JP2006297481A - 鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ制御方法 - Google Patents

鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ量の制御を効率的に行なう。
【解決手段】粗圧延機出側におけるシートバーの板厚を変更するか、粗圧延機出側におけるシートバー加熱手段の昇温量を変更することにより個々のスラブに対して適切なスケールオフ量となるよう制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼帯の熱間圧延において、表面欠陥除去を目的として表面スケール発生量を制御するスケールオフ(酸化ロス)制御方法に関する。
鋼帯の熱間圧延においては、素材であるスラブの加熱炉における加熱やその後の熱間圧延工程における冷却水の噴射等によって被圧延材の表面に酸化鉄層(以下「スケール」という)が生成するので、各種のデスケーリング装置によって絶えずこれを除去する必要がある。スケールとして剥離、除去される材料はそれだけ歩留りを低下させるものではあるが、反面、スラブの最表層ないしは表層近傍に存在した介在物や連鋳材における鋳造欠陥等の表面欠陥部分がスケールと共に除去され、製品の品質が向上するという利点も有している。したがって、自動車外板用等の表面性状の要求が厳しい鋼種などでは、意図的にスケールの発生量を増大させて、表面欠陥部分を除去することも行なわれており、このようなスケール発生量制御を一般に「スケールオフ制御」と称する。
鋼帯の熱間圧延の一般的な工程を図2に示す。スラブを加熱炉に装入して雰囲気ガスのもとで加熱し、所定温度に加熱されたスラブを抽出して複数基の粗圧延機で粗圧延する。粗圧延された中間製品をシートバーと称する。これを保温ないしは加熱するためのバーヒータ等のバー加熱手段が設けられているのが普通である。ついで複数スタンドの仕上圧延機で所定製品寸法までの仕上げ圧延を行い、出側のホットランテーブルを通過中に冷却水を落下あるいは噴射して冷却し、コイルに巻き取る。
以上の工程の内で、スケール生成量の最も多いのはいうまでもなく加熱炉であるが、ついで粗圧延においてもかなりのスケール生成がある。
特許文献1には、スケール生成量を必要最小限として表面疵の少ない製品を得るため、加熱炉におけるスラブの抽出温度ならびに炉内の雰囲気ガスの水蒸気濃度を所定範囲に制御することが記載されている。
すなわち、加熱炉において、鋼材の表面温度が1100℃以下で、かつ炉内雰囲気ガスの水蒸気濃度が5%以上であると、スケール生成の支配的因子は鋼材の表面温度と雰囲気ガスの酸素濃度であり、水蒸気濃度変動は無視できるのでスケール生成量の制御がしやすいとの知見により、加熱炉抽出時のスケール生成量の適正範囲をあらかじめ定め、炉内雰囲気の酸素濃度を因子とするモデルおよび鋼材の表面温度を因子とするモデルを構築し、スケール生成速度を求め時間積分することによりスケール生成量の予測値を求め、炉内の酸素濃度分布、温度分布、加熱時間のうち少なくとも1項目を調整して前記の適正範囲となるように制御するとしている。
特開平11−217629号公報
従来の技術においては、スケール生成量を加熱炉におけるスラブの抽出温度等によって制御している。しかし、加熱炉には同時に多数のスラブが装入されていて順次これが抽出されるので、スラブ毎に最適な抽出温度設定とすることはできない。すなわち、品質確保のためには要求されるスケールオフ量が多いスラブに合わせて炉内全体の温度を上げざるを得ないが、そうするとスケールオフ量が少なくてもよいスラブにとってはスケールオフ量が過大となり、歩留りが悪化し、また燃料原単位も高くなるなど、無駄が多い。さらには、加熱炉全体の熱容量が大きいために、炉内温度の変更には時間がかかる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、スケールオフ量の制御を個々のスラブに対して精度よく行い、無駄のないスケールオフ制御を実現することを目的とするものである。
請求項1に記載の本発明は、鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ量を、粗圧延における水平圧延回数およびデスケーリング回数を変更することにより制御することを特徴とする鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ制御方法である。
請求項2に記載の本発明は、鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ量を、粗圧延出側におけるシートバーの板厚を変更することにより制御することを特徴とする鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ制御方法である。
請求項3に記載の本発明は、鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ量を、粗圧延出側におけるバー加熱手段の昇温量を変更することにより制御することを特徴とする鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ制御方法である。
請求項4に記載の本発明は、鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ量を、同時に加熱炉に装入される複数のスラブに対し、加熱炉抽出温度を一定とするとともに、スラブ毎に要求されるスケールオフ量に応じて粗圧延における水平圧延回数およびデスケーリング回数、粗圧延出側におけるシートバーの板厚、バー加熱手段の昇温量のうち少なくとも1つを変更することにより制御することを特徴とする鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ制御方法である。
請求項5に記載の本発明は、鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ量を、同時に加熱炉に装入される複数のスラブに対し、要求されるスケールオフ量が最も少ないスラブに合わせて加熱炉抽出温度を設定するとともに、他のスラブのスケールオフ量は粗圧延における水平圧延回数およびデスケーリング回数、粗圧延出側におけるシートバーの板厚、バー加熱手段の昇温量のうち少なくとも1つを変更することにより制御することを特徴とする鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ制御方法である。
本発明によれば、スケールオフ量の制御を個々の製品を対象に精度よく行なうことができるので、高品質化と高歩留りの両立が達成でき、またエネルギーの無駄がなく、加熱原単位が低減されるという効果を奏する。
図1の実線は本発明のスケールオフ制御の構成を示したもので、破線は従来の技術である。本発明では、従来から行なわれている加熱炉抽出温度の変更に加えて、新たな3通りのスケールオフ制御方法を提供している。
第1の方法は、鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ量を、粗圧延における水平圧延回数およびデスケーリング回数を変更することにより制御することである。正逆転両方向に圧延できるリバース圧延機能を有する粗圧延機の水平圧延回数(圧延パス数)およびそれに付帯して行うデスケーリングの回数を増減することにより、同一のスラブ厚から同一のシートバー厚を得る場合であっても、粗圧延段階でのスケールオフ量の増減が可能である。これらの回数が多いほどスケールオフ量は増加し、少ないほどスケールオフ量は減少する。
第2の方法は、鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ量を、粗圧延出側におけるシートバーの板厚を変更することにより制御することである。
スケールオフ量を増加させる場合、粗圧延出側のシートバーの板厚、すなわち粗圧延段階における目標板厚を薄くすればその分シートバーの長さが長くなり、表面積が増加する。これにより粗圧延段階におけるスケールオフ量が増加する。逆に粗圧延出側におけるシートバーの板厚を厚くすれば、粗圧延段階におけるスケールオフ量は減少する。
第3の方法は、鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ量を、粗圧延出側におけるシートバー加熱手段の昇温量を変更することにより制御することである。粗圧延機出側には、仕上圧延前のシートバーを保温、あるいは加熱するバーヒータなどのバー加熱手段が備えられている。バー加熱手段の昇温量を大きくすればスケールオフ量が増加し、小さくすればスケールオフ量は減少する。
そして、個々のスラブに対して以上3とおりのうち少なくとも一つを実施することにより、製品毎に高精度なスケールオフ量の制御を実現することができる。
たとえば、同時に加熱炉に装入される複数のスラブのうち、要求されるスケールオフ量が最も少ないスラブに合わせて加熱炉抽出温度を設定し、すべてのスラブに対して一定温度で制御する。そして、同時に加熱炉に装入される複数のスラブのうち、要求されるスケールオフ量が多く、前記の加熱炉温度ではスケールオフ量が不足するスラブに対しては、スケールオフ量が増加するように、前記第1ないし第3の方法のうち少なくとも1つを実施する。
なお、加熱炉抽出温度の設定は、加熱炉の燃料原単位の点からは要求されるスケールオフ量が最も少ないスラブに合わせることが望ましいが、本発明はそれに限定されるものではない。たとえば、要求されるスケールオフ量が最も多いスラブに対して前記第1ないし第3の方法のうち少なくとも1つを実施してもなおスケールオフ量が不足する場合には、加熱炉抽出温度を上昇させる必要がある。これによりスケールオフ量が過大になるスラブに対しては、スケールオフ量が減少するように、前記第1ないし第3の方法のうち少なくとも1つを実施すればよい。
このように、加熱炉の抽出温度設定と、前記第1ないし第3の方法とを組み合わせることにより、加熱炉の燃料原単位を低減することができるとともに、製品毎に高精度のスケールオフ制御が実現でき、高品質化と高歩留り化を達成することができる。
なお、以上の実施形態では、加熱炉抽出温度を一定とし、または要求されるスケールオフ量の最も少ないスラブに合わせて加熱炉抽出温度を設定しているが、これに加えて、加熱時間(在炉時間)や加熱炉内の酸素濃度等、スケール生成量に影響する他の加熱炉条件を一定値に設定し、上記第1ないし第3の方法を実施してスケールオフ制御を行うことが好ましい。
要求されるスケールオフ量が0.85%のスラブに引き続き0.95%のスラブを熱間圧延する圧延スケジュールにおいて、加熱炉抽出温度一定のもと、粗圧延における水平圧延回数およびデスケーリング回数を先の材料の6回から次の材料は8回に変更して粗圧延を行った。ここでスケールオフ量を%で示しているのは、加熱炉装入前のスラブ重量に対するスケールオフ量の重量比である(以下同じ)。また、スラブ厚は235mmである(以下も同じ)。
そして加熱炉装入前のスラブ重量と熱間圧延後のコイル重量とからそれぞれのスケールオフ量を求めたところ、先の材料のスケールオフ量は0.87%、粗圧延における水平圧延回数およびデスケーリング回数を8回に増加させた次の材料では0.99%となり、目標スケールオフ量に応じた制御が実現できた。
要求されるスケールオフ量が0.95%のスラブに引き続き1.00%のスラブを熱間圧延する圧延スケジュールにおいて、加熱炉抽出温度一定のもと、粗圧延出側におけるシートバーの板厚を先の材料の37mmから次の材料は35mmに変更して粗圧延を行なった。なお、この程度の板厚変更では、仕上圧延温度低下などの不具合は生じない。
その結果、それぞれのスケールオフ量を前記実施例1と同様に求めたところ、先の材料のスケールオフ量は0.95%、シートバー板厚を35mmと薄くした次の材料では1.02%となり、目標スケールオフ量に応じた制御が実現できた。
要求されるスケールオフ量が0.85%の一般材の圧延サイクル中に、要求されるスケールオフ量が1.00%の表面性状厳格材が混入している熱間圧延の圧延スケジュールにおいて、加熱炉抽出温度一定のもと、バー加熱装置によるシートバー昇温量を、一般材の+10℃から+25℃に変更した。
その結果、それぞれのスケールオフ量を前記実施例1と同様に求めたところ、一般材の0.87%に対して1.01%となり、目標スケールオフ量に応じた制御が実現できた。
熱間圧延ラインにおいて、同時に加熱炉に装入される複数のスラブに対し、要求されるスケールオフ量が最も少ないスラブに合わせて加熱炉抽出温度を設定し、他のスラブのスケールオフ量は前記第1ないし第3の方法のうち少なくとも1つを実施することにより制御する本発明のスケールオフ制御を1カ月間継続して行なった。
その結果、スケールオフ制御を加熱炉温度のみで行なっていた従来と比較して加熱炉燃料原単位を約4%削減することができ、また歩留りは0.12%向上し、本発明の効果が確認できた。
本発明のスケールオフ制御の構成を示す構成図である。 本発明に係わる鋼帯の熱間圧延の工程図である。

Claims (5)

  1. 鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ量を、粗圧延における水平圧延回数およびデスケーリング回数を変更することにより制御することを特徴とする鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ制御方法。
  2. 鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ量を、粗圧延出側におけるシートバーの板厚を変更することにより制御することを特徴とする鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ制御方法。
  3. 鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ量を、粗圧延出側におけるバー加熱手段の昇温量を変更することにより制御することを特徴とする鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ制御方法。
  4. 鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ量を、同時に加熱炉に装入される複数のスラブに対し、加熱炉抽出温度を一定とするとともに、スラブ毎に要求されるスケールオフ量に応じて粗圧延における水平圧延回数およびデスケーリング回数、粗圧延出側におけるシートバーの板厚、バー加熱手段の昇温量のうち少なくとも1つを変更することにより制御することを特徴とする鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ制御方法。
  5. 鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ量を、同時に加熱炉に装入される複数のスラブに対し、要求されるスケールオフ量が最も少ないスラブに合わせて加熱炉抽出温度を設定するとともに、他のスラブのスケールオフ量は粗圧延における水平圧延回数およびデスケーリング回数、粗圧延出側におけるシートバーの板厚、バー加熱手段の昇温量のうち少なくとも1つを変更することにより制御することを特徴とする鋼帯の熱間圧延におけるスケールオフ制御方法。
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