JP2006269153A - 電界電子放出素子およびその製造方法 - Google Patents

電界電子放出素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高性能、高信頼性のある電界電界電子放出素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本製造方法は、電子回路を構成する導体層4上に電子放出のための電子を供給する導体膜6を所要の膜厚に成膜し、この導体膜6上に電子放出材料8を配置すること、導体膜6を膜厚方向に選択除去して、除去されなかった導体膜6を電子放出点への電子供給用とする一方、その先端に存在する電子放出材料8をその電子放出点とすることを特徴とする製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、電界印加により電子放出する電界電子放出素子およびその製造方法に係り、より詳しくは、フィールドエミッションディスプレイ等の薄型画像表示装置、照明光源、電子ビーム利用センサ、大電力用スイッチ素子等の電子放出源として好適な電界電子放出素子およびその製造方法に関するものである。
真空中に取り出した電子ビームを、加速して蛍光体に衝突させると発光する。この発光現象を、平らな表示に用いるのがFEDデバイスであり、面光源として用いる例が、液晶素子等のバックライトである。これらの発光現象を用いたデバイスは、他の方式に比べて、消費電力が少なく、高輝度が実現できることから、今後新用途が開拓されるとともに、デバイスの高性能化が可能であると期待されている。
FEDに用いられる電界電子放出素子として、半導体微細加工技術を用いて基板上にモリブデンやシリコンなどからなる円錐状突起から構成され、電界の印加に基づくトンネル現象により電子をアノードに向けて放出するスピント型や、炭素原子の六員環構造を有しその断面直径がナノサイズで、軸長がナノサイズからミクロンサイズにまでわたる高アスペクト比を有するカーボンナノチューブを用いたカーボンナノチューブ型がある(特許文献1および2参照。)。
スピント型は、エミッタ基底部の太さがμm単位であるために単位面積当たりの電子放出ポイント(発光点密度)が少ない上に、エミッション電流量に寄与するエミッタ先端の形状を均一に形成することが困難であるために放出できる電子の数が場所により異なり、大きな面積全体を均一に発光できないという課題がある。カーボンナノチューブ型では、カーボンナノチューブの径が細いため単位面積当たりの発光点は多いが、その高さが不均一であるため、単位面積の中で最も高いところに電荷が集中し、その電荷が集中したカーボンナノチューブのみが電子を放出できる。しかも真空中に残存する微量の酸素でカーボンナノチューブが燃焼するため単位面積当たりの最も高さの高いカーボンナノチューブの位置が時間の経過とともに変わり、その結果、発光点が時間とともに変わり、表示される発光がちらつくという問題がある。
以上のようにスピント型やカーボンナノチューブ型の電界電子放出素子を画像表示装置に用いると、蛍光膜を励起発光させるための電子放出密度の均一性が悪いため、画面の表示むら、画質の劣化等を引き起こし、特に表示パネルが大型化して表示面積が大きくなるほど、深刻な問題となる。
特開平10−223128号公報 特開2001−357773号公報
本発明は、電子放出点密度が高く、アスペクト比の制御が可能で、かつ、電子放出点の高さを揃えることができるようにして、高性能、高信頼電子放出が可能な電界電子放出素子およびその製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
(1)本発明第1の電界電子放出素子の製造方法は、
(a)電子回路を構成する導体層上に電子放出点から放出される電子を供給するための導体膜を所要の膜厚に成膜し、この導体膜の上に電子放出材料を配置すること、
(b)電子放出材料が配置されていない部分の電子放出用の導体膜を選択除去し、選択除去されずに残った導体膜を通じて電子放出点へ電子を供給する一方、その先端に存在する電子放出材料を電子放出点とすることを特徴とするものである。
本発明第1の製造方法に従うと、上記(a)により導体膜を所要の膜厚に制御することにより電子放出点の高さを高精度に制御することができる。高精度に高さを制御することが可能であると、どの電子放出点にも均等に電界が加わり、蛍光膜を均一発光させることが可能となり、大面積なデバイスに適応した場合にでも、明るさが均一な電界電子放出デバイスを製造できるという利点が生じる。
この均一高さ制御は電界電子放出素子の性能向上には極めて重要である。
すなわち、スピント型では、エミッション電流量に寄与するエミッタ先端の形状を均一に形成することが困難であるために均一発光できるように作製することができないからである。
また、カーボンナノチューブ型では、密集している多数のカーボンナノチューブの高さを均一に成長させることができず、そのため、最も高い突き出し先端を有するカーボンナノチューブに局所的に電界が集中されその部分に対応して電流が集中的に流れる。電流が集中すると局所的に温度が上昇し、その部分のカーボンナノチューブが残存酸素と反応し、カーボンナノチューブが消耗する。その結果、発光点はその次の高い所に移り、このようなことが連続して起こるために発光点が時間と共に変わり、発光のちらつきや発光にともなうノイズが生じ、これを解決することがカーボンナノチューブ型の重要な課題であった。
本発明第1の製造方法に従うと、上記(b)により電子放出点の配置密度を高精度に制御するとともに電子放出用の導体膜がない部分を選択的に除去することによって電子放出点を高精度かつ高密度に配置制御することが可能となり、広い面積において蛍光膜を均一発光で高輝度発光させることが可能な電界電子放出素子を製造することができる。
この電子放出点の高精度な配置密度制御は電界電子放出素子の性能向上には極めて重要である。
すなわち、スピント型では、エミッタの基底部が広いので電子放出点であるエミッタ先端を密集配置することができず、また、高精度に配置することもできないからである。
また、カーボンナノチューブ型では、多数のカーボンナノチューブを密集成長させることが可能であるとしても密集状態を高精度に制御することはできず、むしろ、ランダムに成長しやすく、このことから広い面積において蛍光膜を均一発光で高輝度発光させることが可能な電界電子放出素子とすることができないからである。
本発明第1の製造方法に従うと、上記(a)および(b)により導体膜を所要の膜厚に制御することにより電子供給用としての導体膜のアスペクト比を高精度に大きく制御することができるとともに、そのアスペクト比の大きい導体膜の先端に電子放出点を配置することができるので、発光ちらつきなく安定した均一な発光特性と、加えて、高輝度発光という理想的な電界電子放出素子を製造することができる。
以上のことにより、本発明第1の製造方法においては、スピント型が抱える、単位面積当たりの低電子放出密度という課題が解決され、また、発光輝度の不均一という課題が解決される。また、本発明第1の製造方法においては、カーボンナノチューブ型が抱える、カーボンナノチューブの長短の不均一による発光のちらつきや発光輝度の不均一といった課題が解決される。
したがって、本発明第1の製造方法により製造した電界電子放出素子を画像表示装置に適用した場合には、蛍光膜を励起発光させるための電子放出密度の均一性向上、画面の表示品質の向上などが顕著なため表示面積の大面積化に大きく寄与することができるという多大な効果を発揮することができる。
本発明第1の製造方法における好ましい態様は、電子を供給するための導体膜は電子放出材料よりも早いエッチング速度でエッチングすることにより導体膜を膜厚方向に選択除去することである。このエッチングにおいては、電子放出点の下にある導体膜は残し、それ以外の部分の導体膜を除去することができるようになるので、導体膜の形状をカーボンナノチューブのごとくアスペクト比の高い例えば針のような形状に容易にエッチングすることができる。これによって、アスペクト比の高い導体膜の先端に電子放出材料を電子放出点として配置することにより、一層、電子放出点に電界が集中しやすくなり、電子放出特性が向上する。
本発明第1の製造方法における好ましい態様は、導体膜が電気抵抗が小さいカーボン材料であり、電子放出材料が電子放出性能に優れたカーボン材料である。導体膜と電子放出材料が共にカーボン材料であることにより両者の接着性が向上し、強度向上による高信頼性の電界電子放出素子を製造することができるからである。
(2)本発明第2の電界電子放出素子の製造方法は、
(a)電子回路を構成する導体層上に電子を供給するための導体膜を所要の膜厚に成膜し、この導体膜の上に電子放出膜を成膜すること、
(b)電子放出膜上に不連続膜を成膜すること、
(c)不連続膜が成膜されていない部分の電子放出膜とその電子放出膜の下の導体膜とを膜厚方向に選択除去すること、
(d)上記選択除去の後、不連続膜を除去し、除去した不連続膜の下に存在している電子放出膜を露出させること、
により、電子放出膜を電子放出点とし、その電子放出点の下の導体膜を電子放出点への電子供給用とすることを特徴とするものである。
本発明第2の製造方法に従うと、上記(a)により、導体膜の膜厚制御により電子放出点の高さを高精度に制御することが可能であり、また、電子放出膜の膜厚制御により、電子放出点のサイズを高精度に制御することが可能である。このことにより、各電子放出点の高さを高精度に均一高さに制御して、各電子放出点に均等に電界集中が発生し、蛍光膜を均一発光させることが可能となるとともに、電子放出点を例えば微小サイズに制御して蛍光膜への電子線強度や電子放出量を均一化させることが可能となって、その発光輝度の均一化の達成に大きく寄与することができるものである。
本発明第2の製造方法に従うと、上記(b)により、不連続膜を例えば電子ビーム物理蒸着法を用いてナノメータオーダで制御して成膜できるため、上記(c)(d)の工程により、カーボンナノチューブレベルの太さに導体膜および電子放出膜を形成することが可能となり、上記(a)と相俟って、カーボンナノチューブレベルの高アスペクト比でかつ高精度な高さ均一性とが一挙に実現可能となり、従来では到底得ることができなかった高発光効率、高均一発光、高輝度発光という画期的で独創的な電界電子放出素子を製造することができる。
本発明第2の製造方法における好ましい態様は、導体膜が電気抵抗が小さいカーボン材料であり、電子放出材料が電子放出性能に優れたカーボン材料である。導体膜と電子放出材料が共にカーボン材料であることにより両者の接着性が向上し、強度向上による高信頼性の電界電子放出素子を製造することができるからである。
本発明によれば、スピント型やカーボンナノチューブ型等の従来の電界電子放出素子では到底得ることができなかった高発光効率、高均一発光、高輝度発光という電界電子放出素子およびその製造方法を提供することができる。
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態に係る電界電子放出素子の製造方法を詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1を参照して実施の形態1に係る電界電子放出素子の製造方法を説明する。
最初に、図1(a)で示すように、ガラス、石英、その他からなる絶縁性基板2の上に通常の薄膜や厚膜技術により電子回路を構成する導体層4を形成する。導体層4の材料は、特に限定されないが、例えばAu,Ag,Pd,Pt,Cu,Ni,Fe,Co,Mo,W,V,Si,Ti,Sn,Al,Sb,In,BiおよびPbから選択された少なくとも1つの金属あるいはそれらの合金を採用することができる。
次いで、図1(b)で示すように、導体層4の上に導体膜6を蒸着法等により所要の膜厚に成膜する。この導体膜6の膜厚は、特に限定されないが、例えば、数nm〜数100nmである。導体膜6の材料には例えばsp2結合がリッチなアモルファスカーボンやカーボンファイバのカーボン材料、モリブデン、タングステン等の金属系、導電性ポリマー等がある。いずれの材料を選定するにしても、導体膜6は、電子放出点へ電子を供給することができるようにする上で、低い電気抵抗の成膜材料であることが好ましい。
導体膜6の膜厚を制御することができることは、極めて重要である。導体膜6の膜厚を制御することにより電子放出点の高さを高精度に均一に制御することができるからである。また、導体膜6の膜厚を高精度に均一制御することにより、導体膜6の先端に存在する電子放出点の高さが均一になる結果、それらに均等に電界集中を起こさせ、蛍光膜を均一に発光させることが可能となるからである。以上のことにより、導体膜6の膜厚制御は電界電子放出素子の性能向上には極めて重要である。
次いで、図1(c)で示すように、導体膜6上に電子放出材料8を適宜の手法にて分散配置する。この手法には例えばスピンナー処理法、電着法、CVD法等を利用することができる。電子放出材料8は導体膜6と比較してエッチング速度が遅い電子放出材料を選定する。電子放出材料8としては、カーボン材料がある。このカーボン材料には、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ、ダイヤモンドライクカーボン、グラファイトナノファイバ、アモルファスカーボン等、あるいはこれらの混合物を使用することができる。電子放出材料8としてはカーボン材料に限定されるものではなく、電子放出機能ないしは性状を有する材料であれば利用することができる。
以上の図1(b)の工程で成膜する導体膜6としては電気抵抗が低くて電子供給性能に優れかつエッチング速度が電子放出材料8よりも早い材料であればよく、また、図1(c)の工程で配置する電子放出材料8は電子放出性能に優れた材料で導体膜6よりもエッチング速度が遅い材料であればよい。これらの素材選定の条件を満足させる中で、導体膜6と電子放出材料8とを共にカーボン材料とした場合、両者の密着性が向上して導体膜6から電子放出材料8に対する電子供給を良好に維持させることができるとともに、電子放出材料8が導体膜6から剥離するのを効果的に防止し、電界電子放出素子としての信頼性を向上することができるようになって好ましい。
最後に、図1(d)で示すように、導体膜6と電子放出材料8それぞれのエッチング速度の相違を利用して、電子放出材料8の下にある導体膜6を残し、電子放出材料8で覆っていない導体膜6を除去するという、導体膜6に対する選択除去を行い、除去されずに残っている導体膜6の先端に電子放出材料8を残すようにする。エッチングは半導体製造技術において周知の手法を採用することができる。例えば、ドライエッチング、レーザー照射等である。もちろんエッチング条件には、上記したエッチング速度以外にも種々あるが、それらは実験等により決定することができる。
このエッチングにおいて極めて重要なことは、導体膜6と電子放出材料8とのエッチング速度を相違させたことにある。導体膜のエッチング速度を電子放出材料8のエッチング速度よりも早くしていることにより、従来既存のカーボンナノチューブ型では実現が困難であった導体膜6を細くかつ高いアスペクト比に高精度に成形することができるからである。カーボンナノチューブ型では導体層の上にカーボンナノチューブを均等な高さに成長させる成長制御が極めて難しく、高さが不均一となり、また、太さにも大きなばらつきがあって発光性能がばらついたりする、などの課題があるのに対し、実施の形態1では、カーボンナノチューブのごとく成長させるのではなく導体膜6を操作が容易な成膜技術で成膜したのちエッチングするので、導体膜6の高さおよび太さを高精度に制御し、発光性能の均一化を達成することができるからである。
以上の工程で実施の形態1の製造方法の工程が終了するが、この工程で製造した電界電子放出素子10は別途に図示せず、図1(d)で示している。この電界電子放出素子10は、導体層4上に所定高さに成膜されて電子放出点へ電子を供給する導体膜6と、この導体膜6の先端に配置されて上記電子放出点として電子放出を行う電子放出材料8とを備えた構成になっている。構成としてはシンプルであるが、電子放出点へ電子を供給する導体膜6の高さは高精度に均一であり、したがって、電子放出点を構成する電子放出材料8の高さは高精度に均一化されている。
実施の形態1の製造方法においては、導体膜6の膜厚制御により電子放出材料8の高さを高精度に制御することが可能である。導体膜6のエッチング制御により導体膜6の配置密度、電子放出点の配置密度等を高精度に制御することができる。
(実施の形態2)
図2を参照して実施の形態2に係る電界電子放出素子の製造方法を説明する。
最初に、図2(a)で示すように、基板2の上に電子回路構成のための導体層4を形成する。
次いで、図2(b)で示すように、導体層4の上に電子放出点に電子を供給するための導体膜6を成膜する。図2(a)および図2(b)は実施の形態1の図1(a)および図1(b)と同様であるので説明の重複を避けるため詳細を省略する。
次いで、図2(c)で示すように、導体膜6の上に電子放出材料8を含む最上層12を設ける。実施の形態1とは異なり、実施の形態2では電子放出材料8単独で導体膜6の上に配置するのではなく、最上層12として導体膜6の上に配置している。電子放出材料8の素材は実施の形態1と同様であり、説明の重複を避けるため詳しい説明を省略する。電子放出材料8はカーボンファイバ、例えばカーボンナノチューブでもよい。導体膜6の電気抵抗が低く、また、導体膜6と電子放出材料とのエッチング速度の関係も実施の形態1と同様であるので説明の重複を避けるため詳しい説明を省略する。
最上層12は、印刷法等を用いて導体膜6の上に形成する。実施の形態2の場合、最上層12は、印刷法により電子放出材料8、例えばカーボンナノチューブを混入したペーストを印刷したものである。この場合、カーボンナノチューブを電子放出材料8として用いても、最上層12自体の高さは高精度に制御されているので、最上層12内部でのカーボンナノチューブの長さ不均一は問題とならない。換言すれば、導体膜6を電子放出点への電子供給用として、電子の供給は当該導体膜6でまかない、電子放出は最上層12内部の電子放出材料8でまかなうことにより、それぞれ、機能分担させることにより、最上層12に用いる電子放出材料8の適用範囲を広くすることができるようになる。例えば、カーボンナノチューブは既存技術では上記した課題があるのに対して、実施の形態2ではそうした課題は無く、カーボンナノチューブ自体の長所である高アスペクト比による高電子放出性能を最大に活用することができるのである。もちろん、最上層12に混入する電子放出材料8はカーボンナノチューブに限定されるものではなく、他のカーボン材料、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ、ダイヤモンドライクカーボン、グラファイトナノファイバ、アモルファスカーボン等、あるいはこれらの混合物を使用することができることは勿論である。最上層12に混入する電子放出材料8としては、電子放出性能を有する材料であれば利用することができる。
最後に、図2(d)で示すように、最上層12を構成するペーストの溶媒を適宜に除去して電子放出材料8を導体膜6上に残すとともに、導体膜6を、電子放出材料8よりも早くエッチングする。このエッチングにより導体膜6を選択的に除去する。これによって、除去されずに残った導体膜6の先端には電子放出材料8が存在している。このエッチングについては実施の形態1と同様に実施することができる。
以上の工程で実施の形態2の製造方法の工程を終了するが、この工程で製造した電界電子放出素子14は別途に図示せず、図2(d)で示している。この電界電子放出素子14は、導体層4上に所定高さに成膜されて電子放出点へ電子を供給する導体膜6と、この導体膜6の先端に配置されて上記電子放出点として電子放出を行う電子放出材料8とを備えた構成になっている。この電界電子放出素子14の構成は、実施の形態1の電界電子放出素子10と同様である。
実施の形態2の製造方法は、実施の形態1と同様に、導体膜6の膜厚制御により電子放出材料8の高さ、換言すれば、電子放出点の高さを高精度に制御することが可能である。また、導体膜6のエッチング制御により導体膜6の配置密度、換言すれば、電子放出点の配置密度を高精度に制御することができる。
(実施の形態3)
図3を参照して実施の形態3に係る電界電子放出素子の製造方法を説明する。
最初に、図3(a)で示すように、基板2の表面に電子回路構成のための導体層4を形成する。この導体層4の形成は実施の形態1等と同様な手法でよく、また、その材料も実施の形態1等と同様な材料を採用することができる。
次いで、図3(b)で示すように、導体層4上に導体膜6を所要の膜厚に成膜する。この導体膜6の成膜法およびその成膜材料には特に限定されないが、実施の形態1等と同様の成膜法および成膜材料を採用することができる。導体膜6は、電子放出点へ電子を供給することができるようにするために低い電気抵抗の成膜材料であることが好ましく、これには例えばspリッチとして電気抵抗を低くしたアモルファスカーボンを採用することができる。
導体膜6の膜厚制御は、実施の形態1、2と同様、極めて重要である。導体膜6の膜厚を制御することにより電子放出点の高さを高精度に制御することができるので、各電子放出点の高さを高精度に均一高さに制御することができるからである。また、導体膜6の膜厚を高精度に均一制御することにより、すべての電子放出点の高さを均一にしてそれらに均等に電界集中が起こり、蛍光膜を均一発光させることが可能な電界電子放出素子を製造することができるからである。以上のことにより、導体膜6の膜厚制御は電界電子放出素子の性能向上には極めて重要である。
次いで、図3(c)で示すように、導体膜6の上に電子放出材料8を成膜する。この電子放出材料8の成膜は、導体膜6と同様の技術で達成することができる。電子放出材料8としては電子放出性能に優れた材料であれば特に限定されない。電子放出材料8としては、spリッチとしてダイヤモンドに類似した電気的性能を有するカーボン(ダイヤモンドライクカーボン)を採用することができる。
電子放出材料8を成膜制御可能としたことは、極めて重要である。電子放出材料8の膜厚を制御することにより電子放出点のサイズを容易かつ高精度に制御することができるからである。既存の技術では、電子放出点のサイズを高精度に制御することが困難であり、例えばスピント型では円錐形としてその円錐頂点の高さを高精度に制御することは困難であったからである。また、カーボンナノチューブ型では太さが不均一なためその先端の電子放出点のサイズが大きくばらつき、このことが発光強度のばらつき等の原因の一つになっていたからである。
次いで、図3(d)で示すように、電子放出材料8の上にエッチング耐性のある不連続膜16を成膜する。不連続膜16の材料は特に限定されないが、例えば、鉄、ニッケル、タングステン、モリブデン、貴金属等を採用することができる。これら材料で不連続膜16を成膜した場合、電子放出材料8との密着性が向上するので好ましい。不連続膜16を、蒸着法、例えば、電子ビーム物理蒸着法により数ナノメータ程度の膜厚に成膜する。
次いで、図3(d)で示す状態から図3(e)で示すように不連続膜16の下にある電子放出材料8とその下にある導体膜6とを残し、不連続膜16で覆っていない導体膜6と電子放出材料8とを適宜の除去技術、例えば、DCプラズマ等のドライエッチングにより除去する。これにより、不連続膜16の下にある電子放出材料8とその電子放出材料8の下の導体膜6はエッチング除去されずに残り、不連続膜16で覆われていない導体膜6と電子放出材料8はエッチング除去されてしまう。
ここで、重要なことは、不連続膜16の面積サイズおよび膜厚サイズを極めて微小に成膜することができることである。不連続膜16の面積サイズを微小に成膜することができることは、不連続膜16の下に位置してエッチング除去されない電子放出材料8、導体膜6の太さを細くすることが可能となり、電子放出材料8への電界集中性能を飛躍的に向上することができるようになるからである。
最後に、図3(f)で示すように、不連続膜16を適宜の除去技術、例えば、ウェットエッチングにより除去することにより不連続膜16の下に存在している電子放出材料8を露出することができる結果、導体層4上に所定高さに成膜されて電子放出点へ電子を供給する導体膜6と、この導体膜6の先端に配置されて上記電子放出点として電子放出を行う電子放出材料8とを備えた電界電子放出素子18を得ることができる。
以上の導体膜6や電子放出材料8の材料としては実施の形態1、2と同様の材料を利用することができるので、その説明は実施の形態1、2での説明を参照することとしてここでは省略する。
本実施の形態3の製造方法においては、導体膜6の膜厚制御により電子放出材料8の電子放出高さを制御することが可能である。導体膜6の膜厚を高精度に制御することは成膜技術により容易に達成することが可能である上に電子放出材料8のサイズ制御も制御可能であることにより、蛍光膜に対する電子放出量を均一化させて発光輝度の均一化の達成に大きく寄与することができるものである。
以上の各実施の形態の製造方法により製造した電界電子放出素子の特性を、従来のスピント型、カーボンナノチューブ(CNT)型と比較して表1に示す。
Figure 2006269153
表1で明らかであるように実施の形態では、発光点密度は、10〜10(個/mm)であり、スピント型の101〜10(個/mm)と比較して遥かに多く、およびCNT型の10〜1010(個/mm)と比較して少ない値になることが判った。この特性の効果を、蛍光膜を用いた場合の発光輝度分布の点から検討した結果も表1に示している。この表1から実施の形態の電界電子放出素子を用いて表示装置、発光装置等を作成し、100ミクロン角当たりの発光輝度分布を調べた結果、スピント型では、発光点密度が少ないことと、発光点高さのばらつきが大きいために、その発光輝度分布は±30%〜±10%もありばらつきが大きい。これに対して、CNT型では、発光点密度が10から1010(個/mm)と大きいが、針状に成長した高さが大きくばらつき、長く成長したカーボンナノチューブの先端に電界が集中するため、その電界集中部分に電流が集中しやすく、電流が集中するとその部分が劣化してくるので、時間の経過に伴ない発光場所が変化し、発光輝度分布の時間変化が大きいことが判った。これに対して、実施の形態では発光点密度が10(個/mm)から10(個/mm)程度に制御可能であり、かつ、電子放出点の高さが制御されているので、発光輝度分布のばらつきを±5%以下に制御できることを確認した。
以上説明した各実施の形態の電界電子放出素子は、フィールドエミッション型表示装置や発光装置や照明装置等のカソードとして用い、図示略のアノードと対向させて配置し、両者間に電圧を印加した場合、電界電子放出素子内の電子放出点から引き出された電子をアノード側の蛍光膜に衝突させ、その蛍光膜を高輝度、発光均一、高発光効率で発光させることができる。
実施の形態1に係る電界電子放出素子の製造工程図である。 実施の形態2に係る電界電子放出素子の製造工程図である。 実施の形態3に係る電界電子放出素子の製造工程図である。
符号の説明
2 基板
4 導体層
6 導体膜
8 電子放出材料
10 電界電子放出素子

Claims (11)

  1. (a)電子回路を構成する導体層上に電子放出のための電子を供給する導体膜を所要の膜厚に成膜し、この導体膜の上に電子放出材料を配置すること、
    (b)電子放出材料が配置されていない部分の導体膜を選択除去し、選択除去されずに残った導体膜を電子放出点への電子供給用とする一方、その先端に存在する電子放出材料を電子放出点とすること、
    を特徴とする電界電子放出素子の製造方法。
  2. 電子供給用導体膜を電子放出材料よりも早いエッチング速度でエッチングすることにより導体膜を膜厚方向に選択除去する、ことを特徴とする請求項1に記載の電界電子放出素子の製造方法。
  3. 電子供給用導体膜が電気抵抗が小さいカーボン材料であり、電子放出材料が電子放出性能に優れたカーボン材料である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の電界電子放出素子の製造方法。
  4. (a)電子回路構成用導体層上に電子を供給する導体膜を所要の膜厚に成膜し、この導体膜の上に電子放出膜を成膜すること、
    (b)電子放出膜上に不連続膜を成膜すること、
    (c)不連続膜が成膜されていない部分の電子放出膜とその電子放出膜の下の導体膜とを膜厚方向に選択除去すること、
    (d)上記選択除去の後、不連続膜を除去し、除去した不連続膜の下に存在している電子放出膜を露出させること、
    により、電子放出膜を電子放出点とし、その電子放出点の下の導体膜を電子放出点への電子供給用とする、ことを特徴とする電界電子放出素子の製造方法。
  5. 導体膜を電気抵抗が小さいカーボン材料により、電子放出材料を電子放出性能に優れたカーボン材料により構成する、ことを特徴とする請求項4に記載の電界電子放出素子の製造方法。
  6. 電子放出材料が、カーボンナノチューブ、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、グラファイトナノファイバ、アモルファスカーボンのいずれか、あるいはこれらの混合物である、ことを特徴とする請求項1ないし5のうちのいずれか1項に記載の電界電子放出素子の製造方法。
  7. 電子供給用としての導体膜を、導体層上に突起した形状に形成する、ことを特徴とする請求項1ないし6のうちのいずれか1項に記載の電界電子放出素子の製造方法。
  8. 電子回路を構成する導体層上に所要の膜厚に成膜されて電子放出点へ電子を供給する導体膜と、この導体膜の先端に配置されて上記電子放出点として電子放出を行う電子放出材料とを備えた、ことを特徴とする電界電子放出素子。
  9. 電子放出材料が、カーボンナノチューブ、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、グラファイトナノファイバ、アモルファスカーボンのいずれか、あるいはこれらの混合物である、ことを特徴とする請求項8に記載の電界電子放出素子。
  10. 導体膜が電気抵抗が小さいカーボン材料により、電子放出材料が電子放出性能に優れたカーボン材料により構成されている、ことを特徴とする請求項8または9に記載の電界電子放出素子。
  11. 電界電子放出点の密度が1平方mm当たり、10〜10個存在することを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の電界電子放出素子。
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