JP2006292714A - 多孔体の酸素拡散係数測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸素拡散係数測定装置は、混合気タンク10と、ガルバニ式酸素濃度センサ20と、酸素濃度センサ20を収容する透過気タンク30とを備え、温度と湿度を制御可能な恒温槽50に収容される。混合気タンク10には、酸素濃度が既知の酸素混合気体が充填される。酸素濃度センサ20は、カソード22とアノード24を有し、電解液26が充填され、カソード22には酸素交換膜28が被覆される。
多孔体100は、混合気タンク10のキャップ11と、透過気タンク30のキャップ21にホルダ110を装着し、酸素拡散係数測定装置にセットされる。
【選択図】図1
Description
本装置は、酸素濃度既知の酸素混合気体を収容する混合気室と、酸素濃度センサと、この酸素濃度センサ収容する透過室と、透過酸素量測定手段とを備えるもので、
上記多孔体の少なくとも1対の面のうちの一方の面が上記混合気室内に曝され、他方の面が上記透過室に曝されて配置され、且つ上記混合気室と上記透過室とは上記多孔体を介して連通している、ことを特徴とする。
上述の如く、本発明の酸素拡散係数測定装置は、相互にほぼ平行な少なくとも1対の面を有する多孔体における酸素拡散係数を測定する装置であり、酸素濃度既知の酸素混合気体を収容する混合気室と、酸素濃度センサと、この酸素濃度センサを収容した透過室を備える。
なお、「ほぼ平行」とは、本発明に係る酸素濃度測定に影響を及ぼさない程度に平行で無い場合をも包含する意である。
具体的には、表面と裏面とがほぼ平行をなす板状多孔体や円板状多孔体、頂面と底面とがほぼ平行をなす柱状多孔体や円柱状多孔体を挙げることができる。
よって、本発明によれば、水分を含むことが多い燃料電池のガス拡散層や触媒層であっても、その酸素拡散係数を簡易且つ良好な精度で測定することができる。
なお、本発明の酸素拡散係数測定装置を用いて多孔体の酸素拡散係数を測定するに際しては、多孔体のほぼ平行な2面間の距離、典型的には厚さ、を予め測定しておくことが望ましい。
同様に、透過室も気密性を有し、酸素濃度センサを収容できれば十分であるが、測定時に多孔体を保持するホルダを装着できるものであることが好ましく、本発明において、透過室と混合気室とは多孔体を介して連通が図られることになる。
このようなガルバニ式酸素濃度センサを用いれば、多孔体を介して透過してきた酸素を吸収できるとともに、その透過量と濃度が測定できる。
更に、多孔体を介して混合気室から透過してきた酸素混合気体の酸素濃度(既知)と、ガルバニ式酸素濃度センサが検出した酸素透過量と濃度より、多孔体の一方の面と他方の面における酸素濃度(又は分圧)差を算出できる。
測定対象である多孔体の酸素拡散係数が比較的大きい場合には、透過室に相当量の酸素が充填されることになるが、このような脱酸素材を用いれば、拡散係数測定に必要のない余剰の酸素を除去し易くなる。
また、脱酸素材としては、有機カルボン酸などを挙げることができ、これらは単独又は任意に組み合わせて用いることができる。
なお、説明の便宜上、板状多孔体などの一方の面を「表面」、他方の面を「裏面」と称することがあるが、これらは相互に等価な部位であり、これらの名称を置換したものも本発明の範囲に含まれる。
図1は、本発明の酸素拡散係数測定装置の一実施例を示す断面図である。
同図において、この酸素拡散係数測定装置は、混合気室の一例である混合気タンク10と、酸素濃度センサの一例であるガルバニ式酸素濃度センサ20と、この酸素濃度センサ20を収容する透過気室の一例である透過気タンク30とを備え、この装置全体が温度と湿度を制御可能な恒温槽50に収容されている。
なお、酸素混合気体の透過量は、例えば、スケールを付した透明チューブに石鹸水膜42を形成し、この膜42の移動量によって検出することができる。
なお、本実施例では、カソード及びアノードでそれぞれ下記の還元反応及び酸化反応が起こる。
O2+2H2O+4e−→4OH−
[アノード:酸化反応]
2Pb→2Pb2++4e−
2Pb2++4OH−→2Pb(OH)2
2Pb(OH)2+KOH→2KHPbO2+2H2O
この状態において、多孔体100は、その表面102を混合気タンク10内に曝し、且つその裏面104を透過気タンク20内に曝している。なお、キャップ11,21と多孔体100の周縁部との間には、Oリング120が装着され、これらの間の気密性が保たれている。よって、本実施例において、混合気タンク10と透過気タンク20とは、多孔体100を介して連通していることになる。
D=m・Δx/ΔC…(1)
(式中のmは質量流束[kg/m2・s]、Δx(=多孔体厚さδ)は流れ方向距離[m]、ΔCは質量濃度差(kg/m3)を示す。)
なお、ガルバニ式酸素濃度センサでは、カソードとアノード間に発生する電流と、供給される酸素に次式(2)の関係が成立し、発生電流は酸素分圧に比例する。
i=N・F・A・(pm/b)・Ps…(2)
(式中のiは定常電流値[μA]、Nは酸化還元の電子数、Fはファラデー定数(96486[C/mol]、Aはカソード面積[cm2]、pmは透過係数、bは酸素透過膜の厚さ[cm]、Psは気体中の酸素分圧[atm]を示す。)
図2は、本発明の酸素拡散係数測定装置の他の実施例を示す断面図である。以下、上述の場合と実質的に同一の部材・要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施例の測定装置は、多孔体100の裏面面積が、酸素濃度センサ20のカソード22の表面面積よりもかなり小さい場合の測定に有用である。
これに対し、本実施例では、酸素濃度センサを、多孔体100の裏面とほぼ同じ面積で且つ対向する対向センサ20cと、その周辺を包囲する周辺センサ20sとに分割してある。なお、図2(B)は、酸素濃度センサを図2(A)のa方向から見た平面図である。
図3(A)は、図3(B)に示す酸素透過膜28の平面図であるが、多孔体100に対向する領域と他の領域(周辺領域)とは、環状の酸素不透過部29で区画されている。
かかる酸素不透過部は、例えば、多孔体の空孔にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を充填したもの(気体を透過させないもの)などにより形成することができる。
かかる構成を採用し、対向センサ20cの突出寸法を適切に選定することにより、周辺センサ20sへの拡散律速による酸素吸収量の低下を抑制できるとともに、多孔体裏面104における酸素濃度計測の精度向上を実現できる。
図4に本発明の酸素拡散係数測定装置の更に他の実施例を示す。
本実施例の酸素拡散係数測定装置は、実施例2に示した拡散係数測定装置において、周辺センサの代わりに、有機カルボン酸等から成る脱酸素材60を配設したものである。
このような構成を採用すれば、拡散係数が比較的大きな多孔体を測定する際、対向センサ20cの酸素吸収量を補うのに有効である。
この場合、対向センサとしては、多孔体100と脱酸素材60との空間の大きさに応じて、脱酸素材60に挿入する形式(図5(A))と、上記空間に配置する形式(図5(B)の2タイプが使用可能である。
図6は、従来のガルバニ式酸素濃度センサと、本発明の拡散係数測定装置に用いるガルバニ式酸素濃度センサを部分的に示す断面図である。
図6(A)に示すように、従来のガルバニ式酸素濃度センサは、酸素透過膜28と電極、特にカソード22とが別体で形成されており、これらの形状はその間に形成される電解液膜26の厚さを保持すべく凸形状となっている。なお、符号70は圧力制御ダイアフラム、122はOリングであり、図6(B)は図6(A)の部分拡大断面図である。
このような従来の酸素濃度センサにおいて、上述のような凸形状は、上記多孔体と酸素透過膜との空間を小さく形成する点において障害となることがある。
図7に、本発明の酸素拡散係数測定装置の他の実施例を示す。
本例においては、混合気タンク10と透過気タンク30の配置が実施例1の場合とは逆転しており、実施例1の測定装置を倒立させたような構成を有している。
また、カソード22は、酸素交換膜28を介して多孔体100と対向する位置に設置されているとともに、アノード24に対して下方に設置されている。
また、このような測定装置を設置する際やその稼働時においては、酸素交換膜28とカソードとの間の電解液に、透過気タンクに溜まった空気などが混入することがある。
また、装置全体がほぼ鉛直上向きに立設されているが、上記液水の安定供給と滞留空気などの混入抑制が可能であれば、若干斜めに立設されていてもよい。
例えば、温度がガルバニ式酸素濃度センサの発熱によって上昇すると、混合気タンク10内の空気の膨張により酸素質量流束の測定値は、真値に対して小さくなることが知られている。
かかる断熱材としては、特に限定されるものではないが、樹脂、硝子、パーライト、ポリスチレン、硬質ウレタンフォーム、ケイ酸カルシウム及び塩化ビニルフォームの外、シージングボード、内部に真空又は空気層を有する2重構造体、微細多孔体などを挙げることができる。
本実施例では、蒸発量の小さな液体、例えば水銀を用いて液膜44を形成させているので、酸素質量流束を精度良く測定することができる。
一方、蒸発量の小さな液体として要求される条件は、透明チューブ構成材に対して撥水性(好ましくは接触角90゜以上)を有し、その液膜が酸素透過に伴って移動する間の蒸発量が無視できる程度に小さいことである。
図8は、本発明の酸素拡散係数測定装置の更に他の実施例における多孔体ホルダ周辺を部分的に示す分解斜視図である。
同図において、この多孔体ホルダ200は、図示しない円柱状多孔体を収容可能な円柱状収容部201を備え、この円柱状収容部201の半径方向に2分割された分割ホルダ200Aと200Bで構成されており、段付き形状をなしている。
また、分割ホルダ200Aと200Bとは、複数個のピン202で組み付け可能に形成されている。
この際、多孔体はジェル状パッド210Aと210Bとで押圧されるので、多孔体外周面と円柱状収容部201の内壁面との間には隙間が生じ難く、従って、酸素拡散係数測定を精密に行うことができる。
更には、ストッパ204を用いずに、放射状ワイヤ230のみで固定することも可能であり、これにより、多孔体を塞ぐ面積を低減して多孔体の両端面を開放することができる。 このため、両端面と断面がほぼ同一の面積を有する多孔体セッティングが可能になるのえ、酸素拡散係数の測定精度を更に向上することが可能になる。
図9は、本発明の酸素拡散係数測定装置の他の実施例における酸素交換膜周辺を示す分解斜視図である。
同図において、酸素交換膜28と図示しない多孔体端面との間には、流量制御板300が配設されている。
本実施例では、流量制御板300が酸素交換膜28の上流側に設置されているので、酸素分圧変化と酸素質量流束変化の対応性の良い範囲に調整することができ、酸素拡散係数測定の精度を向上できる。
11 キャップ
20 ガルバニ式酸素濃度センサ
20c 対向センサ
20s 周辺センサ
21 キャップ
22 カソード
24 アノード
26 電解液
28 酸素交換膜
29 酸素不透過部
30 透過気タンク
40 透過量ゲージ
50 恒温槽
60 脱酸素材
70 圧力制御ダイアフラム
100 多孔体
102 多孔体表面
104 多孔体裏面
110 ホルダ
120 Oリング
200 多孔体ホルダ
200A 分割ホルダ
200B 分割ホルダ
201 円柱状収容部
202 ピン
204 ストッパ
206 ピン
210A ジェル状パッド
210B ジェル状パッド
220 ピン
230 放射状ワイヤ
300 流量制御板
310 シール材
Claims (18)
- 相互にほぼ平行な少なくとも1対の面を有する多孔体における酸素拡散係数を測定する装置であって、
酸素濃度既知の酸素混合気体を収容する混合気室と、酸素濃度センサと、この酸素濃度センサを収容する透過気室とを備え、
上記多孔体の少なくとも1対の面のうちの一方の面が上記混合気室内に曝され、他方の面が上記透過気室に曝されて配置され、且つ上記混合気室と上記透過気室とは上記多孔体を介して連通している、ことを特徴とする多孔体の酸素拡散係数測定装置。 - 上記混合気室に、収容されている酸素混合気体における酸素量の変化を計測する酸素変化量測定手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記酸素濃度センサがガルバニ式酸素濃度センサであることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記ガルバニ式酸素濃度センサが酸素透過膜を有し、この酸素透過膜と上記多孔体の他方の面とが接していることを特徴とする請求項3に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記ガルバニ式酸素濃度センサの酸素透過膜とカソードとを蒸着で一体形成して成ることを特徴とする請求項3又は4に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記多孔体が円板状をなし、上記ガルバニ式酸素濃度センサが、この円板状多孔体と対向する対向センサと、この対向センサを包囲する周辺センサとに分割されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つの項に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記対向センサが、上記円板状多孔体側に上記周辺センサよりも突出していることを特徴とする請求項6に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記周辺センサが脱酸素材を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記対向センサの酸素透過膜と上記周辺センサの酸素透過膜とが一体形成されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つの項に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記周辺センサの代わりに脱酸素材を用いたことを特徴とする請求項6又は7に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 装置全体を温度と湿度が制御可能な容器内に収容して成ることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つの項に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記ガルバニ式酸素濃度センサのカソードが、酸素透過膜を介して上記多孔体の他方の面と対向して配置され、且つ対応するアノードに対して下方に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記多孔体がホルダに収容されており、このホルダ、上記透過気室及び上記混合気室の少なくとも1つが断熱材を用いて形成されていることを特徴とする請求項12に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記多孔体が円柱状をなし、この円柱状多孔体が、対応する円柱状収容部を有しその半径方向に分割可能なホルダに、弾性パッドを介して収容されていることを特徴とする請求項12又は13に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記円柱状多孔体の頂面及び底面を放射状ワイヤで固定したことを特徴とする請求項14に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記酸素透過膜と上記多孔体の他方の面との間に、流量制御板を配設したことを特徴とする請求項12〜15のいずれか1つの項に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記酸素透過膜と上記流量制御板との間に、シール材を配設したことを特徴とする請求項16に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
- 上記混合気室に酸素透過量測定チューブを設け、この酸素透過量測定チューブ内に、このチューブ構成材に対して撥水性を有し且つ蒸発量の小さな液体を入れたことを特徴とする請求項12〜17のいずれか1つの項に記載の多孔体の酸素拡散係数測定装置。
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