JP2006291833A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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貴宏 内田
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淳 森川
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Abstract

【課題】排気浄化部材についてその排気浄化機能の熱劣化を精度よく検出することのできる内燃機関の排気浄化装置を提供する。
【解決手段】制御装置25は、NSR触媒31及びDPNR触媒32が設けられた排気浄化部材30の排気浄化機能の熱劣化を検出する。この熱劣化検出に際しては、NSR触媒31の複数箇所の推定床温について平均値を算出するとともに、DPNR触媒32の複数箇所の推定床温について平均値を算出する。そして、NSR触媒31及びDPNR触媒32に対してそれぞれ設定される値であって排気浄化部材30の排気浄化機能に対する各触媒の熱劣化影響度を示す値にてその算出された平均値を補正し、その補正値に基づいて熱劣化を検出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関するものである。
近年、一部の内燃機関の排気通路には、排気浄化用の触媒が配設された排気浄化部材が設けられている。そのような触媒としては、NOx(窒素酸化物)を浄化するNOx浄化触媒や、PM(Particulate Matter:粒子状物質)を捕集するPMフィルタ及びNOx浄化触媒として機能するDPNR(Diesel Particulate-NOx Reduction system)触媒等がある。
このような排気浄化部材には、その排気浄化機能の回復・維持等を図るための添加剤供給が行われる場合がある。例えば、NOx浄化触媒にあっては、これに吸蔵されたNOxを還元・放出するための添加剤として、エンジンの燃料などが供給される。
また、上記PMフィルタ内に捕集されたPMが堆積すると、同PMフィルタでの圧力損失が増大してしまう。そこで、同PMフィルタに添加剤として燃料を供給することにより捕集されたPMを焼失させ、このPMフィルタを再生させるといったことも行われる。
ところで、排気浄化部材は高温の排気や、添加剤の酸化反応熱及び添加剤の燃焼熱等によって昇温されるのであるが、その排気浄化部材に備えられた触媒は高温雰囲気下において熱劣化が進行するため、同排気浄化部材の排気浄化機能は徐々に低下していく。
そこで、そのような触媒の熱劣化、換言すれば排気浄化部材の排気浄化機能に関する熱劣化を検出する装置が、従来、種々提案されている。例えば触媒の上流側排気温度と下流側排気温度との差が一定値以下のときには、触媒の劣化が進行していると判定する装置などが提案されている。
他方、排気温度の差に基づいて熱劣化を検出する場合には、検出結果が一時的に変動するおそれがある。そこで、特許文献1に記載の装置では、より正確な劣化検出を行うべく、触媒が受熱した温度履歴に基づいて同触媒の熱劣化を検出するようにしている。より具体的には、触媒の温度(以下、床温という)に基づいて触媒の劣化係数を算出する。そして、触媒が受熱した温度履歴を示す値として前記劣化係数を積算した劣化度を算出するようにしている。
特開平7−119447号公報
ここで、触媒の温度分布は均一ではなく、同触媒での添加剤の酸化や燃焼に起因にしてその温度勾配は排気下流側に向かうほど高くなっている。
ところが、上記文献に記載の装置では、触媒の一部の温度を温度センサで測定し、その測定結果に基づいて熱劣化を検出するようにしているため、温度検出部位とは異なる部位の熱劣化を検出することはできず、触媒全体としての熱劣化を精度よく検出することはできないものとなっている。すなわち、触媒を備える排気浄化部材の排気浄化機能に関する熱劣化を精度よく検出することはできないものとなっている。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、排気浄化部材についてその排気浄化機能の熱劣化を精度よく検出することのできる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、排気浄化用の触媒が配設された排気浄化部材と、同排気浄化部材の排気浄化機能の熱劣化を検出する検出手段とを備える内燃機関の排気浄化装置であって、前記検出手段は、前記触媒の複数箇所の床温を推定し、その推定された各床温の平均値に基づいて前記熱劣化を検出することをその要旨とする。
上述したように、触媒には温度勾配が生じるため、同触媒の各部における熱劣化は異なるようになる。この点、同構成では、触媒の複数箇所の推定床温についてその平均値を算出し、その平均値に基づいて排気浄化部材の排気浄化機能に関する熱劣化、換言すれば触媒の熱劣化を検出するようにしている。そのため、触媒の温度勾配が熱劣化検出に与える影響を抑えることができ、もって触媒全体としての熱劣化の状態を適切に把握することができるようになる。従って、排気浄化部材についてその排気浄化機能の熱劣化を精度よく検出することができるようになる。なお、触媒の複数箇所の床温は、機関運転状態等から推定可能な触媒の受熱量、及び同触媒の温度勾配等に基づいて推定することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記排気浄化部材には複数の触媒が配設されており、前記検出手段は、各触媒毎に前記平均値を算出するとともに、各触媒毎に設定される値であって前記排気浄化機能に対する各触媒の熱劣化影響度を示す値にてその算出された平均値を補正し、その補正値に基づいて前記熱劣化を検出することをその要旨とする。
排気浄化部材に複数の触媒が配設される場合にあって、排気浄化機能の高い触媒(例えば体積が大きく浄化容量が大きい触媒)と同排気浄化機能の小さい触媒(例えば体積が小さく浄化容量が小さい触媒)とでは、各触媒の熱劣化が同じように進行したとしても排気浄化機能の低下度合は互いに異なる。そのため、例えば排気浄化部材に2つの触媒が配設されており、同排気浄化部材全体としての排気浄化機能が熱劣化により仮に「1」低下した場合において、同排気浄化機能の低下に対する一方の触媒の熱劣化の影響割合を「M(0≦M≦1)」とすると、同排気浄化機能に対する他方の触媒の熱劣化の影響割合は「1−M」となる。このように、複数の触媒が配設された排気浄化部材を1つの触媒とみなした場合にあって、同排気浄化部材の排気浄化機能に対する各触媒の熱劣化の影響度合は互いに異なるものとなる。
そこで、同構成では、複数の触媒が配設された排気浄化部材の熱劣化を検出するに際して、排気浄化部材の排気浄化機能に対する各触媒の熱劣化影響度を各触媒毎にそれぞれ設定するようにしている。そして、各触媒毎に算出される前記平均値を各触媒毎に設定された熱劣化影響度にて補正し、その補正値に基づいて排気浄化部材の排気浄化機能に関する熱劣化を検出するようにしている。従って、排気浄化部材の排気浄化機能に関する熱劣化を検出するに際して、同排気浄化機能に対する各触媒の熱劣化影響を適切に反映させることができるようになり、もって上記排気浄化部材に複数の触媒が配設される場合であっても、同排気浄化部材の排気浄化機能に関する熱劣化を精度よく検出することができるようになる。
なお、排気浄化機能の低い触媒と比較して、排気浄化機能の高い触媒ほど、熱劣化による排気浄化機能の低下割合は小さくなる。従って、請求項3に記載の発明によるように、前記熱劣化影響度は、排気浄化機能の高い触媒ほど小さくなるように設定するとよい。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記熱劣化影響度は、前記熱劣化に基づいて可変設定されることをその要旨とする。
熱劣化による触媒の排気浄化機能低下は、同熱劣化の進行につれて鈍化し、複数の触媒においてそれぞれ熱劣化が進行していくにつれて、各触媒における排気浄化機能の差異は小さくなっていく。従って、複数の触媒についてそれぞれの熱劣化が進行していくにつれて、各触媒における前記熱劣化影響度の差も小さくなる。この点、同構成によれば、検出手段によって検出される熱劣化に基づいて前記熱劣化影響度が可変設定されるため、排気浄化部材の排気浄化機能に関する熱劣化を検出する際に、複数の触媒の熱劣化進行による前記熱劣化影響度の変化を反映させることができるようになる。そのため、複数の触媒が配設される排気浄化部材の排気浄化機能に関する熱劣化をさらに精度よく検出することができるようになる。
なお、このような熱劣化影響度の可変設定に際しては、請求項5に記載の発明によるように、前記熱劣化の度合が高くなるほど、各触媒毎に設定される前記熱劣化影響度の差は小さくされる、といった構成を採用することにより、熱劣化影響度を適切に設定することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記排気浄化部材は、NOx浄化触媒と、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ機能付きのNOx浄化触媒とを備え、該排気浄化部材には添加剤が供給されることをその要旨とする。
同構成によれば、NOx浄化触媒によるNOxの還元・放出や排気中の粒子状物質を捕集するフィルタの再生を図るために、排気浄化部材への添加剤供給、例えば燃料供給などがなされる。このような排気浄化部材では、NOx浄化触媒及びフィルタ機能付きのNOx浄化触媒の熱劣化が添加剤の酸化反応熱や燃焼熱によって進行しやすくなる。この点、請求項2〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置によれば、複数の触媒が配設された排気浄化部材の排気浄化機能に関する熱劣化を精度よく検出することができる。そのため、熱劣化が進行しやすいNOx浄化触媒及びフィルタ機能付きのNOx浄化触媒を前記排気浄化部材に配設する場合であっても、その熱劣化を精度よく検出することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記排気浄化部材は添加剤が供給される部材であり、前記検出手段は、前記推定される床温を排気温度センサの検出値で補正し、かつ前記排気温度センサの異常時には、前記添加剤の供給を禁止するとともに、前記触媒の排気上流側の推定排気温度を同触媒の床温として設定し、その設定された床温に基づいて前記熱劣化を検出することをその要旨とする。
同構成では、排気温度センサの検出値に基づいて前記推定床温を補正することにより、その推定精度をさらに高めるようにしている。ここで、排気温度センサに異常が生じると床温を適切に推定することができなくなり、添加剤供給による排気浄化部材の過昇温等、換言すれば触媒の過昇温等を適切に検出することが困難になる。そこで、同構成では、排気温度センサの異常時には前記添加剤の供給を禁止するようにしている。
また、排気温度センサの異常に起因する床温の推定精度低下により、前記熱劣化の検出精度も低下するようになる。
ところで、触媒は添加剤の酸化反応熱や燃焼熱のみならず、排気によっても加熱される。従って、添加剤供給が禁止された場合の床温は、触媒の排気上流側の排気温度、すなわち触媒に流入する排気の温度に依存する。そこで、同構成では、排気温度センサの異常時において、触媒の排気上流側の排気温度を推定し、その推定された排気温度を同触媒の床温として設定するようにしている。そして、その設定された床温に基づいて前記熱劣化を検出するようにしている。従って、排気温度センサの異常時であっても、触媒の床温を適切に推定することができるようになり、もって前記熱劣化の検出精度低下を好適に抑制することができるようになる。なお、触媒の排気上流側の推定排気温度は、機関回転速度及び燃料噴射量等に基づいて算出することができる。また、上記添加剤としては機関の燃料などが挙げられる。
(第1の実施形態)
以下、この発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を具体化した第1の実施形態について、図1〜図5を併せ参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかる排気浄化装置を備えるディーゼル機関の制御装置、これが適用されるエンジン1、並びにそれらの周辺構成を示す概略構成図である。
エンジン1には複数の気筒#1〜#4が設けられている。シリンダヘッド2には複数の燃料噴射弁4a〜4dが取り付けられている。これら燃料噴射弁4a〜4dは各気筒#1〜#4の燃焼室に燃料を噴射する。また、シリンダヘッド2には外気を気筒内に導入するための吸気ポートと、燃焼ガスを気筒外へ排出するための排気ポート6a〜6dとが各気筒#1〜#4に対応して設けられている。
燃料噴射弁4a〜4dは、高圧燃料を蓄圧するコモンレール9に接続されている。コモンレール9はサプライポンプ10に接続されている。サプライポンプ10は燃料タンク内の燃料を吸入するとともにコモンレール9に高圧燃料を供給する。コモンレール9に供給された高圧燃料は、各燃料噴射弁4a〜4dの開弁時に同燃料噴射弁4a〜4dから気筒内に噴射される。
吸気ポートにはインテークマニホールド7が接続されている。インテークマニホールド7は吸気通路3に接続されている。この吸気通路3内には吸入空気量を調整するためのスロットル弁16が設けられている。
排気ポート6a〜6dにはエキゾーストマニホールド8が接続されている。エキゾーストマニホールド8は排気通路26に接続されている。
排気通路26の途中には、排気圧を利用して気筒に導入される吸入空気を過給するターボチャージャ11が設けられている。同ターボチャージャ11の吸気側コンプレッサとスロットル弁16との間の吸気通路3にはインタークーラ18が設けられている。このインタークーラ18によって、ターボチャージャ11の過給により温度上昇した吸入空気の冷却が図られる。
また、排気通路26の途中にあって、ターボチャージャ11の排気側タービンの下流側には、排気浄化装置を構成する部材であり、排気成分を浄化する排気浄化部材30が設けられている。この排気浄化部材30の内部には直列に2つの触媒が配設されている。
これら2つの触媒のうち、排気上流側に設けられた1つ目の触媒は、排気中のNOxを浄化するNOx吸蔵還元型触媒(以下、NSR(NOx storage-reduction)触媒という)31である。
また、NSR触媒31の排気下流側に設けられた2つ目の触媒は、排気中のPM(粒子状物質)を捕集するフィルタ機能付きのNOx浄化触媒、いわゆるDPNR(Diesel Particulate-NOx Reduction system)触媒32である。このDPNR触媒32は多孔質セラミック構造体にNOx吸蔵還元型触媒を担持させたものであり、排気中のPMは多孔質の壁を通過する際に捕集される。また、排気の空燃比がリーンの場合、排気中のNOxはNOx吸蔵還元型触媒に吸蔵され、空燃比がリッチになると吸蔵されたNOxはHCやCO等によって還元・放出される。なお、このDPNR触媒32の体積は、上記NSR触媒31よりも大きくされており、同NSR触媒31よりも排気の浄化容量が大きくなっている。そのため、DPNR触媒32は、NSR触媒31よりも排気浄化機能の高い触媒となっている。
この他、エンジン1にはEGR装置が備えられている。このEGR装置は、排気の一部を吸入空気に導入することで気筒内の燃焼温度を低下させ、NOxの発生量を低減させる装置である。この装置は吸気通路3と排気通路(エキゾーストマニホールド8)とを連通するEGR通路13、同EGR通路13に設けられたEGR弁15、EGRクーラ14等により構成されている。EGR弁15はその開度を調整することにより排気通路26から吸気通路3に導入される排気還流量、すなわちEGR量を調整する。EGRクーラ14はEGR通路13内を流れる排気の温度を低下させる。またEGR弁15にはEGR弁開度センサ22が配設されており、このEGR弁開度センサ22によりEGR弁15の開度(EGR弁開度EA)が検出される。
エンジン1には、機関運転状態を検出するための各種センサが取り付けられている。例えば、エアフロメータ19は吸気通路3内の吸入空気量GAを検出する。スロットル開度センサ20はスロットル弁16の開度(スロットル開度TA)を検出する。NSR触媒31の排気下流側に設けられた第1排気温度センサ33は、同NSR触媒31を通過した直後の排気の温度である第1排気温度Taを測定する。DPNR触媒32の排気下流側に設けられた第2排気温度センサ34は、DPNR触媒32を通過した直後の排気の温度である第2排気温度Tbを検出する。機関回転速度センサ23はクランクシャフトの回転速度、すなわち機関回転速度NEを検出する。アクセルセンサ24はアクセルペダルの踏み込み量、すなわちアクセル操作量ACCPを検出する。空燃比センサ21は排気の空燃比λを検出する。
これら各種センサの出力は制御装置25に入力される。この制御装置25は、中央処理制御装置(CPU)、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成されている。そして、この制御装置25により、例えば、燃料噴射弁4a〜4dの燃料噴射量制御や燃料噴射時期制御、サプライポンプ10の吐出圧力制御、スロットル弁16を開閉するアクチュエータ17の駆動量制御、EGR弁15の開度制御等、エンジン1の各種制御が行われる。また、後述する排気浄化部材30の熱劣化検出や噴射ノズル5からの燃料添加制御、あるいは各触媒の床温推定などといった各種の排気浄化制御も同制御装置25によって行われる。
上記噴射ノズル5はシリンダヘッド2に設けられており、排気浄化部材30、すなわちNSR触媒31やDPNR触媒32に添加剤としての燃料を供給する。噴射ノズル5と前記サプライポンプ10とは燃料供給管27によって接続されており、同噴射ノズル5からは第4気筒#4の排気ポート6d内に向けて燃料が噴射される。この噴射された燃料は、排気とともにNSR触媒31やDPNR触媒32に到達する。なお、噴射ノズル5は燃料噴射弁4a〜4dと同様な構造を有しており、制御装置25によってその噴射量及び噴射時期は制御される。また、噴射ノズル5の配設位置は、排気通路にあって排気浄化部材30の排気上流側であれば適宜変更することができる。そして本実施形態においては、噴射ノズル5等も排気浄化装置を構成する部材となっている。
さて、本実施形態では、NSR触媒31やDPNR触媒32に対して上述した燃料添加が行われる。以下、その理由を説明する。
A.ディーゼルエンジンの場合、排気の空燃比は通常リーンであるため、NSR触媒31やDPNR触媒32のNOx吸蔵量が限界に達する前に、排気の空燃比をリッチにしてNSR触媒31やDPNR触媒32に吸蔵されたNOxを還元・放出させる必要がある。そこで、制御装置25は機関運転状態等に基づいて推定されるNOx吸蔵量が所定の限界値に達したときに、上記噴射ノズル5による燃料添加を通じたNOx還元処理を実行する。このときに噴射される燃料はNSR触媒31やDPNR触媒32に到達すると、NOx還元剤として作用する。また、同燃料がNSR触媒31やDPNR触媒32で燃焼することにより酸素が消費され、排気の空燃比はリッチになる。このようなNOx還元処理により、NSR触媒31やDPNR触媒32のNOx浄化機能は維持される。
B.DPNR触媒32に捕集されたPMの堆積量が多くなると同DPNR触媒32での圧力損失が増大する。そのため、機関運転状態等に悪影響を与えるほど圧力損失が増大する前に堆積したPMを減少させる、いわゆるDPNR触媒の再生処理を行う必要がある。そこで、制御装置25は機関運転状態やDPNR触媒32の上流側排気圧及び下流側排気圧の差等に基づいて推定されるPM堆積量が所定の限界値に達したときに、上記噴射ノズル5による燃料添加を通じたDPNR触媒再生処理を実行する。このとき噴射される燃料はDPNR触媒32に到達すると燃焼され、これによりPMは着火されて最終的には焼失される。すなわちこの噴射燃料は、PMの燃焼促進剤として作用する。このようなDPNR触媒の再生処理により、DPNR触媒32に堆積したPMの量が減少される。
C.NOx吸蔵還元型触媒は、燃料や潤滑油に由来する硫黄分から生成されるSOx(硫黄酸化物)も吸収してしまう性質がある。ここで、NOx吸蔵還元型触媒の吸蔵量には限界があるため、このSOx吸収量が増大すると吸蔵可能なNOx量が減少してしまうといった、いわゆるSOx被毒によるNOx浄化機能の低下現象が生じる。一方、NOx吸蔵還元型触媒に吸収されたSOxは、600℃近い高温の還元雰囲気下において、同触媒から還元された状態で放出されることが知られており、このような条件下ではNOx吸蔵還元型触媒に吸収されたSOx量を減少させることができる。そこで制御装置25は機関運転状態等に基づいて推定されるSOx吸収量が所定の限界値に達したときに、上記噴射ノズル5による燃料添加を通じたSOx被毒回復処理を実行する。このとき噴射される燃料はNSR触媒31やDPNR触媒32において燃焼され、その熱より各触媒の温度は高められる。しかも燃料の燃焼によって各触媒の周りの酸素が消費され、NSR触媒31やDPNR触媒32の周りの酸素濃度も低くなり、高温及び還元雰囲気といった条件が満たされて、各触媒に堆積したSOxは還元・放出される。またこの燃料はSOxの還元剤としても機能する。
上記A〜Cのような理由により、NSR触媒31やDPNR触媒32には燃料添加が行われる。
なお、NSR触媒31やDPNR触媒32は、その温度が過剰に高くなると破損してしまうおそれがある。特に、DPNR触媒32にはNSR触媒31で昇温された排気が流入するため、DPNR触媒32の温度はNSR触媒31よりも高くなる傾向がある。そこで、DPNR触媒32の温度が所定の目標温度になるように、前記噴射ノズル5からの燃料供給量は調整される。
他方、添加供給される燃料の成分であるHC(炭化水素)は、NOxの還元に際して浄化されるのであるが、上記各触媒の熱劣化が進行するとHCの浄化率(触媒で浄化されたHCの量/触媒に流入したHCの量)は低下するようになり、これに伴ってNOxの浄化率(触媒で浄化されたNOxの量/触媒に流入したNOxの量)も低下するようになる。このような各触媒での熱劣化の進行により、排気浄化部材30全体としての排気浄化機能は徐々に低下していくようになる。
このように排気浄化部材30の排気浄化機能に対して影響を与える熱劣化は、触媒が受熱した温度履歴、換言すれば触媒の温度である床温の積算値と相関関係にあり、同積算値が大きくなるほど熱劣化は進行していると判断することができる。従って、制御装置25等を用いて、排気浄化機能の熱劣化は次のようにして検出することが可能である。
すなわち、所定時間毎に床温を計測し、その計測された床温に対応する熱劣化カウンタKを算出する。この熱劣化カウンタKの算出に際しては、床温が高いほど、より大きい値が算出されるようにしておく。そして、同熱劣化カウンタKを床温の計測毎に積算していく。このように熱劣化カウンタKを積算していけば、最新の積算値は現状の熱劣化度合を示す指標値となるため、熱劣化の進行度合を検出することが可能となる。
ちなみに、熱劣化による触媒の排気浄化機能低下は、同熱劣化の進行につれて鈍化する傾向にある、逆にいえば、熱劣化による触媒の排気浄化機能低下は、熱劣化の進行初期において大きく低下する。そこで、床温計測時の熱劣化カウンタKの積算値が小さいときほど、床温に基づいて算出される熱劣化カウンタKの値が大きくなるように、同熱劣化カウンタKを設定するようにすれば、より正確に熱劣化度合を推定することができる。
このように、床温に基づいて熱劣化を推定・検出する場合には、熱劣化に関係する床温の精度確保が重要である。
ここで、床温の温度分布は触媒内において均一ではなく、該触媒での添加剤(燃料)の酸化や燃焼に起因にして、その温度勾配は排気下流側に向かうほど高くなっている。そのため触媒の熱劣化は部分毎に異なっている。ところが、上記従来の装置では、触媒の一部分の温度を温度センサで測定し、その測定結果に基づいて熱劣化を検出するようにしているため、温度検出部位とは異なる部位の熱劣化を検出することはできず、触媒全体としての熱劣化を精度よく検出することはできないものとなっている。
また、排気浄化部材に複数の触媒が配設される場合にあって、排気浄化機能の高い触媒(例えば体積が大きく浄化容量が大きい触媒)と同排気浄化機能の小さい触媒(例えば体積が小さく浄化容量が小さい触媒)とでは、各触媒の熱劣化が同じように進行したとしても排気浄化機能の低下割合は互いに異なる。
本実施形態では、NSR触媒31よりもDPNR触媒32の方が排気浄化機能は高くなっており、熱劣化度合の増大に伴うHC浄化率の低下割合は、図2に示すようにNSR触媒31の方が大きくなっている。従って、図3に示すように、排気浄化部材30全体としての排気浄化機能(HC浄化率)が熱劣化により仮に「1」低下した場合において、その排気浄化機能の低下に対するNSR触媒31の熱劣化の影響割合を「M(0≦M≦1)」とすると、同排気浄化機能に対するDPNR触媒32の熱劣化の影響割合は「1−M」となる。このように、複数の触媒が配設された排気浄化部材30を1つの触媒とみなした場合にあって、同排気浄化部材30の排気浄化機能に対する各触媒の熱劣化の影響度合(以下、熱劣化影響度という)は互いに異なるものとなる。
そこで、本実施形態では、上記温度勾配が熱劣化検出に与える影響、及び排気浄化部材30全体としての排気浄化機能の低下に対して各触媒の熱劣化が与える影響を考慮して、熱劣化カウンタKを算出するための床温Tを求めるようにしており、これにより排気浄化部材30の排気浄化機能に関する熱劣化を精度よく検出することができるようにしている。
以下、上記床温Tの算出態様について説明する。
まず、図4に示すように、本実施形態では排気浄化部材30の各部の温度を推定、あるいは実測するようにしている。
同図4に示すように本実施形態では、NSR触媒31の排気上流側の温度、すなわち同NSR触媒31に流入する排気の温度(以下、入りガス温度という)T0を推定するようにしている。この入りガス温度T0は、機関回転速度及び燃焼室への燃料噴射量等に基づいて推定される。ちなみに機関回転速度が高いほど、また燃料噴射量が多いほど入りガス温度T0の値が高くなるように、該入りガス温度T0は推定される。
また、NSR触媒31内にあって排気上流部から排気下流部にかけて、順に第1床温T1、第2床温T2、及び第3床温T3といった3箇所の床温が推定される。これら各床温T1〜T3は、噴射ノズル5からの燃料添加量Qhc、吸入空気量GA、NSR触媒31内の温度勾配、及び第1排気温度センサ33にて実測される第1排気温度Taに基づいて推定される。より詳細には、燃料添加量Qhcや吸入空気量GAが多いほど、各床温T1〜T3の値が高くなるように、各床温T1〜T3は推定される。また、その推定に際しては、NSR触媒31内の温度勾配を考慮し、基本的に各床温T1〜T3の大小関係が「T1<T2<T3」となるようにそれぞれ推定される。そして、第1排気温度Taに基づいて各床温T1〜T3は補正される。例えば、NSR触媒31を通過した直後の排気の温度を第3床温T3等に基づいて推定し、その推定された温度が第1排気温度Taよりも低い場合には、その温度差に応じて各床温T1〜T3はそれぞれ高温側に補正される。このように各床温T1〜T3の推定に際して、排気温度センサの検出値、即ち排気温度の実測値を用いて各床温T1〜T3をフィードバック補正することにより、各床温の推定精度はさらに高められる。
また、DPNR触媒32内にあって排気上流部から排気下流部にかけて、順に第4床温T4、第5床温T5、第6床温T6、及び第7床温T7といった4箇所の床温が推定される。これら各床温T4〜T7も、噴射ノズル5からの燃料添加量Qhc、吸入空気量GA、DPNR触媒32内の温度勾配、及び第2排気温度センサ34にて実測される第2排気温度Tbに基づいて推定される。なお、各床温T4〜T7の推定態様は、上述した各床温T1〜T3の推定態様と同様である。
次に、上記推定される排気浄化部材30の各部の温度に基づき、熱劣化カウンタ算出用の上記床温Tを算出する処理について説明する。
図5に、熱劣化カウンタ算出用の床温算出処理についてその手順を示す。なお本処理は制御装置25によって所定期間毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されるとまず、第1排気温度センサ33及び第2排気温度センサ34が正常であるか否かが判定される(S100)。ここでの正常判定処理は適宜実施すればよいが、例えば各温度センサ33、34と上記入りガス温度T0との偏差が所定の範囲内に収まっている場合には「正常」と判断し、同偏差が過度に大きい場合には「異常」と判断するようにしてもよい。
そして、第1及び第2排気温度センサ33、34が正常である旨判定されると(S100:YES)、熱劣化カウンタKを算出するための上記床温Tが、次式(1)から算出される(S110)。

熱劣化カウンタ算出用の床温T=NSR補正床温Tn+DPNR補正床温Td …(1)

ここで、NSR補正床温Tnとは、前記第1床温T1から第3床温T3の平均値をNSR触媒31の熱劣化影響度M1で補正した値であり、次式(2)から算出される。

NSR補正床温Tn=M1×(T1+T2+T3) …(2)
M1:NSR触媒31の熱劣化影響度
T1:第1床温
T2:第2床温
T3:第3床温

また、DPNR補正床温Tdとは、前記第4床温T4から第7床温T7の平均値をDPNR触媒32の熱劣化影響度M2で補正した値であり、次式(3)から算出される。

DPNR補正床温Td=M2×(T4+T5+T6+T7) …(3)
M2=(1−M1):DPNR触媒32の熱劣化影響度
T4:第4床温
T5:第5床温
T6:第6床温
T7:第7床温

なお、NSR触媒31と比較して、DPNR触媒32の方が熱劣化による排気浄化機能の低下割合は小さくなっている。そのため、DPNR触媒32の熱劣化影響度M2としては、NSR触媒31の熱劣化影響度M1よりも小さい値が設定されている。
こうして熱劣化カウンタ算出用の床温Tが算出されると本処理は一旦終了され、同床温Tに基づいて上述したような熱劣化カウンタKの算出が行われる。そして、同熱劣化カウンタKの積算値に基づいて排気浄化部材30の排気浄化機能の熱劣化が検出される。
このように、本実施形態では、NSR触媒31やDPNR触媒32といった各触媒の床温を平均化しているため、触媒での温度勾配が熱劣化検出に与える悪影響を抑えることができる。また、排気浄化部材30全体としての排気浄化機能に関する各触媒の熱劣化の影響度にて各触媒の平均床温が補正されるため、同排気浄化機能に対する各触媒の熱劣化の影響が上記算出される床温Tには適切に反映される。従って、複数の触媒が配設された排気浄化部材30についてその排気浄化機能に関する熱劣化が精度よく検出される。
他方、上記ステップS100において、第1排気温度センサ33、あるいは第2排気温度センサ34に異常ありと判断される場合には(S100:NO)、以下の処理が実行される。
まず、第1排気温度センサ33や第2排気温度センサ34に異常が生じると第1〜第7床温T1〜T7を適切に推定することができなくなり、燃料添加による排気浄化部材30の過昇温等、換言すればNSR触媒31やDPNR触媒32の過昇温等を適切に検出することが困難になる。そこで、第1排気温度センサ33、あるいは第2排気温度センサ34に異常ありと判断される場合には、燃料添加が禁止される(S120)。
また、第1排気温度センサ33や第2排気温度センサ34に異常が生じると第1〜第7床温T1〜T7の推定精度が低下するため、排気浄化部材30の排気浄化機能に関する熱劣化の検出精度も低下するようになる。
ここで、触媒は添加剤(燃料)の酸化反応熱や燃焼熱のみならず、排気によっても加熱される。従って、添加剤供給が禁止された場合の床温は、触媒の排気上流側の排気温度、すなわち触媒に流入する排気の温度に依存する。
そこで、ステップS120にて燃料添加が禁止されると、次に、上記推定される入りガス温度T0がNSR触媒31及びDPNR触媒32の床温として設定される。すなわち入りガス温度T0が上記床温Tとして設定される(S130)。
こうして排気温度センサの異常時における熱劣化カウンタ算出用の床温Tが算出されると本処理は一旦終了され、同床温Tに基づいて上述したような熱劣化カウンタKの算出が行われる。そして、同熱劣化カウンタKの積算値に基づいて排気浄化部材30の排気浄化機能の熱劣化が検出される。
このように本実施形態では、排気温度センサの異常時におけるNSR触媒31及びDPNR触媒32の床温として、排気浄化部材30の排気上流側の推定排気温度を設定するようにしている。そして、その設定された床温に基づき、排気浄化部材30の排気浄化機能の熱劣化が検出される。従って、第1排気温度センサ33や第2排気温度センサ34の異常時であっても、各触媒の床温を適切に推定することができるようになり、もって各触媒の床温に基づいて推定される前記熱劣化についてその検出精度低下が好適に抑制される。
以上説明したように、本実施形態によれば次のような効果を得ることができる。
(1)NSR触媒31及びDPNR触媒32を備える排気浄化部材30の排気浄化機能の熱劣化を検出するに際して、各触媒の複数箇所の床温を推定し、その推定された各床温の平均値を求めるようにしている。そのため、各触媒のそれぞれの温度勾配が上記熱劣化検出に与える影響を抑えることができ、触媒全体としての熱劣化の状態を適切に把握することができるようになる。従って、排気浄化部材30についてその排気浄化機能の熱劣化を精度よく検出することができるようになる。
(2)さらに、複数の触媒が配設された排気浄化部材30の熱劣化を検出するに際して、排気浄化部材30の排気浄化機能に対する各触媒の熱劣化影響度(熱劣化影響度M1や熱劣化影響度M2)を各触媒毎にそれぞれ設定するようにしている。そして、各触媒毎に算出される前記平均値を各触媒毎に設定された熱劣化影響度にて補正し、その補正値に基づいて排気浄化部材30の排気浄化機能に関する熱劣化を検出するようにしている。従って、排気浄化部材30の排気浄化機能に関する熱劣化を検出するに際して、同排気浄化機能に対する各触媒の熱劣化影響を適切に反映させることができるようになり、もって複数の触媒が配設される上記排気浄化部材30の排気浄化機能に関する熱劣化を精度よく検出することができるようになる。
(3)排気浄化機能の低い触媒と比較して、排気浄化機能の高い触媒ほど、熱劣化による排気浄化機能の低下割合は小さくなる。そこで、上記実施形態では、排気浄化機能の高い触媒ほど前記熱劣化影響度が小さくなるように該熱劣化影響度を設定するようにしている。従って、排気浄化部材30全体としての排気浄化機能に対して、各触媒の熱劣化が与える影響を適切に設定することができるようになる。
(4)上記排気浄化部材30は、NSR触媒31及びDPNR触媒32を備え、さらに同排気浄化部材30には添加剤として燃料が供給される。このような排気浄化部材30では、NSR触媒31及びDPNR触媒32の熱劣化が添加剤の酸化反応熱や燃焼熱によって進行しやすくなる。この点、本実施形態では、同排気浄化部材30についてその熱劣化を検出するための床温算出に際して、上述したような床温算出処理を実行するようにしており、複数の触媒が配設された排気浄化部材30の排気浄化機能に関する熱劣化を精度よく検出することができる。従って、熱劣化が進行しやすいNSR触媒31及びDPNR触媒32を排気浄化部材30に配設する場合であっても、その熱劣化を精度よく検出することができるようになる。
(第2の実施形態)
次に、この発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を具体化した第2の実施形態について、図6及び図7を併せ参照して説明する。
上記第1の実施形態における排気浄化部材30には、複数の触媒が配設されていた。一方、本実施形態では排気浄化部材に1つの触媒が配設されており、排気浄化部材に配設された触媒の数、及び熱劣化カウンタ算出用の床温算出処理についてその一部が異なる点以外は基本的に第1の実施形態と同様である。そこで、以下ではこれら相違点を中心に、本実施形態にかかる内燃機関の排気浄化装置を説明する。
まず、図6に示すように、本実施形態における排気浄化部材100には上記DPNR触媒32のみが配設されている。また、DPNR触媒32の排気下流側には、排気温度センサ120が設けられており、DPNR触媒32を通過した直後の排気の温度である排気温度Tcが同排気温度センサ120によって検出される。そして排気浄化部材100の各部の温度を推定、あるいは実測するようにしている。
同図6に示すように本実施形態では、DPNR触媒32の排気上流側の温度、すなわち同DPNR触媒32に流入する排気の温度である入りガス温度T0が推定される。この入りガス温度T0は、第1の実施形態と同様に、機関回転速度及び燃焼室への燃料噴射量等に基づいて推定される。
また、DPNR触媒32内にあって排気上流部から排気下流部にかけて、順に第1床温T1、第2床温T2、第3床温T3、及び第4床温T4といった4箇所の床温が推定される。これら各床温T1〜T4も、第1の実施形態と同様に、噴射ノズル5からの燃料添加量Qhc、吸入空気量GA、DPNR触媒32内の温度勾配、及び排気温度センサ120にて実測される排気温度Tcに基づいて推定される。すなわち、燃料添加量Qhcや吸入空気量GAが多いほど、各床温T1〜T4の値が高くなるように、各床温T1〜T4は推定される。また、その推定に際しては、DPNR触媒32内の温度勾配を考慮し、基本的に各床温T1〜T4の大小関係が「T1<T2<T3<T4」となるようにそれぞれ推定される。そして、排気温度Tcに基づいて各床温T1〜T4は補正されることにより、各床温T1〜T4の推定精度はさらに高められる。
次に、上記推定される排気浄化部材100、換言すればDPNR触媒32の各部の温度に基づき、熱劣化カウンタ算出用の床温Tを算出する処理について説明する。
図7に、熱劣化カウンタ算出用の床温算出処理についてその手順を示す。なお本処理も制御装置25によって所定期間毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されるとまず、排気温度センサ120が正常であるか否かが判定される(S200)。ここでの正常判定処理は、第1の実施形態におけるステップS100での処理と同様である。
そして、排気温度センサ120が正常である旨判定されると(S200:YES)、第1床温T1から第4床温T4の平均値が次式(4)から算出され、その算出された平均値が熱劣化カウンタKを算出するための上記床温Tとして設定される(S210)。

熱劣化カウンタ算出用の床温T=(T1+T2+T3+T4)/4 …(4)

こうして熱劣化カウンタ算出用の床温Tが算出されると本処理は一旦終了され、同床温Tに基づいて上述したような熱劣化カウンタKの算出が行われる。そして、同熱劣化カウンタKの積算値に基づいて排気浄化部材30の排気浄化機能の熱劣化、すなわちDPNR触媒32の熱劣化が検出される。
このように、本実施形態では、DPNR触媒32の床温を平均化しているため、同DPNR触媒32での温度勾配が熱劣化検出に与える悪影響を抑えることができる。
ちなみに、本実施形態のように、排気浄化部材30に1つの触媒のみを備える場合には、その触媒の熱劣化がそのまま排気浄化部材30の排気浄化機能の熱劣化になる。従って、第1の実施形態で説明した上記式(2)におけるNSR触媒31の熱劣化影響度M1を「0」に設定し、上記式(3)におけるDPNR触媒32の熱劣化影響度M2を「1」に設定した場合の上記式(1)から算出される床温Tに基づき、本実施形態におけるDPNR触媒32の熱劣化を検出することもできる。
他方、上記ステップS200において、排気温度センサ120に異常ありと判断される場合には(S200:NO)、第1の実施形態において第1排気温度センサ33や第2排気温度センサ34に異常が生じると判断された場合と同様な処理が実行される。
すなわち、燃料添加が禁止され(S220)、上記入りガス温度T0がDPNR触媒32の床温として設定される。すなわち入りガス温度T0が上記床温Tとして設定される(S230)。
こうして排気温度センサ120の異常時における熱劣化カウンタ算出用の床温Tが算出されると本処理は一旦終了され、同床温Tに基づいて上述したような熱劣化カウンタKの算出が行われる。そして、同熱劣化カウンタKの積算値に基づいて排気浄化部材100の排気浄化機能の熱劣化が検出される。
なお、本実施形態では排気浄化部材100にDPNR触媒32が配設される場合について説明したが、同排気浄化部材にNSR触媒31が配設される場合にも同様な態様で該NSR触媒31に関する熱劣化カウンタ算出用の床温Tを設定することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば次のような効果を得ることができる。
(1)上述したように、触媒には温度勾配が生じるため、同触媒の各部における熱劣化は異なるようになる。この点、本実施形態では、DPNR触媒32の複数箇所の推定床温についてその平均値を算出し、その平均値に基づいて排気浄化部材100の排気浄化機能に関する熱劣化、換言すればDPNR触媒32の熱劣化を検出するようにしている。そのため、DPNR触媒32の温度勾配が熱劣化検出に与える影響を抑えることができ、もってDPNR触媒32全体としての熱劣化の状態を適切に把握することができるようになる。従って、排気浄化部材100についてその排気浄化機能の熱劣化を精度よく検出することができるようになる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・図8に示すように、熱劣化による触媒の排気浄化機能低下は、同熱劣化の進行につれて鈍化していく。そのため、複数の触媒においてそれぞれ熱劣化が進行していくにつれて、各触媒における排気浄化機能の差異は小さくなっていく。従って、複数の触媒についてそれぞれの熱劣化が進行していくにつれて、各触媒における前記熱劣化影響度の差も小さくなる。そこで、第1の実施形態において、検出される熱劣化(熱劣化カウンタKの積算値)に基づいて前記熱劣化影響度M1やM2を可変設定するようにしてもよい。この場合には、排気浄化部材30の排気浄化機能に関する熱劣化を検出する際に、複数の触媒(NSR触媒31及びDPNR触媒32)の熱劣化進行による熱劣化影響度の変化を反映させることができるようになる。そのため、複数の触媒が配設される排気浄化部材30の排気浄化機能に関する熱劣化をさらに精度よく検出することができるようになる。
なお、このような熱劣化影響度の可変設定に際しては、排気浄化部材30の排気浄化機能の熱劣化度合が高くなるほど、各触媒毎に設定される熱劣化影響度の差が小さくなるように、該熱劣化影響度を可変設定することにより、熱劣化影響度を適切に設定することができる。
・第1の実施形態では、2つの触媒が配設された排気浄化部材30を備える排気浄化装置に本発明を適用した場合について説明した。この他、3つ以上の触媒が配設された排気浄化部材を備える排気浄化装置にも本発明は同様に適用することができる。この場合にも、排気浄化部材に配設された各触媒毎に熱劣化影響度を設定し、第1の実施形態と同様な態様で床温Tを算出することにより、同第1の実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
・NSR触媒31やDPNR触媒32の複数箇所の床温に関する推定態様は任意に変更することができる。
・上記添加剤はエンジン1の燃料であったが、これと同様な作用が得られる添加剤であればどのようなものでもよい。
・上記噴射ノズル5は、排気浄化部材の排気上流側であればその取り付け位置は任意である。
・NSR触媒31は上述したようなNOx吸蔵還元型触媒に限定されない。要はNOxを浄化することのできる触媒であればよい。また、第1の実施形態や第2の実施形態において、排気浄化部材に配設される触媒はNSR触媒31やDPNR触媒32であったが、この他、熱劣化する触媒が配設された排気浄化部材を備える排気浄化装置にも本発明は同様に適用することができる。
・温度センサなどを用いて入りガス温度T0を実測するようにしてもよい。
・本発明の適用対象となる内燃機関はディーゼル機関に限らない。例えば、NOx浄化触媒を備えるガソリン機関にも本発明は同様に適用することができる。
本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置の第1の実施形態について、これが適用される内燃機関及びその周辺構成を示す概略図。 各触媒における熱劣化度合とHC浄化率との関係を示すグラフ。 排気浄化部材の排気浄化機能の低下に対して各触媒の熱劣化が与える影響割合を示す概念図。 同実施形態における床温の推定箇所を示す模式図。 同実施形態における床温算出処理の手順を示すフローチャート。 第2の実施形態における床温の推定箇所を示す模式図。 同実施形態における床温算出処理の手順を示すフローチャート。 第1の実施形態の変形例において、触媒の熱劣化の進行度合に対する排気浄化機能の低下傾向を示すグラフ。
符号の説明
1…エンジン、2…シリンダヘッド、3…吸気通路、4a〜4d…燃料噴射弁、5…噴射ノズル、6a〜6d…排気ポート、7…インテークマニホールド、8…エキゾーストマニホールド、9…コモンレール、10…サプライポンプ、11…ターボチャージャ、13…EGR通路、14…EGRクーラ、15…EGR弁、16…スロットル弁、17…アクチュエータ、18…インタークーラ、19…エアフロメータ、20…スロットル開度センサ、21…空燃比センサ、22…EGR弁開度センサ、23…機関回転速度センサ、24…アクセルセンサ、25…制御装置(検出手段)、26…排気通路、27…燃料供給管、30…排気浄化部材、31…NSR触媒、32…DPNR触媒、33…第1排気温度センサ、34…第2排気温度センサ、100…排気浄化部材、120…排気温度センサ。

Claims (7)

  1. 排気浄化用の触媒が配設された排気浄化部材と、同排気浄化部材の排気浄化機能の熱劣化を検出する検出手段とを備える内燃機関の排気浄化装置であって、
    前記検出手段は、前記触媒の複数箇所の床温を推定し、その推定された各床温の平均値に基づいて前記熱劣化を検出する
    ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置において、
    前記排気浄化部材には複数の触媒が配設されており、
    前記検出手段は、各触媒毎に前記平均値を算出するとともに、各触媒毎に設定される値であって前記排気浄化機能に対する各触媒の熱劣化影響度を示す値にてその算出された平均値を補正し、その補正値に基づいて前記熱劣化を検出する
    ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記熱劣化影響度は、排気浄化機能の高い触媒ほど小さくされる
    請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記熱劣化影響度は、前記熱劣化に基づいて可変設定される
    請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 前記熱劣化の度合が高くなるほど、各触媒毎に設定される前記熱劣化影響度の差は小さくされる
    請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 前記排気浄化部材は、NOx浄化触媒と、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ機能付きのNOx浄化触媒とを備える
    請求項2〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置において、
    前記排気浄化部材は添加剤が供給される部材であり、
    前記検出手段は、前記推定される床温を排気温度センサの検出値で補正し、かつ前記排気温度センサの異常時には、前記添加剤の供給を禁止するとともに、前記触媒の排気上流側の推定排気温度を同触媒の床温として設定し、その設定された床温に基づいて前記熱劣化を検出する
    ことを特徴する内燃機関の排気浄化装置。
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