JP2006310533A - インダクタ素子 - Google Patents

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俊文 中谷
Yukio Hiraoka
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Abstract

【課題】 インダクタからシリコン基板への交流電流の漏れ及びシールドのスリット間での渦電流発生を防止して、Q値の劣化が小さいインダクタ素子を提供する。
【解決手段】 インダクタ素子は、配線がスパイラル形状に巻かれた少なくとも1つの配線層によって、かつ、2本の配線を同心状に交差させて巻いた線対称の2つのスパイラル形状配線から形成されたインダクタと、電気的なループ経路を持たない形状で、かつ、スパイラル形状の内側配線より外側の部分についてインダクタとシリコン基板との間に挿入された、導電体層からなるシールドとで構成される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、インダクタ素子に関し、より特定的には、高周波領域で動作する回路が集積された半導体基板上に形成されるオンチップタイプのインダクタ素子の構造に関する。
近年、携帯電話や携帯端末(PDA)に代表される移動体通信機器の技術革新は急激に進歩しており、機器の高機能化や、小型軽量化に応えるための半導体集積回路の小型高集積化や、低消費電力化への取り組みが急ピッチで進んでいる。特に、マイクロウェーブ領域の高周波で動作するシステムでは、従来外付け部品として用いられていたインダクタやキャパシタ等の受動素子の高集積化及び半導体チップへの内蔵化による、携帯機器の小型軽量化が強く要望されている。
しかしながら、シリコン基板上に絶縁層を介してインダクタを形成した場合、シリコン基板は導電体として作用するため、インダクタを構成するスパイラル形状の配線とシリコン基板との間に寄生容量が生じる。この寄生容量は、高周波で入力される信号のシリコン基板への漏れ経路を形成することになり、インダクタの性能を劣化させる要因となっている。そこで、この課題を解決するために、インダクタを構成するスパイラル形状の配線とシリコン基板とをパターンシールドで分離することで、インダクタの性能を改善させる技術が報告されている(非特許文献1、特許文献1及び特許文献2を参照)。
図12は、非特許文献1で提案されている従来のインダクタ素子100の構造を説明する図である。この従来のインダクタ素子100は、配線がスパイラル形状に巻かれて構成された方形型のインダクタ101と、導電性のシリコン基板103との間に、ポリシリコンのシールド102が挿入された構造である。このシールド102は、インダクタ101で発生する磁界によってシールド102に生じる渦電流を低減させるため、インダクタ101の配線と直交する向きに複数のスリットが入った形状になっている。このシールド102によって、インダクタ101に流れる交流電流の一部がシリコン基板103に漏れてシリコン基板103の抵抗成分で損失となることを防ぐことができ、その結果インダクタ素子100のQ値が劣化するのを低減させることができる。
ところが、上述の従来のインダクタ素子100では、シールド102がインダクタ101とシリコン基板103との間の全面に挿入されている。このため、磁束が強くなるインダクタ101を構成するスパイラル形状の配線がある部分よりも内側部分において、シールド102のスリット間で小さな渦電流が発生してしまう(図12中の丸形状の矢印)。よって、従来のインダクタ素子100では、シールド102の挿入によってシリコン基板103への漏れを遮断できるものの、この小さな渦電流の発生でインダクタ素子100のQ値を劣化させてしまっている。
そこで、この課題を改善させたインダクタ素子がさらに提案されている(特許文献3を参照)。図13は、特許文献3で提案されている従来のインダクタ素子110の構造を説明する図である。この従来のインダクタ素子110は、上記インダクタ素子100と同様に、インダクタ111とシリコン基板113との間にシールド112が挿入された構造であるが、シールド112がインダクタ111を構成するスパイラル形状の配線部分のみに挿入されている点が異なる。
シー.パトリック ユエら、「オン−チップ スパイラル インダクタズ ウイズ パターンド グラウンド シールズ フォー エスアイ−ベースド RF ICズ」、アイトリプルイー ジャーナル オブ ソリッド−ステート サーキッツ、VOL.33、NO.5,743−752頁、1998 特開2001−223116号公報 特開2004−519844号公報 特開2004−95777号公報
しかしながら、上述の従来のインダクタ素子110では、シールド112がドーナツ状に繋がった形状であるため、電気的なループ経路を有してしまう。そのため、インダクタ111を構成するスパイラル形状の配線部分に発生した磁界によってシールド112に渦電流が発生し、インダクタ素子110のQ値が劣化するという問題がある。
それ故に、本発明の目的は、インダクタからシリコン基板への交流電流の漏れ及びシールドのスリット間での渦電流発生を防止して、Q値の劣化が小さいインダクタ素子を提供することである。
本発明は、シリコン基板上に形成されるインダクタ素子に向けられている。そして、上記目的を達成させるために、本発明のインダクタ素子は、配線がスパイラル形状に巻かれた少なくとも1つの配線層からなるインダクタ、及びインダクタとシリコン基板との間に挿入された導電体層からなるシールドで構成される。このシールドは、電気的なループ経路を持たない形状で、かつ、スパイラル形状の内側配線より外側の部分について挿入される。なお、シールドは、インダクタの配線と直交する向きに複数のスリットが設けられていることが望ましい。
典型的なシールドは、相似形の2つの導電体から構成され、その相似形の2つの導電体が分離されている箇所は、インダクタのスパイラル形状の巻き数が最も少ない配線の下が好ましい。また、相似形の2つの導電体は、それぞれ接地されていることが好ましい。
ここで、インダクタを、2本の配線を同心状に交差させて巻いた線対称の2つのスパイラル形状配線で形成してもよい。この場合、線対称の2つのスパイラル形状配線のいずれか一方の配線端対が接続されていれば、差動で利用できる。また、この場合、シールドが、線対称の2つのスパイラル形状配線の対称軸に基づいた相似形の2つの導電体から構成されることが好ましい。さらに、シールドが、線対称の2つのスパイラル形状配線の対称軸上で接地されていることが好ましい。
また、インダクタを、2本の配線を同心状に交差させて巻いた第1のスパイラル形状配線と第2のスパイラル形状配線から形成し、第1のスパイラル形状配線の巻き数と第2のスパイラル形状配線の巻き数とを異ならせてもよい。
上述した本発明によれば、インダクタとシリコン基板とがシールドで分離され、かつ、シールドが電気的なループ経路を持たない形状であるため、シールドでの渦電流発生を低減させた高Q値のインダクタ素子を実現することができる。さらにチップ占有面積の小さいインダクタ素子を実現できる。また、2本の配線を同心状に交差させて巻いた線対称の2つのスパイラル形状配線に信号を差動入力することで、シールド効果を得るためのシールドとGNDとの接続が不要となるので、インダクタ素子のチップ占有面積を小さくすることができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るインダクタ素子1の構造を説明する図である。図1において、第1の実施形態のインダクタ素子1は、正方形型のインダクタ11と、導電性のシリコン基板13との間に、GNDに接続された正方形型のシールド12が挿入された構造である。
インダクタ11は、配線がスパイラル形状に巻かれた少なくとも1つの配線層で形成される。シールド12は、導電体層で形成され、そのシート抵抗値は数mΩ/□程度である。このシールド12は、電気的なループ経路を持たない形状、かつ、インダクタ11の配線と直交する向きに複数のスリットが入った形状をしており、インダクタ11のスパイラル形状の内側配線より外側の部分だけに挿入されている。このシールド12の形状を分かり易く言えば、ドーナツ等の環形状の少なくとも一部が除去された形状である。図1のインダクタ素子1では、相似形の2つの導電体12a及び12bによってシールド12が構成されている例を示している。なお、相似形の2つの導電体12a及び12bが分離されている箇所は、インダクタ11のスパイラル形状の巻き数が最も少ない配線の下であることが好ましい。
この第1の実施形態の構造によれば、インダクタ11とシリコン基板13とがシールド12で分離され、かつ、シールド12が電気的なループ経路を持たない形状であるため、シールド12での渦電流発生を低減させた高Q値のインダクタ素子1を実現することができる。
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係るインダクタ素子2の構造を説明する図である。図2において、第2の実施形態のインダクタ素子2は、正八角形型のインダクタ21と、導電性のシリコン基板23との間に、GNDに接続された正八角形型のシールド22が挿入された構造である。
インダクタ21は、配線がスパイラル形状に巻かれた少なくとも1つの配線層で形成される。シールド22は、導電体層で形成され、そのシート抵抗値は数mΩ/□程度である。このシールド12は、電気的なループ経路を持たない形状、かつ、インダクタ11の配線と直交する向きに複数のスリットが入った形状をしており、インダクタ11のスパイラル形状の内側配線より外側の部分だけに挿入されている。このシールド22の形状も上記シールド12の形状と同じく、ドーナツ等の環形状の少なくとも一部が除去された形状である。図2のインダクタ素子2では、相似形の2つの導電体22a及び22bによってシールド22が構成されている例を示している。なお、相似形の2つの導電体22a及び22bが分離されている箇所は、インダクタ21のスパイラル形状の巻き数が最も少ない配線の下であることが好ましい。
この第2の実施形態の構造によれば、インダクタ21とシリコン基板23とがシールド22で分離され、かつ、シールド22が電気的なループ経路を持たない形状であるため、シールド22での渦電流発生を低減させた高Q値のインダクタ素子2を実現することができる。また、正八角形は正方形よりも円形に近いため、インダクタ素子2のQ値は、インダクタ素子1のQ値よりも高くなる。さらに、正八角形は、45度の倍数角だけで描くことができるため、CADで扱い易い。
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に係るインダクタ素子3の構造を説明する図である。図3において、第3の実施形態のインダクタ素子3は、正方形型のインダクタ31と、導電性のシリコン基板33との間に、GNDに接続された正方形型のシールド32が挿入された構造である。
インダクタ31は、配線がスパイラル形状に巻かれた少なくとも1つの配線層で形成される。シールド32は、導電体層で形成され、そのシート抵抗値は数10Ω/□程度が好ましい(図4の網掛け範囲)。このシールド32は、電気的なループ経路を持たない形状をしており、インダクタ31のスパイラル形状の内側配線より外側の部分だけに挿入されている。このシールド32の形状も上記シールド12の形状と同じく、ドーナツ等の環形状の少なくとも一部が除去された形状である。図3のインダクタ素子3では、相似形の2つの導電体32a及び32bによってシールド32が構成されている例を示している。なお、相似形の2つの導電体32a及び32bが分離されている箇所は、インダクタ31のスパイラル形状の巻き数が最も少ない配線の下であることが好ましい。
この第3の実施形態の構造によれば、インダクタ31とシリコン基板33とがシールド32で分離され、かつ、シールド32が電気的なループ経路を持たない形状であるため、シールド32での渦電流発生を低減させた高Q値のインダクタ素子3を実現することができる。また、シールド32にスリットを設けないため、CADで容易に設計できる。
(第4の実施形態)
図5は、本発明の第4の実施形態に係るインダクタ素子4の構造を説明する図である。図5において、第4の実施形態のインダクタ素子4は、正方形型のインダクタ41と、導電性のシリコン基板43との間に、正方形型のシールド42が挿入された構造である。
インダクタ41は、配線がスパイラル形状に巻かれた少なくとも1つの配線層であり、かつ、2本の配線を同心状に交差させて巻いた線対称の2つのスパイラル形状配線41a及び41bから形成されている。また、この線対称の2つのスパイラル形状配線41a及び41bのいずれか一方の配線端対(図5のA部分)が接続されている。
シールド42は、導電体層で形成され、そのシート抵抗値は数mΩ/□程度が好ましい。このシールド42は、電気的なループ経路を持たない形状をしており、インダクタ41のスパイラル形状の内側配線より外側の部分だけに挿入されている。このシールド42の形状も上記シールド12の形状と同じく、ドーナツ等の環形状の少なくとも一部が除去された形状である。図5のインダクタ素子4では、相似形の2つの導電体42a及び42bによってシールド42が構成されている例を示している。なお、相似形の2つの導電体42a及び42bは、インダクタ41を構成する線対称の2つのスパイラル形状配線41a及び41bの対称軸Bによって線対称となる箇所で、分離されていることが好ましい。
このインダクタ41の構造は、例えば図6に示すような差動増幅回路に利用できる。すなわち、スパイラル形状配線41aをインダクタ素子L1として、スパイラル形状配線41bをインダクタ素子L2として、それぞれ利用するのである。この構造を用いれば、ほぼ1つのインダクタ素子のチップ面積で高Q値の2つのインダクタ素子を形成することができ、雑音特性の良い差動増幅回路を実現できる。また、1つの信号がスパイラル形状配線41aとスパイラル形状配線41bとに差動入力されるので、対称軸B上が高周波的に仮想GNDとなる。このため、シールド効果を得るためのシールド42とGNDとの接続が、不要となるか又は幅の細い配線で十分となり、インダクタ素子4のチップ占有面積を小さくすることができる。
この第4の実施形態の構造によれば、インダクタ41とシリコン基板43とがシールド42で分離され、かつ、シールド42が電気的なループ経路を持たない形状であるため、シールド42での渦電流発生を低減させた高Q値のインダクタ素子4を実現することができる。なお、第4の実施形態の構造は、上記第2の実施形態で説明した正八角形型に用いることも勿論可能である。
(第5の実施形態)
図7は、本発明の第5の実施形態に係るインダクタ素子5の構造を説明する図である。図7において、第5の実施形態のインダクタ素子5は、正方形型のインダクタ51と、導電性のシリコン基板53との間に、正方形型のシールド52が挿入された構造である。
インダクタ51は、配線がスパイラル形状に巻かれた少なくとも1つの配線層であり、かつ、2本の配線を同心状に交差させて巻いた線対称の2つのスパイラル形状配線51a及び51bから形成されている。このインダクタ51は、上記インダクタ41と異なり、線対称の2つのスパイラル形状配線51a及び51bの配線端対がどちらも接続されていない。
シールド52は、導電体層で形成され、そのシート抵抗値は数mΩ/□程度が好ましい。このシールド52は、電気的なループ経路を持たない形状をしており、インダクタ51のスパイラル形状の内側配線より外側の部分だけに挿入されている。このシールド52の形状も上記シールド12の形状と同じく、ドーナツ等の環形状の少なくとも一部が除去された形状である。図7のインダクタ素子5では、相似形の2つの導電体52a及び52bによってシールド52が構成されている例を示している。なお、相似形の2つの導電体52a及び52bは、インダクタ51を構成する線対称の2つのスパイラル形状配線51a及び51bの対称軸Bによって線対称となる箇所で、分離されていることが好ましい。
このインダクタ51の構造は、例えば図8に示すような、インダクタを差動回路に直列に挿入した広帯域差動増幅回路に利用できる。すなわち、スパイラル形状配線51aをインダクタ素子L1として、スパイラル形状配線51bをインダクタ素子L2として、それぞれ利用するのである。この構造を用いれば、ほぼ1つのインダクタ素子のチップ面積で高Q値の2つのインダクタ素子を形成することができ、広帯域に渡って平坦な利得特性を有した雑音特性の良い差動増幅回路を実現できる。また、1つの信号がスパイラル形状配線51aとスパイラル形状配線51bとに差動入力されるので、対称軸B上が高周波的に仮想GNDとなる。このため、シールド効果を得るためのシールド52とGNDとの接続が、不要となるか又は幅の細い配線で十分となり、インダクタ素子5のチップ占有面積を小さくすることができる。
この第5の実施形態の構造によれば、インダクタ51とシリコン基板53とがシールド52で分離され、かつ、シールド52が電気的なループ経路を持たない形状であるため、シールド52での渦電流発生を低減させた高Q値のインダクタ素子5を実現することができる。なお、第5の実施形態の構造は、上記第2の実施形態で説明した正八角形型に用いることも勿論可能である。また、上記第3の実施形態の構造で説明したように、シールド52にスリットを設けないインダクタ素子5’としてもよい(図9)。
(第6の実施形態)
図10は、本発明の第6の実施形態に係るインダクタ素子6の構造を説明する図である。図10において、第6の実施形態のインダクタ素子6は、正方形型のインダクタ61と、導電性のシリコン基板63との間に、正方形型のシールド62が挿入された構造である。
インダクタ61は、配線がスパイラル形状に巻かれた少なくとも1つの配線層であり、かつ、2本の配線を同心状に交差させて巻いた第1のスパイラル形状配線61a及び第2のスパイラル形状配線61bから形成されている。このインダクタ61では、第1のスパイラル形状配線61aの巻き数と第2のスパイラル形状配線61bの巻き数とが異なる。すなわち、このインダクタ61の構造によって、インダクタ素子6はトランス素子として機能する。なお、第1のスパイラル形状配線61aと第2のスパイラル形状配線61bとは、それぞれの配線中点となるC部分で接続されていることが好ましい。
シールド62は、導電体層で形成され、そのシート抵抗値は数mΩ/□程度が好ましい。このシールド62は、電気的なループ経路を持たない形状をしており、インダクタ61のスパイラル形状の内側配線より外側の部分だけに挿入されている。このシールド62の形状も上記シールド12の形状と同じく、ドーナツ等の環形状の少なくとも一部が除去された形状である。図10のインダクタ素子6では、相似形の2つの導電体62a及び62bによってシールド62が構成されている例を示している。なお、相似形の2つの導電体62a及び62bは、インダクタ61を構成する第1のスパイラル形状配線61a及び第2のスパイラル形状配線61bの対称軸Bによって線対称となる箇所で、分離されていることが好ましい。
このインダクタ61の構造は、例えば図11に示すような、差動路を電磁的に結合するトランス素子を用いた差動発振回路に利用できる。すなわち、第1のスパイラル形状配線61aをトランス素子Tの一次側として、第2のスパイラル形状配線61bをトランス素子Tの二次側として、それぞれ利用するのである。この構造を用いれば、ほぼ1つのインダクタ素子のチップ面積で高Q値のトランス素子を形成することができ、雑音特性の良い差動発振回路を実現できる。また、第1のスパイラル形状配線61a及び第2のスパイラル形状配線61bとも、線対称に巻かれているので、対称軸B上が高周波的に仮想GNDとなる。このため、シールド効果を得るためのシールド62とGNDとの接続が、不要となるか又は幅の細い配線で十分となり、インダクタ素子6のチップ占有面積を小さくすることができる。この差動発振回路を携帯電話等の無線機器に用いれば、消費電力が小さく待ち受け時間の長い無線機器を実現することができる。
この第6の実施形態の構造によれば、インダクタ61とシリコン基板63とがシールド62で分離され、かつ、シールド62が電気的なループ経路を持たない形状であるため、シールド62での渦電流発生を低減させた高Q値のインダクタ素子6を実現することができる。
本発明の構造によるインダクタ素子は、高周波領域で動作する差動増幅器、インピーダンス変換器、ミキサ又は発振器等の部品として利用可能であり、特に高いQ値を得たい場合等に適している。
本発明の第1の実施形態に係るインダクタ素子1の構造を説明する図 本発明の第2の実施形態に係るインダクタ素子2の構造を説明する図 本発明の第3の実施形態に係るインダクタ素子3の構造を説明する図 インダクタ31に適しているシート抵抗値を説明する図 本発明の第4の実施形態に係るインダクタ素子4の構造を説明する図 インダクタ素子4を利用した差動増幅回路の一例を示す図 本発明の第5の実施形態に係るインダクタ素子5の構造を説明する図 インダクタ素子5を利用した広帯域差動増幅回路の一例を示す図 本発明の第5の実施形態に関連するインダクタ素子5’の構造を説明する図 本発明の第6の実施形態に係るインダクタ素子6の構造を説明する図 インダクタ素子6を利用した差動発振回路の一例を示す図 従来のインダクタ素子100の構造を説明する図 従来のインダクタ素子110の構造を説明する図
符号の説明
1〜6、100、110 インダクタ素子
11〜61、101、111 インダクタ
12〜62、102、112 シールド
13〜63、103、113 シリコン基板

Claims (10)

  1. シリコン基板上に形成されるインダクタ素子であって、
    配線がスパイラル形状に巻かれた少なくとも1つの配線層からなるインダクタ、及び
    電気的なループ経路を持たない形状で、かつ、スパイラル形状の内側配線より外側の部分について前記インダクタと前記シリコン基板との間に挿入された、導電体層からなるシールドで構成される、インダクタ素子。
  2. 前記シールドが、相似形の2つの導電体から構成されることを特徴とする、請求項1に記載のインダクタ素子。
  3. 前記相似形の2つの導電体が分離されている箇所が、前記インダクタのスパイラル形状の巻き数が最も少ない配線の下であることを特徴とする、請求項2に記載のインダクタ素子。
  4. 前記相似形の2つの導電体が、それぞれ接地されていることを特徴とする、請求項2に記載のインダクタ素子。
  5. 前記インダクタが、2本の配線を同心状に交差させて巻いた線対称の2つのスパイラル形状配線から形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のインダクタ素子。
  6. 前記線対称の2つのスパイラル形状配線のいずれか一方の配線端対が接続されていることを特徴とする、請求項5に記載のインダクタ素子。
  7. 前記シールドが、前記線対称の2つのスパイラル形状配線の対称軸に基づいた相似形の2つの導電体から構成されることを特徴とする、請求項5又は6に記載のインダクタ素子。
  8. 前記シールドが、前記線対称の2つのスパイラル形状配線の対称軸上で接地されていることを特徴とする、請求項5に記載のインダクタ素子。
  9. 前記インダクタが、2本の配線を同心状に交差させて巻いた第1のスパイラル形状配線と第2のスパイラル形状配線から形成されており、第1のスパイラル形状配線の巻き数と第2のスパイラル形状配線の巻き数とが異なることを特徴とする、請求項1に記載のインダクタ素子。
  10. 前記シールドは、前記インダクタの配線と直交する向きに複数のスリットが設けられていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のインダクタ素子。

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