JP2006270309A - 補聴処理方法及びそれを用いた補聴器 - Google Patents

補聴処理方法及びそれを用いた補聴器 Download PDF

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【課題】 補聴器装用者(難聴者)の周波数選択性の劣化に基づいて補聴調整することができる補聴器を提供する。
【解決手段】 マイクロホン2で入力した音声信号を補聴処理してイヤホン4から音声信号を出力する補聴器1であって、難聴者の聴神経興奮パターンを算出し、この聴神経興奮パターンが健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるように、入力音声信号のパワースペクトルの各周波数成分に補正係数を乗算して出力音声信号とする補聴処理部3を備え、補正係数が負となる場合には、そのパワースペクトルの周波数成分の位相を反転させ、この位相を反転させたパワースペクトルの周波数成分に補正係数の絶対値を乗算する。聴神経興奮パターンは、入力音声信号と、聴覚フィルタ形状又は臨界帯域幅を用いて算出される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、周波数選択性の劣化に基づいて補聴調整する補聴処理方法及びそれを用いた補聴器に関する。
現在一般に普及している補聴器のほとんどは、数種類の調整機能を有する。これらの調整機能には、例えばサブボリューム、出力制限、音質調整(主にフィルタを用いた周波数特性変更装置)、自動利得調整(AGC)などがあり、各調整の度合はユーザ若しくは調整者(医師、販売店員等)が自由に変更することができる。これらの調整は、装用者のオージオグラム(最小可聴閾値の上昇)を特定の計算式に代入して得られた調整値に基づいて行われる。
また、難聴の要因としては、オージオグラムの形状の他に、周波数選択性の劣化などが考えられる。オージオグラムの形状が殆ど同じであっても、周波数選択性の劣化の度合が異なると、オージオグラムの形状を基に補聴器を調整したとても、文章了解度が改善されない場合がある。また、同じタイプの補聴器を使用している難聴者であっても、周波数選択性の劣化の度合が異なり、雑音下での文章了解度が改善されない場合がある。
周波数選択性の劣化の度合については、聴覚フィルタ形状から個々の難聴者の度合を知ることができる。健聴者における聴覚フィルタ形状の個人差は小さいが、感音性難聴者における聴覚フィルタ形状は、周波数や音圧レベルに応じて様々に異なることが知られている。
そこで、聴覚フィルタ形状を短時間で測定する方法としては,周波数分解能測定装置などが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また,聴覚フィルタ形状の他に、臨界帯域幅やマスキングパターンなどを用いても、周波数選択性の劣化度合を知ることができる。
特開2001−95785号公報
しかし、周波数選択性の劣化の度合については、聴覚フィルタ形状などから測定することは可能であるが、現在の補聴器が有する機能では、周波数選択性の劣化を補償することはできない。
そこで、周波数選択性の劣化に基づいて調整できる補聴器の出現が望まれる。
本発明は、従来の技術が有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、補聴器装用者(難聴者)の周波数選択性の劣化に基づいて補聴調整することができる補聴処理方法及びそれを用いた補聴器を提供しようとするものである。
上記課題を解決すべく請求項1に係る発明は、マイクロホンで入力した音声信号を補聴処理してイヤホンから音声信号を出力する補聴処理方法であって、難聴者の聴神経興奮パターンを算出し、この聴神経興奮パターンが健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるように、入力音声信号のパワースペクトルの各周波数成分に補正係数を乗算して出力音声信号とする際に、前記補正係数が負となる場合には、そのパワースペクトルの周波数成分の位相を反転させ、この位相を反転させたパワースペクトルの周波数成分に前記補正係数の絶対値を乗算するものである。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の補聴処理方法において、前記聴神経興奮パターンを、入力音声信号のある特定の周波数成分を用いて算出するようにした。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の補聴処理方法において、前記聴神経興奮パターンを、聴覚フィルタ形状を用いて算出するようにした。
請求項4に係る発明は、請求項1又は2記載の補聴処理方法において、前記聴神経興奮パターンを、臨界帯域幅を用いて算出するようにした。
請求項5に係る発明は、マイクロホンで入力した音声信号を補聴処理してイヤホンから音声信号を出力する補聴器であって、難聴者の聴神経興奮パターンを算出し、この聴神経興奮パターンが健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるように、入力音声信号のパワースペクトルの各周波数成分に補正係数を乗算して出力音声信号とする補聴処理部を備え、前記補正係数が負となる場合には、そのパワースペクトルの周波数成分の位相を反転させ、この位相を反転させたパワースペクトルの周波数成分に前記補正係数の絶対値を乗算するものである。
請求項6に係る発明は、請求項5記載の補聴器において、前記聴神経興奮パターンを、入力音声信号のある特定の周波数成分を用いて算出するようにした。
請求項7に係る発明は、請求項5又は6記載の補聴器において、前記聴神経興奮パターンを、聴覚フィルタ形状を用いて算出するようにした。
請求項8に係る発明は、請求項5又は6記載の補聴器において、前記聴神経興奮パターンを、臨界帯域幅を用いて算出するようにした。
請求項9に係る発明は、請求項7又は8記載の補聴器において、前記聴覚フィルタ形状、前記臨界帯域幅を求めるための検査音を出力するようにした。
以上説明したように請求項1に係る発明によれば、難聴者の聴神経興奮パターンが、健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるように、入力音声信号を補正して出力音声信号とするので、周波数選択性の劣化が補償され、健聴者と同じような感覚で音声を聴取することができる。
請求項2に係る発明によれば、周波数選択性の劣化の度合を表している入力音声信号のある特定の周波数成分を用いて、難聴者の聴神経興奮パターンが、健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるように、入力音声信号を補正して出力音声信号とするので、周波数選択性の劣化が補償され、健聴者と同じような感覚で音声を聴取することができる。また、演算処理の高速化が図れる。
請求項3に係る発明によれば、周波数選択性の劣化の度合を表している聴覚フィルタ形状を用いて、難聴者の聴神経興奮パターンが、健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるように、入力音声信号を補正して出力音声信号とするので、周波数選択性の劣化が補償され、健聴者と同じような感覚で音声を聴取することができる。
請求項4に係る発明によれば、周波数選択性の劣化の度合を表している臨界帯域幅を用いて、難聴者の聴神経興奮パターンが、健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるように、入力音声信号を補正して出力音声信号とするので、周波数選択性の劣化が補償され、健聴者と同じような感覚で音声を聴取することができる。
請求項5に係る発明によれば、補聴処理部による補聴処理により、難聴者の聴神経興奮パターンが、健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるように、入力音声信号を補正して出力音声信号とするので、周波数選択性の劣化が補償され、健聴者と同じような感覚で音声を聴取することができる。
請求項6に係る発明によれば、周波数選択性の劣化の度合を表している入力音声信号のある特定の周波数成分を用いて、難聴者の聴神経興奮パターンが、健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるように、入力音声信号を補正して出力音声信号とする補聴処理部を備えているので、周波数選択性の劣化が補償され、健聴者と同じような感覚で音声を聴取することができる。
請求項7に係る発明によれば、周波数選択性の劣化の度合を表している聴覚フィルタ形状を用いて、難聴者の聴神経興奮パターンが、健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるように、入力音声信号を補正して出力音声信号とする補聴処理部を備えているので、周波数選択性の劣化が補償され、健聴者と同じような感覚で音声を聴取することができる。
請求項8に係る発明によれば、周波数選択性の劣化の度合を表している臨界帯域幅を用いて、難聴者の聴神経興奮パターンが、健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるように、入力音声信号を補正して出力音声信号とする補聴処理部を備えているので、周波数選択性の劣化が補償され、健聴者と同じような感覚で音声を聴取することができる。
請求項9に係る発明によれば、補聴器自体で聴覚フィルタ形状又は臨界帯域幅を求めるための検査音を出力するので、聴覚フィルタ形状又は臨界帯域幅の測定に際して、補聴器を外す必要がなくなり、補聴器の使い勝手が向上する。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、図1は本発明に係る補聴器のブロック構成図、図2は聴覚フィルタから聴神経興奮パターンを算出する方法の説明図、図3は聴覚フィルタ形状を用いた場合の補正処理手順を示すフローチャート、図4は聴神経興奮パターンの一例である。
図1に示すように、本発明に係る補聴器1は、マイクロホン2、補聴処理部3、イヤホン4からなる。マイクロホン2は、音声信号を電気信号に変換し、変換した電気信号を出力する。補聴処理部3は、マイクロホン2が出力した電気信号に各種の信号処理を施し、信号処理を施した電気信号を出力する。イヤホン4は、補聴処理部3の出力信号を音響信号に変換し、音声信号として出力する。
補聴処理部3は、信号処理部5、聴神経興奮パターン算出部6,7、聴覚フィルタ形状記憶部8,9、補正係数算出部10、極性判定部11、位相反転部12、補正係数乗算部13、復元処理部14などを備えている。なお、健聴者の聴覚フィルタ形状のデータは予め聴覚フィルタ形状記憶部8に記憶され、難聴者(補聴器装用者)の聴覚フィルタ形状のデータも予め測定されて聴覚フィルタ形状記憶部9に記憶されている。
信号処理部5は、マイクロホン2が出力した電気信号を高速フーリエ変換(FFT)してパワースペクトルを算出し、聴神経興奮パターン算出部6,7と位相反転部12に出力する。また、信号処理部5は、ピークピッキングを行ったり、各種の信号処理を行ったりする。
聴神経興奮パターン算出部6は、信号処理部5が出力したパワースペクトル又はパワースペクトルの特定の周波数成分と、聴覚フィルタ形状記憶部8に記憶されている健聴者の聴覚フィルタ形状から、健聴者の聴神経興奮パターンを算出する。また、もう一方の聴神経興奮パターン算出部7は、信号処理部5が出力したパワースペクトル又はパワースペクトルの特定の周波数成分と、聴覚フィルタ形状記憶部9に記憶されている難聴者の聴覚フィルタ形状から、難聴者の聴神経興奮パターンを算出する。
ここで、聴神経興奮パターンとは、蝸牛における基底膜の振動によって刺激された神経活動の分布であり、刺激によって引き起こされる興奮量を周波数の関数として表示したものである。図2に聴覚フィルタバンクに純音が入力された場合の聴神経興奮パターンの算出方法を示す。
図2(a)は、入力された純音と健聴者の聴覚フィルタバンクを示す。入力された純音に対して、聴覚フィルタAの通過量はaであるため、出力値aが得られる。同様に聴覚フィルタB及び聴覚フィルタCからは出力値b及び出力値cがそれぞれ得られる。図2(b)に図2(a)で得られた聴覚フィルタの出力値をプロットする。これが聴神経興奮パターンとなり、過去の研究報告で、この聴神経興奮パターンが生理学データと一致することが確認されている。
図2(c)は、入力された純音と難聴者の聴覚フィルタバンクの一例を示す。難聴者の場合、聴覚フィルタの形状が示すように、聴覚フィルタのバンド幅が健聴者に比べ広がっていることが多い。そこで、聴神経興奮パターンを算出すると、図2(d)に示すように、健聴者と異なることが分かる。
補正係数算出部10は、聴神経興奮パターン算出部6が算出した健聴者の聴神経興奮パターンと聴神経興奮パターン算出部7が算出した難聴者の聴神経興奮パターンを比較して、難聴者の聴神経興奮パターンが、健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるための補正係数(ゲイン係数)を算出して、極性判定部11と補正係数乗算部13に入力する。
極性判定部11は、補正係数算出部10が算出したゲイン係数の極性を判定し、ゲイン係数が負である場合には判定信号を位相反転部12に入力する。
位相反転部12は、極性判定部11からゲイン係数が負であるという判定信号が入力されると、信号処理部5が出力したパワースペクトルのうちでゲイン係数が負となった周波数成分について、その位相を反転させて補正係数乗算部13に入力し、極性判定部11からゲイン係数が負であるという判定信号が入力されないと、信号処理部5が出力したパワースペクトルの位相を反転させずに、そのまま補正係数乗算部13に入力する。
補正係数乗算部13は、位相反転部12が出力したパワースペクトルの周波数成分に、ゲイン係数の絶対値を乗算して復元処理部14に入力する。
復元処理部14は、ゲイン係数の絶対値が乗算されたパワースペクトルを逆FFT(逆高速フーリエ変換)するなどして復元信号を得て、イヤホン4に入力する。
次に、本発明に係る補聴処理方法及びそれを用いた補聴器1の動作を、図3に示すフローチャートにより説明する。
先ず、ステップSP1において、マイクロホン2により音声信号を入力し、ある時間の音声データをN点で切り出してフレーム音声信号s(n)を作成する。ステップSP2において、音声信号s(n) にゼロ詰めを行い、M点とし、M点解析信号y(n)を作成する。M点解析信号y(n)から解析信号x(n)を作成する。
次いで、ステップSP3において、M点解析信号x(n)より、FFT(高速フーリエ変換)によって、Y(k)を得る。ステップSP4において、M/2点のパワースペクトルP(k)を算出する。
次いで、ステップSP5において、ピークピッキングを行い、パワースペクトルP(k)からD本の主要正弦波ピークPL(kL)≡|Y(k)|k=kL≡|Y(kL)|(L=1,…D)を抽出する。例えば、D=10として、10本の主要正弦波ピークPL(kL)を抽出する。
次いで、ステップSP6において、健聴者の聴神経興奮パターンE(k)を、次の式(1)に示すP(k)の周波数軸上畳み込み演算によって求める。
なお、HL(k)は健聴者の聴覚フィルタを表す。
E(k)≡ΣPL(kL)* HL(k) ……(1)
次いで、ステップSP7において、難聴者の聴神経興奮パターンF(k)を、次の式(2)に示すP(k)の周波数軸上畳み込み演算によって求める。
なお、GL(k)は難聴者の聴覚フィルタを表す。
F(k)≡ΣPL(kL)* GL(k) ……(2)
次いで、ステップSP8において、主要正弦波ピークPL(kL)にゲイン係数B(kL)を乗じた後、難聴者の聴覚フィルタGL(k)と周波数軸上畳み込み演算を行ったものが、健聴者の聴神経興奮パターンE(k)と等しくなるようにするゲイン係数B(kL)を求める。即ち、E(k)≡ΣB(kL)PL(kL)* GL(k)となるようなゲイン係数B(kL)を算出する。ここでは、D本の主要正弦波ピークPL(kL)に対するゲイン係数B(kL)を、E(k)≡ΣB(kL)PL(kL)* GL(k)に関する最小二乗誤差解として求める。
次いで、ステップSP9において、算出したゲイン係数B(kL)が負か否か判定する。ゲイン係数B(kL)が負であると判定されると、ステップSP10で主要周波数成分Y(kL)の位相を反転する。そして、ステップSP11において、ゲイン係数B(kL)を位相反転した主要周波数成分Y(kL)に乗じたスペクトルY’(k) ≡(B(kL)) 1/2Y(kL)を算出し、スペクトルY’(k)のM点逆FFT(逆高速フーリエ変換)によって、合成復元波形y’(n)を求める。
一方、ステップSP9において、ゲイン係数B(kL)が負でないと判定されると、ステップSP11で、ゲイン係数B(kL)を主要周波数成分Y(kL)に乗じたスペクトルY’(k) ≡(B(kL)) 1/2Y(kL)を算出し、スペクトルY’(k)のM点逆FFT(逆高速フーリエ変換)によって、合成復元波形y’(n)を求める。
次いで、ステップSP12において、合成復元波形y’(n)をN点で打ち切って、解析的信号x’(n)を得た後、解析的信号x’(n)の実部(Re[x’(n)])を採用して復元信号(フレーム音声信号)s’(n)を得る。
次いで、ステップSP13において、復元信号s’(n)をオーバラップアドなどの処理を施して波形を整えた後に、処理が施された復元信号s’(n)はイヤホン4から音声信号として出力される。イヤホン4から出力される音声信号は、補聴器装用者(難聴者)にとって、聴神経興奮パターンが健聴者と同一となるような音声信号となるため、健聴者が感じるのと同様な音声信号として聴取される。
図4に本発明の実施の形態を用いて算出した聴神経興奮パターンa,b,cを示す。a(実線)は、聴覚フィルタを用いて算出した健聴者の聴神経興奮パターンである。b(一点鎖線)及びc(破線)は、主要正弦波ピークPL(kL)にゲイン係数B(kL)を乗じた後、難聴者の聴覚フィルタGL(k)と周波数軸上畳み込み演算を行った場合で、bはゲイン係数B(kL)が負で位相反転しない場合に難聴者が得るであろう聴神経興奮パターンであり、cはゲイン係数B(kL)が負で位相反転した場合に難聴者が得るであろう聴神経興奮パターンである。
これら難聴者の聴神経興奮パターンが健聴者の聴神経興奮パターンaと一致するようなゲイン係数B(kL)をステップSP8で算出し、ゲイン係数B(kL)が正であれば、ステップSP11で合成復元波形y’(n)を求めればよい。また、ゲイン係数B(kL)が負であれば、ステップSP10で位相を反転させた後に、ステップSP11で合成復元波形y’(n)を求めればよい。
なお、本発明の実施の形態では、聴覚フィルタ形状を用いて聴神経興奮パターンを算出したが、聴覚フィルタ形状の代わりに臨界帯域幅又はマスキングパターンを用いて聴神経興奮パターンを算出することもできる。
また、聴覚フィルタ形状、臨界帯域幅又はマスキングパターンを測定装置で測定する場合には、測定装置から聴覚フィルタ形状、臨界帯域幅又はマスキングパターンを求めるための検査音を出力しているため、補聴器を外す必要がある。
しかし、測定に際して補聴器を外す必要がないように、補聴器から聴覚フィルタ形状、臨界帯域幅又はマスキングパターンを求めるための検査音を出力することもできる。
本発明に係る補聴器は、難聴者の聴神経興奮パターンが、健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるように、入力音声信号を補正して出力音声信号とするため、周波数選択性の劣化が補償され、違和感なく健聴者と同じような感覚で環境音を聴取することができるので、快適に装用でき、補聴器の普及に寄与する。
本発明に係る補聴器のブロック構成図 聴覚フィルタから聴神経興奮パターンを算出する方法の説明図、(a)は入力された純音と健聴者の聴覚フィルタバンク、(b)は健聴者の聴神経興奮パターン、(c)は入力された純音と難聴者の聴覚フィルタバンクの一例、(d)は難聴者の聴神経興奮パターンの一例 聴覚フィルタ形状を用いた場合の補正処理手順を示すフローチャート 聴神経興奮パターンの一例
符号の説明
1…補聴器、2…マイクロホン、3…補聴処理部、4…イヤホン、5…信号処理部、6,7…聴神経興奮パターン算出部、8,9…聴覚フィルタ形状記憶部、10…補正係数算出部、11…極性判定部、12…位相反転部、13…補正係数乗算部、14…復元処理部。

Claims (9)

  1. マイクロホンで入力した音声信号を補聴処理してイヤホンから音声信号を出力する補聴処理方法であって、難聴者の聴神経興奮パターンを算出し、この聴神経興奮パターンが健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるように、入力音声信号のパワースペクトルの各周波数成分に補正係数を乗算して出力音声信号とする際に、前記補正係数が負となる場合には、そのパワースペクトルの周波数成分の位相を反転させ、この位相を反転させたパワースペクトルの周波数成分に前記補正係数の絶対値を乗算することを特徴とする補聴処理方法。
  2. 前記聴神経興奮パターンは、入力音声信号のある特定の周波数成分を用いて算出される請求項1記載の補聴処理方法。
  3. 前記聴神経興奮パターンは、聴覚フィルタ形状を用いて算出される請求項1又は2記載の補聴処理方法。
  4. 前記聴神経興奮パターンは、臨界帯域幅を用いて算出される請求項1又は2記載の補聴処理方法。
  5. マイクロホンで入力した音声信号を補聴処理してイヤホンから音声信号を出力する補聴器であって、難聴者の聴神経興奮パターンを算出し、この聴神経興奮パターンが健聴者の聴神経興奮パターンと同一になるように、入力音声信号のパワースペクトルの各周波数成分に補正係数を乗算して出力音声信号とする補聴処理部を備え、前記補正係数が負となる場合には、そのパワースペクトルの周波数成分の位相を反転させ、この位相を反転させたパワースペクトルの周波数成分に前記補正係数の絶対値を乗算することを特徴とする補聴器。
  6. 前記聴神経興奮パターンは、入力音声信号のある特定の周波数成分を用いて算出される請求項5記載の補聴器。
  7. 前記聴神経興奮パターンは、聴覚フィルタ形状を用いて算出される請求項5又は6記載の補聴器。
  8. 前記聴神経興奮パターンは、臨界帯域幅を用いて算出される請求項5又は6記載の補聴器。
  9. 前記聴覚フィルタ形状、前記臨界帯域幅を求めるための検査音を出力する請求項7又は8記載の補聴器。
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