JP2006292957A - 画像形成材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶解性ディスクリミネーションに優れた記録層を有し、画像再現性に優れ、ヒートモード対応ポジ型平版印刷版原版に有用な画像形成材料を提供する。
【解決手段】 支持体上に、(A)赤外線吸収剤、(B)オニウム塩、及び(C)下記一般式(1)で表される酸発色性色素、を含有し、赤外線により記録可能な記録層を有することを特徴とする。下記式中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立に1〜3核の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、且つ、環B及び環Cの少なくとも1方に、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を有する。W1はカルボニル基、チオカルボニル基、又は、−C(R5)=N−を表し、ここでR5は水素原子又は炭化水素基を表し、Q1は酸素原子、硫黄原子又はイミノ基を表す。R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。m及びnはそれぞれ独立に0又は1を表す。
【化1】
Figure 2006292957

【選択図】 なし

Description

本発明はポジ型感光性記録層を有する画像形成材料に係り、より詳細には、露光部と未露光部とのアルカリ現像液に対する溶解性の差が大きく、コンピュータ等のディジタル信号から直接製版できる、所謂ダイレクト製版用の赤外線レーザ用平版印刷版原版として有用なポジ型画像形成材料に関する。
近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザ・半導体レーザは高出力かつ小型の物が容易に入手できるようになっている。コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザは非常に有用である。
従来公知のダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型感光性画像形成材料においては、アルカリ水溶液可溶性樹脂としてノボラック樹脂等が用いられている。
例えば、ポジ型感光性画像形成材料としては、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収して熱を発生する物質と、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等のようなポジ型感光性化合物を添加したものであって、該ポジ型感光性化合物が、画像部ではアルカリ水溶液可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働き、非画像部では熱により溶解阻止能を発現しなくなり、現像により除去され得るようになって、画像が形成されるものが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、ポジ型感光性画像形成材料としては、光を吸収して熱を発生する物質と、熱によりアルカリ水溶液溶解性が変化する樹脂とからなるものであって、画像部ではアルカリ水溶液溶解性が低く、非画像部では熱によりアルカリ水溶液可溶性が高くなり、現像により除去され得るようになって画像が形成されるものが開示されている(特許文献2及び3参照。)。
従来の平版印刷用原版において、ノボラック樹脂は、溶解抑制剤と強く相互作用するため、露光部と非露光部とで現像液に対する溶解性の差が大きくなること、インキ受容性に優れること等の理由から、特に好ましく用いられている。そして、赤外線レーザ用ポジ型感光性画像形成材料についても、同様の理由からノボラック樹脂が用いられている。該ノボラック樹脂としては、特にフェノール、クレゾール、キシレノール等のフェノール類を、酸性条件下においてホルムアルデヒドを用いて重合したものが一般的である。
溶解抑制剤としては多岐に渡る化合物が検討されているが、とりわけオニウム塩型の溶解抑制剤が非常に強い溶解抑制能を示すことが知られている。しかし、一般的なオニウム塩化合物の添加では、高い溶解抑制能による未露光部の耐アルカリ性向上効果は得られるが、感度の低下を招くことが問題であった。この問題を克服する手段として、特定のオニウム塩を用いる新たな感光材料が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。このような特定構造のオニウム塩は、高い溶解抑制能と高感度を両立する優れた特性を示すことが分かってきている。
しかし、前述のオニウム塩型溶解抑制剤を用いた感光材料においても、露光部の相互作用解除性、非画像部における残膜の抑制については、なお、改良の余地があり、未露光部の耐アルカリ現像性の維持と、露光部のアルカリ現像性向上とを両立し、現像条件の変動に関わらず、優れた画像の印刷物を得ることができる平版印刷版原版が望まれている。
特開平7−285275号公報 国際公開第97/39894号パンフレット 欧州特許出願公開第0823327A2号明細書 特開2002−278050公報
従って、本発明の目的は、露光部と非露光部との現像液に対する溶解性の差(溶解性ディスクリミネーション:以下、適宜「溶解性ディスクリ」と称する。)に優れたポジ型感光性組成物を記録層として用いた、画像再現性に優れたヒートモード対応ポジ型平版印刷版原版として有用な画像形成材料を提供することにある。
本発明者等は、検討の結果、特定の添加剤を併用することで、溶解性ディスクリを大きく改善可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の画像形成材料は、支持体上に、(A)赤外線吸収剤、(B)オニウム塩、及び(C)下記一般式(1)で表される酸発色性色素、さらに所望により(D)水不溶性且つアルカリ可溶性の樹脂を含有し、赤外線により記録可能なポジ型記録層を設けてなることを特徴とする。
Figure 2006292957
前記一般式(1)中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立に1〜3核の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、且つ、環B及び環Cの少なくとも1方に、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を有する。環B及び環Cは互いに結合基を介して結合してもよい。
1はカルボニル基、チオカルボニル基、又は、−C(R5)=N−を表し、ここでR5は水素原子又は炭化水素基を表し、Q1は酸素原子、硫黄原子又はイミノ基を表す。R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。m及びnはそれぞれ独立に0又は1を表す。
(C)特定酸発色性色素の添加によるディスクリミネーション向上の作用機構は明確ではないが、以下のように考えられる。本発明に係る画像記録層においては、そこに含まれる(B)オニウム塩は、それ自体が感光性組成物のアルカリ水溶液に対する溶解抑制機能を有するが、それに加えて、(B)オニウム塩と(C)酸発色性色素におけるアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基などの官能基との間で強固な相互作用が形成され、これが優れた溶解抑制効果を発現し、強固で耐現像性に優れた被膜を形成する。一方、このような相互作用は、露光や熱により容易に解除されるのみならず、熱により分解した(B)オニウム塩から発生した酸が、更に(C)酸発色性色素の分解を促進し、ここで、さらに酸発色性色素の分解により酸が発生するといった一連の連鎖的分解とそれによる酸発生により、現像液に対する溶解性が著しく向上する。このため、このような組成物を平版印刷版原版の記録層として用いた場合、未露光部は、耐現像性に優れた強固な皮膜を維持するとともに、露光部においては、相互作用の解除と連鎖的な酸の発生により、現像液に対する溶解性が著しく向上し、未露光部と露光部のアルカリ水性現像液に対する溶解性の差(ディスクリミネーション)が飛躍的に広がり、優れた画像再現性が発現するものと考えられる。
また、本発明においては、記録層に含まれる酸発色性色素が本来有している酸分解による発色機能も、共存するオニウム塩の分解により発生する酸の効果により更に高められるため、露光部の優れた発色性により露光後の検版性に優れるという利点をも有することになる。
本発明によれば、溶解性ディスクリミネーションに優れたポジ型感光性組成物を記録層として用いた、画像再現性に優れ、且つ、露光後の検版性も良好なヒートモード対応ポジ型平版印刷版原版として有用な画像形成材料を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポジ型画像形成材料の記録層は、(A)赤外線吸収剤、(B)オニウム塩、及び(C)一般式(1)で表される酸発色性色素(以下、適宜、(C)酸発色性色素と称する)、を必須成分として含有し、必要に応じてその他の成分を含有する。
以下に、本発明のポジ型画像形成材料の記録層に含有される各成分について順次説明する。まず、本発明の特徴的な成分である(C)酸発色性色素について述べる。
[(C)一般式(1)で表される酸発色性色素]
本発明で用いられる(C)酸発色性色素は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2006292957
前記一般式(1)中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立に1〜3核の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、且つ、環B及び環Cの少なくとも1方に、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を有する。環B及び環Cは互いに結合基を介して結合してもよい。
1はカルボニル基、チオカルボニル基、又は、−C(R5)=N−を表し、ここでR5は水素原子又は炭化水素基を表し、Q1は酸素原子、硫黄原子又はイミノ基を表す。R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。m及びnはそれぞれ独立に0又は1を表す。
一般式(1)で表される酸発色性色素において、好ましい化合物としては、Q1が、酸素原子又は硫黄原子であり、W1が、カルボニル基又はチオカルボニル基であり、環Aが、ベンゼン環、ピペラジン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、インドール環、又はピリジン環であり、環B及び環Cが、それぞれ独立にベンゼン環又はナフタレン環であり、m及びnが、それぞれ0又は1であり、R1〜R4が、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜8のアリール基であり、R5が水素原子、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基である。なかでも、Q1が酸素原子であり、W1がカルボニル基であり、環Aがベンゼン環であり、R1〜R4が、独立に水素原子、メチル基、エチル基、又はフェニル基であるものがさらに好ましい。
また、環A、環B、及び環Cは、本発明の効果を損なわない限りにおいて、置換基を有していてもよい。導入可能な置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、トリメチルシリルオキシ基、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数2〜15のアシル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数1〜15のアルキルチオ基、炭素数1〜15のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜15のアルキルスルホニル基、炭素数6〜15のアリールオキシ基、炭素数6〜15のアリールチオ基、炭素数2〜15のアシルオキシ基、炭素数2〜15のアルコキシカルボニル基、アミノ基等が挙げられ、これらの置換基はさらに前記した如き置換基を有するものであってもよい。これらの置換基の中でも、水酸基、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、トリル基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアシルオキシ基、炭素数1〜5のジアルキルアミノ基、炭素数1〜5のアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルチオ基、フェノキシ基、フェニルチオ基等を有するものが好ましい。
また、環Bと環Cとは互いに結合基を介して結合されていてもよいが、その場合の結合基としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、エチレン基が挙げられ、好ましくは酸素原子である。
環Bと環Cが結合している場合は、mとnが共に0であり、環Bと環Cがo−位で結合して、6員環を形成している態様がさら好ましい。
なお、一般式(1)において、環B及び環Cの少なくとも一方は、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基から選ばれる置換基の少なくとも1つ有するが、それらの置換基を環B及び環Cのそれぞれに有することが好ましく、それぞれに2つ以上有していてもよい。また、アミノ基を環B及び環Cにそれぞれ少なくとも1つ有するものが更に好ましい。
なお、ここで挙げたアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基から選ばれた置換基は、前記した環A、環B、及び環Cに導入可能な置換基をさらに有するものであってもよい。
本発明に係る酸発色性色素としては、前記一般式(1)で表される酸発色性色素が2以上、直接或いは、結合基を介して結合した複数の色素を有する化合物を用いることもできる。複数の酸発色性色素を結合する方法としては、酸発色性色素を直接或いは結合基を介して結合するものであれば、特に限定されることなしに使用することができ。
また、複数の酸発色性色素を有する化合物が有機高分子である場合には、重量平均分子量(Mw)が1000〜1000000、好ましくは1000〜500000、さらに好ましくは、1000〜100000のものを用いることができる。このような複数の酸発色性色素を有する有機高分子物質は、それ自身に塗膜性を有し、また、分子内に複数の酸発色性色素が局在化されているため、感度などの観点からは好ましく用いられる。
以下、本発明に好ましく用いられる酸発色性色素の具体例を挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
Figure 2006292957
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Figure 2006292957
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Figure 2006292957
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前記酸発色性色素のなかでも、本発明に係る記録層には、現像性及び現像カス抑制の観点から、分子量(Mw)900以下の低分子化合物の如き色素を用いることが好ましい。
酸発色性色素は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸発色性色素の含有量は、記録層を構成する成分の全固形分に対し、1〜50質量%、好ましくは3〜40質量%、さらに好ましくは5〜25質量%の範囲である。また、酸発色性色素が有機高分子(通常、重量平均分子量Mw=1000〜100000)の場合は感光性組成物全固形分に対して1〜95質量%、好ましくは3〜90質量%、さらに好ましくは5〜80質量%の範囲で含有される。
[(A)赤外線吸収剤]
本発明の画像形成材料の記録層には(A)赤外線吸収剤を含有する。
本発明に用いられる(A)赤外線吸収剤としては、記録に使用する赤外線レーザを吸収し、熱を発生する物質であれば特に制限はなく用いることができるが、入手容易な高出力レーザーへの適合性の観点からは、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収性染料又は顔料が好ましく挙げられる。
〔赤外線吸収性染料又は顔料〕
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、ナフタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、(チオ)ピリリウム塩、金属チオレート錯体、インドアニリン金属錯体系染料、オキソノール染料、ジイモニウム染料、アミニウム染料、クロコニウム染料、分子間CT色素等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号公報、特開昭59−84356号公報、特開昭59−202829号公報、特開昭60−78787号公報等に記載されているシアニン染料、
特開昭58−173696号公報、特開昭58−181690号公報、特開昭58−194595号公報等に記載されているメチン染料、
特開昭58−112793号公報、特開昭58−224793号公報、特開昭59−48187号公報、特開昭59−73996号公報、特開昭60−52940号公報、特開昭60−63744号公報等に記載されているナフトキノン染料、
特開昭58−112792号公報等に記載されているスクアリリウム色素、
英国特許434,875号明細書に記載のシアニン染料、
等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号明細書に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号公報、同58−220143号公報、同59−41363号公報、同59−84248号公報、同59−84249号公報、同59−146063号公報、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号公報、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、フタロシアニン染料、オキソノール染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム染料、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
さらに、下記一般式(a)〜一般式(f)で示される染料が光熱変換効率に優れるため好ましく、特に、下記一般式(a)で示されるシアニン色素は、本発明において使用した場合に、アルカリ溶解性樹脂との高い相互作用を与え、溶解抑制剤として機能し、かつ、安定性、経済性に優れるため最も好ましい。
Figure 2006292957
一般式(a)中、R1及びR2は、各々独立に炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、アルキル基上にはアルコキシ基、アリール基、アミド基、アルコキシカルボニル基、水酸基、スルホ基、カルボキシル基より選択される置換基を有してもよい。Y1及びY2は、各々独立に酸素、硫黄、セレン、ジアルキルメチレン基又は−CH=CH−を表す。Ar1及びAr2は、各々独立に芳香族炭化水素基を表し、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基より選択される置換基を有してもよく、Y1及びY2と隣接した連続2炭素原子で芳香環を縮環してもよい。
一般式(a)中、Xは、電荷の中和に必要なカウンターイオンを表し、色素カチオン部がアニオン性の置換基を有する場合は必ずしも必要ではない。Qは、トリメチン基、ペンタメチン基、ヘプタメチン基、ノナメチン基又はウンデカメチン基より選択されるポリメチン基を表し、露光に用いる赤外線に対する波長適性と安定性の点からペンタメチン基、ヘプタメチン基又はノナメチン基が好ましく、いずれかの炭素上に連続した3つのメチン鎖を含むシクロヘキセン環又はシクロペンテン環を有することが安定性の点で好ましい。
一般式(a)中、Qは、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基、アリール基、オキシ基、イミニウム塩基、下記一般式(2)で表される置換基より選択される基で置換されていてもよく、好ましい置換基としては塩素原子等のハロゲン原子、ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基、フェニルチオ基等のアリールチオ基が挙げられる。
Figure 2006292957
一般式(2)中、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。Y3は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
一般式(a)で示されるシアニン色素のうち、波長800〜840nmの赤外線で露光する場合は、特に好ましいものとしては下記一般式(a−1)〜(a−4)で示されるヘプタメチンシアニン色素を挙げることができる。
Figure 2006292957
一般式(a−1)中、X1は、水素原子又はハロゲン原子を表す。R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。記録層塗布液の保存安定性からは、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、さらに、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
一般式(a−1)中、Ar1及Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1及びY2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3及びR4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、電荷の中和に必要な対アニオンを示し、この色素がその構造内にアニオン性の置換基を有し電荷の中和が必要ない場合には、Za-は必要ない。好ましいZa-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びスルホン酸イオンである。上記一般式(a−1)で示されるヘプタメチン色素は、ポジ型の画像形成材料に好適に用いることができ、特にフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂と組み合わせたいわゆる相互作用解除型のポジ感材に好ましく用いられる。
Figure 2006292957
一般式(a−2)中、Rl及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜12の炭化水素基を示し、RlとR2とは互いに結合し環構造を形成していてもよく、形成する環としては5員環又は6員環が好ましく、5員環が特に好ましい。Arl及びAr2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、該芳香族炭化水素基上の好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられ、電子求引性の置換基が特に好ましい。Yl及びY2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3及びR4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。R9及びR10は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素原子数1〜8のアルキル基、水素原子又はR9とR10とが互いに結合し下記構造の環を形成してもよい。
Figure 2006292957
一般式(a−2)中のR9及びR10としては、上記のうち、フェニル基等の芳香族炭化水素基が最も好ましい。
また、X-は、電荷の中和に必要な対アニオンであり、前記一般式(a−1)におけるZa-と同様の定義である。
Figure 2006292957
一般式(a−3)中、Rl〜R8、Arl、Ar2、Yl、Y2及びX-は、それぞれ前記一般式(a−2)におけるものと同義である。Ar3は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基、又は窒素、酸素及び硫黄原子のうち少なくとも1つを含有する単環又は多環の複素球基を示し、チアゾール系、ベンゾチアゾール系、ナフトチアゾール系、チアナフテノ−7,6,4,5−チアゾール系、オキサゾール系、ベンゾオキサゾール系、ナフトオキサゾール系、セレナゾール系、ベンゾセレナゾール系、ナフトセレナゾール系、チアゾリン系、2−キノリン系、4−キノリン系、1−イソキノリン系、3−イソキノリン系、ベンゾイミダゾール系、3,3−ジアルキルベンゾインドレニン系、2−ピリジン系、4−ピリジン系、3,3−ジアルキルベンゾ[e]インドール系、テトラゾール系、トリアゾール系、ピリミジン系、及びチアジアゾール系よりなる群から選択される複素環基が好ましく、特に好ましい複素環基としては下記構造のものが挙げられる。
Figure 2006292957
Figure 2006292957
一般式(a−4)中、Rl〜R8、Arl、Ar2、Yl及びY2は、それぞれ前記一般式(a−2)におけるものと同義である。R11及びR12は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、アリル基、シクロへキシル基又は炭素原子数1〜8のアルキル基を示す。Zは、酸素原子又は硫黄原子を示す。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、以下に例示するものの他、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−40638号公報の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−23360号公報の段落番号[0012]〜[0023]、に記載されたものを挙げることができる。
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
一般式(b)中、Lは共役炭素原子数7以上のメチン鎖を表し、該メチン鎖は置換基を有していてもよく、置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。Zb+は対カチオンを示す。好ましい対カチオンとしては、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジニウム、アルカリ金属カチオン(Na+、K+、Li+)などが挙げられる。R9〜R14及びR15〜R20は互いに独立に水素原子又はハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基から選択される置換基、或いは、これらを2つ若しくは3つ組合せた置換基を表し、互いに結合して環構造を形成していてもよい。ここで、一般式(b)中、Lが共役炭素原子数7のメチン鎖を表すもの、及び、R9〜R14及びR15〜R20がすべて水素原子を表すものが入手の容易性と効果の観点から好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(b)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2006292957
Figure 2006292957
一般式(c)中、Y3及びY4は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。Mは、共役炭素数5以上のメチン鎖を表す。R21〜R24及びR25〜R28は、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基を表す。また、式中Za-は対アニオンを表し、前記一般式(a−1)におけるZa-と同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(c)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2006292957
Figure 2006292957
一般式(d)中、R29〜R32は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。R33及びR34は各々独立に、アルキル基、置換オキシ基、又はハロゲン原子を示す。n及びmは各々独立に0乃至4の整数を示す。R29とR30、又はR31とR32はそれぞれ結合して環を形成してもよく、またR29及び/又はR30はR33と、またR31及び/又はR32はR34と結合して環を形成してもよく、さらに、R33或いはR34が複数存在する場合に、R33同士或いはR34同士は互いに結合して環を形成してもよい。X2及びX3は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。Qは置換基を有していてもよいトリメチン基又はペンタメチン基であり、2価の有機基とともに環構造を形成してもよい。Zc-は対アニオンを示し、前記一般式(a−1)におけるZa-と同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(d)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2006292957
Figure 2006292957
一般式(e)中、R35〜R50は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有してもよい、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を示す。Mは2つの水素原子若しくは金属原子、ハロメタル基、オキシメタル基を示すが、そこに含まれる金属原子としては、周期律表のIA、IIA、IIIB、IVB族原子、第一、第二、第三周期の遷移金属、ランタノイド元素が挙げられ、中でも、銅、ニッケル、マグネシウム、鉄、亜鉛、スズ、コバルト、アルミニウム、チタン、バナジウムが好ましく、バナジウム、ニッケル、亜鉛、スズが特に好ましい。これら金属原子は原子価を適切にするために酸素原子、ハロゲン原子等と結合していてもよい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(e)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
一般式(f−1)及び(f−2)中、R51〜R58は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を示す。X-は、前記一般式(a−2)におけるものと同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(f−1)及び(f−2)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2006292957
上記以外の光熱変換剤としては、特開2001−242613号公報に記載の複数の発色団を有する染料、特開2002−97384号公報、米国特許第6,124,425号明細書に記載の高分子化合物に共有結合で発色団が連結された色素、米国特許6,248,893号明細書に記載のアニオン染料、特開2001−347765号公報に記載の表面配向性基を有する染料等を好適に用いることができる。
本発明において光熱変換剤として使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が挙げられる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これらの顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は、記録層の均一性及び分散安定性の観点から、0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
用いられる染料若しくは顔料は単一の化合物を用いても、2種以上の化合物を併用してもよい。
これらの顔料若しくは染料は、感度と、安定性、均一性とのバランスといった観点から、記録層を構成する全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で添加することができる。
[(B)オニウム塩]
本発明に係る画像形成材料の記録層は、オニウム塩を含有する。オニウム塩としては、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩、アジニウム塩等を挙げることができる。なかでも好ましくはヨードニウム塩である。
本発明において用いられる(A)赤外線吸収剤が吸収することできる波長の光の露光によりラジカルを生成する、オニウム塩は、併用される(A)成分である赤外線吸収剤が吸収する波長の光の露光においてラジカルを発生しうるものであれば特に制限はないが、好適に用いられるオニウム塩としては、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩が挙げられ、発生するラジカルと還元型添加剤との反応性及び記録材料の安定性の観点からヨードニウム塩が特に好ましい。本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(1)〜(3)で表されるオニウム塩である。
Figure 2006292957
式(1)中、Ar11とAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、およびアリールスルホン酸イオンである。
式(2)中、Ar21は、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基または、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21-はZ11-と同義の対イオンを表す。
式(3)中、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z31-はZ11-と同義の対イオンを表す。
本発明に用いうる特に好ましいスルホニウム塩としては、下記一般式(4)で表されるスルホニウム塩が挙げられる。
Figure 2006292957
式(4)中、R41、R42及びR43は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。
(Z41-は強酸残基を示す。そのような強酸残基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物、無機酸化合物等の残基が挙げられる。このような化合物は、pKa<5であることが好ましい。適当な無機強酸残基は、ハロゲン化物アニオン、HSO4 -、及びハロゲン含有錯アニオン、例えば、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアーセネート、およびヘキサフルオロアンチモネートである。好ましくは、フッ素原子を含む無機酸化合物が挙げられる。フッ素原子を含む無機酸化合物の具体例としては、例えば、テトラフルオロホウ酸、テトラフルオロアルミン酸、テトラフルオロ鉄酸、テトラフルオロガリウム酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロヒ素酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、ヘキサフルオロケイ素酸、ヘキサフルオロニッケル酸、ヘキサフルオロチタン酸、ヘキサフルオロジルコン酸等が挙げられ、中でも、ヘキサンルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロアンチモン酸等が好ましい。
中でも、ベンゾイル蟻酸、酢酸、安息香酸が特に好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(4)で示されるスルホニウム塩の具体例〔例示化合物(1)〜(101)〕を以下に挙げるが、本発明はこれに制限されるものではない。
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
また、本発明において、好適に用いることのできる一般式(1)で示されるヨードニウム塩([OI−1]〜[OI−24])、一般式(2)で示されるアンモニウム塩([ON−1]〜[ON−5])の具体例を以下に挙げる。
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
Figure 2006292957
本発明において用いられるオニウム塩は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、さらに360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、画像形成材料の取り扱いを白灯下で実施することができる。
オニウム塩化合物は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
これらのオニウム塩は、感度と非画像部の汚れ性の観点から、画像形成材料の記録層を構成する組成物の全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜40質量%、特に好ましくは1〜30質量%の割合で添加することができる。
[(D)水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂]
本発明に係る記録層には(D)水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、アルカリ可溶性樹脂と称する)を用いることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体またはこれらの混合物を包含する。
中でも、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖および/または側鎖中に有するものが、アルカリ性現像液に対する溶解性の点、溶解抑制能発現の点で好ましい。
(1)フェノール基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2 NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO32
上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂の中でも、(1)フェノール基、(2)スルホンアミド基および(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に、(1)フェノール基または(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が、アルカリ性現像液に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を十分に確保する点から最も好ましい。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)フェノール基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、またはm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体等のノボラック樹脂、およびピロガロールとアセトンとの縮重合体を挙げることができる。さらに、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を挙げることもできる。或いは、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を用いることもできる。
フェノール基を有する化合物としては、フェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはヒドロキシスチレン等が挙げられる。
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、スルホンアミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げられる。中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基または置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006292957
〔式中、X1、X2 は、それぞれ独立に−O−または−NR7を表す。R1、R4は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R2、R5、R9、R12、及び、R16は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R3、R7、及び、R13は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。また、R6、R17は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R8、R10、R14は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R11、R15は、それぞれ独立に単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1、Y2は、それぞれ独立に単結合又はCOを表す。〕
一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物のうち、本発明のポジ型平版印刷版原版では、特に、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、活性イミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、下記構造式で表される活性イミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物を挙げることができる。
Figure 2006292957
具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(4)カルボン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
(5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子としては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げることができる。
(6)リン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
ポジ型記録層に用いるアルカリ可溶性樹脂を構成する、前記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以上、または異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以上共重合させたものを用いることもできる。
前記共重合体は、共重合させる(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させることができない傾向がある。
本発明では、化合物を共重合してアルカリ可溶性樹脂を共重合体として用いる場合、共重合させる化合物として、前記(1)〜(6)の酸性基を含まない他の化合物を用いることもできる。(1)〜(6)の酸性基を含まない他の化合物の例としては、下記(m1)〜(m12)に挙げる化合物を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
アルカリ可溶性樹脂としては、赤外線レーザー等による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性水酸基を有することが好ましく、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が好ましく挙げられる。
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂は、その重量平均分子量が500以上であることが画像形成性の点で好ましく、1,000〜700,000であることがより好ましい。また、その数平均分子量が500以上であることが好ましく、750〜650,000であることがより好ましい。分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.1〜10であることが好ましい。
また、これらのアルカリ可溶性樹脂は単独で用いるのみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。組み合わせる場合には、米国特許第4123279号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、本発明者らが先に提出した特開2000−241972号公報に記載の芳香環上に電子吸引性基を有するフェノール構造を有するアルカリ可溶性樹脂などを併用してもよい。
本発明においてアルカリ可溶性樹脂を用いる場合、感度、画像形成性、及び被膜の耐久性の観点から、記録層を構成する組成物の全固形分中、30〜98質量%が好ましく、40〜95質量%がより好ましい。
〔その他の成分〕
本発明の画像形成材料の記録層には、更に必要に応じて、種々の添加剤を含有することができる。
例えば、o−キノンジアジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ水可溶性高分子化合物の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することは、画像部の現像液への溶解阻止性の向上を図る点では、好ましい。
好適なキノンジアジド類としては、o−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解により結着剤の溶解抑制能を失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により感材系の溶解性を助ける。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley & Sons. Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物或いは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403 号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120 号及び同第3,188,210 号に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
さらに、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば、特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号などの各公報、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものを挙げることができる。
o−キノンジアジド化合物の添加量としては、好ましくは画像形成材料の全固形分に対し、1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
o−キノンジアジド化合物以外の添加剤の添加量としては、好ましくは画像形成材料の全固形分に対し、1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。なお、本発明における添加剤と結着剤は、同一層へ含有させることが好ましい。
また、更に感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することもできる。環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号公報、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。上記の環状酸無水物、フェノール類及び有機酸類の画像形成材料中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
また、本発明の画像形成材料の記録層塗布液中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、EP950517公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開平11−288093号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製、DBE−224,DBE−621,DBE−712,DBP−732,DBP−534、独Tego社製、Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることが出来る。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の画像形成材料中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
本発明における記録層中には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料をあげることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。これらの染料は、画像形成材料の全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で画像形成材料中に添加することができる。
更に本発明の画像形成材料中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
また、これら以外にも、エポキシ化合物、ビニルエーテル類、さらには、特開平8−276558号公報に記載のヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物、及び、本発明者らが先に提案した特開平11−160860号公報に記載のアルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物などを目的に応じて適宜添加することができる。
本発明の画像形成材料は、前記記録層を適当な支持体上に形成してなるものであり、平版印刷版原版、カラープルーフ、ディスプレイ材料などのさまざまな用途に適用し得るが、特に赤外線レーザ露光によるダイレクト製版可能なヒートモード対応平版印刷版原版として有用である。以下、本発明の画像形成材料を、代表例である平版印刷版原版を例に挙げて詳細に説明する。
[平版印刷版原版]
以下に、本発明の画像形成材料を平版印刷版原版に適用する例を挙げて、具体的な態様について説明する。
〔記録層(画像形成層)〕
本発明の画像形成材料が適用される平版印刷版原版は、感光層(画像形成層)塗布液用成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより製造することができる。また、目的に応じて、保護層、樹脂中間層、バックコート層なども同様にして形成することができる。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独或いは混合して使用される。
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また、塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷版原版の記録層についていえば、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、記録層の皮膜特性は低下する。
記録層は、単層であってもよいし重層構造を有するものであってもよい。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
本発明における記録層中には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、記録層全固形分中0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
〔樹脂中間層〕
平版印刷版原版には、必要に応じて、記録層と支持体の間に樹脂中間層を設けることができる。
この樹脂中間層を設けることで、露光によりアルカリ現像液への溶解性が向上する赤外線感応層である記録層が、露光面或いはその近傍に設けられることで赤外線レーザに対する感度が良好であるとともに、支持体と該赤外線感応層との間に高分子からなる樹脂中間層が存在し、断熱層として機能し、赤外線レーザの露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率良く画像形成に使用されることからの高感度化も図れるという利点を有する。また、未露光部においては、アルカリ現像液に対して非浸透性である記録層自体が樹脂中間層の保護層として機能するために、現像安定性が良好になるとともにディスクリミネーションに優れた画像が形成され、且つ、経時的な安定性も確保されるものと考えられ、露光部においては、溶解抑制能が解除された記録層の成分が速やかに現像液に溶解、分散し、さらには、支持体に隣接して存在するこの樹脂中間層自体がアルカリ可溶性高分子からなるものであるため、現像液に対する溶解性が良好で、例えば、活性の低下した現像液などを用いた場合でも、残膜などが発生することなく速やかに溶解し、現像性の向上にも寄与し、この樹脂中間層は有用であると考えられる。
〔支持体〕
本発明に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、若しくは蒸着された紙、若しくはプラスチックフィルム等が含まれる。
本発明に係る支持体としては、特に平版印刷版原版に使用する場合、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明の画像形成材料に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来公知の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸或いはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不充分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号明細書、同第3,181,461号明細書、第3,280,734号明細書及び第3,902,734号明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に、特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号明細書、同第4,153,461号明細書、同第4,689,272号明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
本発明が適用される平版印刷版原版は、支持体上にポジ型の記録層を設けたものであるが、必要に応じてその間に下塗層を設けることができる。
下塗層成分としては、種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
この有機下塗層は、次のような方法で設けることができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。
また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、画像形成材料の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2よりも少ないと充分な耐刷性能が得られない。また、200mg/m2より大きくても同様である。
〔露光・現像〕
上記のようにして作製されたポジ型平版印刷版原版は、通常、像露光、現像処理を施される。
像露光に用いられる光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
本発明が適用される平版印刷版原版の現像液及び補充液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。
例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独若しくは2種以上を組み合わせて用いられる。
これらのアルカリ剤の中で特に好ましい現像液は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由は、ケイ酸塩の成分である酸化珪素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率と濃度によって現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62004号公報、特公昭57−7427号公報に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
更に、自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量の平版印刷版原版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
現像液及び補充液には現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。
好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤があげられる。更に現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
上記現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の画像形成材料を印刷版として使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽及びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
本発明においては、画像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版に不必要な画像部(例えば原画フィルムのフィルムエッジ跡など)がある場合には、その不必要な画像部の消去が行なわれる。このような消去は、例えば、特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行なう方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
以上のようにして得られた平版印刷版は、所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、或いは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は、一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥質量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(例えば、富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施こすことができるが水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
(支持体の作製)
厚さ0.3mmのJIS−A−1050アルミニウム板を用いて、下記に示す工程を組み合わせて処理することで支持体A、B、C、Dを作製した。
(a)機械的粗面化処理
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル)、温度50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助陽極にはフェライトを用いた。使用した電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は、電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形波であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度は43℃であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
電流密度はともに約30A/dm2であった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
<支持体A>
上記(a)〜(j)の各工程を順に行い(e)工程におけるエッチング量は3.4g/m2となるようにして支持体を作製した。
<支持体B>
上記工程のうち(g)(h)(i)の工程を省略した以外は各工程を順に行い支持体を作製した。
<支持体C>
上記工程のうち(a)及び(g)(h)(i)の工程を省略した以外は各工程を順に行い支持体を作製した。
<支持体D>
上記工程のうち(a)及び(d)(e)(f)の工程を省略した以外は各工程を順に行い、(g)工程における電気量の総和が450C/dm2となるようにして支持体を作製した。
上記によって得られた支持体A、B、C、Dは続けて下記の親水化処理、下塗り処理を行った。
(k)アルカリ金属ケイ酸塩処理
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行った。その際のシリケート付着量は3.6mg/m2であった。
(下塗り処理)
上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で15秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は16mg/m2であった。
<下塗り液組成>
・下記高分子化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1.0g
Figure 2006292957
〔実施例1〜4、比較例1、2〕
得られた支持体Aに、下記組成の第1層(下層)用塗布液を、ワイヤーバーで塗布したのち、150℃の乾燥オーブンで60秒間乾燥して塗布量を0.95g/m2とした。
得られた下層付き支持体に、下記組成の第2層(上層)用塗布液をワイヤーバーで塗布した。塗布後、乾燥オーブンで、130℃で90秒間の乾燥を行い、総塗布量を1.25g/m2として実施例1〜4及び比較例1、2のポジ型平版印刷版原版を作製した。
<第1層(下層)用塗布液>
・共重合体1(下記により合成したもの) 1.833g
・シアニン染料A(下記構造) 0.098g
・2−メルカプト−5−メチルチオ−
1,3,4−チアジアゾール 0.030g
・シス−Δ4−テトラヒドロフタル酸無水物 0.100g
・4,4’−スルホニルジフェノール 0.090g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・エチルバイオレットの対アニオンを 0.100g
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン 0.030g
ヘキサフルオロホスフェート
・フッ素系界面活性剤 0.035g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 26.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g
・γ−ブチロラクトン 13.8g
Figure 2006292957
<共重合体1の合成>
攪拌後、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三ツ口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴をとり去り、室温下で30分間混合物を攪拌した。
この反応混合物に、p−アミノベンゼンスルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反応終了後、この混合物を水1リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水500mlでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量46.9g)。
次に、攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた20ml三ツ口フラスコに、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g(0.0192モル)、メタクリル酸エチル2.58g(0.0258モル)、アクリロニトリル0.80g(0.015モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌した。この混合物に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:「V−65」、和光純薬(株)製)0.15gを加え65℃に保ちながら窒素気流下2時間混合物を攪拌した。この反応混合物にさらにN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g、メタクリル酸メチル2.58g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジメチルアセトアミド20g及び「V−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後さらに65℃で2時間得られた混合物を攪拌した。反応終了後メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出し、乾燥することにより15gの白色固体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりこの特定の共重合体1の重量平均分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ54,000であった。
<第2層(上層)用塗布液>
・メタクリル酸エチルと2−メタクリロイロキシエチルコハク酸 0.040g
の共重合体(モル比75:25、重量平均分子量70,000)
・フェノールクレゾール−ホルムアルデヒドノボラック
(フェノール:m−クレゾール:p−クレゾール=50:30:20、
重量平均分子量:8800) 0.400g
・(B)オニウム塩(表1に記載の化合物) 0.1g
・(C)酸発色性色素(表1に記載の化合物) 0.068g
・(A)シアニン染料A(前記構造) 0.015g
・エチルバイオレットの対アニオンを 0.012g
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの
・フッ素系界面活性剤 0.022g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 13.1g
・1−メトキシ−2−プロパノール 6.79g
なお、下記表1に記載の酸発色性色素は下記構造の化合物であり、オニウム塩は、前記例示化合物の化合物No.を表す。
Figure 2006292957
[平版印刷版原版の評価]
平版印刷版原版の評価は、溶解性ディスクリミネーションの指標として、網点画像の再現性を、検版性の指標として、画像部/非画像部の濃度を、それぞれ実施した。評価方法の詳細は下記の通りである。
1.画像再現性
得られた実施例及び比較例のポジ型平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter3244にて、ビ−ム強度10.0W、ドラム回転速度250rpmの条件で175lpi/2400dpi/2%網点テストパタ−ンの画像状に描き込み(露光)を行った。
上記条件露光後、下記組成の現像液及び富士写真フイルム(株)製フィニッシャ−FP−2W(1:1で希釈したもの)を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサ−LP−940Hを用い、液温を30℃に保ち現像時間12秒で現像した。
その後、実施例及び比較例の印刷版をハイデルKOR−D機で印刷し、5000枚印刷後、得られた印刷物の網点部分を50倍のルーペで観測し、網点部分の欠落、非画像部の汚れがないかを確認し、画像再現性を以下の基準で評価した。このような微細な網点画像の再現性は、溶解性ディスクリに大きく依存する。結果を表1に記す。
◎:画像再現性が極めて良好
○:画像再現性が良好
△:わずかに画像部の欠け、非画像部の汚れが見られるが実用上問題のない程度
×:画像再現性が不良で、実用上問題のあるレベル
<アルカリ現像液A組成>
・SiO2・K2O(K2O/SiO2=1/1(モル比)) 4.0質量%
・クエン酸 0.5質量%
・ポリエチレングリコールラウリルエーテル(重量平均分子量1,000)
0.5質量%
・水 95.0質量%
<アルカリ現像液B組成>
・Dソルビット 2.5質量%
・水酸化ナトリウム 0.85質量%
・ポリエチレングリコールラウリルエーテル(重量平均分子量1,000)
0.5質量%
・水 96.15質量%
2.画像部、非画像部の濃度評価
標準露光、現像(Creo社製Trendsetter800、ビーム強度10.0W、ドラム回転速度250rpmで露光を行い、下記組成の現像液を用いて現像)後の画像部(ベタ部)及び非画像部(クリア部)の画像濃度をGRETAG反射濃度計D196(GretagMacbeth社製)で測定した。画像部/非画像部の濃度差が大きい程、検版性に優れていることを示す。例えば、画像部濃度2.15/非画像部濃度0.68では、両者のコントラストは明確であり、検版性に優れると評価するが、画像部濃度1.43/非画像部濃度0.68では、目視にて両者の差異を明確に検知するのは困難であり、検版性に劣ると評価する。結果を表1に示す。
<実施例1〜4、比較例1、2の平版印刷版原版の評価>
実施例1〜4及び比較例1、2の各平版印刷版原版について、画像部、非画像部の濃度評価、画像再現性を、上記した方法により評価した。現像液は現像液Bを用いた。その結果を表1に示す。
Figure 2006292957
表1に示されるように、実施例1〜4の平版印刷版原版は、画像再現性に優れ、溶解性ディスクリが良好であることがわかる。また、露光後の検版性にも優れていた。一方、(C)酸発色性色素を含んでいても、(B)オニウム塩を添加しなかった比較例1は、対応する実施例1に比べ、画像再現性に大きく劣り、画像部と非画像部との濃度差が小さく、露光後の検版性が低かった。また、(B)オニウム塩のみを含み、(C)酸発色性色素を添加しなかった比較例2は、対応する実施例3に比べ、画像再現性が低く、また、発色性の色素を含まないことから露光後の検版性は大きく劣ることがわかる。
(実施例5〜8、比較例3,4)
得られた支持体Cに、下記組成の第1層(下層)用塗布液を、ワイヤーバーで塗布したのち、120℃の乾燥オーブンで90秒間乾燥して塗布量を0.60g/m2とした。
得られた下層付き支持体に、下記組成の第2層(上層)用塗布液をワイヤーバーで塗布した。塗布後、乾燥オーブンで、120℃で90秒間の乾燥を行い、総塗布量を1.35g/m2として実施例5〜8及び比較例3、4のポジ型平版印刷版原版を作製した。
<第1層(下層)用塗布液>
・共重合体1 2.200g
・シアニン染料A(前記構造) 0.098g
・2−メルカプト−5−メチルチオ
−1,3,4−チアジアゾール 0.030g
・シス−Δ4−テトラヒドロフタル酸無水物 0.100g
・4,4’−スルホニルジフェノール 0.090g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・エチルバイオレットの対アニオンを 0.100g
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン 0.030g
ヘキサフルオロホスフェート
・フッ素系界面活性剤 0.035g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 26.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g
・ジメチルスルホキシド 13.8g
<第2層(上層)用塗布液>
・メタクリル酸エチルと2−メタクリロイロキシエチルコハク酸 0.040g
の共重合体(モル比70:30、重量平均分子量88,000)
・フェノールクレゾール−ホルムアルデヒドノボラック
(フェノール:m−クレゾール:p−クレゾール=30:50:20、
重量平均分子量:7700) 0.250g
・オニウム塩(表2に記載のオニウム化合物) 0.02g
・酸発色性色素(表2に記載の化合物) 0.015g
・シアニン染料A(前記構造) 0.015g
・フッ素系界面活性剤 0.022g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 13.1g
・1−メトキシ−2−プロパノール 6.79g
<実施例5〜8及び比較例3、4の評価>
得られた実施例5〜8及び比較例3、4の各平版印刷版原版について、実施例1と同様の方法で評価を行った。現像液は現像液Bを用いた。その結果を表2に示す。
Figure 2006292957
表2に示されるように、実施例の平版印刷版原版は、いずれも、画像再現性に優れ、溶解性ディスクリが良好であった。また、露光後の検版性にも優れていることがわかる。一方、(C)酸発色性色素を含んでいても、(B)オニウム塩を添加しなかった比較例3は、対応する実施例5に比べ、画像再現性に大きく劣っていた。また、露光後の検版性も低かった。(B)オニウム塩のみを含み、(C)酸発色性色素を添加しなかった比較例4は、対応する実施例7に比べ、画像再現性が低く、また、発色性の色素を含まないことから露光後の検版性は大きく劣ることがわかる。
(実施例9〜12、比較例5、6)
得られた支持体Dに、下記組成の第1層(下層)用塗布液を、ワイヤーバーで塗布したのち、150℃の乾燥オーブンで60秒間乾燥して塗布量を0.81g/m2とした。
得られた下層付き支持体に、下記組成の第2層(上層)用塗布液をワイヤーバーで塗布した。塗布後、乾燥オーブンで、120℃で90秒間の乾燥を行い、総塗布量を1.1g/m2として実施例9〜12及び比較例5、6のポジ型平版印刷版原版を作製した。
<第1層(下層)用塗布液>
・前記共重合体1 2.133g
・シアニン染料A(前記構造) 0.098g
・シス−Δ4−テトラヒドロフタル酸無水物 0.110g
・4,4’−スルホニルジフェノール 0.090g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・エチルバイオレットの対アニオンを 0.100g
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン 0.030g
ヘキサフルオロホスフェート
・フッ素系界面活性剤 0.035g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 26.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g
・γ−ブチロラクトン 13.8g
<第2層(上層)用塗布液>
・メタクリル酸エチルと2−メタクリロイロキシエチルコハク酸
の共重合体 0.0350g
(モル比65:35、重量平均分子量78,000)
・クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック
(m−クレゾール:p−クレゾール=60:40、重量平均分子量:4100)
0.300g
・オニウム塩(表3に記載のオニウム化合物) 0.0150g
・酸発色性色素(表3に記載の化合物) 0.012g
・シアニン染料A(前記構造) 0.015g
・フッ素系界面活性剤 0.022g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 13.1g
・1−メトキシ−2−プロパノール 6.79g
<実施例9〜12及び比較例3の評価>
得られた平版印刷版原版を前記の方法で評価を行った。現像液は現像液Aを用いた。その結果を表3に示す。
Figure 2006292957
表3に示されるように、実施例9〜12の平版印刷版原版は、いずれも、画像再現性に優れ、溶解性ディスクリが良好であった。また、露光後の検版性にも優れていることがわかる。一方、(C)酸発色性色素を含んでいても、(B)オニウム塩を添加しなかった比較例5は、対応する実施例9に比べ、画像再現性に大きく劣り、露光後の検版性も低く、また、(B)オニウム塩のみを含み、(C)酸発色性色素を添加しなかった比較例6は、対応する実施例10に比べ、画像再現性が低く、露光後の検版性は大きく劣ることがわかる。
前記実施例1〜12より明らかなように、記録層の処方がかわっても、本発明の効果が得られることがわかる。
(実施例13〜16、比較例7、8)
得られた支持体Dに以下の記録層塗布液を塗布し、120℃で90秒間乾燥して、記録層を形成し、実施例13〜16及び比較例7、8の平版印刷版原版を得た。乾燥後の塗布量は1.60g/m2であった。
<記録層塗布液>
・フェノールクレゾール−ホルムアルデヒドノボラック
(フェノール:m−クレゾール:p−クレゾール=50:30:20、
重量平均分子量:6500) 1.0g
・オニウム塩(表4記載のオニウム化合物) 0.05g
・酸発色性色素(表4に記載の化合物) 0.036g
・シアニン染料A(前記構造) 0.05g
・ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを
1−ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料 0.01g
・フッ素系界面活性剤 0.05g
(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 9.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 9.0g
<実施例13〜16及び比較例7、8評価>
得られた実施例13〜16及び比較例7、8の各平版印刷版原版に対して、実施例1と同様の方法で評価を行った。現像液は現像液Aを用いた。その結果を表4に示す。
Figure 2006292957
表4に示されるように、実施例13〜16の平版印刷版原版は、いずれも、画像再現性に優れ、溶解性ディスクリが良好であった。また、露光後の検版性にも優れていることがわかる。一方、(C)酸発色性色素を含んでいても、(B)オニウム塩を添加しなかった比較例7は、対応する実施例13に比べ、画像再現性に大きく劣り、露光後の検版性も低く、また、(B)オニウム塩のみを含み、(C)酸発色性色素を添加しなかった比較例8もまた、対応する実施例13に比べ、画像再現性が低く、露光後の検版性は大きく劣ることがわかる。
また、実施例1〜12と実施例13〜16との対比において、記録層が単層の場合も重層の場合も、同様に本発明の効果を発現することがわかる。

Claims (1)

  1. 支持体上に、(A)赤外線吸収剤、(B)オニウム塩、及び(C)下記一般式(1)で表される酸発色性色素、を含有し、赤外線により記録可能な記録層を設けてなるポジ型画像形成材料。
    Figure 2006292957
    前記一般式(1)中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立に1〜3核の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、且つ、環B及び環Cの少なくとも1方に、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を有する。環B及び環Cは互いに結合基を介して結合してもよい。
    1はカルボニル基、チオカルボニル基、又は、−C(R5)=N−を表し、ここでR5は水素原子又は炭化水素基を表し、Q1は酸素原子、硫黄原子又はイミノ基を表す。R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。m及びnはそれぞれ独立に0又は1を表す。
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