JP2006272374A - カーボン繊維の切断・加工方法及びその装置 - Google Patents

カーボン繊維の切断・加工方法及びその装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006272374A
JP2006272374A JP2005092897A JP2005092897A JP2006272374A JP 2006272374 A JP2006272374 A JP 2006272374A JP 2005092897 A JP2005092897 A JP 2005092897A JP 2005092897 A JP2005092897 A JP 2005092897A JP 2006272374 A JP2006272374 A JP 2006272374A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon fiber
cutting
electron beam
carbon
oxidizing gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005092897A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4730686B2 (ja
Inventor
Hisahiro Ando
寿浩 安藤
Kiyoharu Nakagawa
清晴 中川
Mika Gamo
美香 蒲生
Shusuke Gamo
秀典 蒲生
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute for Materials Science
Toppan Inc
Original Assignee
National Institute for Materials Science
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute for Materials Science, Toppan Printing Co Ltd filed Critical National Institute for Materials Science
Priority to JP2005092897A priority Critical patent/JP4730686B2/ja
Publication of JP2006272374A publication Critical patent/JP2006272374A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4730686B2 publication Critical patent/JP4730686B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
  • Welding Or Cutting Using Electron Beams (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Abstract

【課題】 カーボン繊維の所望の位置を切断・加工でき、且つ、カーボン繊維の構造に基づく特性を損なうことなく切断できる方法及びその装置を提供する
【解決手段】 カーボン繊維3を載置台4に載置し、電子ビームのカーボン繊維への衝突エネルギーと強度とをカーボン繊維に損傷が生じない程度の所定の条件の電子ビームを走査部7によりカーボン繊維3の所望の位置に照射し、所定の圧力の酸化性ガスを導入部9から真空槽2に導入し、電子ビームが照射されている部位の炭素原子のみを酸化性ガスと化学的に反応させ、一酸化炭素或いは二酸化炭素ガスとして蒸発させることによって、カーボン繊維を切断・加工する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カーボン繊維の切断・加工方法及びその装置に関する。
マリモカーボン(特許文献1参照)、カーボンナノフィラメント(特許文献2参照)、或いは、カーボンナノチューブといった炭素原子から成るナノ(nm)オーダーの特異な構造を有するカーボン繊維は、その特異な構造に基づく効果を生かした種々の応用が始まっており、例えば、水素吸着剤、電気二重層キャパシタの分極性電極、電子銃、或いは、原子間力顕微鏡の探針等へ応用され始めている。
特願2004−153129号 特開2004−277241号公報 特願2003−368356号の文段落〔0010〕参照 特願2005−007682号
ところで、これらのカーボン繊維の構造は様々であるが、いずれも単層グラファイト層で構成されており、グラファイト層のグラファイト・エッジは、水素吸着位置として作用し、また、電気二重層キャパシタの分極性電極として用いた場合に電気二重層の形成される位置として作用する(特許文献3参照)。従って、カーボン繊維の水素吸着能力や電気二重層コンデンサの蓄電容量を向上するために、グラファイト・エッジを高密度に有するカーボン繊維が求められている。
例えば、マリモカーボンは、粒径が500nm以下の酸化ダイヤモンドを核としてカーボンナノチューブが放射状に成長した、径がμmオーダーの球状の微粒子、すなわちマリモ状のカーボン繊維であるが、カーボンナノチューブが核の回りに極めて高密度に成長しており、これらのカーボンナノチューブの先端にグラファイト・エッジがあるため、マリモカーボンを分極性電極として用いた電気二重層キャパシタは、活性炭を分極性電極に用いた従来の電気二重層キャパシタよりも蓄電容量が大きいことが見出され(特許文献4参照)注目を集めている。
しかしながら、マリモカーボンのカーボンナノチューブは、先端が開口しているものもあれば、シームレスに閉じられているものもあり、先端が閉じているカーボンナノチューブはグラファイト・エッジを有さないので水素吸着位置や電気二重層の形成位置として作用しない。
このため、水素吸着能力や電気二重層コンデンサの蓄電容量をさらに向上するために、グラファイト・エッジをさらに高密度に有するカーボン繊維の合成方法が研究されているが、一方、従来のカーボン繊維を加工してグラファイト・エッジを増やすことも一つの方法である。例えば、マリモカーボンのカーボンナノチューブの先端部分を切断できれば、全てのカーボンナノチューブがグラファイト・エッジを有することになり、水素吸着能力や電気二重層コンデンサの蓄電容量を飛躍的に向上することができる。
しかしながら、カーボン繊維、例えばカーボンナノチューブは、カーボンからなるナノオーダーの構造体であり、この構造体を所望の位置で切断でき、且つ、切断後においてもこのカーボン構造体の構造に基づく特性を失わないように切断できる方法は、従来知られていない。
例えば、粉体のマリモカーボンのカーボンナノチューブを切断しようとした場合、カーボンナノチューブの長さは数μm、径は数十nmであるから、機械的に切断することはもちろん不可能であり、また、微細な光束のレーザー光を使用した場合には、光束が照射された部位のみならず、カーボンナノチューブ全体が瞬時に加熱されてしまうために、カーボンナノチューブ全体が蒸発してしまうか、蒸発しないまでも構造が変形し、切断後においてもカーボン繊維の構造に基づく特性を保持することは困難である。
このように、従来、カーボン繊維を切断し、切断後においてもカーボン繊維の構造に基づく特性を失わないように切断する方法はなかった。
また、カーボンナノチューブは、半導体又は金属の電気的特性を示すため、nmスケールの電子回路の配線材料や能動素子材料として従来から期待されてきたが、配線、或いは能動素子として機能させるためにはその形状を所望の形状に精密に加工できることが必要不可欠である。
しかしながら、カーボンナノチューブの所望の位置を切断でき、且つ、カーボンナノチューブの特性を損なわずに切断できる方法がないため、未だに実現されていない。
また、従来から、カーボンナノチューブは径が極めて小さいために、電子銃の電子放出端や原子間力顕微鏡の探針に用いれば、極めて高効率の電子銃や原子間力顕微鏡が実現すると期待されてきた。しかしながら、電子銃や原子間力顕微鏡の探針に用いるためには、電子銃の電子放出端や探針の曲率が極めて大きいことが要求されるが、先端が閉じたカーボンナノチューブの曲率では十分ではなく、先端が開口したカーボンナノチューブが求められる。しかしながら、先端が開口したカーボンナノチューブを再現性良く製造することは難しい。一方、先端が閉じたカーボンナノチューブであっても、カーボンナノチューブの軸に垂直な断面が得られ、且つ、切断後においてもカーボンナノチューブの構造に基づく特性が保持されるように切断できれば、極めて高効率な電子銃や探針が得られる。
しかしながら、垂直な断面が得られるように切断でき、且つ、カーボンナノチューブの特性を損なわずに切断できる方法がないため、未だに実現されていない。
上記説明から理解されるようにカーボン繊維は、既存の材料にはない優れた潜在能力を有しているが、この潜在能力を発揮できる有用な材料や部品とするためには、ナノオーダーのカーボン構造体であるカーボン繊維の所望の位置を切断・加工でき、且つ、カーボン繊維の構造に基づく特性を損なうことなく切断又は加工できる方法が必要不可欠である。しかしながら、従来そのような方法は知られていないという課題がある。
それ故、本発明は、ナノオーダーのカーボン構造体であるカーボン繊維の所望の位置を切断又は加工でき、且つ、カーボン繊維の構造に基づく特性を損なうことなく切断又は加工し得る方法を提供し、また、その装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のカーボン繊維の切断・加工方法は、所定の圧力の酸化性ガス雰囲気中で、所定の条件の電子ビームをカーボン繊維に照射して、カーボン繊維と酸化性ガスとの酸化反応によりカーボン繊維を切断又は加工するもので、酸化性雰囲気の圧力を、電子ビームが照射されている部位のカーボン繊維と酸化性ガスとが酸化反応を生ずる圧力とし、電子ビームを、カーボン繊維へ衝突する際の上記電子ビームのエネルギーが該カーボン繊維に損傷を与えない条件としたことを特徴とする。
電子ビームの照射は、スポット照射、ライン走査照射又は領域照射であればよい。酸化性ガスは、酸素ガス、亜酸化窒素ガス又は空気であればよい。また、本発明の方法によって切断・加工できるカーボン繊維は、例えば、マリモカーボン、カーボンナノフィラメント又はカーボンナノチューブである。
酸化性ガスの所定の圧力は26〜2600Paが好ましく、電子ビームの所定の条件は電子ビームの出射端とカーボン繊維との距離が30〜50cmでビーム径が10〜30nmの場合には、電子銃の加速電圧が3〜30kV、照射電流量が10〜100nAが好ましい。
この方法の作用は以下のように考えられる。
本発明の方法に於ける所定の条件の酸化性ガスの圧力は電子ビームが照射されている部位のカーボン繊維と酸化性ガスとが酸化反応を生ずる圧力である。また、本発明の方法に於ける電子ビームの所定の条件は、電子ビームがカーボン繊維へ衝突する際の電子ビームの運動エネルギーがカーボン繊維に損傷を与えない条件の電子ビームであり、例えば、走査型電子顕微鏡の試料室にカーボン繊維を真空(13Pa以下)で保持してカーボン繊維像を観測した際に、観測によってカーボン繊維に蒸発、溶解、変形等の損傷が生じない範囲の、カーボン繊維に電子が衝突する際に有している運動エネルギー及びその電子の個数である。
このため、電子ビームが照射されている部位のカーボン繊維は損傷を生ずるほど励起されてはいないが、二次電子を放出する程度には励起されており、二次電子を放出できる励起状態は炭素原子と酸化性ガスとの酸化反応が自発的に生ずる励起状態でもあるためと考えられる。すなわち、電子ビームが照射されている部位の炭素原子のみが酸化性ガスと化学的に反応し、一酸化炭素或いは二酸化炭素ガスとなって蒸発することによって、カーボン繊維が切断・加工される。この切断・加工は化学反応による切断・加工であるため、機械的切断・加工や熱的切断・加工と異なり、切断箇所以外の部位に損傷を与えることが極めて少なく、このため、カーボン繊維の構造に基づく特性を損なうことなく切断・加工できるものと考えられる。
また、本発明の方法は電子ビームを用いるので、昨今の走査型電子顕微鏡の電子ビーム走査技術に見られるように、ビーム径は数十nm以下に絞ることができ、照射位置は数十nmの精度で制御でき、また、スポット照射やライン走査照射ができるので、カーボン繊維の所望の位置を電子ビーム径の切代で切断・加工することができる。また領域走査照射を利用すれば、走査領域の形状にカーボン繊維を切断・加工することができる。
本発明のカーボン繊維の切断・加工装置は、真空槽と、真空槽内に配設したカーボン繊維を載置する載置台と、載置台に載置するカーボン繊維に電子ビームを照射する電子銃と、電子銃の電子ビームを走査する走査部と、真空槽の真空度を制御する排気部と、真空槽に酸化性ガスを導入するガス導入部と、から成ることを特徴とする。
上記構成に加え、さらに、カーボン繊維に電子ビームを照射して発生する二次電子及び/又は反射電子の強度を検出する検出器と、検出器の出力を画像に構成する画像構成部を有していても良い。
この装置によれば、カーボン繊維を載置台に載置し、酸化性ガス導入部から酸化性ガスを真空槽に導入し、酸化性ガスの圧力を排気部により上記方法で説明した所定の圧力に制御し、上記方法で説明した所定の条件の電子ビームを走査部によりカーボン繊維の所望の位置に照射することによって、カーボン繊維の所望の位置を、カーボン繊維の構造に基づく特性を損なうことなく切断・加工することができる。
またさらに、カーボン繊維に電子ビームを照射して発生する二次電子及び/又は反射電子の強度を検出する検出器と、検出器の出力を画像に構成する画像構成部を有する場合には、載置台に載置したカーボン繊維を、真空状態で二次電子像又は反射電子像として観測し、この観測から切断・加工箇所を決定し、切断・加工箇所の座標データにより走査部を駆動することにより、決定した切断・加工箇所に電子ビームを照射しても良い。
この場合には、極めて精密な切断・加工が可能になり、例えば、カーボンナノチューブを所望の長さに切断・加工することができる。
本発明のカーボン繊維の切断・加工方法及びその装置によれば、カーボン繊維の所望の位置を切断することが可能で、且つ、カーボン繊維の構造に基づく特性を損なうことなく切断・加工することができる。
以下、本発明のカーボン繊維の切断・加工方法及びカーボン繊維の切断・加工装置を図面に基づいて詳細に説明する。
初めに本発明のカーボン繊維の切断・加工装置を説明する。
図1は本発明のカーボン繊維の切断・加工装置の構成を示す図である。本発明のカーボン繊維の切断・加工装置1は、真空槽2と、真空槽2内に配設した、カーボン繊維3を載置する載置台4と、載置台4に載置するカーボン繊維3に電子ビーム5を照射する電子銃6と、電子銃6の電子ビームを走査する走査部7と、真空槽2の真空度を制御する排気部8と、真空槽2に酸化性ガスを導入するガス導入部9とから構成される。
上記構成に加え、カーボン繊維3に電子ビーム5を照射して発生する二次電子及び/又は反射電子の強度を検出する検出器10と、検出器10の出力を画像に構成する画像構成部11を有していても良い。
カーボン繊維の切断・加工装置1を動作するには、カーボン繊維3を載置台4に載置し、酸化性ガス導入部9から酸化性ガスを真空槽2に導入し、酸化性ガスの圧力を排気部8により所定の圧力に制御して、所定の条件の電子ビーム5を走査部7によりカーボン繊維3の所望の位置に照射することによって、カーボン繊維3の所望の位置を、カーボン繊維3の構造に基づく特性を損なうことなく切断・加工する。
またさらに、カーボン繊維の切断・加工装置1が、カーボン繊維3に電子ビーム5を照射して発生する二次電子及び/又は反射電子の強度を検出する検出器10と、検出器10の出力を画像に構成する画像構成部11を備える場合には、載置台4に載置したカーボン繊維3を、真空状態で二次電子像又は反射電子像として観測し、この観測から切断・加工箇所を決定し、切断・加工箇所の座標データにより走査部7を駆動することで、決定した切断・加工箇所に電子ビームを照射しても良い。
この場合には、極めて精密な切断・加工が可能になり、例えば、カーボンナノチューブを所望の長さに切断・加工することができる。
酸化性ガス雰囲気の所定の圧力の設定は、電子ビームが照射されている部位のカーボン繊維と酸化性ガスとが酸化反応を生ずる圧力で、例えば、約26Paから約2600Paの範囲に設定することが好ましい。約26Pa以下であると酸化反応が実質的に生じず、また、電子ビームの出射端とカーボン繊維との距離が30〜50cmの場合に約2600Paを超えると、酸化性ガスによる電子ビームの散乱が大きくなり、必要とする電子ビームの加速電圧が極めて大きくなり実質的に困難である。
所定の条件の電子ビームの設定は、電子ビームがカーボン繊維へ衝突する際の運動エネルギーが、カーボン繊維に損傷を与えない条件の電子ビームで、酸化性ガス雰囲気の圧力が約26〜約2600Paであり、電子ビームの出射端とカーボン繊維との距離が30〜50cmであり、所定のビーム径が10〜30nmの場合には、電子銃の加速電圧が3〜30kV、照射電流量が10〜100nAに設定すれば好ましい。
もちろん、電子ビームの出射端とカーボン繊維との距離やビーム径が異なれば、電子銃の所定の加速電圧、照射電流及び酸化性ガスの所定の圧力は変化する。
電子ビームが照射されている部位のカーボン繊維は損傷を生ずるほど励起されてはいないが、二次電子を放出する程度には励起されており、二次電子を放出できる励起状態は炭素原子と酸化性ガスとの酸化反応が自発的に生ずる励起状態でもある。すなわち、電子ビームが照射されている部位の炭素原子のみが酸化性ガスと化学的に反応し、一酸化炭素或いは二酸化炭素ガスとなって蒸発することによって、カーボン繊維が切断・加工される。この切断・加工は化学反応による切断・加工であるため、機械的切断・加工や熱的切断・加工と異なり、切断箇所以外の部位に損傷を与えることが極めて少なく、このため、カーボン繊維の構造に基づく特性を損なうことなく切断・加工することが可能である。
また、電子ビームの照射モードは、スポット照射、ライン走査照射又は領域照射であればよい。スポット照射やライン走査照射を用いれば、カーボン繊維の所望の位置を電子ビーム径の切代で切断・加工できる。また領域走査照射を用いれば、走査領域の形状にカーボン繊維を・加工できる。
また、切断・加工できるカーボン繊維は、例えば、マリモカーボン、カーボンナノフィラメント又はカーボンナノチューブである。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
図1に示した本発明の装置を用いて本発明の方法によりマリモカーボンのカーボンナノチューブを切断した。
酸化性ガスは酸素ガスを1700Paの圧力で用いた。電子線の径は約20nm、加速電圧は15kV、照射電流(電子銃から放出される電子の単位時間あたりの数を電流に換算した値)は約10nAである。同一の箇所をライン走査(line scan)で照射し、走査速度は約1μm/secであり、走査回数は、約100回である。
図2は本発明の方法による、マリモカーボンの切断前後の走査電子顕微鏡像を示す図であり、(a)は切断前、(b)は切断後を示す。図2(b)中の白線は電子ビームが通過した位置、すなわち切断面を示す。
図2(b)に見られる切断後のマリモカーボンは溶融や変形が全く見られず、同(a)に見られる切断前のマリモカーボンと比べて右半分が無いだけであることがわかる。また、切断面は電子ビームの通過する面に沿って、あたかもリンゴを鋭利なナイフで切断したように、スッパリと切断されていることがわかる。
このことから、本発明の方法は、照射電子によって励起された炭素原子と酸化性ガスとの化学反応による切断であるため、機械的切断や熱的切断とは異なり、切断部位以外の部位に損傷を与えることが極めて少なく、このため、カーボン繊維の構造に基づく特性を損なうことなく切断できることがわかる。
図3は図2(b)に示した切断後のマリモカーボンの高倍率の走査電子顕微鏡像を示す図である。図において、曲がりくねった像は、マリモカーボンの酸化ダイヤモンドから放射状に成長したカーボンナノチューブである。また、矢印で示した箇所は、カーボンナノチューブの切断箇所を示す。
この図から、カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブの軸にほぼ垂直に切断され、且つ、カーボンナノチューブの構造変化がほとんど無いことがわかる。
このことから、本発明の方法によれば、例えば、カーボンナノチューブをその構造に基づく特性を損なうことなしに所望の長さに切断できることがわかる。
上記説明から理解されるように、本発明のカーボン繊維の切断・加工方法及びその装置によれば、カーボン繊維の所望の位置を切断でき、且つ、カーボン繊維の構造に基づく特性を損なうことなく切断し得るので、例えば、マリモカーボンのカーボンナノチューブを切断して、マリモカーボンのグラファイト・エッジを飛躍的に増加させることにより、マリモカーボンを分極性電極とした電気二重層キャパシタの蓄電容量を飛躍的に向上させることができる。
また、カーボンナノチューブの所望の位置の切断に本発明の方法を用いれば、カーボンナノチューブを所望の長さに切断できるので、カーボンナノチューブをnmオーダーの電子回路の配線材料や、能動素子材料として使用できるようになる。
また、本発明の方法を用いれば、カーボンナノチューブの軸に垂直な切断面を形成することができるので、カーボンナノチューブを高性能な電子銃や原子間力顕微鏡の探針として用いることができる。
本発明のカーボン繊維の切断・加工装置の構成を示す図である。 本発明の方法による、マリモカーボンの切断前後の走査電子顕微鏡像を示す図で、(a)は切断前、(b)は切断後を示す。 切断後のマリモカーボンの高倍率の走査電子顕微鏡像を示す図である。
符号の説明
1 カーボン繊維の切断・加工装置
2 真空槽
3 カーボン繊維
4 載置台
5 電子ビーム
6 電子銃
7 走査部
8 排気部
9 ガス導入部
10 検出器
11 画像構成部

Claims (7)

  1. 所定の圧力の酸化性ガス雰囲気中で、所定の条件の電子ビームをカーボン繊維に照射して、上記カーボン繊維と上記酸化性ガスとの酸化反応により上記カーボン繊維を切断又は加工するカーボン繊維の切断・加工方法であって、
    上記酸化性雰囲気の所定の圧力を、上記電子ビームが照射されている部位のカーボン繊維と上記酸化性ガスとが酸化反応を生ずる圧力とし、
    上記所定の条件の電子ビームを、カーボン繊維へ衝突する際の上記電子ビームのエネルギーが該カーボン繊維に損傷を与えない条件の電子ビームとしたことを特徴とする、カーボン繊維の切断・加工方法。
  2. 前記電子ビームの照射は、スポット照射、ライン走査照射又は領域照射であることを特徴とする、請求項1に記載のカーボン繊維の切断・加工方法。
  3. 前記酸化性ガスは、酸素ガス、亜酸化窒素ガス又は空気であることを特徴とする、請求項1に記載のカーボン繊維の切断・加工方法。
  4. 前記カーボン繊維は、マリモカーボン、カーボンナノフィラメント又はカーボンナノチューブであることを特徴とする、請求項1に記載のカーボン繊維の切断・加工方法。
  5. 前記酸化性ガスの所定の圧力は26〜2600Paであり、前記電子ビームの所定の条件は、前記電子ビームの出射端と前記カーボン繊維との距離が30〜50cmでビーム径が10〜30nmの場合に、電子銃の加速電圧が3〜30kVで照射電流量が10〜100nAであることを特徴とする、請求項1に記載のカーボン繊維の切断・加工方法。
  6. 真空槽と、
    この真空槽内に配設したカーボン繊維を載置する載置台と、この載置台に載置するカーボン繊維に電子ビームを照射する電子銃と、
    この電子銃の電子ビームを走査する走査部と、
    上記真空槽の真空度を制御する排気部と、
    上記真空槽に酸化性ガスを導入するガス導入部と、
    から成ることを特徴とする、カーボン繊維の切断・加工装置。
  7. 請求項7の構成に加え、前記カーボン繊維に電子ビームを照射して発生する二次電子及び/又は反射電子の強度を検出する検出器と、
    この検出器の出力を画像に構成する画像構成部を有することを特徴とする、請求項6に記載のカーボン繊維の切断・加工装置。
JP2005092897A 2005-03-28 2005-03-28 カーボン繊維の切断・加工方法 Expired - Fee Related JP4730686B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005092897A JP4730686B2 (ja) 2005-03-28 2005-03-28 カーボン繊維の切断・加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005092897A JP4730686B2 (ja) 2005-03-28 2005-03-28 カーボン繊維の切断・加工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006272374A true JP2006272374A (ja) 2006-10-12
JP4730686B2 JP4730686B2 (ja) 2011-07-20

Family

ID=37207608

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005092897A Expired - Fee Related JP4730686B2 (ja) 2005-03-28 2005-03-28 カーボン繊維の切断・加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4730686B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008060680A2 (en) * 2006-05-05 2008-05-22 William Marsh Rice University Bulk cutting of carbon nanotubes using electron beam irradiation
US7674389B2 (en) * 2004-10-26 2010-03-09 The Regents Of The University Of California Precision shape modification of nanodevices with a low-energy electron beam
JP2013248653A (ja) * 2012-06-01 2013-12-12 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 金属のガス切断方法及び金属のガス切断装置
CN113652892A (zh) * 2021-08-10 2021-11-16 浙江超探碳纤维科技有限公司 一种碳纤维纸及其制备方法
CN114227008A (zh) * 2021-12-30 2022-03-25 北京卫星制造厂有限公司 一种用于碳纤维复合材料结构的超快激光切割方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104526766B (zh) * 2014-12-04 2016-03-30 东南大学 一种用于加工纳米材料的纳米切割刀及其使用方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0475246A (ja) * 1990-07-18 1992-03-10 Seiko Instr Inc イオンビーム加工装置
JPH1190648A (ja) * 1997-09-25 1999-04-06 Printing Bureau Ministry Of Finance Japan 紙または印刷物の断面作製法並びに断面観察法
JP2001121273A (ja) * 1999-10-22 2001-05-08 Printing Bureau Ministry Of Finance Japan 紙及び印刷物の断面試料作製方法
JP2003159700A (ja) * 2001-11-22 2003-06-03 Toyota Motor Corp カーボンナノチューブの加工方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0475246A (ja) * 1990-07-18 1992-03-10 Seiko Instr Inc イオンビーム加工装置
JPH1190648A (ja) * 1997-09-25 1999-04-06 Printing Bureau Ministry Of Finance Japan 紙または印刷物の断面作製法並びに断面観察法
JP2001121273A (ja) * 1999-10-22 2001-05-08 Printing Bureau Ministry Of Finance Japan 紙及び印刷物の断面試料作製方法
JP2003159700A (ja) * 2001-11-22 2003-06-03 Toyota Motor Corp カーボンナノチューブの加工方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7674389B2 (en) * 2004-10-26 2010-03-09 The Regents Of The University Of California Precision shape modification of nanodevices with a low-energy electron beam
WO2008060680A2 (en) * 2006-05-05 2008-05-22 William Marsh Rice University Bulk cutting of carbon nanotubes using electron beam irradiation
WO2008060680A3 (en) * 2006-05-05 2009-01-22 Univ Rice William M Bulk cutting of carbon nanotubes using electron beam irradiation
US8540959B2 (en) 2006-05-05 2013-09-24 William Marsh Rice University Bulk cutting of carbon nanotubes using electron beam irradiation
JP2013248653A (ja) * 2012-06-01 2013-12-12 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 金属のガス切断方法及び金属のガス切断装置
CN113652892A (zh) * 2021-08-10 2021-11-16 浙江超探碳纤维科技有限公司 一种碳纤维纸及其制备方法
CN114227008A (zh) * 2021-12-30 2022-03-25 北京卫星制造厂有限公司 一种用于碳纤维复合材料结构的超快激光切割方法
CN114227008B (zh) * 2021-12-30 2023-07-14 北京卫星制造厂有限公司 一种用于碳纤维复合材料结构的超快激光切割方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4730686B2 (ja) 2011-07-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4730686B2 (ja) カーボン繊維の切断・加工方法
US7279686B2 (en) Integrated sub-nanometer-scale electron beam systems
EP2787522B1 (en) Electrode material with low work function and high chemical stability
JP2015518245A5 (ja)
TW200926245A (en) Composite focused ion beam apparatus, and machining monitoring method and machining method using composite focused ion beam apparatus
Langer et al. Silicon chip field emission electron source fabricated by laser micromachining
Fairchild et al. Field emission from laser cut CNT fibers and films
Kim et al. In situ manipulation and characterizations using nanomanipulators inside a field emission-scanning electron microscope
JP4792404B2 (ja) 電子源の製造方法
Liu et al. The growth behavior of self-standing tungsten tips fabricated by electron-beam-induced deposition using 200keV electrons
WO2004070766A1 (ja) 電子源
JP2005063802A (ja) 導電性針の製造方法及びその方法により製造された導電性針
JP2009037910A (ja) 複合荷電粒子ビーム装置及び加工観察方法
Akram et al. Investigation of field emission properties of laser irradiated tungsten
Moening et al. Formation of conical silicon tips with nanoscale sharpness by localized laser irradiation
JP2000268741A5 (ja)
Ławrowski et al. Field emission arrays from graphite fabricated by laser micromachining
US6943356B2 (en) Tip for nanoscanning electron microscope
Kanth et al. Multiwalled carbon nanotube field emitter as an electron source for a microcolumn
US7960695B1 (en) Micromachined electron or ion-beam source and secondary pickup for scanning probe microscopy or object modification
Saressalo et al. In-situ plasma treatment of Cu surfaces for reducing the generation of vacuum arc breakdowns
Ahmad et al. Use of high-intensity electron beam to form nanohole, induce bending and fabricate nanocontact on a ZnO nanowire
Singh et al. Field emission study from tantalum surfaces micro-structured with femtosecond pulsed laser irradiation
JP5077863B2 (ja) 低真空走査型電子顕微鏡を用いた炭素系材料の微細加工方法とその装置
Cahay et al. Characterization and field emission properties of lanthanum monosulfide nanoprotrusion arrays obtained by pulsed laser deposition on self-assembled nanoporous alumina templates

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080125

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100908

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100921

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101112

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110329

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110408

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees