JP2006292758A - 統合型2dゲル電気泳動方法およびシステム - Google Patents

統合型2dゲル電気泳動方法およびシステム Download PDF

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Abstract

【課題】2次元ゲル電気泳動に基づく、分析目的でのサンプル混合物の分離のための方法の提供。
【解決手段】該方法は等電点に基づく第一ゲルストリップ中での第一分離、および分子サイズに基づく第二ゲル中での第二分離を含む。2次元目での分離を開始するときに、1次元目で分離された化合物を2次元目のゲル中にトランスファーするためのバッファー溶液はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有し、電場をかけることによりSDSが動電学的に第一ゲルストリップ中へと移動し、そしてそれと同時に化合物がSDSと複合体化する。
【選択図】なし

Description

本発明は、2次元ゲル電気泳動に基づく、分析目的でのサンプル混合物の分離のための方法、特に、2次元ゲル電気泳動に基づくプロテオミクスにおける改善された方法に関し、そして統合化および自動化のためのシステムまたは方法を提案するものである。
2次元ゲル電気泳動(2D−GE)は、O’ Farrelにより一技術として最初に発表されたときから[1]、30年間近くプロテオミクス分析における主力技術であり、数多くの論文により立証され、開発および最適化についての無数の試みの対象となってきた。実際に改良が行われ、質量分析と直接組み合わせた多次元クロマトグラフィーのような異なるアプローチに基づく代わりの技術が一般的になってきてはいるが、2D−GEは事実、いまだに最も用いられる技術であり、さらなる改良が行われれば、まだ数年間はこれが続くものと思われる。いくつかの総説を文献中に見出すことができるので、その全ての変形における2D−GEの詳細および利点を記述することは本発明の範囲ではない。しかしながら、現行の一般的な方法の限界はどこか、そしてこれに関してはその方法の一般的な説明しかなされていないことを指摘することは重要である。
簡単に言えば、1次元目の分離は等電点電気泳動(IEF)からなり、ここでタンパク質は、ストリップの形状を帯び、そのように呼ばれる、長くて幅の狭い支持されたゲル内のpH勾配(典型的には固定化されている(IPG))中でその等電点により分離される。ストリップは市販されており、通常半乾燥状態で供給され、分析前にサンプル溶液で再水和しなければならない。この操作には数時間から典型的には一晩かかり、たいていは乾燥およびサンプル溶液中に存在する尿素の結晶化を防ぐためにミネラルオイルの下で行われる。IEFもまた同じ理由からミネラルオイル下で、側面で2つの電極と接触しているストリップを有する同じトレイか別のトレイ中で行われ、該電極間には高電圧がかけられる。IEF後は、ストリップを平衡化しなければならず、すなわちストリップ内でフォーカスしたタンパク質をまずアルキル化し、後に2次元目のゲルにトランスファーしてサイズに応じて分離するために、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)と複合体化させなければならない。還元/アルキル化は種々の試薬で行うことができ、このステップを再水和前のサンプル調製の間に行うという選択肢もある。実際はそのようにすることが推奨される[2]。しかしながら、SDS平衡化はIEF後にしか行うことができず、この操作によりストリップはSDSを含有する平衡化溶液中で数分間、文字通り洗浄される。それからこれを前重合したSDSポリアクリルアミドゲルの上端に接して載せ、通常熱したアガロース溶液をストリップの上に注ぐことによりカップリングさせる。この操作は多くの場合互いに固定された2枚のガラス板の間で行われ、その後バッファーを含有するカセット中に置かれ、ゲルを横切って電圧がかけられる。2次元目での分解能を上げるために、ゲルを、多孔率勾配を有して形成してもよい。これが完了した後、ゲルを取り出し、固定し、染色してバックグラウンドの染色色素を除き、そして最終的に次のステップ、すなわち、スポット回収(picking)、消化および質量分析へと進む。
これらの全てが時間のかかる、労力を要する手順であり、熟練者を必要とするばかりでなく、多くの手作業を含むことから、ほとんどの場合ゲルは比較するために作製することを考えると、再現性がいまだに大きな問題である。実施条件は、それらが正しい装置の構成および電源装置により制御されている場合は、特にいつも新鮮なバッファーを用いるならば、非常に再現性の高いものであるが、精度および一貫性に関する問題が、制御下に置かれるべき他の無数のパラメータにおける変動から生じうる。例えば、使用に先立ってプレキャストされたゲルの保存期間(劣化)、サンプルのロードおよび再水和、サンプル量に関してその損失、およびストリップの均一性、ストリップの扱い(損傷および汚染の危険を伴う)、1次元目と2次元目との間の平衡化(サンプルおよび分解能の損失の危険を伴う)、ゲルへの不正確なカップリング、ゲルキャストおよび重合、均一性に関して空気感受性および泡が入る危険(これもまた結果として電場の不均一性を引き起こす)などである。
理想的には、サンプルがロードされた後はさらなる手動操作の介入は必要としないこと、および方法にかかる全体の時間が減少することが望ましく、それにより数枚のゲルについて平行して実施することができるようになり、そして再現性のみならずスループットも上昇し、かつゲル当たりのコストは減少する。この複雑な方法のステップの自動化および統合化は、他の人々が既に向き合ってきた挑戦である。ゲルの代わりに分離のためのチャネルを用いるアプローチは、それらが直接的に比較しうるものでないので(それらの性能もそうであり、また異なるパラメータおよび限界が働くため)、本明細書中では考慮しない。
統合型で、完全自動化型であり、手動方法(サンプル調製およびストリップキャストも含む)をひとつひとつ模倣するシステムが、US 6554991 B1に記載されている。その後にロボット型装置が続いているが、操作の複雑さと必要とされる資本から、実際的な、広範な使用、特に比較的小さな研究室での使用には程遠い。US 2003/0127331には、2つのプレートにより形成される垂直の型の底部にキャストされたストリップを、IEFの後に移動させる必要がないシステムが開示されている。ストリップは、平衡化溶液を用いて処理することができ(明らかに一方の側からのみ)、そしてストリップと直接接して、またはアガロース層の上で、型内にゲル溶液を注ぐことにより、2次元目のゲルとカップリングすることができるものと解される。しかしながら、SDSがストリップ中を一方の側のみから拡散しなければならないため、平衡化の効率および/またはそれにかかる時間に関して疑念が残り、また1次元目で得た分解能を保つことができるのかどうかについても疑問である。重合法については何の言及もなされていないので、古典的な方法に伴う長い時間が、分解能の損失に関する懸念をさらに増大させる。また、ストリップを形成する方法およびサンプルを添加する方法はあまり再現性がなく、型の底部の密閉用つまみを最後に取り除かなければならないことは実際的ではない。EP 0366897では、非伝導性相変化材料によって当初ストリップを前重合ゲルから分離し、該材料を温度の上昇によりIEF後に融解させ、取り除いて他のゲル媒体に置き換えることが提案されている。しかしながら、平衡化ステップ、ならびにタンパク質およびゲルへの温度の影響に関する懸念についてはいかなる言及もなされておらず、この場合、型の上部の開閉に関する問題が残る。ストリップとゲルとの間の他の遮断方法が、WO 02/084273 A1で提案されている。そのうちの第一の実施形態では、スライド式の固体隔壁の使用については、この動作によって形成済ゲルが破壊されるかもしれないため、確実に最も有利なものではないと報告している。より興味深い解決策では、柔軟な伸展可能な材料、またはストリップの側方の部分壁よりなる空気圧支援バルブを用いており、このバルブは柔軟で剥離可能な箔上のゲルにも物理的に結合している。この箔は、向かい合う側の堅い表面に対する位置を変えることができ、したがってストリップチャンバーの開閉が可能である。この場合、1次元目の終わりにストリップチャンバーを開けた後、ゲル溶液を導入し、重合させる。平衡化溶液は、装置の堅い部分の上に付随して位置するスリットを介してストリップに接触することができる。結局この原理に基づく自動化システムは、近い将来、Nextgen Sciencesにより市販されるであろう。しかしながら、これは手動で行われるのと同じステップを再現してもいて、したがってバルブおよび可動性部品によるある種の複雑性を要し、装置のコストを上げ、またこれは手ごろな価格で購入できるものではない。このシステムの他の弱点は、サンプルの無駄な容量(dead volume)、1次元目と2次元目との間の平衡化およびゲル重合のための長い待ち時間によるある程度の分解能の損失に代表される。US6277259には、薄い線状ゲルを用いた、タンパク質の自動化された2次元ゲル電気泳動が記載されている。タンパク質サンプルを溶解し、複合体化し、1次元目の分離処理をした後、2次元目の分離中にタンパク質サンプルを検出できるように色素、例えば蛍光ラベルで標識した2次元目の分離に移行させる。WO03/092846には、2次元分離を行うための、ミクロチャンネルを用いたミクロ流体形式の2次元分析が記載されている。
US 6554991 B1 US 2003/0127331 EP 0366897 WO 02/084273 A1 US6277259 WO03/092846 O’ Farrell, P. H. J. Biol. Chem. 1975, 250, 4007-21. Herbert ら Electrophoresis 2001, 22, 2046-2057. Sebastiano ら Rapid Commun. Mass Spectrom. 2003, 17, 2380-2386. Li ら Anal. Chem. 2004, 76, 742-48.
結果として、本発明の課題は、2次元ゲル電気泳動分析に基づくプロテオミクスにおける改良された方法、ならびに個々のシステムまたは個々の方法を提案することであって、それらは上述のステップの少なくとも部分的な自動化および統合化を可能とし、大半がいまだ手動で実施されている当技術分野の技術水準で公知の処理ステップに関する、上記の問題点および欠点を克服するのを助けるものである。
したがって、本発明は、2次元スラブゲル電気泳動に基づく、分析目的でのサンプル混合物の分離のための方法であって、等電点に基づく第一ゲルストリップ中での第一の分離、および分子サイズに基づく第二架橋ゲル中での第二の分離を含み、2次元目での分離を開始するときに、1次元目で分離された化合物を2次元目のゲル中にトランスファーするためのバッファー溶液がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有しており、電場をかけることによりSDSがバッファーから第一ゲルストリップ中へと動電学的に移動し、かつそれと同時に化合物がSDSと複合体化し、第二の分離ゲルはSDSを含有していてもいなくてもよいことを特徴とする、上記方法を提案する。また、本発明は、本発明の上記方法に従って、2次元スラブゲル電気泳動に基づく、分析目的でのサンプル混合物の分離のための分析システムであって、親水性材料よりなる第一ゲルストリップを用いる、上記システムを提案する。
本発明は、先行する使い捨ておよび自動化コンセプトの新世代であって、簡便性を増し、コストをさらに抑え、かつより高い分解能および再現性を提供するものに関する。これを実現するために、上述の一般的方法の改変は必須であった。したがって本発明の説明は、統合型自動化システムを得るために各ステップにおける可能な条件および実施形態を示す方法の説明である。
簡潔化のために、また本発明のよりよい理解のために、2次元ゲル電気泳動分析のための種々の方法および処理ステップを、操作の順に説明する。以下は開発された方法の実施中に含まれるステップの簡単なリストであり、そのそれぞれに対する考察は後に述べる。
1. IEF(等電点電気泳動)に先立って還元/アルキル化を行う。
2. サンプルをロードする。
3. 以下に提案する方法のいずれかによりIEFを実施する。
4. ストリップとゲル型のストリップに向かい合った表面との間の間隔を広げる。
5. 2次元目の分離のためにゲル溶液を加え、同時にカップリングさせ、そして重合を行う。
6. フォーカスしたタンパク質に対して動電学的にSDSを加える。
7. ランニング・バッファーを取り替え、2次元目を実施する。
8. ゲル型を開け、ゲルを取り出す。
9. 固定および染色を行う。
様々なステップについての以下の説明の中で、添付の図面についても言及する。図面には可能な実施形態および本発明で開発されたシステムまたは装置の部品が示されている。
ステップ1
還元/アルキル化は[3]に従ってサンプル調製の最終ステップとしてサンプルのロードの直前に行う。同じ還元剤およびアルキル化剤、すなわちトリブチルホスフィン(TBP)およびビニルピリジン(VP)を用いるのが好ましく、ただし該方法のわずかな改変を伴う。アルキル化反応を起こすためにサンプル溶液の緩衝は必要でないことが見出されており、したがって塩濃度の無駄な上昇(脱塩を行わない限り、高電流およびより長いIEF時間をもたらす)は回避される。さらに、該2つの試薬は互いに反応しうるので、同時ではなく2つの連続するステップにおいてTBPおよびVPを添加することがより効率的であると考えられている。この場合、より短い反応時間(例えば全体で30分)も必要である。一例として、タンパク質サンプルを可溶化するために用いる典型的な溶液は以下よりなる(当然、変形が許される)。
Figure 2006292758
これに対してTBPを、例えば初めに5mMの濃度で約10分間加え、次にVPを終濃度20mMで約20分間加え、そして、ジチオエリトリトール(DTE)のような別の還元剤ではなく、再びTBPを前の試薬の過剰分を打ち消すのに十分なモル量添加する。
1,2−プロパンジオール(例えばグリセロール、PEG、ジエチレングリコールのような他の可能なものよりも好ましい添加剤)はIEF中のEOF(電気浸透流)を最小化するためのものであり、かつサンプル溶液の粘度を低く保つ(これは以下に現れるサンプルロードステップにとって重要である)。
ステップ2
サンプル(例えば上記の溶液中の)は例えばピペットにより小さなサンプルウェルに挿入され、該サンプルウェルから、サンプルは、ストリップとストリップに直接向かい合った使い捨て容器本体の内側の表面に接触するに至り、そして図1に規定され、示されている通りに、本発明で提案するように毛管親水力によって導かれて当該表面と半乾燥ストリップとの間の空間全体を占めることができる。図1では、2Dゲル電気泳動装置または使い捨て容器内に配置された第一ゲルストリップの一部が長軸断面で示されている。サンプル1は、上記のようにサンプルウェル3に挿入され、親水性ゲルストリップ7に沿った毛管通路5に沿って、矢印で示した方向に導かれる。好ましくは(しかし必要ではないが)、ストリップに対応する領域は親水性であり、使い捨て容器本体11の表面9の残りの少なくとも一部は疎水性か、そうでなければゲルに粘着しない性質のものである。サンプル誘導に対する寄与は、単に使い捨て容器本体上に描かれた2本の平行な線(底面にストリップのサイズを再現する)によってももたらされる可能性がある。ゲル粘着性は、ストリップが付着する同じカバー部面上では望ましく、これは全て親水性であるか、ゲル接着性を有することができる。例えばこれが箔であれば、利点は最終的にそれをゲルと共に剥ぎ取ることができ、操作を容易にし、かつ破損の危険性を最小限にすることである。ロードを支援するために加圧または真空を用いてもよいが、一般的には回避されうる。この制御された方式では、ストリップの再水和に必要な量に正確に対応するサンプル容量を導入することができ、無駄は最小限になる。サンプルのロード、再水和およびIEFは好ましくは使い捨て容器を水平の位置にして行う。
ステップ3
ストリップ7はバルブによってその側面で閉鎖されている必要がないことに注目すべきである。ゲル型は全ての側面でほとんど閉鎖されており、また例えば冷却プレート上に使い捨て容器を置くことで好ましくはIEF中は温度が低く保たれるので、蒸発は最小限に抑えられる。市販のストリップを用いることができ、それらは既に密閉された小型の使い捨て容器中に統合されているか、そうでなければカバー部(使い捨て容器本体を閉じる)に付着して別々に供給されるものと思われる。ストリップはまた、親水性誘導(この場合両方の表面におけるもの)と同じシステムを用いてその場で重合してもよく、またはそうでなければ親水性中性多孔性材料(例えばストリップの形のメンブレン)を用いてもよい。しかしながらこの場合、受動的な再水和の代わりに、能動的なサンプルのロードを行うこととなるであろう。また、新規のIEF媒体も本明細書中に開示され、これはサンプル溶液とプレミックスし、上記のように誘導されてストリップの形になり、そして室温よりもわずかに高く温度を上昇させたときにゲル化しうるものでありうる。このような性質の媒体は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーであり、BASFにより販売されているプルロニック(Pluronics*)として知られる市販の製品に属する。好適とされうるものは、上記のようにサンプル溶液と混合したときに約20%以上の濃度である、例えばプルロニック(Pluronic)F127である。この製品は、他の商業的用途のほかに、オリゴヌクレオチドやある場合にはペプチドのキャピラリー電気泳動での有効な篩媒体として既に用いられてきているが、タンパク質のIEFのために用いられたことはない。臨界濃度で水溶液に溶解したときのこのコポリマーの通常の特性は、低温(典型的には<5℃)では液体であり、室温では一種の液晶ゲルとなる。サンプル溶液中の尿素、チオ尿素、両性電解質および界面活性剤の存在はゲル化点を30〜35℃より高く推移させ、したがって室温で液体(ただし粘性)となり、取り扱いおよび誘導が容易になる。キャピラリー電気泳動およびストリップの形での両方で、図2および3に示したように、よくフォーカスしたタンパク質を得ることが可能であった。図2には、等電点電気泳動ステップ後の、分離して位置するタンパク質成分17を有するプルロニックストリップ15が示されている。図3には、プルロニック充填キャピラリーでのキャピラリーIEFによる同じサンプルの分離がグラフの形で示されている。ここで、線CはIEF中の電流低下を表し、線Pは移動によるIEFピークを示す。キャピラリー電気泳動での利点は、ポリマー自身の動的コーティング特性により、未コートのキャピラリーを用いることができる点である。
ステップ4
少なくとも市販のストリップについて、経験される問題点は、ストリップおよび2次元目のゲル(ストリップと直接的に接するように重合される)が同じ厚さを有する場合の、2次元目の再現性のなさに代表される。一方で、正しい量のサンプルを導入するため、良好な毛管力を利用するため、および良好な1次元目の分析を行うためには、再水和したストリップの厚みに対応する型の開きが必要である。他方、ゲルとの適格なカップリングを実現するため、および良好な2次元目の分析を行うためには、ストリップ上の小さな空間が必要である。この問題点を解決するために、3つのありうる解決策を図4〜6に模式的に示す。図では分析用使い捨て容器の一部が第一ゲルストリップ7の領域において断面図で示してある。1つの方法は、ゲル型が一定の厚みを備え、ストリップに対応する部分のみにおいて厚みを変えることである。例えば、あるものは使い捨て容器本体11にスリット21を有することができ、ここで親水性底部24を有する調整バー23は、図4aおよびbに示されている2つの許容される位置に合わせて自動的に下降するかまたは上昇する。図4bには、ストリップ7の上に空隙25を形作って上昇した調整バー23が示されている。しかし他の変形も可能であり、例えばストリップを動かすためにそれが硬性または弾性の構成部分に付着している。別の方法は、2つの許容される位置の間で、ゲル型全体の空間配分を変化させることである。この目的のためには、弾性の圧縮可能フレーム27(Oリング状)を型の2つの面12および14の間に挿入することができ、図5aおよび5bに示されている通りであり、これらについては別の形状を描くことも可能であった。図5aに示されているように該フレームが押しつぶされたときには、2つの面12および14が互いに接触するようにすることができ、図5bに示されているように、圧縮可能フレームが膨大したときには、型の上側面12とゲルストリップ7との間に中空部または空隙25が形作られる。図6に模式的に描いたようにストリップと対応させて、ストリップ7と同じ高さを有する好適な中空部25を作ることができる。図6aには圧縮可能フレームは押しつぶされた形で示され、図6bでは圧縮可能フレームは膨大した状態で示されている。サンプルのロードのメカニズムは、好ましくは同じままであるが、ストリップの周りの空気容量は減少するものと思われる。
ステップ5
より制御しやすいゲル注入のために、このステップは好ましくは垂直で行う。すなわち装置が使い捨て容器を90°回転させる。ゲル溶液の導入は適当なチューブ部品または針を介して、底部から頂部に向かって、または頂部から底部に向かってのいずれかで行うことができ、ストリップは垂直の型に対して4つの側面のいずれに位置していてもよい。このようにして、ゲル溶液は型を完全に満たし、少なくとも部分的にストリップと接触するか、それを覆うかおよび/または包み込む。1次元目の分解能およびストリップ内でのアクリルアミドの拡散(サンプルに対するおこりうる架橋を伴う)を維持するためには、重合が迅速に行われるのが好ましい。この理由から、過硫酸アンモニウム(APS)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)をそれぞれラジカル重合の開始剤および触媒として用いる慣例的な方法は好ましくない。なぜならこれらの試薬は、注入時にはそれらはすでに重合を開始しているので最後に添加して混合しなければならないからであり、また、反応は完了までに通常1時間より長くかかってゆっくりと進むからである。理想的には、ゲル溶液は重合のための試薬をあらかじめ含有し、保存条件下では安定であるが、例えば外的エネルギー源によって反応が引き起こされたら、反応が迅速に進み、一方一般的な篩ゲルの特性は維持していることも重要である。これは、例えば波長範囲がその吸収スペクトルを含む光源に曝露されるまではアクリルアミドゲル溶液中で安定な開始剤を選択して行うUV開始重合によって達成することができる。したがって、使い捨て容器にはUV透過材料を使用するべきである。これらの化合物は一般的に極性を有さず、したがって水溶液にはあまり可溶性ではないので、ゲル溶液の改変が必要である。例えばゲルの性能を損なわない10%までのジエチレングリコールを用いることができる。好適な開始剤は、0.05%以下の濃度の例えば2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPA)である。これによれば、十分な出力のUVA光にゲル型を曝露することで、5分未満で完全な重合を行うことができる。
光重合はそれ自体新規なものではないが、本発明者の知る限りこれが2次元ゲルに基づくプロテオミクスに適用されたことはない。
ステップ6および7
この時点で、等電点でストリップ内のバンド中にフォーカスされたタンパク質を有するストリップがゲルとカップリングしている。しかしながら、このことは、正味ゼロの電荷を有するためにそれらが2次元目の分析のためにゲルにトランスファーされえないことを意味する。実際にはそれらは事前にアルキル化されているがドデシル硫酸ナトリウム(SDS)とはまだ複合体化していない。SDSはそれらに正味の負電荷を与え、一定比率でそれらに結合することで、それらはゲルの篩マトリックスを通してサイズに従って分離されるようになる。SDSをタンパク質に加える1つの方法は、陰極用バッファー貯蔵部からの動電学的なものである。しかしながら、ランニング・バッファー中に存在するよりも高いSDS濃度が必要である(例えば0.1または0%に対して2%)。このことは2つのことを暗示している:まず、陰極のバッファーを動電学的平衡化の後に取り替えるかまたは希釈する必要があり、第二にストリップからバッファーまでの距離は好ましくは小さくあるべきであり(例えば<5mm)、これは高いSDS濃度でゲルに入る領域を最小限にするためである。しかしながら、結果として得られる効果は標準的な方法よりも優れている。SDSがゲル中に移動してタンパク質バンドと出会うと、これらは尾部から移動し始め、頭部はそのままとなる。結果として、ゲル内での移動および分離を始める前に、バンドがストリップの反対側で徐々に圧縮されるというスタッキング効果が見られ、これは言い換えると、分解能の向上を意味する。その点に関して、図7では、大腸菌溶解物の2D分離(150μgの総サンプル量を、7cm、pH範囲4〜7のIEFストリップにロードし、2次元目の分離は本発明方法に従ってSDS動電学的平衡化に基づいて実施した)の結果が示されている。図7に示されている達成された分解能は、当業者にとって明りょうなものと思われ、質量分析により確かめられ、これにより人工産物の不在もまた証明された。タンパク質がSDSと複合体化すると、相互作用は十分に強固であり、実際上はSDSが初めからゲル溶液中に存在する必要がない。このようにして、本発明者はゲル溶液からストリップ内へとSDSが拡散すること(それによりタンパク質の部分的な複合体化が引き起こされ、説明したスタッキング効果を妨げる可能性がある)がないことも確認する。第一バッファーを用いたSDS動電学的平衡化は好ましくは分離条件よりも弱い電場において行う。例えば約5〜6v/cm以下の範囲の電場を用いる。このステップは概ね5〜10分を要し(この時間はSDSがストリップを通り抜けるのに必要である)、その後、例えばバッファー交換に必要な時間、泳動を一旦停止し、陰極のバッファーを置き換えるかまたは希釈(少なめの容量から始めた場合)し、迅速な分離のためにより強い電場にて泳動を再開し、その間、効率的な冷却により熱を放散する。強いほうの電場の強度はシステムに依存し、かつ好ましくは例えば約20ボルト/センチメーターより強い。強い電場を用いるならば、システムにはより高い冷却容量を用いなければならない。好ましくは、図5および6に関して、例えば上記のような押しつぶし可能な外枠によって、ゲル型を2つの面の間の全ての側面で閉じる。バッファーを型の2つの向かい合う端部および2つの平行するスリットを介して同じ面でゲルに接触させ、スリットの一方はストリップと一方の端部との間に位置し、上記の理由により可能な限りストリップに近づける。スリットはまた、ストリップからの効率よい蒸発およびストリップの乾燥を防ぐために、また垂直の位置での注入の際のゲル溶液の漏れ出しを避けるために、好ましくは閉じられている。スリットは例えば必要なときに必要な位置にのみ、装置に統合されたブレード機能を用いて薄い内張り(例えば射出成形により作られる、使い捨て容器本体の物理的に統合された部分である)を切り開くことにより作り出してもよい。そうでなければスリットを多孔性メンブレン(例えばポリエチレン、PES(ポリエーテルスルホン)、ポリプロピレン、またはPET)により塞いでもよく、該メンブレンは適当な厚さと多孔度を有し、注入時のゲルの押し出し圧には耐えるがSDSを含有するバッファー溶液により湿らせることができ、したがってゲルとの電気的接触を設けるものである。自動化の観点から、テープまたは接着可能なつまみ(tab)を用いることは避けるのが好ましい。
フォーカスしたタンパク質を可動化するためにSDSを動電学的に運ぶ方法は新規ではない。1つの以前に公表された研究[4]があるが、これはまず微小流動性チャンネル内にタンパク質をフォーカスさせ、そして分離した領域を側方のチャンネルへと移動させるためには動電学的に導入したSDSを必要とする、というものである。本明細書中では、その代わり、2次元ゲル電気泳動への最初の応用を報告し、またストリップとゲルとの間でのスタッキング効果を初めて記載している。
ステップ8および9
サンプルのロードからこの時点までは全てのステップを自動化することができた。2次元目の泳動が完了したら、実施者は装置から使い捨て容器を手動で取り出し、ゲルをはずすことができる。好ましくは、より簡便な操作のためには、ゲルを型の表面の一方(使い捨て容器本体またはカバー部面のいずれか)に付着したままにする。ここで該表面は硬性プレート(例えばガラスもしくはポリマー)またはポリマー性のより柔軟な箔のいずれかよりなってもよい。したがって、ゲルが粘着する表面は、重合プロセスにより化学的に影響を受けうる(chemically accessible)ものであり、他方はラジカル重合に対して化学的に不活性でなければならない。支持されたゲルは、その後、固定および染色のための慣習的な手順に従って処理することができる。
結語
本明細書中に開示した方法は2次元ゲル電気泳動のためのものであり、先行技術に照らして以下の利点を提供する。
・SDS動電学的平衡化によるスタッキング効果の結果としての2次元目での改善された分解能。
・先行するアルキル化とSDS動電学的平衡化とが合わさって、1次元目と2次元目との間に平衡化溶液でストリップを処理する必要性を排除する。このことは、ストリップの取り扱いもしくは移動またはバルブを用いてストリップを閉じることが回避され、余分なバッファーが回避され、カップリング用アガロースまたは他のスタッキング・ゲルの使用が回避され、操作(手動または自動)の複雑さが低減され、時間が短縮される(これは拡散によるバンドの広がりを最小限にすること、したがって第一分離においても分解能が改善することも意味する)ことを意味する。そして、偶発的なタンパク質の洗い流し(平衡化溶液を用いる際におこりうる)はもはや問題ではない。最後だが決して軽んじられることではないが、再現性を保証することができる。
・迅速に重合することが可能で外的な光源が適用されるまでは安定なゲルの処方の使用により、ゲル調製に伴う問題が回避され、IEF前にゲルを前重合させることおよび隔壁によってそれをストリップから分離することの必要性が回避され、他の場合には長い待ち時間(ストリップ内での分解能の損失を結果として伴う)が回避される。
・ストリップに対応する任意的な親水性パターン付けまたは道筋付け誘導(track guiding)は、サンプルのロードおよび再水和を容易にし、かつより再現性よくし、同時にバルブもしくは不混和性液体遮断剤(例えば粘性のあるミネラルオイル)(これは後で洗い落とすことが必要である)の必要性を回避させる。さらに、非IPGストリップをその場で形成することを可能にし、これに対しては新規なゲル媒体を提案する。これは重合の必要なしに温度の上昇によって液体から固体へと相を転換するという利点を有し、サンプルと均一にプレミックスして液体としてストリップの形状に形作り、そしてIEFの前かまたは2次元目とカップリングするときにゲルへと変化することができる。
・ゲルの内部間隔またはゲル空間の一部を改変することにより、1次元目から2次元目へのフォーカス済みタンパク質の効率的なカップリングおよびトランスファーが可能になる。
・本方法のステップは、デバイスおよび装置の適切な設計により統合化することができ、すなわち、使い捨てで、複雑でなく、低コスト、手ごろな値段の処理装置が可能である。
・全体としてより短い分析時間およびより高いスループットを達成することができる。
種々の新規な態様および利点を、2次元ゲル電気泳動分析の実施のために全体の方法およびプロセスの中で上記に順に記載してきたのであるが、個々の処理ステップの本発明の新規な態様の一部は個別に考慮することができ、すなわち、当該技術分野の技術水準から公知の処理ステップと組み合わせることができる。原則的に、先行技術に照らして新規性および進歩性を有する多様な個々の態様は個別の発明とみなすことができ、上記で開示したような他の新規性および進歩性を有する態様と必ずしも組み合わせる必要はない。
2Dゲル電気泳動装置または使い捨て容器内に配置された第一ゲルストリップの一部を長軸断面で示す。 等電点電気泳動ステップ後の、分離して位置するタンパク質成分17を有するプルロニックストリップ15を示す。 プルロニック充填キャピラリーでのキャピラリーIEFによる図2と同じサンプルの分離をグラフの形で示す。 分析用使い捨て容器の一部を第一ゲルストリップ7の領域において断面図で示す。 分析用使い捨て容器の一部を第一ゲルストリップ7の領域において断面図で示す。 分析用使い捨て容器の一部を第一ゲルストリップ7の領域において断面図で示す。 大腸菌溶解物の2D分離の結果を示す。

Claims (30)

  1. 2次元スラブゲル電気泳動に基づく、分析目的でのサンプル混合物の分離のための方法であって、等電点に基づく第一ゲルストリップ中での第一の分離、および分子サイズに基づく第二架橋ゲル中での第二の分離を含み、2次元目での分離を開始するときに、1次元目で分離された化合物を2次元目のゲル中にトランスファーするためのバッファー溶液がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有しており、電場をかけることによりSDSがバッファーから第一ゲルストリップ中へと動電学的に移動し、かつそれと同時に化合物がSDSと複合体化し、第二の分離ゲルはSDSを含有していてもいなくてもよいことを特徴とする、上記方法。
  2. 複合体化がSDSの流動方向に、すなわち第一ゲルストリップの第二ゲルに向かって反対側から正面側の方向に進んで行われ、それにより、移動中の化合物が、第二ゲルへ移動する前に該正面側に少なくとも部分的に圧縮されるかまたはスタッキングすることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 成分の複合体化のためにSDSを第一ゲルストリップに導入した後に、複合体化成分の第二ゲルへの移動の開始時と比較して少なくとも同じかまたはそれより強い電場をかけることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. SDS複合体化の第一ステップ、すなわち平衡化の間のバッファー溶液が、約1〜3%の範囲、好ましくは約2%のより高いSDS濃度を有し、そして複合体化成分の第二ゲルへのトランスファーのときおよび第二の分離の間にはSDS濃度が希釈またはバッファー交換によりゼロに低減されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 2次元スラブゲル電気泳動に基づく、分析目的でのサンプル混合物の分離のための方法であって、好ましくは請求項1〜4のいずれか1項に従って、等電点に基づく第一ゲルストリップ中での第一の分離、および分子サイズに基づく第二ゲル中での第二の分離を含み、第二ゲルの形成のために、保存条件下では安定な、重合のための試薬を既に含有するゲル溶液が用いられ、それを用いた重合は、可視光、UV光、または他の適切な放射線のような外的エネルギー源の適用により開始することができることを特徴とする、上記方法。
  6. 保存条件下では安定であって波長範囲がその吸収スペクトルを含む光源に曝露されたときに重合を開始するUV開始剤をアクリルアミドゲル溶液中に用いることを特徴とする、請求項5記載の方法。
  7. アクリルアミドゲル溶液と混和性の溶媒または添加剤、すなわち好ましくはグリコール溶液、より好ましくはジエチレングリコールが、約5〜20%の範囲で、約0.2%以下、例えば約0.05%の濃度の、例えば2,2’−ジメチルオキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPA)のような開始剤と共に用いられていることを特徴とする、請求項5または6記載の方法。
  8. 分析2D電気泳動用使い捨て容器へのゲル溶液の注入または充填を、好ましくは少なくともほぼ垂直に行うことを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 第二ゲル形成のためのゲル溶液を、該ゲル溶液または重合済みゲルが少なくとも部分的に第一ゲルストリップと接触するか、それを覆うかまたは包み込むように挿入することを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. 2次元スラブゲル電気泳動に基づく、分析目的でのサンプル混合物の分離のための方法であって、好ましくは請求項1〜9のいずれか1項に従って、等電点に基づく第一ゲルストリップ中での第一の分離、および分子サイズに基づく第二ゲル中での第二の分離を含み、1次元目の分離で分析のために分離されるサンプルのロードの前に、還元/アルキル化工程を実施することを特徴とする、上記方法。
  11. 分析のために分離されるサンプルの還元/アルキル化を、好ましくはサンプル溶液を緩衝せずに、トリブチルホスフィン(TBP)およびビニルピリジン(VP)を用いて実施すること、および該反応を、最初にTBPを添加し、次にVPを添加する2つの連続するステップにより行うことを特徴とする、請求項10記載の方法。
  12. グリセロール、またはPEGもしくはジエチレングリコールよりはむしろ1,2−プロパンジオールのような添加剤を、好ましくは1次元目の間に電気浸透流を低減するためにサンプル溶液に添加するが、サンプルのロードに重要なサンプル溶液の粘度は低く保たれることを特徴とする、請求項10または11記載の方法。
  13. 還元/アルキル化を、例えばチオ尿素、尿素、CHAPS、両性担体、任意成分としてのブロモフェノールブルーおよび1,2−プロパンジオールを含有する溶液中でのタンパク質サンプルの最初の可溶化により実施し、該溶液に対してまずTBPを添加し、続いてVPを添加することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. 2次元スラブゲル電気泳動に基づく、分析目的でのサンプル混合物の分離のための方法であって、好ましくは請求項1〜13のいずれか1項に従って、等電点に基づく第一ゲルストリップ中での第一の分離、および分子サイズに基づく第二ゲル中での第二の分離を含み、還元/アルキル化済みサンプル溶液を第一ゲルストリップの一点において分析用使い捨て容器中に挿入すること、ここで第一ゲルストリップが親水性ゲル材料よりなる、およびサンプル溶液を、物理的隔壁または遮断用液体を用いずに、毛管親水力により第一ゲルストリップ上に導くかまたは行き渡らせることを特徴とする、上記方法。
  15. サンプル導入の前に、第一ゲルストリップより上側で、該ストリップおよび例えば使い捨て容器本体のストリップと向かい合う表面との間に空隙を設け、該向かい合う表面の、少なくとも該空隙側が疎水性もしくはゲルに対して非粘着性の材料からなるかまたはそれに覆われていることを特徴とする、請求項14記載の方法。
  16. 2次元スラブゲル電気泳動に基づく、分析目的でのサンプル混合物の分離のための方法であって、好ましくは請求項1〜15のいずれか1項に従って、等電点に基づく第一ゲルストリップ中での第一の分離、および分子サイズに基づく第二ゲル中での第二の分離を含み、第一ゲルストリップとして、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーを用いることを特徴とする、上記方法。
  17. まずエチレンオキシドとプロピレンオキシドからなるコポリマーを水に溶解すること、次にサンプル混合物溶液に尿素、チオ尿素、両性電解質および任意成分としてさらに界面活性剤を添加すること、最後に該溶液を約30〜35℃より高い温度、すなわち該溶液のゲル化点より高い温度まで加熱することにより、第一ゲルストリップを作製することを特徴とする、請求項16記載の方法。
  18. サンプル混合物溶液をゲル化の前にコポリマー溶液と混合すること、および1次元目でのIEF分離の前または後にサンプルとプレミックスしたコポリマー溶液をストリップの形に成形し、ゲルに転換することを特徴とする、請求項17記載の方法。
  19. 分析用使い捨て容器内の型の表面を前処理し、一方の表面、例えば本体表面がゲルに対して化学的に不活性となり、かつ例えばカバー部が第二ゲル形成の重合化工程により化学的に影響を受けうるようにして、それによりゲルが例えばカバー部表面に粘着できるようにし、その結果、最終的に2次元目の分離の後の分離された成分を含有するゲルが、使い捨て容器からカバーを取り外したときに一方の表面に付着したままとなる、ことを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
  20. 請求項1〜15および19のいずれか1項記載の方法に従って、2次元スラブゲル電気泳動に基づく、分析目的でのサンプル混合物の分離のための分析システムであって、親水性材料よりなる第一ゲルストリップを用いる、上記システム。
  21. サンプル導入の前に、第一ゲルストリップより上側で、該ストリップおよび例えば使い捨て容器本体のストリップと向かい合う表面との間に空隙を設け、該向かい合う表面の、少なくとも該空隙側が疎水性もしくはゲルに対して非粘着性の材料からなるかまたはそれに覆われていることを特徴とする、請求項20記載のシステム。
  22. 第一ゲルストリップがエチレンオキシドとプロピレンオキシドとに基づくコポリマーよりなる、請求項16〜18のいずれか1項記載の、2次元スラブゲル電気泳動に基づく、分析目的でのサンプル混合物の分離のための分析システム。
  23. 第一ゲルストリップより上側で、使い捨て容器本体内にスリットが配置され、該スリットはその中に挿入される調整用バーを備え、該調整用バーは、第一ゲルストリップと使い捨て容器本体との間の空隙をなくすかまたは作り出すために自動的に下降するかまたは上昇することが可能であり、該ストリップにぴったりとまたはほとんど対応する、請求項20〜22のいずれか1項記載のシステム。
  24. システムの使い捨て容器本体が、動かすことができるカバー部プレートおよび底部プレートからなり、該2つのプレート間の距離が可変となっていること、および該2つのプレート間に、弾性的で圧縮可能な外枠が、該2つのプレート間の距離および/または第一ゲルストリップと向かい合う表面との距離を変える目的での該2つのプレートの動作のために、例えば圧縮可能O−リング様シールの形態で配置されていることを特徴とする、請求項20〜22のいずれか1項記載のシステム。
  25. 使い捨て容器の少なくともほとんど垂直の位置に、重合前に第二ゲル溶液を挿入するための開口部、部品等が備えられている、請求項20〜24のいずれか1項記載のシステム。
  26. 第二ゲルの挿入のための型が、第二ゲル溶液の挿入の際に第一ゲルストリップが少なくとも部分的に接触するか、覆われるかまたは包み込まれるようになっている、請求項20〜25のいずれか1項記載のシステムまたは使い捨て容器。
  27. 2次元目に必要な陰極用バッファーと第一ゲルストリップとの間に、例えば5mm以下のわずかな距離しか設けられていないことを特徴とする、請求項20〜26のいずれか1項記載のシステムまたは使い捨て容器。
  28. 型の2つの向かい合う端部において、平行な注入口様スリットがバッファー溶液の導入のために配置され、1つの注入口様スリットは好ましくは第一ゲルストリップの近傍にあり、2つの注入口様スリットが、メンブレン、箔様カバー等により閉鎖可能であって、それらはゲル注入時の押し出し圧には耐えるがSDSを含有するバッファー溶液により湿らせることができ、したがってゲルとの電気的接触を設けるものであることを特徴とする、請求項20〜27のいずれか1項記載のシステムまたは使い捨て容器。
  29. 型の2つの向かい合う端部において、使い捨て容器本体内のバッファー用コンパートメントとゲル用コンパートメントとの間に平行な薄い帯状部分が配置され、該帯部分は例えばシステムに統合されているブレード機能により切断可能であり、該帯部分は、使い捨て容器本体に物理的に統合された部分であって、例えば射出成形により作り出された2つの平行な帯部分がゲル注入の間は閉鎖されているがバッファー溶液と型中のゲルとの間の接触を可能にするために切断可能であることを特徴とする、請求項20〜27のいずれか1項記載のシステムまたは使い捨て容器。
  30. タンパク質の分析用分離のための、請求項1〜19のいずれか1項記載の方法の使用。
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