JP2006266486A - 電磁アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】媒体流路を形成した流路形成体Bに挿入取付け可能であり、媒体流路Rに連通する複数の開口部Kを有する略筒状のバルブハウジング5と、開口部Kどうしの連通状態を切り替えるべく、バルブハウジング5の内部で、バルブハウジング5の軸心Xの方向に摺動可能なバルブ本体6を備えた電磁アクチュエータ1であって、バルブハウジング5を流路形成体Bに挿入したとき、流路形成体Bの一部に挿入方向奥側端部が当接してその外周面が拡径変形し、バルブハウジング5と流路形成体Bとに密着するシール部材11を、バルブハウジング5の外周面に備え、変形したときにシール部材11の一部が充填される空間を、バルブハウジング5の外周面とシール部材11の内周面との間に設けてある。
【選択図】 図1
Description
この特許文献1に示される電磁アクチュエータは、バルブハウジング、ソレノイド、及び取付ブラケットで構成されており、流体通路の異なる液圧装置に応じて、バルブハウジングを位置合わせするものである。電磁アクチュエータの組み付けに際しては、複数の開口部をそれぞれの媒体流路に位置合わせした状態で行われる。具体的には、バルブハウジングを軸周に回転させると共に、取付ブラケット及びソレノイドを所要の角度に位置合わせした状態で、かしめ突起を用いて、バルブハウジング、ソレノイド、及び取付ブラケットを互いにかしめ固定する。
本発明に係る電磁アクチュエータの第1の特徴構成は、媒体流路を形成した流路形成体に挿入して取り付け可能であり、前記媒体流路に連通する複数の開口部を有する略筒状のバルブハウジングと、前記開口部どうしの連通状態を切り替えるべく、前記バルブハウジングの内部において、当該バルブハウジングの軸心の方向に沿って摺動可能なバルブ本体を備えたものであって、前記バルブハウジングを前記流路形成体に挿入したとき、前記流路形成体の一部に挿入方向奥側の端部が当接してその外周面が拡径変形し、前記バルブハウジングと前記流路形成体とに密着するシール部材を、前記バルブハウジングの外周面に備え、変形したときに前記シール部材の一部が充填される空間を、前記バルブハウジングの外周面と前記シール部材の内周面との間に設けた点にある。
本構成であれば、バルブハウジングを流路形成体に挿入したとき、変形した前記シール部材の一部が、前記バルブハウジングの外周面と前記シール部材の内周面との間に設けた空間の内部に充填されることによって、シール部材の内部に発生する応力集中を緩和することができる。この結果、シール部材の耐久性が高まり、電磁アクチュエータの信頼性を高めることができる。
本発明に係る電磁アクチュエータの第2の特徴構成は、前記空間を、前記バルブハウジングの外周面に設けた点にある。
変形したシール部材の一部が退避できる前記空間は、原則として、前記バルブハウジングの外周面と前記シール部材の内周面との間であれば、何れの部材の側に設けても良い。ただし、一般的には、前記シール部材は変形容易な材料で構成され、前記バルブハウジングは、容易には変形しない剛性の高い材料で構成されることが多い。これら変形の容易さ等は、加工精度に影響する。そのため、剛性の高いバルブハウジングの側に前記空間を形成することで、精度の安定した電磁アクチュエータを得ることができる。
本発明に係る電磁アクチュエータの第3の特徴構成は、前記シール部材を取り付けるよう、前記バルブハウジングの外周面に周方向に連続した環状の第1溝部を設けてあり、当該第1溝部が、前記軸心と同軸心状の円筒面と、前記バルブハウジングの挿入方向手前側ほど拡径した円錐面と、前記円筒面および前記円錐面のうち少なくとも何れか一方に前記空間として形成した周方向に連続する環状の第2溝部とを備えた点にある。
本構成のごとく、第1溝部に三つの部分を構成することで、シール部材の保持に必要な機能を発揮させることができる。
即ち、前記軸心と同軸心状の円筒面を備えることで、装着したシール部材が軸心に対して偏心するのを防止することができる。この結果、例えば、流路形成体にバルブハウジングを挿入する際に、流路形成体にシール部材が干渉するようなことがなく、バルブハウジングの取り付け作業を容易にすることができる。
また、前記円錐面を設けることで、バルブハウジングを流路形成体に挿入したとき、流路形成体の一部から押圧力を受けたシール部材が挿入方向手前側に押し込まれ、径外方向に容易に拡径することができる。これにより、シール部材と流路形成体との間を確実に密封することができる。
さらに、第1溝部の内部に第2溝部を設けることで、シール部材が変形する際に、当該変形部分の一部を確実に退避させることができるため、シール部材の応力集中を有効に緩和することができる。
これらの機能が発揮されることで、信頼性の高い電磁アクチュエータを得ることができる。
本発明に係る電磁アクチュエータの第4の特徴構成は、前記バルブハウジングの挿入方向手前側から奥側に向けて、前記円錐面、前記第2溝部、前記円筒面の順に形成した点にある。
本発明に係るシール部材は変形容易な部材であり、前記第1溝部に安定的に保持できるよう嵌着することが多い。そして、バルブハウジングに装着した場合、前記第2溝部では、シール部材とバルブハウジングとは離間しているから、シール部材は、前記円筒面及び前記円錐面に当接することとなる。この両面のうち円錐面は、シール部材の押し込みに応じて拡径させる機能を有するから、その位置は、必然的にバルブハウジングの挿入方向手前側となる。よって、シール部材を安定的に保持するためには、前記円筒面は、第1溝部のうち、バルブハウジングの挿入方向奥側の位置に設けるのが好ましい。
本構成であれば、シール部材を安定的に保持できると共に、シール部材を確実に拡径することができ、しかも、シール部材の一部変形を許容して応力手中の高まりを緩和することができる。即ち、取り付けが容易で、耐久性・信頼性に優れた電磁アクチュエータを得ることができる。
本発明に係る電磁アクチュエータの第5の特徴構成は、前記軸心を含む断面視において、前記バルブハウジングに取り付けられた前記シール部材のうち、前記流路形成体が当接する挿入方向奥側の端部の位置に対し、前記空間を、前記軸心の側であって、前記軸心に平行な方向から略45度の方向に設けた点にある。
押し込み力を受けたシール部材のうち、シリンダヘッドとの当接位置から押し込まれる方向の下流側の位置では、シール部材を径外方向に拡径する必要がある。よって、この位置に第2溝部を設けてシール部材の変形を緩和させるのは好ましくない。一方、前記当接位置から軸心の側に略垂直に向かう方向に第2溝部を設けても、この領域に及ぶ押し込み力の分力は小さく、シール部材の変形を緩和させる必要性に乏しい。よって、これらの中間領域である、前記略45度方向に第2溝部を設けることで、最も効果的にシール部材の応力集中を緩和することができる。
本発明は、媒体流路を形成した流路形成体に挿入して取り付け可能な、電磁アクチュエータに関する。そのような電磁アクチュエータとしては、例えば、車両用エンジンの弁開閉時期制御装置に作動用オイルを供給するソレノイドバルブがある。当該ソレノイドバルブは、弁開閉時期制御装置に設けた弁体を進角側あるいは遅角側に作動させるべく、媒体流路である複数のオイル供給路に、順次、オイルを切り替え供給するものである。
以下、本実施形態ではソレノイドバルブを例にとりつつ、図面を参照しながら本件発明の内容について説明する。
図1は電磁アクチュエータ1の一例として、ソレノイドバルブ1Aの構成を示す部分断面図である。このソレノイドバルブ1Aは、車両用エンジンの弁開閉時期開閉制御に用いる。エンジンの図示は省略するが、当該ソレノイドバルブ1Aは、流路形成体Bの一例としてのエンジンのシリンダヘッド2およびカムカバー3に取り付けてある。カムカバー3には、ソレノイドバルブ1Aからエンジン本体に戻る油の戻り油路4が形成されている。カムカバー3には、ソレノイドバルブ1Aの本体であるバルブハウジング5の軸心Xに対して、放射状に第1油路R1・第2油路R2・第3油路R3が形成してある。
図4は、バルブハウジング5の先端部にシール部材11を嵌着する場合の、嵌着前と嵌着後の状態を示している。シール部材11は、略台形の断面を有する環状部材であり、台形をなす円錐面が軸心Xの側に向く。
当該シール部材11がバルブハウジング5に嵌着された状態では、シール部材11の外表面とバルブハウジング5の外表面とは略面一の円筒表面となる。
図4に示すごとく、前記シール部材11は、バルブハウジング5のうち挿入方向奥側の外表面に設けた第1溝部10Aに外嵌して装着する。
当該第1溝部10Aの断面形状は、図4および図5に示すごとく、前記シール部材11の内周面側の形状に一致するよう略台形状である。第1溝部10Aは、さらに、バルブハウジング5の軸心Xと同軸心状の円筒面F1と、バルブハウジング5の挿入方向手前側ほど拡径した円錐面F2と、前記円筒面F1および前記円錐面F2のうち少なくとも何れか一方に、本発明の空間に相当する凹部100の一例として形成した、周方向に連続する環状の第2溝部10aとを備えている。
当該円筒面F1は、例えば図5(a)に示すごとく、嵌着されたシール部材11の内周面に当接して、シール部材11の径方向の位置ずれを防止する。例えば、カムカバー3とシリンダヘッド2とにバルブハウジング5を挿入する際には、カムカバー3とシリンダヘッド2との挿入開口部が工作精度の不足などにより偏心している場合がある。このような場合でも、バルブハウジング5の先端部を円滑に挿入できるよう、前記シール部材11をバルブハウジング5に対して同軸心状に保持する必要がある。前記円筒面F1は、このようなシール部材11の心合わせ機能を備えている。よって、円筒面F1は、第1溝部10Aの中において、バルブハウジング5の挿入方向先端側に設けるのが好ましい。
当該円錐面F2は、バルブハウジング5をカムカバー3およびシリンダヘッド2に挿入するとき、シリンダヘッド2の一部から押圧力を受けたシール部材11がソレノイドSの側に押し込まれ、径外方向への拡径を容易にするためのものである。拡径したシール部材11は、カムカバー3およびシリンダヘッド2、バルブハウジング5の三者間を密封する。このような機能を発揮する当該円錐面F2は、第1溝部10Aのうち挿入方向手前側に設けるのが好ましい。
当該円錐面F2の傾斜角度は、例えば図5に示すごとく、バルブハウジング5の軸心Xに対しておよそ30〜45度程度とするのが好ましい。この角度が小さ過ぎるとシール部材11の押し込みに際してシール部材11の拡径程度が少なくなる。一方、この角度が大き過ぎると、押し込み力の多くがシール部材11を軸心方向に圧縮させることに消費されてしまい、シール部材11を十分に拡径させることができなくなる。
尚、シール部材11が押し込み力を受ける前の図5(a)の状態では、シール部材11と壁面F3とが当接した状態を示している。しかし、押し込み力が作用する前の状態では、シール部材11と壁面F3とが離間していても構わない。
本実施形態では、図5に示すごとく、円筒面F1と円錐面F2との間に第2溝部10aを設けてある。この第2溝部10aは、バルブハウジング5の挿入時に押し込み力を受けて変形するシール部材11の一部が充填される凹部100として機能する。このような凹部100を形成しておくことで、変形したシール部材11の一部が退避することができ、シール部材11の局部に応力が集中するのを防止することができる。
このように、第2溝部10aを形成することで、シール部材11の内部における応力集中の高まりを緩和することができ、シール部材11の耐久性を高めることができる。
つまり、押し込み力を受けたシール部材11のうち、シリンダヘッド2との当接位置から軸心Xの方向に沿ってソレノイドS側に位置する部分は径外方向に拡径する必要があるから、前記第2溝部10aを設けて変形を緩和することは好ましくない。一方、前記当接位置から軸心Xの側に向く略垂直な方向に第2溝部10aを設けても、この領域に及ぶ押し込み力の分力は小さく、シール部材11の変形を緩和させる必要性に乏しい。よって、これらの中間領域である、前記略45度方向に第2溝部10aを設けることで、最も効果的にシール部材11の応力集中を緩和することができる。
本構成であれば、上述のごとく、押し込み力を受けたシール部材11の応力集中を、第1溝部10Aの中間位置に設けた第2溝部10aによって緩和し、挿入方向奥側に設けた前記円筒面F1によってシール部材11を軸心Xと同心状に維持することで、挿入時のシリンダヘッド2等への引っ掛かりを防止し、挿入方向手前側に設けた前記円錐面F2によって、押し込み力を受けたシール部材11を確実に拡径することができるという作用効果が得られる。
また、バルブハウジング5を挿入する際に、前記円錐面F2もシール部材11の軸心Xをバルブハウジング5の軸心Xに合わせるという機能を発揮する。よって、前記円筒面F1と円錐面F2とを第1溝部10Aの挿入方向奥側と手前側とに分けて形成することで、シール部材11の保持状態が極めて安定したものとなる。
尚、図5では、バルブハウジング5の側に第2溝部10aを設けたが、シール部材11の側に設けてもよい。シール部材11に設ける場合には、材料の加工のし易さ等の問題から、凹部100の断面積がある程度変動する可能性がある。しかし、押圧されたシール部材11のうち、拡径してカムカバー3等に密着する部位とは異なる部位の応力集中を緩和できるのであれば、長期間に亘って押し込み力を受けるシール部材11に亀裂が発生するのを防止できる等の利点が得られるため、何れの部材に形成しても構わない。
さらには、バルブハウジング5とシール部材11との両者に前記第2溝部10aを設けるものであっても良い。
上記実施形態では、主にシール部材11の心合わせを第1溝部10Aに形成した円筒面F1で行う例を示した。しかし、この他にも図7に示す構成であってもよい。
即ち、第1溝部10Aがある程度深く形成されていて、シール部材11の内周面が円筒面F1に当接しないものであってもよい。この場合、シール部材11の位置保持は、主に、前記円錐面F2との当接によって行う。そして、バルブハウジング5の挿入方向先端側におけるシール部材11の心合わせは、シール部材11の一部を外側から係止する構成とする。
尚、バルブハウジング5をシリンダヘッド2に挿入し、シール部材11が押し込まれた場合には、シール部材11の突起部は前記係止部22から離間する。しかし、このときには、既にシール部材11はカムカバー3等の内面に適切に当接しているから特段の不都合は生じない。
5 バルブハウジング
6 バルブ本体
10A 第1溝部
10a 第2溝部
11 シール部材
100 凹部(空間)
B 流路形成体
F1 円筒面
F2 円錐面
K 開口部
R 媒体流路
X 軸心
Claims (5)
- 媒体流路を形成した流路形成体に挿入して取り付け可能であり、前記媒体流路に連通する複数の開口部を有する略筒状のバルブハウジングと、
前記開口部どうしの連通状態を切り替えるべく、前記バルブハウジングの内部において、当該バルブハウジングの軸心の方向に沿って摺動可能なバルブ本体を備えた電磁アクチュエータであって、
前記バルブハウジングを前記流路形成体に挿入したとき、前記流路形成体の一部に挿入方向奥側の端部が当接してその外周面が拡径変形し、前記バルブハウジングと前記流路形成体とに密着するシール部材を、前記バルブハウジングの外周面に備え、
変形したときに前記シール部材の一部が充填される空間を、前記バルブハウジングの外周面と前記シール部材の内周面との間に設けてある電磁アクチュエータ。 - 前記空間を、前記バルブハウジングの外周面に設けてある請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
- 前記シール部材を取り付けるよう、前記バルブハウジングの外周面に周方向に連続した環状の第1溝部を設けてあり、
当該第1溝部が、前記軸心と同軸心状の円筒面と、
前記バルブハウジングの挿入方向手前側ほど拡径した円錐面と、
前記円筒面および前記円錐面のうち少なくとも何れか一方に前記空間として形成した周方向に連続する環状の第2溝部とを備えている請求項2に記載の電磁アクチュエータ。 - 前記第1溝部において、前記バルブハウジングの挿入方向手前側から奥側に向けて、前記円錐面、前記第2溝部、前記円筒面の順に形成してある請求項3に記載の電磁アクチュエータ。
- 前記軸心を含む断面視において、前記バルブハウジングに取り付けられた前記シール部材のうち、前記流路形成体が当接する挿入方向奥側の端部の位置に対し、前記空間が、前記軸心の側であって、前記軸心に平行な方向から略45度の方向に設けてある請求項1〜4の何れか一項に記載の電磁アクチュエータ。
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