JP2006300578A - 静電容量型圧力センサ及びその真空室の真空度評価方法 - Google Patents

静電容量型圧力センサ及びその真空室の真空度評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】精度や信頼性がより高い、絶対圧測定用の静電容量型圧力センサ及びその真空室の真空度を評価する評価方法を提供する。
【解決手段】 ダイヤフラム3の圧力により変位する可動電極6と、該可動電極6に対向して設けられた固定電極5とを真空室内4に備え、該可動電極6と該固定電極5との間の静電容量を計測することにより、ダイヤフラム内の圧力を計測する静電容量型圧力センサにおいて、前記真空室内4に外部に端子が引き出される一対の真空度計測用端子7c、7dを設けた。真空度計測用端子7c、7dの一方に高電圧を印可し、他方の電極から放電電流を計測することにより、真空室4内の真空度を計測して真空度を評価する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シリコン基板を用いた静電容量型圧力センサ及びその真空室の真空度評価方法に関し、特に絶対圧測定用の静電容量型圧力セン及びその真空室の真空度評価方法に関する。
従来、シリコンを用いたダイヤフラム式圧力センサは、シリコンの支持基板の一部をエッチングして真空室の一部を形成すると共に感圧ダイヤフラムとしている。このダイヤフラムの感圧部に向い合う部分に電極を有するガラス基板を設けて、ダイヤフラムとガラス基板側の電極との間にコンデンサを形成し、圧力変化に伴う静電容量の変化を検出するものが開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2等)
特許文献1の静電容量型圧力センサでは、シリコンの支持基板とガラス基板が接合されてダイヤフラムの真空室が形成されている。このダイヤフラムは、単結晶シリコンの支持基板を両面からエッチングして、底面が平坦な凹部を形成して薄肉部により形成され、このダイヤフラムの上面側には、可動電極が形成されて構成される。
シリコンの支持基板と接合するガラス基板は、円錐台形の貫通穴部が設けられ、その下面(支持基板側)には、スパッタ等により固定電極が形成されている。チップ外側の貫通穴部は、支持基板の高濃度配線と電気的に接続している。また、チップ中心側の貫通穴部は、前記固定電極と電気的に接続している。
支持基板は、接着剤等で実装基板と接着され、実装基板のダイヤフラムと相対する箇所には、圧力導入孔が設けられている。
特許文献2では、シリコンの支持基板はN型シリコン基板に、高濃度のボロンを拡散したもので、導電性を持たせている。
そして、ガラス基板と支持基板は、接合されて真空室が形成され、支持基板のガラス基板と接合する面に電極を形成し、この上方にガラス基板の貫通穴部を配置する。チップ中心側のガラス貫通穴部は、固定電極の金属薄膜により蓋をされている。円錐状のガラス貫通穴部にボンディングワイヤを挿入し、導電性樹脂で固定して電気的接続を行っている。
放電と気圧の関係については、パッシェンの法則というものがある。この法則は、火花放電で生じる電圧が、気体の圧力Pと電極の間隔dとの積の関数となるというものである。ここで、温度を一定とし、電極間隔が数10cm以下であれば、火花放電電圧Vsは、Vs=F(P×d)となる。ここでFは比例定数である。
特開平8−247877号公報 特公平5−85857号公報
上記のような絶対圧測定用の静電容量型圧力センサにおいては、ガラス基板とシリコンの支持基板を高真空中で接合し、真空室を形成するが、接合装置のチャンバー内の汚れや、ターボ分子ポンプ等の真空ポンプの状態により、真空度にある程度のばらつきが発生する。また、陽極接合によりガラス基板とシリコンの支持基板を接合する際に、ガラス基板に含まれる成分が印加される高電界により分離し、微量の酸素が発生して真空室内に残り、真空度にばらつきを発生させる。この真空度のばらつきは、静電容量型圧力センサの特性精度を低下させる重大な原因となっている。しかも、真空室の中の真空度は、高真空というだけで、実際の真空度を知ることができなかった。
また、ガラス基板とシリコンの支持基板の接合面に、異物、傷、汚れなどがあった場合、両者を陽極接合すると、その接合界面にボイド(空隙)が発生する。このボイドが外部と貫通していると、真空室内の真空度が低下し、所定の絶対圧を保証できなくなる。また、接合強度が極めて小さい場合、接合が不安定なため、製造組み立て時や製品化された後の市場の環境において、機械的ストレスや熱的ストレスが加わり、接合部分が少しづつ剥離し、その真空室中の真空度を確保することができていない場合があるという問題があった。
本発明は上記の課題を考慮してなされたもので、精度や信頼性がより高い、絶対圧測定ができる静電容量型圧力センサ及びその真空室の真空度を評価する評価方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本願請求項1記載の発明に係る静電容量型圧力センサは、ダイヤフラムの圧力により変位する可動電極と、該可動電極に対向して設けられた固定電極とを真空室内に備え、該可動電極と該固定電極との間の静電容量を計測することにより、ダイヤフラム内の圧力を計測する静電容量型圧力センサにおいて、前記真空室内に一対の真空度計測用電極を設け、前記真空室外に同真空度計測用電極に接続された真空度計測用端子を備えたことを特徴とする。
本願請求項2記載の発明に係る静電容量型圧力センサは、請求項1記載の発明において、前記可動電極と固定電極は平板状に形成され、前記真空度計測用電極は、一方は可動電極の配置された面に、他方は固定電極の配置された面に設けたことを特徴とする。
本願請求項3記載の発明に係る静電容量型圧力センサは、請求項2記載の発明において、前記真空度計測用電極は、前記可動電極と前記固定電極に対して電気的に絶縁された状態で、互いに対向するように配置され、前記可動電極と前記固定電極は、それぞれ前記真空度計測用電極に対して対称となるように設けたことを特徴とする。
本願請求項4記載の発明に係る静電容量型圧力センサは、請求項2記載の発明において、前記真空度計測用電極は、前記可動電極と前記固定電極上に一体として設けたことを特徴とする。
本願請求項5記載の発明に係る静電容量型圧力センサは、請求項4記載の発明において、前記真空度計測用電極の少なくとも一方は、鋭角状の先端部を有し、前記可動電極もしくは前記固定電極に設けられた凹部に配置したことを特徴とする。
本願請求項6記載の発明に係る静電容量型圧力センサの真空室内真空度の評価方法は、請求項1ないし5記載の発明の静電容量型圧力センサにおける前記真空度計測用電極間に電圧を印加し、放電電流を計測することにより、真空室内の真空度を評価することを特徴とする。
本願請求項1記載に係る発明の静電容量型圧力センサによれば、真空室内の外部にボンディングワイヤにより導通される端子が引き出される一対の真空度計測用電極を設けている。このように構成することにより、ボンディングワイヤに高電圧を印加することができ、固定電極と可動電極の間の真空室内で放電をさせることが可能となる。そして、放電したときの放電電圧を計測することにより、真空室内の真空度を知ることができる。
したがって、真空室内の真空度が低い静電容量型圧力センサのチップを選別することができ、所定の特性精度に到達しない、又は完全にリークした不良品を市場に出荷する危険を回避できる。また、真空室内の真空度は、陽極接合のバッチ毎に確認できるため、接合工程の条件を安定化させることができ、静電容量型圧力センサのチップの収率が向上するという効果もある。さらに、市場で静電容量型圧力センサの不良が発生した場合、真空室内の気密性不良かどうかを故障解析することができる。
請求項2記載の発明に係る静電容量型圧力センサは、前記可動電極と固定電極は平板上に形成され、前記真空度計測用電極は、一方が可動電極の配された面に、他方が固定電極の配された面に設けられるようにしている。従って、請求項1記載の静電容量型圧力センサの効果に加えて、容易な半導体プロセスにより形成できる。また、可動電極や固定電極への放電による影響や電流集中による金属薄膜電極へのダメージを小さくすことができる。
請求項3記載の発明に係る静電容量型圧力センサは、請求項2記載の静電容量型圧力センサにおいて、前記真空度計測用電極は、前記可動電極と前記固定電極に対して電気的に絶縁された状態で、互いに対向するように配され、前記可動電極と前記固定電極は、それぞれ前記真空度計測用電極に対して対称となるように設けられている。そのため、各真空度計測用電極から、支持基板の真空室内の壁面へは充分距離があり、放電することがない。また、外部からダイヤフラムに圧力が印加され、ダイヤフラムが撓んだ時も、各真空度計測用電極は、どちらもチップ中央に配置しているから略平行な面に保たれる。したがって、真空室内の真空度評価時にも、真空度計測用電極間で、安定した放電が可能である。
請求項4記載の発明に係る静電容量型圧力センサは、請求項2記載の静電容量型圧力センサにおいて、前記真空度計測用電極は、前記可動電極と固定電極上に一体として設けた。このように構成することにより、真空度計測用電極と可動電極及び固定電極とを共通して用いていることになるので、製造が容易である。
請求項5記載の発明に係る静電容量型圧力センサは、請求項4記載の静電容量型圧力センサにおいて、前記真空度計測用電極の少なくとも一方は、鋭角状の先端部を有し、可動電極もしくは固定電極に設けられた凹部に配されるようにした。このように構成すると、請求項4記載の効果に加えて、より可動電極と固定電極間の静電容量に与える影響がない状態で大きめの真空度計測用電極を設けることができ、放電させても損傷が殆どないことから、可動電極及び固定電極のそのままの対向面に突起して設けることと比較すると、真空度計測が可能な回数を増加させることができる。
請求項6記載の発明に係る真空室内の真空度を評価方法は、請求項1乃至5記載の静電容量型圧力センサを用いて、静電容量型圧力センサの真空度計測用電極間に電圧を印加し、放電電流を計測することにより、真空室内の真空度を評価する。このように評価するので、精度良く真空室内の真空度を評価することができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の静電容量型圧力センサの一実施形態を示す断面図である。
シリコンの支持基板1とガラス基板2が接合されてダイヤフラム3の真空室4が形成され、ガラス基板2に固定電極5が形成され、ダイヤフラム3の上面側には可動電極6が形成されている。また、真空度測定用の電極に導通する真空度計測用端子7c、7dと、可動電極6、固定電極5に接続する静電容量計測用端子7a、7bとが、ガラス基板2に形成されている。本実施形態では、一方の真空度測定用電極20は固定電極5で兼ねられ、他方の真空度測定用電極21は可動電極6で兼ねられ、固定電極5及び可動電極6はそれぞれ静電容量計測用及び真空度計測用の各端子7a〜7dに接続している。
以下、各部について詳細に説明する。支持基板1は、接着剤等で実装基板8と接着され、実装基板8のダイヤフラム3と相対する箇所には、圧力導入孔9が設けられている。支持基板1は単結晶のシリコンからなり、高濃度の不純物拡散層で形成され、両面からエッチングされ、底面が平坦な凹部が形成されて薄肉部が設けられてダイヤフラム3が形成されると共に、真空室4の空間の一部が形成される。真空室4の絶対圧力は、接合工程の真空条件により決まり、通常、10のマイナス5乗〜10のマイナス6乗Torrの範囲である。
ガラス基板2は、例えば、パイレックスガラス(コーニング社の登録商標)などが用いられ、その下面(支持基板1側)にはスパッタ等により固定電極5が形成されている。ガラス基板2に円錐台形の所要数の貫通穴部7を設け、各貫通穴部7の周面は導電体の金属メタライズ面18が形成され、底面は金属メタライズ面18により蓋のように覆われている。そして、各貫通穴部7の中に電気配線であるボンディングワイヤ12、又は、ボンディングワイヤ13が挿入され、導電性の樹脂や半田等16で電気的に接続されて、各貫通穴部7にそれぞれ各端子7a〜7dが形成されている。
固定電極5及び可動電極6は電流容量の小さい金属薄膜電極にしたり、金、銅、クロム等が用いられ、融点が低いアルミニウム等の飛散しやすい金属も用いることができる。
貫通穴部7に形成された端子7a、7dの金属メタライズ面18は、支持基板1の高濃度配線10と熱拡散により電気的に接続し、ダイヤフラム中心側(真空室4の上部)の貫通穴部7に形成した端子7b、7cは、固定電極5と電気的に接続している。
そして、支持基板1の高濃度配線10と電気的に接続した一方の静電容量計測用端子7aは、ボンディングワイヤ12により静電容量測定用外部端子14に電気的に接続している。支持基板1の高濃度配線10と接続して設けられた他方の真空度計測用端子7dは、ボンディングワイヤ13により真空度測定装置26の端子15に接続している。また、固定電極5に接続して設けられた一方の静電容量計測用端子7bはボンディングワイヤ12により静電容量測定用外部端子14に電気的に接続している。固定電極5に接続して設けられた他方の真空度計測用端子7cはボンディングワイヤ13により真空度測定装置26の端子15に接続している。
ボンディングワイヤ12は静電容量を測定する電流を流すものであるので、金線、銅線、アルミニウム線などの導電性の、例えば直径20〜50μmの細い線でよい。ボンディングワイヤ13は放電電圧を印加できるように、少なくとも一方はボンディングワイヤ12よりは太い線を用いる。ボンディングワイヤ13は数100Vの高電圧を印加し、真空室4内で放電させたとき、数10〜数100mAの放電電流が非常に微小な数ms以下流れるので、それに耐える太さにしている。 ボンディングワイヤ13により真空度測定装置26の端子15に接続している。
真空度測定装置26は、真空度計測用電極20、21に印可する高圧電源23の電圧を計測する電圧計25と、放電したときの放電電流を計測する電流計24とを備えている。ここで、高圧電源23の極性はどちらでもよく、固定電極5を正極に可動電極6を負極にしてもよいし、その逆でもよい。電流計24では、真空室4内で放電が起こったとき、その放電電流が計測される。電圧計25は、高圧電源23の電圧を計測するものである。高圧電源23の電圧を変化させ、放電したときの放電電流を、電流計24で計測すれば、その電圧と電流の関係により、真空室4内の真空度が正確に評価できる。ここでは、放電電流が流れたときの電圧によって、上述のパッシェンの法則により真空度を評価するものである。
本実施形態によれば、固定電極5と真空度測定用電極20及び可動電極6と真空度測定用電極21とは共通の電極を用いているので、構造が簡単で低コストで提供できる。
なお、本実施形態においては、固定電極5と真空度測定用電極20及び可動電極6と真空度測定用電極21とを共通の電極にするのみでなく、静電容量測定用外部端子14と真空度測定装置26の端子15とに接続する静電容量計測用端子7a、7b及び真空度計測用端子7c、7dは、それぞれ共通としてもよい。ただし、この場合には、真空度測定装置26の端子15に接続する真空度計測用端子7c、7dに用いる少なくとも一方のボンディングワイヤ13は放電電圧を印加できるように、細い方のものに比べて数倍から数10倍、例えば、50〜500μmとしなければならないことは勿論である。
図2は本発明の静電容量型圧力センサの他の実施形態を示す断面図である。本実施形態の静電容量型圧力センサは、固定電極5と可動電極6は平板上に形成され、固定電極5とは別に真空度計測用電極20を設け、可動電極6とは別に真空度計測用電極21を形成している点で上記実施形態と相違している。本実施形態において、上記実施形態と同一の作用をなす部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態の静電容量型圧力センサは、ガラス基板2に固定電極5と固定電極5側の真空度計測用電極20とを設け、支持基板1に可動電極6と可動電極6側の真空度計測用電極21とを設けている。真空度測定用の電極に導通するための真空度計測用端子7cを、固定電極5側の真空度計測用電極20に導通させて設けている。また、可動電極6側の真空度計測用電極21に導通させて金属メタライズ配線11をダイヤフラム3の真空室4から外部に導いて形成して、真空度計測用端子7dに導通させている。静電容量計測用端子7aの金属メタライズ面18は支持基板1の高濃度配線10と接続しており、静電容量計測用端子7bは固定電極5と電気的に接続している。
この場合、可動電極6及び固定電極5には、放電による影響や高電圧を印加させた時に発生する放電電流の影響などが及び難くなって、電流集中による金属薄膜電極へのダメージを小さくすることができる。したがって、前記可動電極6と固定電極5の金属薄膜電極は、例えば、電流容量が小さい薄い金属薄膜層にしたり、融点が低いアルミ等の飛散しやすい金属を用いたりすることができる。また、製造面でも、前記可動電極6と固定電極5とそれぞれ同一面に前記真空度計測用電極21、20を配置する簡単な構成となるため、特に難しい半導体プロセス技術を必要とせずコストを低減できる。
図3は本発明の静電容量型圧力センサのさらに他の実施形態を示す断面図である。本実施形態の静電容量型圧力センサは、固定電極5とは別に固定電極5側の真空度計測用電極20を設け、可動電極6とは別に可動電極6側の真空度計測用電極21を形成し、さらに真空度計測用電極21、21は固定電極5側と可動電極6側共にそれぞれ固定電極5又は可動電極6と絶縁された状態で、互いに対向するように配置されている点で上記実施形態と相違している。本実施形態において、上記実施形態と同一の作用をなす部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図3に示すように、可動電極6と固定電極5とは、それぞれ可動電極6側の真空度計測用電極21と固定電極5側の真空度計測用電極20とに対して対称となるように設けられている。つまり、固定電極5側の真空度計測用電極20は周囲を絶縁された状態で固定電極5に囲まれた状態であり、可動電極6側の真空度計測用電極21は周囲を絶縁された状態で可動電極6に囲まれた状態である。そして、ダイヤフラム3の略中央に位置する可動電極6側の真空度計測用電極21と、ガラス基板2の固定電極5に周囲を絶縁された状態で囲まれた固定電極5側の真空度計測用電極20とが、真空室4を挟んで相対する位置に配置されている。
そのため、固定電極5側の真空度計測用電極20及び可動電極6側の真空度計測用電極21から、支持基板1の真空室4内周壁の斜面19へは、充分に距離があって放電することがない。また、外部からダイヤフラム3に圧力が印加され、ダイヤフラム3が撓んだ時も、固定電極5側の真空度計測用電極20と可動電極6側の真空度計測用電極21とは、どちらもチップ中央に配置しているので略平行な面に保たれる。したがって、真空室4内の真空度評価時にも、真空度計測用電極20、21間で安定した放電が可能となる。
図4は本発明の静電容量型圧力センサのさらに他の実施形態を示す断面図である。本実施形態の静電容量型圧力センサは、固定電極5側の真空度計測用電極20と可動電極6側の真空度計測用電極21とが、それぞれ固定電極5及び可動電極6上に突起状に設けられている点で上記実施形態と相違している。本実施形態において、上記実施形態と同一の作用をなす部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態における固定電極5側の真空度計測用電極20及び可動電極6側の真空度計測用電極21は、可動電極6と固定電極5との間の静電容量に影響を与えないようにするため、微小な大きさで且つ高さも低く抑える必要がある。真空室4内の真空度評価時に、両真空度計測用電極20、21間に放電させるが、繰り返して放電させると次第にこれらの真空度計測用電極20、21が飛散して削れて行く。但し、静電容量型圧力センサを出荷する直前の検査工程においては、放電回数が数回以下と少ない場合には充分適用できる。製造面でも、微細な突起を可動電極6と固定電極5それぞれの表面上部に設けるだけなので、構造が簡単で製作も容易である。
図5は本発明の静電容量型圧力センサのさらに他の実施形態を示す断面図である。本実施形態の静電容量型圧力センサは、固定電極5側の真空度計測用電極20と可動電極6側の真空度計測用電極21のうち少なくとも一方(本実施形態では両方)のものは、鋭角状の先端部を有し、可動電極6もしくは固定電極5に設けられた凹部内に配置されるようにしている点で、上記実施形態と相違している。本実施形態において、上記実施形態と同一の作用をなす部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
前記真空度計測用電極20、21の鋭角状の先端部を、可動電極6と固定電極5の金属薄膜の高さ以下にしておけば、可動電極6と固定電極5との間の静電容量に殆ど影響を与えることがなく、上記実施形態の効果に加えて、大きめの真空度計測用電極20、21を設けることができる。そのため、真空度計測が可能な回数を増加させることができる。
ここで、可動電極6と固定電極5との間の静電容量は、これら電極の面積に比例し、電極間の距離に反比例する。それ故、両真空度計測用電極20、21の鋭角上の先端部を、可動電極6と固定電極5の金属薄膜の高さ以下にすることにより、両真空度計測用電極20、21の鋭角状の先端部間の距離が、可動電極6と固定電極5との間の距離よりも大きくなるので、静電容量型圧力センサの特性に殆ど影響しなくなる。両真空度計測用電極20、21の部分が、僅かに特性に影響を与える可能性があるが、可動電極6と固定電極5の面積より充分に小さければ問題はない。
図6は本発明の静電容量型圧力センサのさらに他の実施形態を示す断面図である。本実施形態の静電容量型圧力センサは、可動電極6を金属薄膜で形成しないで、ボロンなどの不純物を拡散して高電導性層を形成することにより同可動電極6を形成している点で、上記実施形態と相違している。本実施形態において、上記実施形態と同一の作用をなす部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この実施形態の静電容量型圧力センサでは、貫通穴部7に形成された静電容量計測用端子7a及び真空度計測用端子7dの金属メタライズ面18に接触する部分に、それぞれ高濃度配線110(10)を形成している。これにより、ボンディングワイヤ12及びボンディングワイヤ13によって、効果的に静電容量測定用外部端子14及び真空度測定用端子15にそれぞれ導通することができる。
本発明の静電容量型圧力センサによるに真空室内の真空度を評価する方法を、図1により説明する。図1に示すように、静電容量型圧力センサの真空室の真空度の評価方法は、上記したような本発明に係る静電容量型圧力センサに真空度測定計26を接続して行う。すなわち、静電容量型圧力センサの真空度計測用電極20、21間に電圧を印加し、放電電流を計測することにより、真空室4内の真空度を評価する。
真空度測定装置26の端子15に高圧電源23から高電圧を印加して固定電極5と可動電極6との間(真空度計測用電極20、21間)で放電し、そのときの放電電流を電流計24で計測する。このように計測器を配置構成して、放電電流が流れたときの電圧値から評価するようにしたので、精度良く真空室4内の真空度を評価することができる。ここで、高圧電源23の極性はどちらでもよく、固定電極5を正極に可動電極6を負極にしても良いし、その逆でも良い。
電流計24には、真空室4内で放電が起こったとき、その放電電流が計測される。真空室4内が真空でなくて空気が流入し、大気圧とほぼ同圧であれば、数100Vの高電圧を印加しても決して放電は起こらない。
このことは、真空室4の中が高真空(約10のマイナス5乗〜約10のマイナス6乗Torr)である場合は、電子の平均自由行程が極めて大きいので、パッシェンの法則は適用できなくなり、いわゆる真空放電が観測できるようになる。高真空中での火花放電は、気体の性質や圧力には関係しなくなり、実用装置における不平等電界の場合は、1mmの電極間隔で30000〜50000kVといわれている。したがって、数μm〜約20μm程度の電極間隔の場合は、数100Vの直流電圧を印加すれば、確実に真空室4内で放電できる。また、平等電界における火花放電Vsと電極間隔dとの関係は、Vs=k√(d)である。ここでkは定数である。
本発明によれば、真空室内の真空度が低い静電容量型圧力センサのチップは、選別することができ、所定の特性精度に到達しない、又は完全にリーク(気密性がなくなった)した不良品を市場に出荷する危険を回避できる。また、真空室内の真空度は、陽極接合のバッチ毎に確認できるため、接合工程の条件を安定化させることができ、静電容量型圧力センサのチップの収率が向上するという効果もある。さらに、市場で静電容量型圧力センサの不良が発生した場合、真空室内の気密性不良かどうかを故障解析することができる。なお、本発明の静電容量型圧力センサは、基準圧力を真空室の圧力(真空圧)とし、これに対する外部空気の圧力を検出するもので、高度計、気圧計、水圧計、ガス圧計などに適用できる。
本発明の静電容量型圧力センサにより真空度を評価する方法を実施するための概略構成を示すブロック図である。 本発明の静電容量型圧力センサの他の実施形態を示す断面図である。 本発明の静電容量型圧力センサのさらに他の実施形態を示す図で、同図(a)は断面図、同図(b)はその製造工程の一部での電極の形成状態を示す斜視図である。 本発明の静電容量型圧力センサのさらに他の実施形態を示す断面図である。 本発明の静電容量型圧力センサのさらに他の実施形態を示す断面図である。 本発明の静電容量型圧力センサのさらに他の実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1 シリコンの支持基板
2 ガラス基板
3 ダイヤフラム
4 真空室
5 固定電極
6 可動電極
7 貫通穴
7a、7b 静電容量計測用端子
7c、7d 真空度計測用端子
8 実装基板
9 圧力導入孔
10 高濃度配線
11 金属メタライズ配線
12,13 ボンディングワイヤ
20,21 真空度計測用電極

Claims (6)

  1. ダイヤフラムの圧力により変位する可動電極と、該可動電極に対向して設けられた固定電極とを真空室内に備え、該可動電極と該固定電極との間の静電容量を計測することにより、ダイヤフラム内の圧力を計測する静電容量型圧力センサにおいて、前記真空室内に一対の真空度計測用電極を設け、前記真空室外に同真空度計測用電極に接続された真空度計測用端子を備えたことを特徴とする静電容量型圧力センサ。
  2. 請求項1記載の静電容量型圧力センサにおいて、前記可動電極と前記固定電極は平板状に形成され、前記真空度計測用電極は、一方は前記可動電極の配置された面に、他方は前記固定電極の配置された面に設けたことを特徴とする静電容量型圧力センサ。
  3. 請求項2記載の静電容量型圧力センサにおいて、前記真空度計測用電極は、前記可動電極と前記固定電極に対して電気的に絶縁された状態で、互いに対向するように配置され、前記可動電極と前記固定電極は、それぞれ前記真空度計測用電極に対して対称となるように設けたことを特徴とする静電容量型圧力センサ。
  4. 請求項2記載の静電容量型圧力センサにおいて、前記真空度計測用電極は、前記可動電極と前記固定電極上に一体として設けたことを特徴とする静電容量型圧力センサ。
  5. 請求項4記載の静電容量型圧力センサにおいて、前記真空度計測用電極の少なくとも一方は、鋭角状の先端部を有し、前記可動電極もしくは前記固定電極に設けられた凹部に配置したことを特徴とする静電容量型圧力センサ。
  6. 請求項1ないし5記載の静電容量型圧力センサの前記真空度計測用電極間に電圧を印加し、前記真空室内で放電させて放電電流を計測することにより、真空室内の真空度を評価することを特徴とする静電容量型圧力センサの真空室の真空度評価方法。
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