JP2006292688A - ハンダ供試材の作製方法及び分析方法並びにハンダ槽管理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 フローハンダ付けプロセスにおいてハンダ槽を管理するための蛍光X線分析法による溶融ハンダ材料の組成の定量分析を、より迅速かつより簡便な操作にて行うために有用な方法の提供。
【解決手段】 所定の材料製のサンプリングカップを用いて、その温度をハンダ浴の温度と実質的に同じにし、溶融状態のハンダ材料を所定量だけ汲み出し、ハンダ材料が溶融状態にある間に放熱プレート上へ所定の条件にて落下及び固化させて供試材を作製することを含む方法である。
【選択図】図3

Description

本発明は、ハンダ槽内における溶融状態のハンダ材料組成を分析試験するためのハンダ供試材を作製する方法及びそのハンダ供試材を分析する方法、並びにそれらの作製方法及び分析方法を利用してハンダ槽を管理するシステムに関する。
種々の電気製品及び/又は電子機器に用いられる電子回路基板を作製するための実装技術に採用されているプロセスの1つにフローハンダ付けプロセスがある。
以下、一般的なフローハンダ付けプロセスについて説明する。このプロセスは、ハンダ付けに先立って、まず、電子部品のリード線をスルーホールに挿入し、電子部品が上面側に配置されたプリント基板を準備する。この時点で、スルーホールの壁面ならびにプリント基板の上面側および下面側のスルーホールを取り囲む領域には、銅箔などからなるランドが形成されており、このランドはプリント基板の回路パターンに接続されている。
次に、このようなプリント基板を、フローハンダ付け装置内で搬送手段によってほぼ一定速度で多数搬送して、ハンダ槽の上方を通過させる。ハンダ槽内ではハンダ材料が予め溶融状態にされており、更にハンダ槽に設けられているポンプ手段等によって、溶融しているハンダ材料はハンダ噴流を形成している。このプロセスにおいてハンダ槽には、基板のスルーホールに入り込み得る量よりも遙かに多量のハンダ材料が溶融状態で入れられている。そのハンダ材料を溶融状態に維持するために、ハンダ槽は使用するハンダ材料の融点よりも10〜50℃程高い温度に設定されている。従って、ハンダ材料は、このハンダ槽内では溶融状態で存在するので、液状の挙動を示すことになる。従って、ハンダ槽内のハンダ噴流は、上述したハンダ槽の上方を通過しつつあるプリント基板の下面側表面に振りかけられて接触する。
プリント基板の下面側表面に適用された液状のハンダ材料は、電子部品のリード線とスルーホールの内壁との間の環状空間を、プリント基板の下面側から毛細管現象によって濡れ上がりながらスルーホール内を満たし、その後、温度低下により固化して、ハンダ材料からなる接合部を形成する。このようにして、ハンダ材料によって、電子部品のリード線とプリント基板のランドが電気的に接合され、電子回路基板が作製される。
一方、上記のようにして供給された大部分のハンダ材料は、スルーホールの中に入ることなく重力により溶融状態のままハンダ槽内に落下し、再び溶融ハンダ材料の一部となって、循環して使用される。この循環の過程で、基板の下面側に接触した溶融状態のハンダ材料は、実際には、基板のみではなく、基板表面に形成されている配線パターン、並びに電子部品のリード線部分のメッキ部及び母材等にも接触し得る。高温で溶融状態のハンダ材料が接触することによって、配線パターン並びに電子部品のリード線部分のメッキ部及び母材等に使用されている材料の成分はハンダ材料に溶出し、溶融ハンダ材料中の不純物となる。
近年、地球環境保護の関心が高まる中、電子回路基板などの産業廃棄物の処理についての法規制も進みつつあり、鉛も世界的に法規制の対象となりつつある。そのような法規制に対応して、電子部品実装に用いられるハンダ材料は、鉛ハンダ(Pb−Sn系ハンダ)材料から、鉛を含まないハンダ材料、いわゆる鉛フリーハンダ材料への移行が図られつつある。
ハンダ材料として鉛フリーハンダ材料が使用される場合には、上述のようなフローハンダ付けプロセスにおいて、高温で溶融状態のハンダ材料が接触する電子部品から、特に電子部品のリード線部分のメッキ部から、そこに用いられている鉛成分が溶融状態のハンダ材料に溶出し、そのハンダ材料がハンダ槽に戻ることによって、鉛成分がハンダ材料中の不純物成分となり得る。鉛フリーハンダ材料が含有し得る鉛成分の許容値は、例えばEUにおけるRoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令によれば1000ppmと非常に低い値であるので、フローハンダ付けプロセスに用いられるハンダ槽を管理する上で、槽内のハンダ材料の組成をモニタリングする必要がある。
ハンダ材料の組成をモニタリングするために用い得る方法として、原子吸光分析法、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析法、蛍光X線分析法等のいくつかの方法が知られている。これらの方法はそれぞれ目的及び用途に応じて使い分けられているが、サンプリングしてからその結果が得られるまでの時間的間隔(タイムスパン)が相対的に短いという点を重視する場合には、蛍光X線分析法が適している。本発明でも、サンプリング後、できるだけ短い時間で結果を入手することを目的として、蛍光X線分析法を採用する。
蛍光X線分析に用いる試料については、液体若しくは粉体のような流動性を有する形態よりも固体であることが好ましいこと、及びその固体試料は一方の面が平滑面であることが好ましいこと、並びに、試料はX線パス部が真空状態のとき、大気圧により破損しない1mm程度の厚みを有することが必要であることが、例えば特許文献1等から知られている。このような試料の主成分が金属材料である場合には、照射したX線がサンプル内部に入射する深度は、照射したX線の強度とサンプルの組成に基づいて詳細にみると異なるが、金属材料の場合には一般に、表面から数百nm深さまでの情報が得られる。
特開平07−128262号公報
蛍光X線分析法の操作は簡便であるが、十分な定量分析精度を得るためには、定量基準となる供試材を準備して、あらかじめ装置の補正をしておく必要がある。現在、樹脂系材料および一般的な金属材料の定量基準片については良好な市販品が存在するが、ハンダ材料について良好な市販品は存在していない。その理由は、溶融状態のハンダ材料を冷却固化させる際に、偏析が生じ易いためであると考えられている。
ハンダ材料の固化した供試材に偏析が生じている場合には、供試材の表面若しくは表面に近い部分と、それより内側の部分との間で、従って厚み方向に関して組成が異なっている。特に、ハンダ材料中の鉛成分を定量分析する場合に、鉛成分が偏析することによって、鉛成分の含有率が供試材の表面部分と供試材の内側部分とで異なり、一般に供試材の内側部分よりも供試材の表面部分の方がより高い鉛成分の含有率を示す傾向がある。そのような供試材を蛍光X線分析にかけたとしても、供試材の表面又は表面に近い部分についての結果しか得られず、その結果は実際のハンダ材料の組成とは異なるので、正確な分析結果を得ることができない。従って、これまでは十分な精度の分析を迅速かつ簡便に行うことが困難であった。
本発明は、上述したようなフローハンダ付けプロセスにおいて、溶融ハンダ材料の組成の定量分析を行うことができる蛍光X線分析法を行うに際して、比較的短いスパンの時間で頻繁にサンプリングして、分析をより迅速かつより簡便な操作にて行うことができる有用な方法を提供することを目的とする。
本出願の第1の発明は、ハンダ槽内で溶融状態にあるハンダ材料の組成を分析試験するための供試材を作製する方法であって、
サンプリングカップを溶融状態のハンダ材料の中に入れて、該サンプリングカップの温度をハンダ浴の温度と実質的に同じになるまで上昇させ、
前記溶融状態のハンダ材料をサンプリングカップにて所定量だけ汲み出し、
前記ハンダ材料が溶融状態にある間に放熱プレート上へ落下させ、及び
前記ハンダ材料を放熱プレート上にて固化させる
ことを特徴とするハンダ供試材の作製方法を提供する。
この第1の発明は、1つの態様において、ハンダ槽が、フローハンダ付けプロセスに用いるハンダ槽であることを特徴とすることができる。
この第1の発明は、1つの態様において、サンプリングカップに用いる材料が、ステンレス鋼、鋳鉄、インコネル、ハステロイ、チタン、チタン合金及びセラミックから選ばれるいずれかの材料であることを特徴とすることができる。
この第1の発明は、1つの態様において、対象とするハンダ材料が、鉛フリーハンダ材料であり、Sn−Ag系、Sn−Bi系、Sn−Zn系、Sn−Cu系、Sn−Au系、Sn−Sb系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Ag−Bi系、及びSn−Ag−Bi−Cu系から選ばれるいずれかの材料であることを特徴とすることができる。
本出願の第2の発明は、上記の第1の発明のいずれかのハンダ供試材の作製方法によって作製されたハンダ供試材を蛍光X線分析法によって分析することを特徴とするハンダ供試材の分析方法を提供する。
この第2の発明は、1つの態様において、分析の対象として少なくとも鉛成分の定量分析を含むことを特徴とすることができる。
本出願の第3の発明は、上記の第2の発明のいずれかのハンダ供試材の分析方法を所定の間隔をおいて実施し、得られる分析結果に基づいてハンダ槽内のハンダ材料を少なくとも部分的に入れ替えることを特徴とするフローハンダ付け装置のハンダ槽を管理するシステムを提供する。
本出願の第1の発明によれば、固体供試材を冷却固化させる際の偏析を防止する一方で、蛍光X線分析に用いるのに適する寸法及び形状の供試材を簡単かつ迅速に作製することができる。具体的には、サンプリングカップを溶融状態のハンダ材料の中に入れて、該サンプリングカップの温度をハンダ浴の温度と実質的に同じになるまで上昇させ、前記溶融状態のハンダ材料をサンプリングカップにて所定量だけ汲み出し、前記ハンダ材料が溶融状態にある間に放熱プレート上へ落下させ、前記ハンダ材料を放熱プレート上にて固化させる方法によって得られる固化したハンダ供試材は、偏析を実質的に生じておらず均一な組成を有しており、全体として平板状であって、少なくとも一方の表面は平滑な表面となっている。従って、寸法及び形状並びに組成に関して、蛍光X線分析装置にそのまま適用するために適切な特性を具備するハンダ供試材を作製することができる。しかもその作製プロセスは、実質的に30分程度又はそれ以下の時間で行うことができる。
本出願の第1の発明において、ハンダ槽がフローハンダ付けプロセスに用いるハンダ槽である態様によれば、フローハンダ付けプロセスを実施しながら、そのプロセスと並行して、サンプリング及び分析操作を行い、時間的遅れを実質的に伴うことなく、即ちリアルタイムでハンダ槽の組成の管理を行うことができる。
本出願の第1の発明において、サンプリングカップに用いる材料がステンレス鋼、鋳鉄、インコネル、ハステロイ、チタン、チタン合金及びセラミックから選ばれるいずれかの材料である態様によれば、サンプリングカップを溶融状態のハンダ材料の中に浸漬した場合に、サンプリングカップの材料とハンダ材料とが相互に影響を及ぼし合うことがないので、ハンダ材料の組成に変化を生じることなく、サンプリングを行うことができる。
本出願の第1の発明において、対象とするハンダ材料が、Sn−Ag系、Sn−Bi系、Sn−Zn系、Sn−Cu系、Sn−Au系、Sn−Sb系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Ag−Bi系、及びSn−Ag−Bi−Cu系から選ばれるいずれかの材料である態様によれば、これらのハンダ材料は鉛フリーであるので、鉛フリーハンダ材料を用いて本出願の第1の発明に係るハンダ供試材の作製方法を実施することができる。
本出願の第2の発明によれば、蛍光X線分析に適切な供試材を、サンプリングを開始してから短時間(実質的に30分程度又はそれ以下の時間)にて作製することができるので、サンプリングしてから分析結果を得るまで測定操作を迅速に行うことができる。
本出願の第2の発明において、分析の対象として少なくとも鉛成分の定量分析を含む態様によれば、本出願の第2の発明に係るハンダ供試材の分析方法を、鉛フリーハンダ材料を用いるハンダ槽の管理に用いることができる。そして、供試材のサンプリングから分析結果を得るまでに要する測定時間が短いので、時間的遅れを実質的に伴うことなく、即ちリアルタイムでハンダ槽の組成の管理を行うことができる。
本出願の第3の発明によれば、ハンダ槽内のハンダ材料の組成を所定の間隔においてモニタリングしながらフローハンダ付けプロセスを実施して、ハンダ材料の組成が所定の基準から逸脱した場合にはハンダ槽内のハンダ材料を少なくとも部分的に入れ替えるので、継続的に安定したハンダ材料の組成を用いてフローハンダ付けプロセスによる電子部品実装を行うことができる。
尚、発明を実施する上での最良の形態は、鉛フリーハンダ材料中の鉛成分をモニタリングする方法の形態であるが、本発明の方法は鉛フリーハンダ材料中の鉛成分の分析に限定されるものではない。蛍光X線分析法は鉛元素だけでなく、その他の金属成分の分析にも用いることができるので、本願の各発明は、鉛フリーハンダ材料を用いる場合には、鉛フリーハンダ材料中の種々の元素の分析に用いることもできるし、鉛含有ハンダ材料を用いる場合には、そのハンダ材料中の種々の元素の分析に用いることもできる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について説明する。フローハンダ付けプロセスに用いる装置及び蛍光X線分析装置としては、常套の装置を用いることができる。そのようなフローハンダ付けプロセスの常套の装置の概略断面図を図1に示しているが、フローハンダ付け装置に送る前の工程において、プリント基板はフラックス処理に付される。フラックス処理工程では、上述したように、プリント基板に予め回路パターン及びランドが形成され、プリント基板のスルーホールには電子部品のリード線が挿入されて、プリント基板の上面側に電子部品が配置され、そしてこのプリント基板の下面側にフラックス供給手段(図示せず)によってフラックスが塗布される(フラックス処理)。尚、図1に関する上下左右方向という表現は、紙面を横長にして観察して、図中の符号が正立した状態で読める向きに対応している。
図1にフローハンダ付け装置の概略断面図を示しているが、電子部品の配置及びフラックス処理が行われたプリント基板21は、図中の右端側の入口部11からフローはんだ付け装置10の中に入れられる。フローハンダ付け装置10は、図面中で該装置を左右方向に貫通して配されており、右端側の入口部11から左端側の出口部12へプリント基板21を搬送することができる搬送ライン13を有している。入口部11から装置10の中に入ったプリント基板21は、該搬送ライン13によって矢印20の向きに出口部12へ向かってほぼ一定の速度で搬送される。搬送ライン13は、プリント基板21を載置したキャリアを搬送する機構、又は、そのようなキャリアを有さずに、プリント基板21を基板保持爪具等が直接保持して搬送する機構等を有しており、プリント基板21の下面側表面の大部分、実質的にほぼ全面を露出させた状態でプリント基板21を吊り下げている。
搬送ライン13の中央部分よりも入口部に近い側(図において中央部分よりも右側)には、入口部11から装置内に入ったプリント基板21を予熱するための予熱手段14が設けられている。プリント基板21は、入口部11から装置内に入る際には室温程度の温度を有しているが、ハンダ槽16の上方の領域では溶融状態のハンダ材料の噴流に曝されることによって、一般に200℃を越える温度から290℃までの範囲の温度にその温度が上昇させられる。その際の温度変化の程度が大きく、急激な温度変化によるプリント基板21の破損又は品質劣化を防止する必要がある。そのために、予熱手段14は、予熱手段14の中を通過させながら、プリント基板21の温度を溶融ハンダ材料の温度又はそれに近い温度へ上昇させる。
予熱されたプリント基板21は、図中で左向きに送られ、続いてハンダ材料供給手段17の上方へ運ばれる。ハンダ材料供給手段17は、融点以上に加熱された溶融状態にあるハンダ材料15が入れられたハンダ槽16を有している。該ハンダ槽16の内部にはポンプ等の噴流形成手段が設けられており、これによって溶融ハンダ材料15をその液面よりも上方へ吹き上げて、1次噴流18及び2次噴流19が形成されている。はんだ材料供給手段17の上方に搬送されてきたプリント基板21の下面側表面が溶融はんだ材料15の1次噴流18および2次噴流19に曝されることによって、溶融ハンダ材料15が基板21に供給される。
基板21に供給された溶融ハンダ材料15の一部は、基板21に形成されたスルーホール(図示せず)の内壁と、基板21の上面側からスルーホールに挿入されているスルーホール挿入部品のリード(図示せず)との間の環状空間を、基板21の下面側から毛管現象によってスルーホールの内壁及びリードを濡らしながら上昇し、スルーホール内を充填してこれを閉塞する。一方、基板21の下面側表面に接触したハンダ材料15の大部分はスルーホール内に入れず、再度下方のハンダ槽16の中へ落下して戻り、ハンダ槽16内のハンダ材料15と混ざり合う。
その後、搬送ライン13によってプリント基板21がハンダ槽16よりも更に左側へ送られると、プリント基板21の温度が低下し、それに伴って、基板21に供給されたはんだ材料も温度低下して固化し、はんだ材料からなる接合部、いわゆる「フィレット」をプリント基板上に形成する。このようにして得られた基板21’は、出口部12から取り出される。このようなプロセスにより、フローはんだ付け方法によって電子部品が基板21にはんだ付けされた電子回路基板が作製される。
本発明では、分析する対象との関係で、種々のハンダ材料を用いることができるが、分析する対象を鉛元素とする場合には、Sn−Ag系、Sn−Bi系、Sn−Zn系、Sn−Cu系、Sn−Au系、Sn−Sb系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Ag−Bi系、及びSn−Ag−Bi−Cu系から選ばれるいずれかの鉛フリーハンダ材料を用いることができる。しかしながら、この例に限らず、例えば鉛ハンダ材料を用いる場合に、その中の銅元素を分析することもできる。基本的に、蛍光X線分析法によって分析することができる元素であれば、分析対象とすることができる。
ところで、溶融状態のハンダ材料はその融点以上の温度に加熱されており、その高温液状のハンダ材料がプリント基板のスルーホールの付近に接触すると、スルーホール内に挿入されている電子部品のリード線部分等にもその一部が接触して、配線パターン並びに電子部品のリード線部分のメッキ部及び母材等に使用されている材料の成分を液状のハンダ材料の中に溶出させ得る。従って、スルーホールの付近に液滴の形態で接触したハンダ材料は、配線パターン並びに電子部品のリード線部分のメッキ部及び母材等の材料の成分を溶かし込むことになる。そして、その溶融ハンダ材料の一部はスルーホール内に入り込み得るが、残りの大部分はスルーホール内に入り込むことができず、ハンダ槽へ落下する。このように、ハンダ材料の大部分は、噴流となって吹き上げられて基板に接触しても、スルーホールに入ることなく、ハンダ槽へ落下して戻るというサイクルを繰り返す。このようなサイクルを繰り返すことによって、ハンダ槽内のハンダ材料中に蓄積される不純物成分の割合が増加することになる。
ハンダ槽内のハンダ材料として鉛フリーハンダ材料が用いられている場合には、高温で溶融状態のハンダ材料がプリント基板に接触する際に、溶融状態のハンダ材料は電子部品のリード線部分のメッキ部及び母材等にも同時に接触して、そこに用いられている鉛成分を溶出させ得るので、ハンダ材料はその鉛成分を含むようになり得る。そのようなハンダ材料がハンダ槽へ戻ると、ハンダ槽16内のハンダ材料に鉛成分が蓄積されるようになる。そして、鉛成分を実質的に含有するハンダ材料が、噴流18又は19となってプリント基板21に供給されると、そのプリント基板21は鉛成分含有のハンダ材料によってハンダ付けされることになり、ハンダ材料の鉛フリー化が阻害されることになるので好ましくない。
そこで、ハンダ槽内において使用されている特定のバッチのハンダ材料の組成を、処理した基板の数や使用時間等を目安にして所定の頻度で分析しながら管理し、その結果に基づいて、ハンダ槽内のハンダ材料を、継続使用するか又は更新するか判断する必要がある。その管理のために、ハンダ槽内のハンダ材料の組成を蛍光X線分析法に従って定量分析を行う。その定量分析のために、ハンダ槽から所定量のハンダ材料をサンプリングして供試材を作製する必要がある。発明者らは、所定量の溶融ハンダ材料をサンプリングするためのカップ状デバイスとして、図2(a)に示すようなサンプリングカップ31が最適であること、及び、そのサンプリングカップ31を用いて蛍光X線分析用の供試材を作製するために、図2(b)に示すような放熱プレート35をサンプリングカップ31と組み合わせて用いることが最適であることを見出した。
このサンプリングカップ31は、対象とするハンダ材料の組成に変化を与えない材料によって形成されていることが重要である。サンプリングカップ31の材質にも依存するが、上述した種類のハンダ材料を用いる場合には、サンプリングカップ31は一般に、図2(a)に示すような形状を有することが好適である。この寸法及び形状は、サンプリングカップ31内に溶融ハンダ材料を入れている短い時間の間に、サンプリングカップ31内でハンダ材料が固化を開始することがないように設計されたものである。
従って、サンプリングカップ31のための材料、比熱、カップ部33(サンプリングカップ31の中央部の窪み部)の寸法及び形状と、対象とするハンダ材料との関係に基づいて、設計がなされている。サンプリングカップ31の材料に要求される最も重要な特性は、高温で溶融状態のハンダ材料の中に浸漬しても、そのハンダ材料の組成に変化を与えないということ、従って、高温で溶融状態のハンダ材料に溶出する成分を含んでいないということである。また、高温で溶融状態のハンダ材料を汲み出すという機能を果たすために、溶融ハンダの温度に曝されても、サンプリングカップ31の材料自体がその温度に影響を受けないことも重要である。そのような材料として、例えば、種々のステンレス鋼(SUS201、SUS202、SUS301、SUS302、SUS303、SUS304、SUS305、SUS309、SUS310、SUS316、SUS317、SUS321、SUS329、SUS347、SUS403、SUS405、SUS410、SUS416、SUS420、SUS429、SUS430、SUS431、SUS436、SUS440及びSUS444から選ばれるステンレス鋼)、鋳鉄、インコネル、ハステロイ、チタン、チタン合金及び種々のセラミック等を挙げることができる。
図2(b)に示す放熱プレート35は、平滑な表面を有しており、上記のハンダ材料及びサンプリングカップ31と組み合わせて用いる上で、好適な材料、寸法及び形状を有するように設計されている。放熱プレート35の材料に要求される最も重要な特性は、高温で溶融状態のハンダ材料と接触しても、そのハンダ材料の組成に変化を与えないということ、従って、高温で溶融状態のハンダ材料に溶出する成分を含んでいないということ、及び溶融ハンダの温度に曝されても、放熱プレート35の材料自体がその温度に影響を受けないことも重要である。そのような材料には、サンプリングカップ31に用いることができる材料から選ばれるいずれかの材料を用いることができる。
これらのサンプリングカップ31及び放熱プレート35の組合せを用いて蛍光X線分析用の供試材を作製するには、フローハンダ付けプロセスにおいて、1つのバッチのハンダ槽を使用した時間及び/又は処理したプリント基板の数等について目安を予め設けておき、その目安に基づいて、本発明のサンプリングカップ31を用いてハンダ槽から所定量のハンダ材料をサンプリングする。
サンプリング操作において、所定量のハンダ材料を汲み出したサンプリングカップ31は、ハンダ槽から出ると、周囲の気温が低い(室温)ため、冷却される。偏析を防止するためには、サンプリングカップ31内で一部でも固化を開始することは好ましくないという観察結果を発明者らは得ているので、サンプリングカップ31の熱容量は比較的大きく設計されている。
ハンダ槽から出たサンプリングカップ31は、ほぼ即座に、放熱プレート35上で所定の高さの所でひっくり返される。すると、サンプリングカップ31内に入れられていた溶融ハンダ材料はまだ液状である間に放熱プレート35上に落下する。放熱プレート35の材料、厚み、寸法及び形状も目的に応じて最適化が図られており、また、溶融ハンダ材料を落下させる前に室温に放置されているため、放熱プレート35の温度も室温にほぼ等しくなっている。従って、溶融ハンダ材料が放熱プレート35上に落下すると、溶融ハンダ材料の熱は放熱プレート35側へ移動し、ハンダ材料は急速に冷却される。急冷されたハンダ材料は放熱プレート35上で固化する。
ハンダ材料を落下させる放熱プレート35からの高さは、ハンダ材料のサンプリング量にも関係するが、液状形態で落下させたハンダ材料が放熱プレート35に衝突して飛散するような高さよりも低く、かつ、落下させたハンダ材料が落下の衝撃が弱いために盛り上がった状態で固化する高さよりも高く設定される。即ち、落下させたハンダ材料が2つ以上の塊に分離することを防止し、かつ、蛍光X線分析用の供試材として適する、適度に潰れて拡がって得られる適度の厚みを有するように設定される。例えば、落下させたハンダ材料が落下の衝撃が弱いために盛り上がった状態とは、図4(b)に示すような状態のハンダ供試材36’である。また、適度の厚みを有する状態とは、図4(a)に示すような状態のハンダ供試材36である。この高さは、サンプリングカップ31及び放熱プレート35について選定した特徴と関連付けて決定することができる。
このようにしてハンダ材料が固化して、蛍光X線分析に適する供試材が得られる。尚、このようにして固化したハンダ材料供試材の放熱プレート35に接する側の表面は、放熱プレート35の平滑な表面に対応して平滑になっている。また、得られるハンダ材料供試材の厚みは、サンプリングした体積と落下の際に潰れて拡がらせる面積との関係によって決まるが、蛍光X線分析装置にそのまま適用するのに好ましい厚み、例えば約0.3〜8.0mm、特に約0.5〜3.0mmの範囲の厚みが好ましい。従って、この供試材は、特許文献1に教示されていた蛍光X線分析に適する供試材の条件を満足するものとなっている。
(実施の形態1)
ハンダ材料として、Sn−Ag−Cu系(含有比率はSnが96.5重量%、Agが3重量%およびCuが0.5重量%である。また、融点は約220℃である。)の3元系鉛フリーハンダ材料を使用して、これをハンダ槽内で溶融させた。
サンプリングカップ31を形成する材料として、ステンレス鋼(SUS304)を使用した。サンプリングカップ31は、図2(a)に示すように、全体として高さ方向の寸法が短い円柱形態を有しており、上側底面の中央部にこれもほぼ円柱形態のカップ凹部32を有するカップ部33と、該カップ部33の側面から側方に延びる把手34とから構成されている。カップ部33は、そのカップ凹部32に流動性の物質を入れてこれを保持することができるという機能を有する点に関して、文字通りカップ、従って器としての機能を果たすことができる。そして、図2に示すように、カップ部33の上側底面中央部に設けられたカップ凹部32はカップ部33の本体と同心状に設けられており、そのカップ凹部32を包囲するカップ部33の側壁部はその底面の直径(Lφ)と対比して比較的大きな厚みを有し、同様にカップ部33の下側底面壁部もカップ部33の高さと対比して比較的大きな厚みを有している。
具体的なサンプリングカップ31の寸法は、カップ凹部32の容量を約0.4cmに設定した場合に、実質的に円筒形状であるカップ部33の高さ(Lh)を約13.1mm、カップ部33の底面の直径(Lφ)を約18.0mmに設定し、カップ凹部32については、高さ(Sh)約8.1mm、底面の直径(Sφ)約8.0mmとなるように寸法を設定した。従って、カップ部33の側壁部及び底面部分の厚みは双方共約5.0mmとなっている。これらの数値は、各寸法について種々の数値を有するカップを作製して、サンプリング量との間で最適な結果が得られる寸法及び形状を調べた結果、設定された値である。
例えば、カップ凹部32の高さ及び底面直径を維持して、カップ部33側壁部の厚みを約1.0mmとしたものを試作した場合に、カップ凹部32にハンダ材料を入れて、そのサンプリングカップ31をハンダ槽から出すと、放熱プレート35に落下させる前に固化を開始した。従って、カップ部33側壁部の厚みを減らすことは不適当であることが確認された。これは、サンプリングカップ31の壁部及び底部の厚みを小さくすると、サンプリングカップ31全体の熱容量が小さくなり、カップ凹部32に入れているハンダ材料が冷却され易くなるためであると考えられる。
また、カップ凹部32の底面の直径(Sφ)を小さくすると(この場合には、汲み出すハンダ材料の体積も小さい数値に変更することになるが)、例えばその底面直径を上述した最適値の三分の二とした場合及び二分の一とした場合には、ハンダ槽の中でカップ凹部32にハンダ材料を十分に入れることができず、所定量のハンダ材料を汲み出すことが困難であった。従って、サンプリングカップ31の寸法について上述した値が最適であることが確認された。
尚、サンプリングカップ31の寸法及び厚みをより大きく設定することは、必要なサンプリング量を確保できれば、大きな熱容量を確保できるため、問題なく採用することができる。しかしながら、サンプリングカップ31の寸法が大きくなれば、サンプリング量が多くなり過ぎて、放熱プレート35上でのハンダの冷却速度が低下し、偏析の原因となる。また、サンプリングカップ31を溶融ハンダ材料中に入れて、サンプリングカップ31の温度を溶融ハンダ材料の温度に近づけるための時間が長くなり、分析操作のための時間が長引くことにつながる。
また、放熱プレート35を形成する材料として、これもステンレス鋼(SUS304)を使用した。放熱プレート35には、表面が平滑であって、厚さ約5mm以上のステンレス鋼板が用いられており、縦方向及び横方向の長さがいずれも約50mm以上であるように形成されたものを用いることが好ましい。この寸法であれば、上記サンプリングカップ31を用いてサンプリングした約0.3〜0.4cmのハンダ材料を落下させた場合に、ハンダ材料の熱を非常に迅速に、実質的にほぼ瞬間的に放熱プレート35が吸収することができる。
以上の条件で、サンプリングして供試材を形成するプロセスに関して、時間に対するサンプリングカップ31の温度プロファイル(実線部)及び汲み出した後のハンダ材料の温度プロファイル(破線部)の模式図を図3に示す。まず、サンプリングカップ31を溶融ハンダ材料の中に浸漬すると、ほぼ室温であったサンプリングカップ31の温度は上昇し始める(浸漬した時点を点Aで示す)。サンプリングカップ31の温度をハンダ槽内の溶融ハンダ材料の温度(約250〜255℃)とほぼ同じになる(点C)まで上昇させるが、この操作については、サンプリングカップ31に熱電対を取り付けて測定することによって、どの程度の時間でサンプリングカップ31の温度が溶融ハンダ材料の温度とほぼ同じになるかというデータを記録し、所要の時間を把握することができる。尚、約250〜255℃というハンダ槽内の溶融ハンダ材料の温度は、ハンダ槽から噴流として溶融ハンダ材料を吹き上げた場合に、ハンダ材料が空中やプリント基板表面で冷却されて固化するに至ることを防止することを意図して、ハンダ材料の融点よりも約30〜35℃高く設定されている。同様にして、サンプリングカップ31の温度がハンダ材料の融点(約220℃)を越える(点B)までの時間を把握することができる。
この場合は、約3分でほぼハンダ槽内の溶融ハンダ材料の温度と同等となった。サンプリングカップ31の温度が点Cに達したら、サンプリングカップ31を溶融ハンダ材料から取り出し、室温になっている放熱プレート35上の所定の高さ(上述の条件に対応させると、放熱プレート35表面から3〜7cm、好ましくは4〜6cmの高さ)でサンプリングカップ31をひっくり返し、放熱プレート35上に溶融ハンダ材料を落下させる(点D)。落下したハンダ材料は、放熱プレート35に接触して、即座に冷却され固化する。このハンダ材料が冷却される変化は、破線部の点Dから点Eへの変化として示めされている。このような操作によって、ハンダ材料は、2つ以上の塊に分離することを防止して、更に、ハンダ材料自体の重量によって、図4(a)に示すような比較的厚みの薄い(例えば、0.8〜2.0mm)プレート状の供試材36を作製することができた。供試材36の厚みについては、その放熱プレート35に接する側の表面が平滑な表面となっているので、その平滑な表面の中央部について厚みを測定する。尚、放熱プレート35の表面からの高さ3cmの場合に2.0mmの厚さの供試材36が得られ、高さ7cmの場合に0.8mmの厚さの供試材36が得られた。
このようにして得られたハンダ材料の供試材36は、放熱プレート35に接する平滑な表面を測定面として、そのまま蛍光X線分析装置用の供試材として用いることができた。尚、上述したハンダ材料の融点はSn−Ag−Cu系の融点であるので、使用するハンダ材料の組成が変われば、その融点も変化する。
(実施の形態2)
微量の鉛をハンダ槽の中に添加して、本発明の方法に従って供試材を作製し、この供試材について鉛成分の偏析が生じていないことを、以下のようにして確認した。測定中の蛍光X線分析装置の模式図を図5に示しているが、蛍光X線分析装置としてSIIナノテクノロジー社製のエネルギー分散型蛍光X線分析装置SEA2210Aを使用し、管電流1mA、励起電圧31kv、測定時間30分の条件で測定を行った。前記供試材の種々の部位から得られる鉛の特定X線強度の比較を行うことで、鉛の偏析状況の評価を行った。
(測定1)
まず、1つの供試材の平滑表面における中央部分の1箇所について、鉛の特定X線強度を5回繰返して測定した結果を表1に示す。計測値の平均値は8.550(cps)であり、これらの数値の標準偏差(σ)は0.113であった。測定値は、特定X線強度をカウント毎秒(count per second)で表したものである。この結果から、式:[変動係数=σ/平均値×100]に基づいて変動係数を求めると、1.320という変動係数の値が得られた。1つの供試材の同一箇所について行った測定結果であるので、この変動係数の値はこの測定条件における測定バラツキを示す値と考えられる。
Figure 2006292688
(測定2)
次に、1つの供試材の同一面内における鉛の偏析状況について測定し、その結果を表2に示す。同一面内における鉛の偏析状況の測定は、測定1で用いた供試材の平滑表面について、中央部分の1箇所(第1ポイント)と、外周側部分のそれぞれ離れている4箇所(第2〜5ポイント)の合計5箇所の部位について、鉛の特定X線強度を測定し、その変動係数を求めた。
中央部分の第1ポイントの計測値と外周側部分における第2〜5の各ポイントの計測値の平均値は8.559であり、これらの数値の標準偏差(σ)は0.117であった。この結果から、1.363という変動係数の値が求められた。
Figure 2006292688
表2に示す測定2の変動係数と、表1に示す1つの供試材の同一箇所について行った測定1で得られた変動係数とは、小数点以下1桁目まで一致しているので、非常に近似した値であって、これらの値の間に実質的な差はないと把握することができる。従って、本発明の方法によって作製した供試材の平滑な表面内では、鉛成分は実質的に同じ含有率で分布しており、同一平面内では鉛成分の偏析は生じていないことが確認できた。
(測定3)
供試材の厚み方向についての鉛の偏析状況の測定は、まず、本発明の方法によって得られた供試材の平滑表面について、その中央部分をターゲットとして蛍光X線分析を行い、次に、その供試材の表面から約0.4gの重量だけハンダ材料を研磨により削り取って露出する表面(第1の深さ面)について、その中央部分をターゲットとして蛍光X線分析を行い、更にその後、同様に約0.4gを研磨した表面について蛍光X線分析を行うという作業を3回繰り返して行った(第2〜4の深さ面)。1回の研磨によって、供試材の厚みは約300μm減少した。従って、1つの供試材の厚み方向について5部位(約300μmずつ異なる5段階の深さの部位)の鉛の特定X線強度を測定し、そのバラツキに基づいて厚み方向の鉛の偏析を調べた。結果を表3に示す。
Figure 2006292688
表3に示すように、測定3によって得られた変動係数の数値は、測定1及び2のいずれの変動係数とも、小数点以下1桁目まで一致しているおり、非常に近似した値であって、これらの値の間に実質的な差はないと把握することができる。従って、本発明の方法によって作製した供試材の厚み方向について鉛成分は実質的に同じ含有率で分布しており、供試材の厚み方向について鉛成分の偏析は生じていないことが確認できた。
以上の測定1〜3の結果から、本発明の方法によれば、鉛成分の偏析を実質的に伴わない蛍光X線分析用の供試材が得られることが確認できた。従って、本発明の方法によって得られる供試材は、平面方向及び厚み方向のいずれについても(3次元的に)偏析が認められず、従って一様な組成を有していると考えることができる。このことに関して、本発明の方法では、サンプリングカップ31でハンダ槽から汲み出したハンダ材料がまだ溶融状態を保って固化を全く生じていない間に、そのハンダ材料を放熱プレート35上に落下及び接触させるが、その落下及び接触の際に、図3において点Dから点Eへの温度変化で示すように、ハンダ材料が急冷されることによって偏析が防止されるという因果関係があると考えることができる。
(測定4)
次に、本発明の方法を独立して10回実施し、各回について各1個の供試材を作製した。従って、合計10個の供試材(供試材番号をそれぞれ1〜10とした)を作製した。これら10個の供試材の平滑表面の中央部分をターゲットとして蛍光X線分析を行い、鉛の特性X線強度を測定した。次に、JISZ3910に規定する原子吸光分析法によって、供試材番号1〜5の5個の供試材について原子吸光分析を行い、鉛含有率の定量分析を行った。
これらの蛍光X線分析結果および原子吸光分析結果を表4に示す。蛍光X線分析からは、測定4の結果として得られた変動係数は上記測定1〜3の変動係数の数値と実質的に差はないと考えられるので、供試材の間で鉛成分の含有率に実質的なバラツキはなかったと判断することができる。また、原子吸光分析の測定値からも供試材どうしの間で鉛成分の含有率に実質的なバラツキは認められなかった。従って、供試材番号6〜10の各供試材は、鉛成分が偏析していない供試材であって、蛍光X線分析法の定量基準とするのに有用な供試材として用いることができる。
Figure 2006292688
(表4の続き)
Figure 2006292688
上記のように、同じ供試材を用いて原子吸光分析と蛍光X線分析とを行い、これら2つの分析結果を関連させたデータベースを一旦作成しておけば、その後、蛍光X線分析のみを独立して行っても、得られる強度の値から鉛成分の含有率を定量分析することができる。その結果、サンプリングしてから30分程度の時間で、ハンダ材料中の鉛成分の含有率の測定値を得ることができる。また、蛍光X線分析装置の校正が必要な場合も、本発明の方法によって作製した供試材を、蛍光X線分析装置の定量基準として用いることができる。
(実施の形態3)
本発明の方法を、フローハンダ付けプロセスによって電子機器を製造する実際の場で使用する場合には、以下のような利用形態を採用することができる。
1つの特定の規格のプリント基板を製造する場合(例えば、鉛フリーハンダを用いて実装を行う場合)、新しいハンダ材料を入れたハンダ槽について1回目の測定を行い、プリント基板を例えば1000個(処理数は任意に設定することができる)処理する毎に2回目、3回目、それ以降と、順次測定を行い、処理したプリント基板のロット番号等の情報と各測定回数で得られる分析結果の測定値とを関連付けたデータを、例えばコンピュータ等の記録システムに記録する。このような操作を複数回行ってデータを記録することによって、その対象とする特定の規格のプリント基板を製造する場合に、基板の処理数と鉛成分含有率の測定値との相関関係を示すデータ又はグラフを作成することができる。種々の規格のプリント基板に対応して、種々のプロセスが存在する場合には、それに対応する分析とデータの記録を行うことによって本発明の方法を利用することができる。
分析の結果、不純物成分、特に鉛成分の含有率が許容値以下であれば、そのハンダ槽内のハンダ材料は上記プロセスに継続して使用することができる。一方、不純物成分、特に鉛成分の割合が許容値を越えれば、そのハンダ槽内のハンダ材料の全体を新たなハンダ材料と交換するか、又はその一部を新たなハンダ材料と交換したり、若しくは使用中のハンダ材料に新たなハンダ材料を所定の割合だけ添加することによって、そのハンダ材料中に含まれる不純物成分、特に鉛成分の割合を低下させて、許容値以下となるようにする等の処理をして、溶融ハンダ材料を更新することになる。この操作を、本出願では、第3の発明において、分析結果に基づいてハンダ槽内のハンダ材料を少なくとも部分的に入れ替えると称している。
尚、RoHS指令による鉛成分含有率の許容値は1000ppmであるので、その許容値からデータのバラツキや安全のためのマージンを差し引いて、例えば800ppmという数値の鉛成分含有率を許容限度として設定することができる。その場合に、複数回の測定によってデータを記録すると、基板の処理数と鉛成分の含有率との相関関係について相当な程度で信頼できる傾向を把握することができる。従って、鉛含有率が700ppm、750ppm及び790ppmに到達するそれぞれ対応するプリント基板の処理数を把握することができる。その傾向に基づいて、ハンダ槽の交換又は更新を行う準備を行うことができる。
本発明の供試材の作製方法によれば、偏析が生じることを有効に防止して、一様な組成を有する供試材を迅速かつ簡便に作製することができる。また、この方法によって、蛍光X線分析用の定量基準となる供試材を迅速かつ簡便に作製することができる。従って、フローハンダ付けプロセスと組み合わせて実施することによって、ハンダ槽を容易に管理することができる。
本発明を実施する際に使用することができるフローハンダ付け装置の概略断面図である。 本発明の実施に適するサンプリングカップ(a図)及び放熱プレート(b図)の概略図である。 本発明を実施する際のサンプリングカップの温度プロファイル及び汲み出したハンダ材料の温度プロファイルの概略図である。 本発明の方法によって作製するハンダ供試材の好ましい状態(a図)及び好ましくない状態(b図)を示す模式図である。 本発明の方法によって作製したハンダ供試材について測定中の蛍光X線分析装置を示す模式図である。
符号の説明
10:フローはんだ付け装置、 11:入口部、 12:出口部、 13:搬送ライン、 14:予熱手段、 15:ハンダ材料、 16:ハンダ槽、 17:ハンダ材料供給手段、 18:1次噴流、 19:2次噴流、 20:搬送ラインの搬送の向き、 21:プリント基板、 31:サンプリングカップ、 32:カップ凹部、 33:カップ部、 34:把手、 35:放熱プレート、 36:好ましい状態のハンダ供試材、 36’:好ましい状態のハンダ供試材。

Claims (7)

  1. ハンダ槽内で溶融状態にあるハンダ材料の組成を分析試験するための供試材を作製する方法であって、
    サンプリングカップを溶融状態のハンダ材料の中に入れて、該サンプリングカップの温度をハンダ浴の温度と実質的に同じになるまで上昇させ、
    前記溶融状態のハンダ材料をサンプリングカップにて所定量だけ汲み出し、
    前記ハンダ材料が溶融状態にある間に放熱プレート上へ落下させ、及び
    前記ハンダ材料を放熱プレート上にて固化させる
    ことを特徴とするハンダ供試材の作製方法。
  2. 前記ハンダ槽は、フローハンダ付けプロセスに用いるハンダ槽であることを特徴とする請求項1記載のハンダ供試材の作製方法。
  3. 前記サンプリングカップに用いる材料は、ステンレス鋼、鋳鉄、インコネル、ハステロイ、チタン、チタン合金及びセラミックから選ばれるいずれかの材料であることを特徴とする請求項1又は2記載のハンダ供試材の作製方法。
  4. 対象とするハンダ材料は、鉛フリーハンダ材料であり、Sn−Ag系、Sn−Bi系、Sn−Zn系、Sn−Cu系、Sn−Au系、Sn−Sb系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Ag−Bi系、及びSn−Ag−Bi−Cu系から選ばれるいずれかの材料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハンダ供試材の作製方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のハンダ供試材の作製方法によって作製されたハンダ供試材を蛍光X線分析法によって分析することを特徴とするハンダ供試材の分析方法。
  6. 前記分析方法は、少なくとも鉛成分の定量分析を含むことを特徴とする請求項5記載のハンダ供試材の分析方法。
  7. 請求項5又は6記載のハンダ供試材の分析方法を所定の間隔をおいて実施し、得られる分析結果に基づいてハンダ槽内のハンダ材料を少なくとも部分的に入れ替えることを特徴とするフローハンダ付け装置のハンダ槽を管理するシステム。
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