JP2006284450A - 車両部品の加速度判定装置およびその装置を含む車両部品の搬送用梱包材 - Google Patents

車両部品の加速度判定装置およびその装置を含む車両部品の搬送用梱包材 Download PDF

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Abstract

【課題】 安価で精度高く車両部品に加わった加速度を検知する。
【解決手段】 加速度検知装置100は、筐体120の下部に設けられたバネ140と、バネ140の上に設けられた、上に凸の皿状の曲面保持部材130と、曲面保持部材130の上に設けられた球体150と、球体150を筐体120の上部において少なくとも2点で位置を規制するリブ(A)110Aおよびリブ(B)110Bとを含む。曲面保持部材130の上に球体150が載せられて1点で支持され、筐体120の上部で球体が少なくとも2点で位置が規制されている。3点で球体が支持されている状態で加速度が加わらなければこの状態を維持でき、許容される最大加速度以上の加速度を受ければ球体150が当初の位置からずれる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、搬送中の車両部品に加えられた加速度を判定する装置に関し、特に、低コストで精度の高い加速度判定装置およびその加速度判定装置を用いた車両部品の搬送方法に関する。
車両の部品は、1台で数万点にもなり、複数の製造工場において、単一部品または単一部品を組み立てた半完成部品や完成部品を、他の製造工場や最終車両組み立て工場に、トラック等で搬送される。このように、トラック等で製造工場間を搬送されるので部品が搬送途中において衝撃(加速度、G値)を受ける。このような衝撃が、部品の品質に影響を与える場合がある。たとえば、許容最大衝撃値を越える衝撃を受けた部品についてはその部品を構成する一部の部材が破損して、部品本来の機能に欠陥が生じている等の場合である。
特開2004−217426号公報(特許文献1)は、物品一つ一つの保存状態を管理することができるとともに、何れかの物品の商品価値が低下した際にそれに対する対応を迅速に行うことができる流通管理システムを開示する。この流通管理システムは、輸送される物品の一つ一つに直接装着される多数の電子タグ、および、物品の流通経路内に配置される多数のゲート端末装置を備える流通管理システムであって、各電子タグは、情報を記録する記録部と、ゲート端末装置へ情報を送信する送信部と、物品の温度である品温を検出する品温検出部と、所定の時間毎に品温検出部によって検出された品温に基づいて生成された情報を記録部に記録する記録制御部と、送信部に対し、記録部に記録されている情報をゲート端末装置へ送信させる送信制御部とを備え、各ゲート端末装置は、電子タグから情報を受信する情報受信部と、情報受信部において電子タグから情報を受信すると、その情報に基づいて、警告を出力すべきであるか否かを判別する判別部と、判別部において警告を出力すべきであると判別された場合に警告を出力する警告出力部とを備える。
この流通管理システムによると、輸送される物品の一つ一つに直接装着された電子タグは、所定の時間毎に品温検出部によって検出された品温に基づいて生成された情報を記録制御部によって記録部に記録するとともに、その情報を送信部によってゲート端末装置へ送信する。一方、物品の流通経路中の各地点に配置された各ゲート端末装置は、情報受信部によって電子タグから情報を受信すると、その情報に基づいて、判別部によって警告を出力すべきであるか否かを判別し、警告出力部によって、警告を出力すべきであると判別した場合に警告を出力する。従って、本発明によれば、電子タグからゲート端末装置へ送信された情報がゲート端末装置に受信される毎に、警告を出力すべきであるか否か、すなわち、各物品が劣化しているか否かがチェックされ、何れかの物品が劣化していた場合には、警告が出力される。これにより、電子タグがゲート端末装置を通過する毎に、各物品が劣化しているか否かを、即時に知ることができる。また、各物品が劣化しているか否かを、即時に知ることができるので、劣化した物品を含む全ての物品が流通経路における最下流まで行き渡る前に、劣化した物品だけを取り除いたり物品を補充したり謝罪や弁済の通知をしたりといった対応を、素早く執ることができる。
この特許文献1は、上述した衝撃値についての言及がない。被検知物体が受ける衝撃値を検知する技術については、たとえば、特開平10−185559号公報(特許文献2)、特開平9−72931号公報(特許文献3)および特開2000−65853号公報(特許文献4)にそれぞれ開示されている。
特開2004−217426号公報 特開平10−185559号公報 特開平9−72931号公報 特開2000−65853号公報
しかしながら、上述した特許文献2〜4のいずれに開示された技術も、電気的な信号を検知するセンサを必要としている。このようなセンサによる検知では、センサに電力を供給する給電機構も必要となり、高価になる。特許文献1においても電子タグを用いているので高価である。車両1台について数万点の部品があり、最終組み立て工場で電子タグやセンサや給電機構を回収して、部品工場に送り返して再度使用することも考えられるが、そのようにしたところで、最終組み立て工場における仕掛り部品数の削減にも限界があり、電子タグやセンサやその給電機構が非常に多数必要となることは明らかである。そのため、非常にコストが高くなり、実現できる可能性が低くなる。
このようにセンサ等を用いて搬送中の被検知物体にどの程度の加速度が加わったのかを判定するためには、少なくとも電気的な記憶手段を必要とする。このため、配線、電源等も必要となり、高価になる。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、安価で精度高く被検知物体に加わった加速度を判定することができる車両部品の加速度判定装置を提供するとともに、その加速度判定装置を含む車両部品の搬送用梱包材を提供することである。
第1の発明に係る加速度判定装置は、車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、筐体内に設けられ、被検知物体に加わった加速度に関する情報を視覚により判定するための判定手段とを含む。
第1の発明によると、たとえばトラックによる搬送前に車両部品に加速度判定装置の筐体を取り付ける。筐体は車両部品と着脱自在であるため容易に車両部品に取り付けることができ、最終組み立て工場で車両部品を車両に組付けるときには容易に取り外すことができる。筐体内には、被検知物体に加わった加速度に関する情報を視覚により判定するための判定手段が設けられる。この判定手段の一例として、筐体の下部にバネを設けてそのバネの上に、上に凸の皿状の部材を載せてその部材の上に球体(たとえば、この球体は金属球であるが、球体の材質は金属に限定されない)を載せる。金属球を筐体の上部において少なくとも2点で位置を規制する。このようにすると、上に凸の皿状の部材の上に金属球が載せられて1点で支持されている。筐体の上部で金属球が少なくとも2点で位置が規制部材により規制されている。3点で金属球が支持されている状態であるので加速度が加わらなければこの状態を維持するので、金属球が動いていないことを見て、加速度に関する情報を判定できる。車両部品の種類ごとに許容される最大加速度が異なるので、規制点数や規制部材と金属球との接触面積や金属球の質量等を変化させることにより、許容される最大加速度以上の加速度を受けた場合にのみ金属球が当初の位置からずれるようにしたり、累積加速度が許容値を超えた場合にのみ金属球が当初の位置からずれるようにしたりすることができる。その結果、安価で精度高く被検知物体に加わった加速度を判定することができる車両部品の加速度判定装置を提供することができる。
第2の発明に係る加速度判定装置は、車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、筐体内に設けられ、電気的な記憶手段を用いないで、被検知物体に加わった加速度に関する情報を視覚により判定するための手段とを含む。
第2の発明によると、電気的な記憶手段(メモリ、電子タグ等)を用いないで加速度に関する情報を視覚により判定するので、安価で精度高く被検知物体に加わった加速度を判定することができる。
第3の発明に係る加速度判定装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、判定手段は、被検知物体の最大許容加速度が、被検知物体に加わったか否かについて判定するための手段を含む。
第3の発明によると、第1の発明の一例のように、車両部品に許容される最大加速度以上の加速度を受けた場合にのみ金属球が当初の位置からずれるようにすることにより、金属球がずれていると被検知物体の最大許容加速度が、被検知物体に加わったと判定することができる。
第4の発明に係る加速度判定装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、判定手段は、被検知物体に加わった加速度の履歴について判定するための手段を含む。
第4の発明によると、累積加速度が許容値を超えた場合にのみ金属球が当初の位置からずれるようにしたりすることにより、金属球がずれていると被検知物体に加わった加速度の履歴(累積加速度が許容値を越えたという履歴)を判定することができる。
第5の発明に係る加速度判定装置においては、車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、筐体内に設けられた球体と、球体を保持するための保持手段と、保持手段を介して球体を筐体内面に押し付ける付勢力を発生するための付勢手段と、球体と筐体内面との間に設けられた、球体の動きを規制するための規制手段と、球体の位置を視覚により検知して、被検知物体に加わった加速度に関する情報を判定するための判定手段とを含む。
第5の発明によると、筐体の下部に付勢手段(バネ等)を設けてその付勢手段の上に保持手段(上に凸の皿状の部材)を載せてその保持手段の上に球体(金属球)を載せる。球体をその球体と筐体との間(筐体の上部)において規制手段で位置を規制する。このようにすると、上に凸の皿状の部材の上に球体が載せられ、筐体の上部で球体が規制手段により位置が規制されている。球体が付勢手段と規制手段とで挟まれている状態において、大きな加速度が加わると加速度の方向に力がかかり、球体は付勢手段による付勢力(ここでは挟圧力になる)に抗して動いてしまう。一方、加速度が小さいと球体が動かない。このように球体が動いているか、動いていないかを判定手段として設けられた筐体上部の穴から見て、加速度に関する情報を判定できる。車両部品の種類ごとに許容される最大加速度が異なるので、規制手段と球体との接触面積や球体の質量等を変化させることにより、許容される最大加速度以上の加速度を受けた場合にのみ球体が当初の位置からずれるようにしたり、累積加速度が許容値を超えた場合にのみ球体が当初の位置からずれるようにしたりすることができる。その結果、安価で精度高く被検知物体に加わった加速度を判定することができる車両部品の加速度判定装置を提供することができる。
第6の発明に係る加速度判定装置においては、第5の発明の構成に加えて、規制手段は、被検知物体に対して許容された最大加速度を被検知物体が受けた場合に付勢力に抗して被検知物体が移動して、被検知物体に対して許容された最大加速度よりも小さい加速度を被検知物体が受けた場合に被検知物体が移動しないように、球体の動きを規制するための手段を含む。
第6の発明によると、規制手段があっても、被検知物体に対して許容された最大加速度以上の加速度が加わると球体は付勢手段による付勢力(ここでは挟圧力になる)に抗して動いてしまう。一方、規制手段により、被検知物体に対して許容された最大加速度よりも小さいと球体が動かない。このように球体が動いているか、動いていないかを判定手段として設けられた筐体上部の穴から見て、加速度に関する情報を判定できる。
第7の発明に係る加速度判定装置においては、第6の発明の構成に加えて、規制手段は、付勢力とは垂直な方向への球体の移動を規制するために、筐体内面から球体に向けて設けられた突起部であって、突起部は球体の周縁の少なくとも2箇所で球体に接する。
第7の発明によると、筐体の下部に付勢手段(バネ等)を設けてその付勢手段の上に保持手段(上に凸の皿状の部材)を載せてその保持手段の上に球体(金属球)を載せる。球体をその球体と筐体との間(筐体の上部)において規制手段が設けられる。この規制手段は、球体を筐体の上部において少なくとも2点で位置を規制する。このようにすると、上に凸の皿状の部材の上に球体が載せられて1点で支持されている。筐体の上部で球体が少なくとも2点で位置が規制部材により規制されている。3点で球体が支持されている状態であるので加速度が加わらなければこの状態を維持するので、球体が動いていないことを見て、加速度に関する情報を判定できる。なお、球体が磁性体である場合には、付勢手段は磁石等を用いてもよい。
第8の発明に係る加速度判定装置においては、第5〜7のいずれかの発明の構成に加えて、判定手段は、球体の位置を視覚により検知するために、筐体に設けられた穴部である。
第8の発明によると、筐体に設けられた穴部から検査者が筐体内部の球体(金属球)の位置を視覚で確認して、球体が動いていいるか否かを確認して、加速度に関する情報を判定できる。
第9の発明に係る加速度判定装置においては、第5〜8のいずれかの発明の構成に加えて、保持手段は、球体に接する面が曲面で構成される部材である。
第9の発明によると、球体に接する面が曲面であり、球体とこの曲面とは1点で支持されるとともに、付勢手段により球体が曲面に押し付けられて固定される。さらに、この球体を筐体の上部において少なくとも2点で位置を規制する。このようにすると、上に凸の皿状の部材の上に球体が載せられて1点で支持されている。筐体の上部で球体が少なくとも2点で位置が規制部材により規制されている。3点で球体が支持されている状態であるので加速度が加わらなければこの状態を維持するので、球体が動いていないことを見て、加速度に関する情報を判定できる。
第10の発明に係る加速度判定装置は、車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、筐体内に設けられた球体と、球体に接する面が曲面で構成され、球体を保持するための保持手段と、保持手段を介して球体を筐体内面に押し付ける付勢力を発生するための付勢手段と、球体と筐体内面との間に設けられた、球体の動きを規制するための規制手段と、球体の位置を視覚により検知して、被検知物体に加わった加速度に関する情報を判定するための判定手段とを含む。規制手段は、付勢力とは垂直な方向への球体の移動を規制する、筐体内面から球体に向けて設けられた突起部である。突起部は球体の周縁の少なくとも2箇所で球体に接する。このような構成において、球体中心、保持手段の曲面中心および付勢手段の中心とが一致している。
第10の発明によると、第5の発明と同様の構成を有し、特に、球体中心、保持手段の曲面中心および付勢手段の中心とが一致していることが特徴である。このようにすると、車両部品に付勢手段による付勢力と垂直な方向に大きな加速度が加わった場合に、付勢力に抗して球体が動いてしまう。これにより、安価で精度高く被検知物体に加わった加速度を判定することができる車両部品の加速度判定装置を提供することができる。
第11の発明に係る加速度判定装置は、車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、筐体内に設けられた球体と、球体に接する面が曲面で構成され、球体を保持するための保持手段と、保持手段を介して球体を筐体内面に押し付ける付勢力を発生するための付勢手段と、球体と筐体内面との間に設けられた、球体の動きを規制するための規制手段と、球体の位置を視覚により検知して、被検知物体に加わった加速度に関する情報を判定するための判定手段とを含む。規制手段は、付勢力とは垂直な方向への球体の移動を規制する、筐体内面から球体に向けて設けられた突起部である。突起部は球体の周縁の少なくとも2箇所で球体に接する。このような構成において、球体中心、保持手段の曲面中心および付勢手段の中心とが一致していない。
第11の発明によると、第5の発明と同様の構成を有し、特に、球体中心、保持手段の曲面中心および付勢手段の中心とが一致していないことが特徴である。このようにすると、車両部品に付勢手段による付勢力と垂直な方向に大きな加速度が加わった場合のみならず、付勢手段と平行な方向に大きな加速度が加わった場合であっても、平行な方向に大きな加速度により発生する力により、付勢力に抗して球体が動いてしまう。これは、平行な方向に力(たとえば付勢力が鉛直上方に加えられている場合に鉛直下方への加速度が加わって鉛直下方への力)の分力が、球体中心、保持手段の曲面中心および付勢手段の中心とが一致していないことにより、球体を動かすことになるためである。これにより、安価で精度高く被検知物体に加わった加速度を判定することができる車両部品の加速度判定装置を提供することができる。
第12の発明に係る加速度判定装置は、車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、筐体内に設けられた球体と、球体に接する面が曲面で構成され、球体を保持するための保持手段と、保持手段を介して球体を筐体内面に押し付ける付勢力を発生するための付勢手段と、球体と筐体内面との間に設けられた、球体の動きを規制するための規制手段と、球体の位置を視覚により検知して、被検知物体に加わった加速度に関する情報を判定するための判定手段とを含む。規制手段は、付勢力とは垂直な方向への球体の移動を規制する、筐体内面から球体に向けて設けられた少なくとも2つの突起部である。このような構成において、突起部の筐体内面への高さが異なる。
第12の発明によると、第5の発明と同様の構成を有し、特に、規制手段が、付勢力とは垂直な方向への球体の移動を規制する、筐体内面から球体に向けて設けられた少なくとも2つの突起部である。さらに、これら突起部の筐体内面への高さが異なることが特徴である。このようにすると、たとえば付勢力が鉛直上方に加えられている場合において、球体の移動を規制する規制手段の左右の突起部の高さを異なるようにしているので、右方向からの最大許容加速度と左方向からの最大許容加速度とを異なるようにして、最大許容加速度が加わったか否かを判定することができる。これにより、加速度の加わる方向ごとに最大許容加速度を変更することができ、安価で精度高く被検知物体に加わった加速度を判定することができる車両部品の加速度判定装置を提供することができる。
第13の発明に係る加速度判定装置は、車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、筐体内に設けられた、略球体の弾性体と、弾性体に接する面が曲面で構成され、弾性体を保持するための保持手段と、弾性体と筐体内面との間に設けられた、弾性体の動きを規制するための規制手段と、弾性体の位置を視覚により検知して、被検知物体に加わった加速度に関する情報を判定するための判定手段とを含む。規制手段は、付勢力とは垂直な方向への弾性体の移動を規制する、筐体内面から弾性体に向けて設けられた少なくとも2つの突起部である。
第13の発明によると、第5の発明と同様の構成を有するが、第5の発明における球体自身が弾性力を有し、付勢手段を有しない。筐体の下部に付勢手段(バネ等)を設けることなく保持手段(凸の皿状の部材)に略球体の弾性体を金属球の代わりに載せる。略球体の弾性体をその略球体の弾性体と筐体との間(筐体の上部)において規制手段で位置を規制する。このようにすると、上に凸の皿状の部材の上に略球体の弾性体が載せられ、筐体の上部で略球体の弾性体が規制手段により位置が規制されている。略球体の弾性体が規制手段で挟まれている状態において、大きな加速度が加わると加速度の方向に力がかかり、略球体の弾性体は弾性体自身による付勢力(ここでは挟圧力になる)に抗して動いてしまう。一方、加速度が小さいと略球体の弾性体が動かない。このように略球体の弾性体が動いているか、動いていないかを判定手段として設けられた筐体上部の穴から検査者が見て、加速度に関する情報を判定できる。車両部品の種類ごとに許容される最大加速度が異なるので、規制手段と略球体の弾性体との接触面積や略球体の弾性体の質量や弾性力等を変化させることにより、許容される最大加速度以上の加速度を受けた場合にのみ略球体の弾性体が当初の位置からずれるようにしたり、累積加速度が許容値を超えた場合にのみ略球体の弾性体が当初の位置からずれるようにしたりすることができる。さらに付勢手段を必要としないのでさらなるコストダウンを図ることができる。その結果、安価で精度高く被検知物体に加わった加速度を判定することができる車両部品の加速度判定装置を提供することができる。
第14の発明に係る加速度判定装置は、車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、筐体内に設けられた、液体を内包する直方体と、液体を視覚により検知して、被検知物体に加わった加速度に関する情報を判定するための判定手段とを含む。直方体は、筐体により保持される。直方体の少なくとも5つの面は、面の一部が薄膜で形成され、他の一部が薄膜よりも強度の強い部材で形成される。
第14の発明によると、筐体の内部に液体を内包する直方体を設けている。この直方体の少なくとも5つの面には加速度により発生した力により破れる薄膜が設けられている。このようにすると、5つの面に垂直な方向に大きな力(この力は斜めに加った加速度の分力であってもよい)が加わると、その部分の薄膜だけが破れて内包された液体が直方体の外部であって筐体の内部に漏れてしまう。このような場合であっても薄膜以外の部材が薄膜よりも強度を強くしているので直方体自体が破損してしまうことはない。一方、加速度が小さいと薄膜が破れない。このように直方体内の液体が漏れ出てしまっているか、内包されたままであるのかを判定手段として設けられた筐体上部の穴から直方体を見て、加速度に関する情報を判定できる。車両部品の種類ごとに許容される最大加速度が異なるので、薄膜の厚みをや内包される液体の比重等を変化させることにより、許容される最大加速度以上の加速度を受けた場合にのみ薄膜が破れるようにしたり、累積加速度が許容値を超えた場合にのみ薄膜が破れるようにしたりすることができる。その結果、安価で精度高く被検知物体に加わった加速度を判定することができる車両部品の加速度判定装置を提供することができる。
第15の発明に係る加速度判定装置においては、第14の発明の構成に加えて、薄膜は、被検知物体に対して許容された最大加速度を被検知物体が受けた場合に破れて液体が直方体から放出され、被検知物体に対して許容された最大加速度よりも小さい加速度を被検知物体が受けた場合に破れないで液体が直方体から放出されない。部材は、被検知物体に対して許容された最大加速度を被検知物体が受けた場合であっても、液体が直方体から放出されるほどに変形しない。
第15の発明によると、車両部品の最大許容加速度が加わると破れて内包された液体が直方体から放出され、かつ薄膜以外の部材は液体を放出するほどに変形したので、直方体自体の形状が保持される。このようにすると、直方体の部材の色および筐体内部の色と液体の色とを異ならせておいて、判定手段として設けられた筐体の穴部から視覚で液体が放出されたことを確認できる。一方、車両部品の最大許容加速度よりも小さい加速度しか加わらないと薄膜が破れないので、直方体内部に液体が内包されたままの状態になる。その結果、安価で精度高く被検知物体に加わった加速度を判定することができる車両部品の加速度判定装置を提供することができる。
第16の発明に係る加速度判定装置においては、第14または15の発明の構成に加えて、薄膜は、設けられる面によってその厚みが異なる。
第16の発明によると、薄膜の厚みを、設けられる面によって変更しておくので、最大許容加速度が車両部品の方向により異なる場合に、容易に対応することができる。
第17の発明に係る車両部品の搬送用梱包材は、第1〜16のいずれかに記載の加速度判定装置を含む。
第17の発明によると、部品工場から最終車両組立工場に車両部品である被検知物体を搬送する前に、第1〜第17のいずれかに記載の加速度判定装置を含む車両部品の搬送用梱包材を用いて車両部品を梱包する。筐体は車両部品と着脱自在であるため容易に車両部品に取り付けるとともに、車両部品を梱包することができる。この状態でトラック等で部品工場から最終車両組立工場に車両部品を搬送することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る加速度判定装置は、車両を構成する部品や半完成部品に取り付けられて使用される。
図1に、本実施の形態に係る加速度判定装置100の横方向断面図を示す。この図1に示すように、この加速度判定装置100は、略直方体の箱型の外形を有する。加速度判定装置100の外形は、6面の直方体の筐体であって、観察用穴部160を有する筐体上面110と、筐体側面120(5面あり:下面、左右面、紙面手前および奥)とから構成される。観察用穴部160は、筐体上面110に単なる穴部を設けてもよいが、その穴部を透明な(目視可能な)部材で封止してもよい。
この筐体内の底面に付勢部材としてのバネ140が設けられ、そのバネ140の上側には上に凸の形状の曲面を有する曲面保持部材130が設けられ、その曲面保持部材130の上に球体150が載置されている。球体150は、筐体上面110に設けられた規制部材であるリブ(A)110Aおよびリブ(B)110Bでその位置が規制されている。
このリブ(A)110Aおよびリブ(B)110Bの形状は、特に限定されるものではないが、断面形状が丸形状の円筒形状であってもよいし、球体150との接触面を円状に取り囲むドーナツ形状であってもよし、紙面の表裏方向に伸びる直方体であってもよい。このリブ(A)110Aおよびリブ(B)110Bの形状、球体150の大きさ、重さおよび材質、曲面保持部材130の曲率、バネ140のバネ定数については、この加速度判定装置100が取り付けられる車両部品の最大許容加速度(以下、加速度のことをG値と記載する場合がある)に対応して、適宜決定すればよい。なお、本実施の形態においては、リブ(A)110Aおよびリブ(B)110Bの高さは同じである。さらに、球体150の中心線と曲面保持部材130の中心線を一致させている。
以上のような構造を有するので、球体150は、曲面保持部材130との間においては1点で、規制部材であるこのリブ(A)110Aおよびリブ(B)110Bとの間においては少なくとも2点で保持されている。この加速度判定装置100が取り付けられる車両部品の最大許容G値が加わらなければ、少なくとも3点で支持される球体150は移動することがなく、一方、この加速度判定装置100が取り付けられる車両部品の最大許容G値以上のG値が加われば、3点で支持される球体150は移動するように、たとえばバネ140のバネ定数やリブ(A)110Aおよびリブ(B)110Bの高さが決定されている。
図2(A)に示すように、少なくとも3点で支持される球体150は、横方向のG値による力Fが加わると(しかもこのG値は最大許容G値以上であるとすると)、図2(B)に示すように、球体150は、バネ140の付勢力に抗してリブ(B)110Bを乗り越えてしまい、曲面保持部材130の上に載置された状態を維持できないで、筐体内に移動する。このような図2(B)に示す状態では、観察用穴部160から筐体内部を目視すると球体150が見えない。このとき、球体150の色と曲面保持部材130の表面(上面)の色とは異ならせるようにすると目視確認が容易になるので好ましい。
以上のようにして、本実施の形態に係る加速度判定装置100によると、バネの付勢力を用いて少なくとも3点で保持される球体が、所望の位置(曲面保持部材130の上)から移動していなければ、最大許容G値(瞬時値)を受けていないか、最大許容積算許容G値(積算値)を受けていないと、所望の位置(曲面保持部材130の上)から移動していて観察用穴部160から球体150が見えないと、最大許容G値(瞬時値)を受けたか、最大許容積算許容G値(積算値)を受けたと判定することができる。
なお、球体150の材質を金属等の磁性体とした場合には、付勢部材を磁石等にしてもよい。また、球体150も付勢部材も互いに引き付けあう磁石等にしてもよい。また、球体の重心を変心させて、加速度の方向に移動しにくくしたり移動しやすくしてもよい。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、球体の中心線と上に凸の皿上の曲面保持部材の中心線を一致させないで、横方向Gのみならず縦方向Gに対しても球体がずれるようにしたものである。なお、前述の第1の実施の形態において説明した加速度判定装置と同様の構成については同じ符号を付してある。それらは同じ構成である。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態における加速度判定装置200は、図1における球体150の中心線と曲面保持部材130の中心線を一致させていないのが特徴である。
図3に示すように、球体150の中心線は、曲面保持部材230およびバネ240の中心線(ここでは曲面保持部材230の中心線およびバネ240の中心線は一致させている)とをずらしている。このずれ量は、縦方向に加わる最大許容G値に対応させて、球体150の大きさ、曲面保持部材230の曲率およびバネ240のバネ定数に基づいて決定される。
図4(A)に示すように、少なくとも3点で支持される球体150は、縦方向のG値による力Fが加わると(しかもこのG値は最大許容G値以上であるとすると)、図4(B)に示すように、曲面保持部材230を球体150が滑り落ちる方向の分力F(2)を生じる。この分力F(2)の大きさが、球体150の大きさ、曲面保持部材230の曲率およびバネ240のバネ定数により決定される球体150の静止摩擦力以上である。このため、図4(B)に示すように、球体150は、バネ240の付勢力に抗してリブ(A)110Aを乗り越えてしまい、曲面保持部材230の上に載置された状態を維持できないで、筐体内に移動する。このような図4(B)に示す状態では、観察用穴部160から筐体内部を目視すると球体150と曲面保持部材240とが見える。
以上のようにして、本実施の形態に係る加速度判定装置100によると、バネの付勢力を用いて少なくとも3点で保持される球体150が、縦方向の加速度を受けた場合において、所望の位置(曲面保持部材130の上)から移動していなければ、最大許容G値(瞬時値)を受けていないか、最大許容積算許容G値(積算値)を受けていないと、所望の位置(曲面保持部材130の上)から移動していて観察用穴部160から球体150の全てが見えないと、最大許容G値(瞬時値)を受けたか、最大許容積算許容G値(積算値)を受けたと判定することができる。
なお、図4(B)には、リブ(A)110Aにより球体150が保持されている状態を示したが、図2(B)と同様に、バネ140の付勢力に抗してリブ(A)110Aを乗り越えてしまい、曲面保持部材230の上に載置された状態を維持できないで、筐体内に移動することもある。
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、球体を筐体の上部で保持する規制部材の左右の高さを一致させないで、左右方向で異なる最大許容G値が異なる場合に対応するものである。なお、前述の第1の実施の形態において説明した加速度判定装置と同様の構成については同じ符号を付してある。それらは同じ構成である。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態における加速度判定装置300は、図1におけるリブ(A)110Aおよびリブ(B)110Bの高さを異ならせているのが特徴である。
図5に示すように、筐体上面310に一体的に設けられた、右側のリブ(B)310Bは左側のリブ(A)310Aよりも高さが高い。これは、この加速度判定装置300が取り付けられる車両部品の最大許容G値が左右で異なることに対応している。図5に示す加速度判定装置300においては、右方向の最大許容G値が左方向の最大許容G値よりも大きい。そのため、右側のリブ(B)310Bの高さを高くしてより大きな加速度が加わった場合に球体150が乗り越えるようにしている。
以上のようにして、本実施の形態に係る加速度判定装置300によると、バネの付勢力を用いて少なくとも3点で保持される球体150が、横方向であって紙面の右方向から左方向への加速度を受けた場合には、小さな加速度であっても、所望の位置(曲面保持部材130の上)から移動して、横方向であって紙面の左方向から右方向への加速度を受けた場合には、大きな加速度でなければ、所望の位置(曲面保持部材130の上)から移動しない。このように、左右方向で異なる最大許容G値を有する車両部品であっても、それぞれの許容G値に対応させて加わった加速度を判定することができる。
<第4の実施の形態>
以下、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、付勢部材であるバネを用いないで、略球状の弾性体を球体の代わりに用いるものである。なお、前述の第1の実施の形態において説明した加速度判定装置と同様の構成については同じ符号を付してある。それらは同じ構成である。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態における加速度判定装置400は、図1におけるバネ140を用いないで、球体150の代わりに略球状(略球体)の弾性体450を設けたのが特徴である。
図6に示すように、曲面保持部材130の上に略球状の弾性体450が載置される。曲面保持部材130の下側には付勢部材であるバネは設けられない。
なお、曲面支持部材130の中心線と略球状の弾性体450の中心線とは、第1の実施の形態のように、一致させてある。なお、第2の実施の形態のように、曲面支持部材130の中心線と略球状の弾性体450の中心線を一致させないようにしてもよい。
また、規制部材であるリブ(A)110Aおよびリブ(B)110Bは、第1の実施の形態のように、それらの高さは同じである。ただし、第3の実施の形態のように、リブ(A)110Aおよびリブ(B)110Bの高さを異なるようにしてもよい。
図6に示すように、略球状の弾性体450は、上柄に凸の形状を有する曲面保持部材130に載置されるとともに、協体上面110に一体的に設けられた規制部材であるリブ(A)110Aおよびリブ(B)110Bによりその位置が規制されている。略球状の弾性体450自体が弾性力を有する。
このように少なくとも3点で支持される略球状の弾性体450は、横方向のG値による力Fが加わると(しかもこのG値は最大許容G値以上であるとすると)、略球状の弾性体450は、それ自体の弾性力に抗して規制部材であるリブ(A)110Aまたはリブ(B)110Bを乗り越えてしまい、曲面保持部材130の上に載置された状態を維持できないで、筐体内に移動する。このような状態では、観察用穴部160から筐体内部を目視すると略球状の弾性体450が見えない。このとき、略球状の弾性体450の色と曲面保持部材130の表面(上面)の色とは異ならせるようにすると目視確認が容易になるので好ましい。
以上のようにして、本実施の形態に係る加速度判定装置400によると、バネを用いないのでさらなるコストダウンを実現できる。略球状の弾性体450が、所望の位置(曲面保持部材130の上)から移動していなければ、最大許容G値(瞬時値)を受けていないか、最大許容積算許容G値(積算値)を受けていないと、所望の位置(曲面保持部材130の上)から移動していて観察用穴部160から略球状の弾性体450が見えないまたは略球状の弾性体450がずれて見えると、最大許容G値(瞬時値)を受けたか、最大許容積算許容G値(積算値)を受けたと判定することができる。
<第5の実施の形態>
以下、本発明の第5の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、球体や略球状の弾性部材ではなく、壁面に薄膜を設けた直方体に液体を内包したものである。
図7に、本実施の形態に係る加速度判定装置100の横方向断面図を示す。この図7に示すように、この加速度判定装置500は、略直方体の箱型の外形を有する。加速度判定装置500の外形は、6面の直方体の筐体であって、観察用穴部560を有する筐体上面510と、筐体側面の薄膜保持部520(5面あり:下面の薄膜保持部520Bおよび下面の薄膜保持部520C、右側面の薄膜保持部520A、左側面の薄膜保持部520D、紙面手前および奥)とから構成される。この筐体側面の右側面の薄膜保持部520Aの一部には薄膜530Aが、下面の薄膜保持部520Bおよび下面の薄膜保持部520Cの一部には薄膜530Bが、左側面の薄膜保持部520Dの一部には薄膜530C、図示しないが紙面手前側の側面の一部には薄膜が、図示しないが紙面奥側の側面の一部には薄膜が、それぞれ設けられている。
本実施の形態においては、この薄膜530A、薄膜530B、薄膜530C、紙面手前側の側面の一部の薄膜および紙面奥側の側面の一部の薄膜の厚みは、全て同じであるとする。この薄膜、筐体側面および筐体上面で構成される直方体の内部には、筐体内面の色とは異なる色の液体が内包されている。
この加速度判定装置500が取り付けられる車両部品の最大許容G値が加わらなければ、薄膜が破れることがなく、筐体もその形状を維持し、一方、この加速度判定装置500が取り付けられる車両部品の最大許容G値以上のG値が加われば、薄膜が破れて直方体に内包された液体が放出され、、筐体はその形状を維持するように、たとえば薄膜の厚みや筐体の強度や液体の比重が決定されている。
図8(A)に示すように、横方向のG値による力Fが加わると(しかもこのG値は最大許容G値以上であるとすると)、図8(B)に示すように、筐体右側面の薄膜保持部520Aの一部に設けられた薄膜530Aが破れて内包された液体が放出される。このような図8(B)に示す状態では、観察用穴部560から筐体内部を目視すると液体が見えない。なお、観察用穴部560は、筐体上面110に設けた穴部に透明な(目視可能な)部材で封止している。
以上のようにして、本実施の形態に係る加速度判定装置500によると、薄膜を用いた壁面を有する直方体の内部に液体を内包しておいて、液体が直方体内に内包されていれば、最大許容G値(瞬時値)を受けていないか、最大許容積算許容G値(積算値)を受けていないと、液体が直方体内に内包されていなくて観察用穴部560から液体が見えないと、最大許容G値(瞬時値)を受けたか、最大許容積算許容G値(積算値)を受けたと判定することができる。
<第6の実施の形態>
以下、本発明の第6の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、第5の実施の形態における薄膜の厚みを変更しているものものである。なお、前述の第6の実施の形態において説明した加速度判定装置と同様の構成については同じ符号を付してある。それらは同じ構成である。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態における加速度判定装置600は、図8における薄膜の厚みを異ならせているのが特徴である。
図9に示すように、この加速度判定装置600は、略直方体の箱型の外形を有する。加速度判定装置600の外形は、6面の直方体の筐体であって、筐体側面の薄膜保持部520(5面あり:下面の薄膜保持部520Bおよび下面の薄膜保持部520C、右側面の薄膜保持部520A、左側面の薄膜保持部520D、紙面手前および奥)とから構成される。この筐体側面の右側面の薄膜保持部520Aの一部には最も厚い薄膜630Aが、下面の薄膜保持部520Bおよび下面の薄膜保持部520Cの一部には次に厚い薄膜630Bが、左側面の薄膜保持部520Dの一部には最も薄い薄膜630Cが、それぞれ設けられている。なお、図示しないが紙面手前側の側面の一部および紙面奥側の側面の一部にもそれぞれ厚みを変更した薄膜が設けられている。
これは、たとえば、この加速度判定装置600が取り付けられる車両部品の最大許容G値が左右で異なることに対応している。図9に示す加速度判定装置600においては、右方向の最大許容G値が左方向の最大許容G値よりも大きい。そのため、薄膜630Aの厚みは薄膜630Cの厚みよりも厚くしている。
以上のようにして、本実施の形態に係る加速度判定装置600によると、たとえば、横方向であって紙面の右方向から左方向への加速度を受けた場合には、小さな加速度であっても、薄膜630Cが破れて内包された液体が放出され、横方向であって紙面の左方向から右方向への加速度を受けた場合には、大きな加速度でなければ、薄膜630Aが破れないで内包された液体が放出されない。このように、左右方向で異なる最大許容G値を有する車両部品であっても、それぞれの許容G値に対応させて加わった加速度を判定することができる。
<第7の実施の形態>
以下、本発明の第7の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前述の第1〜6の実施の形態に係る加速度判定装置(以下、上述した加速度判定装置100〜600を包含して加速度判定装置と記載する)を用いた車両部品の搬送方法である。
単一部品または単一部品を組み立てた半完成部品や完成部品(以下、これらの単一部品、単一部品を組み立てた半完成部品、完成部品を単に車両部品と記載する)を、最終車両組み立て工場に、トラック等で搬送する前に、加速度判定装置を車両部品に取り付ける。このとき、筐体は車両部品に着脱自在であるので、容易に車両部品に取り付けることができる。
このように加速度判定装置が取り付けられた車両部品をトラック等に積み込んで、部品工場から最終車両組立工場に搬送する。最終車両組立工場においては、加速度判定装置が取り付けられた車両部品をトラックから荷降ろしする。荷降ろし後の検査場において、検査者が観察用穴部から球体や略球状の弾性体や液体が所望の状態であるか否かを視覚で確認する。これにより、車両部品に加わった加速度に関する情報を取得する。この情報には、最大許容加速度が瞬時に加わったか否か、最大許容積算加速度が搬送中に加わったか否か等の、車両部品に加わった加速度の履歴情報である。
所望の状態でない加速度判定装置が取り付けられた車両部品は、不良品として最終組み立て工場にて使用しないで、所望の状態である加速度判定装置が取り付けられた車両部品は、良品として最終組み立て工場にて使用する。このときに、筐体は車両部品と着脱自在であるため最終組み立て工場で車両部品を車両に組付けるときには容易に取り外すことができる。
これにより、トラック等で製造工場間を搬送される車両部品が搬送途中において許容最大衝撃値(加速度、G値)以上の衝撃を受け、その車両部品を構成する一部の部材が破損して、その車両部品の本来の機能に欠陥が生じている等の場合には、車両に組み付けられない。その結果、安価で精度高く被検知物体に加わった加速度を判定することができる車両部品の加速度判定装置を用いた車両部品の搬送方法を提供することができる。
上述したように、本発明の全ての実施の形態においては、電気的な記憶素子(メモリ、電子タグ、ICチップ等の電気的な記憶手段)を使用していない。さらに、電気的な信号も、その電気的な信号を処理する装置(CPU)も、それらの電源も使用していない。このため、極めて安価に、車両部品の搬送中に加わった加速度を判定することができる。
また、搬送用梱包材に、このような車両部品の加速度判定装置を含むようにすると、車両部品の搬送時の梱包材により搬送時に加わった加速度を安価に判定することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の第1の実施の形態に係る加速度判定装置の断面図である。 図1の加速度判定装置の作用を説明する図である。 本発明の第2の実施の形態に係る加速度判定装置の断面図である。 図3の加速度判定装置の作用を説明する図である。 本発明の第3の実施の形態に係る加速度判定装置の断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る加速度判定装置の断面図である。 本発明の第5の実施の形態に係る加速度判定装置の断面図である。 図7の加速度判定装置の作用を説明する図である。 本発明の第6の実施の形態に係る加速度判定装置の断面図である。
符号の説明
100,200,300,400,500,600 加速度判定装置、110,310,510 筐体上面、110A,310A リブ(A)、110B,310B リブ(B)、120 筐体側面、130,230 曲面保持部材、140,240 バネ、150 球体、160,560 観察用穴部、450 略球状弾性体、520A,520B,520C,520D 薄膜保持部、530A,530B,530C,630A,630B,630C 薄膜。

Claims (17)

  1. 車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、
    前記筐体内に設けられ、前記被検知物体に加わった加速度に関する情報を視覚により判定するための判定手段とを含む、加速度判定装置。
  2. 車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、
    前記筐体内に設けられ、電気的な記憶手段を用いないで、前記被検知物体に加わった加速度に関する情報を視覚により判定するための手段とを含む、加速度判定装置。
  3. 前記判定手段は、前記被検知物体の最大許容加速度が、前記被検知物体に加わったか否かについて判定するための手段を含む、請求項1または2に記載の加速度判定装置。
  4. 前記判定手段は、前記被検知物体に加わった加速度の履歴について判定するための手段を含む、請求項1または2に記載の加速度判定装置。
  5. 車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、
    前記筐体内に設けられた球体と、
    前記球体を保持するための保持手段と、
    前記保持手段を介して前記球体を前記筐体内面に押し付ける付勢力を発生するための付勢手段と、
    前記球体と前記筐体内面との間に設けられた、前記球体の動きを規制するための規制手段と、
    前記球体の位置を視覚により検知して、前記被検知物体に加わった加速度に関する情報を判定するための判定手段とを含む、加速度判定装置。
  6. 前記規制手段は、前記被検知物体に対して許容された最大加速度を前記被検知物体が受けた場合に前記付勢力に抗して前記被検知物体が移動して、前記被検知物体に対して許容された最大加速度よりも小さい加速度を前記被検知物体が受けた場合に前記被検知物体が移動しないように、前記球体の動きを規制するための手段を含む、請求項5に記載の加速度判定装置。
  7. 前記規制手段は、前記付勢力とは垂直な方向への前記球体の移動を規制するために、前記筐体内面から前記球体に向けて設けられた突起部であって、前記突起部は前記球体の周縁の少なくとも2箇所で前記球体に接する、請求項6に記載の加速度判定装置。
  8. 前記判定手段は、球体の位置を視覚により検知するために、前記筐体に設けられた穴部である、請求項5〜7のいずれかの記載の加速度判定装置。
  9. 前記保持手段は、前記球体に接する面が曲面で構成される部材である、請求項5〜8のいずれかに記載の加速度判定装置。
  10. 車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、
    前記筐体内に設けられた球体と、
    前記球体に接する面が曲面で構成され、前記球体を保持するための保持手段と、
    前記保持手段を介して前記球体を前記筐体内面に押し付ける付勢力を発生するための付勢手段と、
    前記球体と前記筐体内面との間に設けられた、前記球体の動きを規制するための規制手段と、
    前記球体の位置を視覚により検知して、前記被検知物体に加わった加速度に関する情報を判定するための判定手段とを含み、
    前記規制手段は、前記付勢力とは垂直な方向への前記球体の移動を規制する、前記筐体内面から前記球体に向けて設けられた突起部であって、前記突起部は前記球体の周縁の少なくとも2箇所で前記球体に接し、
    前記球体中心、前記保持手段の曲面中心および前記付勢手段の中心とが一致している、加速度判定装置。
  11. 車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、
    前記筐体内に設けられた球体と、
    前記球体に接する面が曲面で構成され、前記球体を保持するための保持手段と、
    前記保持手段を介して前記球体を前記筐体内面に押し付ける付勢力を発生するための付勢手段と、
    前記球体と前記筐体内面との間に設けられた、前記球体の動きを規制するための規制手段と、
    前記球体の位置を視覚により検知して、前記被検知物体に加わった加速度に関する情報を判定するための判定手段とを含み、
    前記規制手段は、前記付勢力とは垂直な方向への前記球体の移動を規制する、前記筐体内面から前記球体に向けて設けられた突起部であって、前記突起部は前記球体の周縁の少なくとも2箇所で前記球体に接し、
    前記球体中心、前記保持手段の曲面中心および前記付勢手段の中心とが一致していない、加速度判定装置。
  12. 車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、
    前記筐体内に設けられた球体と、
    前記球体に接する面が曲面で構成され、前記球体を保持するための保持手段と、
    前記保持手段を介して前記球体を前記筐体内面に押し付ける付勢力を発生するための付勢手段と、
    前記球体と前記筐体内面との間に設けられた、前記球体の動きを規制するための規制手段と、
    前記球体の位置を視覚により検知して、前記被検知物体に加わった加速度に関する情報を判定するための判定手段とを含み、
    前記規制手段は、前記付勢力とは垂直な方向への前記球体の移動を規制する、前記筐体内面から前記球体に向けて設けられた少なくとも2つの突起部であって、前記突起部の筐体内面への高さが異なる、加速度判定装置。
  13. 車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、
    前記筐体内に設けられた、略球体の弾性体と、
    前記弾性体に接する面が曲面で構成され、前記弾性体を保持するための保持手段と、
    前記弾性体と前記筐体内面との間に設けられた、前記弾性体の動きを規制するための規制手段と、
    前記弾性体の位置を視覚により検知して、前記被検知物体に加わった加速度に関する情報を判定するための判定手段とを含み、
    前記規制手段は、前記付勢力とは垂直な方向への前記弾性体の移動を規制する、前記筐体内面から前記弾性体に向けて設けられた少なくとも2つの突起部である、加速度判定装置。
  14. 車両部品である被検知物体に対して着脱自在な筐体と、
    前記筐体内に設けられた、液体を内包する直方体と、
    前記液体を視覚により検知して、前記被検知物体に加わった加速度に関する情報を判定するための判定手段とを含み、
    前記直方体は、前記筐体により保持され、
    前記直方体の少なくとも5つの面は、面の一部が薄膜で形成され、他の一部が前記薄膜よりも強度の強い部材で形成される、加速度判定装置。
  15. 前記薄膜は、前記被検知物体に対して許容された最大加速度を前記被検知物体が受けた場合に破れて前記液体が前記直方体から放出され、前記被検知物体に対して許容された最大加速度よりも小さい加速度を前記被検知物体が受けた場合に破れないで前記液体が前記直方体から放出されないで、
    前記部材は、前記被検知物体に対して許容された最大加速度を前記被検知物体が受けた場合であっても、前記液体が前記直方体から放出されるほどに変形しない、請求項14に記載の加速度判定装置。
  16. 前記薄膜は、設けられる面によってその厚みが異なる、請求項14または15に記載の加速度判定装置。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の加速度判定装置を含む、車両部品の搬送用梱包材。
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