JP2006302701A - イオン生成装置、イオン注入装置および半導体製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 開口部の側面の浸食に対するイオンの引出し効率の変化が小さいイオンの生成装置を提供する。
【解決手段】 開口部30が形成されるフロント板26は、複数枚の板部材35,36が積層されて構成され、他の板部材36よりも突出している最も内側の板部材35は、開口部30における側面40が、イオンの引出し方向Aに略平行に形成されている。前記側面40は、イオンが引出されるときに浸食されるが、浸食されたとしてもイオンの引出し方向Aに略平行な形状であり、浸食前後で形状が変化しない。これによって開口部30の側面33(各面40〜42を含む)の浸食に対し、イオンの引出し効率の変化を小さく抑えることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、イオンを生成するためのイオン生成装置、ウエハにイオンを注入するイオン注入装置、ウエハにイオンを注入して半導体を製造する半導体製造装置に関する。
図10は、第1の従来の技術のイオン生成装置1を示す断面図である。図11は、イオン生成装置1を示す正面図である。図12は、図11の切断面線S12−S12から見てイオン生成装置1を示す断面図である。図10には、図11の切断面線S10−S10から見た断面を示す。ウエハにイオンを注入して半導体を製造するにあたって、イオンを生成するために、イオン生成装置1が用いられている。イオン生成装置1は、チャンバ本体2にフロント板3を装着して構成されるチャンバ4内に、ガスが供給され、チャンバ4内に設けられるフィラメント5などによって、供給されるガスをプラズマ状態に変化させ、イオンを生成する。このようして生成されるイオンは、フロント板3の開口部7から引出される。フロント板3は、単一枚の部材であり、開口部7は、良好なイオンの引出し効率が得られるように、開口面積が決定され、さらに側面8が、チャンバ4の内方から外方に向かうにつれて拡開するようにテーパ状に形成されている。
チャンバ4内で生成されるイオンが開口部7から引出されるとき、開口部7は浸食されてしまう。開口部7が浸食されると開口面積の変化などによって、イオンの引出し効率が低下してしまうので、開口部7が浸食されたフロント板3は、交換する必要がある。図10〜図12に示す構成では、フロント板3全体を交換しなければならず、無駄が多くなってランニングコストが高くなる。
図13は、第2の従来の技術のイオン生成装置1Aを示す断面図である。図14は、イオン生成装置1Aを示す正面図である。図15は、図14の切断面線S15−S15から見てイオン生成装置1Aを示す断面図である。図13には、図14の切断面線S13−S13から見た断面を示す。図10〜図12に示す第1の従来の技術のイオン生成装置1と対応する部分に同一の符号を付し、同様の構成は説明を省略する。図13〜図15に示すイオン生成装置1Aでは、フロント板3が、内側板部材10と、外側板部材11との2層構造に形成され、内側板部材10は、耐プラズマ性の高い材料によって形成されている。このような2層構造とすることによって、イオンの引出しによって浸食される内側板部材10だけを交換すればよく、無断を少なくすることができ、また内側板部材10を浸食されにくくして、ランニングコストを低く抑えることができる。
図13〜図15のフロント板3は、図10〜図12のフロント板3よりは、浸食を抑え、ランニングコストを低減することはできるが、フロント板3の側面8がテーパ形状に形成される構成では、テーパ状の側面8の浸食に伴なって、開口部7の先端部分の側面8の形状が大きく変化してしまう。開口部7の先端部分の側面8の形状が変化すると、イオンの引出し効率が大きく変化してしまうという問題を有している。
図16は、第3の従来の技術のイオン生成装置1Bの一部を拡大して示す断面図である。図10〜図15に示す第1および第2の従来の技術のイオン生成装置1,1Aと対応する部分に同一の符号を付し、同様の構成は説明を省略する。図16に示すイオン生成装置1Bのフロント板3は、たとえば特許文献1に示されており、開口の内方に向かうにつれて先細ではあるが、内側板部材10の先端部分に、フロント板3の内表面12に垂直な領域13を有している。このように先端部分に、フロント板3の内表面12に垂直な領域13を有していても、テーパ状の領域を有していると、図13〜図15の構成と同様に、浸食によって開口部7の先端部分の側面8の形状が変化し、イオンの引出し効率が大きく変化してしまうという問題を、同様に有する。
さらに他の従来の技術として、特許文献2には、フロント板が着脱交換可能に構成されるイオン生成装置が示され、特許文献3および4には、フロント板に付着した付着物を除去する手段を備えるイオン生成装置が示され、特許文献5〜7には、開口部の浸食を検出するための手段を備えるイオン生成装置が示されている。これら特許文献2〜7の装置においても、浸食によって開口部7の先端部分の側面の形状が変化し、イオンの引出し効率が大きく変化してしまうという問題を、解決することができない。
したがって本発明の目的は、開口部の側面の浸食に対するイオンの引出し効率の変化が小さいイオンの生成装置を提供することである。
本発明は、チャンバ本体と、
チャンバ本体に装着されてイオン生成空間を規定するチャンバを構成するフロント板であって、イオン生成空間で生成されるイオンを引出すための開口部が形成され、複数枚の板部材が積層されて構成され、最も内側の板部材は、他の板部材よりも突出しており、開口部における側面が、イオンの引出し方向に略平行に形成されるフロント板と、
イオン生成空間でイオンを生成するためのイオン生成手段とを含むことを特徴とするイオン生成装置である。
チャンバ本体に装着されてイオン生成空間を規定するチャンバを構成するフロント板であって、イオン生成空間で生成されるイオンを引出すための開口部が形成され、複数枚の板部材が積層されて構成され、最も内側の板部材は、他の板部材よりも突出しており、開口部における側面が、イオンの引出し方向に略平行に形成されるフロント板と、
イオン生成空間でイオンを生成するためのイオン生成手段とを含むことを特徴とするイオン生成装置である。
本発明に従えば、チャンバ本体にフロント板が装着されてチャンバが構成され、イオン生成手段によって、チャンバ内のイオン生成空間でイオンが生成され、フロント板の開口部から引出される。イオンが引出される開口部が形成されるフロント板は、複数枚の板部材が積層されて構成され、他の板部材よりも突出している最も内側の板部材は、開口部における側面が、イオンの引出し方向に略平行に形成されている。前記最も内側の板部材の開口部における側面は、イオンが引出されるときに浸食されるが、浸食されたとしてもイオンの引出し方向に略平行な形状であり、浸食前後で形状が変化しない。これによって開口部の側面の浸食に対し、イオンの引出し効率の変化を小さく抑えることができる。
また本発明は、フロント板の厚み寸法は、単一枚の板部材でフロント板を構成する場合と同様に決定されることを特徴とする。
本発明に従えば、フロント板の厚み寸法が、単一枚の板部材でフロント板を構成する場合と同様に決定されるので、イオン生成手段の配置など、イオン生成手段に関する構成を、単一枚の板部材で構成する場合と同様の構成とすることができる。
また本発明は、前記最も内側の板部材は、厚み寸法が1.0mm以上2.0mm以下であり、他の板部材に対する突出量が、0.5mm以上1.5mm以下であることを特徴とする。
本発明に従えば、最も内側の板部材の厚み寸法は、1.0mm以上2.0mm以下であり、最も内側の板部材の他の板部材に対する突出量は、0.5mm以上1.5mm以下である。このような範囲に選ぶことによって、最も内側の板部材の寿命をできるだけ長くし、かつできるだけ高い引出し効率を得ることができる。
また本発明は、チャンバ本体には、前記最も内側の板部材が嵌まり込み、その最も内側の板部材のチャンバ本体に対する位置決めをするための嵌合凹所が形成されることを特徴とする。
本発明に従えば、最も内側の板部材は、チャンバ本体の嵌合凹所に嵌まり込んで位置決めされる。これによってチャンバ本体に設けられるイオン生成手段に対して、高いイオンの引出し効率が得られる好適な位置に、確実に配置することができる。
また本発明は、前記イオン生成装置を備え、イオン生成装置の開口部からイオンを引出してウエハにイオンを注入するイオン注入装置である。
本発明に従えば、前述のような優れた効果を達成するイオン生成装置を用いて、好適なイオン注入装置を実現することができる。
また本発明は、前記イオン注入装置を備え、イオン注入装置によってウエハにイオンを注入して半導体を製造する半導体製造装置である。
本発明に従えば、前述のような優れた効果を達成するイオン生成装置を備えるイオン注入装置を用いて、半導体製造装置を実現することができる。
本発明によれば、フロント板を構成する最も内側の板部材の開口部における側面は、イオンが引出されるときの浸食の前後で形状が変化しない。したがって開口部の側面の浸食に対し、イオンの引出し効率の変化を小さく抑えることができ、引出し効率を安定して維持することができる好適なイオン生成装置を実現することができる。
また本発明によれば、イオン生成手段の配置など、イオン生成手段に関する構成を、単一枚の板部材で構成する場合と同様の構成とすることができる。
また本発明によれば、最も内側の板部材の寿命をできるだけ長くし、かつできるだけ高い引出し効率を得ることができる。
また本発明によれば、チャンバ本体に設けられるイオン生成手段に対して、高いイオンの引出し効率が得られる好適な位置に、確実に配置することができる。したがって高い引出し効率のイオン生成装置を実現することができる。
また本発明によれば、好適なイオン注入装置を実現することができる。
また本発明によれば、好適な半導体製造装置を実現することができる。
また本発明によれば、好適な半導体製造装置を実現することができる。
図1は、本発明の実施の一形態のイオン生成装置20を示す断面図である。図2は、イオン生成装置20を示す正面図である。図3は、図2の切断面線S3−S3から見てイオン生成装置20を示す断面図である。図1には、図2の切断面線S1−S1から見た断面を示す。半導体は、シリコンから成るウエハに、不純物であるボロンおよびリンなどのイオンを、予め定める拡散状態となるように注入して製造される。イオン生成装置20は、たとえばこのように半導体を製造するためにウエハに注入するイオンを供給するイオン源として用いられる装置であり、イオンを生成するもととなるイオンソースガスをプラズマ状態に変化させて、イオン化する。イオン生成装置20は、内部空間であるイオン生成空間21を規定するチャンバ22と、イオン生成空間21でイオンを生成するためのイオン生成手段23とを備えている。
アークチャンバなどとも呼ばれるチャンバ22は、チャンバ本体25と、フロント板26とを有する。チャンバ本体25は、周壁部27と、周壁部27の一端部を塞ぐ底壁部28とを有し、一方向に開放する筐体状である。フロント板26は、板状であり、チャンバ本体25の開放端部29に装着されて、チャンバ本体25を閉じる。フロント板26は、底壁部28と平行に配置される。フロント板26には、イオン生成空間21で生成されるイオンを引出すための開口部30が設けられ、開口部30には、厚み方向に貫通するスリット状の開口31が形成されている。
チャンバ22は、その形状に関して特に限定されるものではなく、円柱形状などであってもよいが、本実施の形態では、フロント板26および底壁部28が長方形板状であり、周壁部27が四角筒状である直方体形状に形成されている。また開口部30は、形状に関して特に限定されるものではなく、円形状などであってもよいが、本実施の形態では、フロント板26の開口部30における側面(以下「板側面」という場合がある)33は、フロント板26の厚み方向に垂直な断面における形状が長方形状である。
フロント板26は、複数枚の板部材、本実施の形態では2枚の板部材35,36が積層されて構成される。内側の板部材(以下「内板部材」という場合がある)35は、外側の板部材(以下「外板部材」という場合がある)36に比べて、開口30の内方へ向けて突出している。内板部材35の開口部30における側面(以下「内板側面」という場合がある)40は、厚み方向全領域にわたって一様に、フロント板26のイオン生成空間21を規定する内表面38に対して垂直に形成されている。このフロント板26の内表面38は、内板部材35におけるチャンバ22の内方側表面となる厚み方向一方側の表面から成る。外板部材35の開口部30における側面(以下「外板側面」という場合がある)41は、チャンバ22の外方に向かうにつれて、拡開するようにテーパ状に形成されている。
内板側面40と、外板側面41とは、段差を有しており、内板部材35の外板部材41よりも開口31の内方へ突出して露出する部分おけるチャンバ22の外方側表面となる厚み方向他方側の表面(以下「段差面」という場合がある)42によって、連なっている。これら内板側面40、外板側面41および段差面42によって、板側面33が構成される。板側面33は、開口31を規定する面である。このように2枚の板部材35,36によってフロント板26が構成される場合、当然、内板部材35が最も内側に配置される板部材であり、外板部材36が内板部材35を除く他の板部材となる。
本実施の形態のイオン生成装置20は、たとえばフリーマン型のイオン生成装置である。イオン生成手段24は、熱電子を発生させるためのフィラメント45と、イオンを生成するもととなるガス(以下「ドーピングガス」という場合がある)を、イオン生成空間21に導入するための導入手段46とを有する。フィラメント45は、開口31に近接して、かつこの開口31と略平行に延びるように設けられる。フィラメント45は、フロント板26および底壁部28に対して平行に配置されている。フィラメント45は、その両端が絶縁体47を介して電気的および熱的に絶縁されてチャンバ本体25に支持されている。
イオン生成手段24は、イオン生成空間21が真空に近い環境に保たれた状態で、チャンバ本体25の外側部に設けられる電磁石に通電して磁界を発生させ、直流電源によって、フィラメント45に通電するとともに、チャンバ本体25をフィラメント45よりも高い電位に保持して、フィラメント45とチャンバ本体25間に電界を発生させ、フィラメント45から放出される熱電子をチャンバ本体25で捕捉できるように構成されている。この状態で導入手段46によって導入されるドーピングガスを導入し、ドーピングガスを熱電子によってプラズマ状態に変化させ、イオンを生成する。このようにイオン生成手段24は、イオン生成空間21に電界および磁界を形成し、フィラメント45から発生する熱電子によって、ドーピングガスをプラズマ状態にしてイオンを得ることができる。
図4は、図1のセクションS4を拡大して示す断面図である。内板部材35の厚み寸法h1と外板部材36の厚み寸法h2との和であるフロント板26の厚み寸法h3は、図10〜図12に示す単一枚の板部材で構成されるフロント板の厚み寸法と同一の寸法となるように決定される。フロント板26の厚み寸法h3がこのように決定されたうえで、内板部材35の厚み寸法h1は、たとえば1.0mm以上2.0mm以下の範囲で決定され、好ましく約1.5mm程度であり、本実施の形態では1.5mmである。外板部材36の厚み寸法h2は、たとえば4.8mmであり、フロント板26の厚み寸法h3は、たとえば6.3mmである。
内板部材35の外板部材36に対する突出量Wは、たとえば0.5mm以上1.5mm以下の範囲で決定され、好ましくは約1.0mmであり、本実施の形態では1.0mmである。外板部材36のテーパ角度θは、図10〜図15に示す構成と同一であってもよく、たとえば45度である。テーパ角度θは、外板部材36の側面41が、フロント板26の内表面38に垂直な面に対して成す角度である。
フロント板26は、たとえばモリブデン(Mo)、タンタル(Ta)およびタングステン(W)など、耐熱性および耐プラズマ性の高い材料を用いて構成される。内板部材35および外板部材36は、同一の材料で形成されてもよいが、本実施の形態では、イオンに晒されにくい外板部材36は、比較的耐熱性および耐プラズマ性の低いモリブデンによって形成し、イオンに晒されやすい内板部材35は、比較的耐熱性および耐プラズマ性の高いタンタルまたはタングステンによって形成されている。
図5は、図3のセクションS5を拡大して示す断面図である。フロント板26は、チャンバ本体25の開放端部29に、底壁部28と反対側から当接する状態で、たとえば六角穴付きボルトなどによって実現されるねじ部材50を用いて、着脱可能に装着される。ねじ部材50は、外ねじが形成される軸部53と、軸部53よりも半径方向外方へ突出する頭部54とを有している。
チャンバ本体25には、開放端部29に、内ねじが形成されるねじ孔部51が、フロント板26側に開放して形成されている。チャンバ本体25側に配置される内板部材35には、軸部53が緩やかに挿通するねじ挿通孔55が、厚み方向に貫通して形成されている。チャンバ本体25と反対側に配置される外板部材36には、チャンバ本体25と反対側の部分に頭部54が収納される収納凹所57が形成され、収納凹所57から厚み方向に貫通して、軸部53が緩やかに挿通するねじ挿通孔58が形成されている。
ねじ部材50は、頭部54を収納凹所57に嵌まり込ませて外板部材36に係止され、軸部53を各ねじ挿通孔55,58に挿通させてねじ孔部51に螺着される。このようにしてフロント板26は、ねじ部材50によってチャンバ本体25に締結される。
チャンバ本体25の開放端部29には、フロント板26に対向する表面部に、嵌合部60を有する。嵌合部60には、底壁部28と反対側に開放し、かつチャンバ22の内方側に開放する嵌合凹所61が形成されている。嵌合凹所61の深さである底壁部28から開放端部29に向かう方向の寸法は、内板部材35の厚み寸法h1と略同一である。この嵌合部60は、内板部材35の周縁部が嵌合凹所61に嵌まり込むことによって、その嵌合部60の表面によって内板部材を支持し、チャンバ本体25に対して位置決めすることができる。
図6は、イオン生成装置20の支持構造を示す斜視図である。イオン生成装置が設けられる設置場所には、基台65が固定されている。基台65には、支持体66が設けられている。イオン生成装置20は、支持体66に、チャンバ本体25の底壁部28で連結される。このようにしてイオン生成装置20は設定されている。
図7は、イオン生成装置20からイオンを引出すための構造を簡略化して示す断面図である。イオン生成装置20のフロント板26に、間隔をあけて対向するように、引出し電極65が設けられる。引出し電極65は、チャンバ本体25に比べて低い電位に保持されており、チャンバ本体25と引出し電極65との間に形成される電界によって、イオン生成空間21で生成されるイオンが、フロント板26の内表面38に垂直な引出し方向Aへ、開口31を通過して引出される。イオンの引出し方向Aは、内板部材35の開口部30における側面40に略平行な方向である。このようにイオン生成装置20からイオンが引出されてイオンビームが形成される。
図8は、イオン注入装置70を簡略化して示すブロック図である。イオン注入装置70は、イオン生成装置20を備え、そのイオン生成装置20で生成されるイオンをウエハ71に注入する装置である。イオン注入装置20は、イオン生成装置20、前述の引出し電極65を含むイオンを引出すための構造に加えて、ウエハ71を保持する保持手段72およびイオンビームを注入に適した状態にするための処理手段73を有している。処理手段73は、必要なイオンビームだけを取出し、不必要なイオンビームを消滅させる質量分析器74および電磁石などを用いてイオンビームを走査させるための走査部75などを有している。イオン注入装置70は、イオン生成装置20から引出されたイオンビームを、質量分析器で必要な分だけ取出し、走査部で走査して、ウエハ71に照射し、ウエハ71の全面にわたって均一にイオンを注入することができる。
このようなイオン注入装置70を備え、さらに前処理および後処理などの他の処理を実行する装置を組合せることによって、半導体を製造する半導体製造装置を実現することができる。
以上のようなイオン生成装置20によれば、イオンが引出される開口部30が形成されるフロント板26は、複数枚の板部材35,36が積層されて構成され、外板部材36よりも突出している内板部材35は、開口部30における側面40が、内板部材35の厚み方向全体にわたって、イオン生成空間21を規定するフロント板26の内表面38に対して垂直に形成されている。イオンの引出し方向Aは、内板部材35の側面40と略平行であり、イオンの引出しに伴って内板部材35が浸食されたとしても、図9(1)に示すように、側面40の形状は変化しない。具体的には、図9(1)に仮想線で示す状態から実線で示す状態に浸食されたとしても、側面40は、厚み方向全体にわたって、フロント板26の内表面38に垂直な面のままである。これに対して、図9(2)に示すように、特許文献1に示されるような内板部材10を用いていると、図9(2)に仮想線で示す状態から実線で示す状態に浸食されると、垂直な側面部分10aが大きくなりテーパ部分10bが小さくなるので、側面の形状が大きく変化してしまう。このように変化すると、引出し効率に大きく影響を与えてしまうが、内板部材35の側面40を、全体にわたってフロント板26の内表面38に対して垂直に形成しておくことによって、イオンの引出し方向Aと略平行となり、その側面40は、イオンが引出されるときに浸食されるが、浸食されたとしてもイオンの引出し方向Aと略平行な形状であり、浸食前後で形状が変化しない。これによって開口部30の側面40の浸食に対し、イオンの引出し効率の変化を小さく抑えることができる。
またフロント板26の厚み寸法h3が、単一枚の板部材でフロント板を構成する場合と同様に決定されるので、イオン生成手段24の配置など、イオン生成手段24に関する構成を、単一枚の板部材で構成する場合と同様の構成とすることができる。たとえばフロント板26とフィラメント45との距離Dを、図10に示す場合の構成と同一にすることができる。
また内板部材35の厚み寸法h1は、1.0mm以上2.0mm以下であり、内板部材35の外板部材に対する突出量Wは、0.5mm以上1.5mm以下である。このような範囲に選ぶことによって、内板部材の寿命をできるだけ長くし、かつできるだけ高い引出し効率を得ることができる。たとえば厚み寸法h1が1.0mm未満の場合、イオンによって浸食されやすくなって寿命が短くなるとともに、加工精度にも問題が発生する。突出量Wが1.5mmを超える場合も、同様の問題が発生する。また厚み寸法h1が2.0mmを超えると、フロント板26の厚み寸法h3が先に決定される状態では外板部材36の厚み寸法h2が小さくなり、外板部材36の内板部材35に対する退避が不十分となり、外板部材36の影響を受けて、イオンの引出し効率が低下してしまう。突出量Wが0.5mm未満の場合も、同様の問題が発生する。前述のような寸法に選ぶことによって、これらの問題を解消し、好適なフロント板26を得ることができる。特に、内板部材35の厚み寸法h1を約1.5mm程度とし、内板部材35の突出量Wを約1.0mm程度とすることによって、前述の効果をより顕著に達成することができる。
また内板部材35は、チャンバ本体25の嵌合凹所61に嵌まり込んで位置決めされる。これによってチャンバ本体25に設けられるイオン生成手段24に対して、高いイオンの引出し効率が得られる好適な位置に、内板部材35を確実に配置することができる。
さらにこのようなイオン生成装置20を備えることによって、好適なイオン注入装置70および半導体製造装置を実現することができる。
イオン生成装置20からのイオンビームの引出し効率は、開口部30が外側に向かって広がるようなテーパ形状を有し、側面におけるイオンビームに略平行な部分の寸法がより小さく、テーパ状の部分の角度がより大きいほど高いといわれているが、これは一意的なものではなく、実際にはプラズマ表面の形やビーム形状に大きく左右され、またこれらは周囲条件などの非常に多くの因子に影響される。原則的に、引出されるイオンビームの量はイオン生成装置の開口部30と引出し電極65間の距離に対して最も敏感であり、むしろ稼動中に電極間距離を可変させて最大電流を得ることの方が有用であり、実際にこの方法が採られている。
本発明では、外板部材36の開口部30のテーパ角度θは、従来の技術そのままで、プラズマの浸食を最も受ける内板部材35の開口部30の側面40が、内表面38に対し垂直となり、イオンの引出し方向Aと略平行になるように形成し、さらに内板部材35の厚み寸法h1および隣接する外板部材36に対する突出量Wを適宜設定することにより、イオンビームの引出し効率の低下を抑制し、イオンによる開口部30の浸食に対し、開口部30の形状および開口面積の経時的変化を無くしまたは小さく抑え、安定したイオンビームの引出し効率が得られると共に、内板部材35の交換周期も延長でき、更なるランニングコストの削減が可能となる。
以上のように、本発明ではイオンによる開口部30の侵食を小さく抑え、開口部30の形状および開口面積におおきな変化が生じないので、開口部30がテーパ形状であるフロント板を用いる場合よりも約3倍の寿命延長が可能である。これによりさらなる交換部品費の低減が可能となる。また、開口部30の形状および開口面積に大きな変化が生じないので、従来よりも長時間安定したイオンビームが得られる。
前述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において、構成を変更することができる。たとえばフロント板は、3枚以上の板部材を積層する構成であってもよい。またイオン生成手段は、フリーマン型以外の構成であってもよい。
20 イオン生成装置
22 チャンバ
24 イオン生成手段
25 チャンバ本体
26 フロント板
30 開口部
31 開口
33 開口部の側面
35 内板部材
36 外板部材
40 内板部材の側面
41 外板部材の側面
60 嵌合部
61 嵌合凹所
70 イオン注入装置
22 チャンバ
24 イオン生成手段
25 チャンバ本体
26 フロント板
30 開口部
31 開口
33 開口部の側面
35 内板部材
36 外板部材
40 内板部材の側面
41 外板部材の側面
60 嵌合部
61 嵌合凹所
70 イオン注入装置
Claims (6)
- チャンバ本体と、
チャンバ本体に装着されてイオン生成空間を規定するチャンバを構成するフロント板であって、イオン生成空間で生成されるイオンを引出すための開口部が形成され、複数枚の板部材が積層されて構成され、最も内側の板部材は、他の板部材よりも突出しており、開口部における側面が、イオンの引出し方向に略平行に形成されるフロント板と、
イオン生成空間でイオンを生成するためのイオン生成手段とを含むことを特徴とするイオン生成装置。 - フロント板の厚み寸法は、単一枚の板部材でフロント板を構成する場合と同様に決定されることを特徴とする請求項1に記載のイオン生成装置。
- 前記最も内側の板部材は、厚み寸法が1.0mm以上2.0mm以下であり、他の板部材に対する突出量が、0.5mm以上1.5mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のイオン生成装置。
- チャンバ本体には、前記最も内側の板部材が嵌まり込み、その最も内側の板部材のチャンバ本体に対する位置決めをするための嵌合凹所が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のイオン生成装置。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載のイオン生成装置を備え、イオン生成装置の開口部からイオンを引出してウエハにイオンを注入するイオン注入装置。
- 請求項5に記載のイオン注入装置を備え、イオン注入装置によってウエハにイオンを注入して半導体を製造する半導体製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005123876A JP2006302701A (ja) | 2005-04-21 | 2005-04-21 | イオン生成装置、イオン注入装置および半導体製造装置 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2016072243A (ja) * | 2014-09-30 | 2016-05-09 | エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社 | イオン注入装置およびイオン注入方法 |
US9659749B2 (en) | 2014-10-17 | 2017-05-23 | Sumitomo Heavy Industries Ion Technology Co., Ltd. | Beam extraction slit structure and ion source |
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2005
- 2005-04-21 JP JP2005123876A patent/JP2006302701A/ja active Pending
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JP2016072243A (ja) * | 2014-09-30 | 2016-05-09 | エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社 | イオン注入装置およびイオン注入方法 |
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