JP2006293102A - 受講者の自信の有無判定による理解度チェックを伴う教育システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 理解度チェックの問題を出題(ミニテスト)した場合に、受講者がその問題について自信を持って答えたかどうかを認識し、自信の無い箇所の分野の練習問題、または、より基礎的な理解をチェックする問題を再び解答させることを行うものである。
【選択図】 図1
Description
自信の有無は受講者が発話した音声の音圧及び/又は基本周波数を求めて判断しているので、他の感情を認識する手段と異なり迅速に判断することができる。自信の度合いについても同様である。
また、受講者が発話した音声の音圧及び/又は基本周波数だけでなく、これをクラスタ分析した後に自信の有無を判断しているので、より精度高く判断することができる。自信の度合いについても同様である。
また、クラスタ分析の複数の手法のうちウォード法を用いることで分類感度を高くして、適切な分析を行うことができる。
e-learningシステムは教育システムの一つであり、教育システムとしては他にCBT(Computer Base Training)やCAI(Computer Aided Instruction)等がある。
各実施形態では、主にシステムについて説明するが、所謂当業者であれば明らかな通り、本発明はコンピュータで使用可能なプログラム及び方法としても実施できる。また、本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、または、ソフトウェア及びハードウェアの実施形態で実施可能である。プログラムは、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM、光記憶装置または磁気記憶装置等の任意のコンピュータ可読媒体に記録できる。さらに、プログラムはネットワークを介した他のコンピュータに記録することができる。
本発明の第1の実施形態に係るシステムについて、図に基づき説明する。
本実施形態に係るシステムは、e-learning受講時に、解答番号を発声してもらい、その音声を解析し、解答に自信が有る無いかを認識し、もし有るならばそのまま次の問題へ、自信が無ければ自信が無い問題と同じ分野の練習問題を配信する構成である。図1は、このときの処理のフローチャートである。
音声認識の主な手法として、HMM(Hidden Markov Model)を用いた認識がある。HMMは、音声認識の極だった特徴である、時間的なパターンの伸縮がある時系列(動的)パターンの認識において威力を発揮する。しかし、本発明では、問題番号のような短い単語の認識であり、また、音韻まで判別する必要がないため、時系列パターンに関してはあまり意味が無い。よって、単純に基本周波数、音圧の平均的な値から、自信の有無を認識する手法を用いた。このようにHMMを用いず、基本周波数及び音圧から自信の有無を認識する手法を用いることで、迅速な認識が可能となる。
感情認識処理のアルゴリズムを以下に示す。
1.得られた音声データに対し以下の処理をする。
(a)基本周波数を計測する。
(b)音圧を計測する。
2.得られたパラメータから基本周波数成分の低い部分を切り取る。
3.パラメータに対しクラスター分析を行う。
4.最も大きいクラスタの重心を求める。
5.求めた重心と標準値のクラスターの重心との角度を求める。
6.角度が閾値以内ならば自信有り。そうでなければ自信無しの結果を出力する。
今回、基本周波数、音圧を計測するにあたって、オーバーラップ分析を行った。オーバーラップ分析は、音声認識処理で一般的に用いられている手法である。音声認識処理では、音声信号から一定長のフレームを切り出して分析する。音声信号は非定常信号であるが、100分の1秒程度の短時間区間ではいちおう定常的であると考えることができるので、分析フレームを5msないし10ms程度ずつずらし、オーバーラップさせながら分析を行う。図5には分析フレームを一部重複させながら移動する形のオーバーラップ分析の説明図を示す。
人の声には(厳密には、ここでは声帯の振動を音源として生ずる有声音)ほぼ相似的な
波の繰り返しのパターンがみられる。この繰り返しの周波数を一般に基本周波数と呼ぶ。基本周波数は、聴覚の上では、音の高さ、すなわち、いわゆるピッチに対応し、また基本周波数の緩やかな変化は、いわゆる抑揚となっている。したがって、基本周波数、ピッチの違いは、男女声の音色を区別したり、あるいは個人個人の音色の違いや、声の高さを聞き分けたりするために利用できる。自信の有無を認識するにあたり、本発明では、基本周波数を求める方法として、波形データの自己相関関数のピークを求める方法を用いた。自己相関関数は音声データ(xt|t=0,1,・・・,N-1)について、式1に定義される。
感情を認識するにあたって、声の大きさは重要な特徴の一つである。感情を高ぶらせたときは大きな声、沈んでいるときは小さな声など、比較的表出しやすい特徴である。一般的に音圧として使われている単位はdB(デシベル)であるが、これは音圧ではなく音圧レベルの単位である。音圧と音圧レベルの間は、以下の式2の関係がある。
P1;その音の音圧(Pa(パスカル) ; N/m2)
P0;基準音圧(=2×10-5N/m2)
P0はというのは人間が聞くことの出来る最小の音圧である。P1は、音声波形の振幅を自乗し、加算し、平均を求め、その平方根で表す。
xi;音声波形配列
一般的に、音圧は桁数が大きくなりすぎるので、音圧レベルが用いられている。今回、自信の有無を認識するための音声では、それほど音圧の桁数は大きくならないため、音圧レベルを用いず、そのまま音圧を用いることとした。
クラスター分析とは、人や物など多数の対象について、互いに似ているものをまとめて、集落(クラスター)をつくり、対象を分類しようという方法を総称したものである。似ている対象を順次融合しながら、まとまりの強さ(稠密度)を見て、クラスターを決定する階層的な方法と、仮のクラスターを前もって入力して、所属するメンバーを探したり、初期クラスターではカバーできない新しいクラスターを作ったりする非階層的な方法がある。
次に、本発明で用いた階層的クラスター分析について解説する。
いま個の対象(個体でも変量でもよい)O1,O2,・・・,Onがあり、対象とOiとOjの間の類似の度合を表わす数値dij(1,2,・・・,n)が得られているとする。ただし、dijは対称的(dij=dji)であるとする。クラスター分析を行う場合には、解析に用いるデータを正規化する場合としない場合では結果がかなり異なることがある。解析に使用する変数が異なった単位で表されているときには、正規化した方がよいかもしれない。しかし、ある変数が決定的な性質を持つ場合には、正規化することは他の変数と同格に取り扱ってしまうことになるので正規化しない方がよいかもしれない。今回の発明では、解析に用いるデータの単位が違うので、平均0、分散1の正規化を行った。
これは、正規化前の値をx1,x2,・・・,xn、正規化後の値をz1,z2,・・・,zn、母平均をμ、母分散をσ2とすると、式4のようになる。
1.1つずつの対象を構成単位とするn個のクラスターから出発する。
2.クラスター間の非類似度行列(dij)を参照して、もっとも類似性の高い2つのクラスターを融合して、1つのクラスターをつくる。
3.クラスター数が1になっていれば終了し、そうでなければ次のステップにすすむ。
3.前記2.で新しくつくられたクラスターと、他のクラスターとの非類似度を計算して、非類似度行列(dij)を更新し、前記2.に戻る。
第1段階
クラスター間のユークリッド平方距離dij2を計算する。
ユークリッド平方距離の最も近いクラスターを併合して、1つのクラスターとする。クラスターaとクラスターbが併合されてクラスターcが作られるとする。dab、dxa、dxbを、クラスターaとクラスターbが併合される前の各クラスター間の距離としたとき、併合後のクラスターcとクラスターx(x≠a,x≠b)との距離は式6、式7で表される。
2個のクラスターが1個のクラスターにまとめられたので,総クラスター数が1個減る。クラスター数が1になるまで第2段階を繰返す。
一般的には、ウォード法でクラスター分析は行なわる。重心法、メディアン法、ウォード法はユークリッド平方距離で行なうことを前提としている。各手法の分類感度は、クラスターの融合によって空間が拡散される場合に高く、濃縮される場合に低くなる。各手法の特徴を表2に示す。
nの個体について、m個の変数xi1,xi2,・・・,xim(i=1,2,・・・,n)が得られているときに、個体間の非類似度を表わす量として、ユークリッド平方距離を用いると、個体iとjとの非類似度dijは、以下の式8により定義される。
本発明で作成した感情認識プログラムについて解説する。このプログラムでは、LINE入力部分に、坂野秀樹氏作成の、Cで書かれたマルチプラットホーム対応の音声信号処理用ライブラリ、spLibsを使用させて頂いた。プログラムのフローチャートを図9に示す。
本プログラムは、設定ファイル”AudioConfig.ini”内に設定を記述している。プログラム起動時に、このファイルを読み込み、解析を行う。ファイル内の記述の解説を以下に示す。
・voice#vol#min:LINE INから入力されたバイナリの平均振幅がこの値以上のとき、プログラムはバイナリを音声と認識する。小さすぎると、ブレスなどのノイズを拾いやすくなり、大きすぎると、認識感度が悪くなる。
・samp#rate:音声入力に使用するサンプリング周波数。単位はHz。
・buffer#size:音声入力に使用するバッファーのサイズ。この値が短すぎると音飛びが起こり、長すぎると遅延が発生する。通常は8192程度以上を推奨。
・samp#bit:音声入力に使用するbits/sampleの値。16bit、24bit、32bitがサポートされている。
・silent#space:音声認識部で許容する無声時間の長さ。音韻の間に無声時間が発生することがあるので、ある程度の値を設定していないと、単語の途中で音声認識が打ち切られる場合がある。大きすぎると、音声データの無声部分が長くなり、認識に影響する可能性がある。
・bin#buf#size:感情認識部で使用される音声バイナリのバッファーサイズ。この値が小さいと、データがオーバーフローを起こす可能性がある。
・frame#rate:オーバーラップ分析時のフレーム周期。必ず1以上の値を入れること。
・pitch#min:音声解析時の最小基本周波数。
・power#max:音声解析時の最大音圧。
・power#min:音声解析時の最小音圧。
・pitch#weight:音声解析時の基本周波数への重み。
・power#weight:音声解析時の音圧への重み。
・pitch#lowpass:音声解析時の基本周波数へのローパスフィルタの設定。pitch#minに、この値を乗じたものが、ローパスフィルタの値となる。
・cluster#threshold#nr:正規化を行わなかった場合の、クラスター分析に用いる閾値。0〜1の範囲に設定する。
・max#angle:感情解析時の最大角度。この値と、下のmin#angleの間が、自信有りの場合の認識範囲となる。
・min#angle:感情解析時の最小角度。この値と、上のmax#angleの間が、自信有りの場合の認識範囲となる。
・standard#data#x:感情解析時における、基本周波数の基準値。最大のクラスタと同じ大きさのクラスタがあった場合、この値と下のstandard#data#yに近いクラスタを選ぶ。
・standard#data#y:感情解析時における、音圧の基準値。最大のクラスタと同じ大きさのクラスタがあった場合、この値と上のstandard#data#xに近いクラスタを選ぶ。
・reg#flag:クラスター分析時に正規化を行うかどうかのフラグ。(0:正規化しない,1:正規化を行う)
以上は、本発明の本質部分であるe-Learningシステム全体中自信を評価する部分についてのみ詳述した。以下、実際e-Learningシステムに組み入れた場合について説明する。図10は本実施形態に係るe-Learningシステムのブロック構成図である。しかしながら、この組み入れはシステムの一例に過ぎず、他のシステム構成に対しても適用することができる。
コンテンツ作成者は、オーサリングツール10を用いて文字や画像、音声、動画といったデータを編集してコンテンツを作成する。常に、新規なコンテンツを始めから作成するだけでなく、既存のコンテンツを利用してコンテンツを作成する。
コンテンツ管理者は、コンテンツ登録の手段20よりコンテンツ作成者が作成したコンテンツを学習コンテンツのデータベース30に登録し、コンテンツ配信の手段40により要求のあったコンテンツを配信可能とする。
学習コース管理の手段60は、受講者に対してコンテンツをコースとして提示し、受講者の要求をコンテンツ配信の手段40に対し要求する。コンテンツ配信の手段40は、かかる要求に対応するコンテンツを配信する。
コンテンツは、テキスト、静止画、動画、音楽及び音声等からなる。前記出題される問題もコンテンツの一種である。
前記第1の実施形態においては、角度が閾値以内ならば自信有りの結果を出力し、そうでなければ自信無しの結果を出力するとしたが、閾値を例えば−20度から80度までとする場合に、30度を100%とし、−20度及び80度を0%とすることができ、自信有りとされた場合にどの程度の自信があるのかを数値として出力することができる。数値ではなく数値に基づきグラフ等のビジュアル化をすることもできる。
ここでの実施例は、第1の実施形態の図1及び図9のフローに基づく実験を行った。すなわち、図1のように問題を出題し、自信の有無を図9のフローのように求め、それにより図1のように自信があって正解の場合には次の問題へ進み、自信がない場合及び不正解の場合には練習問題を経て次の問題に進む構成とした。すなわち、ここでは、e-Learningシステム全体を利用して複数のコンテンツからなる一連のコースを配信したのではなく、問題の出題にのみに特化して音声による自信の有無を判断して演習方法を変更することによる学習の理解度を確認することで、本発明の効果を検証した。
練習無しの場合と、有りの場合(本発明を適用した場合)とでは、確認テストでの正答率の伸びに大きな差が出た。練習無しのとき、確認テストで得点が下がったのは、難易度が上がったためである。また、練習有りのときの確認テストの解答時間が短いのは、練習をすることにより、問題解答の効率が良くなったためである。得点の伸び率が言語系に比べ、非言語系、物理問題のほうが高かったのは、言語系問題は、類題でも知識が無ければ解けないことに対して、非言語系や物理問題は、類題に対して、同じような考え方で解けるためである。認識率があまり良くなかった原因として、平常状態の設定が正確でなかったということ一の原因である。実際、認識率が良い人は、8〜10割と、高い値を出しているが、悪い人は6割程度であった。そこで、認識率が悪かった人に対し、その人の適正と予想される平常状態を設定し、再認識を行ったところ、次の認識率が得られた。
20 コンテンツ登録の手段
30 学習コンテンツのデータベース
40 コンテンツ配信の手段
50 利用者管理の手段
60 学習コース管理の手段
70 利用者履歴管理の手段
Claims (9)
- 受講者に問題を出題して発話による回答を促す手段と、受講者が発話した音声から音圧及び/又は基本周波数を演算する手段、演算した音圧及び/又は基本周波数に基づいて受講者の自信の有無又は自信の度合いを求める手段とを備える
教育システム。 - 予め受講者にエンロール文を提示してエンロール文を発話するように促す手段を備え、
受講者が発話した音声から音圧及び/又は基本周波数を演算して基準値とし、この基準値との比較により受講者の自信の有無又は自信の度合いを求める
前記請求項1に記載の教育システム。 - 演算した複数の音圧及び/又は基本周波数に対してクラスタ分析を行って受講者の自信の有無又は自信の度合いを求める
前記請求項1に記載の教育システム。 - 基準値に対してクラスタ分析を行って生成されたクラスタの重心と、受講者が発話した音声から演算された複数の音圧及び/又は基本周波数に対してクラスタ分析を行って生成されたクラスタの重心との比較から受講者の自信の有無又は自信の度合いを求める
前記請求項2に記載の教育システム。 - 前記クラスタ分析がウォード法である
前記請求項3または4に記載の教育システム。 - 出題された問題に対し受講者が発話した音声から自信が無い又は自信度が所定値以下と求めた場合には、回答が正解であっても出題された問題の類似問題を出題する手段を備える
前記請求項1ないし5のいずれかに記載の教育システム。 - 受講者からの要求に応じてコンテンツを配信するオンデマンド型である
前記請求項6に記載の教育システム。 - 各受講者の自信の有無又は自信の度合いを教員にリアルタイムに出力する手段を備える
前記請求項1ないし5のいずれかに記載の受講者にリアルタイムにコンテンツを配信するライブ型教育システム。 - 一又は複数のCPUが、受講者に問題を出題して発話による回答を促すステップと、受講者が発話した音声から音圧及び/又は基本周波数を演算するステップと、演算した音圧及び/又は基本周波数に基づいて受講者の自信の有無又は自信の度合いを求めるステップとを含む教育システムに適用する方法。
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