、全てのパラメータの入力が終了すると上記中央処理ユニット11は、次の演算処理を行う。
上記中央処理ユニット11は、(20)式及び(24)式に基づいて各ソースベクトルに送る補正データΔθ1〜Δθn,ΔR1〜ΔRnを計算した後、この計算した補正データを対応する重み付け関数K(θ)により重み付け処理する。さらに、上記中央処理ユニット11は、(18)式に基づいて総合補正データΣΔθ,ΣΔRを演算する。
上記中央処理ユニット11は、このようにして計算した総合的な補正データΔθ,ΔRを上記画像処理装置30の画像処理ユニットコントローラ31に送って、上記カラーコレクタ部35のルックアップテーブル62に記憶させる。
また、上記中央処理ユニット11は、(27)式及び(29)式に基づいて輝度レベルに対する補正量ΔYについても、同様にして、重み付け関数K(θ)により重み付けし、各色相における総合補正データΣΔGAIN,ΣΔOFFを算出する。これにより上記中央処理ユニット11は、処理対象の範囲Wについて輝度レベルも併せて補正し、色相を変化させたことによる違和感の発生を有効に回避する。さらにこのときこの輝度レベルの補正においても、色相、飽和度の場合と同様にして、この総合的な補正データを上記カラーコレクタ部35のルックアップテーブル63に記憶させる。
このようにして補正量を計算する際に、上記中央処理ユニット11は、色相θ及び飽和度rについて、それぞれ14ビット及び11ビットにより各補正量を計算し、さらには総合的な補正量ΣΔ(θ)を計算する。なお、ここで映像信号は、いわゆる4:2:2フォーマットによるディジタルビデオ信号であり、それぞれ輝度データ及び色差データが10ビットにより形成される。
すなわちこの4:2:2フォーマットによる10ビットの色差データを色差平面で表現した場合、
θ1 = arctan(511/510)
= 45.056117°
θ1 = arctan(511/511)
= 45.000000°
であるから、最も高い分解能θMAXは、
θMAX =θ1−θ2
=0.056117°
となる。
この角度0.056117°の分解能を確保することが困難な場合、色相を補正した際に、元の画面においては一様に変化していた色相が、段階的に変化するようになる。これにより角度0.056117°の分解能を確保するために、14ビットにより色相θを表現する必要がある。
また飽和度rにおいては、図21に示すように、水平方向及び垂直方向に連続するピクセルP1,P2,P3,P4において、斜め方向に飽和度rが順次変化している場合、補正後の画像においても、この滑らかな斜め方向の飽和度rの変化を維持する必要がある。すなわち水平方向及び垂直方向に隣接するピクセルP1及びP2、P1及びP3間における飽和度の変化に対応して、斜め方向に隣接するピクセルP1及びP4間において飽和度が変化する必要がある。
これにより水平方向及び垂直方向に隣接するピクセルP1及びP2、P1及びP3間における飽和度の変化分を値1とおくと、
1:21/2=210:X
X≒1448
であるから、10ビットにより表現される色差データに対して、11ビットにより飽和度rを表現する必要がある。
したがって、上記中央処理ユニット11は、ソースベクトルの色相及び飽和度、デスティネーションベクトルの色相及び飽和度を各14ビット及び11ビットにより表現し、さらに14ビットにより表現した色相θを順次変化させて、14ビット及び11ビットによる色相及び飽和度の補正量ΣΔ(θ)を計算する。また重み付け関数K(θ)等のビット長も、これらに対応するように設定される。
ここで、上記カラーコレクタ部35のセカンダリー処理部38として用いた図19に示した構成のセカンダリー処理部60により、図22に示すようなソースビデオイメージに対して、飽和度71、色相115°(輝度レベル107階調)をソースベクトルに指定し、色相87°をデスティネーションベクトルに設定してセカンダリー処理した結果を図23に示し、色相308°をデスティネーションベクトルに設定してセカンダリー処理した結果を図24に示し、さらに、色相222°をデスティネーションベクトルに設定してセカンダリー処理した結果を図25に示す。図22〜図25から明らかなように、このセカンダリー処理部60によれば、ソースベクトルの色相115°に近接した肌色の部分でソースビデオイメージから極めて微弱な変化が見られるが、実用上十分な処理結果を得ることができる。
また、上記セカンダリー処理部60により、図26に示すようなソースビデオイメージに対して、赤色をソースベクトルに指定し、緑色をデスティネーションベクトルに設定してセカンダリー処理した結果を図27に示し、赤色をソースベクトルに指定し、緑色をデスティネーションベクトルに設定し、また、緑色をソースベクトルに指定し、赤色をデスティネーションベクトルに設定してセカンダリー処理した結果を図28に示し、さらに、赤色,緑色及び青色をソースベクトルに指定し、緑色,赤色及び黄色をデスティネーションベクトルに設定してセカンダリー処理した結果を図29に示す。図26〜図29から明らかなように、このセカンダリー処理部60によれば、順次ソースベクトルを増大しても、何ら処理結果の画質に影響を与えることなく処理を行うことができる。
さらに、上記セカンダリー処理部60により、図30に示すようなソースビデオイメージに対して、青色,黄色及び赤色成分の飽和度を強調してセカンダリー処理した結果を図31に示し、また、上記条件において黄色成分の減少させてセカンダリー処理した結果を図32に示す。図30及び図31から明らかなように、このセカンダリー処理部60によれば、夕焼けの画像を処理して、空の鮮やか差を増大させて、鮮やかな勇躍絵の情景や夕焼け直前の情景を生成することができる。
さらに、上記画像処理装置30におけるカラーコレクタ部35のセカンダリー処理部38としては、上述の図19に示した構成のカラーコレクタ部60に代えて、例えば図33に示すような構成のカラーコレクタ部70を用いるようにしてもよい。
この図33に示したセカンダリー処理部70は、第1の座標変換回路71、第1及び第2のルックアップテーブル72,73及び第1〜第3の乗算回路74,75,76、加算回路77及び第2の座標変換回路78からなる。
このセカンダリー処理部70において、上記第1の座標変換回路71は、上記プライマリー処理部37から出力される色差データU,Vが供給されるようになっている。この座標変換回路37は、順次入力される色差データU,Vについて、上述の(16)式の演算処理を実行することにより各色差データU,Vを色相θ及び飽和度rのデータに変換する。これによりセカンダリー処理部70は、順次入力される映像信号を色平面上において極座標形式により表現する。このとき第1の座標変換回路71は、各10ビットの色差データU,Vから14ビットの色相θのデータ及び11ビットの飽和度rのデータを生成する。これにより続く処理において十分な分解能を確保する。上記第1の座標変換回路71により生成された色相θのデータは、各ルックアップテーブル72,73に供給され、また、飽和度rのデータは、第1及び第2の乗算回路74,76に供給される。
また、上記第1のルックアップテーブル72は、事前に、上記コンピュータ10の中央処理ユニット11により計算された補正データΔX,ΔYを蓄積することにより形成され、上記第1の座標変換回路61で計算された色相θをアドレスにして対応する補正データΔX,ΔYを第1及び第2の乗算回路74,75に出力する。
上記第1の乗算回路74は、上記第1の座標変換回路71で計算された飽和度rに上記第1のルックアップテーブル72から出力される色相θの水平軸成分でなる補正データΔXを乗算して、その乗算出力を第2の座標変換回路78に供給する。また、第2の乗算回路75は、上記第1の座標変換回路71から出力される飽和度rに上記第1のルックアップテーブル72から出力される色相θの垂直軸成分でなる補正データΔYを乗算して、その乗算出力を第2の座標変換回路78に供給する。
そして、上記第2の座標変換回路69は、上記第1及び第2の乗算回路74,75より出力される色相θの水平軸及び垂直軸を基準にしたデータを色差データU,Vに変換して出力する。
また、上記第2のルックアップテーブル73は、事前に、上記中央処理ユニット11により計算された各色相θに対する輝度レベルの総合的な利得ΣΔGAIN及びオフセット量ΣΔOFFを蓄積することにより形成され、上記第1の座標変換回路71より出力される色相θをアドレスにして利得ΣΔGAIN及びオフセット量ΣΔOFFを第3の乗算回路76及び加算回路77に出力する。
上記第3の乗算回路76は、上記プライマリー処理部37から順次入力される輝度データYに上記第2のルックアップテーブル73から供給される利得ΣΔGAINを乗算して、その乗算出力を加算回路77に供給する。
そして、上記加算回路77は、上記第3の乗算回路76の出力データにオフセット量ΣΔOFFを加算して出力する。このようにして、上述の(17)式の演算処理を実行し、処理対象の範囲Wについて、オペレータの設定した特性により輝度レベルを補正する。
すなわち、この図33に示したセカンダリー処理部70は、上述の図19に示した構成のセカンダリー処理部60における飽和度rについての補正処理を省略して、飽和度rを一定に保持したまま、色相θだけを変化させてセカンダリー処理するようになされている。
このよう構成のセカンダリー処理部70では、飽和度rについての補正処理を省略することにより、その分上記第1のルックアップテーブル72の設定作業を短時間で完了することができ、また、構成を簡略化することができる。
ここで、このセカンダリー処理部60により、図34に示すようなソースビデオイメージに対して、飽和度71、色相115°(輝度レベル107階調)をソースベクトルに指定し、色相87°をデスティネーションベクトルに設定してセカンダリー処理した結果を図35に示し、色相308°をデスティネーションベクトルに設定してセカンダリー処理した結果を図36に示し、さらに、色相222°をデスティネーションベクトルに設定してセカンダリー処理した結果を図37に示す。このセカンダリー処理部70では、色相308°をデスティネーションベクトルに設定した場合に、ソースベクトルの色相308°に近接した肌色の部分がマゼンタ色を帯びるようになるが、色相の連続性を観測したところ、上述の図19に示した構成のセカンダリー処理部60よりも色相の連続性は良好であった。
このように処理後の画像の色相の連続性が良好なのは、上述の図19に示した構成のセカンダリー処理部60では、図38に示すように、色相を基準にした平面上で、ソースベクトル及びデスティネーションベクトル間を直線的に結ぶようにして色相及び飽和度を補正するのに対し、図33に示したセカンダリー処理部70では、図39に示すように、色相を基準にした平面上で、ソースベクトル及びデスティネーションベクトル間を円弧を描くようにして色相及び飽和度を補正することによるものと考えられる。
次に、このような構成の編集装置100による編集処理動作について説明する。
この編集装置100におけるコンピュータ10の中央処理ユニット11は、上述のようにランダムアクセスメモリ(RAM)13にワークエリアを確保して、編集オペレータによるキーボード16やマウス17の操作に応動してリードオンリメモリ(ROM)12や図示しないハードディスク装置などに格納された一連の処理手順を実行することにより、この編集装置100の動作を制御するものであって、編集オペレータによって編集処理の開始が指示されると、編集処理モジュール(ソフトウエアプログラム)を起動することによって、所定の編集処理用GUI(Graphical User Interface)を上記モニター装置14の画面に表示する。
そして、この編集装置100における編集操作は、上記編集処理用GUI上で次のようにして行われる。
まず、上記中央処理ユニット11は、編集対象となる素材に関する時間情報をGUIのタイムライン上に表示する。すなわち、編集オペレータが上記マウス17等の操作することによって、上記ハードディスク装置20に記録されている複数の素材(例えば1つの素材が1本のテープに記録されていた素材である。)から1つの素材を選択すると、この素材に関する時間情報を上記中央処理ユニット11はGUIのタイムライン上に表示する。
次に、上記中央処理ユニット11は、イベントが設定されたか否かを判断する。すなわち、編集オペレータは、上記マウス17等の操作することによって、タイムライン上に表示された素材に対して、編集開始点(イン点)及び編集終了点(アウト点)を指定する。この結果、編集開始点と編集終了点によって定義される1イベント(シーンと称されることもある。)が設定される。もちろん、1イベントだけでなくて、複数のイベントを設定しても良い。上記中央処理ユニット11は、この操作によってイベントが設定されたか否かを判断する。
さらに、上記中央処理ユニット11は、カラーコレクション処理する1フレームが選択されたか否かを判断する。すなわち、編集オペレータは、上記マウス17等の操作することによって、タイムライン上に表示されている複数のシーンから1つのシーンを選択し、そのシーンの中で1フレームを選択する。上記中央処理ユニット11は、この操作によってカラーコレクション処理する1フレームが選択されたか否かを判断する。
なお、上記イベントの設定と1フレームの選択の順序は、逆又は同時であっても良い。
次に、上記中央処理ユニット11は、カラーコレクション処理が指定されたか否かを判断する。すなわち、編集オペレータは、例えばGUI上のカラーコレクションボタンをクリックすることによりカラーコレクション処理を指定する。上記中央処理ユニット11はこの操作によって選択されたイベントに対してカラーコレクション処理が指定されたか否かを判断する。
そして、上記中央処理ユニット11は、上記カラーコレクション処理が指定されると、編集処理モジュールを起動して、所定のカラーコレクション用GUIを上記モニター装置14の画面に表示する。
上記ハードディスク装置20のディスクユニットコントローラ21は、上記中央処理ユニット11から指定されたフレームの再生を指示する再生コマンドが供給されることにより、ハードディスクアレイ22から指定されたフレームのビデオデータを再生する。また、上記画像処理装置30の画像処理ユニットコントローラ31は、上記中央処理ユニット11からの制御コマンドに応答して、上記ハードディスク装置10で再生されたビデオデータについて、上記プライマリー処理部37により上述の如きプライマリー処理を行う。個温容にしてプライマリー処理されたビデオデータは、上記画像処理ユニットコントローラ31により、AVI(Audio Visual Interactitve)ファイルの形式に変換されて、ローカルバスBUSを介して上記コンピュータ100に転送される。
上記中央処理ユニット11は、上記画像処理ユニットコントローラ31からローカルバスを介して転送されてきたAVI(Audio Visual Interactitve)ファイル形式のビデオデータにより、上記プライマリー処理済みの画像をカラーコレクション用GUI上のプライマリービデオ表示ウインドウに表示する。
ここで、上記中央処理ユニット11では、プライマリー処理されたビデオデータの全ピクセルデータを輝度データYと色差データU,Vに変換する。すなわち、上記画像処理ユニットコントローラ31からローカルバスを介して転送されてきたAVIファイル形式のビデオデータはRGB形式で表されているので、上記中央処理ユニット11では、
で示される変換式に従って、RGB形式からYUV形式のデータにする。
そして、上記中央処理ユニット11は、YUV形式に変換したビデオのデータをカラーコレクション用GUI上のベクトルスコープ内に表示する。ベクトルスコープは、YUV形式のデータの色差データU,Vのみを用いて、供給された全ピクセルのデータを1ピクセルを1光点(表示点)として表示することにより、UV平面での分布を表すためのスコープである。
ここで、上記モニター装置14の画面に表示されるセカンダリー処理の条件設定画面の実際の例を図40に示すとともに、その模式図を図41に示す。このセカンダリー処理の条件設定画面には、プライマリービデオ表示ウインドウとセカンダリービデオ表示ウインドウを有する画像確認部AR1と、ベクトルスコープ部AR2、ベクトル選択部AR3、システム設定部AR4が設けられている。
上記中央処理ユニット11は、上記セカンダリー処理の条件設定画面における画像確認部AR1のプライマリービデオ表示ウインドウとセカンダリービデオ表示ウインドウに、セカンダリー処理前の静止画像(プライマリー処理を受けた静止画像でなる)Primary、セカンダリー処理後の静止画像Secondaryを並べて表示する。すなわち、上記中央処理ユニット11は、上述のように編集開始点及び編集終了点により指定される編集対象より、編集オペレータの指定した1フレームの静止画像を上記プライマリー処理部37で処理してセカンダリー処理前の静止画像として表示する。また、上記中央処理ユニット11は、この条件設定画面を介して編集オペレータが処理の条件を種々に変更すると、この条件に応じて上述のセカンダリー処理部38のルックアップテーブルの内容を順次更新し、この更新した内容によるセカンダリー処理結果をプライマリー処理後の静止画像として表示する。
これにより、この編集装置100では、処理結果を目視確認しながら、種々に処理の条件を設定できるようになされ、その分簡易な操作で高い自由度によりカラーコレクタの処理を実行できるようになされている。
さらに、上記セカンダリー処理の条件設定画面の画像確認部AR1には、セカンダリー処理前及びセカンダリー処理後の静止画像の上部に、それぞれ表示切り換えのボタンFBが配置される。中央処理ユニット11は、このボタンFBがマウスによりクリックされると、このボタンFBに登録されたイベントの実行により、セカンダリー処理前又はセカンダリー処理後の静止画像を、専用のモニタ装置に表示するように全体の動作を切り換える。これにより、必要に応じて処理結果を詳細に検討できるようになされ、その分精度の高い処理を実行できるようになされている。
また、上記中央処理ユニット11は、上記プライマリービデオ表示ウインドウに表示されたセカンダリー処理前の静止画像上において、編集オペレータがマウス17をクリックすると、このクリックされた位置の座標データを取得し、この座標データよりクリックされた位置の画像データを上記画像処理装置の20のプライマリー処理部37より取得する。さらに、上記中央処理ユニット11は、図41中に矢印Aで示すように、この画像データの輝度Y、色相U、Vに応じて、隣接するベクトルスコープ部AR2にマーカーMを表示する。上記ベクトルスコープ部AR2は、各ピクセルの色相と処理範囲の関係を目視確認できるように形成された表示部である。これにより、必要に応じて変更処理しようとする箇所の色相と処理範囲の関係、さらには変更処理より除外しようとする箇所の色相と処理範囲の関係を簡易かつ確実に確認できるようになされ、その分簡易な操作で高い自由度によりカラーコレクタの処理を実行できるようになされている。
ここで、上記セカンダリー処理の条件設定画面のベクトル選択部AR3及びシステム設定部AR4を図42にベクトルパラメータ設定部AR5の一部と共に模式的に示す。この図42に示すように、上記ベクトル選択部AR3は、ソースベクトルを選択する10個のボタンB0〜B9が水平方向に並んで配置され、これらボタンB0〜B9の両側に、切り換えのボタンBL、BRが配置される。さらに右側の切り換えボタンBRに続いて、事前に選択されたすべてのソースベクトルを選択するボタンB11が配置され、続いて選択されたソースベクトルの番号を表示する表示部A1が形成される。
そして、上記中央処理ユニット11は、この条件設定画面を表示すると、10個のボタンB0〜B9に順次数字1〜数字10によるソースベクトルの番号を表示する。さらに切り換えのボタンBL、BRがマウス17によりクリックされると、各ボタンBL、BRのイベントの実行により、各ボタンBL,BRに表示された三角形形状の表示の方向に、ボタンB0〜B9の表示を順次スクロールする。
さらに、上記中央処理ユニット11は、ボタンB0〜B9の何れかがマウス17によりクリックされると、このボタンB0〜B9に登録されたイベントの実行により、各ボタンに設定された数字を表示部A1に表示する。さらに中央処理ユニット11は、この番号のソースベクトルをベクトルスコープ部AR2、ベクトルパラメータ設定部AR5に表示し、さらにこの番号のソースベクトルについて、ベクトルスコープ部AR2、ベクトルパラメータ設定部AR5の操作を受け付け、これによりこの番号のソースベクトルについて、パラメータの入力を受け付ける。ちなみに、操作開始時、上記中央処理ユニット11は、この番号のソースベクトルについては、デフォルト値よりベクトルスコープ部AR2、ベクトルパラメータ設定部AR5に表示し、さらにはこのデフォルト値の変更によりパラメータの入力を受け付ける。
さらに、上記中央処理ユニット11は、この選択された番号のソースベクトルについてだけ、上述の演算処理を実行して上記セカンダリー処理部38のルックアップテーブルを設定し、この設定した内容により画像確認部AR1のセカンダリービデオ表示ウインドウ表示を更新する。これに対してすべてのソースベクトルを選択するボタンB11がマウス17によりクリックされると、1番目〜100番目のソースベクトルのうち、システム設定部AR4に配置された選択/非選択のボタンB12の操作により選択されたすべてのソースベクトルについて、これら選択されたソースベクトルに設定されたパラメータにより上述の演算処理を実行して上記セカンダリー処理部38のルックアップテーブルを設定し、この設定した内容により画像確認部AR1の表示を更新する。
これにより、この編集装置100では、個々のソースベクトルについて処理結果を確認しながら処理の条件を設定すると共に、必要に応じて選択/非選択のボタンB12の操作によりソースベクトルを選択した後、すべてのソースベクトルを選択するボタンB11を操作して、総合的な処理結果を確認できるようになされている。したがって個々のソースベクトルを自由に設定して、また複数のソースベクトルについてパラメータを種々に設定して高い自由度によりカラーコレクタの処理を実行する場合でも、総合的な処理結果を目視確認しながら、適宜パラメータを変更して、またソースベクトルを選択し直すことができ、これらにより簡易な操作で所望の処理を実行できるようになされている。
上記ベクトルパラメータ設定部AR5には、上記選択/非選択のトルグスイッチを構成するボタンB12が配置され、システム設定部AR4には、すべての設定完了を指示するボタンOkが配置されるようになされ、上記中央処理ユニット11は、選択/非選択のボタンB12がマウス17によりクリックされると、表示部A1に表示した番号のソースベクトルについて、選択/非選択を切り換えると共に、この番号に対応するソースベクトルのボタン(図42においては第1のボタンB0)の下に、選択された状態を示すActの文字を表示し、またこの表示を中止する。さらに、上記中央処理ユニット11は、すべての設定完了を指示するボタンOkがマウスによりクリックされると、選択されたすべてのソースベクトルに設定されたパラメータにより上述の演算処理を実行して上記セカンダリー処理部38のルックアップテーブルを設定し、条件設定画面の表示を終了する。なおシステム設定部AR4には、ボタンOkの操作をキャンセルするボタンCancelが配置されるようになされている。
ここで、図43は、上記セカンダリー処理の条件設定画面のベクトルパラメータ設定部AR5を模式的に示す図である。上記中央処理ユニット11は、このベクトルパラメータ設定部AR5に配置されたコントロールバーの操作により、ベクトル選択部AR3を介して選択されたソースベクトルについて、パラメータの設定を受け付ける。
すなわち、上記ベクトルパラメータ設定部AR5には、選択/非選択のボタンB12に隣接してデフォルトのボタンB13が配置され、中央処理ユニット11は、このボタンB13が操作されると、ベクトル選択部AR3を介して選択されたソースベクトルのパラメータをデフォルト値にリセットする。ここで、上記中央処理ユニット11は、各ソースベクトルのパラメータとして、各ソースベクトルの色相、飽和度、輝度、対応するデスティネーションベクトルの色相、飽和度、輝度、重み付け関数K(θ)についての範囲W及び利得G、輝度レベルの乗算値及びオフセット値を受け付ける。このうちソースベクトルの色相、飽和度、輝度については、各ソースベクトルの番号に対応して設定された値がデフォルト値として設定されるようになされており、特に色相については、従来のカラーコレクタにおいて設定されていた色相がデフォルト値として設定されるようになされている。これによりこの編集処理装置100では、従来のカラーコレクタに使い慣れた編集オペレータでも違和感なく操作できるようになされている。
これに対してデスティネーションベクトルの色相、飽和度、輝度については、それぞれ対応するソースベクトルと同一の色相、飽和度、輝度がデフォルト値として設定され、重み付け関数K(θ)の範囲W及び利得Gについては、所定値がデフォルト値として設定される。また輝度レベルの乗算値としては、値1が、輝度レベルのオフセット値としては値0がデフォルト値として設定される。
上記中央処理ユニット11は、各ソースベクトルについて、このようなデフォルト値からパラメータの設定を受け付けてこれらの値を変更すると共に、画像確認部AR1の表示を切り換え、ボタンB13が操作されると、このようにして変更したパラメータをデフォルト値に戻し、また画像確認部AR1の表示を切り換える。
ここで、上記ベクトルパラメータ設定部AR5の右端には、スクロールバーC1及びスクロールボタンC2,C3が配置されており、上記中央処理ユニット11は、これらスクロールバーC1又はスクロールボタンC2,C3がマウス17により操作されると、コントロールバーの表示をスクロールする。
なお、図43に示すように、上記ベクトルパラメータ設定部AR5には9本のコントロールバーが割り当てられており、上記中央処理ユニット11は、スクロールバーC1又はスクロールボタンC2,C3の操作に応動して、この9本のコントロールバーのうちの6本をベクトルパラメータ設定部AR5に表示する。
これらコントロールバーとカラーコレクション処理との関係を図44に示してある。
9本のコントロールバーのうち、上段より3本のコントロールバーは、それぞれソースベクトルの色相(Scr Hue)、飽和度(Scr Sat)、輝度(Scr Lum)が割り当てられ、上記中央処理ユニット11は、これらコントロールバーに配置されたボタン17がマウスにより掴まれると、マウス17の操作に応動してこのボタンの表示を左右に移動させる。さらにこのボタンの位置に応じてそれぞれソースベクトルの色相、飽和度、輝度を更新し、各ボタンの上に配置した色相、飽和度、輝度の値を更新する。またこれらの処理と連動して画像確認部AR1の表示を切り換える。
続く3本のコントロールバーは、それぞれデスティネーションベクトルの色相(Dst Hue)、飽和度(Dst sat)、輝度(Dst Lum)が割り当てられ、中央処理ユニット11は、これらコントロールバーに配置されたボタンがマウス17により掴まれて操作されると、同様にしてボタンの表示を左右に移動させると共に、デスティネーションベクトルの色相、飽和度、輝度を更新し、各ボタンの上に配置した色相、飽和度、輝度の値を更新する。またこれらの処理と連動して画像確認部AR1の表示を切り換える。
さらに、続くコントロールバーは、図45に示すように、続くコントロールバーは、重み付け関数K(θ)の範囲W(Win)が割り当てられ、上記中央処理ユニット11は、このコントロールバーに配置されたボタンがマウス17により掴まれて操作されると、同様にしてボタンの表示を左右に移動させると共に、重み付け関数K(θ)の範囲W、ボタンの上に配置した範囲Wの値を更新する。またこれらの処理と連動して画像確認部AR1の表示を切り換える。
さらに、続く2つのコントロールバーは輝度レベルの乗算値(Mul Lum)及びオフセット値(Add Lum)が割り当てられ、上記中央処理ユニット11は、このコントロールバーに配置されたボタンがマウスにより掴まれて操作されると、同様にしてボタンの表示を左右に移動させると共に、輝度レベルの乗算値及びオフセット値を更新する。またこれらの処理と連動して画像確認部AR1の表示を切り換える。
これに対してベクトルスコープ部AR2の下側には、重み付け関数K(θ)の利得G(Gain)を操作するコントロールバーが配置され、上記中央処理ユニット11は、これらコントロールバーに配置されたボタンがマウスにより掴まれて操作されると、同様にしてボタンの表示を左右に移動させると共に、重み付け関K(θ)の利得Gを更新する。またこれらの処理と連動して画像確認部AR1の表示を切り換える。
上記ベクトルパラメータ設定部AR5は、この利得G(Gain)のコントロールバーの右側に、重み付け関数K(θ)の表示部A3が形成される。上記中央処理ユニット11は、重み付け関数K(θ)の範囲W及び利得Gについてコントロールバーが操作されてこれら範囲W及び利得Gを変更すると、また後述するベクトルスコープ部AR2の操作により同様にこれら範囲W及び利得Gを変更すると、この表示部A3の表示を切り換える。
上記中央処理ユニット11は、この表示部A3において、ベクトルスコープ部AR2におけるソースベクトルのカーソル表示と同一の色彩により重み付け関数K(θ)の中心の垂直線VL1を表示し、また同様に、重み付け関数K(θ)の範囲Wのカーソル表示と同一の色彩により重み付け関数K(θ)が値0に立ち下がる箇所の垂直線VL2を表示する。さらに重み付け関数K(θ)の値1及び値0に対応する水平線を併せて表示する。これによりこの実施の形態では、範囲W及び利得Gの設定を視覚的に把握できるようになされ、これによっても簡易な操作で自由度の高い処理を実行できるようになされている。
なお、上記中央処理ユニット11は、キーボード16を介して入力される数値入力によっても、これらのコントロールバーがマウス17により操作された場合と同様に、全体の動作を切り換え、これにより必要に応じて種々の操作によりパラメータを設定できるようになされている。
図46は、ベクトルスコープ部AR2を示す模式図である。ベクトルスコープ部AR2には、セカンダリー処理する静止画像の色の分布を示す色分布表示部D1が表示され、この色分布表示部D1を取り囲むように、色見本の色相を示す色相リングR1及び色相リングR2が2重に表示される。
上記中央処理ユニット11は、符号Fにより示すように、3次元色空間上で分布する静止画像の各ピクセルをUV平面に投影してなる白黒の画像を、色分布表示部D1に表示すると共に、この色分布表示部D1にソースベクトル、デスティネーションベクトル、重み付け関数K(θ)の範囲Wを表示し、また色分布表示部D1を介してパラメータの設定を受け付ける。
すなわち、画像確認部AR1において静止画像の表示に供されるrgb表色系とyuv表色系とは、
により表される。このrgb表色系において表示可能な色は、図47に示すように、yuv表色系に傾いて配置された長方形形状の領域内に限られる。
このyuv表色系でなる3次元色空間に分布する静止画像の各ピクセルをUV平面に投影すれば、明るさを持たない、色相及び飽和度により静止画像の色を表現することができる。具体的に映像機器の色基準でなるカラーバーの各色について、UV平面上で色相及び飽和度を表現すれば、図48に示すように表現でき、UV軸が交差する原点上で黒色及び白色が表現されることになる。
ここで、カラーコレクタの処理は編集オペレータの操作に応動して色相を変化させることにより、このようにUV平面上で色の分布を表現し、併せてソースベクトル、デスティネーションベクトル等を表示すれば、編集オペレータは、変化させようとする色と、変化させたくない色の関係を視覚的に把握でき、使い勝手を向上することができる。またこのとき投影して重なり合うピクセルについては、その重なり合うピクセル数に応じてuv平面上におけるピクセルの明るさを設定すれば、色の分布を視覚的に把握することができる。
そこで、上記中央処理ユニット11は、条件設定画面を表示する際に、図49に示す処理手順を実行し、色分布表示部D1の基本の表示画像を形成する。
すなわち、図49に示す処理手順において、ステップSP1では、この色分布表示部D1に対応する画像メモリの領域を黒色にセットし、続くステップSP2で静止画像の1ピクセルについてu,v値を取得する。なお、上記中央処理ユニット11は、プライマリー処理部37より出力される画像データU,Vを選択的に入力して静止画像のu,v値を取得する。
続くステップSP3では、この取得したu,v値に対応する画像メモリの内容について、輝度レベル(明度)を所定値だけ増大させる。そして、次のステップSP4においてすべてのピクセルについて処理を完了したか否か判断する。ここで否定結果が得られると、上記中央処理ユニット11は、ステップSP2に戻る。
これにより上記中央処理ユニット11は、ステップSP2〜ステップSP3の処理を繰り返して、静止画像を構成する各ピクセルに
ついて、色分布表示部D1に対応する画像メモリの内容を順次更新し、静止画像の各ピクセルを順次UV平面に投影し、このとき重なり合うピクセル数に応じた投影されたピクセルの明るさを設定する。さらに、上記中央処理ユニット11は、すべてのピクセルについて投影を完了し、画像メモリの内容を色分布表示部D1に表示すると、ステップSP5において肯定結果が得られることにより、この処理手順を終了する。
そして、上記中央処理ユニット11は、このようにして色分布表示部D1に例えば上述の図46に示した基本の画像を表示すると、前後して、色相リングR1及びR2を表示する。
ここで、色相リングR1及び色相リングR2は、この色分布表示部D1における色相を実際の色彩により表示するリングであり、外周側のリングR2が、色相補正前の状態を示す。これに対して内周側のリングR2が、色相補正後の状態を示す。上記中央処理ユニット11は、ベクトル選択部AR2において何れかのソースベクトルが選択されると、内周側の色相リングR1について、この選択されたソースベクトルについて設定されたパラメータに従って表示の色を変更する。
このように上記中央処理ユニット11は、外周側の色相リングR2と内周側の色相リングR1と対比により、どのような色がどのような色に補正されるのかを感覚的に把握してパラメータを設定することができるようになされている。特に、この編集装置100では必要に応じて多数のソースベクトルを選択できることにより、このように外周側の色相リングR2と内周側の色相リングR1と対比により、どのような色がどのような色に補正されるのかを感覚的に把握できるようにすれば、視覚的に、かつ正しく処理結果を確認することができ、使い勝手を向上することができる。
さらに、上記中央処理ユニット11は、ベクトル選択部AR2において何れかのソースベクトルが選択されると、この選択されたソースベクトルと、対応するデスティネーションベクトルを色分布表示部D1に表示する。ここで、上記中央処理ユニット11は、ベクトルパラメータ設定部AR5等により設定された色相、飽和度、輝度に対応する位置に円形のマーカーMSVを表示し、これによりソースベクトルを表現する。また、この円形のマーカーMSVと原点とを結ぶ直線のカーソルを表示する。
さらに、上記中央処理ユニット11は、ベクトルパラメータ設定部AR5等により設定された重み付け関数K(θ)の幅Wに従って、円形のマーカーMSVを中心にして同様の円形形状のマーカーMW1及びマーカーMW2を、色相リングR1に近接して表示する。また各マーカーMW1及びマーカーMW2と原点とを結ぶ直線のカーソルを表示する。これにより中央処理ユニット11は、色相リングR1及び色相リングR2とこれらマーカーMSV〜MW2との対比により、何れの色を中心にして、何れの範囲で色相を補正するかを簡易かつ確実に把握できるようにベクトルスコープ部AR2を形成する。またこれとは逆に、色分布表示部D1に表示した色の分布とマーカーMSV〜MW2との対比により、静止画像の如何なる範囲で色相が補正されるかを簡易かつ確実に把握できるようにベクトルスコープ部AR2を形成する。
このとき、上記中央処理ユニット11は、各マーカーMSV〜MW2と原点とを結ぶ直線のカーソルを、ベクトルパラメータ設定部AR5の表示部A3における重み付け関数K(θ)の中央、両端のカーソルVL1,VL2と同一の色彩により表示する。これにより、上記中央処理ユニット11は、このベクトルスコープ部AR2と表示部A3との対応関係を容易に把握できるように、表示画像を形成する。
さらに、上記中央処理ユニット11は、同様にしてこのソースベクトルに対応するデスティネーションベクトルを色分布表示部D1に表示する。ここで、上記中央処理ユニット11は、ベクトルパラメータ設定部AR5等により設定されたデスティネーションベクトルの色相、飽和度、輝度に対応する位置に円形のマーカーMDVを表示し、これによりデスティネーションベクトルを表現する。さらに重み付け関数K(θ)の幅Wに従って、この円形のマーカーMDVを中心にして同様の円形形状のマーカーM1及びM2を表示する。このとき、上記中央処理ユニット11は、原点からマーカーM1及びマーカーM2までの距離が、原点からマーカーMDVまでの距離と等しくなるように、マーカーM1及びマーカーM2を配置する。
これにより上記中央処理ユニット11は、色相リングR1及びR2とこれらマーカーMDV〜M2との対比により、ソースベクトルSV等により指定される色を何れの色に補正するのかを簡易かつ確実に把握できるようにベクトルスコープ部AR2を形成する。またこれとは逆に、色分布表示部D1に表示した色の分布とマーカーMDV〜M2との対比により、処理結果におけるピクセルの分布等を簡易かつ確実に把握できるようにベクトルスコープ部AR2を形成する。
このとき、上記中央処理ユニット11は、原点とマーカーM1及びマーカーM2とを直線により結んで、またマーカーM1及びマーカーM2とを円弧により結んで表示し、ソースベクトル側のカーソルと対比により、例えば補正により飽和度がどのように変化するか等を感覚的に把握できるように、ベクトルスコープ部AR2を形成する。
さらに、上記中央処理ユニット11は、このようにしてマーカーM1〜MDVを表示するにつき、ベクトルパラメータ設定部AR5の操作により又はキーボード入力によりパラメータが変更されると、この変更に対応してマーカーM1〜MDVの表示を更新し、また色相リングR1を更新する。
また、上記中央処理ユニット11は、セカンダリー処理前の静止画像上において、編集オペレータがマウス17をクリックすると、このクリックされた位置のピクセルに対応する位置にマーカーMを表示する。これにより、上記中央処理ユニット11は、必要に応じて変更処理しようとする箇所の色相と処理範囲の関係、さらには変更処理より除外しようとする箇所の色相と処理範囲の関係を簡易かつ確実に確認できるようにベクトルスコープ部AR2を形成し、その分簡易な操作で高い自由度によりカラーコレクタの処理を実行できるようになされている。
さらに、上記中央処理ユニット11は、これらソースベクトル及びデスティネーションベクトルに関するマーカーM1〜MDVがマウスにより掴まれると、このマウス17の移動に応じてこれらマーカーM1〜MDVの表示位置を変更し、さらにこの表示位置の変更に応じてパラメータを変更すると共に、色相リングR2の表示、画像確認部AR1の表示を変更する。
すなわち図50に示すように、ソースベクトルのマーカーMSVがマウス17により掴まれ、このマーカーMSVと原点とを結ぶカーソルに沿ってマウス17が操作されると、矢印F1により示すように、ソースベクトルの飽和度を変更する。また同様にして色相リングR1に沿ってマウス17が操作されると、矢印F2に示すように、マーカーMSVとマーカーMW1,MW2の相対的な関係を保持したまま、マーカーMSVによる色相を変更し、またこれに対応してソースベクトルの色相を変更する。
これに対して、図51に示すように、重み付け関数K(θ)の範囲Wに対応するマーカーMW1又はマーカーMW2がマウス17により掴まれると、矢印F3A及びF3Bにより示すように、このマウス17の移動に応じてこれらマーカーMW1及びマーカーMW2の表示位置を色相リングR1に沿って変更し、またこれと連動して範囲Wを変更する。さらにこの範囲Wに応じて、矢印F3C及び矢印F3Dにより示すように、マーカーMW1及びマーカーMW2に対応するデスティネーションベクトル側のマーカーM1又はマーカーM2の位置を色相リングR1に沿って変更する。
また同様にして、デスティネーションベクトル側において、マーカーMW1及びマーカーMW2に対応するマーカーM1又はマーカーM2がマウス17により操作されると、マーカーM1及びマーカーM2の表示位置を変更し、重み付け関数K(θ)の範囲Wを変更する。またこれと連動してソースベクトル側のマーカーMW1及びマーカーMW2を変更する。
これに対して図52に示すように、デスティネーションベクトルのマーカーMDVがマウス17により掴まれ、このマーカーMDVと原点とを結ぶカーソルに沿ってマウス17が操作されると、矢印F4により示すように、デスティネーションベクトルの飽和度を変更する。また同様にして色相リングR1に沿ってマウス17が操作されると、矢印F5に示すように、マーカーMDVとマーカーM1,M2の相対的な関係を保持したまま、マーカーMDVによる色相を変更し、またこれに対応してデスティネーションベクトルの色相を変更する。
なお、上記中央処理ユニット11は、選択した番号のソースベクトルがデフォルト値に保持されている場合、またデフォルトのボタンB13の操作によりソースベクトルがデフォルト値にリセットされた場合、ソースベクトル及びデスティネーションベクトルの色相、飽和度、輝度が一致した値に設定されることにより、デスティネーションベクトルに関するマーカーMDV〜M2に表示の上側に、ソースベクトルに関するマーカーMSV〜MW2を重ねて表示する。このようにして色分布表示部D1の表示を形成した状態で、色分布表示部D1においてマウス17が操作されると、デスティネーションベクトルに関するマーカーの表示と、ソースベクトルに関するマーカーの表示とについて、このマウス17の操作に応動して上下関係を順次循環的に切り換える。さらに、上記中央処理ユニット11は、マーカーの表示箇所において上述のパラメータ変更のマウス17の操作が実行されると、上側に表示したマーカーについて、このマウス17の操作に応動して飽和度等を変更する。
これらにより、この編集装置100では、画像確認部AR1において処理対象及び処理結果の静止画像を目視確認しながら、色分布表示部D1上におけるマウス17の操作により、カラーコレクション処理の条件を種々に設定できるようになされている。
そして、編集オペレータは、カラーコレクション処理を行う場合、この条件設定画面を選択した後、図53に示すように、ステップSP11において、画像確認部AR1に表示された静止画像より補正する色とその補正後の色を決定する。続いてステップSP12に移り、ベクトル選択部AR3の操作により未だ選択されていない番号のソースベクトルを選択した後、ステップSP13において、画像確認部AR1における原画像(プライマリー処理した静止画像でなる)上で、補正したい箇所をマウス17によるクリックする。これによりベクトルスコープ部AR2の色分布表示部D1においてマーカーMの表示により補正する色の位置を確認する。
続いてステップSP14に移り、このマーカーMを囲むように、ソースベクトル、重み付け関数K(θ)の範囲Wを設定し、またベクトルパラメータ設定部AR5の操作により利得を設定する。続いてステップSP15に移り、補正目標の色を目標にしてデスティネーションベクトルを設定した後、ステップSP16に移り、画像確認部AR1を介して期待した処理結果が得られたか否か判断する。ここで否定結果が得られると、編集オペレータは、ステップSP17の作業を行う。
ここで、編集オペレータは、補正したい箇所が補正されていない場合は、改めて原画像上で補正したい箇所をマウス17によりクリックし、またこれとは逆に補正したくない箇所まで補正されている場合は、改めて原画像上で余分に補正された箇所をマウス17によりクリックし、色分布表示部D1におけるマーカーMの表示により補正する範囲との関係を確認する。これにより改めてソースベクトルに関するマーカーの位置を変更してパラメータを変更する。これに対して希望する色と異なる場合等にあっては、デスティネーションベクトルに関するマーカー、重み付け関数K(θ)の利得Gや範囲W等を変更する。
このようにして利得等を微調整すると、編集オペレータは、ステップSP16に移り、改めて期待した処理結果が得られたか否か判断する。これにより編集オペレータは、色分布表示部D1におけるマーカーの操作により、またベクトルパラメータ設定部AR5におけるボタンの操作により、ステップSP16,SP17の処理手順を繰り返し、高い自由度により種々の原画像の色彩を変更する場合でも簡易な操作により所望の処理を実行でき、期待した処理結果が得られると、ステップSP16からステップSP18に移る。
ここで編集オペレータは、所望するすべての箇所について、色彩の補正が完了したか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP12に戻る。これにより編集オペレータは、改めてソースベクトル等を設定し、また重み付け関数K(θ)等を種々に変更し、所望するすべての箇所について、設定が完了すると、ステップSP18からステップSP19に移ってこの処理手順を終了する。
このように、この編集装置100では、編集オペレータは、簡易な操作で高い自由度により処理の条件を種々に設定することができる。
10 コンピュータ、11 中央処理ユニット、12 ランダムアクセスメモリ、13 リードオンリメモリ、14 モニター装置、15 インターフェース、16 キーボード、17 マウス、20 ハードディスク装置、21 ディスクユニットコントローラ、22 ハードディスクアレイ、30 画像処理装置、31 画像処理ユニットコントローラ、32 クロスポイントスイッチ、33 特殊効果処理部、34 ミキサ部、35 カラーコレクタ部、36 デマルチプレクサ、37 プライマリー処理部、38,50,60,70 セカンダリー処理部、39 マルチプレクサ、41U,41V オーバーサンプリング回路、42,44 マトリクス回路、43R,43G,43B,52,62,63,72,73 ルックアップテーブル、51,61,71,78 座標変換回路、54Y,54U,54V,68,77 加算回路、64,65,66,67,64,65,66,67,74,75,76 乗算回路、100 編集装置