JP2006259396A - 光学異方性膜及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 両末端に二つの重合性基を有する棒状分子が配向している状態で重合性基が重合しており、重合により配向状態が固定されている光学異方性膜において、重合性基としてラジカル開環重合性基を用いる。
【選択図】 図1
Description
また、本発明は、液晶表示装置、特にIPS型液晶表示装置の視野角の改善に寄与する、簡易な方法で作製可能な光学異方性膜を提供することも目的とする。
[1]下記式(I)で表される棒状分子が配向している状態で下記Q1およびQ2が重合しており、重合により配向状態が固定されている光学異方性膜:
[3]上記Q1およびQ2が、それぞれ独立に、ジスルフィド環、環を構成する炭素原子の数が4乃至6のビシクロ脂肪族環、1−アルケニル基で置換された脂肪族環または複素環、あるいはアルキリデン基で置換された脂肪族環または複素環を有するラジカル開環重合性基である[1]に記載の光学異方性膜。
[4]上記L1が−O−、アルキレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である[1]に記載の光学異方性膜。
[5]上記L2およびL3が−CO−O−である[1]に記載の光学異方性膜。
[7]厚み方向のレターデーション値が−80nm乃至−400nmである[1]に記載の光学異方性膜。
[11]液晶セル、第2の位相差板、第1の位相差板および透過軸が黒表示時における液晶分子の光学軸の平均方向と実質的に平行になっている偏光膜が、この順序で配置され、第1の位相差板の遅相軸と偏光膜の透過軸とが実質的に直交するように、第1の位相差板と偏光板とが配置されている[8]または[9]に記載の液晶表示装置。
[13]偏光板が、一対の保護膜およびその間に配置された偏光膜からなり、液晶セルに近い側の保護膜が、セルロースアシレートフイルムまたはノルボルネン樹脂フイルムからなる[8]または[9]に記載の液晶表示装置。
また、本明細書において、「平行」、「直交」とは、厳密な角度±10゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差は、±5゜未満であることが好ましく、±2゜未満であることがより好ましい。また、「実質的に垂直」とは、厳密な垂直の角度よりも±20゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差は、±15゜未満であることが好ましく、±10゜未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
なお、波長(λnm)は、特別に規定する場合を除き、550nmである。
ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フイルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フイルムの平均屈折率の値を以下に例示する。
セルロースアセテート: 1.48
シクロオレフィンポリマー:1.52
ポリカーボネート: 1.59
ポリメチルメタクリレート:1.49
ポリスチレン: 1.59
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA・21ADHは、nx、ny、nzを算出できる。nx、ny、nzより、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)を算出できる。
本発明の光学異方性膜は、液晶表示装置、特にIPSモードの液晶表示装置の表示特性の改善に寄与する。例えば、第1偏光膜、第1の位相差板、第2の位相差板、液晶材料からなる液晶層を一対の基板で挟んだ液晶セルを含み、黒表示時にネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して実質的に平行に配向する液晶表示装置であって、第1の位相差板のレターデーションReが20nm〜150nmであり、第1の位相差板の値Nzが1.5〜7であり、第2の位相差板のレターデーションReが実質的に0nmであり、第2の位相差板のレターデーションRthが−80nm〜−400nmであり、且つ第1偏光膜の透過軸が黒表示時の液晶分子の遅相軸方向に平行に構成された液晶表示装置の前記第2の位相差板(その一部であってもよい)に用いることによって、正面方向の特性を何ら変更させることなく、斜めの方位角方向から見た場合に2枚の偏光板の吸収軸が90度からずれることから生ずるコントラストの低下、特に45度の斜め方向からのコントラストの低下を改善することができる。さらに、偏光膜の保護膜のRthを40nm以下とすることによって更なるコントラスト向上を実現することができる。
本発明は、下記式(I)で表される棒状化合物を用いる。
ラジカル開環重合は、ラジカル重合と開環重合との双方の定義を有する重合反応である。すなわち、環状構造が開環し、それらが互いに、ラジカル連鎖的な付加を繰り返して、重合する反応である。ラジカル開環重合性基は、そのようなラジカル開環重合反応を生じる機能を有する官能基である。以上の定義の通り、ラジカル開環重合性基は、非開環性のラジカル重合性基(例、エチレン性不飽和基)やイオン開環重合性基(例、エポキシ基)とは区別される。
アルキレン基および置換アルキレン基は、分岐を有していてもよい。
アルキレン基および置換アルキレン基の炭素原子数は、1乃至30が好ましく、1乃至20がさらに好ましく、1乃至11が最も好ましい。
置換アルキレン基の置換基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノおよびアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ)からなる群より選ばれる一価の基である。アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至12が好ましく、1乃至8がさらに好ましく、1乃至6が最も好ましい。
X1およびX2は、(無置換の)アルキレン基であることが好ましい。
Rは、水素原子またはアルキル基である。アルキル基の炭素原子数は、1乃至6が好ましく、1乃至3がさらに好ましい。
置換アルキレン基の置換基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノおよびアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ)からなる群より選ばれる一価の基である。
L1およびL4は、それぞれ独立に、単結合または−O−、−CO−、−NR−、アルキレン基、置換アルキレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。
L1は、−O−、アルキレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。
Rは水素原子またはアルキル基である。アルキル基の炭素原子数は、1乃至6が好ましく、1乃至3がさらに好ましい。
L2およびL3は、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−NR−CO−、−CO−NR−または−O−CO−O−であることが好ましい。L2およびL3は、−CO−O−であることが特に好ましい。
式(I)において、n1、n2およびn3は、それぞれ独立に、0乃至4の整数である。n1、n2およびn3は、0、1または2であることが好ましく、0または1であることがさらに好ましく、0であることが最も好ましい。
式(I)において、mは0乃至4の整数である。mは、0、1、2または3であることが好ましく、1、2または3であることがさらに好ましく、1または2であることが最も好ましい。
mが2、3または4である場合、複数存在するY2、n2およびL3は、互いに異なっていてもよい。
本明細書において、スメクチック相とは、一方向に揃った分子が層構造を有している状態をいう。また、各層が同一方向を向いているという観点から、上記の通りスメクチックA相を有する液晶性化合物が好ましい。
ここで、棒状スメクチックA液晶性化合物とは、スメクチックA液晶相を示す温度範囲を有する棒状液晶性化合物であり、スメクチックを構成する各層の方向性が所望の範囲であれば、スメクチックA液晶相以外の液晶相(例えば、スメクチックB相、スメクチックC相)も併せて示す化合物であってもよい。
式(I)で表される棒状化合物を他の液晶性化合物と混合して用いる場合、液晶性分子全体に対する式(I)で表される棒状化合物の割合は、1〜99質量%が好ましく、10〜98質量%がさらに好ましく、30〜95質量%が最も好ましい。
図2および図3は、液晶表示装置の模式図である。
図2に示す液晶表示装置は、偏光膜8および20と、第1の位相差板10と、第2の位相差板12と、基板13および17と、該基板に挟持される液晶層15とを有する。偏光膜8及び20は、それぞれ保護膜7aと7bおよび19aと19bによって挟持されている。
図1に、液晶層15の1画素領域中の液晶分子の配向を模式的に示す。図1は、液晶層15の1画素に相当する程度の極めて小さい面積の領域中の液晶分子の配向を、基板13および17の内面に形成された配向膜のラビング方向4、および基板13および17の内面に形成された液晶分子に電圧印加可能な電極2および3とともに示した模式図である。電界効果型液晶として正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてアクティブ駆動を行った場合の、電圧無印加状態若しくは低印加状態での液晶分子配向方向は5aおよび5bであり、この時に黒表示が得られる。電極2および3間に印加されると、電圧に応じて液晶分子は6aおよび6b方向へとその配向方向を変える。通常、この状態で明表示を行なう。
図2に示す液晶表示装置では、偏光膜8が二枚の保護膜7aおよび7bに挟持された構成を示しているが、保護膜7bはなくてもよい。また、偏光膜20も二枚の保護膜19a及び19bに挟持されているが、液晶層15に近い側の保護膜19aはなくてもよい。なお、図2の態様では、第1の位相差板および第2の位相差板は、液晶セルの位置を基準にして、液晶セルと視認側の偏光膜との間に配置されていてもよいし、液晶セルと背面側の偏光膜との間に配置されていてもよい。いずれの構成においても、第2の位相差板が液晶セルにより近くなるように配置する。
液晶表示装置に含まれる第1の位相差板は、レターデーションReが20nm〜150nmである。斜め方向の光漏れをより効果的に低減するためには、第1の位相差板のReは、40nm〜115nmであるのがより好ましく、60nm〜95nmであるのがさらに好ましい。また、Nzは1.5〜7である。斜め方向の光漏れをより効果的に低減するためには、第1の位相差板のNzは、2.0〜5.5であるのがより好ましく、2.5〜4.5であるのがさらに好ましい。
また、配向ムラや位相差ムラの少ないものが好ましい。その厚さは、位相差等により適宜に決定しうるが、一般には薄型化の点より1〜300μmであるのが好ましく、10〜200μmであるのがより好ましく、20〜150μmであるのがさらに好ましい。
総炭素原子数が22以下のアシル基には、アルキルカルボニル基(例、アセチル、プロピオニル、ブチロイル、ペンタノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル)、アルケニルカルボニル基(例、アクリロイル、メタクリロイル)、アリールカルボニル基(例、ベンゾイル、ナフタロイル)、アリールアルケニルカルボニル基(例、シンナモイル)が含まれる。
セルロースアシレートは、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエートが好ましい。セルロースの混合エステルの場合、全アシル基の30モル%以上がアセチルであることが好ましい。
写真用グレードのセルローストリアセテートのメーカーには、ダイセル化学工業(株)(市販品の例は、LT−20、30、40、50、70、35、55、105)、イーストマンコダック社(市販品の例は、CAB−551−0.01、CAB−551−0.02、CAB−500−5、CAB−381−0.5、CAB−381−02、CAB−381−20、CAB−321−0.2、CAP−504−0.2、CAP−482−20、CA−398−3)、コートルズ社、ヘキスト社がある。
フイルムの機械的特性や光学的な特性を制御する目的で、可塑剤、界面活性剤、レターデーション調節剤、UV吸収剤を添加することができる。添加剤については、特開2002−277632号、特開2002−182215号の各公報に記載がある。
加熱溶融成形法は、さらに詳細に、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法に分類できる。機械的強度と表面精度に優れたフイルムを得るためには、押出成形法、インフレーション成形法、およびプレス成形法が好ましく、押出成形法が最も好ましい。
加熱溶融成形法による成形では、シリンダー温度が、100〜400℃が好ましく、150〜350℃がより好ましい。シートまたはフイルムの厚みは、10〜300μmが好ましく、30〜200μmがさらに好ましい。
液晶表示装置が有する第2の位相差板は、面内のレターデーション(Re)が実質的に0nmである。第2の位相差板の厚み方向のレターデーション(Rth)は、−80nm〜−400nmである。第2の位相差板のRthのより好ましい範囲は、他の光学部材の光学特性に応じて変動する。例えば、より近くに位置する偏光膜の保護膜(例えば、トリアセチルセルロースフイルム)のRthに応じて、大きく変動する。斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第2の位相差板のRthは、−100nm〜−340nmであるのがより好ましく、−120nm〜−270nmであるのがさらに好ましい。一方、第2の位相差板のReは0近傍の値になる。具体的には、面内のレターデーション(Re)は、0〜50nmであるのが好ましく、0〜20nmであるのがより好ましい。
上記組成物には2種類の棒状化合物を含めることもできる。さらに、上記組成物には、棒状化合物以外の非重合性(非架橋性)の液晶性化合物を併用することもできる。単独または併用で用いる個々の液晶性化合物についてはネマチック液晶相、スメクチック液晶相、またはコレステリック液晶相を形成してもよい。後述するように塗布する場合には溶媒や重合開始剤等の添加剤を入れた組成物を塗布するが、加熱乾燥の過程で溶媒が揮散した状態の液晶組成物として、配向固定させる温度範囲でスメクチック液晶相をとるものが好適に用いられる。
光学異方性膜を構成する位相差層を形成するために用いられる組成物は、配向膜界面側の垂直配向促進剤を含有していても良い。配向膜界面側の垂直配向促進剤としてはオニウム塩を好適に用いることができる。本発明においてオニウム塩は配向膜界面側において棒状液晶性化合物を垂直配向させるのに寄与する。前記オニウム塩の例には、アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が含まれる。好ましくは、4級オニウム塩であり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩である。
通常、液晶性化合物は、空気界面側では傾斜して配向する性質を有するので、均一に垂直配向した状態を得るために、空気界面側において液晶性化合物を垂直に配向制御することが必要である。この目的のために、前記式(I)で表される化合物の空気界面での垂直配向を促進する剤を、前記光学異方性膜の形成に用いる組成物中に含有させるのが好ましい。前記剤は、空気界面側に偏在して、その排除体積効果や静電気的な効果によって液晶性化合物を垂直に配向させる作用を及ぼす化合物である。下記化合物が特に好ましい。
配向膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。しかし、本発明はホメオトロピック配向した液晶性組成物に関するものであり、面内の配向方向はないため、配向膜は本発明において必須ではない。配向膜は本発明の光学異方性膜の形成には用いられるが、光学異方性膜に配向膜が含まれる必要はない。但し、含まれていてもよい。配向膜は液晶性組成物の配向の均一性を向上させたり、ポリマー基材と光学異方性層との間の密着性を向上させることができるために、必要に応じて、用いることができる。また、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、除去することも可能である。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して光学異方性層を有する偏光板を作製することも可能である。
本発明では、液晶性分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。
例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例は、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)を含む。変性ポリビニルアルコールは、特開2000−155216号公報の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報の段落番号[0018]〜[0022]に記載がある。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。架橋性官能基は、特開2000−155216号公報の段落番号[0080]〜[0100]に記載がある。
架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。2種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
塗布液の調製に使用する溶媒は、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
上記の液晶性化合物と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶性化合物の配向性等を向上させることができる。これらの素材は液晶性化合物と相溶性を有し、配向を阻害しないことが好ましい。
液晶性化合物から形成された位相差層を、支持体上に形成してもよい。支持体は透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上であるのが好ましい。支持体は、波長分散が小さいのが好ましく、具体的には、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。中でも、ポリマーフイルムが好ましい。透明支持体は第1の位相差板、第2の位相差板または偏光板保護膜を兼ねることもできる。また、透明支持体と位相差層全体で、第1の位相差板または第2の位相差板を構成していてもよい。支持体の光学異方性は小さいのが好ましく、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましく、5nm以下であることが最も好ましい。また、第1の位相差板を兼ねる場合は、レターデーションReが20nm〜150nmであって、40nm〜115nmであるのがより好ましく、60nm〜95nmであるのがさらに好ましい。また、Nzが1.5〜7であって、2.0〜5.5であるのがより好ましく、2.5〜4.5であるのがさらに好ましい。
第1および第2偏光膜用保護膜としては、可視光領域に吸収が無く、光透過率が80%以上であり、複屈折性に基づくレターデーションが小さいものが好ましい。具体的には、面内のReが0〜30nmが好ましく、0〜15nmがより好ましく、0〜5nmが最も好ましい。さらに、厚み方向のレターデーションRthは0〜40nmであることが好ましく、0〜20nmがより好ましく、0〜10nmであることが最も好ましい。この特性を有するフイルムであれば好適に用いることができるが、偏光膜の耐久性の観点からはセルロースアシレートやノルボルネン系のフイルムがより好ましい。セルロースアシレートフイルムのRthを小さくする方法として、例えば、以下に示した化合物を用いる方法を挙げることができる。
一枚のガラス基板上に、図1に示す様に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極(図1中2および3)を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。図1中に示す方向4に、ラビング処理を行なった。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769および誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。該溶液を保留粒子サイズ4μm、濾水時間35秒の濾紙(No.63、アドバンテック製)を5kg/cm2以下で用いてろ過した。
セルロースアセテート溶液組成
────────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート(重合度300、Mn/Mw=1.5)
100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
────────────────────────────────────────
製作した第1の位相差板1に表面のケン化処理を行い、このフイルム上に下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に、形成した膜にフイルムの遅相軸方向と平行の方向にラビング処理を施して、配向膜を得た。
配向膜塗布液の組成
────────────────────────────────────────
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
────────────────────────────────────────
前記配向膜を形成したフイルムの配向膜側に、調製した溶液を下記第2表に示す番手のワイヤーバーでそれぞれ塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、棒状液晶化合物を配向させた。次に、105℃で120W/cm2高圧水銀灯により、30秒間UV照射し棒状液晶化合物を架橋して、その後、室温まで放冷して位相差層を作製した。
────────────────────────────────────────
第2の位相差板番号 液晶組成物番号 液晶性化合物 空気界面配向剤
────────────────────────────────────────
第2の位相差板1 2−1 例示化合物1 α
第2の位相差板2 2−2 例示化合物1 β
第2の位相差板3 2−3 例示化合物1 β(*)
第2の位相差板4 2―4 例示化合物1 なし
第2の位相差板5 2―5 例示化合物6 α
第2の位相差板6 2―6 例示化合物42 α
────────────────────────────────────────
β(*):オニウム塩を添加しない
────────────────────────────────────────
フイルム番号 棒状液晶からなる位相差層 支持体 ワイヤーバー
(第2の位相差板名称) (第1の位相差板) 番手
────────────────────────────────────────
位相差1 第2の位相差板1 第1の位相差板1 #4.5
位相差2 第2の位相差板2 第1の位相差板1 #4.5
位相差3 第2の位相差板3 第1の位相差板1 #4.5
位相差4 第2の位相差板4 第1の位相差板1 #4.5
位相差5 第2の位相差板5 第1の位相差板1 #4.5
位相差6 第2の位相差板6 第1の位相差板1 #4.5
────────────────────────────────────────
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
セルロースアセテート溶液A組成
────────────────────────────────────────
置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール 11質量部
────────────────────────────────────────
添加剤溶液B−1組成
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メチレンクロライド 80質量部
メタノール 20質量部
光学的異方性低下剤 40質量部
────────────────────────────────────────
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定し、光学特性を算出したところ、Reが1nm、Rthが6nmであることが確認できた。
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=3nm、Rth=45nm)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付け偏光板Aを形成した。
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の両面に貼り付け偏光板Bを形成した。
偏光板Aと同様にして偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして前記製作の偏光板保護膜1を偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板Cを形成した。
偏光板Aと同様にして偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして市販のセルロースアセテートフイルム(フジタックT40UZ、富士写真フイルム(株)製、Re=1nm、Rth=35nm)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板Dを形成した。
偏光板Aにポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製したフイルム位相差1を、第1の位相差板1側が偏光膜側となるように、且つ偏光膜の透過軸と第1の位相差板1の遅相軸が平行になるように偏光膜のセルロースアセテートフイルムを貼合していない側に貼り付け偏光板1を形成した。
続いて、このIPSモード液晶セル1のもう一方の側に偏光板Cを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板1とはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.030%であった。
偏光板Aにポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製したフイルム位相差2を、第1の位相差板1側が偏光膜側となるように、且つ偏光膜の透過軸と第1の位相差板1の遅相軸が平行になるように偏光膜のセルロースアセテートフイルムを貼合していない側に貼り付け偏光板2を形成した。
続いて、このIPSモード液晶セル1のもう一方の側に偏光板DをT40UZ側が液晶セル側になるように、且つ偏光板2とはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.030%であった。
偏光板Bにフイルム位相差3を、第2の位相差板3側が偏光膜側となるように、且つ偏光膜の透過軸と第1の位相差板2の遅相軸が直交になるようにアクリル樹脂系接着剤を用いて、貼り付け偏光板3を形成した。
続いて、このIPSモード液晶セル1のもう一方の側に偏光板Cを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板3とはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.030%であった。
前記作製したIPSモード液晶セル1の両側に市販の偏光板(HLC2−5618、(株)サンリッツ製)を、クロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置を作製した。光学補償フイルムは用いなかった。上記液晶表示装置では、実施例1と同様に、上側の偏光板の透過軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように偏光板を貼り付けた。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.55%であった。
第2の位相差板1作製で用いた例示化合物2の替わりに以下に示す液晶化合物(X)を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。その結果、左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.070%であった。
2 画素電極
3 表示電極
4 ラビング方向
5a、5b 黒表示時の液晶化合物のダイレクター
6a、6b 白表示時の液晶化合物のダイレクター
7a,7b、19a,19b 偏光膜用保護膜
8、20 偏光膜
9、21 偏光膜の偏光透過軸
10 第1の位相差板
11 第1の位相差板の遅相軸
12 第2の位相差板
13、17 セル基板
14、18 セル基板ラビング方向
15 液晶層
16 液晶分子の遅相軸方向
Claims (13)
- 下記式(I)で表される棒状分子が配向している状態で下記Q1およびQ2が重合しており、重合により配向状態が固定されている光学異方性膜:
- 棒状分子がスメクチック配向している状態で上記Q1およびQ2がラジカル開環重合しており、ラジカル開環重合によりスメクチック配向状態が固定されている請求項1に記載の光学異方性膜。
- 上記Q1およびQ2が、それぞれ独立に、ジスルフィド環、環を構成する炭素原子の数が4乃至6のビシクロ脂肪族環、1−アルケニル基で置換された脂肪族環または複素環、あるいはアルキリデン基で置換された脂肪族環または複素環を有するラジカル開環重合性基である請求項1に記載の光学異方性膜。
- 上記L1が−O−、アルキレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である請求項1に記載の光学異方性膜。
- 上記L2およびL3が−CO−O−である請求項1に記載の光学異方性膜。
- 面内のレターデーション値が実質的に0nmである請求項1に記載の光学異方性膜。
- 厚み方向のレターデーション値が−80nm乃至−400nmである請求項1に記載の光学異方性膜。
- 一対の基板の間に液晶分子を含む液晶層を有する液晶セル、一枚の偏光板、液晶セルと偏光板との間に配置された少なくとも二枚の位相差板からなり、黒表示時に液晶層の液晶分子が一対の基板の表面に対して実質的に平行となるように液晶分子が配向されており、偏光板の透過軸が黒表示時における液晶分子の光学軸の平均方向に実質的に平行となるように液晶セルと偏光板とが配置されており、第1の位相差板が20乃至150nmの面内レターデーション値と1.5乃至7のNz値とを有し、第2の位相差板が請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学異方性膜からなることを特徴とする液晶表示装置。
- 一対の偏光板、一対の偏光板の間に配置された一対の基板の間に液晶分子を含む液晶層を有する液晶セルおよび一対の偏光板の間に配置された少なくとも二枚の位相差板からなり、黒表示時に液晶層の液晶分子が一対の基板の表面に対して実質的に平行となるように液晶分子が配向されており、一方の偏光板の透過軸が黒表示時における液晶分子の光学軸の平均方向に実質的に平行となり、かつ他方の偏光板の透過軸が黒表示時における液晶分子の光学軸の平均方向と実質的に垂直になるように、一対の偏光板と液晶セルとが配置されており、第1の位相差板が20乃至150nmの面内レターデーション値と1.5乃至7のNz値とを有し、第2の位相差板が請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学異方性膜からなることを特徴とする液晶表示装置。
- 液晶セル、第2の位相差板、第1の位相差板および透過軸が黒表示時における液晶分子の光学軸の平均方向と実質的に平行になっている偏光板が、この順序で配置され、第1の位相差板の遅相軸と偏光板の透過軸とが実質的に平行になるように、第1の位相差板と偏光板とが配置されている請求項8または9に記載の液晶表示装置。
- 液晶セル、第2の位相差板、第1の位相差板および透過軸が黒表示時における液晶分子の光学軸の平均方向と実質的に平行になっている偏光膜が、この順序で配置され、第1の位相差板の遅相軸と偏光膜の透過軸とが実質的に直交するように、第1の位相差板と偏光板とが配置されている請求項8または9に記載の液晶表示装置。
- 偏光板が、一対の保護膜およびその間に配置された偏光膜からなり、液晶セルに近い側の保護膜の厚み方向のレターデーション値が40nm以下である請求項8または9に記載の液晶表示装置。
- 偏光板が、一対の保護膜およびその間に配置された偏光膜からなり、液晶セルに近い側の保護膜が、セルロースアシレートフイルムまたはノルボルネン樹脂フイルムからなる請求項8または9に記載の液晶表示装置。
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