JP2006275975A - 溶解度測定システム - Google Patents

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一郎 柳澤
Masakata Nishikawa
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Abstract

【課題】より少ない量で溶液に対する結晶の溶解度を短時間に計測することを可能とする溶解度測定システムを提供する。
【解決手段】マイクロ流体チップ計測制御装置16によって、マイクロ流体チップ14から観測用セル12に対する溶液26の供給及び排出制御を自動的に行い、温度制御装置18によって、観測用セル12内の温度制御を自動的に行い、濃度計測装置20によって、溶質濃度及び溶解度の計測を自動的に行う。すなわち、溶解度測定システム10では、人手を介することなく観測用セル12に対する溶液26の駆動制御と、観測用セル12の温度制御と、前記溶質濃度及び前記溶解度の計測を自動的に行うので、前記溶解度の計測時間を短縮することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、結晶を溶液で溶解あるいは成長させながら前記溶液に対する結晶の溶解度を計測する溶解度測定システムに関する。
物質の溶解度は、製薬(創薬)や食品化学や生物学等のライフサイエンス分野における新製品の開発において、重要且つ基本的な物理化学的特性である。しかしながら、新たに得られた試料については、溶解度のデータを取得する際に、利用可能なサンプル量が極微量であるために溶解度測定を十分に行うことができない場合があったり、あるいは、前記試料の溶解速度が遅いために測定に長時間を要する場合があり、前記データの取得が困難とされている。
一例として、創薬プロセスの分野において、微量サンプルによる短時間での溶解度測定の必要性について説明する。
創薬プロセスの分野では、薬剤候補化合物を探索する際に、できる限り短時間で該化合物の物理化学的特性が得られることが必要とされている。特に、コンビナトリアルケミストリーのような合成技術によって[μg]オーダの微量の試料が得られた場合にも、速やかに前記試料の溶解度測定ができることが望ましい。
一方、タンパク質の三次元構造を知ることにより、薬剤候補化合物(リード化合物)を効率的に合成することが可能となる。そのため、タンパク質の立体構造を一早く把握できることが薬剤開発の短期化にとって必須の条件となる。しかしながら、前記タンパク質の立体構造をX線構造解析を利用して解析する場合、前記タンパク質の結晶は、X線に対して高分解能で構造識別可能な程度の良質な結晶まで成長させる必要があり、このような結晶を生成するためには、数ヶ月から数年の長期間を要する。
また、結晶学の原理から考察すると、結晶核生成や結晶成長に関する基本情報(溶解度等の相平衡データ)を測定し、それに基づいて結晶化を行うのが合理的なアプローチであるが、このような方法では、データの取得に対して年単位の時間と多量のサンプルが必要であり、前記基本情報に基づいて良質な結晶を作成することは現実的に不可能である。
さらに、薬剤の製造工程では結晶化プロセスが必須であるが、製造条件を一部変更しただけでも結晶の性質が変わる、いわゆる結晶多形現象が発生する。前記結晶多形現象によって、溶解度等の特性が変化し、薬効が得られなくなる等の問題が生ずる。そのため、結晶多形現象は、製薬工程の品質管理上、重要な現象として認識され、上記した薬剤開発では、薬剤候補化合物が得られた段階から、前記結晶多形現象を漏れなく計測することが可能となる溶解度測定を含んだ効率的な分析方法が望まれている。
従来より、試料の溶解度測定では、溶解度を測定したいサンプル(例えば、薬剤候補化合物やタンパク質の結晶等)を溶媒中に配置した後に前記溶媒を攪拌し、前記試料及び前記溶媒が平衡濃度に到達したときに、前記溶媒となる溶液中の前記結晶の濃度を分光法、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)又は質量分析法等によって計測する。これらの方法では、溶解速度や成長速度の小さなサンプルの場合には、平衡温度に達するまでに長時間を要するという問題がある。例えば、タンパク質の結晶の場合には数ヶ月を要し、薬剤候補化合物の場合でも数日から数週間の長時間を要する。
一方で、溶解度測定に光干渉法を用いることにより、上記したデータ取得時間を短縮する方法が開示されている(非特許文献1参照)。この方法では、光干渉法を用いて結晶近傍での溶媒の濃度変化を計測するものであり、バルク溶液が飽和濃度になるのを待つことなく、溶解度を検出できるようにしている。
図14は、非特許文献1に開示された溶解度測定システム200の要部断面図であり、マイケルソン干渉計(以下、二光束干渉装置ともいう。)202を用いた二光束干渉法によってサンプルの溶解度を計測するものである。
すなわち、図示しない光源からの光204は、対物レンズ206を介してビームスプリッター208により分光され、分光された一方の光210は、サンプルとしての結晶212及び溶液214が収容された観測用セル216に向かって進行し、他方の光218は、補償板220を介して参照鏡222に向かい進行する。
光210は、観測用セル216の底部に形成された図示しないミラーにおいて反射され、一方で、光218は、参照鏡222において反射され、各反射光224、226は、ビームスプリッター208及び対物レンズ206を介して図示しないカメラに受光される。
この場合、前記ミラー及び参照鏡222の各反射鏡が所定の干渉条件を満足すれば、反射光224、226によって形成される干渉縞が前記カメラで撮影される。ここで、前記ミラーが光210に対して所定角度だけ傾斜していれば、観測用セル216の内部に一様な濃度の溶液214が充填された際に、所定間隔に形成された直線状の干渉縞を得ることができる。得られた前記干渉縞の分布より溶液214の濃度分布を評価するには、溶液214中の光学的距離が濃度に対して線形関係を有する特徴を利用する。例えば、ある場所の濃度が濃くなると、その場所の光学距離が他の場所と比較して長くなり、この結果、干渉縞の位置がずれてくる。
図15は、前記干渉縞が変化するまでの状況を説明するフローチャートであり、図16A〜図16Cは、前記カメラで撮影された干渉縞を含む画像の時間的変化を概略図である。
ここで、結晶212と溶液214とが略平衡状態のときには、観測用セル216(図14参照)内部の溶液214の溶質濃度や屈折率が一様であるため、図16Aに示すように、各干渉縞230は互いに平行となる。次いで、結晶212が成長すると(図15のステップS30)、結晶212近傍における溶液214の溶質濃度が、該結晶212より離間した箇所の溶液214の濃度と比較して低下する(ステップS31)。この結果、結晶212近傍の溶液214の屈折率が低下し(ステップS32)、さらに、濃度変化に対応して、結晶212近傍における光210、224の光学的距離が他の箇所と比較して変化するので(ステップS33)、図16Bに示すように、結晶212近傍の干渉縞230は湾曲する(ステップS34)。次いで、結晶212が溶液214に溶解すると、結晶212近傍の溶質濃度が増加するため、図16Cに示すように、干渉縞230は、図16Bの結晶成長の場合と比較して、逆方向に湾曲する。
このように、前記二光束干渉法を用いる溶解度測定法は、溶質濃度又は濃度変化を溶液214の屈折率変化から求める方法である。この場合、図14の溶解度測定システム200は、結晶212近傍における溶液214の濃度分布より該溶液214と結晶212とが平衡状態にあるか否かを判定し、溶液214の溶質濃度をその温度における溶解度として計測する。従って、この溶解度測定システム200では、観測用セル216内部に収容された溶液214の全体が平衡状態に達するのを待つことなく、溶解度を計測することが可能である。
また、溶解度測定システム200では、観測用セル216として高さが1[mm]以下のオーダの微小空間を利用し、結晶212近傍での濃度変化による干渉縞230の曲がりより、該結晶212が溶解、成長過程又は平衡状態にあるのかを判断しながら、タンパク質結晶(リゾチーム等)の溶解度を短時間(1温度点あたり約100分)で測定する。
このように、溶解度測定システム200が他の方法と比較して著しく短時間で溶解度測定を行えるのは、結晶212近傍での溶液214の濃度変化のみに着目し、この箇所における濃度変化が他の箇所における濃度変化と比較して非常に速く進行することを利用したためである。この場合、溶液214には対流や攪拌への寄与が小さく、結晶212近傍での濃度変化は、結晶212の溶液214への拡散に基づくものであり、該結晶212表面で溶解が進むと、結晶212近傍に濃度勾配が生じ、前記拡散によって濃度変化が周囲に広がってゆく。
ここで、所定距離L[m]だけ拡散するために必要な拡散時間τ[s]は、拡散係数D[m2/sec]より、τ=L2/Dで表わすことができる。例えば、卵白リゾチームの拡散係数Dが4×10-11[m2/s]程度であるので、D=10-11[m2/s]とすれば、L=1[mm]だけ拡散するために必要な拡散時間τは105[s]となり、L=100[μm]ではτ=103[s]となり、L=10[μm]ではτ=1[s]となる。
すなわち、1[mm]程度のサイズの溶液214のバルク濃度を知りたい場合には濃度測定に略一日を要するが、10[μm]程度の拡散距離Lにおける濃度変化を知るには1[s]程度でよい。これにより、観測用セル216を小型化する程、短時間で溶解度測定を行うことが可能となる。
そして、溶解度測定システム200では、結晶212表面における干渉縞230の曲がりを作業者が目視で判断することにより、観測用セル216中の既知濃度の溶液214に対する平衡温度点を求めている。その際の計測手順は以下のとおりである。
(1)測定対象の結晶212及び所定の溶質濃度を有する溶液214の調整を行う。(2)結晶212と溶液214を観測用セル216に導入する。(3)二光束干渉装置202について、結晶212及び溶液214に対する焦点及び観測用セル216底部のミラーの位置を調節し、結晶212周辺における干渉縞230を形成する。(4)恒温ステージ240に設けられたペルチェ素子242を用いて、該恒温ステージ240上に配置された観測用セル216の温度を所定温度に調整し、結晶212周辺の干渉縞230を観察する。(5)干渉縞230の曲がりを作業者が目視により判断しながら、結晶212周辺における干渉縞230が直線となるまで観測用セル216の温度を上下動させる。(6)干渉縞230が直線となったときの温度を平衡温度とする。(7)観測用セル216内の溶液214を次回の濃度測定用の溶液214と入れ替え、上記した(1)〜(5)の手順を繰り返す。(8)必要とされる濃度範囲での平衡温度が全て測定された場合には計測を終了する。
佐崎等「二光束干渉法によるリゾチーム結晶周囲の濃度場観察」日本結晶成長学会誌Vol.23、No.5、1996
しかしながら、上記した溶解度測定システム200では、観測用セル216を小型化して拡散時間τを短縮しても、結晶212及び溶液214の調整や導入、平衡温度の計測等の多くの手順を全てマニュアル操作で行っているので、一連の計測時間をさらに短縮することは容易ではない。また、観測用セル216を単純に小型化しても、該観測用セル216に対して溶液214を導入する作業もマニュアル操作であるから、該溶液214の取り扱いが却って複雑となり、観測用セル216の小型化を行うことはできない。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、より少ない量で溶液に対する結晶の溶解度を短時間に計測することを可能とする溶解度測定システムを提供することを目的とする。
本発明に係る溶解度測定システムは、溶解度を測定する試料用の結晶及び溶液を収容する観測用セルと、前記観測用セルに対する前記溶液の供給及び排出を行うマイクロ流体チップと、前記マイクロ流体チップから前記観測用セルに対する前記溶液の供給及び排出を制御するマイクロ流体チップ制御装置と、前記観測用セル内を前記所定温度に制御する温度制御装置と、前記結晶近傍の溶質濃度変化から該結晶の溶解、平衡及び成長を判別するために前記溶液の前記結晶近傍における溶質濃度を計測する濃度計測装置とを有し、前記温度制御装置は、前記観測用セル内の温度を前記結晶と前記溶液との平衡温度にまで変化させ、前記平衡温度における溶質濃度を前記溶液に対する前記結晶の溶解度として計測することを特徴とする。
上記した構成によれば、前記マイクロ流体チップ制御装置によって、前記マイクロ流体チップから前記観測用セルに対する前記溶液の供給及び排出制御を自動的に行い、前記温度制御装置によって、前記観測用セル内の温度制御を自動的に行い、前記濃度計測装置によって、前記溶質濃度及び前記溶解度の計測を自動的に行う。すなわち、前記溶解度測定システムでは、人手を介することなく前記観測用セルに対する前記溶液の駆動制御と、前記観測用セルの温度制御と、前記溶質濃度及び前記溶解度の計測を自動的に行う。これにより、前記溶質濃度及び前記溶解度の計測時間を短縮することが可能となる。また、前記マイクロ流体チップ及びマイクロ流体チップ制御装置を用いることにより、微少量の溶液の操作を簡便あるいは自動で行うことができるため、前記観測用セルの小型化が可能となる。該観測用セルの小型化は、一つには、使用するサンプル量の低減と、計測時間の短縮につながる。
ここで、前記観測用セルにおける前記結晶及び前記溶液の容量を10[μl]以下とすれば、前記計測時間を一層短縮することができると共に、使用するサンプル量も微量化することができる。
また、前記マイクロ流体チップは、前記観測用セルに接続され且つ前記観測用セルに前記溶液を供給する供給用流路と、前記観測用セルに接続され且つ前記観測用セルより前記溶液を排出する排出用流路とを有することが好ましい。
さらに、前記マイクロ流体チップは、複数の溶液が導入される複数の溶液導入部と、前記各溶液導入部に接続される定量流路と、前記定量流路及び前記観測用セルに各々接続される溶液混合部とをさらに有し、前記定量流路は、前記溶液導入部に導入された前記各溶液を所定量だけ各々計量し、前記溶液混合部は、前記定量流路で計量された前記各溶液を混合して、混合された前記各溶液を前記観測用セルに供給することが好ましい。これにより、所望濃度の溶液を自動的に調整して前記観測用セルに供給することができるので、前記計測時間のさらなる短縮化を実現することができる。
さらにまた、前記マイクロ流体チップは、前記溶液混合部と前記定量流路とに各々接続され且つ計量された前記各溶液を収容する複数の前置セルをさらに有し、前記溶液混合部は、前記各前置セルに収容された前記各溶液を混合して、混合された前記各溶液を前記観測用セルに供給することが好ましい。これにより、所望濃度の溶液を正確に調整して前記観測用セルに供給することができる。
さらにまた、前記マイクロ流体チップは、前記定量流路及び前記溶液混合部を介して前記観測用セルに接続されると共に、前記溶液導入部に接続されたスプリット用流路をさらに有し、外部より前記スプリット用流路を介して前記定量流路に空気を送り込むことにより、前記定量流路内に導入された前記各溶液を所定量に分割することが好ましい。これにより、前記各溶液をより正確に定量することが可能となる。
さらにまた、前記排出用流路は、前記定量流路及び前記溶液混合部を介して前記観測用セルと接続されていることが好ましい。
さらにまた、前記溶液導入部に導入される前記各溶液は、前記供給用流路より前記観測用セルに供給される溶液を希釈するための希釈溶液であり、前記溶解度測定システムは、前記供給用流路より前記観測用セルに供給された溶液による前記結晶の溶解度を計測した後に、前記各希釈溶液によって希釈された溶液を用いて前記結晶の溶解度を順次計測することが好ましい。
この場合、最初の溶解度測定では最も濃度の高い溶液が前記観測用セルに供給され、2回目以降では、濃度の低い溶液が前記観測用セルに順次供給されて溶解度測定が順次行われる。すなわち、濃度の高い溶液から順に前記溶解度測定が行われるので、貴重なサンプル溶液としては初期導入分のみの使用で済み、サンプル溶液の使用量を最小化することができる。
さらにまた、前記マイクロ流体チップを前記観測用セルに内蔵すれば、システム全体の小型化を図ることができる。
さらにまた、前記マイクロ流体チップ制御装置は、前記マイクロ流体チップ近傍に配置されたカメラと、前記カメラに電気的に接続される溶液位置監視部と、前記溶液位置監視部に電気的に接続される溶液制御用電源部と、前記溶液制御用電源部に電気的に接続され且つ前記マイクロ流体チップ内における前記溶液の移動を制御するマイクロポンプとを有し、前記カメラは、前記マイクロ流体チップにおける前記溶液の前記観測用セル側の液面位置を撮影して、撮影した画像を前記溶液位置監視部に出力し、前記溶液位置監視部は、入力された前記画像に基づいて前記液面位置を所定位置にまで変位させるための液面位置制御信号を生成して前記溶液制御用電源部に出力し、前記溶液制御用電源部は、入力された前記液面位置制御信号に基づいて前記マイクロポンプを駆動し、前記液面位置を前記所定位置にまで変位させることが好ましい。
この場合、前記カメラは、前記溶液の液面位置を撮影し、前記溶液位置監視部は、前記画像に基づいて前記液面位置制御信号を生成し、前記溶液制御用電源部は、前記液面位置制御信号に基づいて前記マイクロポンプを駆動し、前記液面位置を前記所定位置にまで変位させる。すなわち、前記マイクロ流体チップ制御装置は、前記マイクロ流体チップ中の前記溶液に対して前記液面位置のフィードバックを行っている。これにより、前記溶液の液面位置を正確に制御することができると共に、前記観測用セルに対して所望量の溶液を正確に供給及び排出することが可能となる。
また、前記溶解度測定システムは、前記濃度計測装置と電気的に接続される濃度分布変化算出装置をさらに有し、前記温度制御装置は、前記濃度分布変化算出装置に電気的に接続される温度制御用電源部と、前記温度制御用電源部に電気的に接続され且つ前記観測用セル内の温度を調整する温度調整部とを有し、前記濃度分布変化算出装置は、前記濃度計測装置より入力された前記溶質濃度に基づいて前記結晶近傍における前記溶質濃度の濃度分布変化を算出し、算出した前記濃度分布変化に基づいて前記観測用セル内の現在の温度を前記平衡温度にまで変化させる温度制御信号を生成して前記温度制御用電源部に出力し、前記温度制御用電源部は、入力された前記温度制御信号に基づいて前記温度調整部を駆動し、前記観測用セル内の温度を前記平衡温度にまで変化させることが好ましい。
この場合、前記濃度分布変化算出装置は、前記温度制御信号を生成し、前記温度制御用電源部は、前記温度制御信号に基づいて前記温度調整部を駆動し、前記観測用セル内の温度を前記平衡温度にまで変位させる。すなわち、前記濃度分布変化算出装置及び前記温度制御装置は、前記観測用セル内の前記溶液及び前記結晶に対する温度のフィードバックを行っている。これにより、前記溶液及び前記結晶の温度を速やかに前記平衡温度にまで調整することが可能となり、前記溶解度の計測時間をより一層短縮化することができる。
さらにまた、前記濃度計測装置は、二光束干渉装置であり、前記観測用セルの底部には、反射用ミラーが形成されていることが好ましい。
さらにまた、前記ミラーは、前記結晶のサイズに対応してその位置を変化することにより、前記観測用セルの上部との距離を変更可能とすることが好ましい。これにより、異なったサイズの結晶を測定する場合にも、それぞれのサイズ(セル高さ)に合わせた観測用セルを用意する必要が無く、測定をより正確に且つ効率的に行うことができる。
本発明に係る溶解度測定システムによれば、マイクロ流体チップ制御装置によって、マイクロ流体チップから観測用セルに対する溶液の供給及び排出制御を自動的に行い、温度制御装置によって、前記観測用セル内の温度制御を自動的に行い、濃度計測装置によって、溶質濃度及び溶解度の計測を自動的に行う。すなわち、前記溶解度測定システムでは、人手を介することなく前記観測用セルに対する前記溶液の駆動制御と、前記観測用セルの温度制御と、前記溶質濃度及び前記溶解度の計測を自動的に行う。これにより、前記溶質濃度及び前記溶解度の計測時間を短縮することが可能となる。また、前記マイクロ流体チップ及びマイクロ流体チップ制御装置を用いることにより、微少量の溶液の操作を簡便あるいは自動で行うことができるため、前記観測用セルの小型化が可能となる。該観測用セルの小型化は、一つには、使用するサンプル量の低減と、計測時間の短縮につながる。
本発明に係る溶解度測定システムについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
本実施形態に係る溶解度測定システム10は、図1に示すように、溶液及び結晶を収容する観測用セル12と、該観測用セル12に対して前記溶液の供給及び排出を行うマイクロ流体チップ14と、該マイクロ流体チップ14から観測用セル12に対する前記溶液の供給及び排出を制御するマイクロ流体チップ計測制御装置16と、観測用セル12内に収容された前記溶液及び前記結晶の温度を所定温度に制御する温度制御装置18と、前記溶液の前記結晶近傍における溶質濃度を計測する濃度計測装置20と、前記結晶近傍における前記溶質濃度変化を算出するデータ処理装置(濃度分布変化算出装置)22とを有する。なお、上記した濃度計測装置20とデータ処理装置22とで溶解度測定自動制御装置を構成する(図1参照)。
観測用セル12は、図2及び図3に示すように、振動や温度変化による変形が少ない材料で構成することが好ましく、濃度計測装置20が二光束干渉装置で構成される場合には、光学的に透明で且つ歪みの少ない石英ガラス等で構成されると好適である。また、観測用セル12の内部には、結晶24及び溶液26を収容するための収容部28が形成されている。本実施形態では、観測用セル12は、図1〜図7に示すように、マイクロ流体チップ14に内蔵されているが、該マイクロ流体チップ14より観測用セル12に対する溶液26の供給及び排出が可能であれば、観測用セル12とマイクロ流体チップ14とを別体としてもよいことは勿論である。
図2において、マイクロ流体チップ14の内部には、溶液26が流通する流路30が形成され、該流路30の一部を該マイクロ流体チップ14の厚み方向に拡径することにより観測用セル12を構成する収容部28が形成される。収容部28の側部には、外部に連通する孔32が上方に向かって形成され、前記孔32は、蓋体34によって閉塞されている。また、収容部28の底部にはミラー36が形成されている。さらに、観測用セル12を含むマイクロ流体チップ14は、温度制御装置18を構成する恒温ステージ(温度調整部)38の上面に配置される。
結晶24及び溶液26を収容部28内に導入する際には、先ず、蓋体34を観測用セル12から取り外した状態で孔32を介して該結晶24をミラー36表面に載置する。次いで、蓋体34を観測用セル12上に載置して孔32を閉塞し、最後に、マイクロ流体チップ14より流路30を介して溶液26を導入する。なお、結晶24は、溶液26と同時にピペッタ等を用いて収容部28内に導入することも可能である。
この場合、観測用セル12の収容部28の容積は0.01[μl]〜10[μl]とし、該収容部28の厚みは、500[μm]以下とし、観測用セル12の長手方向の幅は、3[mm]以下とすることが好ましい。
また、濃度計測装置20が二光束干渉装置で構成される場合には、収容部28の底部には前述したミラー36を配置することが必要であるが、該濃度計測装置20が他の測定原理に基づいて結晶24近傍における溶液26の溶質濃度を計測する場合には、このようなミラー36は不要である。
さらに、図2に示す観測用セル12では、収容部28の厚みを変化することができないので、結晶24を前記厚みに合わせて多くの異なった寸法の蓋を用意しておく必要がある。そこで、図3に示すように、収容部28の底部を前記厚み方向に対して変位可能なステージ40とすれば、該結晶24のサイズに対応して収容部28の厚みを変化することが可能となり、異なったサイズの結晶24を測定する場合にも、それぞれのサイズ(セル高さ)に合わせた観測用セル12を用意する必要が無く、測定をより正確に且つ効率的に行うことができる。
この場合、ステージ40の側部と恒温ステージ38との間のギャップは、できる限り小さくとり、前記ギャップの表面を疎水性処理するか、あるいは、前記ギャップに疎水性のシール部材42で充填することが好ましい。
図1に示す濃度計測装置20は、結晶24(図2及び図3参照)近傍における溶液26の溶質濃度あるいは濃度変化を計測するものであり、従来技術に係る二光束干渉装置202(図14参照)で構成することも可能である。この場合、結晶24近傍の溶質濃度が計測可能あれば、吸光度測定装置等を用いても構わない。
図4は、マイクロ流体チップ14の基本概念を示す構成図である。なお、以下の説明では、マイクロポンプ50、52、64、66、70、74、78、80として電気浸透流ポンプを用いるという想定で説明する。
本実施形態では、10[μL]以下の微少量の溶液26の調整や観測用セル12に対する該溶液26の導入及び排出の操作を簡便化し且つ自動化を行うために、観測用セル12をマイクロ流体チップ14に内蔵し、マイクロ流体チップ計測制御装置16を構成するマイクロポンプ52、64、66、70、74、78、80の駆動下に、マイクロ流体チップ14における前述した調整、導入及び排出の一連の作業を行っている。
ここで、前述した0.01[μL]〜10[μL]程度の溶液26のサンプル量を取り扱うには、溶液26を流す流路のサイズを数十[μm]以下とする必要がある。このような流路は、従来より利用されているキャピラリーやチューブを用いるのではなく、ガラス基板やプラスチック基板にマイクロ流路を形成し、該マイクロ流路に溶液26を流すようにすれば、該溶液26の駆動制御を容易に行うことが可能となる。なお、前記マイクロ流路とは、マイクロ流体チップ14内に形成される各流路や各部分の総称である。
そこで、図4のマイクロ流体チップ14では、ガラス基板や透明なプラスチック基板の内部に、前述したマイクロ流路を形成している。
すなわち、観測用セル12は、流路(初回の供給用流路)33を介してポンプ(P0)52に接続され、一方で、流路31を介して混合領域(溶液混合部)54に接続されている。該混合領域54は、流路56を介して定量流路58及び前置セル(前置セル1、2)60、62に各々接続され、該前置セル60、62は、ポンプ(P1、P2)64、66に接続されている。定量流路58は、スプリット用流路68を介してスプリット用ポンプ(PS)70と接続され、一方で、流路72を介してリザーバ付ポンプ(RP1)74と接続されている。また、定量流路58は、排出用流路76を介して廃液リザーバ用ポンプ(廃液回収用ポンプともいう。)78と接続されている。さらにまた、観測用セル12は、流路33を介してリザーバ付ポンプ80と接続されている。
この場合、リザーバ付ポンプ80には、初回の溶解度測定で使用されるサンプル用の溶液26が収容され、一方で、リザーバ付ポンプ74には、2回目以降の溶解度測定においてサンプル用の溶液26を希釈するための希釈溶液が収容されている。そして、各ポンプ52、64、66、70は、エアを介して内部の溶液26の送液及び吸引を行う。
また、混合領域54は、観測用セル12内の溶液26とリザーバ付ポンプ74に収容された希釈溶液との混合を行う。この場合、混合方法には、マイクロ流路内での拡散による混合や、マイクロミキサーを用いる方法等が可能である。
定量流路58は、所定量の溶液26を計量するための流路である。また、スプリット用流路68は、定量流路58のM点からS点に充填された液体を分割するために外部より供給されたエアを該定量流路58に送り込む流路である。さらに、前置セル60、62は、定量流路58で一定量の分割された前記液体を収容するための空間である。さらにまた、廃液回収用ポンプ78は、溶解度測定に使用したサンプル用の溶液26を回収し、保持するためのポンプであり、該廃液回収用ポンプ78内部に液溜め構造を有している。
そして、本実施形態では、観測用セル12で使用されるサンプル量をできる限り最小化するために、溶解度測定の順序として、高濃度の溶液26に対する溶解度測定を行った後に、前記希釈溶液で該溶液を順次希釈することにより所定の溶液濃度に対する溶解度及び溶質濃度の測定を順次行うようにしている。
この場合、マイクロ流体チップ計測制御装置16を用いてマイクロ流体チップ14における溶液26及び希釈溶液の移動制御を自動的に行っている。すなわち、図4のマイクロ流体チップ14では、溶液26(例えば、タンパク質溶液)の濃度を所定比率に希釈しながら、溶解度測定を繰り返し行う。なお、このマイクロ流体チップ14では、溶解度測定の行う度に溶液26の濃度を1/2ずつ希釈するようにしている。
具体的には、先ず、観測用セル12にサンプル用の結晶24を配置する。次いで、溶液充填用ポンプ74に希釈溶液を充填し、一方で、溶液充填用ポンプ(初期溶液充填用ポンプともいう。)80にサンプル用の溶液26を充填した後に、該溶液充填用ポンプ80より流路33を介して観測用セル12に溶液26を供給する。観測用セル12の収容部28では、供給した溶液26によって結晶24の第1回目の溶解度の計測が濃度計測装置20によって行われる。
次に、第1回目の計測が終了した後に行われる溶液26を希釈する操作について説明する。
先ず、廃液回収用ポンプ78を吸引動作させ、ポンプ52を押し出し操作することにより、観測用セル12内の溶液26を流路31から定量流路58を経由して廃液回収用ポンプ78に移送する。そのとき、溶液26における最後尾の液位がM点に到達したら溶液26の移動を停止する。
次に、スプリット用ポンプ70によりスプリット用流路68を経由してS点にエアを押し出し、且つポンプ64を吸引動作させることにより、定量流路58の溶液26をS点において分断する。さらに、スプリット用ポンプ70とポンプ64の動作を続けることにより、S点からM点の間に存在する溶液26がM点を経由して前置セル60に収容される。
次に、希釈溶液の定量操作を以下の通りに行う。
溶液充填用ポンプ74により希釈溶液を押し出しながらポンプ66を吸引操作すると、前記希釈溶液は、流路72及びS点を経由して定量流路58に移送される。この場合、前記希釈溶液の先頭は、M点で停止される。次いで、スプリット用ポンプ70によりスプリット用流路68を経由してS点にエアを押し出し、且つポンプ66を吸引動作させることにより、定量流路58の前記希釈溶液をS点において分断する。さらに、スプリット用ポンプ70とポンプ66の動作を続けることにより、S点からM点の間に存在する前記希釈溶液がM点を経由して前置セル62に収容される。
次に、ポンプ52で吸引動作、ポンプ64、66で押し出し操作を行うことにより、前置セル60に収容された溶液26と前置セル62に収容された前記希釈溶液とを同時に混合領域54に移動させる。これにより、混合領域54において混合された溶液26と前記希釈溶液とは、濃度が低下した新たな溶液26として、流路31を介して観測用セル12に充填される。
この結果、濃度の低下した溶液26による2回目の溶解度及び溶質濃度の測定が行われる。3回目以降の測定の前には、マイクロ流体チップ14における上記した調整及び混合作業を繰り返し行われる。
そして、溶解度測定が完了した最も濃度の低い溶液26は、ポンプ52、78を介して、観測用セル12より廃液回収用ポンプ78に回収される。
図1に示すマイクロ流体チップ計測制御装置16は、定量流路58に対する溶液26及び希釈溶液の液面位置を正確に位置決め制御するためのものであり、前記各液面位置を撮影するCCDカメラ82と、該CCDカメラ82で撮影された該液面位置を含む画像に基づいて前記液面位置を所定位置(M点)にまで変位させるための液面位置制御信号を生成するデータ処理装置(液体位置監視部)84と、該データ処理装置84で生成された前記液面位置制御信号に基づいてポンプ50、64、70等を駆動する電源・制御装置(ポンプ制御用電源部)86とから構成される。
この場合、溶液26及び希釈溶液の定量を自動的に行うために、CCDカメラ82によってマイクロ流体チップ14内におけるマイクロ流路を撮影し、溶液26及び前記希釈溶液の先頭の液面位置又は終端の液面位置が定量流路58における所定位置(M点)に停止するようにポンプを動作させる。また、溶液26及び希釈溶液を混合領域54で混合して、混合された溶液26を観測用セル12に供給するときにも、CCDカメラ82によって、観測用セル12への充填状況を確認し、該充填が完了したときにポンプの動作を停止する。
なお、上記したマイクロ流体チップ14では、定量流路58の全長を約40[mm]とし、溶液26又は前記希釈溶液を0.4[mm]の位置決め精度で駆動制御できれば、溶液26又は前記希釈溶液の量を1[%]程度の誤差とすることが可能である。そのためには、CCDカメラ82の視野を20[mm]×20[mm]程度とすれば、100万画素程度では、1画素当りの解像度を略20[μm]とすることができ、400[μm]以内の精度で溶液26及び前記希釈溶液の液面位置を位置決め制御することは、制御性の良いマイクロポンプを用いれば容易である。
このように、結晶24が貴重なサンプルである場合には、溶液26を順次希釈して再利用することにより、溶解度測定に必要なサンプルを最小限にすることができる。
なお、図4のマイクロ流体チップ14では、1つの定量流路58を利用したものであり、1/2ずつ希釈するようにしている。なお、希釈方法はこれに限定されるものではなく、任意の希釈率で溶液26を希釈してもよいことは勿論である。
図5は、図4のマイクロ流体チップ14の他の構成を示す平面図であり、該マイクロ流体チップ14に観測用セル12と、溶液26を導入及び排出するためのマイクロ流路のみを設けた簡単な構造である。
この構成では、溶液26の調整は、マイクロ流体チップ14の外部で予め行い、調整された該溶液26をポンプ74に充填した後に、ポンプ74で溶液26を押し出しながら、ポンプ64で吸引することにより、溶液26を観測用セル12に充填する。また、測定終了後は、ポンプ70で押し出しながら、ポンプ80で吸引することにより溶液26を回収する。このような構成は、結晶24のサンプル量に対する制約が厳しくない場合であって、且つマイクロ流体チップ14内部での溶液26の希釈が不要な場合に用いられる。
図6は、図4のマイクロ流体チップ14の他の構成を示す平面図であり、混合領域54が複数の前置セル(前置セル1〜n)60i(i=1〜n)を介して複数のポンプ(P1〜Pn)64iと接続され、且つ定量流路58が複数のポンプ(RP1〜RPn)74iと接続される一方で、初期溶液充填用ポンプ80がない。この場合、溶液充填用ポンプ74iに種類の異なる複数の溶液を各々充填することにより、観測用セル12において、複数の組成の異なる溶液26に対する溶解度の計測を行うことが可能となる。
図7は、図4及び図6に示すマイクロ流体チップ14に対する具体例であり、該マイクロ流体チップ14における各部分をマイクロチャンネル(微細な流路)で実現したものである。
図1のデータ処理装置22は、濃度計測装置20で計測された結晶24近傍における溶液26の溶質濃度より該結晶24近傍の前記溶質濃度分布変化を算出し、濃度分布に変化がある場合には、結晶24及び溶液26が平衡状態(平衡温度)に到達していないものと判断し、結晶24及び溶液26の現在の温度を前記平衡温度にまで変化させるための信号(温度制御信号)を生成する。
また、温度制御装置18は、観測用セル12を所定温度に制御する恒温ステージ38と、恒温ステージ38を駆動させる電源・制御装置(温度制御用電源部)88とを有し、該電源・制御装置88は、前記温度制御信号に基づいて結晶24及び溶液26の温度が平衡温度となるように制御する。
ここで、結晶24及び溶液26の現在の温度を前記平衡温度にまで変化させる作業は、従来は、作業者の目視による判断(平衡、溶解及び析出の判定)に基づいて、設定温度を変えながら行ってきた。このため、非常に手間がかかる上に、溶解度の測定時間を短縮化することができない。
そのため、本実施形態では、平衡温度計測を効率的に行うため、データ処理装置22において画像処理により濃度分布変化を自動判定し、その結果を用いて恒温ステージ38における温度をフィードバック制御することにより、人手を介さずに、迅速に平衡温度に到達するようにしている。
具体的には、濃度計測装置20を二光束干渉装置で構成し、前記二光束干渉装置では、観測用セル12内の結晶24近傍の干渉縞パターンを計測し、データ処理装置22では、得られた前記干渉縞パターンに対して画像処理を行い、結晶24近傍における溶液26の濃度変化を得る。この場合、前記濃度変化を短時間で算出可能な方法としては、位相シフト干渉法やフーリエ変換法等がある。
ここでは、二光束干渉法を用いた場合のデータ処理の実施例としてフーリエ変換法(例えば、Mitsuo Tanaka, Hideki Ina and Seiji Kobayashi, "Fourier-transform method of fringe-pattern analysis for computer-based topography and interferemetry", J. Opt. Soc. Am, Vol. 72, No.1, January 1982)を用いた処理手順を示す。
結晶24表面での溶解、平衡及び成長のどのステージにあるかを自動判定するためには、結晶24から十分離れたバルク領域(例えば、1[mm]程度)において、計測期間を通して溶質濃度が一定であるとみなせることから、前記バルク領域と結晶24表面近傍の2点間の濃度差あるいは濃度差に創刊する量を求めれば、結晶24表面近傍における濃度変化を知ることができる。
二光束干渉法では、2点間の濃度差は、干渉縞パターンから得られる2点間の光路の位相差として算出される。この算出を自動化するために、上記したフーリエ変換法が適用可能である。
図8は、データ処理装置22において解析される干渉縞90の一例である。解析にあたり、予め2つの評価点(バルク領域のA点及び結晶24表面近傍のB点)を設定する。一次元のフーリエ変換法により、A点及びB点を含む直線C上における位相分布(図9参照)を求めることができる。
ここで、前述した結晶24から離間した箇所(図8のA点)での濃度をリファレンス点とし、A点の濃度に対する結晶24表面(図8のB点)の濃度差(位相差Δφ)を算出することにより濃度変化を知ることができる。
図9は、フーリエ変換法によって、前記リファレンス点(A点)と評価点(B点)との2点を含む直線C上における干渉縞90の画像データを用いて、直線C上の該干渉縞90の位相分布を求めたものである。濃度計測装置20及びデータ処理装置22では、予め、前記リファレンス点と前記評価点とを決めており、所定のサンプリングレートで結晶24近傍の位相変化、すなわち濃度変化を計測することにより、前記評価点での濃度の変化率に相当する情報(干渉縞90の位相の変化率)を得ることができる。そして、濃度時間変化率>0の場合には溶解であると判定し、濃度時間変化率≒0の場合には平衡であると判定し、濃度時間変化率<0の場合には成長であると判定する。
この方法では、データ処理装置22における計算負荷が小さく、1[Hz]程度のサンプリングレートでは、リアルタイムでの処理を行う上で全く問題が無い。また、ノイズが少なければ、干渉縞90の波長の1/30程度の分解能が得られる。
また、図1のデータ処理装置22では、上記した濃度変化(位相変化)を最小化するべく、恒温ステージ38の温度設定値を変化させることにより、自動的に且つ短時間で平衡温度を検索することが可能となる。
図10に、濃度計測装置20、データ処理装置22、電源・制御装置88及び恒温ステージ38を用いた観測用セル12の温度制御を示す制御ブロック図である。
データ処理装置22(図1参照)では、結晶24近傍における溶液26の濃度変化に着目し、該結晶24近傍における濃度の増減がない状態を平衡状態として、観測用セル12内部の温度が前記平衡状態となる温度(平衡温度)となるように、電源・制御装置88を介して恒温ステージ38を駆動制御する。
図10において、検出部92は、濃度計測装置20とデータ処理装置22とに対応し、結晶24近傍の溶液26の濃度(溶質濃度)を定期的に計測する。この場合、計測頻度は、濃度変化による時定数を参考にして決定するが、観測用セル12のサイズが小さくても1[Hz]程度のサンプリング時間で十分である。そして、データ処理装置22では、現在測定したA−B間の濃度差と前回測定したA−B間の濃度差より濃度変化率を求める。
調節部94は、電源・制御装置88に対応し、制御対象96は、観測用セル12の温度に対応している。
データ処理装置22では、求めた前記濃度変化率を濃度変化率の目標値と比較し、その大きさ及び符号から新たな操作量を決定する。この場合、前記濃度変化率の目標値は0であり、該濃度変化率の偏差がある閾値以内であれば、結晶24及び溶液26が平衡状態にあるものと判定し、予め設定した回数の計測で前記平衡状態が所定時間以上保持できていれば、その温度を平衡温度であるものと判定する。
また、データ処理装置22は、前記濃度変化率の偏差がある閾値以上である場合には、恒温ステージ38の温度目標値を変更する。そのときの操作量の決定方法には比例制御、あるいはPI制御、PID制御等が利用可能である。
ここで、複雑な制御を行わなくても、温度制御系の時定数が比較的長いことを考慮して、単純な比例制御により前記濃度変化率について2〜3回程度オーバーシュートを発生させ、その際に上下動する濃度変化率のゼロ点を探索し、温度上昇時と温度低下時の濃度変化率のゼロ点の温度が、所定値(例えば1[℃])以内であれば、それを平衡状態と判断してもよい。
また、制御パラメータとして結晶24表面の濃度変化率を用いる方法以外に、結晶24表面とバルク領域との濃度差を用いることも可能である。このとき、A点とB点の位相差(濃度差に比例する量)あるいは前記位相差の時間変化量に着目することにより、平衡点にあるか否かの自動判定及び平衡温度への自動制御が可能となる。
本実施形態に係る溶解度測定システム10は、以上のように構成されるものであり、次に、該溶解度測定システム10の作用効果について、図1〜図10及び図11〜図13のフローチャートを参照しながら説明する。
ここでは、図4に示すマイクロ流体チップ14を使用した場合における観測用セル12に対する溶液26及び希釈溶液の調整、充填及び排出動作について説明する。また、溶液26は、タンパク質溶液とする。
溶解度測定システム10における溶解度の測定では、(1)ポンプ52、64、66、70、74、78、80の準備、(2)観測用セル12への溶液26の第1回目の充填(初回)、(3)第2回目以降の溶解度測定における溶液26の調整、充填及び排出(2回目以降)及び(4)溶解度測定後の結晶24及び溶液26の回収の4つの作業工程から構成される。
先ず、(1)の作業工程では、ポンプ52、64、66、70、74、78、80に対して図示しない流路内を駆動する駆動用溶液を充填する(ステップS1)。次いで、マイクロ流体チップ14及び観測用セル12に供給する溶液26を初期溶液充填用ポンプ80に充填し、一方で、希釈溶液を溶液充填用ポンプ74に充填する(ステップS2)。次いで、各ポンプ52、64、66、70、74、78、80をマイクロ流体チップ14に接続する(ステップS3)。次いで、マイクロポンプ52、64、66、70、74、78、80を電源・制御装置86に電気的に接続する(ステップS4)。
(1)の作業工程が完了すると、(2)の作業工程に移行する。
(2)の作業工程では、先ず、観測用セル12の収容部28に結晶24を配置する。次いで、電源・制御装置86によって溶液充填用ポンプ80に充填された溶液26を流路33を介して観測用セル12に供給する。これにより、観測用セル12内は溶液26で充填される(ステップS5)。収容部28が溶液26で充填されたことを確認した後に該収容部28及び孔32を蓋体34で閉塞して、該蓋体34とマイクロ流体チップ14とをシールする(ステップS6)。この場合、結晶24及びその過飽和の溶液26を観測用セル12にピペッタ等を用いて直接充填することも可能である。その際には、初期溶液充填用ポンプ80は不要となる。
次いで、恒温ステージ38によって観測用セル12を所定温度に設定し、この所定温度において結晶24の近傍における該溶液26の溶質濃度が濃度計測装置20によって計測される(ステップS7)。この場合、濃度計測装置20で計測された前記溶質濃度がデータ処理装置22に出力され、該データ処理装置22では、結晶24近傍における溶質濃度の濃度変化が所定範囲内であるか否かを判定する。
ここで、前記濃度変化が前記所定範囲内である場合には、データ処理装置22は、結晶24近傍において該結晶24と溶液26とが平衡状態に到達したものと判定し、溶液26の溶質濃度をその温度における溶解度として検出する。一方、前記濃度変化が所定範囲外である場合には、データ処理装置22は、結晶24と溶液26とが平衡状態にないものと判定し、観測用セル12の新たな目標温度を設定し、設定した前記目標温度に基づいて生成した前記温度制御信号を電源・制御装置88に出力する。
電源・制御装置88では、入力された前記温度制御信号に基づいて恒温ステージ38を駆動制御して、観測用セル12の現在の温度を平衡温度となるように調整する。
(3)の作業工程では、先ず、ポンプ52により上記した第1回目の溶解度測定で使用された観測用セル12内の溶液26を流路31側に押し出し、一方で、廃液回収用ポンプ78により吸引し、溶液26を流路31側に引き込む。この結果、観測用セル12の収容部28に充填されている溶液26は、流路31、混合領域54、流路56、定量流路58及び流路76を介して廃液回収用ポンプ78に流れ込む(ステップS8)。
次いで、観測用セル12より排出された溶液26の観測用セル12側の液面位置(最後尾の液面位置)が定量流路58のM点に到達した時にポンプ52、78の動作を停止する(ステップS9)。この場合、CCDカメラ82で前記液面位置を撮影し、データ処理装置84では、該液面位置がM点に到達した際にマイクロポンプ50の動作を停止させる内容の液面位置制御信号を予め電源・制御装置86に出力している。電源・制御装置86では、入力された前記液面位置制御信号に基づいて前記液面位置がM点に到達した際にマイクロポンプ52、78の動作を停止させる。
次に、スプリット用ポンプ70によりスプリット用流路68を経由してS点にエアを押し出し、且つポンプ64を吸引動作させることにより、定量流路58の溶液26をS点において分断する(ステップS10)。さらに、スプリット用ポンプ70とポンプ64の動作を続けることにより、S点からM点の間に存在する溶液26がM点を経由して前置セル60に収容される(ステップS11)。
定量された溶液26が全て前置セル60に充填された後に、溶液充填用ポンプ74により希釈溶液を流路72側に押し出し、一方で、ポンプ66を吸引操作すると、前記希釈溶液は、流路72、S点を経由して定量流路58に流れ込む。その際に、前記希釈溶液の先頭(観測用セル12側の液面位置)がM点に来たときに、ポンプ66、74を停止させ、前記希釈溶液の液面位置をM点に停止させる(ステップS12)。この場合も、溶液26の定量と同様に、マイクロ流体チップ計測制御装置16によって前記希釈溶液の液面位置が前記M点に位置決めされる。
次に、スプリット用ポンプ70により、スプリット用流路68を経由してS点にエアを押し出し、且つポンプ66を吸引動作させることにより、定量流路58内の希釈液体をS点において分断する(ステップS13)。さらに、スプリット用ポンプ70とポンプ66との動作を続けることにより、S点からM点の間に存在する前記希釈溶液がM点を経由して前置セル62に収容される(ステップS14)。
次いで、ポンプ64により前置セル60に充填された溶液26を流路56側に押し出し、且つポンプ66により前置セル62に充填された前記希釈溶液を流路56側に押し出すと共に、ポンプ52により該溶液26及び前記希釈溶液を流路56側に引き込む。これにより、溶液26及び前記希釈溶液は、流路56を介して混合領域54に導入され(ステップS15)、該混合領域54では、導入された溶液26及び前記希釈溶液を混合して、第1回目の溶解度測定で使用された溶液26よりも濃度の低い新たな溶液26を生成する。
次いで、ポンプ52、64、66は、混合領域54で生成された濃度の低い新たな溶液26を流路31を介して観測用セル12に導入する(ステップS16)。
観測用セル12では、導入された新たな溶液26に対する結晶24近傍における溶解濃度が計測される(ステップS17)。なお、ステップS7での計測は、ステップS7と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
次いで、濃度計測装置20やデータ処理装置84では、ステップS17で行われた溶解度測定が最終回の測定であったか否かを判定する(ステップS18)。この場合、例えば、濃度計測装置20やデータ処理装置84において、溶解度を計測した毎にカウントし、所定回数に到達したか否かで判定してもよい。ステップS18において、ステップS17の溶解度測定が最終回でなかった場合には、ステップS8〜S17の工程を再度行う。一方、ステップS18において、ステップS17の溶解度測定が最終回であった場合には、(4)の作業工程に移行する。
(4)の作業工程では、先ず、ステップS8の工程と同様の動作によって、観測用セル12内の溶液26を流路31、混合領域54、流路56、定量流路58及び流路76を介して廃液回収用ポンプ78に回収する(ステップS19)。次いで、蓋体34を観測用セル12から取り外し、収容部28より結晶24を回収する(ステップS20)。
このように、本実施形態に係る溶解度測定システム10によれば、マイクロ流体チップ計測制御装置16によって、マイクロ流体チップ14から観測用セル12に対する溶液26の供給及び排出制御を自動的に行い、温度制御装置18によって、観測用セル12内の温度制御を自動的に行い、濃度計測装置20によって、溶質濃度計測を自動的に行う。すなわち、溶解度測定システム10では、人手を介することなく観測用セル12に対する溶液26の駆動制御と、観測用セル12の温度制御と、前記溶質濃度及び前記溶解度の計測を自動的に行う。これにより、前記溶質濃度及び前記溶解度の計測時間を短縮することが可能となる。また、マイクロ流体チップ14及びマイクロ流体チップ計測制御装置16を用いることにより、微少量の溶液26の操作を簡便あるいは自動で行うことができるため、観測用セル12の小型化が可能となる。該観測用セル12の小型化は、一つには、使用するサンプル量の低減と、計測時間の短縮につながる。
ここで、観測用セル12における結晶24及び溶液26の容量を10[μl]以下とすれば、前記計測時間を一層短縮することができる。
また、マイクロ流体チップ14は、リザーバ付ポンプ74、74i、80、定量流路58及び混合領域54を有し、該定量流路58は、リザーバ付ポンプ74、74i、80に充填された溶液26や希釈溶液を所定量だけ各々計量し、混合領域54は、定量流路58で計量された溶液26及び前記希釈溶液を混合して、混合された溶液26及び前記希釈溶液を観測用セル12に供給する。この場合、所望濃度の溶液26を自動的に調整して観測用セル12に供給することができるので、前記計測時間のさらなる短縮化を実現することができる。
さらに、マイクロ流体チップ14では、複数の前置セル60、60i、62を有し、混合領域54は、前置セル60、60i、62に収容された溶液26及び前記希釈溶液を混合して、混合された溶液26及び前記希釈溶液を観測用セル12に供給するので、所望濃度の溶液26を正確に調整して観測用セル12に供給することができる。
さらにまた、マイクロ流体チップ14では、溶解度測定のために観測用セル12内で使用された溶液26をスプリット用流路68に導いた後に、混合領域54にて、スプリット用流路68の使用済みの溶液26と計量された希釈溶液とを混合して観測用セル12に供給する。これにより、一度使用した溶液26を繰り返し利用することができるので、溶解度測定に必要な溶液26の総量を削減することが可能となり、システムの運用コストを低減することができる。
さらにまた、第1回目の溶解度測定では最も濃度の高い溶液26が観測用セル12に供給され、第2回目以降では、濃度の低い溶液26が観測用セル12に順次供給されて溶解度測定が順次行われる。すなわち、濃度の高い溶液から順に前記溶解度測定が行われるので、貴重なサンプル用の溶液26としては初期導入分のみの使用で済み、サンプル用の溶液26の使用量を最小化することができる。
さらにまた、マイクロ流体チップ14を観測用セル12に内蔵すれば、システム全体の小型化を図ることができる。
さらにまた、CCDカメラ82は、溶液26及び希釈溶液の液面位置を撮影し、データ処理装置84は、CCDカメラ82からの画像に基づいて液面位置制御信号を生成し、電源・制御装置86は、前記液面位置制御信号に基づいてマイクロポンプ50を駆動し、前記液面位置をM点にまで変位させる。すなわち、マイクロ流体チップ計測制御装置16は、マイクロ流体チップ14中の溶液26及び前記希釈溶液に対して前記液面位置のフィードバックを行っている。これにより、溶液26及び前記希釈溶液の液面位置を正確に制御することができると共に、観測用セル12に対して所望量の溶液26を正確に供給及び排出することが可能となる。
また、データ処理装置22は、温度制御信号を生成し、電源・制御装置88は、前記温度制御信号に基づいて恒温ステージ38を駆動し、観測用セル12内の温度を平衡温度にまで変位させる。すなわち、データ処理装置22及び温度制御装置18は、観測用セル12内の溶液26及び結晶24に対する温度のフィードバックを行っている。これにより、溶液26及び結晶24の温度を速やかに前記平衡温度にまで調整することが可能となり、溶解度の計測時間をより一層短縮化することができる。
さらにまた、ミラー36は、結晶24のサイズに対応して観測用セル12の厚み方向(光の進行方向)に沿って変位することが可能であるので、異なったサイズの結晶24を測定する場合にも、それぞれのサイズ(セル高さ)に合わせた観測用セル12を用意する必要が無く、測定をより正確に且つ効率的に行うことができる。
なお、本発明に係る溶解度測定システムは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
本実施形態に係る溶解度測定システムの概略ブロック図である。 図1の観測用セルの要部断面図である。 図1の観測用セルの他の構成を示す要部断面図である。 図1の観測用セルを内蔵するマイクロ流体チップの概略平面図である。 図4のマイクロ流体チップを簡素化したマイクロ流体チップの平面図である。 図4のマイクロ流体チップを一部変更したマイクロ流体チップの平面図である。 図4のマイクロ流体チップの具体例を示す平面図である。 図1のデータ処理装置において解析される干渉縞の一例を示す平面図である。 図1のデータ処理装置において算出された干渉縞の位相分布である。 観測用セルに対する温度制御を示す制御ブロック図である。 観測用セルに対する溶液の調整、供給及び排出動作を説明するためのフローチャートである。 観測用セルに対する溶液の調整、供給及び排出動作を説明するためのフローチャートである。 観測用セルに対する溶液の調整、供給及び排出動作を説明するためのフローチャートである。 従来技術に係る溶解度測定システムの要部断面図である。 結晶近傍における干渉縞が変化するまでの状況を説明するフローチャートである。 図16Aは、平衡状態における干渉縞の状態を示す平面図であり、図16Bは、結晶成長により結晶近傍の溶質濃度が変化したときの干渉縞の状態を示す平面図であり、図16Cは、結晶溶解により結晶近傍の溶質濃度が大きく変化したときの干渉縞の状態を示す平面図である。
符号の説明
10…溶解度測定システム 12…観測用セル
14…マイクロ流体チップ 16…マイクロ流体チップ計測制御装置
18…温度制御装置 20…濃度計測装置
22、84…データ処理装置 24…結晶
26…溶液 28…収容部
30、31、33、56、72…流路
34…蓋体 36…ミラー
38…恒温ステージ 40…ステージ
50、52、64、64i、66…ポンプ
54…混合領域 58…定量流路
60、60i、62…前置セル 68…スプリット用流路
70…スプリット用ポンプ 74、74i…溶液充填用ポンプ
76…排出用流路 78…廃液回収用ポンプ
80…初期溶液充填用ポンプ 82…CCDカメラ
86、88…電源・制御装置 90…干渉縞
92…検出部 94…調節部
96…制御対象

Claims (13)

  1. 溶解度を測定する試料用の結晶及び溶液を収容する観測用セルと、
    前記観測用セルに対する前記溶液の供給及び排出を行うマイクロ流体チップと、
    前記マイクロ流体チップから前記観測用セルに対する前記溶液の供給及び排出を制御するマイクロ流体チップ制御装置と、
    前記観測用セル内を前記所定温度に制御する温度制御装置と、
    前記結晶近傍の溶質濃度変化から該結晶の溶解、平衡及び成長を判別するために前記溶液の前記結晶近傍における溶質濃度を計測する濃度計測装置と、
    を有し、
    前記温度制御装置は、前記観測用セル内の温度を前記結晶と前記溶液との平衡温度にまで変化させ、
    前記平衡温度における溶質濃度を前記溶液に対する前記結晶の溶解度として計測する
    ことを特徴とする溶解度測定システム。
  2. 請求項1記載の溶解度測定システムにおいて、
    前記観測用セルにおける前記結晶及び前記溶液の容量は、10[μl]以下である
    ことを特徴とする溶解度測定システム。
  3. 請求項1又は2記載の溶解度測定システムにおいて、
    前記マイクロ流体チップは、前記観測用セルに接続され且つ前記観測用セルに前記溶液を供給する供給用流路と、前記観測用セルに接続され且つ前記観測用セルより前記溶液を排出する排出用流路とを有する
    ことを特徴とする溶解度測定システム。
  4. 請求項3記載の溶解度測定システムにおいて、
    前記マイクロ流体チップは、複数の溶液が導入される複数の溶液導入部と、前記各溶液導入部に接続される定量流路と、前記定量流路及び前記観測用セルに各々接続される溶液混合部とをさらに有し、
    前記定量流路は、前記溶液導入部に導入された前記各溶液を所定量だけ各々計量し、
    前記溶液混合部は、前記定量流路で計量された前記各溶液を混合して、混合された前記各溶液を前記観測用セルに供給する
    ことを特徴とする溶解度測定システム。
  5. 請求項4記載の溶解度測定システムにおいて、
    前記マイクロ流体チップは、前記溶液混合部と前記定量流路とに各々接続され且つ計量された前記各溶液を収容する複数の前置セルをさらに有し、
    前記溶液混合部は、前記各前置セルに収容された前記各溶液を混合して、混合された前記各溶液を前記観測用セルに供給する
    ことを特徴とする溶解度測定システム。
  6. 請求項4又は5記載の溶解度測定システムにおいて、
    前記マイクロ流体チップは、前記定量流路及び前記溶液混合部を介して前記観測用セルに接続されると共に、前記溶液導入部に接続されたスプリット用流路をさらに有し、
    外部より前記スプリット用流路を介して前記定量流路に空気を送り込むことにより、前記定量流路内に導入された前記各溶液を所定量に分割する
    ことを特徴とする溶解度測定システム。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の溶解度測定システムにおいて、
    前記排出用流路は、前記定量流路及び前記溶液混合部を介して前記観測用セルと接続されている
    ことを特徴とする溶解度測定システム。
  8. 請求項4〜7のいずれか1項に記載の溶解度測定システムにおいて、
    前記溶液導入部に導入される前記各溶液は、前記供給用流路より前記観測用セルに供給される溶液を希釈するための希釈溶液であり、
    前記溶解度測定システムは、前記供給用流路より前記観測用セルに供給された溶液による前記結晶の溶解度を計測した後に、前記各希釈溶液によって希釈された溶液を用いて前記結晶の溶解度を順次計測する
    ことを特徴とする溶解度測定システム。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の溶解度測定システムにおいて、
    前記マイクロ流体チップは、前記観測用セルを内蔵する
    ことを特徴とする溶解度測定システム。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の溶解度測定システムにおいて、
    前記マイクロ流体チップ制御装置は、前記マイクロ流体チップ近傍に配置されたカメラと、前記カメラに電気的に接続される溶液位置監視部と、前記溶液位置監視部に電気的に接続される溶液制御用電源部と、前記溶液制御用電源部に電気的に接続され且つ前記マイクロ流体チップ内における前記溶液の移動を制御するマイクロポンプとを有し、
    前記カメラは、前記マイクロ流体チップにおける前記溶液の前記観測用セル側の液面位置を撮影して、撮影した画像を前記溶液位置監視部に出力し、
    前記溶液位置監視部は、入力された前記画像に基づいて前記液面位置を所定位置にまで変位させるための液面位置制御信号を生成して前記溶液制御用電源部に出力し、
    前記溶液制御用電源部は、入力された前記液面位置制御信号に基づいて前記マイクロポンプを駆動し、前記液面位置を前記所定位置にまで変位させる
    ことを特徴とする溶解度測定システム。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の溶解度測定システムにおいて、
    前記濃度計測装置と電気的に接続される濃度分布変化算出装置をさらに有し、
    前記温度制御装置は、前記濃度分布変化算出装置に電気的に接続される温度制御用電源部と、前記温度制御用電源部に電気的に接続され且つ前記観測用セル内の温度を調整する温度調整部とを有し、
    前記濃度分布変化算出装置は、前記濃度計測装置より入力された前記溶質濃度に基づいて前記結晶近傍における前記溶質濃度の濃度分布変化を算出し、算出した前記濃度分布変化に基づいて前記観測用セル内の現在の温度を前記平衡温度にまで変化させる温度制御信号を生成して前記温度制御用電源部に出力し、
    前記温度制御用電源部は、入力された前記温度制御信号に基づいて前記温度調整部を駆動し、前記観測用セル内の温度を前記平衡温度にまで変化させる
    ことを特徴とする溶解度測定システム。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の溶解度測定システムにおいて、
    前記濃度計測装置は、二光束干渉装置であり、
    前記観測用セルの底部には、反射用ミラーが形成されている
    ことを特徴とする溶解度測定システム。
  13. 請求項12記載の溶解度測定システムにおいて、
    前記ミラーは、前記結晶のサイズに対応してその位置を変化することにより、前記観測用セルの上部との距離を変更可能とする
    ことを特徴とする溶解度測定システム。
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