JP2006287253A - 半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高信頼性の半導体素子を得るために高融点金属、高融点金属からなる合金、高融点金属の珪化物、Ti,Ta,W,Ti−W合金の窒化物からなる膜をコンタクトバリアー層またはゲート電極などに用い、半導体素子のリーク電流を抑える。
【解決手段】ソース−ドレイン領域の接合深さが0.1〜0.3μmである半導体素子のコンタクトバリアー又はゲート電極層がCo珪化物から成る導電体を有する半導体素子の製造方法であり、この導電体のAl含有量が原子数で2×1016個/cm3以下、Co以外の重金属元素の含有量が2×1017個/cm3以下およびアルカリ金属の含有量が1×1016個/cm3以下である半導体素子用高純度導電性膜をスパッタリング法により形成することを特徴とする半導体素子の製造方法である。
【選択図】 図10
【解決手段】ソース−ドレイン領域の接合深さが0.1〜0.3μmである半導体素子のコンタクトバリアー又はゲート電極層がCo珪化物から成る導電体を有する半導体素子の製造方法であり、この導電体のAl含有量が原子数で2×1016個/cm3以下、Co以外の重金属元素の含有量が2×1017個/cm3以下およびアルカリ金属の含有量が1×1016個/cm3以下である半導体素子用高純度導電性膜をスパッタリング法により形成することを特徴とする半導体素子の製造方法である。
【選択図】 図10
Description
本発明は半導体素子の製造方法に係り、特にリーク電流の発生が少なく半導体素子用のコンタクトバリアー層またはゲート電極などを構成する高純度導電性膜として好適な導電性膜を備えた半導体素子の製造方法に関する。
半導体素子のコンタクト部では、アルミニウム配線中へのシリコンの析出を防止する一方、アルミニウム配線からp−n基板方向に拡散するアルミニウム原子によってPn接合が破壊されることを防止するためのコンタクトバリアー層として、例えばTiN膜などがシリコン基板とアルミニウム配線との間に形成されている。こうしたコンタクトバリアー層の材料としては、低抵抗であり、しかもLSI製造プロセス上の要求により耐熱性、および化学的安定性という特性が要求される。以上に述べた、コンタクトバリアー層の材料に対する要求を満足するものとして、高融点金属あるいは高融点金属からなる合金、金属の珪化物、Ti,Ta,Ti−W合金の窒化膜の適用が考えられており、一部は実施されている。
近年、半導体素子の高集積化が進み、これによって素子構造がさらに微細化する傾向にある。スケーリングの原理によれば、ICの横方向における寸法の縮小に対応して、縦方向のデバイスの寸法もほぼ同じ割合で縮小することが知られている。それによるとソース−ドレイン領域の接合深さは、例えばデザインルールが0.5μmの16M−DRAMでは、接合深さが0.1〜0.15μmになることが予想される。ソース−ドレイン領域の接合深さが小さくなるにつれて、素子のリーク電流は増大する傾向にある。これはコンタクトバリアー層の材料中に含まれる不純物のソース−ドレイン領域に対する影響が、ソース−ドレイン領域の接合深さが小さくなるのに対応して相対的に大きくなり、リーク電流を誘発するためである。一般に半導体素子のリーク電流は誤動作の原因となり半導体素子の信頼性低下の原因となるのでより低い値となることが望まれており、ソース−ドレイン領域の接合深さとコンタクトバリアー層中の不純物に対応して起こるリーク電流の増大は、今後の半導体素子の高集積化への障害となると考えられている。
コンタクトバリアー中に含まれる不純物としては、特に次の不純物が半導体素子に悪影響を及ぼす虞があるとされ、その低減化が図られている。
(1)Na,Kなどのアルカリ金属(界面準位の発生)
Na,KはSiO2中を拡散し易い元素であり、デバイスの製造プロセス中にSiとゲート絶縁膜(SiO2)の界面に移動し、その一部はイオン化して正電荷になって、界面準位を発生させる。このような界面における電荷はチャンネルを流れるキャリアーなどSi中の電荷をトラップして問題となる。
Na,KはSiO2中を拡散し易い元素であり、デバイスの製造プロセス中にSiとゲート絶縁膜(SiO2)の界面に移動し、その一部はイオン化して正電荷になって、界面準位を発生させる。このような界面における電荷はチャンネルを流れるキャリアーなどSi中の電荷をトラップして問題となる。
(2)U,Thなどの放射性元素(ソフトエラー)
U,Thなどは微量放射性物質が放射線崩壊し、その際に放出されるα線によりSi中に電子−正孔対が誘発され、その電荷により一時的に誤動作を起こす。
U,Thなどは微量放射性物質が放射線崩壊し、その際に放出されるα線によりSi中に電子−正孔対が誘発され、その電荷により一時的に誤動作を起こす。
(3)Fe,Crなどの重金属(界面特性の低化)
Fe,Crなどの重金属は、Na,Kなどのアルカリ金属に比べて膜中に含まれる濃度が高いため、Na,Kほど移動度が大きくなってもSi−SiO2界面に集まり、界面準位の発生や、閾値電圧の原因となる。
Fe,Crなどの重金属は、Na,Kなどのアルカリ金属に比べて膜中に含まれる濃度が高いため、Na,Kほど移動度が大きくなってもSi−SiO2界面に集まり、界面準位の発生や、閾値電圧の原因となる。
半導体素子用材料には、製造プロセスによっても異なるが、これらの不純物が単位体積当たり、原子数でおよそ1×1019個/cm3程度含まれている。これらの不純物の中には先に記した界面準位の発生、界面特性劣化などの影響の他にもリーク電流を増大させる作用もあると考えられているものもあり、既に極力低減されているが、今後の半導体素子の高集積化に伴い、さらなるリーク電流の低減が求められている。
一方、半導体素子のゲート部位を形成するゲート電極材料としては、低抵抗性および、耐熱性が求められていることから、コンタクトバリアー材料と同様に、高融点金属の適用が考えられている。やはり素子の高集積化に伴って、ソース−ドレイン領域の接合深さが減少し、ゲート電極とpn接合界面との距離が短くなり、またSiO2膜厚も小さくなるため、ゲート電極とソース−ドレイン領域がSiO2を介して近接する部分から、コンタクトバリアー材料の場合と同様に電極材料中の不純物がソース−ドレイン領域に影響を与え、リーク電流を誘発するので、半導体素子におけるリーク電流の増加の可能性は高くなる。
特開昭60−66425号公報
以上に述べたように、半導体素子の高集積化に伴い、そのリーク電流の増加が当然無視できないものとなる。高信頼性の半導体素子を得るために高融点金属、高融点金属からなる合金、高融点金属の珪化物、Ti,Ta,W,Ti−W合金の窒化物からなる膜をコンタクトバリアー層またはゲート電極などに用い、半導体素子のリーク電流を抑えることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る半導体素子の製造方法は、ソース−ドレイン領域の接合深さが0.1〜0.3μmである半導体素子のコンタクトバリアー又はゲート電極層がCo珪化物から成る導電体を有する半導体素子の製造方法であり、この導電体のAl含有量が原子数で2×1016個/cm3以下、Co以外の重金属元素の含有量が2×1017個/cm3以下およびアルカリ金属の含有量が1×1016個/cm3以下である半導体素子用高純度導電性膜をスパッタリング法により形成することを特徴とする。
また、上記半導体素子の製造方法において、前記スパッタリング時にCo珪化物スパッタターゲットを用いることが好ましい。
さらに、上記半導体素子の製造方法において、前記Co珪化物スパッタターゲットのAl含有量が10ppm以下であることが好ましい。さらには、前記Co珪化物スパッタターゲットのAl含有量が1ppm以下であることが好ましい。
また、上記半導体素子の製造方法において、前記コンタクトバリアー又はゲート電極層のAl含有量が原子数で2×1016個/cm3以下であることが好ましい。
前記目的を達成するため、本発明で使用するスパッタリングターゲットは、Al含有量が原子数で1×1018個/cm3以下である高純度導電性膜(但し、Mo−W合金または窒化物から成る導電性膜を除く。)を形成することが可能なことを特徴とする。
また、高純度導電性膜は、Ti,W,Mo,Zr,Hf,Ta,V,Nb,Ir,Fe,Ni,Cr,Co,PdおよびPtから選ばれた少なくとも1種の金属で構成するとよい。
さらに、高純度導電性膜は、Ti,W,Mo,Zr,Hf,Ta,V,Nb,Ir,Fe,Ni,Cr,Co,PdおよびPtから選ばれた少なくとも1種の金属の珪化物から成ることを特徴とする。
また、珪化物から成る高純度導電性膜は、スパッタリングターゲットを用いるスパッタリング法により成膜後、反応させることにより得られるように構成してもよい。
また、上記高純度導電性膜は、半導体素子のコンタクトバリアー層またはゲート電極に好適に用いられる。
さらに、各種半導体素子は、上記の高純度導電性膜を用いて形成される。
また、高純度導電性膜は、導電体(但し、Mo−W合金または窒化物から成る導電体を除く。)から成り、この導電体中のAl含有量が原子数で1×1018個/cm3以下である高純度導電性膜を、スパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法により形成される。さらに、導電体は、Ti,W,Mo,Zr,Hf,Ta,V,Nb,Ir,Fe,Ni,Cr,Co,Pd,Ptから選ばれた少なくとも1種の金属で構成するとよい。
また、高純度導電性膜は、Ti,W,Mo,Zr,Hf,Ta,V,Nb,Ir,Fe,Ni,Cr,Co,Pd,Ptから選ばれた少なくとも1種の金属の珪化物から成る導電体であり、この導電体中のAl含有量が原子数で1×1018個/cm3以下である高純度導電性膜を、スパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法により形成される。さらに、スパッタリング法により成膜後、反応させることにより得られるように構成してもよい。
半導体素子のリーク電流は、コンタクトバリアー層またはゲート電極の材料に含まれる不純物が、ソース−ドレイン領域に影響を与えて誘発される。本発明はこれらコンタクトバリアー層またはゲート電極の材料において、従来不純物として重視されていなかったAlの濃度が、このリーク電流に大きく関与することを見出してなされたものである。
本発明においてAl含有量を原子数で1×1018個/cm3以下としたのは、1×1018個/cm3を超える程度にAl含有量が大きくなるにつれてリーク電流が増加し、またソース−ドレイン領域の接合深さが大きくなるにつれてコンタクトバリアー層中に含まれるAlの影響を受け易くなり、リーク電流は増加するが、1×1018個/cm3以下にすれば、ソース−ドレイン領域の接合深さに関係なく、リーク電流はほぼ一定の低い値に抑えられるからである。
本発明において、スパッタリングターゲットで形成する導電性膜を構成する材料として使用されるTi,W,Mo,Zr,Hf,Ta,V,Nb,Ir,Fe,Ni,Cr,Co,Pd,Ptの金属およびこれらの金属の珪化物、窒化物はいずれも優れた導電性および低抵抗特性を有し、1種または2種以上組み合せて使用される。
上記導電性膜のうち、TiN,Mo,W,TiSi2,CoSi2などは特に熱的安定性、化学的安定性に優れ、しかもコンタクトバリアーに用いた場合、コンタクト抵抗を低減する効果があるため、実用上好ましい。
しかしながら、上記薄膜中に含まれるAlがその後のプロセスにおいてコンタクトバリアー層とソースあるいはドレイン界面に偏析したり、界面に残っていた酸素と反応したり、あるいはSiの自然酸化膜を還元してAl2O3を形成する可能性が高い。それにより、コンタクト抵抗が上昇して問題となる。そこで本発明者らは上記薄膜中のAl濃度とそれらの薄膜でコンタクトバリアー層を形成したときのコンタクト抵抗の関連性を調べた。その結果、Al濃度が1×1018個/cm3以下であれば、上述のようなAl2O3形成によるコンタクト抵抗の上昇という問題は回避でき、実用上全く問題が生じないことが明らかとなった。
本発明において、スパッタリングターゲットで形成する導電性膜の結晶状態は、結晶体、アモルファス(非晶質)のどちらでも半導体素子のリーク電流を低減する効果が得られる。一般にアモルファスは熱的安定性がやや劣るが、Ta−Ir,Ni−Nb,Fe−W等の金属は比較的に安定であるため、実用上アモルファスとして使われる。このようなアモルファス合金は粒界が存在しないため、Alが高速で拡散しにくく、より良い効果が得られる。
本発明において、スパッタリングターゲットで形成する導電性膜は例えば下記の要領で製造される。すなわち、高融点金属、または高融点合金膜、高融点金属シリサイド膜、Ti,Ta,W,Ti−W合金の窒化膜からなる高純度のコンタクトバリアー膜、またはゲート電極膜を形成する場合、半導体素子の成膜に一般的に用いられるスパッタリング法を用い、その際Al濃度を所定値以下に低減したスパッタリングターゲットを使用して成膜することにより、生成膜中のAl含有量を抑制する。スパッタリングターゲット中のAlの濃度と膜中のそれとは相関関係があり、例えば、Ti−W合金、Moシリサイド膜中のAl原子の含有量を1×1018個/cm3以下に抑えるには、Ti−W合金製スパッタリングターゲットまたはMoシリサイドスパッタリングターゲット中のAl濃度を原子比で30ppm以下、好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下に抑え、このターゲットを用いてスパッタリングを行ない成膜する。
また高融点金属および、高融点金属からなる合金、および金属の珪化物で導電性膜を形成する場合は、Al濃度を30ppm以下、好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下に抑えたターゲットを用いてスパッタリングを行なうことにより、膜中のAl含有量を1×1018個/cm3以下に抑えることができる。さらに、Ti,Ta,W,Ti−W合金の窒化物で導電性膜を形成する場合についてもTi,Ta,W,Ti−W合金製ターゲット中のAl濃度を30ppm以下、好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下にし、窒素ガス雰囲気中で活性スパッタリングを行なうことにより、膜中のAl含有量を上記の値(1×1018/cm3)以下に抑えることができる。また、従来より積層膜の界面に集まり界面特性を劣化させたり、接合リークの原因となると言われてきた重金属元素やアルカリ金属の濃度は充分に低減する必要がある。
以下に実施例により本発明を詳しく説明する。
本発明においてスパッタリングターゲットを用いて形成した半導体素子用高純度導電性膜を用い、コンタクトバリアーまたはゲート電極などを形成することにより、リーク電流を低く抑える効果があり、信頼性が高い半導体素子が得られ、今後の半導体素子の高集積化にも充分に対応できる。
(実施例1)
図15に示すようにn型基板3上に形成したp+領域2上にTi−Wからなる導電性膜としてのコンタクトバリアー層1を形成し、さらにその上に配線膜としてのAl層4を形成したダイオードを半導体素子として作成した。このダイオードのソース−ドレイン領域の接合深さは約0.3μm、開孔部の面積は1.5×1.5μm2である。このダイオードは半導体素子のコンタクト部をモデル化し、コンタクト部の面積、コンタクトバリアー層の厚さ、ソース−ドレイン領域の接合深さは、実デバイスを模擬している。
図15に示すようにn型基板3上に形成したp+領域2上にTi−Wからなる導電性膜としてのコンタクトバリアー層1を形成し、さらにその上に配線膜としてのAl層4を形成したダイオードを半導体素子として作成した。このダイオードのソース−ドレイン領域の接合深さは約0.3μm、開孔部の面積は1.5×1.5μm2である。このダイオードは半導体素子のコンタクト部をモデル化し、コンタクト部の面積、コンタクトバリアー層の厚さ、ソース−ドレイン領域の接合深さは、実デバイスを模擬している。
ここで、コンタクトバリアー層は下記のように形成した。
最大粒径10μm以下(平均粒径4μm)の高純度W粉末と最大粒径50μm以下(平均粒径30μm)の高純度Ti粉末とを10wt%Ti−Wとなるように配合し、高純度Arガスで置換したボールミルで48時間混合した。次に黒鉛製の成形用型にBN離型剤を塗布し、その表面にTa板を張り付け、この型内に前記混合粉末を充填した。この成形用型をホットプレス装置内に挿入し、5×10−4Torr以下の真空中において、1400℃×3時間、押圧力が250kg/cm2で緻密化焼結した(第1の製造方法)。得られた焼結体を機械加工によって、直径260mm、厚さ6mmのターゲットに仕上げた。このターゲット中のAlの濃度を分析したところ0.8ppmであった。
また、ホットプレス時にTa板を用いないこと以外は第1の製造方法と同一の製造方法によって、同様のターゲットを製造し、このターゲット中のAl濃度を分析したところ15ppmであった。
さらに、純度99.9wt%で最大粒径50μm以下(平均粒径30μm)のW粉末と純度99.9wt%で最大粒径100μm(平均粒径70μm)のTi粉末を用い、ホットプレス時にTa板を用いないこと以外は第1の製造方法と同一の製造方法によって、同様のターゲットを製造し、このターゲット中のAl濃度を分析したところ50ppmであった。
これらのターゲットを用い、スパッタリング法によりTi−Wよりなるコンタクトバリアー層を形成した。フレームレス原子吸光法で測定したところ、各Ti−W膜中のAl含有量はそれぞれ1×1017個/cm3、1×1018個/cm3、1×1019個/cm3であった。また膜厚はそれぞれ約80nmである。
次にTi−Wコンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関係を調べた。まず各ダイオードに逆バイアス電圧をOVから印加し、電圧を徐々に増加させ、ブレークダウンまでの各ダイオードのリーク電流を調べた。その結果を図1に示す。図1の横軸には逆バイアス電圧、縦軸にはリーク電流をとっている。図1において、曲線AはAl含有量が1×1019個/cm3、曲線BはAl含有量が1×1018個/cm3、曲線CはAl含有量が1×1017個/cm3の膜を用いたダイオードの電流−電圧特性を示している。Al以外の不純物の含有量は、いずれのサンプルもAl,Ti,W以外の重金属が原子数で5×1016個/cm3以下、アルカリ金属が5×1016個/cm3以下と充分に低い値である。
図1の結果から明らかなように、Al含有量を所定値以下に制御した場合、リーク電流値はB,Cで殆ど変化はない一方、Aのサンプルでは大幅に増大している。他の有害不純物濃度が充分に低い値であることから、リーク電流の増加はAl含有量の増加によると考えられる。したがって、膜中のAl含有量を低減することによりリーク電流の増加を効果的に抑制することができる。
(実施例2)
Ta−Irからなるコンタクトバリアー層を有し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いてTa−Irアモルファスコンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流の関連性を調べた。Ta−Irアモルファスコンタクトバリアー層の形成は、Al濃度がそれぞれ100ppm、30ppmである48.5wt%Ta−Ir複合ターゲットを用いて行なった。各バリアー層についてフレームレス原子吸光法で測定したところ、それぞれの膜中のAl含有量は、8×1018個/cm3、4×1017個/cm3であった。また膜厚は約90nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。逆バイアス電圧に対するpn接合リーク電流値の測定結果を図2に示す。
Ta−Irからなるコンタクトバリアー層を有し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いてTa−Irアモルファスコンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流の関連性を調べた。Ta−Irアモルファスコンタクトバリアー層の形成は、Al濃度がそれぞれ100ppm、30ppmである48.5wt%Ta−Ir複合ターゲットを用いて行なった。各バリアー層についてフレームレス原子吸光法で測定したところ、それぞれの膜中のAl含有量は、8×1018個/cm3、4×1017個/cm3であった。また膜厚は約90nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。逆バイアス電圧に対するpn接合リーク電流値の測定結果を図2に示す。
図2において、曲線AはAl含有量が8×1018個/cm3、曲線BはAl含有量が4×1017個/cm3の膜をそれぞれ形成したダイオードの電流−電圧特性を示している。なお、いずれの膜においてもTa以外の重金属元素の含有量は1×1017個/cm3以下、アルカリ金属が0.5×1016個/cm3以下と充分に低い値である。図2の曲線Bから明らかなように、膜中のAl含有量を所定値以下にすることにより、リーク電流の増加を効果的に抑制することができる。
(実施例3)
Ni−Nbアモルファスからなるコンタクトバリアー層を有し、他は実施例1と同様な構成のダイオードと測定方法を用いて、Ni−Nbアモルファスコンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。Ni−Nbアモルファスコンタクトバリアー層の形成は、Al濃度がそれぞれ180ppm、10ppmである61wt%Ni−Nb複合ターゲットを用いて行なった。各バリアー層についてフレームレス原子吸光法で測定したところ、それぞれのNi−Nbアモルファスコンタクトバリアー膜中のAl含有量は、1.5×1019個/cm3、1×1017個/cm3であった。また膜厚は約90nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。逆バイアス電圧に対するpn接合リーク電流値の測定結果を図3に示す。
Ni−Nbアモルファスからなるコンタクトバリアー層を有し、他は実施例1と同様な構成のダイオードと測定方法を用いて、Ni−Nbアモルファスコンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。Ni−Nbアモルファスコンタクトバリアー層の形成は、Al濃度がそれぞれ180ppm、10ppmである61wt%Ni−Nb複合ターゲットを用いて行なった。各バリアー層についてフレームレス原子吸光法で測定したところ、それぞれのNi−Nbアモルファスコンタクトバリアー膜中のAl含有量は、1.5×1019個/cm3、1×1017個/cm3であった。また膜厚は約90nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。逆バイアス電圧に対するpn接合リーク電流値の測定結果を図3に示す。
図3において曲線AはAl含有量が1.5×1019個/cm3、曲線BはAl含有量が1×1017個/cm3の膜を用いたダイオードの電流−電圧特性を示している。いずれの膜においてもNi,Nb以外の重金属元素の含有量は1×1017個/cm3以下、アルカリ金属が3×1016個/cm3以下と共に充分に低い値である。図3の曲線Bから明らかなように、膜中のAl含有量を所定値以下に低減することにより、リーク電流の増加を効果的に抑制することができる。
(実施例4)
Fe−Wアモルファスからなるコンタクトバリアー層を有し、他は実施例1と同様な構成のダイオードと測定方法とを用いて、Fe−Wアモルファスコンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。Fe−Wアモルファスコンタクトバリアー層の形成は、Al濃度がそれぞれ150ppm、15ppmである23.3wt%Fe−W複合ターゲットを用いて行なった。各バリアー層についてフレームレス原子吸光法で測定したところ、それぞれのFe−Wアモルファスコンタクトバリアー膜中のAl含有量は、2.6×1018個/cm3、1×1017個/cm3であった。また膜厚は約90nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。逆バイアス電圧に対するpn接合リーク電流値の測定結果を図4に示す。
Fe−Wアモルファスからなるコンタクトバリアー層を有し、他は実施例1と同様な構成のダイオードと測定方法とを用いて、Fe−Wアモルファスコンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。Fe−Wアモルファスコンタクトバリアー層の形成は、Al濃度がそれぞれ150ppm、15ppmである23.3wt%Fe−W複合ターゲットを用いて行なった。各バリアー層についてフレームレス原子吸光法で測定したところ、それぞれのFe−Wアモルファスコンタクトバリアー膜中のAl含有量は、2.6×1018個/cm3、1×1017個/cm3であった。また膜厚は約90nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。逆バイアス電圧に対するpn接合リーク電流値の測定結果を図4に示す。
図4において、曲線AはAl含有量が2.6×1018個/cm3、曲線BはAl含有量が1×1017個/cm3の膜を用いたダイオードの電流−電圧特性を示している。いずれの膜においてもFe,W以外の重金属元素の含有量は1×1017個/cm3以下、アルカリ金属が0.5×1016個/cm3以下である。図4の曲線Bから明らかなように、膜中のAl含有量を所定値以下に低減することにより、リーク電流の増加を効果的に抑制することができる。
(実施例5)
Tiシリサイドからなるコンタクトバリアー層を有し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて、Tiシリサイドコンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流の関連性を調べた。ここでTiシリサイドコンタクトバリアー層の形成は、Ti中のAl濃度がそれぞれ150ppm、10ppmの56.0wt%Ti−Si複合ターゲットを用いスパッタリング法により行なった。
Tiシリサイドからなるコンタクトバリアー層を有し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて、Tiシリサイドコンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流の関連性を調べた。ここでTiシリサイドコンタクトバリアー層の形成は、Ti中のAl濃度がそれぞれ150ppm、10ppmの56.0wt%Ti−Si複合ターゲットを用いスパッタリング法により行なった。
ここで、Al濃度が150ppmのTi−Si複合ターゲットは、クロール法により製造したスポンジTiをアーク溶解して直径140mmのTiインゴットとし、このインゴットを熱間で鍛造し、さらに機械研削によって所定形状に加工してベース材とし、さらにTiが面積比で56%となるようにTiターゲット表面に純度5NのSiブロックをモザイク状に並べてターゲットとした。
一方、Al濃度が10ppmのターゲットは、KCl−NaCl電解浴(KCl:16重量%、NaCl:84重量%)中にスポンジTiからなる電極を投入し、電解温度755℃、電流200A、電圧8Vで溶融塩電解し粒状の針状Tiを作製した。次に、この針状Tiの表面に残存するAlを除去するために、さらにNaOH溶液で洗浄し、水洗い後5×10−5mbar、出力30KWの条件下でエレクトロンビーム溶解(EB溶解)を行ない直径135mmのTiインゴットとした。このTiインゴットを冷間で鍛造しベース材とし、Al濃度150ppmのターゲットと同様な工程でターゲットとした。なお、両ターゲットのシリコン成分として使用したSiブロック中のAl濃度を測定したところ、いずれも1ppm以下のレベルであった。
これらのターゲットを用いてスパッタリング法により形成した膜をフレームレス原子吸光法で測定したところ、それぞれの膜中のAl含有量は5×1018個/cm3、1×1017個/cm3であった。また膜厚は約90nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。逆バイアス電圧に対するpn接合リーク電流値の測定結果を図5に示す。
図5において、曲線AはAl含有量が5×1018個/cm3、曲線BはAl含有量が1×1017個/cm3の膜を用いたダイオードの電流−電圧特性を示している。いずれの膜においてもTi以外の重金属元素の含有量は2×1017個/cm3以下、アルカリ金属が1×1016個/cm3以下と充分に低い値である。図5の曲線Bから明らかなように、膜中のAl含有量を所定値以下に低減することにより、リーク電流の増加を効果的に抑制することができる。
(実施例6)
最大粒径10μm以下の高純度W粉末と最大粒径30μm以下の高純度Si粉末とを70.8wt%W−Siとなるように配合し、高純度Arガスで置換したボールミルで48時間混合した。次に黒鉛製の成形用型にBN離型剤を塗布し、さらにその表面にTa板を張付け、この型内に前記混合粉末を充填した。この成形用型をホットプレス装置内に挿入し、5×10−4Torr以下の真空中において、1250℃×2hr、押圧力50kg/cm2でシリサイド合成、1350℃×5hrで脱酸素および脱炭素後、1400℃×5hr、押圧力270kg/cm2で緻密化焼結した。得られた焼結体を研削研磨し、放電加工して直径260mm、厚さ6mmのターゲットに仕上げた。このターゲット中のAl濃度を分析したところ、0.3ppmであった。
最大粒径10μm以下の高純度W粉末と最大粒径30μm以下の高純度Si粉末とを70.8wt%W−Siとなるように配合し、高純度Arガスで置換したボールミルで48時間混合した。次に黒鉛製の成形用型にBN離型剤を塗布し、さらにその表面にTa板を張付け、この型内に前記混合粉末を充填した。この成形用型をホットプレス装置内に挿入し、5×10−4Torr以下の真空中において、1250℃×2hr、押圧力50kg/cm2でシリサイド合成、1350℃×5hrで脱酸素および脱炭素後、1400℃×5hr、押圧力270kg/cm2で緻密化焼結した。得られた焼結体を研削研磨し、放電加工して直径260mm、厚さ6mmのターゲットに仕上げた。このターゲット中のAl濃度を分析したところ、0.3ppmであった。
一方、Al含有量が約450ppmの低純度Si粉末を用い、最大粒径10μm以下の高純度W粉末と混合後、上記と同様な条件でターゲットを調製し、Al濃度分析したところ、150ppmであった。
これらの2種類のターゲットを用いスパッタリング法によりWシリサイドからなるコンタクトバリアー層を形成し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて各Wシリサイド製コンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。各バリアー層について、フレームレス原子吸光法で測定したところ、それぞれの膜中のAl含有量は2.5×1018個/cm3、1×1016個/cm3で、膜厚は約90nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。それぞれのダイオードについて、逆バイアス電圧に対するpn接合のリーク電流値の測定結果を図6に示す。
図6において、曲線AはAl含有量が2.5×1018個/cm3、曲線BはAl含有量が1×1016個/cm3の膜を用いたダイオードの電流−電圧特性を示している。いずれの膜においてもW以外の重金属元素の含有量は1×1017個/cm3以下、アルカリ金属が3×1016個/cm3以下である。図6の曲線Bから明らかなように、膜中のAl含有量を所定値以下に低減することにより、リーク電流の増加を効果的に抑制することができる。
(実施例7)
最大粒径10μm以下の高純度Mo粉末と最大粒径30μm以下の高純度Si粉末とを63.1wt%Mo−Siとなるように配合し、高純度Arガスで置換したボールミルで48時間混合した。次に黒鉛製の成形用型にBN離型剤を塗布し、さらにその表面にTa板を張付け、この型内に前記混合粉末を充填した。この成形用型をホットプレス装置内に挿入し、5×10−4Torr以下の真空中において、1100℃×2hr、押圧力40kg/cm2でシリサイド合成、1350℃×5hrで脱酸素および脱炭素後、1400℃×5hr、押圧力280kg/cm2で緻密化焼結した。得られた焼結体を研削研磨し、放電加工して直径260mm、厚さ6mmのターゲットに仕上げた。このターゲット中のAl濃度を分析したところ、0.4ppmであった。
最大粒径10μm以下の高純度Mo粉末と最大粒径30μm以下の高純度Si粉末とを63.1wt%Mo−Siとなるように配合し、高純度Arガスで置換したボールミルで48時間混合した。次に黒鉛製の成形用型にBN離型剤を塗布し、さらにその表面にTa板を張付け、この型内に前記混合粉末を充填した。この成形用型をホットプレス装置内に挿入し、5×10−4Torr以下の真空中において、1100℃×2hr、押圧力40kg/cm2でシリサイド合成、1350℃×5hrで脱酸素および脱炭素後、1400℃×5hr、押圧力280kg/cm2で緻密化焼結した。得られた焼結体を研削研磨し、放電加工して直径260mm、厚さ6mmのターゲットに仕上げた。このターゲット中のAl濃度を分析したところ、0.4ppmであった。
一方、Al含有量が約450ppmと約120ppmの低純度Si粉末を用い、最大粒径10μm以下の高純度Mo粉末と混合後、上記と同様な条件でターゲットを調製し、Al濃度分析したところ、それぞれ150ppm、30ppmであった。
これらの3種類のターゲットを用いスパッタリング法によりMoシリサイドからなるコンタクトバリアー層を形成し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて各Moシリサイド製コンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。また各バリアー層についてフレームレス原子吸光法で測定したところ、膜中のAl含有量はそれぞれ2×1019個/cm3、1×1018個/cm3、1×1016個/cm3であった。また膜厚は約90nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。それぞれのダイオードについて、逆バイアス電圧に対するpn接合のリーク電流値の測定結果を図7に示す。
図7において、曲線AはAl含有量が2×1019個/cm3、曲線BはAl含有量が1×1018個/cm3、曲線CはAl含有量が1×1016個/cm3の膜を用いたダイオードの電流−電圧特性を示している。いずれの膜においてもMo以外の重金属元素の含有量は5×1016個/cm3以下、アルカリ金属が5×1016個/cm3以下である。図7の曲線B,Cから明らかなように、膜中のAl含有量を所定値以下に低減することにより、リーク電流の増加を効果的に抑制することができる。
(実施例8)
最大粒径10μm以下の高純度Ta粉末と最大粒径30μm以下の高純度Si粉末とを76.3wt%Ta−Siとなるように配合し、高純度Arガスで置換したボールミルで48時間混合した。次に黒鉛製の成形用型にBN離型剤を塗布し、さらにその表面にTa板を張付け、この型内に前記混合粉末を充填した。この成形用型をホットプレス装置内に挿入し、5×10−4Torr以下の真空中において、1150℃×3hr、押圧力60kg/cm2でシリサイド合成、1300℃×5hrで脱酸素および脱炭素後、1360℃×5hr、押圧力280kg/cm2で緻密化焼結した。得られた焼結体を研削研磨し、放電加工して直径260mm、厚さ6mmのターゲットに仕上げた。このターゲット中のAl濃度を分析したところ、0.4ppmであった。
最大粒径10μm以下の高純度Ta粉末と最大粒径30μm以下の高純度Si粉末とを76.3wt%Ta−Siとなるように配合し、高純度Arガスで置換したボールミルで48時間混合した。次に黒鉛製の成形用型にBN離型剤を塗布し、さらにその表面にTa板を張付け、この型内に前記混合粉末を充填した。この成形用型をホットプレス装置内に挿入し、5×10−4Torr以下の真空中において、1150℃×3hr、押圧力60kg/cm2でシリサイド合成、1300℃×5hrで脱酸素および脱炭素後、1360℃×5hr、押圧力280kg/cm2で緻密化焼結した。得られた焼結体を研削研磨し、放電加工して直径260mm、厚さ6mmのターゲットに仕上げた。このターゲット中のAl濃度を分析したところ、0.4ppmであった。
一方、Al含有量が約430ppmの低純度Si粉末を用い、最大粒径10μm以下の高純度Ta粉末と混合後、前記と同様な条件でターゲットを調製し、Al濃度を分析したところ、150ppmであった。
これら2種類のターゲットを使用し、スパッタリング法によりTaシリサイドからなるコンタクトバリアー層を形成し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて各Taシリサイド製コンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。また各バリアー層のAl含有量は、4×1018個/cm3、2×1016個/cm3、膜厚は約90nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。それぞれのダイオードについて、逆バイアス電圧に対するpn接合のリーク電流値の測定結果を図8に示す。
図8において、曲線AはAl含有量が4×1018個/cm3、曲線BはAl含有量が2×1016個/cm3の膜を用いたダイオードの電流−電圧特性を示している。いずれの膜においても、Ta以外の重金属元素の含有量は1×1017個/cm3以下、アルカリ金属が5×1016個/cm3以下である。図8の曲線Bから明らかなように、膜中のAl含有量を所定値以下に低減することにより、リーク電流の増加を効果的に抑制することができる。
(実施例9)
最大粒径10μm以下の高純度Ni粉末と最大粒径30μm以下の高純度Si粉末とを51.1wt%Ni−Siとなるように配合し、高純度Arガスで置換したボールミルで48時間混合した。次に黒鉛製の成形用型にBN離型剤を塗布し、さらにその表面にTa板を張付け、この型内に前記混合粉末を充填した。この成形用型をホットプレス装置内に挿入し、5×10−4Torr以下の真空中において、750℃×3hr、押圧力50kg/cm2でシリサイド合成、900℃×5hrで脱酸素および脱炭素後、940℃×5hr、押圧力280kg/cm2で緻密化焼結した。得られた焼結体を研削研磨し、放電加工して直径260mm、厚さ6mmのターゲットに仕上げた。このターゲット中のAl濃度を分析したところ、0.5ppmであった。
最大粒径10μm以下の高純度Ni粉末と最大粒径30μm以下の高純度Si粉末とを51.1wt%Ni−Siとなるように配合し、高純度Arガスで置換したボールミルで48時間混合した。次に黒鉛製の成形用型にBN離型剤を塗布し、さらにその表面にTa板を張付け、この型内に前記混合粉末を充填した。この成形用型をホットプレス装置内に挿入し、5×10−4Torr以下の真空中において、750℃×3hr、押圧力50kg/cm2でシリサイド合成、900℃×5hrで脱酸素および脱炭素後、940℃×5hr、押圧力280kg/cm2で緻密化焼結した。得られた焼結体を研削研磨し、放電加工して直径260mm、厚さ6mmのターゲットに仕上げた。このターゲット中のAl濃度を分析したところ、0.5ppmであった。
一方、Al含有量が約400ppmの低純度Si粉末を用い、最大粒径10μm以下の高純度Ni粉末と混合後、前記と同様な条件でターゲットを調製し、Al濃度を分析したところ、200ppmであった。
これらの2種類のターゲットを用いスパッタリング法によりNiシリサイドからなるコンタクトバリアー層を形成し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて各Niシリサイド製コンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。また各バリアー層についてフレームレス原子吸光法で測定したところ、膜中のAl含有量は、8×1018個/cm3、3×1016個/cm3であった。また膜厚は約90nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。それぞれのダイオードについて、逆バイアス電圧に対するpn接合のリーク電流値の測定結果を図9に示す。
図9において、曲線AはAl含有量が8×1018個/cm3、曲線BはAl含有量が3×1016個/cm3の膜を用いたダイオードの電流−電圧特性を示している。いずれの膜においても、Ni以外の重金属元素の含有量は2×1017個/cm3以下、アルカリ金属の含有量が1×1016個/cm3以下である。図9の曲線Bから明らかなように、膜中のAl含有量を所定値以下に低減することにより、リーク電流の増加を効果的に抑制することができる。
(実施例10)
最大粒径10μm以下の高純度Co粉末と最大粒径30μm以下の高純度Si粉末とを51.2wt%Co−Siとなるように配合し、高純度Arガスで置換したボールミルで48時間混合した。次に黒鉛製の成形用型にBN離型剤を塗布し、さらにその表面にTa板を張付け、この型内に前記混合粉末を充填した。この成形用型をホットプレス装置内に挿入し、5×10−4Torr以下の真空中において、1000℃×3hr、押圧力40kg/cm2でシリサイド合成、1150℃×5hrで脱酸素および脱炭素後、1240℃×5hr、押圧力280kg/cm2で緻密化焼結した。得られた焼結体を研削研磨し、放電加工して直径260mm、厚さ6mmのターゲットに仕上げた。このターゲット中のAl濃度を分析したところ、0.6ppmであった。
最大粒径10μm以下の高純度Co粉末と最大粒径30μm以下の高純度Si粉末とを51.2wt%Co−Siとなるように配合し、高純度Arガスで置換したボールミルで48時間混合した。次に黒鉛製の成形用型にBN離型剤を塗布し、さらにその表面にTa板を張付け、この型内に前記混合粉末を充填した。この成形用型をホットプレス装置内に挿入し、5×10−4Torr以下の真空中において、1000℃×3hr、押圧力40kg/cm2でシリサイド合成、1150℃×5hrで脱酸素および脱炭素後、1240℃×5hr、押圧力280kg/cm2で緻密化焼結した。得られた焼結体を研削研磨し、放電加工して直径260mm、厚さ6mmのターゲットに仕上げた。このターゲット中のAl濃度を分析したところ、0.6ppmであった。
一方、Al含有量が約320ppmの低純度Si粉末を用い、最大粒径10μm以下の高純度Co粉末と混合後、前記と同様な条件でターゲットを調製し、Al濃度を分析したところ、160ppmであった。
これら2種類のターゲットを用い、スパッタリング法によりCoシリサイドからなるコンタクトバリアー層を形成し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて、各Coシリサイド製コンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。また各バリアー層について、フレームレス原子吸光法で測定したところ、膜中のAl含有量は、0.5×1019個/cm3、2×1016個/cm3であった。また膜厚は約80nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。それぞれのダイオードについて、逆バイアス電圧に対するpn接合のリーク電流値の測定結果を図10に示す。
図10において、曲線AはAl含有量が0.5×1019個/cm3、曲線BはAl含有量が2×1016個/cm3の膜を用いたダイオードの電流−電圧特性を示している。いずれの膜においても、Co以外の重金属元素の含有量は2×1017個/cm3以下、アルカリ金属の含有量が1×1016個/cm3以下である。図10の曲線Bから明らかなように、膜中のAl含有量を所定値以下に低減することにより、リーク電流の増加を効果的に抑制することができる。
(実施例11)
Ti窒化物からなるコンタクトバリアー層を有し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて、Ti窒化物コンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。ここでTi窒化物コンタクトバリアー層の形成は、Al濃度がそれぞれ150ppm、10ppm、3ppmの3種類のTiターゲットを用い窒素雰囲気下で活性スパッタリング法により行なった。この活性スパッタリング法では、直流2極(DC)マグネトロンスパッタリング装置を1×10−6Torr以下に真空排気後、チャンバー内にAr50%+N250%のガスを5×10−3Torr導入し、DC電流出力400W(4インチ円板状Tiターゲット)を用いて被覆を行なっている。
Ti窒化物からなるコンタクトバリアー層を有し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて、Ti窒化物コンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。ここでTi窒化物コンタクトバリアー層の形成は、Al濃度がそれぞれ150ppm、10ppm、3ppmの3種類のTiターゲットを用い窒素雰囲気下で活性スパッタリング法により行なった。この活性スパッタリング法では、直流2極(DC)マグネトロンスパッタリング装置を1×10−6Torr以下に真空排気後、チャンバー内にAr50%+N250%のガスを5×10−3Torr導入し、DC電流出力400W(4インチ円板状Tiターゲット)を用いて被覆を行なっている。
ここで、Al濃度が150ppmのTiターゲットは、クロール法で得られたスポンジTiをアーク溶解し直径140mmのTiインゴットとした後に熱間鍛造し、所定形状のターゲットとした。
一方、Al濃度が10ppmのTiターゲットは、実施例5と同様な方法で調製したものである。
またAl濃度が3ppmのTiターゲットは、上述の方法によって得られたTi原料を、フッ酸、硝酸、塩酸および水を2:1:1:196の比率で混合した混酸に3分間浸漬し、表面のAlを除去した後に実施例5と同様にEB溶解処理を行なったものを、ターゲットとして使用した。
これら3種類のターゲットを用いスパッタリンク法により形成された各導電性膜中のAl濃度をフレームレス原子吸光法で測定したところ、それぞれ1×1019個/cm3、1×1018個/cm3、1×1017個/cm3であった。また膜厚は約100nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。それぞれのダイオードについて逆バイアス電圧に対するpn接合リーク電流値の測定結果を図11に示す。
図11において、曲線AはAl含有量が1×1019個/cm3、曲線BはAl含有量が1×1018個/cm3、曲線CはAl含有量が1×1017個/cm3の膜を用いたダイオードの電流−電圧特性を示している。いずれの膜においてもTi以外の重金属元素の含有量は5×1016個/cm3以下、アルカリ金属の含有量は5×1016個/cm3以下と充分に低い値である。図11の曲線B,Cから明らかなように、膜中のAl含有量を所定値(1×1018)以下に低減することにより、リーク電流の増加を効果的に抑制することができる。
(実施例12)
Ta窒化物からなるコンタクトバリアー層を形成し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて、各Ta窒化物コンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。Ta窒化物からなるコンタクトバリアー層の形成は、Al濃度がそれぞれ約150ppm、1ppm以下の2種類のTaターゲットを用いて窒素雰囲気中で活性スパッタリング法により行なった。この活性スパッタリング法では、直流2極(DC)マグネトロンスパッタリング装置を1×10−6Torr以下に真空排気後、チャンバー内にAr50%+N250%のガスを5×10−3Torr導入し、DC電流出力350W(4インチ円板状Tiターゲット)を用いて被覆を行なっている。
Ta窒化物からなるコンタクトバリアー層を形成し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて、各Ta窒化物コンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。Ta窒化物からなるコンタクトバリアー層の形成は、Al濃度がそれぞれ約150ppm、1ppm以下の2種類のTaターゲットを用いて窒素雰囲気中で活性スパッタリング法により行なった。この活性スパッタリング法では、直流2極(DC)マグネトロンスパッタリング装置を1×10−6Torr以下に真空排気後、チャンバー内にAr50%+N250%のガスを5×10−3Torr導入し、DC電流出力350W(4インチ円板状Tiターゲット)を用いて被覆を行なっている。
各バリアー層について、フレームレス原子吸光法で測定したところ、各導電性膜中のAl含有量は、4×1018個/cm3、1×1017個/cm3であった。また各膜厚は約80nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。それぞれのダイオードについて逆バイアス電圧に対するpn接合のリーク電流値の測定結果を図12に示す。
図12において、曲線AはAl含有量が4×1018個/cm3、曲線BはAl含有量が1×1017個/cm3の膜を用いたダイオードの電流−電圧特性を示している。いずれの膜においても、なお、Ta以外の重金属元素の含有量は1×1017個/cm3以下、アルカリ金属の含有量は3×1016個/cm3以下である。図12の曲線Bから明らかなように、膜中のAl含有量を所定値以下に低減することにより、リーク電流の増加を効果的に抑制することができる。
(実施例13)
Ti−W合金窒化物からなるコンタクトバリアー層を形成し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて、Ti−W合金窒化物コンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。Ti−W合金窒化物からなるコンタクトバリアー層の形成は、Al濃度がそれぞれ約200ppm、1ppm以下の2種類の10wt%Ti−W複合ターゲットを用いて窒素雰囲気中で活性スパッタリング法により行なった。この活性スパッタリング法では、直流2極(DC)マグネトロンスパッタリング装置を1×10−6Torr以下に真空排気後、チャンバー内にAr50%+N250%のガスを5×10−3Torr導入し、DC電流出力420W(4インチ円板状Tiターゲット)を用いて被覆を行なっている。
Ti−W合金窒化物からなるコンタクトバリアー層を形成し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて、Ti−W合金窒化物コンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。Ti−W合金窒化物からなるコンタクトバリアー層の形成は、Al濃度がそれぞれ約200ppm、1ppm以下の2種類の10wt%Ti−W複合ターゲットを用いて窒素雰囲気中で活性スパッタリング法により行なった。この活性スパッタリング法では、直流2極(DC)マグネトロンスパッタリング装置を1×10−6Torr以下に真空排気後、チャンバー内にAr50%+N250%のガスを5×10−3Torr導入し、DC電流出力420W(4インチ円板状Tiターゲット)を用いて被覆を行なっている。
各バリアー層について、フレームレス原子吸光法で測定したところ、膜中のAl含有量はそれぞれ、5×1018個/cm3、2×1017個/cm3であった。また各膜厚は約80nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。それぞれのダイオードについて逆バイアス電圧に対するpn接合のリーク電流値の測定結果を図13に示す。
図13において、曲線AはAl含有量が5×1018個/cm3、曲線BはAl含有量が2×1017個/cm3の導電性膜を用いたダイオードの電流−電圧特性を示している。なお、Ti以外の重金属元素の含有量は2×1017個/cm3以下、アルカリ金属の含有量は1×1016個/cm3以下である。図13の曲線Bから明らかなように、膜中のAl含有量を所定値以下に低減することにより、リーク電流の増加を効果的に抑制することができる。
(実施例14)
W窒化物からなるコンタクトバリアー層を形成し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて、各W窒化物コンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。W窒化物からなるコンタクトバリアー層の形成は、Al濃度がそれぞれ約170ppm、1ppm以下の2種類のWターゲットを用いて窒素雰囲気中で活性スパッタリング法により行なった。この活性スパッタリング法では、直流2極(DC)マグネトロンスパッタリング装置を1×10−6Torr以下に真空排気後、チャンバー内にAr50%+N250%のガスを5×10−3Torr導入し、DC電流出力450W(4インチ円板状Tiターゲット)を用いて被覆を行なっている。各バリアー層について、フレームレス原子吸光法で測定したところ、膜中のAl含有量はそれぞれ、3×1018個/cm3、1×1017個/cm3であった。また各膜厚は約90nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。それぞれのダイオードについて逆バイアス電圧に対するpn接合のリーク電流値の測定結果を図14に示す。
W窒化物からなるコンタクトバリアー層を形成し、他は実施例1と同様な構成のダイオードを用いて、各W窒化物コンタクトバリアー層中のAl含有量とpn接合リーク電流との関連性を調べた。W窒化物からなるコンタクトバリアー層の形成は、Al濃度がそれぞれ約170ppm、1ppm以下の2種類のWターゲットを用いて窒素雰囲気中で活性スパッタリング法により行なった。この活性スパッタリング法では、直流2極(DC)マグネトロンスパッタリング装置を1×10−6Torr以下に真空排気後、チャンバー内にAr50%+N250%のガスを5×10−3Torr導入し、DC電流出力450W(4インチ円板状Tiターゲット)を用いて被覆を行なっている。各バリアー層について、フレームレス原子吸光法で測定したところ、膜中のAl含有量はそれぞれ、3×1018個/cm3、1×1017個/cm3であった。また各膜厚は約90nmである。各測定は実施例1と同様の方法で行なった。それぞれのダイオードについて逆バイアス電圧に対するpn接合のリーク電流値の測定結果を図14に示す。
図14において、曲線AはAl含有量が3×1018個/cm3、曲線BはAl含有量が1×1017個/cm3の膜を用いたダイオードの電流−電圧特性を示している。いずれの膜においても、なおW以外の重金属元素の含有量は1×1017個/cm3以下、アルカリ金属の含有量は1×1016個/cm3以下である。図14の曲線Bから明らかなように、膜中のAl含有量を所定値(1×1018)以下に低減することにより、リーク電流の増加を効果的に抑制することができる。
1 コンタクトバリアー層
2 p+領域
3 n型基板
4 Al層
5 SiO2
2 p+領域
3 n型基板
4 Al層
5 SiO2
Claims (4)
- ソース−ドレイン領域の接合深さが0.1〜0.3μmである半導体素子のコンタクトバリアー又はゲート電極層がCo珪化物から成る導電体を有する半導体素子の製造方法であり、この導電体のAl含有量が原子数で2×1016個/cm3以下、Co以外の重金属元素の含有量が2×1017個/cm3以下およびアルカリ金属の含有量が1×1016個/cm3以下である半導体素子用高純度導電性膜をスパッタリング法により形成することを特徴とする半導体素子の製造方法。
- 前記スパッタリング時にCo珪化物スパッタターゲットを用いることを特徴とする請求項1記載の半導体素子の製造方法。
- 前記Co珪化物スパッタターゲットのAl含有量が10ppm以下であることを特徴とする請求項2記載の半導体素子の製造方法。
- 前記Co珪化物スパッタターゲットのAl含有量が1ppm以下であることを特徴とする請求項2記載の半導体素子の製造方法。
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