JP2006291459A - 鋼とコンクリートとの合成構造軸部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼板に効果的で簡易なズレ止め・剥離止め機能を持たせることで、低コストで構造性能の高い鋼板とコンクリートからなる合成構造軸部材を提供する。
【解決手段】鋼板2を折り曲げて、外フランジ4とウェブ5と内フランジ6を一体的に成形してなり、かつ、ウェブ面に対し側方に突出させたウェブ基端部5aと前記内フランジ4の端部からなる突出部7を鋼板の長手方向に沿って形成することで、前記鋼板2にコンクリート3とのズレ止め・剥離止め部10を一体成形し、前記鋼板2を前記突出部7が内側となるようにして閉鎖型またはコの字形に成形して、その内側空間にコンクリート3を充填してなることを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】鋼板2を折り曲げて、外フランジ4とウェブ5と内フランジ6を一体的に成形してなり、かつ、ウェブ面に対し側方に突出させたウェブ基端部5aと前記内フランジ4の端部からなる突出部7を鋼板の長手方向に沿って形成することで、前記鋼板2にコンクリート3とのズレ止め・剥離止め部10を一体成形し、前記鋼板2を前記突出部7が内側となるようにして閉鎖型またはコの字形に成形して、その内側空間にコンクリート3を充填してなることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、加工手間が少ないズレ止め・剥離止めを有した鋼とコンクリートとの合成構造軸部材と、これを用いた柱または梁あるいは柱と梁のいずれかからなる構造体に関するものである。
閉鎖断面またはコの字形断面の鋼板にコンクリートを充填して柱、梁などの合成構造部軸材を構築した場合、コンクリート硬化後、鋼板とコンクリートが一体となって作用荷重を負担する。しかし、合成構造の柱、梁等が荷重を受けると、鋼板面に対してコンクリートが鋼板の長手方向にズレようとする力と垂直方向に剥離しようとする力が発生する。このズレと剥離を防ぐことによって、鋼板とコンクリートが共働して作用荷重に耐えることになる。
このため従来は、スタッドボルトやジベル、丸鋼などのシャーコネクター等のズレ止めを鋼板に溶接して、該鋼板とコンクリートの一体化を図った合成構造(従来例1)があるが、ズレ止めであるスタッドボルト等の設置の加工手間が大きいと共に、コンクリートに局部的な応力が作用し、コンクリートの割れを誘起するという問題がある。
また、他の従来技術として、波形鋼板とコンクリートからなる合成構造(従来例2)があるが、この場合、波形鋼板とコンクリートは剥離しやすく合成効果はほとんど期待できない。
なお、鋼板とコンクリートからなる合成スラブの従来例としては、特許文献1、2があり、これらはスタッドボルト以外の手段により鋼板とコンクリートとの一体化を図ったものであるが、この合成構造体は平面部材として構成されており、構造物の柱や梁などの合成構造軸部材ではない。
特開昭60−173239号公報
特開2004−116182号公報
閉鎖型断面またはコの字形断面の表皮鋼板の内側にコンクリートを充填してなる柱、梁などの合成構造軸部材には、十分な耐力、靭性および剛性などの性能が求められ、そのためには鋼板とコンクリートの一体化を図る必要がある。このため、従来は、スタッドボルトなどのズレ止めにより鋼板とコンクリートの一体化を図ることが行われているが、多数のズレ止めの溶接などに手間が掛り制作費のコストアップにつながっているのが実状である。このことから、低コストで構造性能の高い鋼板とコンクリートからなる合成構造軸部材を実現するには、如何に表皮となる鋼板に効果的で簡易なズレ止め機能を持たせるかが課題となっている。本発明は、前記の問題点を解決した合成構造軸部材を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明は次のように構成する。
第1の発明に係る合成構造軸部材は、鋼板を折り曲げて、外フランジとウェブと内フランジを一体的に成形してなり、かつ、ウェブ面に対し側方に突出させたウェブ基端部と前記内フランジの端部からなる突出部を鋼板の長手方向に沿って形成することで、前記鋼板にコンクリートとのズレ止め・剥離止め部を一体成形し、前記鋼板を前記突出部が内側となるようにして閉鎖型またはコの字形に成形して、その内側空間にコンクリートを充填してなることを特徴とする。
第2の発明は、第1発明において、外フランジおよび内フランジに対しウェブが傾斜し、前記内フランジおよび前記ウェブからなる溝形状の開口が外側に広がるように、鋼板が一体的に成形されたことを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、外フランジおよび内フランジに対しウェブが略直交し、同一の前記内フランジにとりつく前記ウェブ相互が当接されて閉塞するように鋼板が一体的に成形されたことを特徴とする。
第4の発明は、第1〜第3の発明において、前記閉鎖型またはコの字形の内側空間に充填されたコンクリートに、耐火鉄筋併用主筋が埋設されていることを特徴とする。
第5の発明は、第1〜第4の発明において、閉鎖型またはコの字形の鋼板の内側空間にコンクリートが充填されてなる合成構造軸部材における前記鋼板の外側または内側、あるいは内外両側に、合成構造軸部材の長手方向に所定の間隔をあけて帯筋を配し、該合成構造軸部材にせん断力が作用するとき前記帯筋の間において合成構造軸部材に圧縮束が形成できるように構成したことを特徴とする。
第6の発明は、第1〜第5の発明に係る合成構造軸部材からなる柱または梁あるいは柱と梁のいずれかからなる構造体であることを特徴とする。
本発明によると、鋼板を折り曲げて外フランジとウェブと内フランジを一体的に成形し、ウェブ面に対し側方に突出させたウェブ基端部と前記内フランジの端部からなる突出部を鋼板の長手方向に沿って形成し、前記鋼板を前記突出部が内側となるようにして閉鎖型またはコの字形に成形し、その内部空間に充填するコンクリートとのズレ止め・剥離止め部を前記鋼板に一体成形したので、前記ズレ止め・剥離止めは低コストで簡易に設けることができる。しかも、合成構造軸部材に作用する荷重により鋼板の長手方向にズレようとする力と垂直方向に剥離しようとする力が発生しても、前記ズレ止め・剥離止めによりそのズレや剥離を確実に防止して合成構造軸部材の耐力、靭性および剛性を確保できる。
このように本発明によると、従来のようにスタッドやジベル等を溶接接合する手間を省略でき経済的に合成構造軸部材を製作できる上、スタッドやジベル等に接触する部分の局部的な応力によるコンクリートの割れを回避することができ、合成構造軸部材に作用する荷重に対して耐力、靭性および剛性を発揮できる。
以下本発明の実施形態を図を参照して説明する。
図1は、実施形態1に係る鋼とコンクリートとの合成構造軸部材の斜視図、図2(a)は、図1の横断面図、図2(b)は、図2(a)における鋼板の部分拡大図、図2(c)は、図2(b)における鋼板の部分拡大図である。
図1、図2に示すように実施形態1に係る鋼とコンクリートとの合成構造軸部材1は、矩形で閉鎖型の断面形状に成形された鋼板2の内部空間にコンクリート3を充填して長尺の合成構造部材として構成されている。この合成構造軸部材1は、建築構造物の柱や梁その他の構造部材として用いられる。
合成構造軸部材1が柱や梁その他に用いられたとき、該合成構造軸部材1には、曲げ、せん断力、軸力の荷重が作用する。このとき、鋼板面に対してコンクリート3が鋼板2の長手方向にずれようとする力と垂直方向に剥離しようとする力が発生する。このため合成構造軸部材1には、簡潔な構成により鋼板2とコンクリート3との間のズレ止めと剥離止めが必要となるが、本発明の合成構造軸部材1は、簡潔な構成によりこのズレ止めと剥離止めを有した構成とされている。以下さらに説明する。
実施形態1に係る鋼とコンクリートとの合成構造軸部材1において、表皮となる鋼板2の前工程では、板厚1mm〜6mm程度の平鋼板にロールフォーミングやプレスフォーミングにて折り曲げ加工が施されて、外フランジおよびウエブ並びに内フランジを連続して一体に有すると共にズレ止めと剥離止めのための所定の形状、深さ、幅、間隔を有する凹凸部を長手方向に沿って連続的に加工成形される。その後、この加工鋼板を図1、2のように矩形断面に曲げ成形し、端縁部を溶接接合やかしめ接合して中空の矩形断面に成形する。一枚の加工鋼板によって矩形断面を成形する場合は、その両端縁を周辺の任意の箇所(角部または各辺の部位)で突き合せ、この突き合せ部を溶接することで矩形の閉鎖断面を成形できる。また複数枚(例えば2枚)の加工鋼板を矩形断面に曲げ成形する場合は、各加工鋼板の端縁同士を周辺の任意の複数箇所(角部または各辺の部位)で突き合せ、この突き合せ部を溶接接合やかしめ接合して中空断面の鋼板2を構成する。
前記のように形成した中空断面の鋼板2の内部にコンクリート3を充填して鋼とコンクリートとの合成構造軸部材1を構成するとき、該鋼板2に一体成形された特殊形状の凹凸部がコンクリート3のズレ止め・剥離止めとして機能する。
コンクリート3のズレ止め・剥離止めとして機能する凹凸部の断面構成を図1、図2によって具体的に説明する。閉鎖型に成形された鋼板2は、長手方向に沿って、外フランジ4の両端が傾斜したウエブ5を介して内フランジ6に連続するようにして形成されている。
さらに、ウエブ5の内フランジ側のウェブ基端部5aをウエブ面に対し側方に突出させ、内フランジの端部とともに突出部7を形成することによって、その内側に充填されるコンクリート3のズレ止め・剥離止め部10を構成する。ウエブ基端部5aの突出面8は大体においてウェブ5と平行である。そして、合成構造軸部材1に荷重が作用した場合、ウエブ基端部5aの段差面9と外フランジ4の間のコンクリートに圧縮束が形成され、鋼板2とコンクリート3の摩擦力が高まることにより、ウエブ基端部5aにコンクリート3が係合して、鋼板2からのコンクリート3のズレと剥離が防止されている。突出面8および段差面9の寸法、段差面9と外フランジ4の角度は、コンクリート3と鋼板2面とのズレと剥離に十分抵抗するように設計するものである(後述する)。
実施形態1の矩形断面の合成構造軸部材1において、4つの角部11を結ぶ各辺にはそれぞれ4つのウェブ5により4つの突出部7が形成されていて、それにより各4辺全体で16のズレ止め・剥離止め部10が形成されている。4つの各辺に形成される突出部7の数は4つに限らず2つあるいは、6つ以上と、合成構造軸部材1の矩形断面の各辺の長さにより増減できる。また、断面形状も矩形に限らず長方形断面や円形断面や楕円形断面であってもよい。
鋼板2に形成されるズレ止め・剥離止め部10がコンクリート3と鋼板2がずれたり剥離するのを防止する度合は、突出面8の幅、段差面9の幅、段差面9と外フランジ4の角度によるが、これらの各寸法は、合成構造軸部材1の各辺の長さや鋼板2の厚みや合成構造軸部材1への作用荷重などをもとに必要な寸法に設計するものである。
さらに、外フランジ4の中央部に長手方向に伸びるアリ溝などを形成するようにして内側に突出させた凹部12が設けられている。この凹部12は外フランジ4とコンクリート3の拘束力を高めると共に、外フランジ4の板要素としての剛性および耐力を高める。さらに、内フランジ6の中央部に長手方向に伸びる山部を形成するようにして外側に突出させた凸部13が設けられている。この凸部13は内フランジ6の板要素としての剛性および耐力を高める。
実施形態1によると、閉鎖断面の鋼板2は、ズレ止め・剥離止め部10の複数箇所でコンクリート3とのずれや剥離を防止するようにしているため、合成構造軸部材1の長手方向に沿ってスタッドボルトなどのズレ止めを配設しているのと同様の効果を示し、鋼板2とコンクリート3の一体化を図ることが可能となり、鋼板2とコンクリート3双方の剛性と耐力が累加される合成構造部材としての性能を発揮することができる。
実施形態1に係る鋼とコンクリートとの合成構造軸部材1によると、鋼板2の長手方向に連続してズレ止め・剥離止めを一体成形し、鋼板2とコンクリート3の剥離を防止するようにしているので、従来のようにスタッドやジベル等に接触する部分の局部的な応力によるコンクリートの割れを誘起することがなく、作用する曲げ、せん断力、軸力という荷重に対して、柱、梁としての十分な耐力、靭性および剛性を発揮できる。さらに、従来のスタッド、ジベル等のズレ止めを鋼板2に溶接接合する手間を省略でき経済的に合成構造軸部材を製作できる。
鋼板2に充填したコンクリート3内には、図3(b)に示すように必要に応じて耐火鉄筋併用主筋14を配筋するとよい。ここで耐火鉄筋とは、合成構造軸部材1が火災時などで長時間高温にさらされて鋼材部分の強度が低下したとき、その強度を補うために機能する異形鉄筋などからなる鉄筋を意味する。このように合成構造軸部材1のコンクリート3に耐火鉄筋併用主筋14を設けることで、鋼板2とコンクリート3と耐火鉄筋併用主筋14が一体的に荷重に抵抗するため、合成構造軸部材1は耐力、靭性および剛性とも一層増大し合成構造軸部材1に大きな曲げ、せん断力、軸力という荷重が作用したときもよく抵抗できる。
図3(a)は、実施形態2に係る合成構造軸部材の側面図、図3(b)は、実施形態3に係る合成構造軸部材の拡大断面図である。
図3(a)に示す実施形態3では、実施形態1に係る合成構造軸部材1の外周に、長手方向に所定の間隔をあけて複数の外部帯筋15を配設した例を示す。外部帯筋15には帯状の鋼板を用い、この帯状鋼板を合成構造軸部材1の外周に巻き付けたうえ両端部を溶接接合し、または締結金具などを用いて両端部を結合するものである。
実施形態2によると、合成構造軸部材1にせん断力16aが作用したとき上下の外部帯筋15の間の合成構造軸部材1の部分では、図のように軸線に対し傾斜した反対向きの力の束、つまり圧縮束16が形成される、この圧縮束16により合成構造軸部材1はこれに作用するせん断力16aに対して強力に抵抗でき、ズレ止め・剥離止め部10と相俟って鋼板2とコンクリート3との一体化が確実に確保されるので合成構造軸部材1の耐力、靭性および剛性が一層向上する。
また、図3(b)に示す実施形態3のように、耐火鉄筋併用主筋14が配筋された矩形断面の鋼板2の内部に、該耐火鉄筋併用主筋14を介して異形鉄筋などからなる内部帯筋17を合成構造軸部材1の長手方向に所定の間隔をあけて複数の設けてもよい。このように鋼板2の内部に内部帯筋17を配設した場合も、合成構造軸部材1にせん断力が作用したとき上下の内部帯筋17の間に圧縮束16が形成できるので、ズレ止め・剥離止め部10と相俟って鋼板2とコンクリート3との一体化が確実に確保され合成構造軸部材1の耐力、靭性および剛性が一層向上する。なお、外部帯筋15と内部帯筋17は併用しても構わない。その場合は外部帯筋15と内部帯筋17は、合成構造軸部材1の長手方向に位置を揃えて配設しても良いし、内外の帯筋で長手方向に位置をずらして配設して構わない。
図4(a)は実施形態4に係る鋼とコンクリートとの合成構造軸部材の横断面図、図4(b)は、図4(a)における鋼板の部分拡大図である。
この実施形態4の合成構造軸部材1は長方形断面に構成されている。実施形態4に係る長方形断面の合成構造軸部材1にあっては、4つの角部11で結ばれる長辺には、内側に4つのズレ止め・剥離止め部10が形成されているのに対して、短辺には2つのズレ止め・剥離止め部10が形成されている。コンクリート3には耐火鉄筋併用主筋14が配筋されている。その他の構成と作用は、実施形態1の合成構造軸部材1と同じである。
図5(a)は実施形態5に係る鋼とコンクリートとの合成構造軸部材の横断面図、図5(b)は、図5(a)における鋼板の部分拡大図である。
この実施形態5に係る鋼とコンクリートとの合成構造軸部材21は、鋼板2に形成されるズレ止め・剥離止め部10が実施形態1〜4と異なる断面形状に構成された例を示す。実施形態5に係る合成構造軸部材21では、閉鎖型に成形された鋼板2は、長手方向に沿って、外フランジ24の両端が、略直交するウェブ25を介して内フランジ26に連続するようにして形成されている。同一の内フランジの両端にとりつき相対するウェブ25は外側端部相互が当接されて閉塞するように鋼板2は成形されている。なお、相対するウェブ25は互いに抵抗溶接などにより接合してもよい。内フランジ26の幅は外フランジ24の幅よりも小さく、かつウエブ基端部25aをウェブ面に対し側方に突出させ、内フランジ26の端部とともに突出部28を形成することによって、その内側に充填されるコンクリート3のズレ止め・剥離止め部30を構成する。ウエブ基端部25aがウェブ面から出張る寸法、ウェブ基端部25aの面と外フランジ24の面との角度は、コンクリート3の鋼板2面からの剥離に十分抵抗するように設計するものである。
実施形態5によると、閉鎖断面の鋼板2に形成したウェブ基端面25aにコンクリート3が係合させることで、ズレ止め・剥離止め部30の複数箇所で鋼板2とコンクリート3とのずれや剥離を防止するようにしているため、合成構造軸部材1の長手方向に沿ってスタッドボルトなどのズレ止めを配設しているのと同様の効果を示し、鋼板2とコンクリート3の一体化を図ることが可能となり、鋼板2とコンクリート3双方の剛性と耐力が累加される合成構造部材としての性能を発揮することができ、合成構造軸部材21に曲げ、せん断力、軸力という荷重が作用したときもよく抵抗できる。
実施形態5に係る合成構造軸部材21において、各辺に設ける突出部28の数は、図示例よりも多くても少なくてもよい。また、断面形状も矩形に限らず長方形断面や円形断面や楕円形断面であってもよいし、さらに閉鎖形やコ字状や円弧でもよく、コンクリート3には耐火鉄筋併用主筋を配設してもよい。さらに鋼板2の外側または内側あるいは、内外両方には、長手方向に所定の間隔をあけて帯筋を配設し、合成構造軸部材21にせん断力が作用したとき、これに抵抗する圧縮束を形成できるように構成してもよい。
図6(b)は実施形態6に係る鋼とコンクリートとの合成構造軸部材の縦断面図、図6(a)は、図6(b)のA−A断面図、 図7は図6(b)のB−B断面図、図8は、図7(C)部の拡大図である。
実施形態6は、実施形態1等に示した鋼とコンクリートの合成構造軸部材を用いて構築物の骨組である柱と梁を構成した例を示す。この実施形態6では、実施形態1に示す合成構造軸部材1により柱31を構成すると共に、上部が開口したコ字状で、複数の凹凸部からなるコンクリート3のズレ止め・剥離止め部10を有した鋼板2を用いて梁鋼板27を構成し、この梁鋼板27にコンクリート3を充填して梁32を構成している。
また実施形態6では、柱31の床スラブ33位置と、梁32位置において、それぞれ柱31を横方向に貫通して床スラブ定着用鉄筋34と梁定着用鉄筋35が設けられている。床スラブ定着用鉄筋34と先端部が重なるように床スラブ鉄筋36が配設され、また梁定着用鉄筋35と先端部が重なるように耐火鉄筋併用梁鉄筋37が配設されている。梁定着用鉄筋35と耐火鉄筋併用梁鉄筋34は、上部が開口したコ字状断面の梁表皮となる鋼板2の内部空間に配置されている。梁表皮用の鋼板2の端部は柱31の側面に、コンクリート漏れ防止用のシール材を介して当てがって設けられている。
前記のように配置したコ字状断面の梁表皮用の鋼板2の上部の開口からその内部空間に梁部のコンクリート3を打設することで、耐火鉄筋併用梁鉄筋37で補強され、かつコンクリート3と鋼板2がズレ止め・剥離止め10を介して一体化された合成構造の梁32が構築される。梁コンクリート3の上には床スラブコンクリート33aが一体に打設されている。
実施形態6によると、鋼とコンクリートとの合成構造軸部材を用いて柱31及び梁32を経済的に構築することができる。
図9は実施形態7に係る鋼とコンクリートとの合成構造軸部材の斜視図である。この実施形態7には、実施形態1に示す合成構造軸部材1により構成した合成構造柱38にH形鋼からなる鉄骨梁を接合する場合の接合構造を示す。
実施形態7では、矩形断面の合成構造柱38を取囲むように角形鋼管からなる鞘鋼管39を嵌合し、鞘鋼管39の4辺の外面にはH形鋼からなる鉄骨梁接合ブラケット40の端部が予め溶接にて接合されている。この鞘鋼管39を合成構造柱38に接合するには、該柱38の端部から鞘鋼管39を挿入し、梁接合位置に仮止めしたうえ、該柱38と鞘鋼管39の間隙にモルタルなど経時硬化性の充填材41を充填することで両部材を一体的に接合できる。その後、合成構造柱38を現場にて建て込み、鉄骨梁接合ブラケット40に鉄骨梁を溶接接合またはボルト接合にて接合する。
本発明の各実施形態によると、鋼板2に一体成形により簡易なズレ止め・剥離止め機能を持たせたことで、低コストで構造性能の高い鋼板とコンクリートの合成構造軸部材を構成できる。
1 合成構造軸部材
2 鋼板
3 コンクリート
4 外フランジ
5 ウエブ
5a ウエブ基端部
6 内フランジ
7 突出部
8 突出面
9 段差面
10 ズレ止め・剥離止め部
11 角部
12 凹部
13 凸部
14 耐火鉄筋併用主筋
15 外部帯筋
16 圧縮束
16a せん断力
17 内部帯筋
21 合成構造軸部材
24 外フランジ
25 ウエブ
25a ウエブ基端部
26 内フランジ
27 梁鋼板
28 突出部
30 ズレ止め・剥離止め部
31 柱
32 梁
33 床スラブ
33a床スラブコンクリート
34 床スラブ定着用鉄筋
35 梁定着用鉄筋
36 床スラブ鉄筋
37 耐火鉄筋併用主筋
38 合成構造柱
39 鞘鋼管
40 鉄骨梁接合ブラケット
41 充填材
2 鋼板
3 コンクリート
4 外フランジ
5 ウエブ
5a ウエブ基端部
6 内フランジ
7 突出部
8 突出面
9 段差面
10 ズレ止め・剥離止め部
11 角部
12 凹部
13 凸部
14 耐火鉄筋併用主筋
15 外部帯筋
16 圧縮束
16a せん断力
17 内部帯筋
21 合成構造軸部材
24 外フランジ
25 ウエブ
25a ウエブ基端部
26 内フランジ
27 梁鋼板
28 突出部
30 ズレ止め・剥離止め部
31 柱
32 梁
33 床スラブ
33a床スラブコンクリート
34 床スラブ定着用鉄筋
35 梁定着用鉄筋
36 床スラブ鉄筋
37 耐火鉄筋併用主筋
38 合成構造柱
39 鞘鋼管
40 鉄骨梁接合ブラケット
41 充填材
Claims (6)
- 鋼板を折り曲げて、外フランジとウェブと内フランジを一体的に成形してなり、かつ、ウェブ面に対し側方に突出させたウェブ基端部と前記内フランジの端部からなる突出部を鋼板の長手方向に沿って形成することで、前記鋼板にコンクリートとのズレ止め・剥離止め部を一体成形し、前記鋼板を前記突出部が内側となるようにして閉鎖型またはコの字形に成形して、その内側空間にコンクリートを充填してなることを特徴とする鋼とコンクリートとの合成構造軸部材。
- 外フランジおよび内フランジに対しウェブが傾斜し、前記内フランジおよび前記ウェブからなる溝形状の開口が外側に広がるように、鋼板が一体的に成形されたことを特徴とする請求項1記載の鋼とコンクリートとの合成構造軸部材。
- 外フランジおよび内フランジに対しウェブが略直交し、同一の前記内フランジにとりつく前記ウェブ相互が当接されて閉塞するように鋼板が一体的に成形されたことを特徴とする請求項1記載の鋼とコンクリートとの合成構造軸部材。
- 前記閉鎖型またはコの字形の内側空間に充填されたコンクリートに、耐火鉄筋併用主筋が埋設されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の鋼とコンクリートとの合成構造軸部材。
- 閉鎖型またはコの字形の鋼板の内側空間にコンクリートが充填されてなる合成構造軸部材における前記鋼板の外側または内側、あるいは内外両側に、合成構造軸部材の長手方向に所定の間隔をあけて帯筋を配し、該合成構造軸部材にせん断力が作用するとき前記帯筋の間において合成構造軸部材に圧縮束が形成できるように構成したことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の鋼とコンクリートとの合成構造軸部材。
- 請求項1〜5の何れか1項記載の鋼とコンクリートとの合成構造軸部材からなる柱または梁あるいは柱と梁のいずれかからなる構造体。
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---|---|---|---|
JP2005109454A JP2006291459A (ja) | 2005-04-06 | 2005-04-06 | 鋼とコンクリートとの合成構造軸部材 |
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Publications (1)
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JP2005109454A Withdrawn JP2006291459A (ja) | 2005-04-06 | 2005-04-06 | 鋼とコンクリートとの合成構造軸部材 |
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JP (1) | JP2006291459A (ja) |
Cited By (2)
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CN103046644A (zh) * | 2012-12-24 | 2013-04-17 | 西南科技大学 | 多层房屋冷弯薄壁型钢梁柱结构体系 |
CN105178511A (zh) * | 2015-08-10 | 2015-12-23 | 河海大学 | 型钢翼缘削弱再生混凝土抗震耗能组合柱及其制作方法 |
-
2005
- 2005-04-06 JP JP2005109454A patent/JP2006291459A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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