JP2006273897A - フェノール樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、及び、エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

フェノール樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、及び、エポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 成形材料用、特に半導体封止材料を代表とする高性能が要求される電気、電子部品用材料として、銅との密着性に優れ、成形性、耐熱性、機械的強度、低応力性に優れた硬化成形物を得ることができるフェノール樹脂、このフェノール樹脂を含有するエポキシ樹脂硬化剤、及び、エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 特定の硫黄化合物を樹脂骨格に含むフェノール樹脂、それを用いたエポキシ樹脂硬化剤、及び、エポキシ樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フェノール樹脂、このフェノール樹脂を含有するエポキシ樹脂硬化剤、及び、エポキシ樹脂組成物に関するものである。
フェノール樹脂は、耐熱性、耐薬品性に優れ、また高温時での寸法安定性や接着性が良好であることなどから、充填材等と混合して各種成形材料のバインダー等に用いられるとともに、エポキシ樹脂の硬化剤としてエポキシ樹脂成形材料にも使用されている。
エポキシ樹脂の硬化剤としての用途におけるフェノール樹脂は、成形性、硬化後のエポキシ樹脂成形品の耐熱性、耐湿性、電気的特性が優れていることから、半導体パッケージ材料などの電気電子分野においても広く用いられているが、半導体パッケージを回路基板に搭載する際のソルダーリフロー工程において、エポキシ樹脂成形品に吸湿した水分の急激な気化膨張に伴うポップコーン現象と呼ばれるクラックが発生することがある。このため、吸湿性が低く、耐熱性に優れる材料が求められてきた。
このような背景から、エポキシ樹脂成形品の成形性、耐熱性、低吸湿性等の諸特性を向上させるために、キシレン変性ノボラック型フェノール樹脂の使用(例えば、特許文献1参照。)、含フッ素ノボラック型フェノール樹脂の使用(例えば、特許文献2参照。)等が公開されている。また、4−アルキルフェノールあるいは4−アリールフェノールのジメチロール誘導体と、フェノールとを縮合させてエポキシ樹脂硬化剤用のポリヒドロキシ化合物を製造する方法も公開されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、これらはいずれも成形性、耐熱性、低吸湿性等の諸特性が充分とは言えず、更なる改良が求められている。
また近年、半導体装置の熱放散を効率良く行うため、リードフレーム材料として銅が用いられる傾向にあり、銅との密着性のよい硬化成形物を得ることができる樹脂材料が要求されている。
特開昭59−105017号公報 特開昭64−74215号公報 特開昭62−119220号公報
本発明は、エポキシ樹脂の硬化剤として用いた場合に、良好な成形性、硬化物特性を示すとともに、銅との密着性に優れた硬化成形物を得ることができるフェノール樹脂、このフェノール樹脂を含有するエポキシ樹脂硬化剤、及び、エポキシ樹脂組成物を提供するものである。
このような目的は、以下の本発明(1)〜(7)により達成される。
(1)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を分子内に有することを特徴とする、フェノール樹脂。
Figure 2006273897
(一般式(I)中、Xは芳香環に少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する化合物、Yは少なくとも1つのメチレン基または少なくとも1つのメチン基を有する基を示す。)
(2)上記一般式(I)において、X(フェノール性水酸基を有する化合物)が、フェノール、及び、ナフトールから選ばれるものである上記(1)に記載のフェノール樹脂。
(3)上記一般式(I)において、Yが、一般式(II)、(III)、及び、(IV)から選ばれるものである請求項1又は2に記載のフェノール樹脂。
Figure 2006273897
(4)分子量が500〜5000である、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のフェノール樹脂。
(5)軟化点が60〜140℃である、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のフェノール樹脂。
(6)上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のフェノール樹脂を含有することを特徴とする、エポキシ樹脂硬化剤。
(7)上記(6)に記載のエポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂、及び、無機充填材を含有することを特徴とする、エポキシ樹脂組成物。
本発明は、特定の構造を持つ硫黄化合物を樹脂骨格中に含むフェノール樹脂、このフェノール樹脂を含有するエポキシ樹脂硬化剤、及び、エポキシ樹脂組成物であり、これを用いることにより、銅との密着性に優れ、成形性、耐熱性、機械的強度、低応力性に優れた硬化成形物を得ることができる。このことから本発明は、例えば高性能が要求される電子部品用の封止材料として特に好適である。
以下、本発明のフェノール樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、及び、エポキシ樹脂組成物について説明する。
まず、本発明のフェノール樹脂について説明する。
本発明のフェノール樹脂は、一般式(I)で表される繰り返し単位を分子内に有することを特徴とする。
Figure 2006273897
(一般式(I)中、Xは芳香環に少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する化合物、Yは少なくとも1つのメチレン基または少なくとも1つのメチン基を有する基を示す。)
一般式(I)は、Xで表される芳香環に少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する化合物と、一般式(V)で表される含硫黄化合物とが、Yで表される少なくとも1つのメチレン基または少なくとも1つのメチン基を有する基を介して共重合した構造を示す。
Figure 2006273897
一般式(I)においてXで表される、芳香環に少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、2、3−キシレノール、2、4−キシレノール、2、5−キシレノール、2、6−キシレノール、3、5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、イソブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、クミルフェノール、アリルフェノール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、1−ナフトール、2−ナフトール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
これらの中でも、特にエポキシ樹脂との硬化性が優れ、経済的にも有利なフェノール、あるいは多芳香環構造を持ち耐熱性に優れる1−ナフトール、2−ナフトールが好ましい。
一般式(I)においてYで表される、少なくとも1つのメチレン基、または、少なくとも1つのメチン基を有する基とは、アルデヒド基を有する化合物、キシリレン基を有する化合物、及び、ジメチレンビフェニル基を有する化合物から選ばれる化合物が、Xで表される芳香環に少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する化合物、及び一般式(V)で表される含硫黄化合物と結合して生成した構造を示すものである。
アルデヒド基を有する化合物としては例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、パラヒドロキシベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、1−ナフチルアルデヒド、2−ナフチルアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの化合物の中でも、フェノール、オルソ置換フェノール類との反応性が優れ、工業的に大量生産され安価であるホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが好ましい。
キシリレン基を有する化合物としては例えば、パラキシリレングリコールジメチルエーテル、パラキシリレングリコール、メタキシリレングリコールジメチルエーテル、メタキシリレングリコール、オルソキシリレングリコールジメチルエーテル、オルソキシリレングリコール、2,6−ジメチルパラキシリレングリコールジメチルエーテル、2,6−ジメチルパラキシリレングリコール、テトラメチルパラキシリレングリコールジメチルエーテル、テトラメチルパラキシリレングリコール、テトラメチルオルソキシリレングリコールジメチルエーテル、テトラメチルオルソキシリレングリコール、テトラメチルメタキシリレングリコールジメチルエーテル、テトラメチルメタキシリレングリコール等のグリコール類、
また、1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ジ(ブロモメチル)ベンゼン、1,4−ジ(フルオロメチル)ベンゼン、1,2−ジ(クロロメチル)ベンゼン、1,2−ジ(ブロモメチル)ベンゼン、1,2−ジ(フルオロメチル)ベンゼン、1,3−ジ(クロロメチル)ベンゼン、1,3−ジ(ブロモメチル)ベンゼン、1,3−ジ(フルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジ(クロロメチル)−2,6−ジメチルンゼン、1,4−ジ(ブロモメチル)−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジ(フルオロメチル)−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジ(クロロメチル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、1,4−ジ(ブロモメチル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、1,4−ジ(フルオロメチル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、1,2−ジ(クロロメチル)−3,4,5,6−テトラメチルベンゼン、1,2−ジ(ブロモメチル)−3,4,5,6−テトラメチルベンゼン、1,2−ジ(フルオロメチル)−3,4,5,6−テトラメチルベンゼン、1,3−ジ(クロロメチル)−2,4,5,6−テトラメチルベンゼン、1,3−ジ(ブロモメチル)−2,4,5,6−テトラメチルベンゼン、1,3−ジ(フルオロメチル)−2,4,5,6−テトラメチルベンゼン等のハロゲノメチル化合物類、
などが挙げられる。これらの中でも、フェノール類との反応性、エポキシ樹脂との成形性、硬化性に優れ,経済的にも有利なパラキシリレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼンを用いることが好ましい。
ジメチレンビフェニル基を有する化合物としては例えば、4,4’−ジ(メトキシメチル)ビフェニル、4,4’−ジ(クロロメチル)ビフェニル、4,4’−ジ(ブロモメチル)ビフェニル、4,4’−ジ(フルオロメチル)ビフェニル、3,4’−ジ(メトキシメチル)ビフェニル、3,4’−ジ(クロロメチル)ビフェニル、3,4’−ジ(ブロモメチル)ビフェニル、3,4’−ジ(フルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジ(メトキシメチル)ビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジ(クロロメチル)ビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジ(ブロモメチル)ビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジ(フルオロメチル)ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジ(メトキシメチル)ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジ(クロロメチル)ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジ(ブロモメチル)ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジ(フルオロメチル)ビフェニルなどが挙げられる。
これらの中でも、フェノール類との反応性、エポキシ樹脂との成形性、硬化性に優れに優れる4,4’−ジ(メトキシメチル)ビフェニル、4,4’−ジ(クロロメチル)ビフェニルを用いることが好ましい。
本発明のフェノール樹脂は特に限定されないが、特にエポキシ樹脂用硬化剤として用いる場合は、分子量が500〜5000であることが好ましい。さらに好ましくは1000〜2000である。分子量が上記範囲のフェノール樹脂を配合することにより、エポキシ樹脂組成物の硬化性、成形性を向上させることができる。
なお、本発明における分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により測定した重量平均分子量であり、ポリスチレン標準物質を用いて作成した検量線をもとに計算した。GPC測定はテトラヒドロフランを溶出溶媒とし、流量1.0ml/min、カラム温度40℃の条件で示差屈折計を検出器として用いて実施した。装置は、
1)本体:TOSOH社製・「HLC−8020」
2)検出器:波長280nmにセットしたTOSOH社製・「UV−8011」
3)分析用カラム:昭和電工社製・「SHODEX KF−802、KF−803、KF−805」
をそれぞれ使用した。
また、本発明のフェノール樹脂は特に限定されないが、特にエポキシ樹脂硬化剤として用いる場合は、軟化点が60〜140℃であることが好ましい。さらに好ましくは70〜100℃である。軟化点が上記範囲のフェノール樹脂を配合することにより、エポキシ樹脂組成物の硬化性、成形性を向上させることができるとともに、保管時の取り扱いについても良好なものにすることができる。
次に、本発明のフェノール樹脂を製造する方法について説明する。
本発明のフェノール樹脂は、酸触媒の存在下、Xで表される芳香環に少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する化合物と、一般式(V)で表される含硫黄化合物と、アルデヒド基を有する化合物、キシリレン基を有する化合物、及び、ジメチレンビフェニル基を有する化合物から選ばれる化合物とを反応させることにより得ることができる。
Xで表される芳香環に少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する化合物と、一般式(V)で表される含硫黄化合物とのモル比は、特に限定されないが、X/V=0.1〜1.0となるようにすることが好ましい。
また、反応モル比[(アルデヒド基を有する化合物、キシリレン基を有する化合物、及び、ジメチレンビフェニル基を有する化合物から選ばれる化合物のモル数)/(Xで表される芳香環に少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する化合物と一般式(V)で表される含硫黄化合物との合計モル数)]は、特に限定されないが、0.1〜0.8となるようにすることが好ましい。
これらの各成分を反応させる順序は特に限定されない。逐次行ってもよいし一括して行うこともできる。本発明のフェノール樹脂を効率よく得るためには、一括反応で行うことが好ましい。
反応時に使用される酸触媒としては、特に限定されないが、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、パラトルエンスルホン酸、蓚酸等の有機酸や、硫酸、ジエチル硫酸、塩酸等の無機酸が挙げられる。これらの酸触媒は単独または2種以上を組み合わせて使用しても良い。これらの酸触媒の中で、アルデヒド基を有する化合物を反応させる場合は蓚酸、キシリレン基を有する化合物、または、ジメチレンビフェニル基を有する化合物を反応させる場合は、パラトルエンスルホン酸、ジエチル硫酸が好ましい。
反応は溶媒を使用せずに行うこともできるが、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、特に限定されないが、反応に不活性な種々の有機溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。反応温度、時間は反応成分の種類に応じて選択できるが、各々100〜200℃、1〜10時間程度である。反応終了後、未反応モノマーを減圧蒸留等により適宜除去することが好ましい。また必要により不純物を水洗等により除去してもよい。
次に、本発明のエポキシ樹脂硬化剤(以下、単に「硬化剤」ということがある)について説明する。
本発明の硬化剤は、上記に示した本発明のフェノール樹脂を含有することを特徴とする。
本発明のフェノール樹脂は、一般式(V)で表される含硫黄化合物を用いることにより、樹脂骨格中に硫黄元素が導入されている。その結果、このフェノール樹脂を含有する硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物は、銅との密着性に優れたものとなる。また、樹脂骨格中に硫黄元素が導入されていることにより、硫黄成分をエポキシ樹脂組成物中に均一に分散させることができ、銅との密着性向上効果を高い均一性で発現させることができる。
また、フェノール性水酸基を有する化合物を共重合させることにより、成形性、耐熱性、機械的強度、低応力性に優れた硬化物を得ることができる。
このことから本発明の硬化剤は、例えば高性能が要求される電子部品用の封止材料に用いられるエポキシ樹脂組成物の硬化剤として特に好適である。
なお、本発明の硬化剤は、単独で用いても良いが、他のエポキシ樹脂硬化剤の1種以上と併せて用いてもよい。他のエポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・ジシクロペンタジエン樹脂、フェノール・キシリレン化合物樹脂、フェノール・アルキルベンゼン樹脂、フェノール・ジメチレンビフェニル化合物樹脂等が挙げられるが、特に限定されるものではなく、添加割合は所望の要求に合わせて適宜設定することができる。
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物(以下、単に「組成物」ということがある)について説明する。
本発明の組成物は、本発明のエポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂、及び無機充填材を含有することを特徴とする。
本発明の組成物に用いられるエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独でも混合して使用しても良い。
これらの中でも、経済的に有利なクレゾールノボラック型エポキシ樹脂や、低吸湿性に優れるビフェニル構造を有するエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
本発明の組成物において、エポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂との配合割合は特に限定されないが、[全エポキシ樹脂中のエポキシ基数]/[全エポキシ樹脂硬化剤中のフェノール性水酸基数]の比率が、0.8以上かつ1.3以下であることが好ましい。
上記比率が上記下限値未満であれば、余剰のフェノール性水酸基数が多くなり、吸湿性が高くなる傾向が見られる。また、上記比率が上記上限値を越えると、硬化性、成形性が低下することがある。
本発明の組成物に用いられる無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、タルク、アルミナ、窒化珪素等が挙げられ、これらは単独でも混合して使用しても良い。
無機充填材の含有量としては特に限定されないが、全エポキシ樹脂組成物中に60〜95重量%含有することが好ましい。上記下限値未満では吸水率が高くなることがある。また、上記上限値を越えると、成形時の流動性が低下することがある。
本発明の組成物においては、このほか、硬化促進剤を使用してもよい。
上記硬化促進剤としては特に限定されず、エポキシ基とフェノール性水酸基との硬化反応を促進させるものであれば良く、例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン、2−メチルイミダゾール、テトラフェニルホスホニウム、テトラフェニルボレート等が挙げられ、これらは単独でも混合して使用しても良い。
本発明の組成物にはこの他に、必要に応じてシランカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、天然ワックス、合成ワックス等の離型剤、臭素化エポキシ樹脂や三酸化アンチモンのような難燃剤、及びシリコーンオイル、ゴム等の低応力添加剤等の、種々の添加剤を適宜配合しても差し支えない。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここに記載されている「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示し、本発明はこれら実施例により何ら制約されるものではない。
1.フェノール樹脂の製造(実施例1〜6、比較例1〜3)
実施例1
攪拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応器に、4,4’−チオジベンゼンチオール(住友精化株式会社製、MPS)100部、フェノール240部、蓚酸1.5部を仕込み、100℃に昇温した後、37%ホルマリン35部を30分かけて添加した。100℃で3時間反応を行った後、140℃まで常圧下で脱水し、さらに80torrの減圧下で200℃まで脱水・脱モノマーを行い、フェノール樹脂240部を得た。得られた樹脂の軟化点は78℃、重量平均分子量は1420であった。
実施例2
実施例1と同様の反応装置を用いて、4,4’−チオジベンゼンチオール(住友精化株式会社製、MPS)100部、フェノール240部、パラキシリレングリコールジメチルエーテル70部、ジエチル硫酸1部を仕込み、160℃に昇温した後、反応で生成するメタノールを系外に留去しながら4時間反応させた。その後180℃まで昇温させ、さらに80torrの減圧下で200℃まで脱モノマーを行い、フェノール樹脂265部を得た。得られた樹脂の軟化点は83℃、重量平均分子量は1670であった。
実施例3
実施例2においてパラキシリレングリコールジメチルエーテル70部のかわりに、4,4’−ビスメトキシメチレンビフェニル100部を使用した以外は同様の反応を行い、軟化点80℃、重量平均分子量1560のフェノール樹脂257部を得た。
実施例4
実施例1においてフェノール240部のかわりに、1−ナフトール360部を使用した以外は同様の反応を行い、軟化点88℃、重量平均分子量1920のフェノール樹脂288部を得た。
実施例5
実施例2においてフェノール240部のかわりに、1−ナフトール360部を使用した以外は同様の反応を行い、軟化点95℃、重量平均分子量2110のフェノール樹脂290部を得た。
実施例6
実施例1においてフェノール240部のかわりに、フェノール120部、1−ナフトール184部を使用した以外は同様の反応を行い、軟化点82℃、重量平均分子量1840のフェノール樹脂258部を得た。
比較例1
実施例1と同様の反応装置に、フェノール300部、蓚酸1部を仕込み、100℃に昇温した後、37%ホルマリン150部を1時間かけて添加した。100℃で2時間反応を行った後、140℃まで常圧下で脱水し、さらに80torrの減圧下で200℃まで脱水・脱モノマーを行い、フェノール樹脂245部を得た。得られた樹脂の軟化点は83℃、重量平均分子量は1540であった。
比較例2
実施例1と同様の反応装置に、フェノール300部、パラキシリレングリコールジメチルエーテル240部、ジエチル硫酸1部を仕込み、160℃に昇温した後、反応で生成するメタノールを系外に留去しながら4時間反応させた。その後180℃まで昇温させ、さらに80torrの減圧下で200℃まで脱モノマーを行い、フェノール樹脂279部を得た。得られた樹脂の軟化点は85℃、重量平均分子量は1710であった。
比較例3
実施例1と同様の反応装置に、フェノール300部、4,4’−ビスメトキシメチレンビフェニル300部、ジエチル硫酸1部を仕込み、160℃に昇温した後、反応で生成するメタノールを系外に留去しながら4時間反応させた。その後180℃まで昇温させ、さらに80torrの減圧下で200℃まで脱モノマーを行い、フェノール樹脂270部を得た。得られた樹脂の軟化点は79℃、重量平均分子量は1800であった。
2.フェノール樹脂の評価
(1)軟化点はJIS K7234に記載の環球法により求めた。
(2)重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によりポリスチレン標準物質を用いて作成した検量線をもとに計算した。GPC測定はテトラヒドロフランを溶出溶媒とし、流量1.0ml/min、カラム温度40℃の条件で示差屈折計を検出器として用いて実施した。装置は、
1)本体:TOSOH社製・「HLC−8020」
2)検出器:波長280nmにセットしたTOSOH社製・「UV−8011」
3)分析用カラム:昭和電工社製・「SHODEX KF−802、KF−803、KF−805」
をそれぞれ使用した。
3.エポキシ樹脂組成物の製造(実施例7〜15、比較例4〜6)
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られたフェノール樹脂と、オルソクレゾールノボラック(OCN)型エポキシ樹脂(日本化薬社製・EOCN−1020−65)、ビフェニル(BP)型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製・YX−4000H)、トリフェニルホスフィン(TPP)、及び溶融シリカ(電気化学社製・FB−74X)を表1の配合量(重量部)でスーパーミキサーを用いて常温で混合したものを、90℃の加熱ロールで15分間混練し、冷却後粉砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。
4.エポキシ樹脂組成物の評価
(1)スパイラルフロー:上記で得られたエポキシ樹脂組成物について、EMMI−1−66に準拠したスパイラルフロー測定用金型を用いて、金型温度175℃、圧力70kg/cm、硬化時間120秒間で測定した。スパイラルフローは流動性のパラメータであり、値が大きいほど流動性が良好である。
(2)密着性:上記で得られたエポキシ樹脂組成物を、10×50×0.2mmの銅板の先端部(10×10mm)にのせ、同じ大きさの銅板の先端部(10×10mm)と重ねた後、175℃、圧力80kg/cm、硬化時間5分間の条件で試験片を作製した。この試験片についてJIS K6850に準拠して、引張剪断接着強さを測定し、密着性を評価した。
5.エポキシ樹脂組成物の硬化成形物の評価
上記で得られたエポキシ樹脂組成物を、175℃、100kg/cm で10分間プレス成形し、大きさ80×10×4mmの成形品を成形した後、180℃、6時間の条件で後硬化して、硬化成形物を得た。
・ ガラス転移温度:上記で得られた硬化成形物について、熱機械分析装置(TMA)を用いて測定した。
(2)曲げ強度及び曲げ弾性率:上記で得られた硬化成形物について、JIS K6911に準拠して測定した。
実施例7〜15、及び、比較例4〜6で得られた組成物の配合、組成物の評価結果、及び、硬化成形物の評価結果を表1に示す。
Figure 2006273897
実施例1〜6は、本発明のフェノール樹脂であり、実施例7〜15は、本発明のフェノール樹脂を硬化剤として用いた組成物である。これらの組成物は、比較例1〜3のフェノール樹脂のみを硬化剤として用いた組成物である比較例4〜6と比べ、実質的に同等もしくはそれ以上の流動性を有し、銅との密着性に優れたものであった。
また、これらの硬化成形物の比較においても、実施例7〜15は、比較例4〜6と比べて、ガラス転移点、曲げ強度、低弾性率のバランスにおいて実質的に同等もしくはそれ以上であった。
本発明のフェノール樹脂、これを含有するエポキシ樹脂硬化剤、及び、エポキシ樹脂組成物から得られる硬化成形物は、銅との密着性に優れ、成形性、耐熱性、機械的強度、低応力性に優れたものであり、成形材料用、特に半導体封止材料を代表とする高性能が要求される電気、電子部品用材料として好適に使用される。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で表される繰り返し単位を分子内に有することを特徴とする、フェノール樹脂。
    Figure 2006273897
    (一般式(I)中、Xは芳香環に少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する化合物、Yは少なくとも1つのメチレン基または少なくとも1つのメチン基を有する基を示す。)
  2. 前記一般式(I)において、X(フェノール性水酸基を有する化合物)が、フェノール、及び、ナフトールから選ばれるものである請求項1に記載のフェノール樹脂。
  3. 前記一般式(I)において、Yが、一般式(II)、(III)、及び、(IV)から選ばれるものである請求項1又は2に記載のフェノール樹脂。
    Figure 2006273897
  4. 分子量が500〜5000である、請求項1ないし3のいずれかに記載のフェノール樹脂。
  5. 軟化点が60〜140℃である、請求項1ないし4のいずれかに記載のフェノール樹脂。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載のフェノール樹脂を含有することを特徴とする、エポキシ樹脂硬化剤。
  7. 請求項6に記載のエポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂、及び、無機充填材を含有することを特徴とする、エポキシ樹脂組成物。
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