JP2006265422A - ポリエステル系樹脂 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ポリエステル系樹脂は一般に溶融粘度が低く、肉厚の製品の成型は難しかった。このため溶融粘度を上げて成型性を向上させることが考えられている。例えば、改質剤や増粘効果のある高分子化剤を加えるか等である。しかし、従来のどの方法も満足できるような結果は得られていない。また、これとは別に、プラスチック自体に保形性を持たせて、金属代替品又は自由に形を変えて使用できるもの等も要望されてきている。このようなものも従来は存在せず柔らかい金属のように、自由に形を変えることができ、且つその形を保つというものはなかったのである。
【解決手段】 ポリエステル、ポリオレフィン、及び多官能変性ビニルポリマーの少なくとも3成分を有するポリエステル系樹脂を、押出成型し、次いで押出し方向とほぼ直角に延伸し、ポリエステルの海の中にポリオレフィンの島が存在する構成となっているもの。
【選択図】 なし
【解決手段】 ポリエステル、ポリオレフィン、及び多官能変性ビニルポリマーの少なくとも3成分を有するポリエステル系樹脂を、押出成型し、次いで押出し方向とほぼ直角に延伸し、ポリエステルの海の中にポリオレフィンの島が存在する構成となっているもの。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリエステル系樹脂に関するものである。
ポリエステル系樹脂は、主鎖にエステル結合を持つポリマーである。ポリエチレンテレフタレート(PET)がその代表であり最も多量に使用されている。このポリエステルは、種々の物性において優れているため現在非常に多様に使用されている。
しかしながら、このポリエステルは一般に溶融粘度が低く、肉厚の製品の成型は難しかった。即ち、溶融粘度が低いと溶融物が押出成型機のダイやブロー成型機のパリソンから自重で垂れ下がるドローダウン現象が起こるため精度の高い成型が困難であるためである。
このため溶融粘度を上げて成型性を向上させることが考えられている。例えば、改質剤や増粘効果のある高分子化剤を加えるか等である。改質剤は、それ自身が高粘度のもので、ポリエステルと混合し全体として粘度の増加させるものである。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−エチレン−ブタジエンコポリマー、アクリルゴム等である。また、それ自身が溶融せずフィブリル化し繊維状のネットワーク構造を持たせ溶融張力を向上させる例もある。
また、高分子化剤としては、ポリエステルと反応しうる官能基を有する高分子改質剤やピロメリット酸に代表される多官能酸無水物が使用される。これは、ポリエステルのアルコール基もしくはカルボン酸基と反応し高分子化することにより粘度を増すものである。
しかし、従来のどの方法も満足できるような結果を得られていない。
更に、これとは別に、プラスチック自体に保形性を持たせて、金属代替品又は自由に形を変えて使用できるもの等も要望されてきている。
このようなものも従来は存在せず柔らかい金属のように、自由に形を変えることができ、且つその形を保つというものはなかったのである。
更に、これとは別に、プラスチック自体に保形性を持たせて、金属代替品又は自由に形を変えて使用できるもの等も要望されてきている。
このようなものも従来は存在せず柔らかい金属のように、自由に形を変えることができ、且つその形を保つというものはなかったのである。
そこで、本業界では比較的厚ものでも成型でき、且つ保形性と柔軟性を有するポリエステル系樹脂を提供する。
以上のような状況に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果、本発明ポリエステル系樹脂を完成させたものであり、その特徴とするところは、ポリエステル、ポリオレフィン、及び多官能変性ビニルポリマーの少なくとも3成分を有するポリエステル系樹脂を、押出成型し、次いで押出し方向とほぼ直角に延伸し、ポリエステルの海の中にポリオレフィンの島が存在する構成となっている点にある。
ここでポリエステルとは、前記したポリエチレンテレフタレートばかりでなく、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸、、その他の生分解性ポリエステル、更にその他の脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル及びその誘導体等があり、要するに主鎖にエステル結合を有するものであればよい。
また、回収されたPET樹脂や市販されているものでもよい。
以上のものを複数混合したものでもよい。
また、回収されたPET樹脂や市販されているものでもよい。
以上のものを複数混合したものでもよい。
ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレンが代表的であるが、ポリブタジエンやメチルペンテン樹脂等でもよい。発明者の実験では、ポリエチレン、それも低密度ポリエチレンが好適であった。これも複数用いてもよい。
このポリオレフィンの混合量は、ポリエステル100重量部に対して、1〜30重量部が好ましく、更に1〜8重量部がより好ましい。これは、ポリエステルの海に対して、島構造を持たせるためである。
このポリオレフィンの混合量は、ポリエステル100重量部に対して、1〜30重量部が好ましく、更に1〜8重量部がより好ましい。これは、ポリエステルの海に対して、島構造を持たせるためである。
多官能変性ビニルポリマーとは、ポリオレフィン部分と、官能基部分を有するものであり、エラストマーが好適である。官能基は、ポリエステルのカルボン酸やアルコールと反応するものであればよい。例えば、酸無水物、カルボン酸、アルコール、エステル、塩、等である。
化合物の例としては、無水マレイン酸含有スチレン系可塑性エラストマー、酸変性飽和型スチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエン共重合物水素添加物有機酸誘導体付加物等である。
官能基は少なくとも1つ有しておればよく、2つ以上なければならないものではない。いわゆる架橋剤とは異なる目的であるためである。
化合物の例としては、無水マレイン酸含有スチレン系可塑性エラストマー、酸変性飽和型スチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエン共重合物水素添加物有機酸誘導体付加物等である。
官能基は少なくとも1つ有しておればよく、2つ以上なければならないものではない。いわゆる架橋剤とは異なる目的であるためである。
この多官能変性ビニルポリマーの混合量は、ポリエステル100重量部に対して、1〜30重量部が好ましく、更に1〜8重量部がより好ましい。
この量によって粘度は自由に調整することができる。
この量によって粘度は自由に調整することができる。
更に、本発明ポリエステル樹脂には、無機系微粒子を混合してもよい。例えば、タルク、炭カル、酸化ケイ素の超微粒子等である。タルクは、結晶水を有するマグネシウム、珪素の酸化物である。またこれらの大きさは特に限定しないが、数十μm〜数nmが好適である。これらは、結晶核剤となりうるものであり、これを添加することによって結晶化を促進し、耐熱温度が上がると考えられる。混合量は、ポリエステル100重量部に対して1〜8重量部が好適である。
また、柔軟性を増すために柔軟成分として、アジピン酸誘導体、グリセリン誘導体、植物性オイル、珪素化合物誘導体(シリコンパウダー等)等をポリエステル100重量部に対して、1〜30重量部程度加えてもよい。
本発明では、上記した成分に更に添加剤を加えてもよい。例えば、顔料、香料、紫外線吸収剤、フィラー等である。更に、無機フィラーにポリエステルと反応する官能基を持った高分子化剤で表面処理したものを加えることも好適である。
要するに、本発明の趣旨に反しない限り何を加えてもよい。
要するに、本発明の趣旨に反しない限り何を加えてもよい。
本発明は、以上のような材料を押出成型して更にそれを押出し方向とほぼ直角に延伸したものである。押出は通常の方法でよく、特別な方法である必要はない。通常の装置で、通常の条件でよい。即ち、押出の温度、速度、厚み等も自由であるということである。しかし、厚みとしては、0.5mm〜3mm程度が好適である。
また、これを延伸するのであるが、延伸の方向は押出し方向とほぼ直角方向である。ほぼ直角とは厳密に90度でなけらばならないものではなく、80〜100度程度でよいということである。
また、これを延伸するのであるが、延伸の方向は押出し方向とほぼ直角方向である。ほぼ直角とは厳密に90度でなけらばならないものではなく、80〜100度程度でよいということである。
延伸倍率としては、1.05〜2.5倍程度である。特に1.05〜1.5倍程度が好適であった。押出し方向とほぼ直角方向に延伸するには、TD方向延伸装置を用いて行なえばよい。また、所定の長さにカットしてシート状にした後引っ張ってもよい。また、押出し方向とほぼ直角方向以外にも延伸してもよい。即ち、二軸延伸タイプである。この時も延伸倍率は、前記同様1.05〜2.5倍である。
また、本発明の材質は、ポリエステルの海の中にポリオレフィンの島が存在する構成となっている点も特徴である。単に、混合するのではなく、このような構造になっていることが必要である。これは、前記した混合比率で達成できるものである。更に、この島状態のポリオレフィンの周囲には、多官能変性ビニルポリマーが卵の殻のように覆っているようである。
このような材料を押出し成型すると、島部分が押出方向に長く延びた1:3〜10程度の楕円になる。更に、これを押出し方向とほぼ直角方向に延伸すると、海の部分に延伸方向に多数のクラックが入る。この多数のクラックの存在により、保形性が生まれるものと考えられる。
また、その多数のクラックは島の部分で停止して、それ以上クラックが延びることはない。このクラックの延長防止によって、強度(破断強度)が確保されていると考えられる。特に、島の周囲に存在すると考えられる多官能変性ビニルポリマーによって、より確実にクラックが停止しているものと考えられる。
本発明の用途としては、保形性を要求される部分、柔軟性を要求される部分その他種々の用途に使用でき、金属代替部分その他どのようなものにも使用できる。例えば、書類を綴じるファスナー、捻り紐等である。
本発明ポリエステル系樹脂には次のような大きな利点がある。
(1) 低粘度で成形が難しかったポリエステルが高粘度となり、成形性が良好となった。特にPETの場合、肉厚は従来は0.8mm程度までであったが、それ以上が可能となった。
(2) 従来難しかった発泡成形が、高粘度化により可能となった。
(3) 従来難しかったダイレクトブロー成形が、高粘度化により可能になるいと考えられる。
(4) 物性的には耐熱性が向上し、耐衝撃性の向上が期待される。
(5) 延伸することによって非常に柔軟になり、且つ保形性が生まれる。曲げた感じは、柔らかい粘土のようなもので、簡単に曲がり、その状態を保持する。とてもプラスチックとは思えない。
(6) 引張強度にも優れており、通常にプラスチック成型品として十分しようできるものである。
(1) 低粘度で成形が難しかったポリエステルが高粘度となり、成形性が良好となった。特にPETの場合、肉厚は従来は0.8mm程度までであったが、それ以上が可能となった。
(2) 従来難しかった発泡成形が、高粘度化により可能となった。
(3) 従来難しかったダイレクトブロー成形が、高粘度化により可能になるいと考えられる。
(4) 物性的には耐熱性が向上し、耐衝撃性の向上が期待される。
(5) 延伸することによって非常に柔軟になり、且つ保形性が生まれる。曲げた感じは、柔らかい粘土のようなもので、簡単に曲がり、その状態を保持する。とてもプラスチックとは思えない。
(6) 引張強度にも優れており、通常にプラスチック成型品として十分しようできるものである。
以下実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
実施例の組成物の作成にあたって各成分は次の通りである。
A ポリエステル樹脂:三井化学社製 ポリ乳酸H−400
B ポリオレフィン:三井住友ポリオレフィン社製 低密度ポリエチレン樹脂
ウルトゼックス3010F(商標)
C 多官能変性ビニルポリマー:旭化成社製 酸変性飽和型スチレン系熱可塑性エラストマー タフテックM1913(商標)
D 柔軟成分:シリコンパウダーDC4−7081
E 無機粒子:タルク
実施例と比較例の成分及び性状は表1の通りである。
実施例の組成物の作成にあたって各成分は次の通りである。
A ポリエステル樹脂:三井化学社製 ポリ乳酸H−400
B ポリオレフィン:三井住友ポリオレフィン社製 低密度ポリエチレン樹脂
ウルトゼックス3010F(商標)
C 多官能変性ビニルポリマー:旭化成社製 酸変性飽和型スチレン系熱可塑性エラストマー タフテックM1913(商標)
D 柔軟成分:シリコンパウダーDC4−7081
E 無機粒子:タルク
実施例と比較例の成分及び性状は表1の通りである。
表1において、柔軟性の◎は非常にやわらかい、○は少しやわらかい、×は硬いを表す。また、保形性(形状保持性)の◎は曲げた状態をほとんどそのまま保つ、○は少し戻る、△は少し戻り繰り返し曲げると折れる、×は戻りが激しいを表す。
表1の実施例によって、A、B、Cの3成分を含むものを、TD方向(押出し方向とほぼ直角方向)に延伸すれば、比較例1の延伸しないものと比較して、柔軟性、保形性が非常に優れていることが分かる。また、同じ延伸でもMD方向(押出し方向とほぼ同じ方向)ではほとんど効果のないことも分かった。これによって、前記のクラックの理論が考えられるのである。
また、比較例3、4からB又はCのどちらの成分が欠けても効果がないこともわかった。
Claims (3)
- ポリエステル、ポリオレフィン、及び多官能変性ビニルポリマーの少なくとも3成分を有するポリエステル系樹脂を、押出成型し、次いで押出し方向とほぼ直角に延伸し、ポリエステルの海の中にポリオレフィンの島が存在する構成となっていることを特徴とするポリエステル系樹脂。
- ポリエステル100重量部に対して、ポリオレフィンが1〜30重量部、多官能変性ビニルポリマーが1〜30重量部混合したものである請求項1記載のポリエステル系樹脂。
- ポリエステル100重量部に対して、無機系微粒子を1〜8重量部混合したものである請求項2記載のポリエステル系樹脂。
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JP2005087490A JP2006265422A (ja) | 2005-03-25 | 2005-03-25 | ポリエステル系樹脂 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008041356A1 (fr) * | 2006-10-03 | 2008-04-10 | Techno Polymer Co., Ltd. | Composition de résine thermoplastique et article moulé en résine |
JP2008088315A (ja) * | 2006-10-03 | 2008-04-17 | Mitsubishi Chemicals Corp | 熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品 |
JP2008127452A (ja) * | 2006-11-20 | 2008-06-05 | Mitsubishi Chemicals Corp | 制電性樹脂組成物および成形品 |
-
2005
- 2005-03-25 JP JP2005087490A patent/JP2006265422A/ja not_active Withdrawn
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