JP2006307149A - 赤色着色剤組成物およびカラーフィルター - Google Patents

赤色着色剤組成物およびカラーフィルター Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、特に液晶テレビ用途として使用するのに適した、色再現性に優れ、透過率、コントラスト比の高い赤色着色剤組成物、及びカラーフィルターを提供する。
【解決手段】少なくとも樹脂、溶剤、及びこれらに分散された顔料とを含有する赤色着色剤組成物において、前記顔料として、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、および黄色顔料を含み、これら顔料の平均分散径が100nmより小さく20nmより大きく、かつC光源を使用して測定したXYZ表色色度図における色度座標(x、y)において、x=0.650となる塗膜を形成したとき、0.310<y<0.336であって、その透過率スペクトルが下記式(1)および(2)を満たすこと。
0.4<T410<4 (1)
85<T630<95 (2)
ここで、T410は波長410nmにおける透過率(%)、T630は波長630nmにおける透過率(%)である。および、上記赤色着色剤組成物を用いてカラーフィルターを作成すること。
【選択図】なし

Description

本発明は、赤色着色剤組成物、及びそれを用いてなるカラーフィルターに関するものであり、特に液晶テレビ用として使用するのに適した、色再現性に優れ、透過率、コントラスト比の高い赤色着色剤組成物、カラーフィルターに関するものである。
現在、液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力等の特性を活かし、ノートパソコン、携帯情報端末、デジタルカメラ、デスクトップモニタ等様々な用途で使用されてきたが、特に最近では大型の液晶テレビが開発され、急速に市場が拡大してきた。テレビ用途では、既存のCRT(陰極線管)テレビ同等の表示を実現するために、従来の液晶表示装置よりも色再現範囲を拡大する必要がある。ここで色再現範囲とは、XYZ表色系色度図における赤(R)、緑(G)、青(B)の各色度座標を結んでなる三角形のNTSC(National Television System Committee)規格に対する面積比で表される。CRTの色再現範囲はNTSC規格比約72%であり、これはRGB各色のXYZ表色系色度図における色度座標(x、y)がそれぞれR(0.640,0.330)、G(0.290,0.600)、B(0.150,0.060)であるEBU(European Broadcasting Union)規格にほぼ等しい。
液晶表示装置は、バックライトの光をカラーフィルターにより選択的に透過/遮断することにより表示を行う。従って、液晶表示装置としてEBU規格同等の色再現範囲を実現するためには、バックライトの波長特性に合わせて、カラーフィルターのRGB画素の色を調整する必要がある。すなわち、バックライトの光を効率的に透過/遮断できる顔料系を選択し、加えて画素の厚膜化、及び/または顔料高濃度化による高色純度化を行うことにより、バックライトと組み合わせたときにEBU規格に近い表示色が得られるよう設計される。
液晶テレビ用カラーフィルターに要求される特性として、上記のEBU規格同等の広い色再現範囲に加えて、高透過率、高コントラスト比が挙げられる。従来、透過率、コントラスト比は色再現範囲とトレードオフの関係にあり、色再現範囲を拡大しようとすると透過率、コントラスト比が低下してしまうという問題があった。従って、テレビ用途の場合、広い色再現範囲と高透過率、高コントラスト比をいかに両立するかが課題となる。特に後述のように、R画素のコントラスト比はG、B画素に比べても低く、テレビの画質向上のために、EBU規格同等の色度表示が達成可能で、かつコントラスト比の高いR画素を作製できるカラーフィルター用赤色着色剤組成物が必要とされてきた。
一般的にカラーフィルター用着色剤組成物では、所望の色度を実現するために複数の顔料が組み合わされて用いられる。R画素の場合、主顔料である赤色顔料に、必要に応じて副顔料として黄色顔料を組み合わせて調色される。
テレビ用途では、従来、EBU規格の色度を実現するために、例えば特許文献1に記載のように黄色顔料を使用せず、ピグメントレッド(PR)254を主顔料とし、これにEBU規格の特徴である青みの赤色、すなわち色度座標上のy値が小さい赤色とするために少量のPR177を副顔料として組み合わせる顔料系が使用されてきた。なお、PR254を主顔料として使用すると、特許文献2に記載のように、600〜700nmの赤色波長領域の透過率を70%以上に保ったときに、410nmの透過率が4%以上となるため、従来、このような透過率スペクトル形状が広色再現性と高透過率を両立するための条件と考えられてきた。
しかしながら、PR254を主顔料とすると透過率は高くなるものの、塗膜のコントラスト比が低くなってしまうという欠点がある。従って、PR254の含有量が多い従来の調色系ではR画素のコントラスト比が低くなり、液晶テレビの画質を低下させてしまうという問題があった。
一方、特許文献3〜7には、カラーフィルター用赤色着色組成物に使用する顔料系として、PR254、PR254以外の赤色顔料及び黄色顔料の3顔料系で調色する例が記載されている。このように色調の異なる3顔料を使用した調色系では、2顔料系ではなしえなかった広範な色度範囲が調色可能であり、EBU規格に近い色度も調整可能である。しかしながら、このような3顔料系においても、単に上記従来の特許文献に記載されている範囲内で適宜顔料組成比を調整してEBU規格に近い色度に調色するだけでは、色再現範囲以外の液晶テレビの要求特性である高透過率、高コントラスト比を満足させることが困難であった。
また、高透過率、高コントラスト比をさらに向上させるために、顔料誘導体等の分散剤を適用して、顔料の分散安定性を向上させることも知られている(例えば、特許文献8〜11)。しかしながら、誘導体の製造条件等が十分に制御されていない場合、その分散安定化効果が小さい場合もある。
特開2001−125089号公報(第0017段、第0042段) 特開2001−272523号公報(請求項1等) 特開2003−185830号公報(第0015段) 特開2003−248115号公報(第0087段) 特開2001−89025号公報(請求項4、第0035段) 特開2000−131517号公報(第0041段) 特開平11−209632号公報(第0016段、第0108段) 特開平7−173406号公報(請求項2) 特開平7−173406号公報(第0021段) 特開2000−160084号公報(第0019段) 特開2004−505157号公報(請求項1)
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み創案されたもので、液晶テレビに使用するに適したEBU規格同等の広い色再現範囲を有すると共に、高透過率、高コントラスト比を実現することが可能なカラーフィルター用赤色着色剤組成物、及びこれを用いたカラーフィルターを提供することにある。
本発明者らは、従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の赤色着色剤組成物を見いだした。
1.少なくとも樹脂、溶剤及び顔料とを含有する赤色着色剤組成物であって、顔料として、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、および黄色顔料を含み、顔料の平均分散径が20〜100nmであり、かつC光源を使用して測定したXYZ表色色度図における色度座標(x、y)において、x=0.650となる塗膜を形成したとき、0.310<y<0.336であって、その透過率スペクトルが下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とする赤色着色剤組成物。
0.4<T410<4% (1)
85<T630<95 (2)
ここで、T410は波長410nmにおける透過率(%)、T630は630nmにおける透過率(%)である。
2.前記ジケトピロロピロール系顔料の全顔料に対する含有率が5〜40質量%であることを特徴とする前記1項に記載の赤色着色剤組成物。
3.前記アントラキノン系顔料の全顔料に対する含有率が50〜85質量%であることを特徴とする前記1、2項のいずれかに記載の赤色着色剤組成物。
4.前記黄色顔料の全顔料に対する含有率が2〜25質量%であることを特徴とする前記1〜3項のいずれかに記載の赤色着色剤組成物。
5.前記ジケトピロロピロール系顔料がピグメントレッド254であることを特徴とする前記1〜4項のいずれかに記載の赤色着色剤組成物。
6.前記アントラキノン系顔料がピグメントレッド177であることを特徴とする前記1〜5項のいずれかに記載の赤色着色剤組成物。
7.前記黄色顔料がピグメントイエロー83、ピグメントイエロー139のいずれかであることを特徴とする前記1〜6項のいずれかに記載の赤色着色剤組成物。
8.1色または複数色の画素がパターン状に設けられたカラーフィルターであって、前記の画素は着色層を有し、該着色層のうち少なくとも1色は前記1〜7項のいずれかに記載の赤色着色剤組成物により形成されたものであることを特徴とするカラーフィルター。
本発明の赤色着色剤組成物、及びこれを用いたカラーフィルターにより、EBU規格同等の広い色再現範囲、高透過率、高コントラスト比を同時に実現する液晶表示装置を作製することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の赤色着色剤組成物では、特にテレビ用途として使用されるに好適な、広い色再現性、高透過率、高コントラスト比を実現するために、顔料として、少なくとも特定の3種類の顔料を使用することを必須の要件とする。すなわち、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、及び黄色顔料である。通常、カラーフィルターの赤画素は2種類の顔料を用いる。特にテレビ用途としてEBU色に近い色度、すなわち青みの赤を調色するためには、通常、PR254とPR177の組み合わせが選択される。しかしながら、このような2顔料系ではテレビ用途に必要とされる高透過率、高コントラスト比の両方を十分に満たすことはできない。
本発明に使用できるジケトピロロピロール系顔料としては、PR254、255、264、ピグメントオレンジ(PO)73、及びその誘導体等があげられるが、特にPR254を使用するのが、透過率スペクトルの580nm付近の立ち上がりがシャープで高透過率が得られる点で好ましい。
本発明に使用できるアントラキノン系顔料としては、PR177、及びその誘導体等があげられるが、特にPR177を使用するのが色相、及び高コントラスト比が得られる点で好ましい。
本発明で使用できる黄色顔料としては、特に限定はなく、例えば、ピグメントイエロー(PY)12、13、14、17、20、24、83、86、93、94、95、109、110、117、125、129、137、138、139、147、148、150、153、154、155、166、173、180、185、及びこれらの誘導体等を好ましく使用できる。これらの中で、特にPY83、PY138、PY139、PY150を使用するのが好ましく、更にはPY83、PY138、PY139を使用するのが好ましく、特に、少ない添加量で調色可能な点で、PY83、及び/またはPY139を使用するのが最も好ましい。従来、PY83、PY139は透過率スペクトルの立ち上がりがシャープではないために透過率が低下する問題があったが、本発明では、後述するように、これら顔料を含む赤色着色剤組成物中の顔料の平均分散径を100nm以下とすることにより、高いコントラスト比と共に、高い透過率も両立しうることを新たに見出した。
本発明では、上記のジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、黄色顔料以外の顔料を含んでいても良い。ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、黄色顔料以外の顔料としては、例えば、PR2、3、9、22、38、81、97、122、123、144、146、149、166、168、169、179、180、190、192、206、207、209、215、216、224、242、266等の赤色顔料、及びその誘導体、PO5、13、17、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71等の橙色顔料、及びその誘導体、ピグメントバイオレット(PV)19、23、29、30、32、33、36、37、38、40、50等の紫色顔料、およびその誘導体等が挙げられる。これらを使用する場合、本発明の効果である高透過率、高コントラスト比を達成するためには、使用量が少ない程良く、全顔料中に占める比率として、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下にするのが好ましい。
なお、上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用しても良い。
本発明で使用する各顔料の好ましい組成比としては、後述する色度、及び透過率スペクトルの好ましい範囲を満たすことが可能な範囲に調整するのが好ましい。
すなわち、ジケトピロロピロール系顔料の含有量は、全顔料に対として、5〜40質量%が好ましく、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは5〜25質量%である。ジケトピロロピロール系顔料の使用量が40質量%より多い場合、テレビとしてふさわしくない程度までコントラスト比が低下することがあるため、好ましくない。また5質量%より少ない場合、透過率が低下し、暗い表示となってしまうことがあるため、好ましくない。
アントラキノン系顔料の使用量は、全顔料中に占める重量比率として、50〜85質量%が好ましく、より好ましくは55〜85質量%、更に好ましくは60〜85質量%である。アントラキノン系顔料の使用量が、50質量%より少ない場合、テレビとしてふさわしくない程度までコントラスト比が低下することがあるため、好ましくない。また85質量%より多い場合、コントラスト比は高くなるものの、透過率が低くなり暗い表示となってしまうことがあるため、好ましくない。
黄色顔料の含有量は、全顔料に対して、2〜25質量%が好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。なお、黄色顔料は含有量が多くなるにつれ色調が黄味の赤色、すなわち色度座標上のy値が大きい赤色となる。従って、全顔料中に占める黄色顔料の比率が多すぎると、EBU規格に近い、青みの赤色を実現することができなくなる。具体的には、全顔料中に占める黄色顔料の重量比率が25質量%を超えると、色調が黄色味になりすぎ、テレビとしてふさわしい色調ではなくなる傾向があるため好ましくない。また2質量%より少ない場合、色調が青みになりすぎ、透過率が低く、暗い表示となってしまう傾向があるため好ましくない。
本発明の赤色着色剤組成物における顔料全体の含有量は、固形分全体に対し、好ましくは、10〜60質量%、より好ましくは20〜55質量%、更に好ましくは25〜52質量%である。顔料全体の含有量が10質量%より少ないと、所定の色度を得るための膜厚が大きくなりすぎ、塗布が困難になったり、カラーフィルター表面の段差が大きくなり、表示不良が生じたりする場合がある。顔料の含有量が60%を超えて多いと、相対的に樹脂分が少なくなりすぎるため、現像液に対する溶解性が低下し、パターニング性能に問題が生じる場合がある。
本発明の赤色着色剤組成物では、高透過率、高コントラスト比を得るために、その中で混合して分散されている3種類以上の顔料の平均分散径を100nm以下にする必要がある。ここで言う顔料の平均分散径とは、赤色着色剤組成物の体積基準の粒度分布測定を実施したときの、50%粒子径(累積中位径、あるいはMedian径とも言う)のことである。50%粒子径を測定する方法としては特に制限はなく、例えば、レーザー回折法、動的光散乱法を用いる市販の粒度分布測定装置等で測定できる。本発明における平均分散径は、20〜100nmであることが必要であるが、より好ましくは20〜90nm、更に好ましくは30〜80nmである。平均分散径が100nmより大きいと、透過率、コントラスト比が低下してしまう。また、平均分散径が20nmより小さいと顔料凝集が進行しやすく、経時で透過率、コントラスト比が低下してしまう。
顔料の平均分散径を100nmより小さくする手法としては、まず、使用する顔料の一次粒子径を小さくする必要がある。具体的な一次粒径の範囲としては、平均値として、好ましくは5〜100nm、より好ましくは10〜75nm、更に好ましくは15〜60nm以下である。顔料の一次粒子径は、例えば顔料粒子の走査電子顕微鏡(SEM)像の解析などにより測定することができる。しかしながら、例え顔料の一次粒子径が小さくても、赤色着色剤組成物中の平均分散径が小さくなるとは限らない。なぜなら、分散安定化が不十分であれば、赤色着色剤組成物中で凝集が進み、平均分散径は大きくなってしまうからである。従って、例えば、後述する顔料分散方法、あるいは顔料分散剤等による分散安定化が、本発明の平均分散径を満足させるための手法として好適に使用できる。
本発明の赤色着色剤組成物は、テレビに適したEBU規格の色度に近い色度を満たすよう、C光源を使用して測定したXYZ表色色度図における色度座標(x、y)において、膜厚等を調整して、x=0.650となる塗膜を形成したとき、0.310<y<0.336であるように調色されるのが好ましい。ここで言う塗膜とは、赤色着色剤組成物を塗布、乾燥した膜でもよいし、塗布後にフォトリソグラフィー工程等を通してパターニングしたパターン膜でもよい。調色の範囲としては、より好ましくは、0.315<y<0.332、更には、0.320<y<0.330であることが、バックライトと組み合わせた際に、EBU規格色度と近くなり、かつ、G、B画素と組み合わせたときのホワイトバランスがテレビに適した色度になりやすいという点で好ましい。y≧0.336の範囲では、R画素の色度がいわゆる「黄味の赤」の領域に入り、テレビに適したEBU規格に近い、いわゆる「青みの赤」の領域からの乖離が大きくなってしまうため、好ましくない。逆に、y≦0.310の範囲では、青みが強くなり過ぎ、透過率が低くなりやすいため、好ましくない。具体的には、下記式(3)で求められるバックライト光源を通したときのカラーフィルターのR画素色度と、EBU規格のR色度との乖離を示す指数Dが、好ましくは0.015以内、より好ましくは0.010以内、更に好ましくは0.008以内であると、表示したときにEBU規格に近いRの色調となり、テレビとして優れた色再現性を有すると言える。
D={(x−x+(y−y1/2 (3)
ここで、x、yはバックライト光源を通したときのカラーフィルターのR画素色度、x、yはEBU規格のR色度である。
なお、ここで、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、及び黄色顔料、更に必要に応じてその他顔料の3種類以上の顔料の混合により、塗膜色度が上記色度の範囲に入るよう調整する組み合わせは、無限に存在する。しかしながら、単に色度を調整しただけでは本発明の目的とする著しい透過率、コントラスト比の向上を達成することはできない。上記の色度、平均分散径の範囲に加えて、更に、x=0.650となる塗膜の透過率スペクトルが下記式(1)および(2)を満たすことにより、初めて、著しく透過率、コントラスト比を向上させることが可能となる。
0.4<T410<4 (1)
85<T630<95 (2)
ここで、T410は波長410nmにおける透過率(%)、T630は波長630nmにおける透過率(%)である。
上記式(1)において、410nmにおける透過率T410は、従来、前記特許文献2に記載のように、値が大きい方がR画素としての透過率が高くなり、好ましいと考えられてきた。しかしながら、本発明の赤色着色剤組成物では、T410を低く抑えた方が、高透過率を保ったまま、コントラスト比を高くすることができることを見出した。透過率スペクトルとしては、上記(1)および(2)を満たす範囲に調整すれば好ましく使用できるが、よりコントラスト比を向上できるという意味で、下記式(4)および上記式(2)を満たすことが好ましく、下記式(5)および上記式(2)を満たすことがさらに好ましい。
0.8<T410<3 (4)
1.2<T410<2.8 (5)
本発明の要件である平均分散径、色度、透過率スペクトルの範囲は、使用する顔料組成比とも相まって、互いに相関しており、どれか一つでも好ましい範囲から外れると、テレビに適した色度を保っての高透過率、高コントラスト比の達成が不可能となる。
本発明の赤色着色剤組成物を用いて作成した塗膜の視覚上の明度は、XYZ表色色度におけるYで表すことができる。好ましいYの値としては、C光源を使用して測定したXYZ表色色度図における色度座標(x、y)において、膜厚等を調整して、x=0.650となる塗膜を形成したとき、好ましくはY>15、より好ましくはY>16、更に好ましくはY>17であることが好ましい。Yが15以下であると、カラーフィルター、更には液晶表示装置を作成した際に、表示が暗くなり、視認性が悪くなってしまうため、好ましくない。なお、Yは大きい程良いが、本発明の赤色着色剤組成物においては一般的に22程度が上限である。
本発明の赤色着色剤組成物を用いて作成した塗膜のコントラスト比としては、x=0.650になるように塗膜を調整したときに、好ましくは1300以上、より好ましくは1500以上、更に好ましくは1600以上であることが好ましい。コントラスト比が1300未満であると、カラーフィルター、更には液晶表示装置を作成した際に、散乱された光が漏れ出るために、メリハリを欠いた表示となり、画質が不十分となることがある。
次に、本発明の赤色着色剤組成物の作製方法の一例を説明する。
本発明の赤色着色剤組成物は、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、及び黄色顔料、更に必要に応じてその他の顔料を樹脂、溶剤中に分散させてなる。顔料を分散させる方法としては、公知の技術を用いることができ、例えば、溶剤中に樹脂と顔料を混合させ、ボールミル、ビーズミル等の分散機中で分散させる方法を好ましく用いることができる。ビーズミルを用いて分散させる場合、使用するビーズが小さい方が、顔料がより微分散化され、かつ分散安定化されるため、本発明の要件である、平均分散径を100nm以下とする上で好ましい。具体的なビーズの種類としては、材質はジルコニアが好ましく、ビーズ径は好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.1mm以下、更に好ましくは0.05mm以下である。
また顔料の分散を安定化させるために分散剤として顔料の中間体、誘導体、染料の中間体、誘導体といった低分子分散剤、“ソルスパース”(アビシア社製)、“EFKA”(エフカ社製)、”アジスパー”(味の素ファインテクノ社製)等の高分子分散剤など公知のものが使用できる。これらは顔料分散時に添加するか、顔料分散工程後に添加して使用する。顔料分散剤として、特に本発明では、顔料骨格にスルホン酸誘導体構造を導入した化合物を使用すると、顔料分散性が向上し、より平均分散径を小さくでき、ひいては高い透過率、コントラスト比を得ることができるため好ましい。顔料骨格にスルホン酸誘導体構造を導入した化合物とは、例えば、用いる顔料の分子構造に少なくとも一部が類似した骨格にスルホン酸基、あるいはスルホン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩を導入した構造、あるいはスルホンアミド構造、スルホン酸エステル構造等を導入した構造を有する化合物である。通常スルホン酸誘導体構造は顔料骨格の芳香環に導入されるが、特に限定されるものではない。また、導入されるスルホン酸誘導体構造の数についても、特に限定されるものではなく、1分子中に1個であっても良いし、2個以上であってもよい。また、導入数や導入位置が同一の単一種の純粋な誘導体であっても良いし、異なるものの混合物であっても良い。
上記のような顔料骨格にスルホン酸誘導体構造を導入した化合物は、例えば次のような方法により合成される。顔料、もしくはその類似化合物を濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、またはこれらの混合液などに投入してスルホン化反応を行う。反応後、反応液を大量の水で希釈、あるいは金属アルカリ水溶液またはアミン水溶液で中和することが好ましく、得られた懸濁液を濾過した後に水系の洗浄液で洗浄し、乾燥する。
上記の合成過程で中和を行う場合、金属アルカリ水溶液もしくはアミンまたはその水溶液を用いるが、好ましくはアミンまたはその水溶液を用いるほうが良い。カラーフィルター用顔料分散液、ひいてはそれを用いた着色剤組成物中に金属アルカリが含有していると、カラーフィルター画素中に残存、液晶中に溶出し、液晶駆動阻害による表示不良を発生させる恐れがあるからである。
中和に用いるアミン水溶液としてはアンモニア、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの水溶液を用いることができる。本発明では特にこれらに限定されずに種々のアミン水溶液を使用することができるが、アンモニアの使用がその揮発のしやすさから好ましい。
上記のような顔料骨格にスルホン酸誘導体構造を導入した化合物は、色を問わずいずれの顔料にも効果があり、本発明で用いる顔料、すなわち、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、黄色顔料に好適に使用できる。これらの中で、特に限定されるものではないが、PR254、PR177、PY12、PY17、PY83、PY138等に、これらの構造もしくは類似構造にスルホン酸誘導体構造、特に好ましくはスルホン酸基を導入した化合物を顔料分散剤として添加して分散すると、分散安定性が良好となり凝集が防げる。顔料骨格にスルホン酸誘導体構造を導入した化合物の添加量としては、重量比で顔料:顔料骨格にスルホン酸誘導体構造を導入した化合物=85〜99:15〜1が好ましく、より好ましくは90〜98:10〜2、さらに好ましくは92〜97:8〜3の混合比で添加されるのが好ましい。添加量が少なすぎれば顔料分散安定化効果が発揮されず、逆に添加量が多すぎれば、色調が好ましくないほど変化する可能性が生じる。
特に、PR254に代表されるジケトピロロピロール系顔料の分散剤として、ジケトピロロピロール系顔料、またはジケトピロロピロール系顔料が有する化学構造と類似構造を有する顔料の骨格の一部にスルホン酸基が導入された化合物(以下ではまとめて、「スルホン酸基が導入されたジケトピロロピロール系顔料誘導体」と呼ぶ)を使用すると、ジケトピロロピロール系顔料を凝集させずに安定分散できるため、好ましい。
通常、スルホン酸基が導入されたジケトピロロピロール系顔料誘導体は、一分子中に1〜4個のスルホン酸基が導入された化合物の混合物である。ここで、好ましく使用できるスルホン酸基が導入されたジケトピロロピロール系顔料誘導体は、イオン交換水との混合液の波長400〜800nmにおける吸収スペクトルの最大吸収波長が、500nm以下であることが好ましい。混合液の吸収スペクトルの最大吸収波長が500nmより長波長側にある場合、顔料の凝集がおこりやすくなる。顔料の凝集をより少なくするためには吸収スペクトルの最大吸収波長を490nm以下にすることがさらに好ましい。なお最大吸収波長の測定は、スルホン酸基が導入されたジケトピロロピロール系顔料誘導体をイオン交換水と混合して、最大吸光度が3(通常の紫外可視分光光度計の検知限界)を越えない濃度の混合液を作製し、この混合液の状態で測定する。
また、吸収スペクトルの最大吸収波長は、スルホン酸基が導入されたジケトピロロピロール系顔料誘導体を合成する時の反応条件(反応温度、反応液温度、反応時間など)によって制御することが可能である。原料であるジケトピロロピロール系顔料、またはジケトピロロピロール系顔料が有する化学構造の一部と同一の化学構造を有する顔料には500nm以下に吸収ピークはないが、適切な反応条件を適用することにより、500nm以下に吸収ピークを有する顔料誘導体を作製することができる。具体的には、例えば、濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、またはこれらの混合液などの濃度や混合比などを適切に調節し、反応温度0〜150℃、反応時間1〜24時間の範囲において適宜反応条件を変更することにより、吸収スペクトルの最大吸収波長を500nm以下とすることができる。
具体的にはスルホン化剤として発煙硫酸を使用することが好ましく、また反応温度を低く、反応時間を短くする方が最大吸収波長がより低波長シフトした顔料誘導体を得ることができ、好ましい。発煙硫酸を使用する場合の反応温度としては、好ましくは、50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下である。反応温度が50℃より高い場合、その吸収スペクトルの最大吸収波長が500nmを越え、顔料の凝集がおこりやすくなる。
スルホン酸基が導入されたジケトピロロピロール系顔料誘導体の吸収スペクトルの最大吸収波長の測定方法は例えば次のような方法により行う。顔料誘導体をイオン交換水に投入し、次いでボールミル、ビーズミル、超音波を印加するなどの方法により、イオン交換水との混合液を作製する。最も好ましい方法としては超音波を適当な時間印加する方法である。次いで、紫外可視分光光度計(例えば(株)島津製作所製MultiSpec−1500)を用いて混合液の吸収スペクトルの測定を行う。波長400〜800nmの範囲において、最大の吸光度を示す吸収スペクトルのピークの波長を最大吸収波長とする。本発明において、スルホン酸基が導入されたジケトピロロピロール系顔料誘導体の添加量としては、重量比でジケトピロロピロール系顔料:スルホン酸基が導入されたジケトピロロピロール系顔料誘導体=85〜99:15〜1が好ましく、より好ましくは90〜98:10〜2、さらに好ましくは92〜97:8〜3の混合比で添加されるのが好ましい。顔料誘導体の量が少なすぎれば顔料分散安定化効果が発揮されず、逆に顔料化誘導体の量が多すぎれば、色調が好ましくないほど変化する可能性が生じる。本発明の赤色着色剤組成物の樹脂としては、特に限定はなく、通常、カラーフィルターに使用している樹脂、すなわちアクリル系、エポキシ系、あるいはポリアミック酸等の樹脂を好ましく用いることができる。使用する樹脂によって、非感光性、あるいは感光性とすることができ、カラーフィルター製造プロセスに応じて適宜選択することができる。
以下で、非感光性赤色着色剤組成物に用いる樹脂の代表的な例としてポリアミック酸を、また感光性赤色着色剤組成物に用いる樹脂の代表的な例としてアクリル系樹脂を用いた場合について詳しく説明する。
ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより得ることができる。本発明におけるポリアミック酸の合成には、テトラカルボン酸二無水物として、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ビシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオンなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。また、フッ素系のテトラカルボン酸二無水物を用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物などが挙げられる。なお、本発明においては、これらに限定されずにテトラカルボン酸二無水物を1種または2種以上用いることができる。
また、本発明におけるポリアミック酸の合成には、ジアミンとして、たとえば、脂肪族系または脂環式系のジアミンを用いることができ、その具体的な例として、エチレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルなどが挙げられる。また、芳香族系のジアミンを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、4,4”−ジアミノターフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エ−テル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンなどが挙げられる。また、フッ素系のジアミンを用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
また、ジアミンの一部として、シロキサンジアミンを用いると、無機基板との接着性を良好にすることができる。シロキサンジアミンは、通常、全ジアミン中の1〜20モル%用いる。シロキサンジアミンの量が少なすぎれば接着性向上効果が発揮されず、多すぎれば耐熱性が低下する傾向にある。シロキサンジアミンの具体例としては、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンなどが挙げられる。本発明は、これに限定されずにジアミンが1種または2種以上用いられる。
ポリアミック酸の合成は、極性有機溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンを混合して反応させることにより行うのが一般的である。この時、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物の混合比により、得られるポリアミック酸の重合度を調節することができる。
このほか、テトラカルボン酸ジクロライドとジアミンを極性有機溶媒中で反応させて、その後、塩酸と溶媒を除去することによってポリアミック酸を得るなど、ポリアミック酸を得るには種々の方法がある。しかし、本発明においては合成法による限定はなく、上記のポリアミック酸を用いることが可能である。
本発明の赤色着色剤組成物におけるポリアミック酸の含有量は、固形分全体に対し、好ましくは、40〜90質量%、より好ましくは45〜80質量%、更に好ましくは48〜75質量%である。ポリアミック酸の含有量が40質量%より少ないと、現像液に対する溶解性が低下し、パターニング性能に問題が生じる場合がある。ポリアミック酸の含有量が90%を超えて多いと、相対的に顔料の含有量が少なくなるため、所定の色度を得るための膜厚が大きくなりすぎ、塗布が困難になったり、カラーフィルター表面の段差が大きくなり、表示不良が生じたりする場合がある。
次に、本発明で使用するポリアミック酸の構造単位の繰り返し数について述べる。ポリイミド膜の力学的特性は、分子量が大きいほど良好であるため、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の分子量も大きいことが望まれる。一方、ポリイミド前駆体膜を湿式エッチングによりパターン加工を行う場合、ポリアミック酸の分子量が大きすぎると、現像に要する時間が長くなりすぎるという問題がある。したがって、構造単位の繰り返し数の好ましい範囲は15〜1000、より好ましくは18〜400、さらに好ましくは20〜100である。なお、ポリアミック酸の分子量には一般にばらつきがあるため、ここでいう構造単位の繰り返し数の好ましい範囲とは、この範囲の中に全ポリアミック酸の構造単位の50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上が入っていることを意味する。
感光性赤色着色剤組成物に用いる樹脂の例として、アクリル系樹脂について述べる。アクリル系樹脂としては、感光性を持たせるため、少なくともアクリル系ポリマー、多官能モノマーあるいはオリゴマー、光重合開始剤を含有させた構成を有するのが一般的である。
使用できるアクリル系ポリマーとしては、特に限定はないが、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、あるいは酸無水物などがあげられる。
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nープロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、それぞれ末端にアクリロイル基、あるいはメタクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマーなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
また、側鎖にエチレン性不飽和基を付加したアクリル系ポリマーを用いると、加工の際の感度がよくなるので好ましい。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などがあげられる。このような側鎖をアクリル系(共)重合体に付加させる方法としては、アクリル系(共)重合体のカルボキシル基や水酸基などを有する場合には、これらにグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドを付加反応させる方法が一般的である。その他、イソシアネートを利用してエチレン性不飽和基を有する化合物を付加させることもできる。ここでいうグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテル、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどがあげられる。
本発明の赤色着色剤組成物におけるアクリル系樹脂の含有量は、固形分全体に対し、好ましくは、10〜50質量%、より好ましくは12〜40質量%、更に好ましくは15〜30質量%である。アクリル系樹脂の含有量が10質量%より少ないと、現像液に対する溶解性が低下し、パターニング性能に問題が生じる場合がある。アクリル系樹脂の含有量が50質量%を超えて多いと、相対的に多官能モノマー、光開始剤等、他の成分の含有量が少なくなるため、十分な感度が出ず、必要露光量が大きくなりすぎてタクトオーバーになったり、現像液への溶解性が大きすぎ、現像時の剥がれが生じたりする場合がある。
多官能モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独または混合して用いることができる。また、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの単官能モノマーも併用することができ、これらの2種以上の混合物、あるいはその他の化合物との混合物などが用いられる。これらの多官能及び単官能モノマーやこれらモノマーからなるオリゴマーを選択、組み合わせることにより、ペーストの感度や加工性の特性をコントロールすることが可能である。特に、硬度を高くするにはアクリレート化合物よりメタクリレート化合物を用いることが好ましく、また、感度を上げるためには、官能基が3以上ある化合物を用いることが好ましい。また、メラミン類、グアナミン類などもアクリル系モノマーの代わりに好ましく用いることができる。
本発明の赤色着色剤組成物における多官能モノマーの含有量は、固形分全体に対し、好ましくは、10〜50質量%、より好ましくは12〜40質量%、更に好ましくは15〜30質量%である。アクリル系樹脂の含有量が10質量%より少ないと、光に対して膜が十分に硬化せず、現像時のパターン膨潤等の形状異常が発生したりする場合がある。多官能モノマーの含有量が50質量%を超えて多いと、相対的にアクリル系樹脂、光開始剤等、他の成分の含有量が少なくなるため、十分な感度が出ず、必要露光量が大きくなりすぎてタクトオーバーになったり、現像液への溶解性が大きすぎ、現像時の剥がれが生じたりする場合がある。
光重合開始剤としては、特に限定はなく、公知のものが使用でき、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体などがあげられる。また、その他のアセトフェノン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、リン系化合物、トリアジン系化合物、あるいはチタネート等の無機系光重合開始剤なども好ましく用いることができる。また、p−ジメチルアミノ安息香酸エステルなどの増感助剤を添加すると、さらに感度を向上させることができ好ましい。また、これらの光重合開始剤は2種類以上を併用して用いることもできる。
光重合開始剤の添加量としては、特に限定はないが、着色剤組成物全固形分に対して、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%である。
本発明の赤色着色剤組成物において、塗工性、乾燥性などの観点から、樹脂成分と顔料をあわせた固形分濃度は、2〜30質量%、好ましくは3〜25質量%、さらに好ましくは5〜20質量%の範囲で使用する。
本発明の赤色着色剤組成物における溶剤としては、使用する樹脂を溶解するものを好ましく使用することができる。ポリアミック酸を溶解する溶剤としては、例えばN―メチル―2―ピロリドン、N,N―ジメチルアセトアミド、N,N―ジメチルホルムアミドなどのアミド系極性溶媒、β―プロピオラクトン、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、δ―バレロラクトン、γ―カプロラクトン、ε―カプロラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。また、アクリル系樹脂の場合には、これらに加え、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールあるいはプロピレングリコール誘導体、あるいは、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセト酢酸エチル、メチル―3―メトキシプロピオネート、3―メチル―3―メトキシブチルアセテートなどの脂肪族エステル類、あるいは、エタノール、3―メチル―3―メトキシブタノールなどの脂肪族アルコール類、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類を用いることも可能である。
また、本発明の赤色着色剤組成物に用いる溶剤としては使用樹脂を溶解する単独あるいは2種類以上の溶媒の混合溶媒を、適宜組み合わせて使用するのが好ましい。この場合は、副溶剤として、使用する樹脂に対する貧溶媒を用いることも可能である。好ましい溶媒としては、特に限定されるわけではないが、例えばN−メチルピロリドンとシクロペンタノンの混合溶媒などがあげられる。アクリル系樹脂の場合には、シクロペンタノン単独でも好ましく用いることができる。
本発明の赤色着色剤組成物には、塗布性、着色被膜の乾燥性を良好にする目的で、界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤の添加量は通常、顔料の0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%である。添加量が少なすぎると塗布性、着色被膜の乾燥性の改良の効果が小さく、多すぎると逆に塗膜物性が不良となる場合がある。界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤、ポリジメチルシロキサンなどを主骨格とするシリコーン系界面活性剤などが挙げられる。本発明では、これらに限定されずに、界面活性剤を1種または2種以上用いることができる。界面活性剤以外にも、密着性改良剤、硬化促進剤などを添加することもできる。
以下、本発明の赤色着色剤組成物を用いたカラーフィルターの製造方法を説明する。
カラーフィルターは、通常、ブラックマトリクス(BM)を形成せしめた透明基板上に、RGB3色のパターンを形成させた構造を持つ。
BMは、公知のもの、すなわち、Cr、Cr酸窒化物、あるいは、樹脂中にカーボンブラック、あるいはチタンブラック等の遮光材を分散させた樹脂BMを好ましく用いることが出来る。
G、B画素を形成させるための緑色、青色着色剤組成物としては、特に限定はなく、例えば、上記で述べた本発明の赤色着色剤組成物と同様に、樹脂、溶剤中にそれぞれ下記のような顔料を分散せしめた組成物を使用することが出来る。
緑色着色剤組成物に使用できる顔料としては、例えば、主顔料として、ピグメントグリーン(PG)7、10、36、37、38、47といった緑色顔料、副顔料として、PY12、13、14、17、20、24、83、86、93、94、95、109、110、117、125、129、137、138、139、147、148、150、153、154、155、166、173、180、185といった黄色顔料などが挙げられる。なお、上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用しても良い。
これらの中で、主顔料としては、特にPG7、及び/またはPG36を使用するのが好ましく、副顔料としては、特にPY138、及び/またはPY150を含んで調色されるのが好ましい。PG7及び/またはPG36と、PY138を組み合わせて調色する場合は、全顔料中のPG7及び/またはPG36の含有量が40〜80質量%であることが好ましく、50〜70質量%であることがより好ましい。また、PG7及び/またはPG36と、PY150を組み合わせて調色する場合は、全顔料中のPG7及び/またはPG36の含有量が50〜80質量%であることが好ましく、60〜75%であることがより好ましい。上記顔料組成比が好ましいのは、液晶表示装置としたとき、EBU規格の緑色色度に近くなり、液晶テレビとして、より好適となるからである。
青色着色剤組成物に使用できる顔料としては、例えば、主顔料として、ピグメントブルー(PB)15(15:1、15:2、15:3、15:4、15:6)、16、17、21、22、60、64、副顔料として、PV19、23、29、30、32、33、36、37、38、40、50などが挙げられる。なお、上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用しても良い。
これらの中で、主顔料としてPB15:6、副顔料としてPV23を含んで調色されるのが好ましい。PB15:6とPV23とを組み合わせて調色する場合は、全顔料中のPB15:6の比率が70〜90質量%、PV23の重量比率が10〜30質量%であることが好ましく、PB15:6の重量比率が75〜90質量%、PV23の重量比率が10〜25質量%であることがより好ましく、PB15:6の重量比率が75〜85質量%、PV23の重量比率が15〜25質量%であることがさらに好ましい。上記顔料組成比が好ましいのは、液晶表示装置としたとき、EBU規格の青色色度に近くなり、液晶テレビとして、より好適となるからである。
着色剤組成物を基板上に塗布する方法としては、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、スクリーン印刷法などで基板に塗布する方法、基板を溶液中に浸漬する方法、溶液を基板に噴霧するなどの種々の方法を用いることができる。基板としては通常、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどの透明基板や、シリコン、ガリウム−ひ素などの半導体基板などが用いられるが、特にこれらに限定されない。なお、基板上に着色剤組成物を塗布する場合、シランカップリング剤、アルミニウムキレート剤、チタニウムキレート剤などの接着助剤で基板表面を処理しておくと、着色被膜と基板の接着力を向上させることができ、必要に応じて行われる。
着色剤組成物を前記のような方法で透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、着色剤組成物の塗膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、50〜180℃の範囲で1分〜3時間行うのが好ましい。次に着色剤組成物が非感光性の場合、塗膜上にフォトレジストを塗布し、フォトレジスト被膜を形成する。感光性の場合フォトレジストは必要ないが、必要に応じて酸素遮断膜を形成しても良い。続いて該被膜上にマスクを置き、露光装置を用いて紫外線を照射する。ついでアルカリ現像液でカラーペースト塗膜のエッチングを行う。フォトレジスト被膜または酸素遮断膜がある場合には、これらの現像またはエッチングも同時に行い、続いてこれらを剥離液により除去する。
本発明に用いられるアルカリ現像液に用いるアルカリ性物質としては特に限定はしないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の1級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の2級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、コリン等の4級アンモニウム塩、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール等のアルコールアミン類、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノナン、モルホリン等の環状アミン類などの有機アルカリ類が挙げられる。現像条件、塗膜条件にもよるが、無機アルカリ類としては、水酸化カリウム、あるいは炭酸ナトリウムが好ましく、有機アルカリ類としては、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、アルコールアミン類といった水酸基含有有機アミン類が好ましく、より具体的にはジエチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、TMAHが特にエッチング膜への浸透性に優れるため、好ましい。また上記のアルカリ現像液にエタノール、γーブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の水溶性有機溶媒を適宜加えても良い。
得られた着色剤組成物の塗膜パターンは、その後、加熱処理することによってパターンニングされたカラーフィルターとなる。加熱処理は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜300℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われる。この加熱工程により、ポリイミド前駆体はポリイミドに変換され、感光アクリル樹脂は硬化が進む。
上記のようなパターンニング工程をR、G、Bなどの各色について順次行うと、液晶表示装置用カラーフィルターが作製できる。ここで各色のパターンニング順序は限定されない。本発明においては、1色または複数色の画素がパターン状に設けられたカラーフィルターにおいて、前記の画素が着色層を有し、該着色層のうち少なくとも一色を上述の赤色着色剤組成物により形成することにより、優れた色再現性、透過率、コントラスト比の液晶表示装置を得ることができる。
次に、本発明のカラーフィルターを用いて作成した液晶表示装置について説明する。本発明は、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)などのカラーフィルターを使用してカラー表示を行う液晶表示モードに適用することができる。本発明のカラーフィルターは液晶テレビとして好適な広い色再現範囲、高透過率、高コントラスト比を有している。従って、適用する液晶表示モードとしては、これらの中で、液晶テレビに広く使用されている、TN、VA、IPSの各モードが好ましい。
上記カラーフィルター上に、必要に応じて透明保護膜を形成し、さらにその上にITO膜などの透明電極を製膜する。さらにその上に液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜を設ける。次に、このカラーフィルター基板と、ITO膜などの透明電極が透明基板上に形成された透明電極基板とを、セルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させて貼りあわせる。なお、透明電極基板上には、透明電極以外に、薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置や、TFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。つぎに、偏光板を基板の外側に貼りあわせた後にICドライバー等を実装することにより液晶表示装置が完成する。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、実施例における測定方法は以下の通りである。
<波長410nmにおける透過率(%)T410、波長630nmにおける透過率(%)T630
大塚電子(株)製、顕微分光光度計“MCPD−2000”を用いて、赤色カラーフィルターの分光透過率を測定し、波長410nm、630nmの透過率(%)をそれぞれ、T410、T630とした。塗布厚みを変更して測定を行い、C光源においてx=0.650となる塗布厚みにおけるT410、T630を求めた。
<C光源においてx=0.650となる塗膜を形成したときのy、Y>
赤色カラーフィルターのC光源におけるXYZ表色系における色度座標(x、y)、及びYは、大塚電子(株)製、顕微分光光度計“MCPD−2000”を用いて測定した。バックライト光源における色度座標は、得られた赤色カラーフィルターの下に、赤、緑、青色蛍光体を用いた色温度7963Kの3波長型バックライトを置いて同じく、大塚電子(株)製、顕微分光光度計“MCPD−2000”を用いて測定した。塗布厚みを変更して測定を行い、C光源においてx=0.650となる塗布厚みにおけるy、Yを求めた。なお、C光源を用いた場合のYは、Y>15であれば良好であるとみなすことができる。
<EBU規格との乖離を示す指数D>
上記測定法により得られた、C光源においてx=0.650となる塗膜を形成したときのの該塗膜のバックライト光源における色度座標(x、y)と、EBU規格のR色度座標(x、y)=(0.64、0.33)との乖離を下記式(3)により求めた。なお、EBU規格からの乖離を示す指数Dは、0.015以内であると良好であると見なすことができる。
D={(x−x+(y−y1/2 (3)
<顔料の平均分散径>日機装(株)製粒度分布測定装置”マイクロトラックUPA−150”を使用して測定した体積頻度分布の50%粒子径を平均分散径とした。測定方法としては、対象となる赤色着色剤組成物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈した液をサンプルとし、粒子屈折率1.80、粒子密度1.00、液屈折率1.40、液粘度1.14をパラメーターとして入力して測定した。
<コントラスト比>赤色カラーフィルターを、膜面が全測定面積に入るように偏光子と検光子の間に置き、偏光子と検光子が平行の時の光線透過率(I)と、偏光子と検光子が直行したときの光線透過率(I)の比(I/I)を測定することにより測定した。偏光子と検光子には日東電工(株)製偏光フィルム”NPF−G1220DUN”を使用した。光源には熱陰極管を用いたバックライトユニットである明拓システム製”FL8A−EX/70”を使用した。間にカラーフィルター基板が挿入された2枚の偏光フィルムを透過する光の輝度を、色彩輝度計、トプコン(株)製”BM−5A”を使用して視野1°の条件で測定し、カラーフィルターのコントラスト比を求めた。なお、カラーフィルターのコントラスト比は、1300以上であると良好であると見なすことができる。
合成例1(PR254スルホン化誘導体RS−Aの合成)
PR254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製“IRGAPHOR RED”(商品名)BT−CF)60gを攪拌しながら20℃で発煙硫酸(28%SO)780g中に投入した。3時間攪拌した後、氷水1500g中に注ぎ入れた。30分間放置後、生じた懸濁液を濾過し、得られた生成物を300mlの純水で洗浄した。純水2000ml中へ前記生成物を投入し、アンモニア水溶液でpHが7以上になるまでアンモニア水溶液を添加し、中和を行い、次いで濾過を行った。得られたウェット結晶を純水で洗浄した後、80℃で乾燥した。乾燥して得られたものを純水による洗浄、濾過、乾燥という操作を10回繰り返して、69gのPR254スルホン酸基含有誘導体RS−Aを得た。
得られたPR254スルホン酸基含有誘導体RS−Aをイオン交換水に投入して超音波を5分間印加し、混合液を作製した。紫外可視分光光度計((株)島津製作所製MultiSpec−1500)を用いて、得られた混合液の吸収スペクトルの測定を室温にて行った。波長400〜800nmの範囲において最大の吸光度を示す吸収スペクトルのピークの波長は475nmであり、これを最大吸収波長とした。
合成例2(PR254スルホン化誘導体RS−Bの合成)
反応温度を25℃としたこと以外は合成例1と同様の方法でスルホン化反応を行い、70gのPR254スルホン化誘導体RS−Bを得た。合成例1と同様の方法により、PR254スルホン化誘導体RS−Bの吸収スペクトルを測定したところ、最大吸収波長は488nmであった。
合成例3(PR254スルホン化誘導体RS−Cの合成)
反応温度を30℃としたこと以外は合成例1と同様の方法でスルホン化反応を行い、68gのPR254スルホン化誘導体RS−Cを得た。合成例1と同様の方法により、PR254スルホン化誘導体RS−Cの吸収スペクトルを測定したところ、最大吸収波長は500nmであった。
合成例4(PR254スルホン化誘導体RS−Dの合成)
反応温度を40℃としたこと以外は合成例1と同様の方法でスルホン化反応を行い、67gのPR254スルホン化誘導体RS−Dを得た。合成例1と同様の方法により、PR254スルホン化誘導体RS−Dの吸収スペクトルを測定したところ、最大吸収波長は506nmであった。
合成例5(PR254スルホン化誘導体RS−Eの合成)
反応温度を50℃としたこと以外は実施例1と同様の方法でスルホン化反応を行い、68gのPR254スルホン化誘導体RS−Eを得た。合成例1と同様の方法により、吸収スペクトルを測定したところ、最大吸収波長は513nmであった。
合成例6(PR177スルホン化誘導体RS−Fの合成)
PR177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製“CHROMOPHTAL RED”(商品名)A2B)60gを攪拌しながら20℃で発煙硫酸(28%SO)780g中に投入した。3時間攪拌した後、氷水1500g中に注ぎ入れた。30分間放置後、生じた懸濁液を濾過し、得られた生成物を300mlの純水で洗浄した。純水2000ml中へ前記生成物を投入し、アンモニア水溶液でpHが7以上になるまでアンモニア水溶液を添加し、中和を行い、次いで濾過を行った。得られたウェット結晶を純水で洗浄した後、80℃で乾燥した。乾燥して得られたものを純水による洗浄、濾過、乾燥という操作を10回繰り返して、72gのPR177スルホン酸基含有誘導体RS−Fを得た。
実施例1
A.アクリルポリマー使用顔料分散液の作成
PR254 30.8g、PR177 84.0g、PY139 25.2gと分散剤として味の素ファインテクノ製”アジスパー”PB821の35%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液 120g、アクリルポリマーとして、ダイセル化学製”サイクロマー”ACA250(45%溶液) 93.33gおよびPGMEA 646.67gを混合して撹拌し、予備分散液を作製した。なお、この時の顔料組成比(重量比)は、PR254/PR177/PY139=22/60/18である。また、PR254,PR177の添加量のうちの3質量%は、上記合成例1、6で合成した、それぞれの顔料構造の芳香環にスルホン酸基を導入した誘導体RS−A、RS−Fを分散剤として添加し、これらも当該顔料として計上した。この予備分散液を、直径0.05mmのジルコニアビーズを0.5Lの容積を有するベッセル内に85体積%充填したビーズミルを使用し、周速11m/sで3時間分散し、顔料分散液を得た。
B.感光アクリルカラーペーストの作成
Aで得た分散液57.21gに、ダイセル化学製アクリルポリマー”サイクロマー”ACA250(45質量%溶液) 5.03g、日本化薬製多官能モノマー”カヤラッド”DPHA 4.67g、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製光開始剤”イルガキュア”907 2.8g、日本化薬製増感剤”カヤキュア”DETX−S 1.4gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート28.84gで希釈した溶液、計42.79gを添加混合し、さらにbic chemie社製界面活性剤“BYK361”を固形分全体の1000ppmになるよう添加し、アクリル樹脂を使用した感光性の赤色着色剤組成物を得た。
この赤色着色剤組成物の顔料組成を表1に、顔料の平均分散径を表2に示す。
Figure 2006307149
Figure 2006307149
C.赤色カラーフィルターの作成
透明ガラス基板上に上記赤色着色剤組成物をスピナーを用いて塗布し、その後熱風オーブン中90℃、10分加熱処理することにより、赤色着色剤組成物塗膜を得た。なお、赤色着色剤組成物の塗布は、スピナー回転数を調整して、パターンの色度がC光源でx=0.650になるようにした。次にネガマスクを介し所定領域を露光し、0.04%水酸化カリウム水溶液に、非イオン界面活性剤として“エマルゲン”A−60(HLB12.8、ポリオキシエチレン誘導体))(花王(株)製)を現像液総量に対して0.1質量%添加したアルカリ現像液で90秒間揺動しながら浸漬を行い現像し、続いて純水洗浄することにより、パターンニング基板を得た。得られたパターンニング基板を熱風オーブン中で220℃で30分保持することにより、アクリル系樹脂の硬化を行った。以上により赤色カラーフィルターを作成した。
この赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
実施例2
顔料分散液における顔料組成比を、PR254/PR177/PY139=30/51/19とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
実施例3
顔料分散液における顔料組成比を、PR254/PR177/PY139=37/53/10とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
実施例4
D.ポリアミック酸の合成
4、4′−ジアミノジフェニルエーテル 95.1gおよびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 6.2gをγ−ブチロラクトン 525g、N−メチル−2−ピロリドン 220gと共に仕込み、3、3′、4、4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 144.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 3.0gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、25重量%のポリアミック酸溶液(PAA−1)を得た。
E.ポリマー分散剤の合成
4、4′−ジアミノベンズアニリド 161.3g、3、3′−ジアミノジフェニルスルホン 176.7g、およびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 18.6gをγ−ブチロラクトン 2667g、N−メチル−2−ピロリドン 527gと共に仕込み、3、3′、4、4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 439.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 2.2gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、20重量%のポリアミック酸溶液(PD−1)を得た。
F.ポリアミック酸使用顔料分散液の作成
ピグメントレッドPR254 11.88g、ピグメントレッドPR177 32.40g、ピグメントイエローPY139 9.72gとポリマー分散剤(PD−1) 30gおよびγ−ブチロラクトン 916gを混合して撹拌し、予備分散液を作製した。なお、この時の顔料組成比(重量比)は、PR254/PR177/PY139=22/60/18である。また、PR254,PR177の添加量のうちの3質量%は、それぞれの顔料構造の芳香環にスルホン酸基を導入した誘導体を分散剤として添加し、これらも当該顔料として計上した。この予備分散液を、0.05mmのジルコニアビーズを0.5Lの容積を有するベッセル内に85体積%充填したビーズミルを使用し、周速11m/sで3時間分散し、顔料分散液を得た。
G.赤色着色剤組成物の作成
Cで得られた顔料分散液44.45gにポリマー溶液(PAA−1) 13.34gをγ−ブチロラクトン 22.82g、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 18.80gで希釈した溶液を添加混合し、さらにbic chemie社製界面活性剤“BYK361”を固形分全体の1000ppmになるよう添加し、ポリイミド前駆体を樹脂とする非感光性の赤色着色剤組成物を得た。表2にこの赤色着色剤組成物の平均分散径を示す。
H.赤色カラーフィルターの作成
透明ガラス基板上に赤色着色剤組成物をスピナー塗布し、続いて熱風オーブンで120℃、20分乾燥し、この上にポジ型フォトレジスト(東京応化(株)製“OFPR−800”)をスピナー塗布し、90℃で10分乾燥した。なお、赤色着色剤組成物の塗布は、スピナー回転数を調整して、パターンの色度がC光源でx=0.650になるようにした。また、ポジ型フォトレジストの塗布は、乾燥後の膜厚が1.5μmになるようにした。次に、得られた赤色着色剤組成物、ポジ型フォトレジスト積層膜をキヤノン(株)製紫外線露光機“PLA−501F”を用い、クロム製のフォトマスクを介して60mJ/cm(365nmの紫外線強度)露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.25%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリイミド前駆体の着色塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離した。さらにポリイミド前駆体の着色塗膜を270℃で30分熱処理し、ポリイミドに転換した。以上により赤色カラーフィルターを作成した。
このカラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
実施例5
顔料分散液における顔料組成比を、PR254/PR177/PY139=22/70/8とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源での色度、410nmの透過率(T410)、630nmの透過率(T630)、コントラスト比、C光源での透過率、バックライト光源での色度におけるEBU規格との乖離を表1に示す。
実施例6
顔料分散液における顔料組成比を、PR254/PR177/PY139=25/70/5とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
実施例7
顔料分散液における黄色顔料として、PY139ではなくPY83を使用した以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
実施例8
顔料分散液における黄色顔料として、PY139ではなくPY138を使用し、顔料組成比を、PR254/PR177/PY138=25/50/25とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
実施例9
顔料分散液における黄色顔料として、PY139ではなくPY150を使用した以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
実施例10
PR254構造の芳香環にスルホン酸基を導入した誘導体として、RS−Aではなく、合成例2で合成したRS−Bを使用した以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
実施例11
PR254構造の芳香環にスルホン酸基を導入した誘導体として、RS−Aではなく、合成例3で合成したRS−Cを使用した以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
実施例12
PR254構造の芳香環にスルホン酸基を導入した誘導体として、RS−Aではなく、合成例4で合成したRS−Dを使用した以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
実施例13
PR254構造の芳香環にスルホン酸基を導入した誘導体として、RS−Aではなく、合成例5で合成したRS−Eを使用した以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
比較例1
顔料分散液において、黄色顔料を使用せず、顔料組成比をPR254/PR177=65/35とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
比較例2
顔料分散液における顔料組成比を、PR254/PR177/PY139=55/35/10とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
比較例3
顔料分散液における顔料組成比を、PR254/PR177/PY139=8/90/2とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
比較例4
顔料分散液における顔料組成比を、PR254/PR177/PY139=15.9/58.2/25.9とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
比較例5
顔料分散液における顔料組成比を、PR254/PR177/PY139=37/37.7/25.3とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
比較例6
顔料分散液における顔料組成比を、PR254/PR177/PY139=22/50/28とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
比較例7
顔料分散液における顔料組成比を、PR254/PR177/PY139=76/9/15とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
比較例8
顔料分散液における顔料組成比を、PR254/PR177/PY139=60.7/15.3/24とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
比較例9
顔料分散液における顔料組成比を、PR254/PR177/PY139=50/20/30とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
比較例10
顔料分散液における顔料組成比を、PR254/PR177/PY139=32/30/38とした以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
比較例11
顔料分散液において、PR254、PR177の構造の芳香環にスルホン酸基を導入した誘導体を添加しなかった以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
比較例12
顔料分散液において、ジルコニアビーズを直径0.05mmのものではなく、直径0.3mmのものを用いた以外は、実施例1と同様に赤色着色剤組成物、赤色カラーフィルターを作成した。この赤色着色剤組成物の顔料の平均分散径、及び赤色カラーフィルターのC光源におけるy、Y、波長410nmにおける透過率(T410)、波長630nmにおける透過率(T630)、コントラスト比、バックライト光源を用いた場合の色度におけるEBU規格との乖離を示す指数Dを表2に示す。
表2に示すとおり、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、および黄色顔料を含み、これら顔料の平均分散径が100nmより小さく、かつC光源でx=0.650のとき、0.310<y<0.336であって、その透過率スペクトルが、上記式(1)および(2)を満たすことによって、EBU規格からの乖離が0.015以内のTVに適した色度を満足し、かつコントラスト比が1300以上、Yが15より大きい、高コントラスト比、高透過率のカラーフィルターを得ることができた。
比較例1は、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料の2種類を用いて調色しており、EBU規格からの乖離は小さくすることができ、またYも高いものの、コントラスト比が1000以下と極端に低くなってしまう。
比較例2は、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、および黄色顔料からなる3顔料系で調色された系であるが、C光源でx=0.650のときの透過率スペクトルのT410が4%以上の場合には、EBU規格からの乖離は小さくすることができ、Yも高いものの、コントラスト比は1000以下とやはり極端に低くなってしまう。
比較例3のように、C光源でx=0.650のときのyが0.310以下であると、コントラスト比は高いものの、EBU規格からの乖離が大きく、またYが小さく低透過率になってしまう。
比較例4〜10のように、C光源でx=0.650のとき、yが0.336以上であると、Yが大きく高透過率であるものの、EBU規格からの乖離が大きく、またコントラスト比は1000以下と極端に低くなってしまう。
また、比較例11、12のように、例え実施例1、4と同一組成の顔料比であっても、平均分散径が100nm以上であると、EBU規格からの乖離は小さくできるものの、Yは実施例1、4対比低くなり、コントラスト比は1000以下と極端に低くなってしまう。
以上のように、上記比較例のように、本発明の範囲、すなわち、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、および黄色顔料を含み、これら顔料の平均分散径が100nmより小さく、かつC光源でx=0.650のとき、0.310<y<0.336であって、その透過率スペクトルが、上記式(1)および(2)の範囲を外れた赤色着色剤組成物を用いた場合は、TVに適した広い色再現範囲、高透過率、高コントラスト比を同時に実現できるカラーフィルターを得ることができない。

Claims (8)

  1. 少なくとも樹脂、溶剤及び顔料とを含有する赤色着色剤組成物であって、顔料として、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、および黄色顔料を含み、顔料の平均分散径が20〜100nmであり、かつC光源を使用して測定したXYZ表色色度図における色度座標(x、y)において、x=0.650となる塗膜を形成したとき、0.310<y<0.336であって、その透過率スペクトルが下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とする赤色着色剤組成物。
    0.4<T410<4 (1)
    85<T630<95 (2)
    ここで、T410は波長410nmにおける透過率(%)、T630は波長630nmにおける透過率(%)である。
  2. 前記ジケトピロロピロール系顔料の全顔料に対する含有率が5〜40質量%であることを特徴とする請求項1に記載の赤色着色剤組成物。
  3. 前記アントラキノン系顔料の全顔料に対する含有率が50〜85質量%であることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の赤色着色剤組成物。
  4. 前記黄色顔料の全顔料に対する含有率が2〜25質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の赤色着色剤組成物。
  5. 前記ジケトピロロピロール系顔料がピグメントレッド254であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の赤色着色剤組成物。
  6. 前記アントラキノン系顔料がピグメントレッド177であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の赤色着色剤組成物。
  7. 前記黄色顔料がピグメントイエロー83、ピグメントイエロー139のいずれかであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の赤色着色剤組成物。
  8. 1色または複数色の画素がパターン状に設けられたカラーフィルターであって、前記の画素は着色層を有し、該着色層のうち少なくとも1色は請求項1〜7のいずれかに記載の赤色着色剤組成物により形成されたものであることを特徴とするカラーフィルター。
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