JP2006278670A - 太陽電池光発電システム設計支援方法および太陽電池光発電システム装置ならびにその方法を実行させるプログラムおよびその記録媒体 - Google Patents

太陽電池光発電システム設計支援方法および太陽電池光発電システム装置ならびにその方法を実行させるプログラムおよびその記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】複数方向に配置された異なる複数の屋根面に設置される太陽光発電システムに対しても、効率が高く、システム価格が安いシステムの電気構成を容易かつ速やかで、どのようなシステムに対しても画一的に決定できる太陽光発電システム設計支援方法等を提供する。
【解決手段】構成機器の製品仕様情報を取得する工程と、太陽電池モジュールの設置面への配置情報を取得する工程と、前記機器情報及び/または前記配置情報に基づいて各設置面の太陽電池モジュールを直列接続可能なモジュール群に分割する工程と、前記機器情報及び/または前記配置情報に基づいて前記各設置面で分割したモジュール群を複数方向に配置された屋根面に亘って組み合わせる工程と、該モジュール群の組合せが電気的に成立可能かを判定し構成部材の算出と価格の算出を行う工程と、該算出した結果の一つまたは複数を出力する工程と、を備えたことを特徴とする太陽光発電システム設計支援方法。
【選択図】 図4

Description

本発明は、建築物の屋根等に設置する太陽電池モジュールの電気的構成を最適に組合せるための設計支援装置および方法ならびにその方法を実行させるプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体に関する。
太陽光発電システムは、太陽光を受光することによって、光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。太陽光発電システムは、発電時に二酸化炭素などを発生せず、他の発電装置に比べて周囲の環境への影響が少なく、クリーンな発電装置として用いられている。近年の環境問題の意識の高まりとともに、公共建築物だけでなく、住宅の屋根に設置できるものが提案され普及が進みつつある。太陽光発電システムの最も重要な構成要素である太陽電池モジュールは、住宅の屋根に設置する場合、日照量の低いたとえば北側の屋根面を除く全ての屋根面に対し、最大限配置されることが多く、数個〜百数十個が組合わされて構成される。
また、太陽光発電システムに用いられる太陽電池モジュールは、半導体素子から成る太陽電池素子が十数個〜数十個組合わされて構成される。太陽電池モジュールは、製造工場で予め構成された状態で施工現場に搬送される。太陽電池モジュールは、施工現場において、設置される建造物の形状に応じて前述の数量が組合わされて太陽光発電システムを構成する。このように複数の太陽電池モジュールを建物の屋根に設置する場合には、既設の屋根上に架台や固定用部材を設置し、その上に太陽電池モジュールを固定する方法や、太陽電池モジュールを瓦などと一体化したものを屋根に設置する技術や屋根面に設置される屋根材の一部を太陽電池モジュールで置換え可能にしたものなどが提案されている。
屋根に配設された太陽電池モジュールは、その非受光面側から発電電力を取り出す構造になっており、太陽電池モジュールどうしはケーブル等の配線部材により互いに接続されている。また、このケーブル等の終端部は、一般的には、接続箱と呼ばれるケース内に収容された並列接続を行なうための端子台等に接続されるか、あるいは、昇圧ユニットと呼ばれる電圧変換装置を介して接続箱の端子台に接続される。そして、この接続箱で並列接続された太陽電池モジュール群の直流出力は、例えばインバータやパワーコンディショナ等といった電力変換手段によって、交流に変換されて建物内の負荷装置で使用されたり、電力会社に逆潮流される。また、接続箱、昇圧ユニットの機能がパワーコンディショナに内蔵されているものもある。
このように、太陽光発電システムはその構成要素に応じた発電を行い、さらに負荷への給電を行うものであるが、例えば、図6のように適当な種類の太陽電池モジュールを、建物の屋根面の形状に適応して設置させようとする場合、最適な太陽光発電システムを構成する各種構成要素の選択及びそれらの配置態様、支持方式などの機構的な条件だけでなく、太陽電池モジュールどうしの配線や電気的な構成等についても考慮しなければならない。
屋根面を構成する屋根材は多種多様であり、これら屋根材の種類に応じて、任意の太陽電池モジュールを対応させ、太陽光発電システムの構成を自動的に最適化すると同時に、電気的な構成を自動的に最適化する装置が望まれる。
すなわち、多様な形状をした屋根面に対応するため複数のサイズの太陽電池を用い、自由な系統分けを行うために電圧変換装置を用いて太陽光発電システムの電気的な構成を考えると、例えば、その一例が図11に示すような構成である。サイズの異なる太陽電池では、通常、電圧が異なるため接続箱に並列接続される系統の電圧をそろえるためには、単純に太陽電地の枚数のみで判断できず、接続の順序を考慮して各系統の電圧をチェックする必要がある。また、電圧変換装置の入出力条件など種々の電気的な条件を考慮して電気的構成を検討する必要がある。このことは、太陽電池の屋根面への配置の自由度を上げれば上げるほど複雑になるが、日本の住宅事情を鑑みると配置の自由度をあげることが望まれている。このような背景から、図11に示すような電気的な構成をより簡便に検討する方法の考案が望まれている。
そこで、太陽電池モジュールに関する情報を取得する太陽電池モジュール情報取得手段と、第1の入力端子と、第1の入力端子より換電効率が低く、入力可能電力の上限値が第1の入力端子の下限値より低い入力可能電力範囲を有する第2の入力端子とを備える複数種類のパワーコンディショナに関する情報を取得するパワーコンディショナ情報取得手段と、設置面における太陽電池モジュールの配置情報を取得する設置太陽電池モジュール配置情報取得手段と、配置する全ての太陽電池モジュールの出力電力を入力するために必要な前記第1および第2の入力端子の数を決定する系統数仮決定手段と、前記系統数仮決定手段で決定された前記第1および第2の入力端子への入力電力値を各入力端子の入力可能電力範囲内で決定する系統容量仮決定手段と、接続するパワーコンディショナの台数と種類を決定するパワーコンディショナ仮決定手段と、前記系統容量仮決定手段で決定した前記第1および第2の入力端子への入力電力に適合した電力を出力する系統を構成する太陽電池モジュールの組合せを決定する系統分解候補仮決定手段と、前記系統分解候補仮決定手段で決定された太陽電池モジュールの組合せと、前記パワーコンディショナ仮決定手段で決定されたパワーコンディショナに関する情報とを出力する結果出力手段とを備えることを特徴とする第1の従来技術が提案されている。(特許文献1参照)
また、とりあげた屋根面に搭載される太陽電池モジュール枚数を標準直列枚数で除し、太陽電池モジュールブロック並列数と余り太陽電池モジュール枚数を算出し、該余り太陽電池モジュール枚数が昇圧ユニットにより接続可能かどうかにより、そのような電気的構成が可能かどうかを判定することを特徴とする第2の従来技術が提案されている。(特許文献2参照)
特開2003−142704号公報 特開2004−143912号公報(〜)
上記の第1の従来技術の太陽光発電システム設計支援装置では、設置面が1面か同一方位かつ同一勾配の複数面である場合に適用可能であるが、方位または勾配のいずれかが異なる複数の屋根面に対しては適用できない。
また、第2の従来技術の場合、方位または勾配のいずれかが異なる複数の屋根面に対しても対応可能であるが、複数種の太陽電池モジュールを使用する太陽光発電システムへの適用は容易ではない。
そこで、本発明の目的は屋根面積が比較的小さく、屋根形状の複雑な日本の住宅事情に鑑み、比較的面積の小さな複数種の太陽電池モジュールを組み合わせて配置される太陽光発電システムおよび方位または勾配のいずれかが異なる複数の屋根面に設置される太陽光発電システムに対しても、効率が高く、システム価格が安いシステムの電気構成を容易かつ速やかで、どのようなシステムに対しても画一的に決定できる太陽光発電システムの電気構成設計支援方法および装置ならびにその方法を実行させるプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体を提供することである。
本発明の太陽光発電システム設計支援方法は、構成機器の製品仕様情報を取得する機器情報取得工程と、太陽電池モジュールの設置面への配置情報を取得する太陽電池配置情報取得工程と、前記機器情報及び/または前記配置情報に基づいて各設置面の太陽電池モジュールを直列接続可能なモジュール群に分割する系統分け工程と、前記機器情報及び/または前記配置情報に基づいて前記各設置面で分割したモジュール群を複数方向に配置された屋根面に亘って組み合わせる系統分け組み合わせ工程と、該モジュール群の組合せが電気的に成立可能かを判定し構成部材の算出と価格の算出を行う電気構成算出工程と、該電気構成算出工程の結果の一つまたは複数を出力する結果出力工程と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の太陽光発電システム設計支援方法は、太陽電池配置情報取得工程により取得した配置情報の範囲で、実際に設置する太陽電池モジュールの定格出力の合計値を指定する希望容量指定工程を有することを特徴とする。
また、本発明の太陽光発電システム設計支援方法は、前記希望容量指定工程で指定する希望容量の指定を設置面ごとに行うことを特徴とする。
また、本発明の太陽光発電システム設計支援方法は、電気構成算出工程において前記希望容量指定工程で指定した希望容量を満たす電気的構成を算出する際に、全ての系統において電圧調整装置を用いずに電気的構成を算出することを特徴とする。
また、本発明の太陽光発電システム設計支援方法は、前記機器情報取得工程により取得した機器情報が、構成機器の定格値情報を少なくとも含んでいることを特徴とする。
また、本発明の太陽光発電システム設計支援方法は、前記定格値情報が、太陽電池モジュールの最大出力、開放電力、最大電力動作電流、パワーコンディショナの定格入力電力、入力電圧範囲、入力電流上限値を少なくとも含んでいることを特徴とする。
また、本発明の太陽光発電システム設計支援装置は、構成機器の製品仕様情報を取得する機器情報取得手段と、太陽電池モジュールの配置情報を取得する太陽電池配置情報取得手段と、前記機器情報及び/または前記配置情報に基づいて各設置面の太陽電池モジュールを直列接続可能なモジュール群に分割する系統分け手段と、前記機器情報及び/または前記配置情報に基づいて前記各設置面で分割したモジュール群を複数方向に配置された屋根面に亘って組み合わせる系統分け組み合わせ手段と、該モジュール群の組合せが電気的に成立可能かを判定し構成部材の算出と価格の算出を行う電気構成算出手段と、該電気構成算出手段の結果の一つまたは複数を出力する結果出力手段と、を少なくとも有することを特徴とする。
また、本発明の太陽光発電システム設計支援装置は、太陽電池配置情報取得手段により取得した配置情報の範囲で、実際に設置する太陽電池モジュールの定格出力の合計値を指定する希望容量指定手段を有することを特徴とする。
また、本発明の太陽光発電システム設計支援装置は、前記希望容量指定手段で指定する希望容量の指定を設置面ごとに行うことを特徴とする。
また、本発明の太陽光発電システム設計支援装置は、電気構成算出手段において前記希望容量指定手段で指定した希望容量を満たす電気的構成を算出する際に、全ての系統において電圧調整装置を用いずに電気的構成を算出することを特徴とする。
また、本発明の太陽光発電システム設計支援装置は、前記機器情報取得手段により取得した機器情報が、構成機器の定格値情報を少なくとも含んでいることを特徴とする。
また、本発明の太陽光発電システム設計支援装置は、前記定格値情報が、太陽電池モジュールの最大出力、開放電力、最大電力動作電流、パワーコンディショナの定格入力電力、入力電圧範囲、入力電流上限値を少なくとも含んでいることを特徴とする。
また、本発明は、上記太陽光発電システム設計支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
また、本発明は前記プログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体である。
本発明に従えば、太陽光発電システムを構成する1つまたは複数の設置面に設置される1または複数種の太陽電池モジュール、パワーコンディショナおよびその他電気的構成部材の最適な構成を迅速かつ容易に決定する太陽光発電システム設計支援方法をコンピュータで実行することができる。
本発明の太陽電池光発電システム設計支援方法および装置ならびにその方法を実行させるプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体を利用することにより、屋根面積が比較的小さく、屋根形状の複雑な日本の住宅おいて、比較的面積の小さな複数種の太陽電池モジュールを組み合わせて配置される太陽光発電システムおよび複数方向に配列された複数の屋根面(方位または勾配のいずれかが異なる複数の屋根面のこと)に設置される太陽光発電システムに対しても、効率が高く、システム価格が安いシステムの電気構成を容易かつ速やかで、どのようなシステムに対しても画一的に設計することができる。
さらに、希望容量指定工程を有する本発明の太陽電池光発電システムの電気構成設計支援方法および装置ならびにその方法を実行させるプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体を利用することにより、お客様の要望により近い太陽光発電システムの電気的構成を設計することができる。
以下に、本発明に係る太陽光発電システム設計支援方法の実施形態の一例を模式的に図示した図面に基づいて説明する。なお、既に説明した同様な構成部材には、同一符号を付すものとし重複した説明を省略する。
図1に、機器情報(例えば、太陽電池モジュールの最大出力、開放電圧、最大電力動作電流やパワーコンディショナの定格入力電力、入力電圧範囲、入力電流上限や接続箱の回路数、入力電流上限や昇圧ユニット(電圧調整装置)の入力電圧範囲、入力電力上限、昇圧比可能範囲、接続可能台数の情報)と太陽電池に関する配置情報(例えば、太陽電池モジュールの配置態様)に基づいて、パーソナルコンピュータやネットワークに接続された端末等を用いて、太陽光発電システムの最適な電気的構成を算出し、太陽電池発電システムの電気構成要素の種類及び/または数量を、前記電気構成要素のコスト及び/または発電効率を最適化して、モニタ画面や印刷媒体等へ表示出力を行ない、太陽光発電システムの販売活動及び施工に必要な情報を提供するための太陽光発電システムの設計支援方法の概略フローチャートを示す。
この設計支援方法は、手作業でも実行可能であるが、上記フローチャートに従ったプログラムにすることによってコンピュータで実行可能である。また、該プログラムは例えばCD−ROMやDVD等のディスクメモリ等の記憶媒体に格納されていてもよく、また、この記憶媒体はコンピュータ本体と入出力インターフェースを介して接続されている外部記憶手段としてもよい。
また、本発明に係る太陽電池モジュールは、例えば太陽電池素子(セル)の複数を直列及び/または並列に接続したものとするが、太陽電池素子は単結晶、多結晶、微結晶、アモルファス、化合物半導体等いずれから成るものでよい。そして、これら太陽電池素子は例えば樹脂材料などの封止材中に配設され、さらに受光面となるガラスや樹脂等から成るフロントカバーと、樹脂、セラミックス、または金属材料等から成る裏面カバーとで挟んだ構造としている。また、太陽電池モジュールの外周部に金属材料等から成る枠体を設けてもよい。
以下に、本発明に係る太陽光発電システム設計支援方法の実施例の詳細を示す。
図1に示す機器情報取得工程101で取得する情報は、太陽光発電システムの電気的な構成に必要な機器、例えば、太陽電池モジュール、パワーコンディショナ、接続箱、昇圧ユニット、延長ケーブル、渡りケーブルに関して表1〜4に示したような電気特性および規格であり、太陽電池モジュールの最大出力、開放電圧、最大電力動作電流やパワーコンディショナの定格入力電力、入力電圧範囲、入力電流上限や接続箱の回路数、入力電流上限や昇圧ユニット(電圧調整装置)の入力電圧範囲、入力電力上限、昇圧比可能範囲を含んでいる。なお、表1は太陽電池モジュールの電気的仕様の一例を示した表、表2はパワーコンディショナの電気的仕様の一例を示した表、表3は接続箱の電気的仕様の一例を示した表、表4は昇圧ユニットの電気的仕様の一例を示した表である。
Figure 2006278670
Figure 2006278670
Figure 2006278670
Figure 2006278670
また、太陽電池配置情報取得工程102で取得する情報は、本発明の要素ではないところで検討された設置面に太陽電池モジュールをどのように配置するかの情報である。図示すると図2のような情報であるが、コンピュータ上で扱う場合は、位置情報と太陽電池モジュールの種類を数値化した情報でもよい。あるいは、図3に示したイメージのように太陽電池モジュールの電気的な接続の順序を示す情報であってもよい。
次に、系統分け工程103では図3に示すような太陽電池モジュールの電気的な接続の順序を決定し、以下の手順に従って分割可能な全ての系統分けをリストアップする。図3では屋根面1に大小2種類の太陽電池モジュール2a、2bが合わせて30台が配置されている。この2種類の太陽電池モジュール2a、2bを表1に示すSU60とSU45とし、矢印で示した順に全ての太陽電池モジュール2を接続するとその両端の開放電圧は280Vになる。
次に、これらの太陽電池モジュールをいくつの系統(直列接続する太陽電池モジュール群)に分割するかを表5の基準に従って決定する。表5は複数の屋根面に設置された太陽光発電システムにおいて太陽電池モジュールの各面の系統数と系統最低電圧の一例を示す表である。
Figure 2006278670
表5を見ると開放電圧144〜300Vの範囲では、最少系統数が1、最大系統が2、各系統の最低電圧が60Vである。したがって、各系統が60V以上になるように1系統または2系統に分割する。さらに次に示す規則に従って系統に分割することで、系統分けの組合せの重複を避けることができる。
図4に示すように矢印の順序に太陽電池モジュールの電気的な接続を行い、×印の位置で系統分けを行うとき、それぞれの系統の開放電圧をV1、V2・・・とする。このとき、それぞれの系統の電圧が、
(最低電圧)≦V1,V2,V3,V4・・・≦(入力電圧上限)
で、かつ
(最低電圧)≦V1−α<V2、 V2−α<V3、 V3−α<V4、・・・
の関係になるように系統分けする。ここで、αは大きな太陽電池モジュールの開放電圧の1/2程度にするのがよい。表1の仕様では5V程度である。
以上の規則に従って図3の太陽電池モジュールを系統分けすると、それぞれの系統の開放電圧の組合せは、表7のように10種類となる。表7は図3の屋根面1の太陽電池モジュールを系統分けした結果を示す表である。
Figure 2006278670
上述の例では、図3の屋根面1以外にも太陽電池モジュールの設置面があるものと想定して記述したが、設置面が図3の屋根面1のみの場合は、表5の代わりに表6を用いて系統分けの条件を決定する。表6は1つの屋根面に設置された太陽光発電システムにおいて太陽電池モジュールの系統数と系統最低電圧の一例を示す表である。
Figure 2006278670
このように、設置面が1面でも複数でも数値を変更することにより画一的で、さらに組合せ数を削減でき、迅速な処理が可能となる。
また、上述の例では屋根面1面ごとに系統分けすることを前提に記述しているが、図5のように同一方位、同一傾斜の屋根面11、12に設置する太陽電池モジュールを矢印のところを渡り配線(付図示)で接続することにより同一の屋根面として検討する。建物の状況によっては渡り配線の施せない場合もあるので一つの屋根として扱うかどうかは現場を調査の上、情報を与える必要がある。
また、異なる屋根面のモジュール間を接続する場合は渡りケーブルが必要であるため、後述の価格検討の際にこの価格を加算する。なお、渡り配線を施して系統分けした場合でも、結果として接続しない場合(ちょうど渡り配線の位置で系統を分けた場合)はこの価格を加算する必要はない。
上述の図3の屋根を図6の住宅3の屋根面13とし、他の屋根面14、15、16も同様に系統分けを行う。ここで、屋根面14、15は同一方位、同一傾斜であるので同じ方向の屋根面であるとみなし、矢印の位置に渡り配線を施すものとして系統分けを行う。系統分けの結果は、表8、9に示すとおり、それぞれ7種類の組合せがある。表8は屋根面14、15の太陽電池モジュールを系統分けした結果を示す表、表9は屋根面16の太陽電池モジュールを系統分けした結果を示す表である。
Figure 2006278670
Figure 2006278670
次に、系統分け組合せ工程104を行う。図6の太陽電池モジュール2a、2bの配置に対して、それぞれの屋根面(または屋根面の組合せ)において表7〜9のとおり、それぞれ10通り、7通り、7通りの系統分けができる。それぞれの屋根面は独立しているので10×7×7=490通りの系統分けの組合せが生成できる。ここで、表7の1番、表8の2番、表9の3番を組合わす組合せを(1,2,3)と表現すると(1,1,1)、(1,1,2)・・・・(10,7,7)の合計490通りの組合せができる。
例えば、(10,7,7)の組合せは、
140V,150V,100V,110V,110V,110V
の6つの系統の組合せになる。
次に、電気構成算出工程の詳細105を図7のフロー図を元に説明する。ステップ201では配置された太陽電池モジュールの最大出力の合計値がパワーコンディショナの入力電力上限の最大値7kWを超えるかどうかの判定を行う。超える場合はステップ211で2台以上のパワーコンディショナを想定した処理に移る。超えない場合は、ステップ202に移り、前記系統分け組合せ工程で生成した系統分けの組合せを上述のような順序でピックアップする。
次に、ステップ203ではステップ202でピックアップした系統を昇圧ユニットを使用しない系統である標準系統と昇圧が必要な昇圧系統とに分類する。標準系統に分類される系統は、ステップ202でピックアップした組合せの中で最も高い開放電圧を基準に一定の比率(たとえば90%)以上で、かつ、パワーコンディショナの入力電圧範囲内に開放電圧のある系統である。それ未満の開放電圧の系統を昇圧系統に分類する。
ここで、上記の記述は昇圧ユニットがパワーコンディショナと別体であることを想定しているが、昇圧ユニットがパワーコンディショナに組み込まれ、接続する入力端子の区別(標準入力端子、マルチ入力端子と呼ばれることがある)による場合も同様に考えられる。
ステップ204ではステップ202でピックアップした系統の組合せについてパワーコンディショナ1台のシステムとして電気的構成が可能かどうか以下のような項目を満たしているかどうか、チェックする。
(1)標準系統が存在する
(2)入力される電流の合計値がパワーコンディショナの入力電流上限値以下である
(3)系統数が接続箱の回路数(最大値)以下である
(4)昇圧系統の開放電圧が全て昇圧ユニットの所定の範囲内である
(5)昇圧系統の最大出力の合計値が昇圧ユニットの所定の上限値以下である
(6)各昇圧系統の開放電圧の標準系統の開放電圧平均値に対する比率(昇圧比)が所定の範囲である
(7)昇圧系統数が所定の上限値以下である
これらの条件を満たしていない場合は、ステップ207に進む。条件を満たしている場合には、ステップ205に進む。ステップ205では、上述の標準系統、昇圧系統、電流値、系統数などをもとにパワーコンディショナ、接続箱などの構成機器を選定する。
次に、ステップ206では、ステップ205で選定した構成機器の種類と数量をもとに電気的構成に必要な機器の価格総額を算出する。ここで、太陽電池モジュールの配置が決定すれば太陽電池モジュール及び設置に必要な部材は固定されるため、電気的構成に必要な機器の価格のみを対象にしている。
ステップ202〜206を繰り返し、ステップ202でピックアップした系統の組合せ全てについて検討したらステップ208に移る。検討した結果、ステップ204の必要条件を満足する組合せが存在する場合は、ステップ209に進み、存在しない場合はステップ211で2台以上のパワーコンディショナを想定した処理に移る。
ステップ209ではステップ204の必要条件を満足する組合せが複数存在する場合に、それらの優先順位を決定する。優先順位を決定する基準の一例は以下の通りである。
(1)ステップ206で算出した価格総額が低い
(2)標準系統の開放電圧差が小さい
(3)標準系統の開放電圧の平均値が高い
(4)昇圧系統数が少ない
(5)昇圧系統の昇圧比の平均値が小さい
ここで、上記基準(1)で順位が決定できない場合は、基準(2)へ、同様に基準(3)に移って順位を決定する。
次に、ステップ10ではステップ209で算出した優先順位の1位の電気的構成または優先順位を示した複数の電気的構成を出力する。これが、図1の結果出力工程106である。
以上の手順に従って図6に記載の住宅3の屋根に設置した太陽電池モジュールの電気的構成を算出すると以下の通りとなる。
表10が算出結果である。
Figure 2006278670
上述のように490通りの系統分けの組合せがあるが、上記ステップ204の必要条件を満足する組合せが表10の39通りである。さらに、ステップ209の通り優先順位で総合的な順位をつけると表10の最右列の通りとなる(上位15位のみ算出した)。この結果より、系統分け組合せ工程104で算出した(2,1,1)の組合せがステップ209の優先順位に従った場合の最適な電気的構成であることが導き出せる。
結果出力工程では、(2,1,1)の組合せに必要な構成機器の種類と数量などの情報を出力するか、あるいは、表10の必要な項目を優先順位順にソートして表示する。
次に、希望容量指定工程107を含む設計支援方法100の詳細を説明する。設置する住宅の屋根が比較的大きい場合、スペース的には設置可能でも、お客様の要望で設置容量を制限して設計する場合がある。図6の住宅の屋根を用いて説明すると、図の上を北とすると南の屋根13に1680Wの太陽電池モジュールが設置可能である。また、東側の屋根14、15に合わせて1290Wの太陽電池モジュールが、西側の屋根16には1302W設置可能で、南、東、西合わせて4290Wの太陽電池モジュールが設置可能である。
ところが、お客様の希望が3500W程度である場合、一部の設置可能な太陽電池モジュールを除外して設計することを考える。
住宅の屋根に設置する太陽光発電システムの場合、同程度の傾斜を持った屋根であるならば、南に近い方位を向いた屋根に設置する方が発電量は多くなる。そこで、南に近い方位を優先して太陽電池モジュールの配置を検討する。図6の屋根の場合、図8に示すように西側の屋根16の太陽電池モジュール2を軒先から2段のみとすることで、全体として3480Wとなりお客様の希望に近い設置容量となる。
さらに、屋根面ごとに希望容量を指定することでお客様の希望をより反映した配置を実現することができる。
次に、希望容量に近い配置を実現する上で昇圧ユニットを使用しない電気的な構成が実現できれば、発電効率、価格、施工などの面で有利である。そこで、昇圧ユニット不使用で希望容量の配置及び電気的構成を算出する設計支援方法の詳細を図6の配置情報について3500Wの希望容量を指定した場合について図9のフロー図に従って説明する。
ステップ301では、希望容量が3500Wの場合、昇圧ユニット不使用でいくつの系統で構成可能かその範囲を求めるが、その前に表1の太陽電池モジュールを用いた場合の系統の上限容量Puおよび下限容量Plを求めると、
Pu=300V/10V×60W=1800W
Pl=150V/10V×60W=900W
となる。
次に、パワーコンディショナの情報は表2の値を使用して、系統数を求めると、
Nmin=ROUNDUP(Pset/Pu)
=ROUNDUP(3500/1800)
=2
Nmax=ROUNDDOWN(Pset/Pu)
=ROUNDDOWN(3500/900)
=3
となり、系統数の範囲は2〜3になる。
次に、ステップ302で系統数Nを2としてステップ303で実際の配置から構成が可能な系統数を算出すると
Pst=Pset/N=3500/2=1750W
N13=INT(P16/Pst×1.05)
=INT(1680/1750×1.05)
=1
N14〜15=0
N16=0
Npre=N13+N14〜15+N16=1
となるが、
Npre=0<2=N
であるので、N=2では不成立となり、ステップ308に移る。N=3の検討がまだであるので、ステップ302でN=3としてステップ303の算出を行うと、
Pst=Pset/N=3500/3=1167W
N13=INT(P16/Pst×1.05)
=INT(1680/1167×1.05)
=1
N14〜15=1
N16=1
Npre=N13+N14〜15+N16=3
となり、
Npre=3≧3=N
であるので、ステップ305に移る。
ステップ305では、ステップ303で算出したPstが開放電圧何Vに相当するかを算出する。
Vst=Pst/10V×60W=1167/60×10=194.5V
となる。
図6の配置から各屋根面において太陽電池モジュールの接続順にVstに最も近くなる系統分けを行う。その結果、図10に示すように配置可能な太陽電池モジュールのうち一部を残して所望の系統が各面に構成可能となる。各面の系統の電気特性は表11のようになる。
Figure 2006278670
最大出力の合計値は、3510Wとなり希望容量と略一致する。
次に、ステップ306の判定を行うが、上述した図7のステップ204と同様であるので詳細は省略するが、上記の例では全ての条件を満足しており、表11の電気的構成が成り立つことを示している。
さらに、ステップ307では電気構成に必要な最低限の構成機器を選定すると、パワーコンディショナ、接続箱はそれぞれ、PC1とJB1となる。
全てのNについて検討したので、ステップ309に移るが、条件を満たす電気的構成は表11の1種類のみであるので、ステップ310で、その電気的構成を出力して完了する。
なお、本発明の実施形態は上述の例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることはもちろんである。
本発明に係る太陽光発電システム設計支援方法の一実施形態を模式的に説明するためのブロック図である。 本発明に係る太陽光発電システム設計支援方法に利用する太陽電池配置情報を示す屋根展開図である。 本発明に係る太陽光発電システム設計支援方法に利用する太陽電池配置情報および太陽電池モジュールの接続順序を示す屋根展開図である。 本発明に係る太陽光発電システム設計支援方法に利用する太陽電池配置情報および太陽電池モジュールの系統分けを示す屋根展開図である。 本発明に係る太陽光発電システム設計支援方法に利用する太陽電池配置情報および渡り配線を説明する屋根伏せ図である。 本発明に係る太陽光発電システム設計支援方法の対象とする太陽電池配置情報の一例を示す屋根伏せ図である。 本発明に係る太陽光発電システム設計支援方法の詳細な処理の流れを示すフロー図である。 希望容量指定工程を含んだ本発明に係る太陽光発電システム設計支援方法による設計結果の一例を示す屋根伏せ図である。 昇圧ユニット不使用で希望容量指定工程を含んだ本発明に係る太陽光発電システム設計支援方法の詳細な処理の流れを示すフロー図である。 昇圧ユニット不使用で希望容量指定工程を含んだ本発明に係る太陽光発電システムの電気構成設計支援方法による設計結果の一例を示す屋根伏せ図である。 多様な形状の屋根に太陽光発電システムを設置した場合の電気的構成を示したブロック図である。
符号の説明
1:屋根面
2:太陽電池モジュール
2a:太陽電池モジュール(大)
2b:太陽電池モジュール(小)
11〜16:屋根面

Claims (14)

  1. 太陽光発電システムにおいて、構成機器の製品仕様情報を取得する機器情報取得工程と、太陽電池モジュールの設置面への配置情報を取得する太陽電池配置情報取得工程と、前記機器情報及び/または前記配置情報に基づいて各設置面の太陽電池モジュールを直列接続可能なモジュール群に分割する系統分け工程と、前記機器情報及び/または前記配置情報に基づいて前記各設置面で分割したモジュール群を複数方向に配置された屋根面に亘って組み合わせる系統分け組み合わせ工程と、該モジュール群の組合せが電気的に成立可能かを判定し構成部材の算出と価格の算出を行う電気構成算出工程と、該電気構成算出工程の結果の一つまたは複数を出力する結果出力工程と、を備えたことを特徴とする太陽光発電システム設計支援方法。
  2. 太陽電池配置情報取得工程により取得した配置情報の範囲で、実際に設置する太陽電池モジュールの定格出力の合計値を指定する希望容量指定工程を有することを特徴とする請求項1記載の太陽光発電システム設計支援方法。
  3. 前記希望容量指定工程で指定する希望容量の指定を設置面ごとに行うことを特徴とする請求項2記載の太陽光発電システム設計支援方法。
  4. 電気構成算出工程において前記希望容量指定工程で指定した希望容量を満たす電気的構成を算出する際に、全ての系統において電圧調整装置を用いずに電気的構成を算出することを特徴とする請求項2記載の太陽光発電システム設計支援方法。
  5. 前記機器情報取得工程により取得した機器情報は、構成機器の定格値情報を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システム設計支援方法。
  6. 前記定格値情報は、太陽電池モジュールの最大出力、開放電力、最大電力動作電流、パワーコンディショナの定格入力電力、入力電圧範囲、入力電流上限値を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項5に記載の太陽光発電システム設計支援方法。
  7. 構成機器の製品仕様情報を取得する機器情報取得手段と、太陽電池モジュールの配置情報を取得する太陽電池配置情報取得手段と、前記機器情報及び/または前記配置情報に基づいて各設置面の太陽電池モジュールを直列接続可能なモジュール群に分割する系統分け手段と、前記機器情報及び/または前記配置情報に基づいて前記各設置面で分割したモジュール群を複数方向に配置された屋根面に亘って組み合わせる系統分け組み合わせ手段と、該モジュール群の組合せが電気的に成立可能かを判定し構成部材の算出と価格の算出を行う電気構成算出手段と、該電気構成算出手段の結果の一つまたは複数を出力する結果出力手段と、を少なくとも有することを特徴とする太陽光発電システム設計支援装置。
  8. 太陽電池配置情報取得手段により取得した配置情報の範囲で、実際に設置する太陽電池モジュールの定格出力の合計値を指定する希望容量指定手段を有することを特徴とする請求項7記載の太陽光発電システム設計支援装置。
  9. 前記希望容量指定手段で指定する希望容量の指定を設置面ごとに行うことを特徴とする請求項8記載の太陽光発電システム設計支援装置。
  10. 電気構成算出手段において前記希望容量指定手段で指定した希望容量を満たす電気的構成を算出する際に、全ての系統において電圧調整装置を用いずに電気的構成を算出することを特徴とする請求項9記載の太陽光発電システム設計支援装置。
  11. 前記機器情報取得手段により取得した機器情報は、構成機器の定格値情報を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項7に記載の太陽光発電システム設計支援方法。
  12. 前記定格値情報は、太陽電池モジュールの最大出力、開放電力、最大電力動作電流、パワーコンディショナの定格入力電力、入力電圧範囲、入力電流上限値を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項11に記載の太陽光発電システム設計支援方法。
  13. 請求項1乃至請求項6に記載の太陽光発電システム設計支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  14. 請求項13に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021054303A1 (ja) * 2019-09-18 2021-03-25 クリーンエナジーファクトリー株式会社 ソーラー発電サイトの施工方法

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