JP2006307259A - 焼結機のパレットスピード制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドワイトロイド式焼結機によって焼結鉱を製造する際に、焼成状態を的確に把握し、それに基づいてパレットスピードを適切に制御することにより、焼結鉱の品質、成品歩留、生産性の向上を図ることができる焼結機のパレットスピード制御方法を提供する。
【解決手段】BTB予測部9において、過去の1000サンプルの所定温度位置BRPと最高温度位置BTPの時系列データから、相関解析によってBRPとBTPとの関係を算出し、その関係に基づいて、現時点で求めたBRPから将来のBTPを予測し、そのBTPが設定位置になるようにPIDコントローラ11がパレットスピードを制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ドワイトロイド式焼結機で生産される焼結鉱の品質を最適に維持しながら生産性を向上させるために、機長方向複数箇所の排ガス温度を監視しながら、最高温度位置を設定位置に制御するパレットスピードの制御方法に関する。
ドワイトロイド式焼結機で焼結鉱を製造する際、焼結鉱の品質、成品歩留、生産性の向上を図るための種々の操業技術が開発され、実施されている。
その一つとして、焼結機の機長方向(進行方向)の排ガス温度を測定し、排ガス温度が極大値となる位置すなわち最高温度となる位置(最高温度位置)を求め、その最高温度位置が焼結終了点であるとして、最高温度位置が予め設定した位置(設定位置)になるように、パレットスピードを制御する方法がある。
しかしながら、そのような最高温度位置によってパレットスピードを制御する方法については以下のような問題がある。すなわち、一般に、焼結操業においては、焼結原料が排鉱部に近づくにつれて焼結層の収縮が増大し、これに伴う割れが漏風を生じさせる。ところが、この漏風量は一様でなく時間的に変化し、それによって排鉱部近傍の排ガス温度分布が大きく変動する。そのため、必ずしも最高温度位置が焼結終了点と一致しない場合が生じ、焼結層の焼結状態に変化が無くとも、最高温度位置が変化して、見掛け上、焼結終了点が移動したようになることがある。したがって、それに対応してパレットスピードを変更してしまい、逆に実際の焼結終了点を移動させてしまうことになる。その結果、焼結鉱の品質の劣化、歩留の悪化及び生産率の低下を生じることになる。
これに対して、特許文献1には、焼結機の機長方向複数箇所の排ガス温度を測定し、その測定温度から機長方向の排ガス温度曲線を求め、図6に示すように、その温度曲線から温度上昇開始点Aと最高温度位置(以下、BTPとも記載)の間において所定温度(図6では150℃)になる位置(以下、BRPとも記載)を求め、その所定温度になる位置が予め設定した位置(設定位置)になるように焼結機のパレットスピードを制御するという焼結機の操業方法が開示されている。
焼結機の排ガス温度は、前述したように焼結終了点近傍で変動が大きいが、排ガス温度上昇開始点から焼結終了点の間は変動が小さい。したがって、所定温度を排ガス温度上昇開始点から焼結終了点の間に設定すれば、パレットスピードの適正な制御ができ、上記のような問題を回避することができるというものである。
特開平3−211241号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載されているパレットスピードの制御方法においては、排ガス温度が所定温度となる位置(BRP)を管理しており、厳密には、最高温度となる位置(BTP)が設定位置になるように制御している訳ではない。そのために、所定温度位置BRPの目標値の設定が困難となることが想定される。何故なら、使用原料により焼成過程の温度上昇速度パターンは変化するので、所定温度位置BRPによる管理では、最高温度位置BTPとなる排鉱部近傍の焼成状態を的確には規定できないからである。
本発明は、前記のような問題を解決すべくなされたものであり、ドワイトロイド式焼結機によって焼結鉱を製造する際に、焼成状態を的確に把握し、それに基づいてパレットスピードを適切に制御することにより、焼結鉱の品質、成品歩留、生産性の向上を図ることができる焼結機のパレットスピード制御方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
[1]ドワイトロイド式焼結機の機長方向複数箇所の排ガス温度を測定し、該測定温度から機長方向の排ガス温度曲線を求め、該温度曲線の温度上昇開始位置から焼結終了点の間において排ガス温度が所定温度になる所定温度位置と、排ガス温度が最高温度になる最高温度位置とを求め、そのようにして求めた所定温度位置と最高温度位置の過去の実績から両者の関係を算出しておき、前記の所定温度位置と最高温度位置の関係に基づいて現時点で求めた所定温度位置から最高温度位置を予測し、その最高温度位置が設定位置となるようにパレットスピードを制御することを特徴とする焼結機のパレットスピード制御方法。
本発明においては、過去の実績から所定温度位置と最高温度位置との関係を算出することによって、もともと漏風の影響が少ない所定温度位置と、漏風の影響が取り除かれて平均化した最高温度位置との関係が求まり、その関係に基づいて、現時点で求めた所定温度位置から最高温度位置を予測するようにしているので、漏風の影響を排除して的確に焼成状態を把握することができる。そして、それに基づいて、最高温度位置が設定位置になるようにパレットスピードを制御しているので、排鉱部近傍の焼成状態を厳密に管理でき、焼結終了点の変動が小さくなって、焼結鉱の品質及び成品歩留の向上が可能になる。また、焼結終了点の変動が小さくなることから、焼結終了点を排鉱部端に近づけて設定することができるので、パレットスピードが上昇し、生産性を向上させることができる。
本発明の実施の形態を以下に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る焼結機のパレットスピード制御方法おいて用いる装置の構成を示す図である。あらかじめ適当に配合された焼結原料20は、サージホッパー1によりパレット3上に連続的に給鉱される。パレット3上の焼結原料20は、パレット駆動モータ12によって所定のスピードで図中の右進行方向に搬送されながら、点火炉2により上部表面が着火され、排鉱部13に向かう。その間、燃焼用空気が、搬送方向(機長方向)に沿って多数配置された風箱4により負圧吸引されることにより、焼成が進行し、焼結が終了した焼結鉱21が排鉱部13から排出される。焼成の進行具合は、各風箱4に取り付けられた熱電対5により燃焼排ガス温度を測定することによって判断する。この熱電対5の測定値は、デジタルフィルタ6により応答改善され、BTP算出部7及びBRP算出部8に入力される。なお、デジタルフィルタ6は例えば熱電対の応答の遅れを改善するために用いられるが、必須の構成要素ではなく、無くても良い。
そして、BTP算出部7において、入力された各熱電対5の測定値から最高温度位置BTPを算出する。ここでは、最高温度位置近傍の排ガス温度曲線として、下記(1)式に示すように二次関数近似式を考える。(1)式は二次関数であるので、最高温度位置近傍の風箱Pとその点での風箱温度Tについての3点以上の情報から、(1)式の係数A、B、Cが求まる。具体的には、ちょうど3点の情報からは係数A、B、Cは一意に決まるし、4点以上の情報からは、最小二乗近似の意味で係数A、B、Cを決めることになる。
Figure 2006307259
この(1)式が極大値を取る位置をBTPとしている。
同様に、BRP算出部8において、入力された各熱電対5の測定値から所定温度位置BRPを算出する。その際、前記特許文献1に見られるように、温度上昇開始点から焼結終了点の間において所定温度(例えば、150℃)になる位置を所定温度位置BRPとしている。ここでは、図2に示すように、所定温度位置近傍の複数の風箱位置での測定温度を直線近似し、その直線上で150℃となる風箱位置を所定温度位置BRPとしている。
ちなみに、この実施形態においては、BTPとBRPを風箱位置(風箱No)を用いて表すようにしている。
なお、BTPやBRPを算出する際の近似曲線或いは近似直線の選定は上記に限定されるものではなく、本発明の本質には影響を与えない。
通常、最高温度位置BTPの動きはパレット上での当該焼結原料の通気度に大きく依存する。また、所定温度位置BRPの動きも同様に当該焼結原料の通気度に依存する。したがって、当該焼結原料のBRPとBTPの間には高い相関が見込まれる。
そこで、この実施形態においては、BTP予測部9で、前述のようにしてBTP算出部7とBRP算出部8で求めたBRPとBTPから両者の相関を算出しておき、その相関を利用して、現時点で求められたBRPから将来のBTPの挙動変化を事前に検知するようにしている。
具体的には、例えば過去1000サンプルのBRPとBTPの時系列データにより相関解析を行い、下記(2)式のR(k)を最大にするkを算出し、そのkをBRP−BTP遅れ時間とする。すなわち、当該焼結原料がBRPを通過してから時間k後にBTPに達することになる。なお、時間kの実時間は、kにサンプリング間隔Δtを掛けたものである。
Figure 2006307259
上記のBRP−BTP遅れ時間の算出により見積もられた遅れ時間kだけBRPの時系列データをシフトし、その上で、図3に示すように、BRPをX軸、BTPをY軸にとって二次元空間にプロットし、それを一次関数(直線)近似する。すなわち、BTPとBRPの関係が下記(5)〜(7)式で表されることになる。
Figure 2006307259
そして、上記の(5)〜(7)式を用いて、現時点のBRPに基づいて、時間kだけ経過後のBTPの予測値BTPPREDが、下記(8)式で求められる。
Figure 2006307259
この予測値BTPPREDに基づいて、BTPが設定位置(目標値)になるように、パレットスピードを制御する。すなわち、BTP予測部9で求めた予測値BTPPREDと、BTP目標値設定部10に予め格納されているBTP目標値との差が、PIDコントローラ11に与えられ、PID制御によって、BTPが目標値になるようにパレット駆動モータ12への速度指令が演算される。
そして、PIDコントローラ11からの速度指令に基づいて、パレット駆動モータ12の回転速度が調整されて、所望のパレットスピードになる。
なお、上記において、予測値BTPPREDに基づいてBTPが設定位置になるようにパレットスピードを制御する方法としては、一番基本的な制御方法であるPID制御からロバスト制御やモデル予測制御といった高級な制御方法まで種々のものが考えられるが、本発明はその制御方法を問わずに効果を発揮する。
上記のようにして、この実施形態においては、過去の1000サンプルのBRPとBTPの時系列データから、相関解析によってBRPとBTPとの相関を求めることによって、もともと漏風の影響が少ないBRPと、漏風の影響が取り除かれて平均化したBTPとの関係が求まり、その関係に基づいて、現時点で求めたBRPから将来のBTPを予測するようにしているので、漏風の影響を排除して的確に焼成状態を把握することができる。そして、それに基づいて、将来のBTPが設定位置になるようにパレットスピードを制御しているので、排鉱部近傍の焼成状態を厳密に管理でき、焼結終了点の変動が小さくなって、焼結鉱の品質及び成品歩留の向上が可能になる。また、焼結終了点の変動が小さくなることから、焼結終了点を排鉱部端に近づけて設定することができるので、パレットスピードが上昇し、生産性を向上させることができる。
本発明の実施例を以下に示す。
本発明例として、本発明の一実施形態に示したように、統計処理によって求めた所定温度位置BRPと最高温度位置BTPとの関係を用い、その関係から予測される最高温度位置BTPPREDが設定位置となるようにパレットスピードの制御を行った。
これに対して、従来例として、排ガス温度の測定値から求めた最高温度位置が設定位置となるようにパレットスピードの制御を行った。
図4は本発明例におけるBTPの経時変化を示すものであり、図5は従来例におけるBTPの経時変化を示すものである。
本発明例においては、事前にBTPの変化を捉えることができ、これに基づいてパレットスピードを制御することで、図4に示すように、BTPの変動が小さくなっている。BTPの変動が小さくなれば、より排鉱部側にBTPを持っていくことができ、生産性の向上につなげることが可能となる。具体的には、図4、図5ともにBTPの最大値は風箱位置22.0近辺であるが、その中心値(平均値)は、図5の21.7に比べて、図4では21.9で、排鉱部に近くなっており、生産性が高い状態を示していることがわかる。
本発明の一実施形態における装置構成を示す図である。 本発明の一実施形態におけるBRPの算出例を示す図である。 本発明の一実施形態においてBRPとBTPの関係を求めるための図である。 本発明例におけるBTPの経時変化を示す図である。 従来例におけるBTPの経時変化を示す図である。 排ガス温度の機長方向変化を示す図である。
符号の説明
1 サージホッパー
2 点火炉
3 パレット
4 風箱
5 熱電対
6 デジタルフィルタ
7 BTP算出部
8 BRP算出部
9 BTP予測部
10 BTP目標値
11 PIDコントローラ
12 パレット駆動モータ
13 排鉱部
20 焼結原料

Claims (1)

  1. ドワイトロイド式焼結機の機長方向複数箇所の排ガス温度を測定し、該測定温度から機長方向の排ガス温度曲線を求め、該温度曲線の温度上昇開始位置から焼結終了点の間において排ガス温度が所定温度になる所定温度位置と、排ガス温度が最高温度になる最高温度位置とを求め、そのようにして求めた所定温度位置と最高温度位置の過去の実績から両者の関係を算出しておき、前記の所定温度位置と最高温度位置の関係に基づいて現時点で求めた所定温度位置から最高温度位置を予測し、その最高温度位置が設定位置となるようにパレットスピードを制御することを特徴とする焼結機のパレットスピード制御方法。
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