JP2006260731A - 光ディスク基板、光ディスク、光ディスク用スタンパの製造方法及び光ディスク用スタンパ - Google Patents

光ディスク基板、光ディスク、光ディスク用スタンパの製造方法及び光ディスク用スタンパ Download PDF

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Abstract

【課題】 イングルーブピットを有し、ノイズが低減された光ディスクが得られる光ディスク基板を提供すること。
【解決手段】 表面に凹凸パターンが形成されたガラス原盤を用いてスタンパを製造する際に、ガラス原盤表面に予め形成したアミノ基を有するシランカップリング剤の被膜上にパラジウム金属塩を効率的に捕捉させ、次いで希塩酸処理を行うことにより、続けて行われる無電解メッキ処理及び電解ニッケルメッキ処理により、良好な表面特性を有するニッケル製スタンパが得られる。このスタンパにより複製された光ディスク基板のランド121、グルーブ111及びイングルーブピット131の表面における算術平均粗さ(Ra)が0.6nm以下、最大高さ(Ry)が6nm以下である。
【選択図】 図2

Description

本発明は光ディスク基板等に関し、より詳しくは、イングルーブピットを有する光ディスク基板等に関する。
近年、CD(コンパクトディスク)に比べて数倍の記録容量を有するDVD(デジタル多用途ディスク)が光情報記録媒体として広く使用されている。DVDには、情報の記録を1回に限り行うことができるDVD−R(追記型DVD)や、情報の書換えを可能とするDVD−RW(書換え可能型DVD)が既に製品化されている。
このようなDVD−R及びDVD−RWの一部では、メーカ情報や、著作権保護対策用情報等のメディア情報が、ディスク基板の最内周部や最外周部のグルーブに、イングルーブピットの形で予め記録されている。ここで、イングルーブピットは、ランド及びグルーブが形成されたディスク基板のランド表面を基準としたときのイングルーブピットの底面までの深さが、同じくランド表面を基準としてグルーブの底面までの深さより深く形成されている部分のことをいう。
図7は、イングルーブピットを説明するための図である。図7(a)は、光情報記録媒体のイングルーブピットが形成された領域(イングルーブピット領域)の概略図であり、図7(b)は、図7(a)のA−A線断面図である。図7(a)に示すように、ディスク基板の製造段階において、予め、グルーブ711に、イングルーブピット712が形成されている。また、図7(b)に示すように、基板710のランド表面を基準としたときのイングルーブピット712の底面までの深さが、同じくランド表面を基準としてグルーブ711の底面までの深さより深く形成されている。
このようなディスク基板のパターン形成面上に記録層及び反射層を形成した場合、イングルーブピットが形成されている部分(イングルーブピット領域)と、イングルーブピットが形成されていないグルーブの部分(グルーブ領域)との深さの違いを利用することにより、メディア情報等のデータをグルーブに記録することができる。
また、このようなイングルーブドピットを有する光情報記録媒体のトラッキングを安定して行うために、イングルーブピット領域とグルーブ領域との境界部分に、さらに、イングルーブピットよりも幅の狭いイングルーブピットが形成された境界ピット領域が設ける手法等も報告されている(特許文献1参照)。
特開2004−158168号公報
DVD−R等に使用するディスク基板は、通常、原盤カッティング(リソグラフィー)工程により、所定の原盤表面にグルーブとイングルーブピットに対応するパターンが形成される。次に、スタンパ作製工程により、原盤表面に形成されたグルーブとイングルーブピットの反転パターンが転写されたディスク基板用スタンパが作製される。そして、このディスク基板用スタンパを用いて、ディスク基板が複製される。
ここで、スタンパ作製工程では、グルーブとイングルーブピットに対応するパターン表面に電解メッキによりニッケル膜が形成されるが、この電解メッキの際に、パターン表面に予め導電膜が形成される。この導電膜は、通常、スズ−パラジウム触媒を核としてニッケル−燐を析出させる無電解メッキ法により形成される。
しかし、ディスク基板を形成するための原盤の表面積が比較的大きいために、このような大面積の表面を無電解メッキ法により処理する際は、スズ−パラジウム触媒が表面全体に不均一に分布する場合がある。このため、他の部分と比較してスズ−パラジウム触媒が厚く付着した表面の部分では、ニッケル−燐が過剰に析出し、表面が白濁するとともに、最終的に作製される光情報記録媒体のノイズが増加するという問題がある。
また、図7(b)に示すように、イングルーブピット712の深さは、通常のグルーブ711と比べて深いために、無電解メッキ処理に使用される各種の処理剤の一部が、その底部に異物として凝集し、残存する場合があるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、イングルーブピットを有し、ノイズが低減された光ディスクが得られる光ディスク基板を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、イングルーブピットを有する光ディスクを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、イングルーブピットを有する光ディスク用スタンパの製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、イングルーブピットを有する光ディスク用スタンパを提供することにある。
このような課題を解決するために、本発明においては、ディスク基板表面に形成されたランド及びグルーブとイングルーブピットの表面粗さ(Ra)が低減されている。
即ち、本発明によれば、円盤状の樹脂製基体の表面に形成されたランドと、ランド間に所定の深さで形成されたグルーブと、グルーブの底部に形成されたイングルーブピットと、を有し、ランドの表面、グルーブの表面及びイングルーブピットの底面における算術平均粗さ(Ra)が0.6nm以下、最大高さ(Ry)が6nm以下であることを特徴とする光ディスク基板が提供される。
ここで、算術平均粗さ(Ra)及び最大高さ(Ry)は、JIS B0601−1994に準拠し、数値が小さい程、表面特性が良好であることを示す。
このとき、本発明が適用される光ディスク基板の凹凸パターンが形成された面が、その表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Ry)が極めて小さい表面特性を有することにより、この光ディスク基板を用いて調製される光ディスクから、ノイズが大幅に低減された信号の検出及び再生を行うことができる。
また、イングルーブピットは、グルーブの底面からイングルーブピットの底面までの深さ(H)と、イングルーブピットの底面の幅(L)とを用いて得られるアスペクト比(H/L)が0.3以上となるように形成されていることが好ましい。
さらに、本発明によれば、ランド、グルーブ及びグルーブの底部に形成されたイングルーブピットを有する基板を備え、この基板は、ランドの表面、グルーブの表面及びイングルーブピットの底面における算術平均粗さ(Ra)が0.6nm以下、最大高さ(Ry)が6nm以下であり、且つ、イングルーブピットは、グルーブの底面からイングルーブピットの底面までの深さ(H)と、イングルーブピットの底面の幅(L)とを用いて得られるアスペクト比(H/L)が0.3以上となるように形成されていることを特徴とする光ディスクが提供される。このような表面特性が良好な基板を用いた光ディスクによれば、ノイズが大幅に低減された信号の検出及び再生を行うことができる。
次に、製造方法のカテゴリーから捉えると、本発明によれば、光ディスクの基板を複製するためのスタンパの製造方法であって、ガラス基板の表面に所定の凹凸パターンを有するガラス原盤を形成するガラス原盤カッティングステップと、ガラス原盤カッティングステップにより形成されたガラス原盤の凹凸パターンの反転パターンが転写されたスタンパを形成するスタンパ作製ステップと、を有し、スタンパ作製ステップは、ガラス原盤表面をカーボファンクショナルシランにより前処理する前処理工程を有することを特徴とする光ディスク用スタンパの製造方法が提供される。
ここで、ガラス原盤の表面をカーボファンクショナルシラン(CFシラン)を用いて活性化処理することにより、ガラス原盤の表面にCFシラン被膜が形成される。CFシラン被膜を形成することにより、後述する無電解メッキ処理において、ガラス原盤上に触媒金属塩が容易に捕捉され、さらに後工程において行われる電気メッキ処理のための導電膜を形成することができる。
このとき、カーボファンクショナルシランとしては、陽イオン性官能基を有するシランカップリング剤が好ましく、なかでも、アミノ基を有するシランカップリング剤であることが好ましい。
さらに、スタンパ作製ステップは、ガラス原盤表面に無電解メッキ用の触媒金属塩膜を形成した後、この触媒金属塩膜を希塩酸により表面処理する表面処理工程を有することが好ましい。即ち、触媒金属塩膜を希塩酸により洗浄することで、ガラス原盤の表面に金属パラジウム等の触媒金属を均一に分布させることができる。その結果、続けて行う無電解メッキ処理において、ニッケル−燐等が異常に析出する現象を抑制することができ、最終的に作製される光情報記録媒体から得られる記録再生信号のノイズを低減することができる。
ここで、ガラス基板の表面に形成された所定の凹凸パターンは、光ディスクの記録再生光を案内するためのグルーブと、メディア情報を光学的に読み出すためのイングルーブピットとを有することが好ましい。
また、本発明が適用される光ディスク用スタンパの製造方法により製造された光ディスク用スタンパは、表面に、光ディスク基板にグルーブを形成するためのグルーブ形成部分と、グルーブの底部にイングルーブピットを形成するためのイングルーブピット形成部分と、を有し、その表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Ry)が極めて小さい表面特性を得ることができる。その結果、この光ディスク用スタンパを用いて複製される光ディスク基板の表面特性も極めて良好である。
このような本発明が適用される光ディスク用スタンパの表面特性としては、算術平均粗さ(Ra)が0.6nm以下、最大高さ(Ry)が6nm以下であることが好ましい。
本発明によれば、イングルーブピットを有し、ノイズが低減された光ディスクが得られる光ディスク基板が提供される。
以下、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態(実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、使用する図面は、本実施の形態を説明するために使用するものであり、実際の大きさを表すものではない。
図1は、本実施の形態が適用される光ディスクを説明するための図である。図1には、光情報記録媒体の実施形態の1つである記録層を有する光ディスク100が示されている。図1に示すように、光ディスク100は、一方の面に所定の凹凸パターンが形成された樹脂製基体からなる基板11を有している。また、この基板11の面上に記録層12、反射層13がこの順に形成され、反射層13上に塗布された紫外線硬化性樹脂からなる樹脂層14によりダミー基板15が固定されている。
さらに、基板11に形成された凹凸パターンは、ランド16と、ランド16間に設けられた記録再生光を案内するためのグルーブ17と、メーカ情報等のメディア情報を光学的に読み出すためのイングルーブピット18とが形成されている。尚、図示しないが、光ディスク100は、中心を基準とした所定のセンター孔を有する円盤状に形成されている。また、凹凸パターンは、光ディスク100の中心を基準として渦巻状又は同心円状に形成される。凹凸パターンを形成するグルーブ17の幅は、通常、300nm〜350nmであり、グルーブ17の深さは、通常、160nm〜180nmである。また、グルーブ17間に設けられたランド16の幅は、通常、390nm〜440nmである。
基板11は、表面に凹凸パターンと同じ凹凸パターンを有する原盤から得られる光ディスク用スタンパを用いて作製される。尚、スタンパの調製方法は後述する。
ここで、光ディスク100を構成する各層の材料等について説明する。
基板11を構成する樹脂製基体には、記録光及び再生光の波長において光透過性材料であれば、種々の材料を使用することができる。例えば、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、非晶質ポリオレフィン等の高分子材料;ガラス等の無機材料等が挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
記録層12は、基板11上に直接又は他の層を介して形成される。記録層12の膜厚は、特に限定されないが、通常、グルーブ17の底から測定して、40nm〜120nmである。記録層12の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、ドクターブレード法、キャスト法、スピナー法、浸漬法等、一般に行われている薄膜形成法が挙げられる。
記録層12を形成する材料としては、光ディスク100における情報の記録再生方式に合わせて、低融点合金、相変化型記録材料、光磁気記録材料、有機色素材料等を用いて形成される。本実施の形態においては有機色素が好ましい。有機色素としては、通常、光ディスク分野において使用されている有機色素であれば特に限定されない。例えば、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素等の大環状アザアヌレン系色素;シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等のポリメチン系色素;更に、ピロメテン系色素、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素等が挙げられる。
反射層13は、記録層12の上に形成され、反射層13の厚さは、通常、80nm〜300nmである。反射層13を形成する材料としては、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta及びPdの金属を、単独又は合金にして用いることができる。反射層13を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。
樹脂層14を構成する紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート系樹脂を用いることができる。樹脂層14の形成の方法としては、記録層12と同様に、スピンコート法又はキャスト法等の塗布法、スパッタ法、化学蒸着法等の方法が用いられる。
また、ダミー基板15としては、基板11と同様な材料が挙げられる。
尚、本実施の形態が適用される光記録媒体100には、基板11、記録層12、反射層13、樹脂層14に加えて、必要に応じて他の層を設けることができる。
次に、光ディスク基板のイングルーブピットが形成された領域(イングルーブピット領域)について説明する。
図2は、本実施の形態が適用される光ディスクの基板のイングルーブピット領域を説明するための図である。図2(a)は、イングルーブピット領域の概略図であり、図2(b)は、イングルーブピット領域の断面図である。図2(a)に示すように、イングルーブピット領域は、ランド121と、記録再生光を案内するためのグルーブ111と、メーカ情報等のメディア情報を光学的に読み出すためのイングルーブピット131とから構成されている。イングルーブピット131はグルーブ111のグルーブ底面111aからさらに深いイングルーブピット底面131aを有するように形成されている。また、メディア情報は、イングルーブピット131と、イングルーブピット131が形成されていないグルーブ111のスペース部分との配列により構成される。
次に、図2(b)に示すように、基板110に形成されるグルーブ111は、断面形状が、イングルーブピット131が形成されていないスペース部分のグルーブ底面111aと、グルーブ底面111aの周囲から起立された壁面により略台形となるように形成される。また、イングルーブピット131は、グルーブ111の底面であるグルーブ底面111aからさらに深く形成され、断面形状が平坦なイングルーブピット底面131aと、イングルーブピット底面131aの周囲から起立された壁面により略台形となるように形成されている。
ここで、イングルーブピット131は、グルーブ底面111aからイングルーブピット底面131aまでの深さ(H)と、光ディスクの半径方向に測ったイングルーブピット底面131aの幅(L)とを用いて得られるアスペクト比(H/L)が0.3以上となるように形成されている。
グルーブ底面111aからイングルーブピット底面131aまでの深さ(H)は、通常、80nm以上100nm以下である。また、光ディスクの半径方向に測ったイングルーブピット底面131aの幅(L)は、通常、200nm以上250nm以下である。
本実施の形態が適用される基板110の一方の面に形成されたグルーブ111の表面と、グルーブ111に形成されたイングルーブピット131の少なくともイングルーブピット底面131aと、さらに、グルーブ111間に設けられたランド121の表面とは、それぞれの表面における算術平均粗さ(Ra:JIS B0601−1994)が0.6nm以下、好ましくは、0.4nm以下であり、また、最大高さ(Ry:JIS B0601−1994)が6nm以下、好ましくは、4nm以下となるように形成されている。但し、通常、それぞれの表面における算術平均粗さ(Ra)は0.2nm以上であり、また、最大高さ(Ry)は2nm以上である。
このように、基板110の凹凸パターンが形成された面が、その表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Ry)が極めて小さい表面特性を有することにより、基板110を用いて調製される光ディスクから、ノイズが大幅に低減された信号の検出及び再生を行うことができる。
次に、図3〜図6を用いて、光ディスク基板を調製するための光ディスク基板用スタンパの製造方法について説明する。初めに、図3及び図4に基づき、光ディスク基板用スタンパを得るためのガラス原盤カッティングステップを説明する。
図3及び図4は、本実施の形態が適用される光ディスク基板用スタンパを得るためのガラス原盤カッティングステップを説明する図である。先ず、図3(a)に示すように、所定の直径及び厚さを有するガラス基板210を用意する。次いで、図3(b)に示すように、ガラス基板210の一方の表面210a上に、フォトレジスト211を、スピンコート法を用いて均一に塗布する(フォトレジスト塗布)。次に、図3(c)に示すように、フォトレジスト211が形成されたガラス基板210を、原盤カッティング装置(原盤露光装置)に装着し、フォトレジスト211にプリフォーマットパターンに対応するパターンを露光する(レーザーカッティング)。原盤カッティング装置のレーザ発振器(図示せず)から出射されたレーザ光は、集光レンズを介して、ガラス基板210上のフォトレジスト211に照射される。このとき、ガラス基板210を、中心軸AXを中心として所定の回転数で回転させる。また、ガラス基板210上のレーザ光の照射位置が、ガラス基板210の半径方向に沿ってガラス基板210の内側から外側に向かって移動するように、レーザ光を移動させる(矢印A)。
グルーブ及びイングルーブピットに対応するパターンは、ガラス基板210の表面210aに均一な厚みで形成されたフォトレジスト211に、一定強度のレーザ光を照射してグルーブに対応するパターンを露光するとともに、さらに高レベルの露光強度に強度変調されたレーザ光を用いてイングルーブピットに対応するパターンを露光する。尚、グルーブに対応するパターンとイングルーブピットに対応するパターンとは、レーザ光の露光強度を連続的に切り替えて露光することもできるし、一旦、グルーブに対応するパターンを露光した後、改めてイングルーブピットに対応するパターンを露光してもよい。
これにより、フォトレジスト211のイングルーブピット形成部分は、フォトレジスト211がガラス基板210の表面210aまで露光されるのに対し、フォトレジスト211のグルーブ形成部分は、フォトレジスト211がガラス基板210の表面210aまで露光されない。
次に、図4(a)に示すように、フォトレジスト211が露光されたガラス基板210をカッティング装置から取出し、現像処理を行う(現像処理)。現像処理により、グルーブ形成部221及びイングルーブピット形成部222が、ガラス基板210上に形成される。グルーブ形成部221は、断面がV字状の溝形状となるように形成される。また、イングルーブピット形成部222は、現像処理によってガラス基板210の表面210aが露出部222aとして現れる。
次に、図4(b)に示すように、ガラス基板210上に形成されているフォトレジスト211のパターンをマスクとして第1回目の反応性エッチング(RIE)処理を行う(第1RIE処理)。RIE処理は、所定のRIE装置(図示せず)を用いて、例えば、C26、CF4、C36等のガス雰囲気中で行われる。RIE処理により、イングルーブピット形成部222は、ガラス基板210の表面210aから所定の深さ(h1)までエッチングされる。次いで、図4(c)に示すように、酸素ガスによるレジストアッシング装置(図示せず)を用いて、フォトレジスト211を所定の厚さだけ削り、グルーブ形成部221におけるガラス基板210の表面210aを露出させ、露出部221aを形成する(第1アッシング)。
続いて、図4(d)に示すように、ガラス基板210のフォトレジスト211形成面に対して、第2回目のRIE処理を行う(第2RIE処理)。第2RIE処理により、イングルーブピット形成部222は、ガラス基板210の表面210aから、さらに深い深さ(h2(h2>h1))までエッチングされる。同時に、グルーブ形成部221は、ガラス基板210の表面210aから所定の深さ(h3)までエッチングされる。第2RIE処理を行ったガラス基板210は、その後、再度、レジストアッシング装置(図示せず)を用いて、ガラス基板210上のフォトレジスト211を除去し、表面に所望の凹凸パターンが形成されたガラス原盤220が得られる。
このように調製したガラス原盤220の一方の面に形成されたイングルーブピット形成部222は、グルーブ形成部221の底面からイングルーブピット形成部222の底面までの深さ(H)と、ガラス原盤220の半径方向に測ったイングルーブピット形成部222の底面の幅(L)とを用いて得られるアスペクト比(H/L)が0.3以上となるように形成されている。
次に、図5及び図6に基づき、このようにして調製したガラス原盤220を用いて光ディスク用スタンパを製造する方法について説明する。
図5及び図6は、本実施の形態が適用されるスタンパ作製ステップを説明するための図である。先ず、図5(a)に示すように、前述したガラス原盤カッティングステップにより、グルーブ形成部221及びイングルーブピット形成部222が形成されたガラス原盤220が調製される。次に、図5(b)に示すように、ガラス原盤220の表面をカーボファンクショナルシラン(以下、「CFシラン」と記すことがある。)を用いて活性化処理し、ガラス原盤220の表面に活性化したCFシラン被膜230を形成する(CFシラン処理)。ガラス原盤220上にCFシラン被膜230を形成することにより、後述する無電解メッキ処理において、ガラス原盤220上に触媒金属塩が容易に捕捉され、密着性が高いメッキ膜を形成することができる。
CFシランは、シランカップリング剤として知られる化合物であって、特に下記式(1)で示されるものが好ましい。
Y−(CH2n−SiRa(OR)3-a (1)
(式(1)中、Yは、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基から選ばれるいずれか1種の官能基である。Rは、置換されることがある一価の炭化水素基である。nは0〜3の整数であり、aは0又は1である。)
ここで、官能基Yは、ビニル基としては、(CH2=CH−)等が挙げられる。エポキシ基としては、γ−グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基等が挙げられる。アミノ基としては、(NH2−)、(NH2CH2CH2NH−)等が挙げられる。メルカプト基としては、メルカプト基が挙げられる。メタクリロキシ基、アクリロキシ基としてはメタクリロキシ基、アクリロキシ基等が挙げられる。
Rとしては、置換されることがある脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、フェニルエチル基等の、炭素数6〜14、好ましくは炭素数6〜10のアリール基、ベンジル基、アラルキル基等が挙げられる。また、置換された炭化水素基としては、上述した脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基の水素原子の一部又は全部を、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アミノアルキル基等で置換したものが挙げられる。このような置換基としては、例えば、モノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、p−ジメチルアミノフェニル基、m−ジメチルアミノフェニル基等が挙げられる。これらの中でも、Rとしては、特に、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
CFシラン化合物の具体例としては、ビニル基を有する化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。エポキシ基を有する化合物としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。アミノ基を有する化合物としては、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
CFシランは、通常、水または適当な有機溶媒に溶解した溶液の形態で使用される。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;エチルセルソルブ、メチルセルソルブ等のアルコキシエタノール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒;エーテルエステル系溶媒が挙げられる。
ここで、CFシランを含有する溶液中には、例えば、ポリエチレングリコール等の高分子量成分の化合物が含有されないことが好ましい。高分子量成分の化合物が含有されたCFシラン溶液により、イングループピット形成部分222が形成されたガラス原盤220表面を処理すると、イングループピット形成部分222の底部に異物が凝集し、残存する場合があるので好ましくない。
CFシランを含有する溶液の塗布方法としては、スピンコート、ディッピング、ロール塗布、ブレードコート、アプリケータコート、バーコート、スクリーン印刷等が挙げられる。
本実施の形態においては、これらのCFシラン化合物の中でも、陽イオンを形成する官能基Yを有する化合物が好ましく、なかでも、官能基Yとしてアミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。これらのアミノ基を有するシランカップリング剤は、水溶液中でアミノ基がアンモニウム陽イオンとなり、さらに、アルコキシ基が加水分解され、例えば、下式のようにシラノール基(SiOH)を生成する。
(CH3O)3SiC36NH2+4H2O→H3+36Si(OH)3+OH-+3CH3OH
ここで、シラノール基は、ガラス原盤220表面に存在する酸素イオンと水素結合し、ガラス原盤220の表面はアンモニウム陽イオンで覆われると考えられる。
続いて、無電解メッキ処理について説明する。先ず、図5(c)に示すように、ガラス原盤220上に無電解メッキ処理で使用するパラジウム塩、銀塩等の触媒金属塩からなる触媒膜240を設ける(触媒固定)。触媒金属塩としては、パラジウム塩が好ましい。パラジウム塩としては、Pd2 +を含み、通常、Pd−Z2の形で表われる金属塩が挙げられる。ここで、Zは、CI、Br、I等のハロゲン;アセテート、トリフルオロアセテート、アセチルアセトネート、カーボネート、パークロレート、ナイトレート、スルフェート、オキサイド等が用いられる。パラジウム塩の具体例としては、例えば、PdCl2、PdBr2、PdI2、Pd(OCOCH32、PdSO4、Pd(NO32、PdO等が挙げられる。また、触媒金属塩溶液の安定性を増すために、塩酸や塩化ナトリウム等のハロゲン化物を添加してもよい。
触媒金属塩を溶解する溶媒としては、例えば、水;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ニトロメタン、アセトニトリル等が挙げられる。これらの中でも、水が好ましい。
触媒膜240を形成する方法としては、通常、ガラス原盤220を触媒金属塩の溶液中に1秒間〜10分間程度浸漬し、水洗後、乾燥することにより、ガラス原盤220表面に還元された触媒金属粒子を付着させる。また、必要に応じて、40℃〜200℃の温度で熱処理することにより、ガラス原盤220表面の触媒金属の還元が促進される。乾燥温度は、常圧又は減圧状態で、通常、10℃〜200℃である。
パラジウム塩の好ましい固定方法としては、例えば、ガラス原盤220表面を塩化パラジウムと塩化第一錫の塩酸水溶液で処理する方法が挙げられる。このとき、パラジウムは塩酸水溶液中で塩化第一錫により金属パラジウムに還元され、その周囲を塩化第二錫に覆われたコロイド粒子になっている。このコロイド粒子の最外周は静電気的にマイナスの塩素イオン(Cl-)であるため、アミノ基を有するシランカップリング剤で処理されたガラス原盤220の表面に存在するアンモニウム陽イオンに付着することができる。
続いて、図5(d)に示すように、ガラス原盤220の表面を希塩酸により処理する(塩酸処理)。このとき、金属パラジウムの周囲を覆っている塩化第二錫が溶解除去され、金属状態のパラジウムがガラス原盤220の表面に均一に分布する。
ここで、本実施の形態においては、ガラス原盤220の表面に固定したパラジウム等の触媒金属塩からなる触媒膜240を希塩酸により処理することが必要である。即ち、金属状態のパラジウム表面を覆う塩化第二錫を、希塩酸処理により除去することで、ガラス原盤220の表面に金属パラジウムを均一に分布させることができる。
その結果、続けて行う無電解メッキ処理において、ニッケル−燐等が異常に析出する現象を抑制することができ、最終的に作製される光情報記録媒体から得られる記録再生信号のノイズを低減することができる。この場合、希塩酸とは異なり、硫酸を用いてガラス原盤220表面を処理すると、金属パラジウムの分散性が低下する傾向があるので好ましくない。
次に、図6(a)に示すように、金属パラジウムが表面に付与されたガラス原盤220の表面に無電解メッキ処理を行い、導電膜250を形成する。
ここで、無電解メッキ処理に使用する無電解メッキ液としては、例えば、銅、ニッケル、パラジウム、金、白金、ロジウム等の金属イオンを含んだものが好ましく用いられる。無電解メッキ液は、通常、上記金属イオンの水溶性金属塩に、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤、酢酸ナトリウム、フェニレンジアミンや酒石酸ナトリウムカリウム等の錯化剤が配合されており、一般には無電解メッキ液として市販されており容易にかつ安価に入手することができる。これらの無電解メッキ液中でも、金属イオンとして、銅及び/またはニッケルを含有するものが好ましい。
このような無電解メッキ液としては、例えば、Ni−B系無電解メッキ液、Ni−P系無電解メッキ液、Ni−Cu−P系無電解メッキ液、Cu系無電解メッキ液等が挙げられる。Ni−B系無電解メッキ液は、硫酸ニッケル、錯化剤、ホウ素含有有機還元剤を含み、さらに、メッキ液の建浴用または補充用液として2,2’−チオジエタノール、チオジグリコール酸等が含まれる。Ni−P系無電解メッキ液は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル等のニッケル塩;クエン酸、リンゴ酸、コハク酸等の錯化剤;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム等の還元剤;鉄、タングステン、モリブデン、クロム等の成分の水溶性化合物を含有し、さらに、必要に応じて、公知の安定剤等を含有する。水溶性化合物としては、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム等の水溶性鉄化合物;タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウム等の水溶性タングステン化合物;モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸アンモニウム、塩化モリブデン等の水溶性モリブデン化合物;塩化クロム、臭化クロム、硫酸クロム等の水溶性クロム化合物が例示できる。これらの水溶性化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。各成分配合量については、上述した組成の無電解ニッケル多元合金メッキ皮膜を形成できる範囲内で適宜調整すればよい。
Ni−Cu−P系無電解メッキ液は、硫酸ニッケル等のニッケル塩、硫酸銅等の銅塩、ホスフィン酸ナトリウム等の還元剤及びクエン酸三ナトリウム等の錯化剤を主成分として含有する。Cu系無電解メッキ液は、硫酸銅、塩化銅、酸化銅等の第二銅塩;エチレンジアミン四酢酸またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、ロッシェル塩等の銅錯化剤;ホルムアルデヒド等の還元剤を含有する。さらに、三塩化砒素、三酢酸砒素、砒酸、三酸化二砒素、二水酸化トリフェニル砒素、アルサニル酸等のAs化合物;三酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、塩化アンチモン、吐酒石、しゅう酸アンチモンカリウム、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、ヘキサクロロアンチモン酸塩等のSb化合物;硝酸ビスマス、水酸化ビスマス、しゅう酸ビスマス、酢酸酸化ビスマス、ホウ酸ビスマス、酸化ビスマス等のBi化合物;硫酸ベリリウム、塩化ベリリウム、硝酸ベリリウム、酢酸ベリリウム、臭化ベリリウム、ベリリウム酸ナトリウム、しゅう酸ベリリウム、フッ化ベリリウム等のBe化合物を含有するものが挙げられる。
無電解メッキ液とガラス原盤220とを接触させる方法としては、ガラス原盤220を無電解メッキ液中に浸漬することが好ましい。無電解メッキ液とガラス原盤220とを接触させる温度としては、15℃〜120℃が好ましく、さらに好ましくは25℃〜85℃である。接触させる時間は、例えば、30秒〜16時間であり、1分間〜30分間程度であることが好ましい。
導電膜250の厚さは、特に限定されないが、通常、0.01μm〜5μm、好ましくは、0.05μm〜1μm、特に好ましくは、0.1μm〜0.5μmである。導電膜250の厚さが過度に小さいと、膜化が不十分でムラが生じるとともに、通電膜等としての機能を損なう傾向がある。導電膜250の厚さが過度に大きいと、膜質の劣化、歪の増大をまねく傾向がある。
続いて、図6(b)に示すように、メッキ(電鋳)により、ガラス原盤220表面の導電膜250上にメッキ膜260を形成する。
ここで、メッキ(電鋳)において使用されるメッキ液は、通常、溶媒に、1種又は2種類以上の金属塩、有機電解質、リン酸等の酸、アルカリ物質等の各種電解質を溶解させたものが用いられる。溶媒としては、極性溶媒であれば特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の直鎖状カーボネート類、又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
金属塩としては、析出させる金属、合金等を考慮して適宜選択される。金属塩の金属としては、例えば、Cu、Zn、Ga、As、Cr、Se、Mn、Fe、Co、Ni、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ru、Rh、Pd、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、W、Po、Re、Os、Ir、Pt等が挙げられる。これらの中でも、Ni、Ag、Au、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Sn、Znが好ましく、さらに、Niが特に好ましい。尚、これらの金属は、それぞれ単独で、または、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
メッキ液の主成分である金属塩の具体例としては、例えば、ニッケルメッキ液としては、硫酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル等;銅メッキ液としては、結晶硫酸銅、ホウフッ化銅、シアン化銅、ピロリン酸銅等;クロムメッキ液としては、クロム酸等;亜鉛メッキ液としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛等;カドミウムメッキ液としては、酸化カドミウム等;スズメッキ液としては、硫酸第一スズ、スズ酸カリ等;銀メッキ液としては、シアン化銀等;金メッキ液としては、金;白金メッキ液としては、塩化白金酸等;ロジウムメッキ液としては、ロジウム、リン酸ロジウム等;ルテニウムメッキ液としては、ルテニウム錯体等;黄銅メッキ液としては、シアン化第一銅等が挙げられる。
次に、図6(c)に示すように、ガラス原盤220からメッキ膜260を剥離することにより、光ディスク用スタンパ300が調製される。光ディスク用スタンパ300の表面には、ガラス原盤220の表面に形成されていた凹凸パターンの反転パターンが形成され、グルーブ形成部311とイングルーブピット形成部331とを有している。
本実施の形態が適用される光ディスク用スタンパ300は、上述した製造方法により製造されることにより、光ディスク用スタンパ300の一方の面に形成されたグルーブ形成部311の表面と、イングルーブピット形成部331の少なくとも底面331aと、さらに、グルーブ形成部311間に設けられたランド形成部321の表面とは、それぞれの表面における算術平均粗さ(Ra)が0.6nm以下、好ましくは、0.4nm以下であり、また、最大高さ(Ry)が6nm以下、好ましくは、4nm以下となるように形成されている。但し、通常、それぞれの表面における算術平均粗さ(Ra)は0.2nm以上であり、また、最大高さ(Ry)は2nm以上である。
さらに、本実施の形態が適用される光ディスク用スタンパ300は、イングルーブピット形成部331が、グルーブ形成部311の底面からイングルーブピット形成部331の底面331aまでの深さ(H)と、光ディスク用スタンパ300の半径方向に測った底面331aの幅(L)とを用いて得られるアスペクト比(H/L)が0.3以上となるように形成されている。
このように、表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Ry)が極めて小さい表面特性を有する光ディスク用スタンパ300によれば、表面特性が優れた光ディスク基板を複製することができる。さらに、このような光ディスク基板を用いて調製される光ディスクから、ノイズが大幅に低減された信号の検出及び再生を行うことができる。
以下、実施例に基づき本実施の形態をさらに具体的に説明する。尚、本実施の形態は実施例に限定されない。
(実施例1)
ガラス原盤表面に均一にフォトレジストを塗布し、レーザ光を照射してグルーブ及びイングルーブピットとなるパターンを露光した。次に、露光したフォトレジストを現像後、パターンが形成されたガラス原盤にRIE処理及びアッシング処理を2回施し、洗浄によりフォトレジストを除去して、ガラス原盤表面に深さ175nmのグルーブと、深さ90nmのイングルーブピットとを有するパターンを形成した。
次に、ガラス原盤表面にCFシラン(3−アミノプロピルトリメトキシシランの0.2重量%水溶液)をスピンコート法により塗布し、純水で洗浄後、パラジウム塩(シプレーファーイスト株式会社製:一液系Pd触媒液キャタリスト6F)の塩酸水溶液で処理し、続いて、ガラス原盤表面を純水で洗浄後、1.2規定の塩酸水溶液で処理した。
次に、ガラス原盤表面を純水洗浄後、還元剤として次亜リン酸ナトリウムを含有する塩化ニッケル水溶液中に5分間浸漬して無電解メッキ処理を行い、ガラス原盤上に厚さ80nmのNi−P膜を形成した。このとき、無電解メッキ反応を速めるために、浴温を50℃に保った。
続いて、Ni−P膜を導電膜として電解メッキにより、厚さ300μmのニッケルメッキ層を形成し、その後、ニッケルメッキ層をガラス原盤より剥離し、ガラス原盤表面に形成されたパターンが転写された光ディスク用スタンパを作製した。
このように作製した光ディスク用スタンパを用いて複製した光ディスク基板の表面を原子間力顕微鏡(AFM)により測定した。光ディスク基板のランド、グルーブ及びイングルーブピット底部のRaとRyの測定結果を表1に示す。
(比較例)
実施例1と同様の処理により、表面に深さ175nmのグルーブと、深さ90nmのイングルーブピットとが形成されたガラス原盤を調製した。
次に、このガラス原盤表面を脱脂コンディショナー(奥野製薬工業株式会社製:OPC−370Mコンディクリーン−M、7.5%水溶液)を用いてスピンコート法により処理した。次いで、ガラス原盤表面を純水洗浄後、パラジウム塩溶液(シプレーファーイスト株式会社製:一液系Pd触媒液キャタリスト6F)で処理し、続いて、ガラス原盤表面を純水で洗浄後、硫酸水溶液(シプレーファーイスト株式会社製:アクセラレータ240)で処理した。
その後、実施例1と同様な条件で、無電解メッキ処理により形成したNi−P膜を導電膜として電解メッキによりニッケルメッキ層を形成し、その後、ニッケルメッキ層をガラス原盤より剥離し、ガラス原盤表面に形成されたパターンが転写された光ディスク用スタンパを作製した。
このように作製した光ディスク用スタンパを用いて複製した光ディスク基板の表面を原子間力顕微鏡(AFM)により測定した。光ディスク基板のランド、グルーブ及びイングルーブピット底部のRaとRyの測定結果を表1に示す。
また、光ディスク基板表面に形成されたイングルーブピットの底部に異物が見られた。この欠陥は光ディスク用スタンパのイングルーブピットに対応する場所にも観察され、さらに、ガラス原盤にも同様な欠陥が見られた。この異物を分析した結果、ガラス原盤の表面処理の際に用いた表面処理剤中に含まれる高分子量成分であることが分かった。また、無電解メッキ処理後のNi−P膜には、異常析出による白濁が生じ易かった。
Figure 2006260731
(実施例2)
実施例1において得られた光ディスク用スタンパを用いて、厚さ0.6mm、直径120mmのポリカーボネート製の光ディスク基板を複製した。次に、この光ディスク基板の凹凸パタ−ン形成面上に、アゾ系色素1重量%の濃度を有する溶液を、スピンコート法により、グルーブ部分で厚さ100nmとなるように塗布し、70℃にて1時間乾燥させ、記録層を形成した。次に、記録層に、スパッタ法によりAg合金からなる厚さ160nmの反射層を形成した。次いで、反射層に、UV樹脂材料をスピンコート法により塗布し、さらに、その上に厚さ0.6mmのポリカーボネート製基板(ダミー基板)を載置し、UV照射を施すことにより光ディスクを調製した。
次に、このように調製した光ディスクを、波長650nmのレーザ光及び開口数0.6のレンズを有する光ピックアップを用いて、イングルーブピット領域の記録信号の再生を行った。その結果、信号の検出及び再生は安定して行うことができ、また、このときの再生信号の信号変調度は64%〜65%、ジッターは7.8%〜7.5%程度に推移しており、いずれも良好な結果を得ることができた。
以上説明したように、本発明では、光ディスク用スタンパの調製工程において、グルーブ及びイングルーブピットに対応するパターンが形成されたガラス原盤表面にCFシラン処理を施すことにより、その後、ガラス原盤表面に無電解メッキ処理で均一な導電膜を形成することができる。
さらに、無電解メッキ処理の前処理として、ガラス原盤表面に付着したパラジウム等の触媒金属塩膜を希塩酸で処理することにより、表面特性が極めて優れた光ディスク用スタンパを製造できる。
また、このように調製された光ディスク用スタンパにより複製された光ディスク基板は、その表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Ry)が極めて小さい表面特性を有することにより、この光ディスク基板を用いて調製される光ディスクから、ノイズが大幅に低減された信号の検出及び再生を行うことができる。
本実施の形態が適用される光ディスクを説明するための図である。 本実施の形態が適用される光ディスクの基板のイングルーブピット領域を説明するための図である。 本実施の形態が適用される光ディスク基板用スタンパを得るためのガラス原盤カッティングステップを説明する図である。 本実施の形態が適用される光ディスク基板用スタンパを得るためのガラス原盤カッティングステップを説明する図である。 本実施の形態が適用される光ディスク用スタンパ作製ステップを説明するための図である。 本実施の形態が適用される光ディスク用スタンパ作製ステップを説明するための図である。 イングルーブピットを説明するための図である。
符号の説明
11,110,710…基板、12…記録層、13…反射層、14…樹脂層、15…ダミー基盤、16,121…ランド、17,111,711…グルーブ、18,131,712…イングルーブピット、100…光ディスク、111a…グルーブ底面、131a…イングルーブピット底面、210…ガラス基板、220…ガラス原盤、221,311…グルーブ形成部、222,331…イングルーブピット形成部、221a,222a…露出部、230…CFシラン被膜、240…触媒膜、250…導電膜、260…メッキ膜、300…光ディスク用スタンパ、321…ランド形成部

Claims (14)

  1. 円盤状の樹脂製基体の表面に形成されたランドと、
    前記ランド間に所定の深さで形成されたグルーブと、
    前記グルーブの底部に形成されたイングルーブピットと、を有し、
    前記ランドの表面、前記グルーブの表面及び前記イングルーブピットの底面における算術平均粗さ(Ra)が0.6nm以下、最大高さ(Ry)が6nm以下である
    ことを特徴とする光ディスク基板。
  2. 前記イングルーブピットは、前記グルーブの底面から当該イングルーブピットの底面までの深さ(H)と、当該イングルーブピットの底面の幅(L)とを用いて得られるアスペクト比(H/L)が0.3以上となるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の光ディスク基板。
  3. 光ディスクの基板を複製するための光ディスク用スタンパの製造方法であって、
    ガラス基板の表面に所定の凹凸パターンを有するガラス原盤を形成するガラス原盤カッティングステップと、
    前記ガラス原盤カッティングステップにより形成された前記ガラス原盤の前記凹凸パターンの反転パターンが転写されたスタンパを形成するスタンパ作製ステップと、を有し、
    前記スタンパ作製ステップは、前記ガラス原盤表面をカーボファンクショナルシランにより前処理する前処理工程を有する
    ことを特徴とする光ディスク用スタンパの製造方法。
  4. 前記カーボファンクショナルシランが、陽イオン性官能基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求項3記載の光ディスク用スタンパの製造方法。
  5. 前記カーボファンクショナルシランが、アミノ基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求項3記載の光ディスク用スタンパの製造方法。
  6. 前記スタンパ作製ステップは、前記ガラス原盤表面に無電解メッキ用の触媒金属塩膜を形成し、前記触媒金属塩膜を希塩酸により表面処理する表面処理工程を有することを特徴とする請求項3記載の光ディスク用スタンパの製造方法。
  7. 前記凹凸パターンは、前記光ディスクの記録再生光を案内するためのグルーブと、メディア情報を光学的に読み出すためのイングルーブピットとを有することを特徴とする請求項3記載の光ディスク用スタンパの製造方法。
  8. ランド、グルーブ及び前記グルーブの底部に形成されたイングルーブピットを有する基板を備え、
    前記基板は、前記ランドの表面、前記グルーブの表面及び前記イングルーブピットの底面における算術平均粗さ(Ra)が0.6nm以下、最大高さ(Ry)が6nm以下であり、
    前記イングルーブピットは、前記グルーブの底面から当該イングルーブピットの底面までの深さ(H)と、当該イングルーブピットの底面の幅(L)とを用いて得られるアスペクト比(H/L)が0.3以上となるように形成されていることを特徴とする光ディスク。
  9. 光ディスク用スタンパの製造方法であって、
    ガラス基板の表面に所定の凹凸パターンを有するガラス原盤を形成するガラス原盤カッティングステップと、
    前記ガラス原盤カッティングステップにより形成された前記ガラス原盤の前記凹凸パターンの反転パターンが転写されたスタンパを形成するスタンパ作製ステップと、を有し、
    前記スタンパ作製ステップは、前記ガラス原盤表面に無電解メッキ用の触媒金属塩膜を形成し、前記触媒金属塩膜を希塩酸により表面処理する表面処理工程を有する
    ことを特徴とする光ディスク用スタンパの製造方法。
  10. 前記スタンパ作製ステップは、前記触媒金属塩膜を形成する前に、予め、前記ガラス原盤表面をカーボファンクショナルシランにより前処理する前処理工程を有することを特徴とする請求項9記載の光ディスク用スタンパの製造方法。
  11. 前記凹凸パターンは、前記光ディスクの記録再生光を案内するためのグルーブと、メディア情報を光学的に読み出すためのイングルーブピットとを有することを特徴とする請求項9記載の光ディスク用スタンパの製造方法。
  12. 請求項3または請求項9記載の光ディスク用スタンパの製造方法により製造された光ディスク用スタンパであって、
    表面に、光ディスク基板にグルーブを形成するためのグルーブ形成部分と、
    前記グルーブの底部にイングルーブピットを形成するためのイングルーブピット形成部分と、を有する
    ことを特徴とする光ディスク用スタンパ。
  13. 前記表面の算術平均粗さ(Ra)が0.6nm以下、最大高さ(Ry)が6nm以下であることを特徴とする請求項12記載の光ディスク用スタンパ。
  14. 前記イングルーブピット形成部分は、前記グルーブ形成部分の底面から当該イングルーブピット形成部分の底面までの深さ(H)と、当該イングルーブピット形成部分の底面の幅(L)とを用いて得られるアスペクト比(H/L)が0.3以上となるように形成されていることを特徴とする請求項12記載の光ディスク用スタンパ。
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