JP2006275657A - 光導波路型センサ - Google Patents

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正明 乘松
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理彦 安藝
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健志 藤原
Shunsaku Takeishi
俊作 武石
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Abstract

【課題】 マッハツェンダー型光導波路を有する光導波路型センサであって、単純な構造で操作性に優れた光導波路型センサを提供する。
【解決手段】 光が入力される入力側光導波路と、前記入力側光導波路より分岐する2つの干渉系光導波路と、前記2つの干渉系光導波路が合流される出力側光導波路と、前記前記干渉系光導波路に設けられた、検出対象物を検出する検出部と、前記出力側光導波路より出力される光量を検出する光量検出手段と、前記検出部に電界を発生させる電界発生手段と、前記光量検出手段で検出される光量に応じて前記電界発生手段を制御して当該電界を変化させる制御手段と、を有することを特徴とする光導波路型センサ。
【選択図】 図4

Description

本発明は、光導波路に検出部を有する光導波路型センサに係り、特には干渉系を構成する複数の光導波路を有する光導波路型センサに関する。
例えば、ダイオキシン類や、または所定のたんぱく質などの検出対象物の検出に用いられる測定方法としては、GC/MSを用いた測定方法が知られている。しかし、これらの方法では、測定結果が判明するまでに時間を要し、またその測定や結果の分析は複雑な手法を用いる必要があるという問題があった。
そこで、上記の測定対象物の検出方法として、例えば光学干渉系を構成する光導波路(マッハツェンダー型光導波路)を有する光導波路型センサを用いた方法が提案されていた(例えば非特許文献1参照)。
図1は、従来提案されていた光導波路型センサの構成を模式的に示した平面図である。図1を参照するに、本図に示す光導波路型センサ10は、例えばガラスなどからなる基板suに形成されている、いわゆるマッハツェンダー型光導波路を有している。
前記マッハツェンダー型光導波路は、例えば、レーザーダイオードなどの光源11より光が入射される入力側光導波路12と、当該入力側光導波路12より分岐する2つの干渉系光導波路13,14と、前記2つの干渉系光導波路が合流され、位相差検出手段16が接続される、出力側光導波路15より構成されている。
前記干渉系光導波路13には、測定対象物を検出するための検出部20が形成されている。前記検出部20では、前記干渉系光導波路13上に、測定対象物が結合されるように構成された結合膜21が設置されている。
さらに、当該結合膜21に接するように、検出対象物を含む溶媒が流れる流路が形成されるような構造となっている。前記流路は、流路形成構造23を、前記結合膜21上に設置することにより形成される。本図では、構造を明らかにするため、当該流路形成構造23が、前記干渉系光導波路13より脱着された状態を示している。
前記流路形成構造23は、底部に形成された溝部23Aに連通する、測定対象物を含む溶媒の供給口と排出口を有している。前記流路形成構造23が前記結合膜21を覆うようにして前記干渉系光導波路13上に設置された場合、前記結合膜21上の前記溝部23Aは、前記溶媒が流れる流路となる。
この場合、前記流路形成構造23の前記開口部から、検出対象物を含む溶媒が供給されることで、前記流路を溶媒が流れる構造になっている。
図2は、図1のa−a’断面を模式的に示した図である。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。図2を参照するに、前記溝部23A(流路)を流れる溶媒中の測定対象物、例えば抗原agは、前記干渉系光導波路13上に設置された前記結合膜21に結合された、抗体abに結合する。すなわち、前記結合膜21には、測定対象物を捕捉する(結合させる)ための、抗体が結合されていることが好ましい。
ここで、前記抗体abにより、抗原agが捕捉されると、前記結合膜21近傍の溶媒の密度が高くなり、そのため、前記溶媒の屈折率が変化する。ここで、屈折率が変化することで、前記干渉系光導波路13を進行していた光の一部が、前記干渉系光導波路13より外部に漏れる現象が生じる(エバネッセント光)。この場合、前記結合膜は光が透過する材料を用いるか、または光が透過する程度に薄くされることが好ましい。
このため、前記干渉系光導波路13を進行する光の位相が変化し、前記干渉系光導波路14を進行した光と合流した後、前記出力側光導波路15側では光の干渉が生じることになる。
この場合、溶媒中に含まれる測定対象物(抗原)の濃度に応じて光の干渉が変化するため、光の位相のずれを検出することで、溶媒中の測定対象物の濃度を算定することが可能となる。
図3は、上記の光導波路型センサを用いた検出結果を示す図であり、横軸にダイオキシン抗原の濃度を、縦軸には前記出力側光導波路15に接続された位相差検出手段16によって検出された光の位相差を示したものである。
図3を参照するに、前記位相差と、測定対象物であるダイオキシン抗原の濃度は、例えば0.1〜1μmg/mlの濃度範囲で良好な線形性が確認されている。
S.Wilkinson,K.Kawaguchiet al, "Integrated Optical Dual Mach-Zehnder Interferometer Sensor "Sensors and Actuators B,10(2002)250-257
しかし、上記の光導波路型センサの場合、検出対象物の結合量(濃度)は、位相変化量(位相差)として検出されるため、その検出のための測定にコストが係るとともに、光導波路型センサの構成が複雑になる問題があった。
例えば、前記位相差検出手段16としては、例えばロックインアンプなどの高価な機器を用いる必要があり、装置の構成や測定方法が複雑となるともに、測定のためにコストがかかる問題が生じていた。
また、測定条件によっては、測定のダイナミックレンジが実質的に狭くなってしまう問題があった。例えば、測定の前後における位相の変化が、360度(または0度)をまたいで起こる場合には、位相差の検出の判断が難しくなる場合がある。そのため、測定の前後の位相差の変化は、360度(または0度)をまたがないことが好ましい。
しかし、検出の対象となる溶媒の検出対象物の濃度が0であった場合にも干渉系光導波路には位相差が生じてしまう場合があり、位相差がオフセット値をもってしまう場合があった。例えば、前記干渉系光導波路13には検出部が設置され、さらに当該検出部の結合膜には抗体が結合されるため、測定対象である抗原が結合される以前においても前記干渉系光導波路13と前記干渉系光導波路14との間に位相差(オフセット値)が発生する。すなわち、前記干渉系光導波路13と前記干渉系光導波路14との間の位相差を0にすることは実質的に困難である。このため、測定の前後の位相差の変化が、360度(または0度)をまたいで起こる可能性が増大し、実質的なダイナミックレンジが狭くなることが考えられる。
また、検出部は検出対象を含む溶媒に曝されるため、定期的に洗浄を行うなどのメンテナンスを行う事が好ましい。この場合、前記結合膜を洗浄する場合にはマッハツェンダー型光導波路ごと洗浄する必要があり、メンテナンスが困難であるという問題があった。
本発明では上記の問題を解決した、新規で有用な光導波路型センサを提供することを統括的課題としている。
本発明の具体的な課題は、マッハツェンダー型光導波路を有する光導波路型センサであって、単純な構造で操作性に優れる光導波路型センサを提供することである。
本発明では上記の課題を、光が入力される入力側光導波路と、前記入力側光導波路より分岐する2つの干渉系光導波路と、前記2つの干渉系光導波路が合流される出力側光導波路と、前記前記干渉系光導波路に設けられた、検出対象物を検出する検出部と、前記出力側光導波路より出力される光量を検出する光量検出手段と、前記検出部に電界を発生させる電界発生手段と、前記光量検出手段で検出される光量に応じて前記電界発生手段を制御して当該電界を変化させる制御手段と、を有することを特徴とする光導波路型センサにより、解決する。
本発明によるマッハツェンダー型光導波路を有する光導波路型センサは、単純な構造で操作性に優れた特徴を有する。
本発明によれば、マッハツェンダー型光導波路を有する光導波路型センサであって、単純な構造で操作性に優れた光導波路型センサを提供することが可能となる。
本発明では、検出部が設けられたマッハツェンダー型の光導波路を有する光導波路型センサにおいて、検出部の光導波路に電界が形成されるようにしている。さらに当該電界を制御する制御手段を設けている。上記の構成とすることで、例えば測定の前後において、光の干渉による光量が同一となるように電界(電圧)を制御することで、測定の前後の状態変化を電圧差として検出することが可能なる。
従来は測定の前後の状態変化を光の位相差として捉えていたため、例えば位相差を検出するためのロックインアンプなどの高価な装置を必要としていた。一方で、本発明による光導波路型センサの場合、測定の前後の状態変化を電圧差として検出することが可能とるため、ロックインアンプなどの位相差を検出する手段が不用となる効果を奏する。
また、本発明による光導波路型センサでは、干渉系を構成する2つの光導波路において、検出部を設けることによる位相差のオフセットが測定にあたって問題になることがなく、実質的なダイナミックレンジが広くなる効果を奏する。
また、本発明による光導波路型センサでは、干渉系を構成する光導波路に設置された検出部の装脱着が可能な構造となっている。このため、検出対象物を含む溶媒に接触する部分の洗浄や交換などのメンテナンスが容易となる特徴を有する。
次に、本発明による光導波路型センサの構造の詳細な例について、図面に基づき以下に説明する。
図4は、本発明の実施例1による光導波路型センサの構成を模式的に示した平面図である。図4を参照するに、本図に示す光導波路型センサ100は、例えばガラスなどからなる基板SUに形成されている、いわゆるマッハツェンダー型光導波路を有している。
前記マッハツェンダー型光導波路は、例えば、レーザーダイオードなどの光源101より光が入射される入力側光導波路102と、当該入力側光導波路102より分岐する2つの干渉系光導波路103,104と、前記2つの干渉系光導波路が合流され、光量検出手段106が接続される、出力側光導波路105より構成されている。
前記干渉系光導波路103には、測定対象物を検出するための検出部200が形成されている。前記検出部200では、前記干渉系光導波路103中に、検出用光導波路201が設置されている。当該検出用光導波路201上には、測定対象物が結合されるように構成された結合膜202が設置されている。平面視した状態(本図)では前記検出用導波路201は、前記結合膜202に覆われた構造となっている。
また、前記検出用光導波路201と、前記結合膜202を含む検出部構造250は、当該干渉系光導波路103より装脱着可能に構成されている。これらの構造の詳細については後述する。
さらに、前記結合膜202に接するように、検出対象物を含む溶媒が流れる流路が形成されるような構造となっている。前記流路は、流路形成構造203を、前記結合膜202上に設置することにより形成される。前記流路形成構造203は、前記基板SUに形成された開口部201Aに設置される構造になっている。本図では、構造を明らかにするため、当該流路形成構造203が脱着された状態を示している。
前記流路形成構造203は、底部に形成された溝部203Aに連通する、測定対象物を含む溶媒の供給口と排出口を有している。前記流路形成構造203が前記結合膜202を覆うようにして前記検出用光導波路201上に設置された場合、前記結合膜202上の前記溝部203Aは、前記溶媒が流れる流路となる。
この場合、前記流路形成構造203の前記開口部から、検出対象物を含む溶媒が供給されることで、前記流路を溶媒が流れる構造になっている。
本実施例による光導波路型センサでは、前記検出部200の前記検出用光導波路201に電界を発生させるための、電界発生手段を設けている。当該電界発生手段は、パソコンなどよりなる制御手段401に接続される電圧駆動手段301と、当該電圧駆動手段により電圧が印加される、前記検出用光導波路201を挟んで対向するように設置された一対の電極204,205を有している。
当該電界発生手段は、前記制御手段401によって前記検出用光導波路201に発生する電界が制御されるように構成されている。また、電界を発生させるための電圧は、前記電極204,205の間に印加されるのみならず、必要に応じて前記結合膜202と、前記電極204,205の間のいずれかに印加することが可能なように構成されている。
次に、これらの電圧印加の方法と、測定方法の詳細について、上記光導波路型センサ100の、A−A’断面を用いて説明する。
図5A,図5Bは、図4のA−A’断面の一部を模式的に示した図である。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。また図5Aには前記検出用光導波路201に電界を発生させるための第1の方法を、図5Bには前記検出用光導波路201に電界を発生させるための第2の方法をそれぞれ示している。これらの図においては導波路への電界の印加方法が異なっており、最大の電気光学効果が得られる方向に電界を印加すると効率良く変調をかけられる。一例としてニオブ酸リチウムについて説明するとこの結晶は一軸性結晶であり、屈折率楕円体はZ軸に対して回転対称であり、Z軸方向に電界を印加すると最大の電気光学効果を得ることができる。従ってZ軸が結晶の面内にあるように切り出した結晶(例えばX板(X軸に垂直な面で切り出した板))の場合には図5Aのように電界をかける。またZ軸が結晶の面と垂直方向になっている場合(例えばZ板)には図5Bのように電界をかけると効率的である。
図5Aを参照するに、本図では図示を省略する前記溝部203A(流路)を流れる溶媒中の測定対象物、例えば抗原AGは、前記検出用光導波路201上に設置された前記結合膜202に結合された、抗体ABに結合する。すなわち、前記結合膜202には、測定対象物を捕捉する(結合させる)ための、抗体が結合されていることが好ましい。
ここで、前記抗体ABにより、抗原AGが捕捉されると、前記結合膜202近傍の溶媒の密度が高くなり、そのため、前記溶媒の屈折率が変化する。ここで、屈折率が変化することで、前記検出用光導波路201を進行していた光の一部が、前記検出用光導波路201より外部に漏れる現象が生じる(エバネッセント光)。この場合、前記結合膜は光が透過する材料を用いるか、または光が透過する程度に薄くされることが好ましい。
このため、前記検出用光導波路201を進行する光の位相が変化し、前記干渉系光導波路14を進行した光と合流した後、前記出力側光導波路105側では光の干渉が生じることになる。このため、干渉によって検出される光量が変化する場合がある。
この場合、本実施例による光導波路型センサでは、前記検出用光導波路201に電界を発生させ、当該電界によって光の位相の変化を制御している。具体的には、例えば以下のようにして検出対象物の定量を行っている。また、前記検出用光導波路201は、電気光学結晶よりなることが好ましく、例えばニオブ酸リチウムを用いて形成することが好ましい。
例えば、まず検出対象物(抗原AG)を含まない溶媒を流路に流して前記光量検出手段106により検出される第1の光量を前記制御手段401に記憶する(第1の状態)。
次に、検出対象物(抗原AG)を含む溶媒を流路に供給して、前記結合膜202に前記抗体ABを介して前記抗原AGを結合させる。この場合に前記光量検出手段406によって検出される第2の光量が、前記第1の光量と同じになるように、前記制御手段401を用いて前記検出用光導波路201の電界を制御する(第2の状態)。すなわち、前記電圧駆動手段301を制御し、前記電極204,205の間に係る電圧を制御する。
この場合、前記結合膜202に結合した測定対象物の量(溶媒の測定対象物の濃度)は、前記第1の状態と前記第2の状態における電圧差dVとして定量化することができる。上記の場合、第1の状態において電圧は印加されていないため、電極間の電圧は略0であり、前記第2の状態において印加された電圧が電圧差dVとなる。
このため、前記光導波路型センサ100を用いた場合には、測定対象物の結合量または濃度を電圧で定量化することが可能となっている。また、当該電圧は、前記光量検出手段106によって検出された光量に対応して制御されている。
このため、従来のように、干渉系を構成する光導波路の位相差を検出する必要がない。そのために、例えばロックインアンプのような、位相差を検出するための高価な装置が不用となり、光導波路型センサの構成を単純にすることが可能となり、また操作が容易となる効果を奏する。
例えば、前記光量検出手段106には、フォトダイオードのような素子を用いればよく、必要に応じてフォトダイオードとA/D変換手段を組み合わせて用いればよい。また、A/D変換手段は、前記制御手段401側に組み込んでもよい。
上記のような構成とすることで、センサ全体の構成がシンプルとなり、また操作が容易となる。
また、上記の方法において、例えば前記第1の状態において、前記制御手段401を用いて前記検出用光導波路201の電界を制御してもよい。すなわち、前記電圧駆動手段301を制御し、前記電極204,205の間に係る電圧を制御してもよい。
例えば、前記第1の状態において、前記検出用光導波路201の電界を制御して前記第1の光量を最大光量とし、前記第2の光量も同様の光量となるように制御してもよい。
また、以下に説明するように、前記第1の光量を所定の光量とすると、前記光導波路型センサ100の実質的なダイナミックレンジを広げることも可能である。
例えば、前記第1の状態における前記第1の光量を、最大光量の1/2とすると、実質的なダイナミックレンジを広くすることが可能である。例えば、前記光量検出手段106で検出される光量の変化は、干渉系を構成する光導波路の位相差の変化に対応し、位相差は0〜360度の間で周期的に変化するため、光量の変化も周期的におこることになる。
そのため、前記第2の状態における光量の合わせこみの判断が困難となる場合がある。そこで、光量が増大または減少した場合のいずれの場合にも対応するために、前記第1の光量を、最大光量の1/2とすると、実質的なダイナミックレンジを広くすることが可能となる。
またこの領域では電圧と出力光量の変化量が最大でもあるのであらかじめこの電圧を印可しておけば高感度で測定をおこなえる。
次に、図5Bを参照するに、本図に示す前記検出用光導波路201に電界を発生させるための第2の方法の場合では、前記検出用光導波路201に発生させる電界の向きが前記第1の場合と異なっている。
本図に示す場合、前記電圧駆動手段301を制御し、前記結合膜202と、電極205の間に係る電圧を制御している。このように、前記検出用光導波路201には、抗原や抗体などの特性に対応して、電界の方向が変更可能に構成されていることが好ましい。また、電極と結合膜は別途形成してもよく、例えば結合膜の下に(結合膜と検出用光導波路の間に)電極を設けてもよい。
また、前記結合膜202は、抗体を結合させることが容易であり、かつ電極として用いる場合に低抵抗であることが好ましい。また、前記結合膜202は光を透過することが好ましいため、光が透過する程度に薄く形成することが可能な材料を用いることが好ましい。このような条件を満たす材料として、前記結合膜201には、例えば例えばAu膜を用いることが好ましい。また、Au膜のほかにも、例えばAg膜を用いることも可能である。
また、前記結合膜202に、典型的な抗体を結合させた例を、図6に示す。
図6を参照するに、例えばAuよりなる結合膜には、図に示すように、リンカーを用いて抗体を結合させることが可能である。
また、例えば抗原などを検出する検出部は、抗原を含む溶媒に曝されるため、繰り返し使用する場合の測定の前に、または定期的に、洗浄されることが好ましい。そこで、本実施例による光導波路型センサでは、以下に示すように、前記検出部200のうち、前記検出用光導波路201と、前記結合膜202を含む検出部構造250が、前記干渉系光導波路103より装脱着可能に構成されている。
図7は、図4に示した光導波路型センサ100のA−A’断面図であり、本図には前記基板SU、前記干渉系光導波路103、および前記流路形成構造203を含めた構造を示してあり、前記検出部構造250の設置方法を示している。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図7を参照するに、前記干渉系光導波路103には溝部103Aが形成され、当該溝部103Aに埋設されるように前記検出部構造250が設置される。なお、本図においては前記検出用光導波路201および前記結合膜202は図示を省略している。この場合、前記検出部構造250と前記干渉系光導波路103の間に、例えばエチレングリコールなどの充填材を塗ることで、前記干渉系光導波路103から前記検出用光導波路201へ到達する光量の減少を防ぐことができる。
また、前記検出部構造250上には、前記溝部203Aが前記検出部構造250上に流路を構成するように、前記流路形成構造203が設置される。この場合、前記流路形成構造203にはシール溝203Bが形成され、当該シール溝203Bにはリングシール206が挿入されて溶媒を流路内に密封している。
また、例えば、前記干渉系光導波路103の周囲に形成される基板SUの幅は30mm、前記基板SUの厚さは10mm、前記検出部構造250の幅は5mm、厚さを1mm、前記流路形成構造203の厚さを8mm、前記流路203Aの深さを500μmとする。上記の大きさは一例であり、本発明は上記の寸法に限定されるものではない。
また、前記検出部構造250の構造の構成の詳細の一例を図8に示す。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図8を参照するに、前記検出部構造250は、例えば以下のように構成される。前記検出用光導波路201は、例えば光透過性のケース208の溝部208Aに収納され、当該溝部208Aの開口部を覆うように、前記結合膜202が形成された、光透過性の保護膜201Aが設置される。この場合、前記結合膜202の厚さは、例えば50nm、前記保護膜201Aの厚さは、例えば150μmとする。この場合、前記結合膜201を洗浄する場合に、当該保護膜201Aと共に、前記検出用光導波路201より分離することが可能な構造になっていることが特徴である。
例えば、前記検出用光導波路201は、電気光学結晶よりなることが好ましく、例えばニオブ酸リチウムを用いて形成することが好ましい。このような材料は、潮解性を有しているものもあり、前記結合膜202と共に洗浄することが困難である。
そのため、前記結合膜202を洗浄する場合には、前記結合膜202は、前記検出用光導波路201より分離される構造であることが好ましい。しかし、前記結合膜202は、例えば蒸着法により形成され、厚さが50nm程度と薄いため、当該結合膜202単独で前記検出用光導波路201に装脱着することは困難である。
そのため、前記結合膜202は、光透過性の前記保護膜201A上に形成され、当該保護膜201Aと共に前記検出用光導波路201に装脱着される構造とされている。また、前記保護膜201Aは、電気光学定数が0でない材料を用いることが好ましいが、電気工学定数が略0であるもの(例えばガラス)を用いて形成してもよい。また、前記保護膜201Aは、潮解性を有する光導波路を保護する機能も有している。
また、前記ケース208と前記検出用光導波路201との間には、例えばエラストマー材料などよりなるシールリング207が挿入されている。当該シールリング207は、前記ケース208の溝部より突出する大きさのものが装着されることが好ましい。この場合に前記シールリング207は、前記保護膜201Aに接触する構造になり、前記検出用光導波路201と、測定対象物を含む溶媒が直接接触することを防止し、当該検出用光導波路201を当該溶媒より隔絶した構造として当該検出用光導波路201を保護することが可能となる。
実施例1では前記検出部構造250にのみ電気光学結晶を用いているが、当該検出部構造250以外の部分(例えば基板)を電気光学結晶を用いて形成しても良い。実施例1ではイオン注入のための装置と電気光学結晶に導波路を作製するための装置が必要であるが、この方法にすれば後者の装置のみで良く、経済的である。
図9には、本発明の実施例2による光導波路センサ100Aを示す。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。図9を参照するに、本実施例による構成では、基板SU’は電気光学結晶よりなり、当該基板SU’に導波路が形成されている(例えばニオブ酸リチウムではチタンの熱拡散により形成できる)。当該基板SU’の切り出し方向により、最大の電気光学効果が得られるように前記電極204、205や、前記結合膜202を配置する(図5Aや図5Bに示した場合と同様)。前記結合膜202上には、前記流路形成構造203が設置され、流路を流れてきたサンプルと前記結合膜202上に固定された物質とを相互作用させる構造は実施例1の場合と同様である。
また、前記検出部構造250(検出導波路と電極と結合膜を含む構造)を実施例1のように装脱可能な構造にしてもよい。
また、例えば、導波路の作成方法としては、樹脂(例えばPMMA)により形成する方法があるが、この場合は導波路の形成される深さは100μm程度である。一方、ガラス基板にカリウムなどのイオンを打ち込む方法、または電気光学結晶にチタンなどの熱拡散による形成する方法(本実施例)では、導波路の深さは数μm程度と非常に薄くなる。このため、例えば検出部構造250は、検出用導波路と検出用導波路周囲のクラッドに相当する部分、および電極を含めた構造とし、当該検出部構造250が装着される相手側(基板側)には導波路が形成されていない構造とすると好適である。
上記の実施例で説明した光導波路型センサを用いることにより、例えばダイオキシンなどの物質や、特定のたんぱく質などの定量を、容易に実施することが可能となる。また、上記の例に限定されず、他の様々な物質の検出に用いることが可能であることは明らかである。
以上、本発明を好ましい実施例について説明したが、本発明は上記の特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
(付記1) 光が入力される入力側光導波路と、
前記入力側光導波路より分岐する2つの干渉系光導波路と、
前記2つの干渉系光導波路が合流される出力側光導波路と、
前記前記干渉系光導波路に設けられた、検出対象物を検出する検出部と、
前記出力側光導波路より出力される光量を検出する光量検出手段と、
前記検出部に電界を発生させる電界発生手段と、
前記光量検出手段で検出される光量に応じて前記電界発生手段を制御して当該電界を変化させる制御手段と、を有することを特徴とする光導波路型センサ。
(付記2)
前記検出部は、
前記干渉系光導波路中に設けられた検出用光導波路と、
前記検出用光導波路上の、前記検出対象物を含む溶媒が流れる流路と、
当該流路と前記検出用光導波路の間に形成される、当該検出対象物が結合するよう構成された結合膜と、を有することを特徴とする付記1記載の光導波路型センサ。
(付記3)
前記結合膜は、前記光を透過することを特徴とする付記2記載の光導波路型センサ。
(付記4)
前記検出対象物は抗原であり、前記結合膜には前記抗原と結合する抗体が結合されていることを特徴とする付記3記載の光導波路型センサ。
(付記5) 前記電界発生手段は、
前記制御手段により制御される電圧駆動手段を有し、
当該電圧駆動手段により、前記検出用光導波路を挟んで対向するように設置された一対の電極の間に電圧が印加されるよう構成されていることを特徴とする付記2乃至4のうち、いずれか1項記載の光導波路型センサ。
(付記6) 前記電界発生手段は、
前記制御手段により制御される電圧駆動手段を有し、
当該電圧駆動手段により、前記検出用導波路の深さ方向に電界を印加するために、前記結合膜または前記結合膜の下に形成された電極と、当該検出用導波路近傍に形成された電極との間に電圧が印加されるよう構成されていることを特徴とする付記2乃至4のうち、いずれか1項記載の光導波路型センサ。
(付記7)
前記電圧駆動手段により、前記結合膜と、前記一対の電極のうちいずれか1つの間に電圧が印加されるよう構成されていることを特徴とする付記5記載の光導波路型センサ。
(付記8)
前記結合膜はAuよりなることを特徴とする付記2乃至7のうち、いずれか1項記載の光導波路型センサ。
(付記9) 前記検出用光導波路は、電気光学結晶よりなることを特徴とする付記2乃至8のうち、いずれか1項記載の光導波路型センサ。
(付記10) 前記電気光学結晶は、ニオブ酸リチウムよりなることを特徴とする付記9記載の光導波路型センサ。
(付記11) 前記検出用光導波路と前記結合膜との間に、当該検出用光導波路の保護膜が形成されていることを特徴とする付記2乃至10のうち、いずれか1項記載の光導波路型センサ。
(付記12) 前記保護膜および前記結合膜は一体的に形成され、当該保護膜および当該結合膜が前記検出用光導波路より装脱着可能に構成されていることを特徴とする付記11記載の光導波路型センサ。
(付記13) 前記検出用光導波路が前記干渉系光導波路より装脱着可能に形成されていることを特徴とする付記2乃至12のうち、いずれか1項記載の光導波路型センサ。
(付記14) 前記検出用光導波路は、シール手段により前記溶媒より隔絶された構造であることを特徴とする付記2乃至13のうち、いずれか1項記載の光導波路型センサ。
従来の光導波路型センサの一例である。 図1の光導波路型センサの断面図である。 図1の光導波路型センサによる検出結果を示す図である。 実施例1による光導波路型センサを模式的に示した図である。 図4の光導波路型センサの電界の発生方法を示す図(その1)である。 図4の光導波路型センサの電界の発生方法を示す図(その2)である。 図4の光導波路型センサに用いる抗体の一例である。 図4の光導波路型センサの断面図である。 図4の光導波路型センサに用いる検出部構造の詳細の一例である。 実施例2による光導波路型センサを模式的に示した図である。
符号の説明
100 光導波路型センサ
101 光源
102 入力側光導波路
103,104 干渉系光導波路
105 出力側光導波路
106 光量検出手段
200 検出部
201 検出用光導波路
201A 保護膜
202 結合膜
203 流路形成構造
203A 溝部
250 制御部構造
301 電圧駆動手段
401 制御手段
206,207 シールリング
208 ケース

Claims (5)

  1. 光が入力される入力側光導波路と、
    前記入力側光導波路より分岐する2つの干渉系光導波路と、
    前記2つの干渉系光導波路が合流される出力側光導波路と、
    前記前記干渉系光導波路に設けられた、検出対象物を検出する検出部と、
    前記出力側光導波路より出力される光量を検出する光量検出手段と、
    前記検出部に電界を発生させる電界発生手段と、
    前記光量検出手段で検出される光量に応じて前記電界発生手段を制御して当該電界を変化させる制御手段と、を有することを特徴とする光導波路型センサ。
  2. 前記検出部は、
    前記干渉系光導波路中に設けられた検出用光導波路と、
    前記検出用光導波路上に設置される、前記検出対象物を含む溶媒が流れる流路と、
    当該流路と前記検出用光導波路の間に形成される、当該検出対象物が結合するよう構成された結合膜と、を有することを特徴とする請求項1記載の光導波路型センサ。
  3. 前記電界発生手段は、
    前記制御手段により制御される電圧駆動手段を有し、
    当該電圧駆動手段により、前記検出用光導波路を挟んで対向するように設置された一対の電極の間に電圧が印加されるよう構成されていることを特徴とする請求項2記載の光導波路型センサ。
  4. 前記電界発生手段は、
    前記制御手段により制御される電圧駆動手段を有し、
    当該電圧駆動手段により、前記検出用導波路の深さ方向に電界を印加するために、前記結合膜または前記結合膜の下に形成された電極と、当該検出用導波路近傍に形成された電極との間に電圧が印加されるよう構成されていることを特徴とする請求項2記載の光導波路型センサ。
  5. 前記検出用光導波路と前記結合膜との間に、当該検出用光導波路の保護膜が形成されていることを特徴とする請求項2乃至4のうち、いずれか1項記載の光導波路型センサ。
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