JP2006308326A - 原子炉構造物の補修方法及び原子炉構造物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 原子炉構造物の金属表面に亀裂状欠陥部が生じてその補修溶接を行なう場合に、補修亀裂内部の構造物を構成する金属材料の腐食を抑制し、亀裂状欠陥の進展を抑制することが可能な原子炉構造物の補修方法、及び原子炉構造物を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明による原子炉構造物の補修方法は、表面に亀裂状欠陥の発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、まず、該亀裂状欠陥表面に貴金属材料体を設ける。次に、該貴金属材料を被覆部材で被覆し、該被覆部材を該原子炉構造物に固定する。このようにして該貴金属材料体及び該亀裂状欠陥を外部環境から隔離する。
【選択図】 図3
【解決手段】 本発明による原子炉構造物の補修方法は、表面に亀裂状欠陥の発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、まず、該亀裂状欠陥表面に貴金属材料体を設ける。次に、該貴金属材料を被覆部材で被覆し、該被覆部材を該原子炉構造物に固定する。このようにして該貴金属材料体及び該亀裂状欠陥を外部環境から隔離する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、原子炉構造物の補修方法及び原子炉構造物に関する。
従来より、原子炉内の構造物や機器など(以下、「原子炉構造物」という)の金属表面に亀裂状の欠陥が発生した場合、原子炉構造物の構造上の健全性評価を行ない、その結果によってはその原子炉構造物を補修又は交換するなどの処置が施されている。
原子炉構造物の補修方法としては、欠陥部の切削による削除と肉盛溶接による充填を組み合わせた補修方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
この原子炉構造物に発生する欠陥としては、材質的要因、応力要因及び環境要因の3要因が重複した場合に生じうる応力腐食割れなどの亀裂が挙げられる。応力腐食割れによる亀裂においては、この3要因のうち一つ以上を無くせば亀裂の発生及び進展を防止することができるため、構造健全性確保が確認できれば、欠陥部を除去しない補修方法として、亀裂部を外部環境から遮断し、環境要因である溶存酸素を除去することを目的とした原子炉構造物表面の開口欠陥の封止も有効な補修手段となる。
欠陥部を除去しない補修方法としては、肉盛溶接又は表面溶融による溶融層で欠陥部を被覆する補修方法や、板材で欠陥部を被覆し当該板材の縁部を溶接することにより欠陥部を外部腐食環境から遮断する補修方法が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
また、欠陥部を除去しない補修方法に関しては、欠陥内の酸素を処理する方法として、欠陥部に可燃性の有機溶媒又は有機脱酸材を浸透させた後、この欠陥部を加熱して前述の有機溶媒又は有機脱酸材を燃焼させるか、又は前述の欠陥部を加熱して欠陥内に含まれる気相中の酸素又は水分中の溶存酸素を除去する方法や、前述の欠陥部に可燃性の有機溶媒又は有機脱酸材を浸透させた後、前述の欠陥部を減圧又は減圧下で加熱する方法が知られている(たとえば、特許文献3参照)。
特開2003−53533号公報
特開2003−194984号公報
特開2003−114296号公報
しかしながら、上述の原子炉構造物の補修方法及び亀裂補修方法において、亀裂状欠陥を環境雰囲気から遮断した後の効果、すなわち、欠陥の進展に影響を及ぼす因子であり欠陥内部に残留する可能性のある水分中の溶存酸素、気相中の酸素等、酸素成分を処理する方法については知られていない。また、欠陥部の補修溶接を行なう前処理として、欠陥内に含まれる水分中の溶存酸素又は気相中の酸素の除去を行なう方法は知られているが、補修後の欠陥の進展に影響を及ぼす補修部内部に水分が残存した場合の酸素成分を処理する方法については知られていない。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、原子炉構造物の金属表面に亀裂状欠陥部が生じてその補修溶接を行なう場合に、補修溶接後の補修亀裂内部に水分が残存する場合であっても、補修亀裂内部の構造物を構成する金属材料の腐食を抑制し、亀裂状欠陥の進展を抑制することが可能な原子炉構造物の補修方法、及びかかる補修を行なった原子炉構造物を提供することを目的とする。
本発明は、表面に亀裂状欠陥の発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、該亀裂状欠陥表面に貴金属材料体を設ける工程と、該貴金属材料を被覆部材で被覆する工程と、該被覆部材を該原子炉構造物に固定することで該貴金属材料体及び該亀裂状欠陥を外部環境から隔離する工程と、を備えたことを特徴とする原子炉構造物の補修方法である。
本発明は、表面に亀裂状欠陥が発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、該亀裂状欠陥表面に水素吸蔵合金材料体を設ける工程と、該水素吸蔵合金材料を被覆部材で被覆する工程と、該被覆部材を該原子炉構造物に固定することで該水素吸蔵合金材料体及び該亀裂状欠陥を外部環境から隔離する工程と、を備えたことを特徴とする原子炉構造物の補修方法である。
本発明は、表面に亀裂状欠陥が発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、該亀裂状欠陥表面に貴金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合材料体を設ける工程と、該貴金属材料及び該水素吸蔵合金材料を被覆部材で被覆する工程と、該被覆部材を該原子炉構造物に固定することで該複合材料体及び該亀裂状欠陥を外部環境から隔離する工程と、を備えたことを特徴とする原子炉構造物の補修方法である。
本発明は、表面に亀裂状欠陥が発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、凹部を有する被覆部材を準備する工程と、該被覆部材の該凹部内に貴金属材料体、水素吸蔵合金材料体、又は貴金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合材料体を配置する工程と、この被覆部材で該亀裂状欠陥表面を被覆する工程と、該被覆部材を該原子炉構造物に固定することで該貴金属材料、該水素吸蔵合金材料又は該複合材料体、及び該亀裂状欠陥を外部環境から隔離する工程と、を備えたことを特徴とする原子炉構造物の補修方法である。
本発明は、表面に亀裂状欠陥が発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、原子炉構造物の亀裂状欠陥表面に凹部を形成する工程と、該亀裂状欠陥表面に形成した該凹部内に貴金属材料体、水素吸蔵合金材料体、又は貴金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合材料体を設ける工程と、該貴金属材料、該水素吸蔵合金材料又は該複合材料体を被覆部材で被覆する工程と、該被覆部材を該原子炉構造物に固定することで該貴金属材料、該水素吸蔵合金材料又は該複合材料体、及び該亀裂状欠陥を外部環境から隔離する工程と、を備えたことを特徴とする原子炉構造物の補修方法である。
本発明は、表面に亀裂状欠陥が発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、原子炉構造物の該亀裂状欠陥表面に凹部を形成する工程と、被覆部材に貴金属材料体、水素吸蔵合金材料体、又は貴金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合材料体を配置する工程と、この被覆部材で該亀裂状欠陥表面を被覆する工程と、該被覆部材を該原子炉構造物に固定することで該貴金属材料、該水素吸蔵合金材料又は該複合材料体、及び該亀裂状欠陥を外部環境から隔離する工程と、を備えたことを特徴とする原子炉構造物の補修方法である。
本発明は、表面に亀裂状欠陥が発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、該亀裂状欠陥表面に上方に開口部を有するスリット部を形成する工程と、該亀裂欠陥表面に形成された該スリット部内に貴金属材料体、水素吸蔵合金材料体、又は貴金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合材料体を設ける工程と、該スリット部の開口部を肉盛り溶接により被覆する工程と、を設けたことを特徴とする原子炉構造物の補修方法である。
本発明は、被覆される前記原子炉構造物表面の不純物を除去する工程を、更に備えたことを特徴とする前述に記載の原子炉構造物の補修方法である。
本発明は、表面に亀裂状欠陥が発生した金属材料を有する原子炉構造物本体と、該構造物本体の亀裂状欠陥表面に設けた貴金属材料体、水素吸蔵合金材料体、又は貴金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合材料体と、該貴金属材料体、該水素吸蔵合金材料体又は該複合材料体と該亀裂状欠陥とを被覆することで外部環境から隔離した被覆部材と、を備えたことを特徴とする原子炉構造物である。
本発明によれば、原子炉構造物の金属表面に亀裂状欠陥部が生じてその補修溶接を行なう際、補修溶接後の補修亀裂内部に水分が残存する場合であっても、補修亀裂内部の構造物を構成する金属材料の腐食を抑制し、亀裂状欠陥の進展を抑制することができる。
第1の実施形態
以下、本発明に係る原子炉構造物100の補修方法及び原子炉構造物100の実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図4は本発明の第1の実施形態を示す図である。
以下、本発明に係る原子炉構造物100の補修方法及び原子炉構造物100の実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図4は本発明の第1の実施形態を示す図である。
まず、図2及び図3により本発明の概略について述べる。本発明による原子炉構造物100の補修方法は、図2に示すように、原子炉構造物本体1の内部に水分3が残存することにより原子炉構造物本体1の表面に応力腐食割れによる亀裂状欠陥2が発生した場合に、原子炉構造物100を補修するためのものである。
このような原子炉構造物100の補修方法により、図3に示すような原子炉構造物100が得られる。すなわちこの原子炉構造物100は、表面に亀裂状欠陥2が発生した原子炉構造物本体1と、原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2表面に設けた貴金属材料体17aと、貴金属材料体17aを被覆する被覆部材4と、被覆部材4を原子炉構造物本体1に溶接する溶接金属層6と、を備えている。
次に、本発明による原子炉構造物100の補修方法について以下詳述する。
図1に示すように、まず必要に応じて、酸化皮膜除去工程S1が行われ、亀裂状欠陥2が存在する原子炉構造物本体1の表面に付着している酸化皮膜等の不純物が除去される。
表面の不純物を除去する方法としては、レーザ光の照射、プラスト材吹き付け、ウォータージェット、グラインダー加工、フラップホイール加工、サンドペーパーでの研磨のうちの少なくとも一種類の機械的処理、又は有機酸を使用する化学的処理を用いることが好ましい。
この酸化皮膜を除去することにより、原子炉構造物本体1の表面への溶接性の向上を図ることができる。
この原子炉構造物本体1の表面は、後述する被覆工程S3において、被覆部材4が溶接にて取り付けられる被溶接部材となる(図3参照)。原子炉構造物本体1は、たとえば、ステンレス鋼又はNi基合金から形成される。
次に、腐食抑制物質介在工程S2が行なわれ、原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2表面に貴金属材料体17aが設けられる(図3参照)。
貴金属材料体17aは、例えばPt、Pd、Rh、Ru、Re、及びIr、から選択される物質のうち少なくとも一種の物質を含み、板状に構成されている。
次に、図1に示すように、被覆工程S3が行われる。すなわち、貴金属材料体17aが平板状の被覆部材4により被覆され、被覆部材4の縁部が、たとえば、レーザ溶接機5により原子炉構造物本体1と溶接され、このようにして、被溶接部材である原子炉構造物本体1の表面に溶接金属層6が形成される(図3参照)。このことにより、亀裂状欠陥2は周囲の環境から隔離される。
次に、防食工程S4が行われる。すなわち、被覆部材4で被覆した補修部内部では、原子炉運転時の炉心からの放射線による水の放射線分解によって生成される水素と、補修内部に残存する水分3中の溶存酸素あるいは気相中の酸素とが再結合すると共に、この再結合が貴金属材料体17aの触媒作用により促進され、補修内部の酸素濃度を低減する。この結果、構造物を構成する材料の腐食電位を低下させることができる。
このことにより、原子炉構造物本体1を構成する材料の腐食を防止し、亀裂状欠陥2の進展を抑制することができる。
第2の実施形態
次に図4により本発明の第2の実施形態について説明する。図4に示す第2の実施形態は腐食抑制物質介在工程S2における貴金属材料体17aの代わりに水素を吸蔵・放出する機能を持つ物質を含む材料体(以降、水素吸蔵合金材料体18と呼ぶ)を用いたものであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施形態と略同一である。
次に図4により本発明の第2の実施形態について説明する。図4に示す第2の実施形態は腐食抑制物質介在工程S2における貴金属材料体17aの代わりに水素を吸蔵・放出する機能を持つ物質を含む材料体(以降、水素吸蔵合金材料体18と呼ぶ)を用いたものであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施形態と略同一である。
水素吸蔵合金材料体18は、被覆工程S3の間では安定に水素を吸蔵し、高温高圧となる防食工程S4では吸蔵していた水素を放出する機能を持つ物質を含む材料体である。水素吸蔵合金材料体18を構成する水素吸蔵合金材料は、合金を構成する元素のうち、単体で水素化物を形成しやすい金属の種類によって、希土類系、チタン・ジルコニウム系、カルシウム系、マグネシウム系、バナジウム系などに分類される。
図4において、被覆部材4により被覆された補修部内部に水素吸蔵合金材料体18を介在させることにより、補修部内部では水素吸蔵合金材料体18から放出された水素と、補修内部に残存する水分3中の溶存酸素あるいは気相中の酸素とが結合し、補修内部の酸素濃度を低減する。その結果、構造物を構成する材料の腐食電位を低下させることができる。
このことにより、原子炉構造物本体1を構成する材料の腐食を防止し、亀裂状欠陥2の進展を抑制することができる。
第3の実施形態
次に図4により本発明の第3の実施形態について説明する。図4に示す第3の実施形態は腐食抑制物質介在工程S2における貴金属材料体17aの代わりに貴金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合金属材料体19を用いたものであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施形態と略同一である。
次に図4により本発明の第3の実施形態について説明する。図4に示す第3の実施形態は腐食抑制物質介在工程S2における貴金属材料体17aの代わりに貴金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合金属材料体19を用いたものであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施形態と略同一である。
図4において、被覆部材4により被覆された補修部内部に複合材料体を介在させることにより、補修部内部では、水の放射線分解により生成される水素又は水素吸蔵合金材料から放出された水素と、補修内部に残存する水分3中の溶存酸素あるいは気相中の酸素と再結合する。そしてこの再結合が、貴金属材料の触媒作用により促進され、補修内部の酸素濃度を低減する。その結果、構造物を構成する材料の腐食電位を低下させることができる。
このことにより、原子炉構造物本体1を構成する材料の腐食を防止し、亀裂状欠陥2の進展を抑制することができる。
第4の実施形態
次に図5により本発明の第4の実施形態について説明する。図5に示す第4の実施形態は、平板状の被覆部材4が底面に凹部8aを有すると共に、板状の貴金属材料体17aが被覆部材4の凹部8aに収まるように被覆されたものであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施形態と略同一である。
次に図5により本発明の第4の実施形態について説明する。図5に示す第4の実施形態は、平板状の被覆部材4が底面に凹部8aを有すると共に、板状の貴金属材料体17aが被覆部材4の凹部8aに収まるように被覆されたものであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施形態と略同一である。
図5に示す第4の実施形態において、図1乃至図4に示す第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図5において、貴金属材料体17aを被覆部材4の凹部8a内に密封状態で配置することができ、貴金属材料体17a及び亀裂状欠陥2を被覆部材4によって外部環境からより確実に隔離することができる。原子炉構造物本体1を構成する材料とは主成分の異なる貴金属材料体17aによって溶接金属層6が影響をうけない構造を得ることができる。
第5の実施形態
次に図6により本発明の第5の実施形態について説明する。図6に示す第5の実施形態は板状の貴金属材料体17aの代わりに粉状の貴金属材料体17bを用いたものであり、他は図5に示す第4の実施形態と略同一である。
次に図6により本発明の第5の実施形態について説明する。図6に示す第5の実施形態は板状の貴金属材料体17aの代わりに粉状の貴金属材料体17bを用いたものであり、他は図5に示す第4の実施形態と略同一である。
図6に示す第5の実施形態において、図5に示す第4の実施形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図6において、粉状の貴金属材料体17bを被覆部材4の凹部8a内に集積して密封状態で配置することができ、かつ貴金属材料体17b及び亀裂状欠陥2を被覆部材4によって外部環境からより確実に隔離することができる。このため、原子炉構造物本体1を構成する材料とは主成分の異なる貴金属材料体17bによって溶接金属層6が影響をうけない構造を得ることができる。
なお、図6において、上述した板状の貴金属材料体17a及び粉状の貴金属材料体17bの代わり、箔状の貴金属材料体17cを用いることができる。
第6の実施形態
次に図7により本発明の第6の実施形態について説明する。図7に示す第6の実施形態は、被覆部材4の凹部8a内に、あらかじめ貴金属材料を溶射して貴金属溶射層からなる貴金属材料体17dを形成しておき、貴金属材料体17dが凹部8aに設けられた被覆部材4を用いて、原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2上を覆ったものであり、他は図5に示す第4の実施形態と略同一である。
次に図7により本発明の第6の実施形態について説明する。図7に示す第6の実施形態は、被覆部材4の凹部8a内に、あらかじめ貴金属材料を溶射して貴金属溶射層からなる貴金属材料体17dを形成しておき、貴金属材料体17dが凹部8aに設けられた被覆部材4を用いて、原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2上を覆ったものであり、他は図5に示す第4の実施形態と略同一である。
図7に示す第5の実施形態において、図5に示す第4の実施形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図7において、原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2上に貴金属材料体17aを設ける工程を配置する必要がなくなり、現場での補修作業を簡略化することができる。
なお、貴金属溶射層からなる貴金属材料体17dを被覆部材4の凹部8a内に形成する手段としては、上述した溶射による手段の他、噴霧、メッキ、蒸着又は塗布を用いることができる。
第7の実施形態
次に図8により本発明の第7の実施形態について説明する。図8に示す第7の実施形態は、原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2上にあらかじめ貴金属材料を溶射して貴金属溶射層からなる貴金属材料体17eを形成しておき、この貴金属材料体17eを凹部8aを有する被覆部材4により被覆したものである。この結果、原子炉構造物本体1上の貴金属材料体17eを被覆部材4の凹部8a内に納められる。図8において、他の構成は図5に示す第4の実施形態と略同一である。
次に図8により本発明の第7の実施形態について説明する。図8に示す第7の実施形態は、原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2上にあらかじめ貴金属材料を溶射して貴金属溶射層からなる貴金属材料体17eを形成しておき、この貴金属材料体17eを凹部8aを有する被覆部材4により被覆したものである。この結果、原子炉構造物本体1上の貴金属材料体17eを被覆部材4の凹部8a内に納められる。図8において、他の構成は図5に示す第4の実施形態と略同一である。
図8に示す第7の実施形態において、図5に示す第4の実施形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図8において、貴金属材料体17eを被覆部材4の凹部8a内に密封状態で配置することができ、貴金属材料体17e及び亀裂状欠陥2を被覆部材4によって外部環境からより確実に隔離することができる。このため、原子炉構造物本体1を構成する材料とは主成分の異なる貴金属材料体17eよって溶接金属層6が影響をうけない構造を得ることができる。また、原子炉構造物本体1と被覆部材4との隙間を小さくし、被覆部材4の端部の溶接施工性を向上させることができる。
第8の実施形態
次に、図9乃至図11により本発明の第8の実施形態について説明する。図9に示す第8の実施形態は、図1乃至図4に示す第1の実施形態に対し、酸化皮膜除去工程S1と腐食抑制物質介在工程S2の間に構造物表面加工工程S10を設けたものであり、他の構成は図1乃至図4示す第1の実施形態と略同一である。
次に、図9乃至図11により本発明の第8の実施形態について説明する。図9に示す第8の実施形態は、図1乃至図4に示す第1の実施形態に対し、酸化皮膜除去工程S1と腐食抑制物質介在工程S2の間に構造物表面加工工程S10を設けたものであり、他の構成は図1乃至図4示す第1の実施形態と略同一である。
図9乃至図11に示す第8の実施形態において、図1乃至図4に示す第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施形態は、構造物表面加工工程S10において、図10に示すように原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2表面に凹部8bが形成される。次に、腐食抑制物質介在工程S2において板状の貴金属材料体17aが凹部8bに配置され、その後、貴金属材料体17aが平板状の被覆部材4によって被覆される。
図11において、貴金属材料体17aを原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2表面に形成された凹部8bに密封状態で配置することができ、貴金属材料体17a及び亀裂状欠陥2を被覆部材4によって外部環境からより確実に隔離することができる。このため、原子炉構造物本体1を構成する材料とは主成分の異なる貴金属材料体17aによって溶接金属層6が影響をうけない構造を得ることができる。
なお、図9乃至図11において、板状の貴金属材料体17aの他に、粉状の貴金属材料体17b又は箔状の貴金属材料体17cを用いてもよい。
第9の実施形態
次に図12により本発明の第9の実施形態について説明する。図12に示す第9の実施形態は、被覆部材4に、あらかじめ貴金属材料を溶射して貴金属溶射層からなる貴金属材料体17dを形成しておき、貴金属材料体17dが設けられた被覆部材4を用いて、亀裂状欠陥2上を覆ったものであり、他は図9乃至11に示す第8の実施形態と略同一である。
次に図12により本発明の第9の実施形態について説明する。図12に示す第9の実施形態は、被覆部材4に、あらかじめ貴金属材料を溶射して貴金属溶射層からなる貴金属材料体17dを形成しておき、貴金属材料体17dが設けられた被覆部材4を用いて、亀裂状欠陥2上を覆ったものであり、他は図9乃至11に示す第8の実施形態と略同一である。
図12に示す第9の実施形態において、図9乃至図11に示す第8の実施形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
この場合、亀裂状欠陥2表面に形成された凹部8b内に貴金属材料体17dが収められる。
図12において、貴金属材料体17dを原子炉構造体本体1の凹部8b内に密封状態で配置することができ、貴金属材料体17d及び亀裂状欠陥2を被覆部材4によって外部環境からより確実に隔離することができる。このため、原子炉構造物本体1を構成する材料とは主成分の異なる貴金属材料体17dによって溶接金属層6が影響をうけない構造を得ることができ、また、亀裂状欠陥2の補修工程における原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2上に貴金属材料体17dを設ける工程を配置する必要がなくなり、現場での補修作業を簡略化することができる。
第10の実施形態
次に図13により本発明の第10の実施形態について説明する。図13に示す第10の実施形態は、原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2表面に形成された凹部8b内部にあらかじめ貴金属材料を溶射して貴金属溶射層からなる貴金属材料体17eを形成しておき、この貴金属材料体17eを被覆部材4により被覆したものである。図13において、他の構成は図9乃至図11に示す第8の実施形態と略同一である。
次に図13により本発明の第10の実施形態について説明する。図13に示す第10の実施形態は、原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2表面に形成された凹部8b内部にあらかじめ貴金属材料を溶射して貴金属溶射層からなる貴金属材料体17eを形成しておき、この貴金属材料体17eを被覆部材4により被覆したものである。図13において、他の構成は図9乃至図11に示す第8の実施形態と略同一である。
図13に示す第10の実施形態において、図9乃至図11に示す第8の実施形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図13において、貴金属材料体17eを原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2表面に形成された凹部8bに密封状態で配置することができ、貴金属材料体17e及び亀裂状欠陥2を被覆部材4によって外部環境からより確実に隔離することができる。このため、原子炉構造物本体1を構成する材料とは主成分の異なる貴金属材料体17eによって溶接金属層6が影響をうけない構造を得ることができる。
第11の実施形態
次に本発明の第11の実施形態について図14及び図15により説明する。図14及び図15に示す第11の実施形態は、構造物表面加工工程S10において、原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2表面を切削加工することにより、スリット部10が形成される。次に、腐食抑制物質介在工程S2において、スリット部10内部に貴金属材料体17fが配置され、被覆工程S3において盛溶接を用いて貴金属材料体17fが配置されているスリット部10上に肉盛溶接金属層9が形成される。このようにして、肉盛溶接金属層9によって、亀裂状欠陥2、スリット部10及び貴金属材料体17fが外部環境から隔離される。
次に本発明の第11の実施形態について図14及び図15により説明する。図14及び図15に示す第11の実施形態は、構造物表面加工工程S10において、原子炉構造物本体1の亀裂状欠陥2表面を切削加工することにより、スリット部10が形成される。次に、腐食抑制物質介在工程S2において、スリット部10内部に貴金属材料体17fが配置され、被覆工程S3において盛溶接を用いて貴金属材料体17fが配置されているスリット部10上に肉盛溶接金属層9が形成される。このようにして、肉盛溶接金属層9によって、亀裂状欠陥2、スリット部10及び貴金属材料体17fが外部環境から隔離される。
図15に示す第11の実施形態において、図1乃至図4に示す第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図15において、溶接金属層6の形成のみで貴金属材料体fを密封することができ、被覆部材4を配置する必要がなくなるため、原子炉構造物100の補修を、より容易に行うことができる。
第12の実施形態
次に第12の実施形態について説明する。第12の実施形態は、第4の実施形態から第11の実施形態に示す貴金属材料体17a乃至17fの代りに水素吸蔵合金材料体18を用いたものであり、他は第4の実施形態から第11の実施形態までと略同一である。
次に第12の実施形態について説明する。第12の実施形態は、第4の実施形態から第11の実施形態に示す貴金属材料体17a乃至17fの代りに水素吸蔵合金材料体18を用いたものであり、他は第4の実施形態から第11の実施形態までと略同一である。
第13の実施形態
次に第13の実施形態について説明する。第13の実施形態は、第4の実施形態から第11の実施形態までの貴金属材料体17a乃至17fの代りに金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合金属材料体19を用いたものであり、他は第4の実施形態から第11の実施形態までと略同一である。
次に第13の実施形態について説明する。第13の実施形態は、第4の実施形態から第11の実施形態までの貴金属材料体17a乃至17fの代りに金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合金属材料体19を用いたものであり、他は第4の実施形態から第11の実施形態までと略同一である。
1 原子炉構造物本体
2 亀裂状欠陥
3 水分
4 被覆部材
5 レーザ溶接機
6 溶接金属層
8a 凹部(被覆部材側)
8b 凹部(原子炉構造物側)
9 肉盛溶接金属層
10 スリット部
17a 板状の貴金属材料体
17b 粉状の貴金属材料体
17d 貴金属溶射層からなる貴金属材料体(被覆部材側)
17e 貴金属溶射層からなる貴金属材料体(原子炉構造物側)
17f 貴金属材料体
18 水素吸蔵合金材料体
19 複合材料体
100 原子炉構造物
2 亀裂状欠陥
3 水分
4 被覆部材
5 レーザ溶接機
6 溶接金属層
8a 凹部(被覆部材側)
8b 凹部(原子炉構造物側)
9 肉盛溶接金属層
10 スリット部
17a 板状の貴金属材料体
17b 粉状の貴金属材料体
17d 貴金属溶射層からなる貴金属材料体(被覆部材側)
17e 貴金属溶射層からなる貴金属材料体(原子炉構造物側)
17f 貴金属材料体
18 水素吸蔵合金材料体
19 複合材料体
100 原子炉構造物
Claims (9)
- 表面に亀裂状欠陥の発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、
該亀裂状欠陥表面に貴金属材料体を設ける工程と、
該貴金属材料を被覆部材で被覆する工程と、
該被覆部材を該原子炉構造物に固定することで該貴金属材料体及び該亀裂状欠陥を外部環境から隔離する工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉構造物の補修方法。 - 表面に亀裂状欠陥が発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、
該亀裂状欠陥表面に水素吸蔵合金材料体を設ける工程と、
該水素吸蔵合金材料を被覆部材で被覆する工程と、
該被覆部材を該原子炉構造物に固定することで該水素吸蔵合金材料体及び該亀裂状欠陥を外部環境から隔離する工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉構造物の補修方法。 - 表面に亀裂状欠陥が発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、
該亀裂状欠陥表面に貴金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合材料体を設ける工程と、
該複合材料体を被覆部材で被覆する工程と、
該被覆部材を該原子炉構造物に固定することで該複合材料体及び該亀裂状欠陥を外部環境から隔離する工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉構造物の補修方法。 - 表面に亀裂状欠陥が発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、
凹部を有する被覆部材を準備する工程と、
該被覆部材の該凹部内に貴金属材料体、水素吸蔵合金材料体、又は貴金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合材料体を配置する工程と、
この被覆部材で該亀裂状欠陥表面を被覆する工程と、
該被覆部材を該原子炉構造物に固定することで該貴金属材料、該水素吸蔵合金材料又は該複合材料体、及び該亀裂状欠陥を外部環境から隔離する工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉構造物の補修方法。 - 表面に亀裂状欠陥が発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、
原子炉構造物の亀裂状欠陥表面に凹部を形成する工程と、
該亀裂状欠陥表面に形成した該凹部内に貴金属材料体、水素吸蔵合金材料体、又は貴金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合材料体を設ける工程と、
該貴金属材料、該水素吸蔵合金材料又は該複合材料体を被覆部材で被覆する工程と、
該被覆部材を該原子炉構造物に固定することで該貴金属材料、該水素吸蔵合金材料又は該複合材料体、及び該亀裂状欠陥を外部環境から隔離する工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉構造物の補修方法。 - 表面に亀裂状欠陥が発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、
原子炉構造物の該亀裂状欠陥表面に凹部を形成する工程と、
被覆部材に貴金属材料体、水素吸蔵合金材料体、又は貴金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合材料体を配置する工程と、
この被覆部材で該亀裂状欠陥表面を被覆する工程と、
該被覆部材を該原子炉構造物に固定することで該貴金属材料、該水素吸蔵合金材料又は該複合材料体、及び該亀裂状欠陥を外部環境から隔離する工程と、
を備えたことを特徴とする原子炉構造物の補修方法。 - 表面に亀裂状欠陥が発生している金属材料を有する原子炉構造物の補修方法であって、該亀裂状欠陥表面に上方に開口部を有するスリット部を形成する工程と、
該亀裂欠陥表面に形成された該スリット部内に貴金属材料体、水素吸蔵合金材料体、又は貴金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合材料体を設ける工程と、
該スリット部の開口部を肉盛り溶接により被覆する工程と、
を設けたことを特徴とする原子炉構造物の補修方法。 - 被覆される前記原子炉構造物表面の不純物を除去する工程を、更に備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の原子炉構造物の補修方法。
- 表面に亀裂状欠陥が発生した金属材料を有する構造物本体と、
該構造物本体の亀裂状欠陥表面に設けた貴金属材料体、水素吸蔵合金材料体、又は貴金属材料及び水素吸蔵合金材料を含む複合材料体と、
該貴金属材料体、該水素吸蔵合金材料体又は該複合材料体と該亀裂状欠陥とを被覆することで外部環境から隔離した被覆部材と、
を備えたことを特徴とする原子炉構造物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005128313A JP2006308326A (ja) | 2005-04-26 | 2005-04-26 | 原子炉構造物の補修方法及び原子炉構造物 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005128313A JP2006308326A (ja) | 2005-04-26 | 2005-04-26 | 原子炉構造物の補修方法及び原子炉構造物 |
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JP2006308326A true JP2006308326A (ja) | 2006-11-09 |
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ID=37475396
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JP2005128313A Pending JP2006308326A (ja) | 2005-04-26 | 2005-04-26 | 原子炉構造物の補修方法及び原子炉構造物 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2006308326A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007333741A (ja) * | 2006-06-16 | 2007-12-27 | Areva Np | 原子炉の容器の底部ヘッド貫通部を修理する方法 |
-
2005
- 2005-04-26 JP JP2005128313A patent/JP2006308326A/ja active Pending
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