JP2006271326A - 水性食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】蛋白質を高含有でき、風味が爽やかであり、ざらつきが少ない飲料、ゼリーなどの水性食品を提供する。
提供する。
【解決手段】アミノ酸スコアが80以上の水性食品であって、10質量%水溶液における20℃での粘度が8〜32mPa・sであるカゼイン類(A成分)を2〜15質量%、大豆食物繊維又は/及び高メトキシルペクチン(B成分)を0.2〜3質量%含む、pH3〜5の水性食品。前述の水性食品をゲル化したゼリー。


【選択図】なし

Description

本発明は、アミノ酸スコアが高く、蛋白質成分を高濃度に含有でき、風味が爽やかで、保存安定性の高い水性食品に関する。
近年、医療介護業界において「QOLの向上」が重要視されている(QOL:Quality of Life(生活の質))。QOLの低下として挙げられる最も大きな問題は、寝たきりの患者における褥瘡(床ずれ)である。この症状は、摂取する栄養の不足、特に蛋白質成分の不足により発症しやすいことがわかっている。患者や高齢者の栄養不足に対応するため、医療介護施設内に、NST(Nutrition Support Team)と呼ばれる、栄養管理を職種の壁を越えて実践する集団が結成されるようになってきた。NST稼動施設は、2001年5月には12件であったのが、わずか3年余りの間に2004年8月には272件に増え、現在でも多くの施設でNST設立の準備が進められている。
このような背景に基づき、NST活動に適切な栄養を容易に摂取できる食品が求められるようになってきた。特に、蛋白質成分は栄養成分として重要であるにも関わらず、食の細くなりがちな高齢者は、通常の食品から摂取しづらいので、蛋白質成分を高含有する食品のニーズが高くなってきている。さらに、栄養補給を目的とする食品において、蛋白質成分は栄養学的に良好なアミノ酸組成であることが好ましい。例えば、良好なアミノ酸組成について、1985年にFAO/WHO/UNUは合同でその基準を示している。これは、食品中の蛋白質成分あたりの必須アミノ酸量を基準のアミノ酸パターンと比較し、最も不足するアミノ酸に関して、その割合を百分率で示すアミノ酸スコアとして評価される。不足するアミノ酸がない場合は100とする。必須アミノ酸をバランスよく摂取できる良質な蛋白質成分としては、80以上が好ましく、100がより好ましいとされる。
アミノ酸スコアが高い食品としては、肉類、魚類、卵類、豆類、乳酸菌飲料、ヨーグルトなどの乳類が知られている。ところが、種々の疾患を持った患者や高齢者には咀嚼や嚥下の能力が低下した場合が多く、これらのほとんどの食品が摂食しにくい形態(物性)である。
摂食しやすい食品は、蛋白質含量が低いことが多い。例えば、乳酸菌飲料の蛋白質成分含有量は0.5〜2質量%であり、一般的なヨーグルトではその蛋白質成分含有量はせいぜい4質量%であり、高齢者用の蛋白質を多く含む食品、即ち、高蛋白質食品のニーズを満たすものではない。
そこで、ゼラチン蛋白質、全乳蛋白質、カゼインナトリウム、蛋白質分解物、乳清蛋白質などの蛋白質成分を配合した高蛋白質食品が開発されている。例えば、ゼラチン蛋白質と非凝固性ゼラチン蛋白質とを含有する高蛋白含有ゲル状食品組成物(特許文献1)、全乳蛋白質、カゼインナトリウム及び蛋白質分解物あるいはアミノ酸を含む高カロリー高蛋白質流動食(特許文献2)、カゼインナトリウム、乳清蛋白質、乳蛋白質、粉乳、水を含有する水性飲食品組成物(特許文献3)などが開示されている。
特開平11−169106号公報 特開2001−061444号公報 特開2004−97119号公報
しかし、ゼラチン蛋白質はアミノ酸スコアが低く、これを原料に用いても必須アミノ酸をバランスよく摂取できるものではない。
さらに、これらの水性飲食品組成物は、濃厚感を感じやすい風味となっており、食味の点で問題があった。果汁飲料、果汁ゼリー、ヨーグルトなど風味が爽やかな食品は、pH5以下であるものが多い。しかし、先行技術の蛋白質成分を配合した高蛋白質食品に酸成分を加えると、蛋白質成分において凝集が発生し、食感においてざらつきがあり、保存時において相分離するなど食品としての使用に適さなくなる。これは、蛋白質成分が、酸性域(pH4〜5)に等電点を持つので、酸性領域にすると電荷を失って蛋白質間の反発力を奪われ、凝集することが原因と考えられる。
本発明は、以上のような背景のもとでなされたもので、本発明の目的は、アミノ酸スコアが高く、蛋白質成分を高濃度に含有し、風味が爽やかであり、保存安定性の高い水性食品を提供することにある。
本発明の第1の発明は、アミノ酸スコアが80以上の水性食品であって、10質量%水溶液における20℃での粘度が8〜32mPa・sであるカゼイン類(A成分)を2〜15質量%、大豆食物繊維又は/及び高メトキシルペクチン(B成分)を0.2〜3質量%含む、pH3〜5の水性食品である。
本発明の第2の発明は、第1の発明の水性食品をゲル化したゼリーである。
本発明の第1の発明によれば、アミノ酸スコアが高く、蛋白質成分を高濃度に含有でき、風味が爽やかでざらつきが少ない、保存安定性の高い水性食品を提供することができる。本発明の水性食品は、栄養価が高く、高齢者等において、栄養を効率よく摂取できるので極めて有用である。
本発明の第2の発明によれば、アミノ酸スコアが高い蛋白質成分を効率よく摂取できる、風味が爽やかで、ざらつきが少ないゼリーを提供することができる。
本発明は、特定のカゼイン類(A成分)及び、大豆食物繊維又は/及び高メトキシルペクチン(B成分)を含む、pHが3〜5である水性食品である。
本発明において、A成分のカゼイン類は、乳に含まれているカゼインの分解物またはその塩である。そのアミノ酸スコアは100である。A成分のカゼイン類の製造方法は、例えば、乳を酸あるいは酵素などで沈殿し、得られた沈澱画分のカゼインを、酵素などにより加水分解して得ることができる。この場合、カゼインは加水分解の前にアルカリで中和し、カゼイネートとしておくことが一般的である。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
本発明において、A成分のカゼイン類は、10質量%水溶液において20℃での粘度が、8〜32mPa・sであることを特徴とするカゼイン類である。好ましくは、20mPa・s以下である。8mPa・s未満となると、製造される水性食品の苦味が強くなり風味が悪くなるので好ましくない。粘度が32mPa・sより大きい場合は、pHを3〜5にすると蛋白質成分の凝集が生じやすく、食感においてざらつきを感じやすくなるので好ましくない。
ここで、本発明におけるカゼイン類の粘度は、B型粘度計で測定される粘度である。ローターとしてBLアダプター(20mL)を使用し、回転速度30rpmで測定した際の測定値である。
本発明の水性食品において、蛋白質成分として、本発明の効果が損なわれない範囲において、上述のA成分カゼイン類以外に、他の粘度の異なるカゼイン類、乳蛋白質、卵蛋白質、肉蛋白質、コラーゲン蛋白質などの動物系蛋白質や、大豆蛋白質、小麦蛋白質、米蛋白質などの植物蛋白質、それらの加水分解物やペプチドなどを加えてもよい。更に、乳蛋白質として、全脂粉乳蛋白質、脱脂粉乳蛋白質、総合乳蛋白質、ホエイ蛋白質などを加えてもよく、アミノ酸単独を加えてもよい。
本発明において、A成分のカゼイン類の量は、蛋白質成分中50質量%以上含まれていることが好ましく、更には80質量%以上含まれていることがより好ましい。50質量%以上含まれると、pH3〜5においても蛋白質成分が凝集し難く、食感においてざらつきを感じ難くなる。また、蛋白質含有量を増加させるには、コラーゲンペプチドと併用することが好ましいが、アミノ酸スコアを80以上とするには、A成分のカゼイン類が蛋白成分中に70質量%以上含まれていることが好ましい。
本発明の水性食品中、A成分のカゼイン類を2〜15質量%含有する食品であることが好ましい。より好ましくは5〜12質量%、更により好ましくは8〜10質量%である。2質量%未満では、高蛋白質食品に対するQOLを求める高齢者等の要求を満たし難い。15質量%より多いと、pHを酸性域にすると蛋白質成分が凝集しやすくなり、保存安定性が悪くなりやすく、食感においてざらつきを感じやすくなる。
本発明の水性食品は、さらに構成成分として大豆食物繊維又は/及び高メトキシルペクチン(B成分)を含む水性食品である。本発明は、大豆食物繊維又は高メトキシルペクチンを単独で、あるいは混合して使用することを特徴とする。
大豆食物繊維は、大豆より得られる水溶性ヘミセルロースであり、大豆多糖類ともいわれている多糖類である。本発明において、大豆食物繊維を使用すると蛋白質成分の凝集を抑制し、食感においてざらつきを感じ難くすることができる。
ペクチンは、柑橘類やリンゴなどから得られる多糖類である。ペクチンを構成しているガラクチュロン酸のうち、メチルエステルとして存在する割合をエステル化度というが、エステル化度の高いペクチンが高メトキシルペクチンと一般によばれている。本発明においては、エステル化度の高い50%以上の高メトキシルペクチンを使用することが好ましい。本発明において、高メトキシルペクチンを使用するとpHが酸性域において蛋白質成分の凝集を抑制でき、食感においてざらつきを感じ難くすることができる。
本発明の水性食品において、B成分の大豆食物繊維又は/及び高メトキシルペクチンは、水性食品中に合計量で0.2〜3質量%含まれることが好ましい。より好ましくは0.2〜2質量%であり、更に好ましくは0.4〜1.5質量%である。0.2質量%より少ないと蛋白質成分の凝集を充分に抑制できず、3質量%より多いと粘度が高くなり、飲料あるいはゼリーの製造に適さなくなる。
なお、本発明の水性食品には、増粘を目的として、B成分の大豆食物繊維又は高メトキシルペクチン以外の多糖類を添加することができる。これらの多糖類としては、カラギーナン、寒天、低メトキシペクチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、グルコマンナン、カードラン、グアーガム、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、ポリデキストロース、セルロース等を挙げることができる。
本発明の水性食品のpHは、3〜5であることを特徴とする。pHが3より低いと酸味が強すぎるため良好な風味が得られず、5より高いと爽やかな酸味が得られない。好ましくはpH3.5〜4.5である。またpHを低く保つことにより、簡易的な殺菌方法で長期保存が可能となり、経済的にも好ましい。
本発明の水性食品に使用できるpHを調整するための酸性物質として、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、コハク酸、フマル酸、リン酸などが挙げられる。乳酸菌等の発酵による酸性物質でも、リンゴ、オレンジ、ブドウ、グレープフルーツ、ストロベリー、パイン、レモンなどの果汁でも、pHを調整できるものであればかまわない。
本発明の水性食品は、水を40〜97.8質量%含有する食品である。天然水、水道水、イオン交換水、蒸留水など食品として使用できる水であれば使用することができる。
その他、本発明の水性食品には、本発明の目的を逸脱しない範囲で、他の食品原料を加えることができる。例えば、糖質、油脂、ミネラル、ビタミン、その他の生理機能性物質、呈味物質、香料、色素などが挙げられる。
本発明に任意成分として使用できる糖質は、一般に食用として利用されているものを使用でき、特に限定はされない。糖質の素材としては、例えば、ブドウ糖、果糖などの単糖類;蔗糖、乳糖、トレハロースなどの二糖類;大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロースなどのオリゴ糖;異性化糖;デキストリン、還元デキストリン、澱粉、還元水飴などの多糖類などが挙げられる。これらの糖類は、1種単独であるいは2種以上を配合して使用してもよい。
本発明に任意成分として使用できる脂質は、一般に食用として利用されているものを使用でき、特には限定されない。例えば、ナタネ油、大豆油、コーン油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、オリーブ油、米油、シソ油等の植物性油脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油等の動物性油脂、中鎖脂肪油等が挙げられる。栄養補給を目的とするために、脂質の含量は、エネルギー比率として全エネルギー量の30%以下、好ましくは25%以下であり、脂肪酸組成としては、飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸の質量比が、3:4:3に近いことが好ましく、n−6系脂肪酸がn−3系脂肪酸の質量比で約4倍に近いことが好ましい。その質量比は、通常の液状流動食では4倍よりも多いものがあり、この場合、n−3系脂肪酸を高含有する魚油、シソ油などを配合することが好ましい。また、これらの脂質は別途、界面活性剤によって乳化液または可溶化液を製造しこれを配合してもよい。
本発明に任意成分として使用できるミネラル類としては、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛、セレン、マンガン、クロム、モリブデン、ヨウ素が挙げられる。
カルシウムの素材としては、一般に食用として利用されているものを使用でき、特には限定されない。例示すると、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、カゼインカルシウム、総合乳蛋白質などを使用しても良い。
マグネシウムの素材としては、一般に食用として利用されているものを使用でき、特には限定されないが、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、カゼインマグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウムなどを使用してもかまわない。リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどの不溶性塩は、その分散性のために粒径が細かいほど適しており、好ましくは平均粒径が10μm以下、より好ましくは5μm以下である。
ナトリウム、カリウムの素材としては、一般に食用として利用されているものを使用でき、特には限定されないが、前記のリン酸塩、クエン酸塩のほか、カゼイン塩、塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの塩化物、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの水酸化物、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどの炭酸化物、コハク酸塩、グルコン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、硫酸塩等を使用しても良い。
鉄の素材としては、一般に食用として利用されているものを使用でき、特には限定されないが、クエン酸第一鉄ナトリウム、ピロリン酸第二鉄、ヘム鉄等を使用しても良い。また、亜鉛、銅、セレン、マンガン、クロム、モリブデン、ヨウ素などの素材としては既に食品添加物として広く一般に知られているものの他、これらミネラルを含有する酵母や乳酸菌などを用いても良い。
本発明に任意成分として使用できるビタミン類としては例えば、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸、葉酸、ナイアシン、ビオチンなどが挙げられる。またビタミンAとして、レチノール、β−カロチンを併用することが望ましい。これらの成分は予め混合してあるビタミンミックスを使用することが計量等の点から望ましい。脂溶性ビタミン類は水溶性乳化粉末として混合し、水溶性ビタミンとともに水相溶解させて使用してもよい。また、脂溶性ビタミンを油相に直接溶解させて使用してもよい。
本発明の水性食品の製造は、例えば、水に、A成分のカゼイン類、B成分の大豆食物繊維、高メトキシルペクチンを十分に溶解させた後、酸性物質にてpHを調整して製造することができる。また、ホモジナイザーなど均質化工程を実施することで、より均一な好ましい物性とすることができる。
本発明の水性食品は、これをゲル化してゼリーとして使用することが好ましい。様々な病態を発症した患者や高齢者は、嚥下能力が低下している場合があり、この場合、ゼリー状とすることで、嚥下しやすくなる。本発明でゼリーとする際、ローカストビーンガム、ジェランガム、寒天などの多糖類をゲル化剤として使用することが好ましい。さらに、本発明においては、例えば、多糖類以外のゲル化剤であるゼラチン等を使用することもできる。
本発明において、ゼリー中には、ローカストビーンガム、ジェランガム、寒天、ゼラチンなどのゲル化剤が0.05〜3質量%含まれることが好ましい。0.05質量%より少ないとゼリーとして使用するには充分にゲル化できず、3質量%より多いとゼリーとしては堅くなりすぎ適さなくなる。
最終的なゼリーの形態としては、テトラパック、テーブルカップ、ポーションカップ、アルミパウチ、チアパックなどの容器に充填したゼリーであることが好ましい。その他、中間的なペーストである形態でもかまわない。
本発明を具体例に基づいてさらに詳細に説明する。
蛋白質成分の粘度は下記の粘度測定法により測定した。蛋白質原料(5g)を試験管に秤取り、蛋白質含量が10質量%となるように水を加え溶解させた。これを20℃に調整し、1時間放置後、ブルックフィールド社製回転B型粘度計を用いて、ローターをBLアダプター(20mL)、回転数を30rpmで測定した。
次に食品組成物の評価方法について示す。食品組成物における風味、蛋白質の凝集については、目視、食したときのざらつきの感じ方などの官能評価、篩を通したときの凝集物の量、遠心分離による沈澱量、平均粒径で評価した。
風味、食感は官能により評価した。評価基準は、次のように判定した。
<風味(苦味)の評価基準>
◎:爽やかな感じである、○:ほとんど苦味を感じない、△:やや苦味を感じる、×:非常に苦い、で表した。
ざらつきの官能評価は、次の評価基準で判定した。
<ざらつきの評価基準>
◎:ざらつきを感じない、○:ほとんどざらつきを感じない、△:ややざらつきを感じる、×:大きな凝集物がある、で表した。
篩を通したときの凝集物の量は次のように評価した。目開き20メッシュの篩に食品組成物を通し、水ですすいだ後、軽く水分を切り残った凝集物の量をそのまま測定しこれを百分率で表した。
遠心分離による沈澱量は、以下の方法で評価した。
食品組成物を約20℃に温調し、それを10mL試験管に秤取り、遠心分離を行い、それを1分間逆さにし、沈澱以外の上澄みを流した後の沈澱量を百分率で評価した。1000rpmで3分間の遠心分離の条件を条件1とし、500rpmで1分間の条件を条件2とし、結果を示した。
平均粒径は、堀場製作所製遠心式粒度分布計「CAPA−700」にて、粒子比重1.35、測定範囲3〜30μm(1.5μm刻み)で測定し、求めた。
実験に使用した原料は、カゼイン類として、サンラクトS(太陽化学株式会社製、アミノ酸スコア100)、インスタンラックS(中央商工株式会社製、アミノ酸スコア100)、エマルアップ(森永乳業株式会社製、アミノ酸スコア100)、プロミーLH(日本新薬株式会社製、アミノ酸スコア100)、カゼインペプチドC800(森永乳業株式会社製、アミノ酸スコア100)であり、測定した粘度を表1に示す。
他に、濃縮ホエイであるラクプロダン80(アーラフーズ株式会社製、アミノ酸スコア100)、コラーゲンペプチドであるペプタイドPRA−PC(株式会社ニッピ製、アミノ酸スコア0)を併せて測定した。
Figure 2006271326
実施例1
容器に温水391.5g(78.26質量部)、大豆食物繊維1.5g(0.3質量部)、プロミーLH50g(10質量部)、上白糖50g(10質量部)を入れ撹拌し、完全に溶解させた。その後、撹拌しながらpHが4になるよう、リン酸水溶液7.2g(1.44質量部)を添加した。評価結果を表2−1に示した。
実施例2〜5、比較例1〜5
原料組成を実施例1の配合処方から表2−1及び表2−2に示したように変更した以外は、実施例1に準じて、実施例2〜9および、比較例1〜12の食品組成物を製造した。評価結果を表2−1及び表2−2に示した。
Figure 2006271326
Figure 2006271326
以上の結果から、実施例において、風味が爽やかで、殆どざらつきがない食品が得られることがわかる。
実施例1は20℃における10質量%水溶液の粘度が14mPa・sのカゼイン類と大豆食物繊維とを用いて製造した例であるが、風味が爽やかで苦味とざらつきを殆ど感じず、その他の機械的評価の測定数値も良好であった。実施例2は粘度が28mPa・sの蛋白質原料を用いて製造した例であるが、風味が爽やかでややざらつきを感じるものの、苦味を感じなく、良好であった。実施例3、4は、実施例1、2の大豆食物繊維を高メトキシペクチンに置き換えた例であるが、結果は各々実施例1、2と同様の結果であった。実施例5は、実施例1にローカストビーンガムと寒天を加えてゼリーを製造した例であるが、風味、ざらつきともゼリーとして良好であった。実施例6〜7は、実施例1の大豆食物繊維の使用量を代えた例であるが、実施例1と同様に良好であった。実施例8は、実施例3の高メトキシペクチンの使用量を代えた例であるが、実施例3と同様に良好であった。
なお、実施例1〜9において、得られた食品の保存安定性は良好であり、室温で1週間静置した後も、沈殿が生じることもなく、官能評価において風味やざらつきを感じることもなかった。
比較例1、2は、粘度が39mPa・sのカゼイン類を用いて製造した例であるが、凝集が顕著であり、篩残の値が20%以上となり、保存安定性が悪いことから食品として適さないことがわかった。比較例3は、粘度が4mPa・sのカゼイン類を用いて製造した例であるが、強い苦味を感じ、食品として適さないことがわかった。
比較例4は、本発明に用いるカゼイン類より粘度が高いカゼインと、低いカゼイン類を混合して用いた例であるが、苦味、ざらつきを感じ、食品として適さないことがわかった。比較例5は、比較例1において大豆食物繊維を高メトキシペクチンに置き換えた例であるが、結果は比較例1とほとんど同じ結果であった。比較例6は濃縮乳ホエイを用いた例であるが、蛋白質の凝集が顕著であり沈殿が生じた。比較例7は、比較例1にローカストビーンガムと寒天を加えてゼリーを製造した例であるが、ざらつきが顕著でゼリーには適さなかった。比較例8は低メトキシペクチンを使用した例であるが、凝集が顕著であり沈殿が生じた。比較例9〜11は、それぞれカルボキシメチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル、キトサンを使用した例であるが、いずれも凝集が顕著であり沈殿が生じた。

Claims (2)

  1. アミノ酸スコアが80以上の水性食品であって、10質量%水溶液における20℃での粘度が8〜32mPa・sであるカゼイン類(A成分)を2〜15質量%、大豆食物繊維又は/及び高メトキシルペクチン(B成分)を0.2〜3質量%含む、pH3〜5の水性食品。
  2. 請求項1に記載の水性食品をゲル化したゼリー。
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