JP2006266517A - 着火素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性が高く、製造が容易な着火素子を得る。
【解決手段】相互に電気的に絶縁されて配置された第1および第2の電極端子36,37を表面に配置した基体31と;絶縁基板41と,この絶縁基板上に形成された発熱抵抗体層55と,この発熱抵抗体層上に積層され前記発熱抵抗体層の未被覆部を発熱部43とするようにしこの発熱部の一端に給電する電極パッド45を形成した第1の引出し配線層441と,前記発熱部の他端に給電する電極パッド46を形成した第2の引出し配線層442と;前記第1の配線層のパッド45と前記第1の電極端子36にボンディングされる第1のボンディングワイヤ50と; 前記第2の配線層のパッド46と前記第2の電極端子37にボンディングされる第2のボンディングワイヤ51と;少なくとも前記第1のボンディングワイヤ50と前記第2のボンディングワイヤ51を被覆しこれらのボンディングワイヤを前記基体31の表面に固着する樹脂絶縁層52と;を具備する。
【選択図】図2
【解決手段】相互に電気的に絶縁されて配置された第1および第2の電極端子36,37を表面に配置した基体31と;絶縁基板41と,この絶縁基板上に形成された発熱抵抗体層55と,この発熱抵抗体層上に積層され前記発熱抵抗体層の未被覆部を発熱部43とするようにしこの発熱部の一端に給電する電極パッド45を形成した第1の引出し配線層441と,前記発熱部の他端に給電する電極パッド46を形成した第2の引出し配線層442と;前記第1の配線層のパッド45と前記第1の電極端子36にボンディングされる第1のボンディングワイヤ50と; 前記第2の配線層のパッド46と前記第2の電極端子37にボンディングされる第2のボンディングワイヤ51と;少なくとも前記第1のボンディングワイヤ50と前記第2のボンディングワイヤ51を被覆しこれらのボンディングワイヤを前記基体31の表面に固着する樹脂絶縁層52と;を具備する。
【選択図】図2
Description
本発明は例えば自動車のエアバッグのガス発生装置を点火する着火剤に着火するための着火素子に関する。
自動車の衝突時の衝撃防止用に備えられるエアバッグやプリテンショナーは瞬時に応答する高速応答性が要求され、そのためのトリガーとして火薬を使用した着火装置が用いられる。通常、着火装置に充填される火薬の点火にワイヤ状のニクロム金属抵抗体やフィルム状のニクロム金属抵抗箔が利用され、電流を通電して得られる発熱によって火薬に着火する。
所望の応答性を得るためにはワイヤや箔の抵抗体を微細で熱容量の小さな構造にしなければならず、このため、抵抗体の径や長さの寸法の厳密さや正確に電極に接続するための高度な溶接技術が要求され、さらに低コストで製作できることが必要条件となっている。
抵抗体としてのニクロムワイヤは線径寸法の均一性、低コストに優れており、1対の電極間をワイヤ状発熱抵抗体で橋絡する着火素子構造になっている。この着火素子を、着火剤を詰めた外部ケースに圧入して発熱抵抗体と着火剤とを接触させて着火装置を構成する。しかし、発熱抵抗体は載置するステム基体のステム面上に浮いた状態で電極端子と溶接されるので、抵抗体が着火剤の圧接により曲げられて切断される恐れがあり、またニクロムワイヤの溶接位置が電極端部の所定位置からずれると、着火剤との2トンに達する圧接時にワイヤがまたがっている電極端部の一部と不所望に接触し、抵抗値が変わる。これを防ぐために電極との溶接に高精度の技術が要求され、高コストの原因になっている。
このニクロムワイヤの問題点を解消するためにニクロム箔抵抗体の利用が提案されている。箔抵抗体を使用する場合は、フォトエッチングにより任意の形状のパターンを形成することができ、微細な抵抗体とその両端に広い面積の電極端子を形成した一体構造の箔状発熱抵抗体パターンにすることが可能で、ワイヤ状抵抗体の欠点である溶接の困難さが解消する。とくに特許文献1のように箔を樹脂フィルムで支持した構造にすることにより、取扱いが著しく向上する。しかし、微細抵抗体の形成は厚膜の箔をエッチングするので、エッチング条件によって抵抗値がばらつき易いという欠点がある。また、発熱抵抗体を印刷により塗布した厚膜で形成することも提案されているが(特許文献2参照)、微細な抵抗を正確に設定するためにレーザなどによるトリミングが欠かせず、製造コストの低減化を阻んでいる。
また、抵抗体を着火装置に組込むときに抵抗体と着火剤の密着が着火特性に影響することから密着の信頼性をさらに高めることが要望されている。
発熱抵抗体に薄膜を使用する(特許文献3参照)ことは、広い面積が容易に得られて着火剤との密着性が高い。しかし薄膜が薄くて電極端子との溶接が難しく、はんだ付けを採用しても信頼性に難点がある。
特開平11‐301402号公報
特開平8−210639号公報
特開平5‐133699号公報
この発明は上記に鑑みてなされたもので、ステムの電極端子に接続する配線引出し構造に信頼性を確保し、製造が容易で着火信頼性を向上させた着火素子を得るものである。
この発明の一態様は、相互に電気的に絶縁されて配置された第1および第2の電極端子を表面に配置したステム基体と;絶縁基板と,この絶縁基板上に形成された発熱抵抗体層と,この発熱抵抗体層上に積層され前記発熱抵抗体層の未被覆部を発熱部とするようにしこの発熱部の一端に給電する電極パッドを形成した第1 の配線層と,前記発熱部の他端に給電する電極パッドを形成した第2の配線層と;前記第1の配線層のパッドと前記第1の電極端子にボンディングされる第1のボンディングワイヤと; 前記第2の配線層のパッドと前記第2の電極端子にボンディングされる第2のボンディングワイヤと;少なくとも前記第1のボンディングワイヤと前記第2のボンディングワイヤを被覆しこれらのボンディングワイヤを前記ステム基体の表面に固着する樹脂絶縁層と;を具備することを特徴とする着火素子にある。
薄膜発熱抵抗体は広い面積と正確な膜厚を容易に得られるので着火素子の発熱体として優れている。一方、ステムの電極端子に接続する配線引出し構造に信頼性が不十分である。本発明の着火素子はこのような薄膜発熱抵抗体の利点を維持しながら、粉末状の着火薬との圧接によっても切断や変形等の歪が少なく、さらに着火剤との接触面積も広く、低電力で着火できて点火の信頼性を高めるものである。
図1乃至図4および図6は本発明を自動車用エアバッグ装置に適用した実施の形態を示すもので、図1において、エアバッグ装置100は自動車運転席や助手席前に取付けられた筐体110内に折り畳まれた風船状に膨らむエアバッグ120と、筐体110に取付けられてエアバッグ内にガスを注入するインフレータ130とからなる。インフレータ130はガスを爆発的に発生してエアバッグ120内に送込むガス発生装置131とガス発生装置131に着火する着火装置20を具備し、着火装置20は制御回路132に配線133を介して接続され、衝突などの衝撃を感知するセンサー134の出力に応じて制御回路132から発生する電流を受けて起爆しガス発生装置131に着火する。
すなわち車両が衝突するとセンサー134が衝撃を検知し、制御回路132から電流が着火装置20に流れ着火装置内の電気抵抗による発熱体を発熱して、発熱体に接触している着火剤135を発火させてインフレータ130のガス発生剤を点火して急速にガスを発生させる。発生したガスにより、エアバッグ120が膨張して車両搭乗者を衝撃から保護するように構成されている。
図2は着火装置20を示しており、内部に着火剤21が収容されている有底円筒状の外部ケース22の開口部221に着火素子25が嵌め込まれて封着される。着火剤はトリシネートなどの粉末すなわち微粒子状の火薬材料であり、両端を開口した筒状ケースの一端側に着火素子25をはめ込み、他端のケース開口部から着火剤を詰込む。詰込まれるときの押圧でこの着火剤21の表面と着火素子の発熱抵抗体43が圧接密着される。その後、ケース他端にキャップが被せられる。
図2乃至図4で着火素子25を説明する。着火素子25はステム基体となるディスク状金属基体31とその下面に突設された2本のピン電極32,33からなるステム30を具備している。金属基体31はディスク軸中心またはそれから偏心して貫通孔34が形成され、この貫通孔に一方のピン電極32が挿入され、例えばガラスの絶縁材35により金属基体31に絶縁して保持される。このピン電極の金属基体の表面37側すなわちステム上面側に露出している一端面36は電極端子でありAuメッキまたはNiメッキ(Alボンディングワイヤ接続の場合)されている。金属基体31の下面に、ピン電極32から離れて他方のピン電極33が溶接されて電気的に接続されている。他の電極端子となる金属基体の少なくとも表面37にAuメッキまたはNiメッキが施されている。
金属基体表面37上に発熱配線回路部40がエポキシ樹脂などの接着剤で接着固定されている。図4に示すように、発熱配線回路部40はガラス、セラミックス、有機樹脂などの絶縁基板41とその面に設けられた薄膜発熱抵抗回路42からなる。この薄膜発熱抵抗回路42は発熱部43と引出し配線部441,442で構成され、引出し配線部441,442の端部に電極パッド45,46が形成される。
これらの電極パッド45,46は図2 、図3に示すようにボンディングワイヤ50,51により電極端子36,37に電気的に接続される。すなわち一方のピン電極32の端面の電極端子36と電極パッド45がボンディングワイヤ50とボンディングされて電気的に接続され、他方の電極端子になる金属基体表面37と電極パッド46がボンディングワイヤ51とボンディングにより電気的に接続される。
ボンディング部およびボンディングワイヤ50,51はエンキャップ材に例えばエポキシ樹脂の硬質有機樹脂52を用いて被覆され、金属基体表面に堅固に固着される。
図6(e)に示すように、薄膜発熱抵抗回路42は2層構造であり、下層に発熱抵抗体層55、上層に良電導性金属層56を積層し、発熱部43のみが発熱抵抗体層55の露出した構造になっている。引出し配線部441,442および電極パッド45,46は2層構造であり、電流が一方の電極パッド45、引出し配線部441、発熱抵抗体層55の発熱部43、他方のリート引出し部442および他方の電極パッド46に流れる回路を構成する。
発熱部43を複数、図4では3個形成しており、これら発熱部を並列接続し、それぞれが着火剤の異なる位置に接触するようにして、いずれかの発熱部で接触の不具合が生じても、確実に着火できるようにしている。
本実施形態によれば、次のような利点を有している。
(1) 発熱部を薄膜発熱抵抗体で形成するので、厚みが均一で広い面積をもつ発熱部が容易に得られる。
(2) 上層に積層する良電導性金属層のパターニングにより、発熱抵抗体層の露出部を区画するので、正確な抵抗値が得られる。
(3) 良導電性金属層にAlやAuを用いることにより、Al、Au、その合金などのボンディングワイヤを用いて、容易にボンディング接合することができる。
(4) 小電力で所要の発熱温度が得られる。
(5) 溶接が難しい薄膜との接合が容易になる。
(6) 硬質エンキャップ材で接合部およびボンディングワイヤを保護することにより着火剤との圧接による接合部やボンディングワイヤの損傷が防止できる。
(7) 信頼性の高い着火装置が得られる。
図6で本実施の形態の発熱抵抗体の製造工程を説明する。ただし、図は説明上、一つの発熱配線回路部のみを示している。
工程(a)
アルミナの絶縁基板41を用意する。発熱配線回路部を多数個取りするための大型サイズの基板とする。絶縁基板上全面に高抵抗材としてTa−SiO2、Nb−SiO2の発熱抵抗体層55をスパッタリングで堆積する。層厚は0.08μmとする。発熱抵抗体層55上に良導電性金属のAl金属層56をスパッタリングで堆積する。層厚を0.8μmとする。これにより2層薄膜が形成される。
アルミナの絶縁基板41を用意する。発熱配線回路部を多数個取りするための大型サイズの基板とする。絶縁基板上全面に高抵抗材としてTa−SiO2、Nb−SiO2の発熱抵抗体層55をスパッタリングで堆積する。層厚は0.08μmとする。発熱抵抗体層55上に良導電性金属のAl金属層56をスパッタリングで堆積する。層厚を0.8μmとする。これにより2層薄膜が形成される。
工程(b)
Al金属層56上にフォトレジスト膜57を塗布し、これをマスクとしてAl層のみを、図4に示すパターンにフォトリソグラフィによって形成する。すなわち混酸をエッチング液として用い、Al層56のみをエッチングする。
Al金属層56上にフォトレジスト膜57を塗布し、これをマスクとしてAl層のみを、図4に示すパターンにフォトリソグラフィによって形成する。すなわち混酸をエッチング液として用い、Al層56のみをエッチングする。
工程(c)
続いてパターン化されたAl層56をマスクとして、反応性プラズマエッチング(RIE)により、発熱抵抗体層55をエッチングして、図示のような2層積層パターンを得る。
続いてパターン化されたAl層56をマスクとして、反応性プラズマエッチング(RIE)により、発熱抵抗体層55をエッチングして、図示のような2層積層パターンを得る。
工程(d)
フォトレジスト58を塗布して、発熱部43に対応する部分を剥離し開口したマスクを形成する。
フォトレジスト58を塗布して、発熱部43に対応する部分を剥離し開口したマスクを形成する。
工程(e)
混酸液を用いて発熱部上のAl層をエッチングし除去する。これにより、発熱部43が発熱抵抗体層55一層のみで形成され、引出し配線部441,442および電極パッド45,46が発熱抵抗体層55とAl層56の2層積層構造になる。1発熱部の面積は例えば30μm×160μmであり、抵抗値は約7kΩである。
混酸液を用いて発熱部上のAl層をエッチングし除去する。これにより、発熱部43が発熱抵抗体層55一層のみで形成され、引出し配線部441,442および電極パッド45,46が発熱抵抗体層55とAl層56の2層積層構造になる。1発熱部の面積は例えば30μm×160μmであり、抵抗値は約7kΩである。
ボンディングワイヤの線径は例えば金ワイヤで23〜30μm、Alワイヤで30〜100μm程度を用いる。
その後工程で、多面取り基板から個々に発熱配線回路部を切り出す。
本実施形態の発熱部は製造工程も複雑でなく、容易に広い面積に形成され、抵抗値が正確に規定されてばらつきが少なく、小電力で所期の昇温が得られ、確実に着火剤を発火させることができるものである。また、発熱配線回路部をステムと別体に作製するので、ステム上のピン電極端子をステム基体面と同一面にする必要がないので、ステムベースの研磨工程を省略することができる利点がある。
図5は他の実施形態を示すもので、発熱配線回路部60の薄膜発熱抵抗回路62のパターンを変えたものである。電極パッド64,65を基板61に対称的に配置したので、発熱配線回路部60をステム基体の中央に配置し、その両側に電極端子が設けられる構成にすることによって、ボンディングワイヤのボンディングを容易にする。また発熱部63を着火剤の中心に置くことができるので、着火剤との圧接に対してバランスを良くすることができる。
20:着火装置
21:着火剤
22:外部ケース
25:着火素子
30:ステム
31:ディスク状金属基体(ステム基体)
32,33:ピン電極
36:電極端子
37:金属基体表面(電極端子)
40:発熱配線回路部
41:絶縁基板
42:薄膜発熱抵抗回路
43:発熱部
441,442:引出し配線部
45,46:電極パッド
50,51:ボンディングワイヤ
52:樹脂絶縁層
55:発熱抵抗体層
56:Al層(良導電性金属層)
100:エアバック装置
120:エアバッグ
130:インフレータ
21:着火剤
22:外部ケース
25:着火素子
30:ステム
31:ディスク状金属基体(ステム基体)
32,33:ピン電極
36:電極端子
37:金属基体表面(電極端子)
40:発熱配線回路部
41:絶縁基板
42:薄膜発熱抵抗回路
43:発熱部
441,442:引出し配線部
45,46:電極パッド
50,51:ボンディングワイヤ
52:樹脂絶縁層
55:発熱抵抗体層
56:Al層(良導電性金属層)
100:エアバック装置
120:エアバッグ
130:インフレータ
Claims (4)
- 相互に電気的に絶縁されて配置された第1および第2の電極端子を表面に配置したステム基体と;
絶縁基板と,この絶縁基板上に形成された発熱抵抗体層と,この発熱抵抗体層上に積層され前記発熱抵抗体層の未被覆部を発熱部とするようにしこの発熱部の一端に給電する電極パッドを形成した第1の引出し配線層と,前記発熱部の他端に給電する電極パッドを形成した第2の引出し配線層と;
前記第1の配線層のパッドと前記第1の電極端子にボンディングされる第1のボンディングワイヤと;
前記第2の配線層のパッドと前記第2の電極端子にボンディングされる第2のボンディングワイヤと;
少なくとも前記第1のボンディングワイヤと前記第2のボンディングワイヤを被覆しこれらのボンディングワイヤを前記ステム基体の表面に固着する樹脂絶縁層と;
を具備することを特徴とする着火素子。 - 前記絶縁基板が前記ステム基体の表面に接着されていることを特徴とする請求項1記載の着火素子。
- 前記配線層の下層に前記発熱抵抗体層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の着火素子。
- 前記発熱部が複数あることを特徴とする請求項1記載の着火素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005081125A JP2006266517A (ja) | 2005-03-22 | 2005-03-22 | 着火素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005081125A JP2006266517A (ja) | 2005-03-22 | 2005-03-22 | 着火素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=37202700
Family Applications (1)
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JP2005081125A Withdrawn JP2006266517A (ja) | 2005-03-22 | 2005-03-22 | 着火素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
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2005
- 2005-03-22 JP JP2005081125A patent/JP2006266517A/ja not_active Withdrawn
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