JP2006297449A - 歯形転造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 歯形ローラの劣化を的確に診断できる歯形転造装置及び歯形転造方法を提供する。
【解決手段】 歯形ローラ21を回転するワークWに押し当てて転造成型を行う歯形転造装置において、歯形ローラ21を支持するローラホルダ23に加速度センサ11を取り付け、コントローラ10はこの加速度センサ11の検出信号を基に振動周波数−音圧強度特性を解析する振動パターン解析手段と、この振動周波数−音圧強度特性に応じて歯形ローラ21に生じる劣化を判定する劣化判定手段とを備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、歯形ローラを回転するワークに押し当てて歯形の転造成型を行う歯形転造装置及び歯形転造方法の改良に関するものである。
この種の歯形転造装置は、歯形ローラは磨耗、チッピング、欠損等の劣化を生じることがあり、劣化した歯形ローラを使用してワークWの加工が続けられると、歯形ローラの劣化部がワークWに転写されて、ワークWに不良品が発生する。
この対策として、従来、例えば特許文献1、特許文献2では、ドリル等の工具を回転可能に支持する部材にAEセンサを取り付け、このAEセンサの検出信号を基に工具の破損を検知するようになっている。
AEセンサは、材料内に変形や割れ等が発生するときに生じるアコースティック・エミッション(acoustic emission,AE)の弾性波を圧電素子を介して検出するものである。
特開昭60−263646号公報 実開昭61−205749号公報
しかしながら、歯形転造装置において、AEセンサを介して歯形ローラの劣化を診断すると、歯形ローラの大きな欠損しか検知できない。
歯形ローラの磨耗、チッピングの劣化に伴って生じるアコースティック・エミッションの変化は、歯形ローラがワークに押し当てられて転造成型を行うときに生じる成型音に埋没し、検知できないという問題点があった。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、歯形ローラの劣化を的確に診断できる歯形転造装置及び歯形転造方法を提供することを目的とする。
本発明は、歯形ローラを回転するワークに押し当てて転造成型を行う歯形転造装置において、歯形ローラを支持するローラホルダに加速度センサを取り付け、この加速度センサの検出信号を基に振動周波数−音圧強度特性(振動周波数−加速度強度特性と表現することもできるが、以下では、振動周波数−音圧強度特性という)を解析する振動パターン解析手段と、この振動周波数−音圧強度特性に応じて歯形ローラに生じる劣化を判定する劣化判定手段とを備える。
また、本発明は、歯形ローラを回転するワークに押し当てて転造成型を行う歯形転造方法において、歯形ローラを支持するローラホルダに加速度センサを取り付け、この加速度センサの検出信号を基に振動周波数−音圧強度特性を解析し、この振動周波数−音圧強度特性に応じて前記歯形ローラに生じる劣化を判定する。
本発明によると、加速度センサの検出信号を基に振動周波数−音圧強度特性を解析することにより、歯形ローラの磨耗、チッピング、欠損の劣化に伴って生じる振動周波数−音圧強度特性の変化を、歯形ローラがワークに押し当てられて転造成型を行うときに生じる成型音の振動周波数−音圧強度特性と比較して検知でき、歯形ローラに生じる磨耗、チッピング、欠損等の劣化を的確に診断できる。
以下、本発明の歯形転造装置を一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
図1は本実施形態の歯車製作の各工程を説明する工程図である。図1において、本実施形態の歯形製造方法は、まず、工程(A)に示すように、厚肉の鋼板を円形に打ち抜き加工することによりブランク材Wを製作する。
次いで、工程(B)に示すように、ブランク材Wの外周部および図示しない取付ボス部等を除いてその他の部分の板厚をプレスよりなる段差成形機によりコイニング加工を施して薄肉化させる。
さらに、工程(C)に示すように、スピニング加工機よりなる増肉成形機により外周部を押し潰して外周部に歯形転造可能に増肉してリム部W1を形成し、歯車転造が可能な歯車素材を得る。
そして、工程(D)において、ローラダイスを工程(C)で得た歯車素材のリム部W1の外周に押し当て両者を同期回転させることにより歯車素材のリム部W1外周に転造歯形W2を創成する。
さらに、工程(E)により、歯車のチャンファ面等の機械加工が実施されて歯車として完成させるようにしている。このチャンファ面の加工は、転造歯車が常時噛合状態で使用されるのでなく、必要時にのみスライドされて他の歯車と噛合う場合、例えば、エンジンのスタータ歯車(ドライブプレート)等に使用される場合に付加される。
図2は本実施形態の前記工程(D)にて用いられる歯形転造装置の概略構成図である。この歯形転造装置は、ワークWを挟圧保持して回転させ、ワークWと同期回転しつつワークWの外周部に歯形ローラ21の加工歯22を押付けてワークWの外周部に転造歯W2を創成する歯形ローラユニット20と、歯形ローラユニット20と対向した位置においてワークW側にバックアップローラ31を転接させるバックアップユニット30と、これらワークW、歯形ローラユニット20、バックアップユニット30の作動を制御するコントローラ10とを備える。
歯形ローラユニット20は、歯形ローラ21がローラホルダ23を介してワークWの回転軸と平行な軸上で回転するよう保持され、ローラホルダ23がワークWの回転軸と直交方向に移動する。
バックアップユニット30は、バックアップローラ31がバックアップローラホルダ33を介してワークWの回転軸と平行な軸上で回転するよう保持され、バックアップローラホルダ33がワークWの回転軸と直交方向に移動する。
図2の(a)は加工前の状態を示し、歯形ローラ21とバックアップローラ31が共にワークWから離れている。
図2の(b)は加工時の状態を示し、歯形ローラ21がローラホルダ23を介して矢印で示すようにワークWに近づけるとともに、バックアップローラ31がローラホルダ33を介して矢印で示すようにワークWに近づけて転接させ、歯形ローラ21の加工歯22をワークWの外周部に押し当ててワークWの外周部を塑性変形させてワークWの外周部に転造歯W2を創成する。歯形ローラ21とバックアップローラ31がある一定のストローク量だけ動作することで、転造歯W2の成形加工が完了する。
ところで、歯形ローラ21の加工歯22に磨耗、チッピング、欠損等の劣化を生じることがあり、劣化した歯形ローラ21を使用してワークWの加工が続けられると、歯形ローラ21の劣化部がワークWに転写されて、ワークWに不良品が発生する。
これに対処して、本発明は、歯形ローラ21を支持するローラホルダ23に加速度センサ11を取り付け、コントローラ10はこの加速度センサ11の検出信号を基に振動周波数−音圧強度特性を解析する振動パターン解析手段と、この振動周波数−音圧強度特性に応じて歯形ローラ21に生じた磨耗、チッピング、欠損等の劣化を判定する劣化判定手段とを備える。
そして、コントローラ10は、歯形ローラ21に劣化が生じたことを判定すると、歯形転造装置の設備の作動を停止するとともに、図示しないディスプレイに磨耗、チッピング、欠損等の不具合種別を表示してオペレータに知らせる。
加速度センサ10は歯形ローラ21を支持するローラホルダ23に取り付けられ、ローラホルダ23の振動加速度を検出し、この検出信号をコントローラ10に出力する。
コントローラ10で実行されるこの制御動作を図4のフローチャートにしたがって説明する。
ステップS1にて、加速度センサ10の検出信号を入力する。
続くステップS2に進んで、加速度センサ10の検出信号を増幅する。
続くステップS3に進んで、加速度センサ10の検出信号を基に、ローラホルダ23の振動周波数と音圧強度の関数として振動周波数−音圧強度特性を解析する信号処理を行う。この解析には、一般に知られている高速フーリエ変換(FFT処理と称される)が用いられる。
続くステップS4に進んで、解析されたこの振動周波数−音圧強度特性に応じて歯形ローラ21に生じた磨耗、チッピング、欠損等の劣化パターンを照合する。
続くステップS5に進んで、照合された劣化パターンが有るか否かを判定する。
このステップS5にて、照合された劣化パターンが有ると判定された場合、ステップS6に進んで、歯形転造装置の設備の作動を停止するとともに、図示しないディスプレイに磨耗、チッピング、欠損等の不具合種別を表示してオペレータに知らせる。
一方、このステップS5にて、照合された劣化パターンが無いと判定された場合、ステップS1に戻り、歯形転造装置の設備の作動を継続する。
図4〜図7は、加速度センサ10の検出信号を基に解析されたローラホルダ23の振動周波数−音圧強度特性を示す。図4〜図7のグラフのパラメータは、横軸が歯形ローラ21の振動周波数であり、縦軸が音圧強度である。
図4は歯形ローラ21が正常な状態における成型音の振動周波数−音圧強度特性示す。この正常時における音圧強度は所定の正常振動域内で増減し、この音圧強度が増減する振幅は小さい。
図5は歯形ローラ21が摩耗した状態における振動周波数−音圧強度特性示す。この摩耗発生時における音圧強度は正常振動域より大きい領域で増減し、この音圧強度が増減する振幅は小さい。
コントローラ10は、振動周波数−音圧強度特性に応じて音圧強度が増減する領域が正常振動域の値より例えば2倍大きい限界線を越えたか否かを判定し、音圧強度が限界線を越えた領域で増減すると判定された場合、歯形ローラ21に磨耗が生じた劣化パターンと診断する。
図6は歯形ローラ21にチッピングが生じた状態における振動周波数−音圧強度特性示す。このチッピング発生時における音圧強度は正常振動域の値より大幅に増大しないが、音圧強度がピーク値を取る間隔が所定値より小さくなるとともに、この音圧強度が増減する振幅(トップ値とボトム値の差)が所定値より大きくなる。
コントローラ10は、振動周波数−音圧強度特性に応じて音圧強度がピーク値を取る間隔が所定値より小さく、かつ音圧強度が増減する振幅が所定値より大きいか否かを判定する。音圧強度がピーク値を取る間隔が所定値より小さく、かつ音圧強度が増減する振幅が所定値より大きいと判定された場合、歯形ローラ21にチッピングが生じた劣化パターンと診断する。音圧強度がピーク値を取る間隔が所定値以上に大きいか、または音圧強度が増減する振幅が所定値より小さいと判定された場合、歯形ローラ21にチッピングが生じていないと診断する。
図7は歯形ローラ21に欠損が生じた状態における振動周波数−音圧強度特性示す。この欠損発生時における音圧強度は正常振動域の値より大幅に増大しないが、この音圧強度がピーク値を取る間隔が回転数に応じた所定値より小さくなるとともに、この音圧強度が増減する振幅(トップ値とボトム値の差)が所定値より大きくなる。
コントローラ10は、この振動周波数−音圧強度特性に応じて音圧強度がピーク値を取る間隔が回転数に応じた所定値より大きく、かつ音圧強度が増減する振幅が所定値より大きいか否かを判定する。音圧強度がピーク値を取る間隔が所定値より大きく、かつ音圧強度が増減する振幅が所定値より大きいと判定された場合、歯形ローラ21に欠損が生じた劣化パターンと診断する。音圧強度がピーク値を取る間隔が所定値以下と判定された場合、または音圧強度が増減する振幅が所定値より小さいと判定された場合、歯形ローラ21に欠損が生じていないと診断する。
以上のように構成されて、次に作用及び効果について説明する。
コントローラ10はこの加速度センサ11の検出信号を基に振動周波数−音圧強度特性を解析することにより、歯形ローラ21の磨耗、チッピング、欠損の劣化に伴って生じる振動周波数−音圧強度特性の変化を、歯形ローラ21がワークWに押し当てられて転造成型を行うときに生じる成型音の振動周波数−音圧強度特性と比較して検知でき、歯形ローラ21の劣化を的確に診断できる。
コントローラ10は、歯形ローラ21に劣化が生じたことを判定すると、歯形転造装置の設備の作動を停止することにより、劣化した歯形ローラ21を使用してワークWの加工が続けられることが回避され、ワークWに不良品が発生しないようにすることができる。これにより、ワークWの内部欠損を品質確認する工数を削減して、生産効率を高めることができる。
コントローラ10は、振動周波数−音圧強度特性に応じて音圧強度が増減する領域が所定の限界線を越えたと判定された場合に、歯形ローラ21に磨耗が生じたと診断することにより、歯形ローラ21に磨耗が生じたことを的確に診断することができる。
コントローラ10は、振動周波数−音圧強度特性に応じて音圧強度がピーク値を取る間隔が所定値より小さく、かつ音圧強度が増減する振幅が所定値より大きいと判定された場合に、歯形ローラ21にチッピングが生じとを診断することにより、歯形ローラ21にチッピングが生じたことを的確に診断することができる。
コントローラ10は、この振動周波数−音圧強度特性に応じて音圧強度がピーク値を取る間隔が回転数に応じた所定値より大きく、かつ音圧強度が増減する振幅が所定値より大きいと判定された場合に、歯形ローラ21に欠損が生じたを診断することにより、歯形ローラ21に欠損が生じたことを的確に診断することができる。
こうして、コントローラ10はディスプレイに磨耗、チッピング、欠損等の不具合種別を表示してオペレータに知らせることができる。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
本発明は、歯形転造装置及び歯形転造方法は、エンジンのスタータ歯車(ドライブプレート)をはじめ、種々の歯車部材を製造する技術に適用できる。
本発明の実施形態を示す歯車製作の各工程を説明する工程図。 同じく転造装置の概略構成図。 同じく歯車の転造不良を診断する制御内容を示すフロチャート。 同じく正常な状態における振動周波数−音圧強度特性示す特性図。 同じく摩耗発生時における振動周波数−音圧強度特性示す特性図。 同じくチッピング発生時における振動周波数−音圧強度特性示す特性図。 同じく欠損発生時における振動周波数−音圧強度特性示す特性図。
符号の説明
10 コントローラ
11 加速度センサ
21 歯形ローラ
23 ローラホルダ

Claims (5)

  1. 歯形ローラを回転するワークに押し当てて転造成型を行う歯形転造装置において、
    前記歯形ローラを支持するローラホルダに加速度センサを取り付け、
    この加速度センサの検出信号を基に振動周波数−音圧強度特性を解析する振動パターン解析手段と、
    この振動周波数−音圧強度特性に応じて前記歯形ローラに生じる劣化を判定する劣化判定手段とを備えたことを特徴とする歯形転造装置。
  2. 振動周波数−音圧強度特性に応じて音圧強度が増減する領域が所定の限界線を越えたと判定された場合に、前記歯形ローラに磨耗が生じたと診断することを特徴とする請求項1に記載の歯形転造装置。
  3. 振動周波数−音圧強度特性に応じて音圧強度がピーク値を取る間隔が所定値より小さく、かつ音圧強度が増減する振幅が所定値より大きいと判定された場合に、前記歯形ローラにチッピングが生じたとを診断することを特徴とする請求項1または2に記載の歯形転造装置。
  4. 振動周波数−音圧強度特性に応じて音圧強度がピーク値を取る間隔が回転数に応じた所定値より大きく、かつ音圧強度が増減する振幅が所定値より大きいと判定された場合に、前記歯形ローラに欠損が生じたを診断することことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の歯形転造装置。
  5. 歯形ローラを回転するワークに押し当てて転造成型を行う歯形転造方法において、
    前記歯形ローラを支持するローラホルダに加速度センサを取り付け、
    この加速度センサの検出信号を基に振動周波数−音圧強度特性を解析し、
    この振動周波数−音圧強度特性に応じて前記歯形ローラに生じる劣化を判定することを特徴とする歯形転造方法。
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