JP2006292382A - 赤外線センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】サーモパイル型赤外線センサにおいて、赤外線(熱)を効率良く熱電対の温接点に伝えることを可能とし、感度を向上する。
【解決手段】ダイヤフラム構造のシリコン基板3上に形成されたメンブレン膜4と、メンブレン膜4上に絶縁膜6のコンタクトホール8を介してポリシリコン膜5とアルミニウム膜7とを接続して形成された熱電対9と、熱電対9を保護するパッシベーション膜10と、パッシベーション膜10上に形成された赤外線吸収膜11の下部に形成されたアルミニウム膜7aと、を備え、赤外線吸収膜11に赤外線が入射すると、空洞部分2と赤外線吸収膜11からなる受光領域が昇温し、アルミニウム膜7aに伝わる。伝わった熱は、アルミニウム膜7aを経由して効率良く熱電対9の温接部に伝わるため、熱電対9の温接点と冷接点の温度差に大きな勾配が生じ、大きな起電力が発生する。
【選択図】図1
【解決手段】ダイヤフラム構造のシリコン基板3上に形成されたメンブレン膜4と、メンブレン膜4上に絶縁膜6のコンタクトホール8を介してポリシリコン膜5とアルミニウム膜7とを接続して形成された熱電対9と、熱電対9を保護するパッシベーション膜10と、パッシベーション膜10上に形成された赤外線吸収膜11の下部に形成されたアルミニウム膜7aと、を備え、赤外線吸収膜11に赤外線が入射すると、空洞部分2と赤外線吸収膜11からなる受光領域が昇温し、アルミニウム膜7aに伝わる。伝わった熱は、アルミニウム膜7aを経由して効率良く熱電対9の温接部に伝わるため、熱電対9の温接点と冷接点の温度差に大きな勾配が生じ、大きな起電力が発生する。
【選択図】図1
Description
本発明は、赤外線センサに関し、特にサーモパイル型赤外線センサに関するものである。
従来のサーモパイル型赤外線センサとしては、ポリシリコン膜とアルミニウム膜が熱電対を形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。図3(a)及び(b)は、従来のサーモパイル型赤外線センサの一例を示す。この赤外線センサPは、メンブレン膜304を支持する支持部分301と空洞部分302を有するシリコン基板303と、メンブレン膜304と、ポリシリコン膜305と、コンタクトホール308を有する絶縁膜306と、アルミニウム膜307と、パッシベーション膜310と、赤外線吸収膜311と、絶縁膜306aとを備える。この赤外線センサPの熱電対309は、ポリシリコン膜305と、絶縁膜306のコンタクトホール308を介してポリシリコン膜305に接続されたアルミニウム膜307から形成されている。
上記赤外線センサPは、赤外線(熱)が入射すると、シリコン基板303の空洞部分302と赤外線吸収膜311からなら受光領域の温度が上昇し、熱電対309の温冷接点間に温度差が生じて、ゼーベック効果により起電力が発生し、取り出し電極321から取り出される。この起電力は、温度差に比例するため、温度や赤外線(熱)のセンシングが可能となる。そのため、受領領域に入射した赤外線(熱)が、熱電対309の温接点に伝わった時の温接点の温度と、冷接点の温度に大きな差が生じない場合は、感度の低下を招くという問題がある。また、熱電対309の温接点に入射したほとんどの赤外線(熱)は、熱電対309のアルミニウム膜307を伝わって冷接点から逃げるため、逃げた熱の分だけ赤外線センサの感度が低下するという問題がある。
特開2001−201397号公報
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであり、赤外線(熱)を効率良く熱電対の温接点に伝えることができ、また、熱電対の温接点に入射した赤外線(熱)が冷接点から逃げにくくすることが可能で、熱電対の温接点と冷接点の温度差に大きな勾配を生じさせ、感度の向上を図った赤外線センサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、熱電対を有するサーモパイル型の赤外線センサにおいて、支持部分と空洞部分を有するシリコン基板上に形成されたメンブレン膜と、前記メンブレン膜上に、前記空洞部分の上部から前記支持部分の上部にわたって形成されたポリシリコン膜と、前記ポリシリコン膜上に形成され、前記空洞部分の上部に形成された第1のコンタクトホールと、前記支持部分の上部に形成された第2のコンタクトホールを有する絶縁膜と、前記絶縁膜の上に、前記コンタクトホールを介して前記ポリシリコン膜と接続されるよう形成されたアルミニウム膜と、前記ポリシリコン膜と前記アルミニウム膜が前記絶縁膜のコンタクトホールを介して接続され、前記支持部分と前記空洞部分の上部にそれぞれ冷接点と温接点が形成された熱電対と、前記熱電対上に形成されたパッシベーション膜と、前記空洞部分の上部にある前記パッシベーション膜上に形成された赤外線吸収膜と、前記赤外線吸収膜の下部に形成された前記とは別のアルミニウム膜とを備えるものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の赤外線センサにおいて、前記熱電対を形成するアルミニウム膜の配線を絶縁膜上に引き回すことで、可及的に長くするものである。
本発明によれば、空洞部分と赤外線吸収膜からなる受光領域に入射した赤外線(熱)が、熱電対の温接点に近接した赤外線吸収膜の下部にあるアルミニウム膜に伝わるので、赤外線(熱)を熱電対に効率良く伝えることができる。これにより、赤外線センサの感度を向上させることができる。また、熱電対のアルミニウム膜の配線を長くすることにより、熱電対の温接点に伝わった赤外線(熱)が、冷接点に伝わりにくくなるので、赤外線(熱)の温度の低下を抑制することができる。
以下、本発明の第1の実施形態に係るサーモパイル型赤外線センサについて図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る赤外線センサSの構造を示す。赤外線センサSは、ダイヤフラム構造のシリコン基板3上に形成されたメンブレン膜4と、メンブレン膜4上に絶縁膜6のコンタクトホール8を介してポリシリコン膜5とアルミニウム膜7とを接続して形成された熱電対9と、熱電対9を保護するパッシベーション膜10と、パッシベーション膜10上に形成された赤外線吸収膜11と、シリコン基板3のメンブレン膜4が形成されているのとは反対側の面に形成された絶縁膜6aと、熱電対9から発生する起電力を取り出すための取り出し電極21と、赤外線吸収膜11の下部に形成されたアルミニウム膜7aとを備える。また、赤外線吸収膜11の周囲には、ゼーベック効果により生じた起電力を増幅させるためお互いに直列に接続された多数の熱電対9を配置しており、熱電対9の温接点を空洞部分2の上に設け、メンブレン膜4を支持する支持部分1の上部に冷接点を設けている。
シリコン基板3は、サーモパイルパターンがある側とは反対側からシリコン基板3をエッチングしたダイヤフラム構造であり、エッチングされた後に残った支持部分1とエッチングにより除去された空洞部分2を有する。ポリシリコン膜5は、メンブレン膜4上に形成されており、例えば、メンブレン膜4にN型もしくはP型の不純物をドーピングして形成する。絶縁膜6は、ポリシリコン膜5上に形成されており、空洞部分2の上部に形成された第1のコンタクトホール8aと、支持部分1の上部に形成された第2のコンタクトホール8bを有する。アルミニウム膜7は、絶縁膜6上に形成されており、コンタクトホール8を介してポリシリコン膜5と接続されている。熱電対9(破線で囲んだ部分)は、絶縁膜6のコンタクトホール8(8a、8b)によってポリシリコン膜5とアルミニウム膜7とを接続することにより形成されている。
また、熱電対9は、ゼーベック効果を利用するため、ポリシリコン膜5とアルミニウム膜7とが接続された支持部分1の上部で温接点が形成され、ポリシリコン膜5とアルミニウム膜7が接続された空洞部分2の上部で冷接点が形成されている。パッシベーション膜10は、熱電対9上に形成されており、シリコンエッチング液などから熱電対9を保護するため、例えば、酸化膜が用いられる。赤外線吸収膜11は、パッシベーション膜10上に形成されており、例えば、黒化樹脂や、黒化樹脂にカーボンフィラーなどの黒色フィラーを混ぜた樹脂(エポキシ系、シリコーン系、アクリル系、ウレタン系、ポリイミド系など)などが用いられる。
絶縁膜6aは、支持部分1上のメンブレン膜4が形成されているのとは反対側の面に形成されており、例えば、空洞部分2を作る際に使用するシリコンエッチング液に耐性のある窒化シリコンなどが用いられる。取り出し電極21は、ゼーベック効果により生じた起電力の取り出しを行うため、取り出し電極21が形成されている領域では、パッシベーション膜は開口している。アルミニウム膜7aは、絶縁膜6上の赤外線吸収膜11の下部に形成され、赤外線吸収膜11が吸収した熱を、熱電対9の温接点に伝える。
本実施形態の赤外線センサSの空洞部分2の形成方法について次に説明する。空洞部分2を形成していないシリコン基板3の一方面にメンブレン膜4、サーモパイルパターン、パッシベーション膜10、赤外線吸収膜11を形成した後、シリコン基板3のメンブレン膜4が形成されているのとは反対側の面に、シリコンエッチング液に耐性のある、例えば、窒化膜などのマスク材からなる絶縁膜6aを形成する。空洞部分2を形成したい領域の絶縁膜6aを開口し、例えば水酸化カリウム溶液などのエッチング液を用い、異方性エッチングする。これによって、シリコン基板3に空洞部分2を形成し、同時にダイヤフラム構造を得る。また、シリコン基板3に残った部分が、支持部分1となる。
上記のように構成された本実施形態の赤外線センサSの作用について次に説明する。赤外線センサSの赤外線吸収膜11に赤外線が入射すると、空洞部分2と赤外線吸収膜11からなる受光領域が昇温し、アルミニウム膜7aに伝わる。伝わった熱は、アルミニウム膜7aを経由して速やかに熱電対9の温接部に伝達される。同時に冷接点と温度差が生じるため、ゼーベック効果により、起電力が発生し、取り出し電極21から取り出される。赤外線吸収膜11から温接点の間にアルミニウム膜7aがある場合とない場合を比較すると、酸化膜などの絶縁膜よりもアルミニウム膜は熱伝導率が良いため、赤外線吸収膜11から温接点の間にアルミニウム膜7aを形成した場合、熱電対9の温接点に熱が速く伝わる。これによって、熱電対9の温接点と冷接点の温度差に大きな勾配が生じ、大きな起電力が発生する。このため、感度を向上することができる赤外線センサを提供することができる。
また、本実施形態の赤外線センサSのアルミニウム膜7とアルミニウム膜7aは、どちらも絶縁膜6上に形成されている。そのため、アルミニウム膜7とアルミニウム膜7aは、同一製造過程において、例えば、スパッタ法により同時に形成可能である。
次に、本発明の第2の実施形態に係る赤外線センサについて説明する。図2は、本実施形態に係る赤外線センサSの構造を示す。この赤外線センサSは、図1に示した赤外線センサSの構成と比べて、アルミニウム膜7の配線が、多数の熱電対9を直列に接続するのに必要十分な長さよりも長く絶縁膜6上に引き回され、かつ、お互いが交差することがないように形成されている。その他の構成は、図1の構成と同様である。
上記のように構成された本実施形態の赤外線センサSの作用について次に説明する。赤外線センサSの赤外線吸収膜11に赤外線が入射すると、空洞部分2と赤外線吸収膜11からなる受光領域が昇温し、アルミニウム膜7aに伝わる。伝わった熱は、アルミニウム膜7aを経由して速やかに熱電対9の温接部に伝達される。同時に冷接点と温度差が生じるため、ゼーベック効果により、起電力が発生し、取り出し電極21から取り出される。また、起電力は、温接点と冷接点との温度差がなくなるまで発生する。熱電対9の温接点に伝わった熱は、アルミニウム膜7の配線から熱電対9の冷接点に伝わり、冷接点からシリコン基板3の支持部分1に伝わる。そのため、アルミニウム膜7の配線が長い場合と短い場合を比較すると、アルミニウム膜7の配線が長い方が、冷接点に熱が伝わり難くなるので、温接点と冷接点との温度差が生じる時間が長い。これによって、起電力の生じる時間が長くなり、感度を向上することができる赤外線センサを提供することができる。
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、赤外線吸収膜の下部にアルミニウム膜と同等又はそれ以上に熱伝導率の良い金属膜を形成することにより、熱を効率良く熱電対の温接点に伝える形態も可能である。
1 支持部分
2 空洞部分
3 シリコン基板
4 メンブレン膜
5 ポリシリコン膜
6 絶縁膜
7 アルミニウム膜
7a アルミニウム膜
8 コンタクトホール
8a 第1のコンタクトホール
8b 第2のコンタクトホール
9 熱電対
10 パッシベーション膜
11 赤外線吸収膜
2 空洞部分
3 シリコン基板
4 メンブレン膜
5 ポリシリコン膜
6 絶縁膜
7 アルミニウム膜
7a アルミニウム膜
8 コンタクトホール
8a 第1のコンタクトホール
8b 第2のコンタクトホール
9 熱電対
10 パッシベーション膜
11 赤外線吸収膜
Claims (2)
- 熱電対を有するサーモパイル型の赤外線センサにおいて、
支持部分と空洞部分を有するシリコン基板上に形成されたメンブレン膜と、
前記メンブレン膜上に、前記空洞部分の上部から前記支持部分の上部にわたって形成されたポリシリコン膜と、
前記ポリシリコン膜上に形成され、前記空洞部分の上部に形成された第1のコンタクトホールと、前記支持部分の上部に形成された第2のコンタクトホールを有する絶縁膜と、
前記絶縁膜の上に、前記コンタクトホールを介して前記ポリシリコン膜と接続されるよう形成されたアルミニウム膜と、
前記ポリシリコン膜と前記アルミニウム膜が前記絶縁膜のコンタクトホールを介して接続され、前記支持部分と前記空洞部分の上部にそれぞれ冷接点と温接点が形成された熱電対と、
前記熱電対上に形成されたパッシベーション膜と、
前記空洞部分の上部にある前記パッシベーション膜上に形成された赤外線吸収膜と、
前記赤外線吸収膜の下部に形成された前記とは別のアルミニウム膜とを備えることを特徴とする赤外線センサ。 - 前記熱電対を形成するアルミニウム膜の配線を絶縁膜上に引き回すことで、可及的に長くすることを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。
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JP2005109189A JP2006292382A (ja) | 2005-04-05 | 2005-04-05 | 赤外線センサ |
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JP2005109189A JP2006292382A (ja) | 2005-04-05 | 2005-04-05 | 赤外線センサ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN109781287A (zh) * | 2019-03-04 | 2019-05-21 | 西安交通大学 | 一种具有高空间分辨率的柔性薄膜热电偶温度传感器 |
CN113013317A (zh) * | 2021-03-02 | 2021-06-22 | 西安微电子技术研究所 | 一种具有双多晶的热电偶结构及其制作方法 |
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2005
- 2005-04-05 JP JP2005109189A patent/JP2006292382A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109781287A (zh) * | 2019-03-04 | 2019-05-21 | 西安交通大学 | 一种具有高空间分辨率的柔性薄膜热电偶温度传感器 |
CN113013317A (zh) * | 2021-03-02 | 2021-06-22 | 西安微电子技术研究所 | 一种具有双多晶的热电偶结构及其制作方法 |
CN113013317B (zh) * | 2021-03-02 | 2023-06-06 | 西安微电子技术研究所 | 一种具有双多晶的热电偶结构及其制作方法 |
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Legal Events
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