JP2006259319A - 感光性組成物、感光性平版印刷版材料、画像形成方法及び感光性平版印刷版の製版方法 - Google Patents

感光性組成物、感光性平版印刷版材料、画像形成方法及び感光性平版印刷版の製版方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高感度な光重合性の感光性組成物および長期保存性において感度低下せず、耐刷力に優れた感光性平版印刷版材料を提供し、高感度で耐刷力に優れ、非画像部のインキ汚れが発生しない感光性平版印刷版の製版方法を提供する。
【解決手段】 付加重合可能なエチレン性二重結合単量体、高分子結合材、光重合開始剤、増感色素及び一般式(1)〜(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする感光性組成物、感光性平版印刷版材料、画像形成方法及び感光性平版印刷版の製版方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、感光性組成物、感光性平版印刷版材料、画像形成方法及び感光性平版印刷版の製版方法に関する。
従来より、親水化表面処理を行った支持体上に、光重合性感光層及び保護層を積層した感光性平版印刷版材料が知られている。また、特に近年は、迅速に高解像度の平版印刷版材料を得る為、又、フィルムレス化を目的として、レーザーを使用する画像情報に基づくデジタル露光を行い、これを現像して平版印刷版を製造する方法が汎用化されている。
光重合性感光層は、一般的にアクリル系単量体、アルカリ可溶性樹脂及び光重合性開始剤、更に必要に応じて(特にレーザー書き込みを行う際)波長に適合させるために増感色素を含有することが知られている。
また、酸素による重合阻害を防止する目的で、保護層を設けることも知られている。
光重合型の感光性平版印刷版材料を露光・製版する光源としては、Arレーザー(488nm)やFD−YAGレーザー(532nm)の様な長波長の可視光源が用いられている。さらに近年では、例えば、InGaN系やZnSe系の材料を用い、350nmから450nm域で連続発振可能な半導体レーザーが実用段階となっている。これらの短波光源を用いた走査露光システムは、半導体レーザーが構造上、安価に製造出来るため、十分な出力を有しながら、経済的なシステムを構築できるといった長所を有する。さらに、従来のFD−YAGやArレーザーを使用するシステムに比較して、より明るいセーフライト下での作業が可能な感光域が短波な感光性平版印刷版材料に使用できる可能性がある。
光重合型の感光性平版印刷版材料では通常、画像露光、必要に応じ加熱処理を行った後、保護層除去のための水洗、未露光部分を溶解除去するための現像処理、水洗処理、非画像部の親水化のためのフィニッシャーガム処理を行い、平版印刷版を得ている。このとき画像露光後、加熱処理を行うことで重合反応を促進させて高感度化、高耐刷化が得られることが知られている。
耐刷力の有る版材として光ラジカル重合を利用する手段が古くから検討されており、多くの光重合開始剤が検討されているが、感度、耐刷力は不十分であった。トリクロロメチル基を有する、s−トリアジン化合物(例えば、特許文献1〜3参照。)、鉄アレーン錯体化合物と過酸化物を使用する(例えば、特許文献4参照。)、モノアルキルトリアリールボレート化合物(例えば、特許文献5〜7参照。)、光重合開始剤としてチタノセン化合物を使用(例えば、特許文献8、9参照。)する等を挙げることができる。
また、高感度化の検討としてヘキサアリールビスイミダゾールとN−フェニルグリシンおよびメルカプトベンゾチアゾールの組み合わせが検討されている(例えば、特許文献10参照。)が、耐刷力が不十分でさらに長期保存で感度が低下する点が不十分であった。
一方、感光性平版印刷版材料の現像液としては、非画像部の感光層を完全に除去する為に、即ち現像を行う為に、通常、水系アルカリ現像液として、pH12.5以上で用いられることが一般的であった。しかしながら、近年に至り、作業性、安全性、環境適性等の観点から、より低いpHのアルカリ現像液での処理が望まれる様になっている。
比較的pHが低く(pH12以下)、珪酸アルカリを含まない現像液としては、アニオン界面活性剤を含む水酸化カリウム水溶液からなる現像液(例えば、特許文献11参照。)が、またpH8.5〜11.5のアルカリ金属の炭酸塩水溶液からなる現像液が開示されて(例えば、特許文献12参照。)いる。しかしながら、このような比較的低pHの現像液は、基本的に光重合型感光層の溶解力が乏しいため、十分に現像が進まず残膜が生じたり、現像カス等の問題があった。
特開昭48−36281号公報 特開昭54−74887号公報 特開昭64−35548号公報 特開昭59−219307号公報 特開昭62−150242号公報 特開昭62−143044号公報 特開昭64−35548号公報 特開昭63−41483号公報 特開平2−291号公報 特開2002−296764号公報 特開2000−81711号公報 特開平11−65126号公報
本発明の目的は、高感度な光重合性の感光性組成物および長期保存において感度低下の少ない感光性平版印刷版材料を提供し、高感度な感光性平版印刷版の製版方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
(請求項1)
付加重合可能なエチレン性二重結合単量体、高分子結合材、光重合開始剤、増感色素及び下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
Figure 2006259319
(式中、R9は水素、置換基を有するアルキル基、カルボニル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、Xは硫黄、窒素、酸素原子のいずれかを表す。)
(請求項2)
付加重合可能なエチレン性二重結合単量体、高分子結合材、光重合開始剤、増感色素及び下記一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
Figure 2006259319
(式中、R10は水素、置換基を有するアルキル基、カルボニル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、Yは窒素原子または、炭素原子のいずれかを表す。)
(請求項3)
付加重合可能なエチレン性二重結合単量体、高分子結合材、光重合開始剤、増感色素及び下記一般式(3)で表される化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
Figure 2006259319
(式中、R1およびR2は置換基を有するアルキル基、アミノ基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。nは1〜20を表す。)
(請求項4)
付加重合可能なエチレン性二重結合単量体、高分子結合材、光重合開始剤、増感色素及び下記一般式(4)で表される化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
Figure 2006259319
(式中、R3は水素、置換基を有するアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、R4は置換基を有するアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。R4とR5が環状になってもよい。X2は硫黄、窒素、酸素原子のいずれかを表す。)
(請求項5)
付加重合可能なエチレン性二重結合単量体、高分子結合材、光重合開始剤、増感色素及び下記一般式(5)で表される化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
Figure 2006259319
(式中、R6は水素、置換基を有するアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、R7、R8は置換基を有するアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R7とR8が環状になっていても良い。)
(請求項6)
前記光重合開始剤が、ヘキサアリールイミダゾールの二量体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性組成物。
(請求項7)
アルミニウム支持体上に請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性組成物を塗設した感光性層を有し、更に、その上にポリビニルアルコールを主成分とする酸素遮断層を有することを特徴とする感光性平版印刷版材料。
(請求項8)
請求項7に記載の感光性平版印刷版材料を、405±10nmのレーザー光で露光したのちに、該感光性平版印刷版材料を90〜130℃に加熱し、15〜60秒間該温度を維持することを特徴とする画像形成方法。
(請求項9)
請求項8に記載の画像形成方法により画像を形成した感光性平版印刷版材料から、下記一般式Pで表される化合物を含有するpH11〜12.5のアルカリ性水溶液で非画像部を除去することを特徴とする感光性平版印刷版の製版方法。
Figure 2006259319
(式中、Rp1は置換基を有してもよいアリール基を表す。Rp2は置換基を有しても良い炭素数1〜10のアルキレン基を表す。(該置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、Br、Cl、I等のハロゲン原子、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシ−カルボニル基、炭素数2〜15のアシル基を表す)。pnは3〜100の整数を表す。(Rp2−O)の部分は、上記範囲内であれば2種または3種の基であってもよい。Xp +はカリウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオンを表す。)
本発明により、高感度な光重合性の感光性組成物および長期保存において感度低下の少ない感光性平版印刷版材料を提供し、高感度な感光性平版印刷版の製版方法を提供することができた。
本発明を更に詳しく説明する。まず、本発明の一般式(1)〜(5)で表される化合物について説明する。
一般式(1)および(2)で表される化合物は、水素供与性化合物として機能し光重合開始剤で発生したラジカル化合物に水素を供与し、自身が重合活性なラジカル種となることで連鎖重合反応を加速させ高感度化する。
一般式(1)および(2)で表される化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2006259319
Figure 2006259319
一般式(3)および(4)で表される化合物は、高感度化の機構は明確ではないが、硫黄−硫黄間の結合が切断すること、あるいは、硫黄−硫黄結合の無い化合物では、炭素−硫黄間の結合が切断し、硫黄原子上に重合活性なラジカル種を生じ、連鎖重合反応を加速させ高感度化すると考えられる。これら硫黄−硫黄結合、あるいは硫黄−炭素結合は熱的に安定で、100℃以上の熱を加えた場合にラジカル種を生じやすいため、長期保存性に優れている。
一般式(3)および(4)で表される化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2006259319
Figure 2006259319
一般式(5)で表される化合物は、高感度化の機構は明確ではないが、硫黄−窒素間の結合が切断することで硫黄原子上に重合活性なラジカル種を生じ、連鎖重合反応を加速させ高感度化すると考えられる。これら硫黄−窒素結合は熱的に安定で、100℃以上の熱を加えた場合にラジカル種を生じやすいため、長期保存性に優れている。
一般式(5)で表される化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2006259319
本発明に係る付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体(以下、単量体と称する場合あり)にはラジカル重合可能なエチレン性二重結合を有する公知の単量体が包含される。
具体的な化合物としては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル酸、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
また、プレポリマーも上記同様に使用することができる。プレポリマーとしては、後述する様な化合物等が挙げることができ、また、適当な分子量のオリゴマーにアクリル酸、又はメタクリル酸を導入し、光重合性を付与したプレポリマーも好適に使用できる。これらプレポリマーは、1種又は2種以上を併用してもよいし、上述の単量体及び/又はオリゴマーと混合して用いてもよい。
プレポリマーとしては、例えばアジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、こはく酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステルアクリレート類、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類、例えば、エチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレート、例えば、ポリシロキサンアクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類、その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類等のプレポリマーが挙げられる。
本発明の感光性組成物には、ホスファゼンモノマー、トリエチレングリコール、イソシアヌール酸EO(エチレンオキシド)変性ジアクリレート、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、アルキレングリコールタイプアクリル酸変性、ウレタン変性アクリレート等の単量体及び該単量体から形成される構成単位を有する付加重合性のオリゴマー及びプレポリマーを含有することができる。
更に、本発明に用いられるエチレン性単量体として、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有するリン酸エステル化合物が挙げられる。該化合物は、リン酸の水酸基の少なくとも一部がエステル化された化合物であり、しかも、(メタ)アクリロイル基を有する限り特に限定はされない。
その他に、特開昭58−212994号公報、同61−6649号公報、同62−46688号公報、同62−48589号公報、同62−173295号公報、同62−187092号公報、同63−67189号公報、特開平1−244891号公報等に記載の化合物などを挙げることができ、更に「11290の化学商品」化学工業日報社、p.286〜p.294に記載の化合物、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子刊行会、p.11〜65に記載の化合物なども本発明においては好適に用いることができる。これらの中で、分子内に2以上のアクリル基又はメタクリル基を有する化合物が本発明においては好ましく、更に分子量が10,000以下、より好ましくは5,000以下のものが好ましい。
本発明の感光性平版印刷版においては、上記した単量体を感光層の感光性組成物において、1.0〜80.0質量%の範囲で含有するのが好ましく、より好ましくは3.0〜70.0質量%の範囲である。
本発明に用いる感光性平版印刷版は、光重合性感光層に高分子結合材を含有する。
本発明の高分子結合材としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、その他の天然樹脂等が使用出来る。また、これらを2種以上併用してもかまわない。
好ましくはアクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。さらに、高分子結合材の共重合組成として、(a)カルボキシル基含有モノマー、(b)メタクリル酸アルキルエステル、またはアクリル酸アルキルエステルの共重合体であることが好ましい。
カルボキシル基含有モノマーの具体例としては、α,β−不飽和カルボン酸類、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。その他、フタル酸と2−ヒドロキシメタクリレートのハーフエステル等のカルボン酸も好ましい。
メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等の無置換アルキルエステルの他、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等の環状アルキルエステルや、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等の置換アルキルエステルも挙げられる。
さらに、本発明の高分子結合材は、他の共重合モノマーとして、下記(1)〜(14)に記載のモノマー等を用いる事が出来る。
1)芳香族水酸基を有するモノマー、例えばo−(又はp−,m−)ヒドロキシスチレン、o−(又はp−,m−)ヒドロキシフェニルアクリレート等。
2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル等。
3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えばm−(又はp−)アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−(又はp−)アミノスルホニルフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えばN−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
5)アクリルアミド又はメタクリルアミド類、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ニトロフェニル)アクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
6)弗化アルキル基を含有するモノマー、例えばトリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブチル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフルオロオクチルスルホンアミド等。
7)ビニルエーテル類、例えば、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等。
8)ビニルエステル類、例えばビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等。
9)スチレン類、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等。
10)ビニルケトン類、例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等。
11)オレフィン類、例えばエチレン、プロピレン、i−ブチレン、ブタジエン、イソプレン等。
12)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
13)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート、o−(又はm−,p−)シアノスチレン等。
14)アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリブタジエンウレタンアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−i−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等。
さらにこれらのモノマーと共重合し得る他のモノマーを共重合してもよい。
さらに、上記ビニル系共重合体の分子内に存在するカルボキシル基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物を付加反応させる事によって得られる、不飽和結合含有ビニル系共重合体も高分子結合材として好ましい。
分子内に不飽和結合とエポキシ基を共に含有する化合物としては、具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、特開平11−271969号に記載のあるエポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられる。
これらの共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された質量平均分子量が1〜20万であるものが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
感光層組成物中における高分子重合体の含有量は、10〜90質量%の範囲が好ましく、15〜70質量%の範囲が更に好ましく、20〜50質量%の範囲で使用することが感度の面から特に好ましい。
更に樹脂の酸価については60〜300の範囲で使用するのが好ましく、60〜180の範囲で使用することが、感光層全体の極性のバランスをとる観点から特に好ましく、これにより感光層塗布液での顔料の凝集を防ぐことができる。
本発明に用いる光重合開始剤としては、前記付加重合可能なエチレン性二重結合単量体の重合を開始させうるものは全て使用できる。活性ラジカルを生成するラジカル発生剤としては、例えば、ヘキサアリールビイミダゾール類、チタノセン類、鉄アレーン類、ハロゲン化炭化水素誘導体、ジアリールヨードニウム塩、有機過酸化物等、光照射でラジカルを発生しうる公知のラジカル発生剤を挙げることができる。この内、特にヘキサアリールビイミダゾール類、鉄アレーン類が好ましい。
ヘキサアリールビイミダゾール類としては、例えば、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−フルオロフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−ヨードフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロルナフチル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’5,5’−テトラ(p−クロルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロル−p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’5,5’−テトラ(o,p−ジブロムフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4’5,5’−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロルフェニル)−4,4’5,5’−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾール類等のベンゼン環上にハロゲン置換基を有するヘキサアリールビイミダゾール類が好ましい。
鉄アレーン類としては、特開昭59−219307に記載される化合物等挙げられるが、更に好ましい具体例としては、η−ベンゼン−(η−シクロペンタジエニル)鉄 ヘキサフルオロホスフェート、η−クメン−(η−シクロペンタジエニル)鉄 ヘキサフルオロホスフェート、η−フルオレン−(η−シクロペンタジエニル)鉄 ヘキサフルオロホスフェート、η−ナフタレン−(η−シクロペンタジエニル)鉄 ヘキサフルオロホスフェート、η−キシレン−(η−シクロペンタジエニル)鉄 ヘキサフルオロホスフェート、η−ベンゼン−(η−シクロペンタジエニル)鉄 テトラフルオロボレート等が挙げられる。
光源にレーザー光を用いる場合、好ましくは感光層に増感色素を添加する。光源の波長付近に吸収極大波長を有する色素を用いることが好ましい。
光源のレーザー光として、380nmから430nmの範囲に発光波長を有する半導体レーザー、いわゆるバイオレットレーザーを用いた記録を行う場合は、370nmから430nmの間に吸収極大有する色素を含有せしめることが望ましい。370nmから430nmの間に吸収極大有する色素としては、構造上特に制約は無いが、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、クマリン誘導体、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、スチルベン類、ジスチリルベンゼン類、ジスチリルビフェニル類、ジビニルスチルベン類、トリアジニルアミノスチルベン類、スチルベニルトリアゾール類、スチルベニルナフトトリアゾール類、ビス−トリアゾールスチルベン類、ベンゾキサゾール類、ビスフェニルベンゾキサゾール類、スチルベニルベンゾキサゾール類、ビス−ベンゾキサゾール類、フラン類、ベンゾフラン類、ビス−ベンズイミダゾール類、ジフェニルピラゾリン類、ジフェニルオキサジアゾール類、ナフタルイミド類、キサンテン類、カルボスチリル類、ピレン類および1,3,5−トリアジニル−誘導体、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等、ケトアルコールボレート錯体等の色素群は、吸収極大がその要件を充たす限り、いずれも使用可能である。具体的には、特開2002−296764号、特開2002−268239号、特開2002−268238号、特開2002−268204号、特開2002−221790号、特開2002−202598号、特開2001−042524号、特開2000−309724号、特開2000−258910号、特開2000−206690号、特開2000−147763号、特開2000−098605号、特開2003−295426号等に記載のある色素を用いることが出来るが、これに限定されない。クマリン誘導体およびスチルベン類が特に好ましい。
酸素遮断層には、酸素透過性の低い被膜を形成しうる水溶性ポリマーを使用する。具体的には、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドンを含有する。ポリビニルアルコールは酸素の透過を抑制する効果を有し、ポリビニルピロリドンは、隣接する感光層との接着性を確保する効果を有する。
上記2種のポリマーの他に、必要に応じ、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、アラビアゴム、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド等の水溶性ポリマーを併用することも出来る。
本発明の平版印刷版材料では、感光層と酸素遮断層の層間の剥離力が35g/10mm以上であることが好ましく、より好ましくは50g/10mm以上、更に好ましくは75g/10mm以上である。好ましい酸素遮断層の組成としては特開平10−10742号に記載されるものが挙げられる。
本発明における剥離力は、酸素遮断層上に十分大きい粘着力を有する所定幅の粘着テープを貼り、それを平版印刷版材料の平面に対して90度の角度で酸素遮断層と共に剥離する時の力を測定した。
酸素遮断層には、更に必要に応じて界面活性剤、マット剤等を含有することができる。上記酸素遮断層組成物を適当な溶剤に溶解し感光層上に塗布・乾燥して酸素遮断層を形成する。塗布溶剤の主成分は水、あるいはメタノール、エタノール、i−プロパノール等のアルコール類であることが特に好ましい。
酸素遮断層の厚みは0.1〜5.0μmが好ましく、特に好ましくは0.5〜3.0μmである。
本発明の感光性平版印刷版材料に用いることができる支持体は、アルミニウム板が好ましく使用され、この場合、純アルミニウム板及びアルミニウム合金板等であってもかまわない。
支持体のアルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられ、各種圧延方法により製造されたアルミニウム板が使用できる。また、近年普及しつつあるスクラップ材およびリサイクル材などの再生アルミニウム地金を圧延した再生アルミニウム板も使用できる。
本発明の感光性平版印刷版材料及び本発明の画像形成方法に用いることができる支持体は、粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。
粗面化の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。ブラシ研磨法による粗面化は、例えば、直径0.2〜0.8mmのブラシ毛を使用した回転ブラシを回転し、支持体表面に、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させたスラリーを供給しながら、ブラシを押し付けて行うことができる。ホーニング研磨による粗面化は、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させ、ノズルより圧力をかけ射出し、支持体表面に斜めから衝突させて粗面化を行うことができる。又、例えば、支持体表面に、粒径10〜100μmの研磨剤粒子を、100〜200μmの間隔で、2.5×103〜10×103個/cm2の密度で存在するように塗布したシートを張り合わせ、圧力をかけてシートの粗面パターンを転写することにより粗面化を行うこともできる。
上記の機械的粗面化法で粗面化した後、支持体の表面に食い込んだ研磨剤、形成されたアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。アルカリ水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。酸性電解液は、電気化学的粗面化法に通常用いられる酸性電解液を使用することができるが、塩酸系または硝酸系電解液を用いるのが好ましい。電気化学的粗面化方法については、例えば、特公昭48−28123号、英国特許第896,563号、特開昭53−67507号に記載されている方法を用いることができる。この粗面化法は、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000c/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000c/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。この粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。
電解液として硝酸系電解液を用いて電気化学的粗面化を行う場合、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、20〜100A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000c/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000c/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、しゅう酸等を加えることができる。
電解液として塩酸系電解液を用いる場合、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、2〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000c/dm2の範囲を用いることができるが、好ましくは100〜2000c/dm2、更には200〜1000c/dm2の範囲から選ぶのがより好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、しゅう酸等を加えることができる。
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
機械的粗面化法、電気化学的粗面化法はそれぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、又、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことができる。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。該陽極酸化処理には、硫酸及び/又は燐酸等を10〜50%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dm2で電解する方法が好ましく用いられるが、他に、米国特許第1,412,768号に記載されている硫酸中で高電流密度で電解する方法や、同3,511,661号公報に記載されている燐酸を用いて電解する方法、クロム酸、シュウ酸、マロン酸等を一種又は二種以上含む溶液を用いる方法等が挙げられる。形成された陽極酸化被覆量は、1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2である。陽極酸化被覆量は、例えばアルミニウム板を燐酸クロム酸溶液(燐酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1Lの水に溶解して作製)に浸積し、酸化被膜を溶解し、板の被覆溶解前後の質量変化測定等から求められる。
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。更に、本発明では、これらの処理を行った後に、ポリビニルホスホン酸で支持体表面を被覆する処理を行うことができる。被覆処理としては、塗布式、スプレー式、ディップ式等限定されないが、設備を安価にするにはディップ式が好適である。
ディップ式の場合には、ポリビニルホスホン酸を0.01〜35%の水溶液で処理することが好ましく、0.1〜5%水溶液が特に好ましい。処理温度は20℃以上90℃以下が好ましく、40℃以上80℃以下がより好ましい。20℃未満では印刷汚れが悪く、90℃より高いと耐刷性が悪くなる。
処理時間は10〜180秒が好ましい。処理後、過剰に積層したポリビニルホスホン酸を除去するため、スキージ処理または水洗処理を行うことが好ましい。更に乾燥処理を行うことが好ましい。乾燥温度としては、20〜95℃が好ましい。
本発明のアルミニウム支持体表面のポリビニルホスホン酸の付量は3〜20mg/m2が好ましい。特に、4〜15mg/m2が好ましい。3mg/m2未満だと非画像部の印刷汚れが発生し、20mgより多いと耐刷性が劣化する。
ポリビニルホスホン酸水溶液濃度、処理温度、処理時間を種々組み合わせ、所望の被覆量を得ることが出来る。
本発明のアルミニウム支持体表面にポリビニルスルホン酸が被覆した状態における、表面のリン原子濃度(atm%)は、3〜15atm%が好ましい。特に好ましくは、5〜9atm%である。
《現像液》
本発明の現像液は、無機のアルカリ剤、前記一般式Pで表される化合物を含有し、pH11〜12.5の水溶液である。
本発明の一般式Pで表される化合物の好ましい様態を説明する。一般式Pにおいて、特に好ましくは、Rp1はナフタレン、あるいは下記構造式(A)で表される化合物である。また、(Rp2−O)のRp2はエチレン基、プロピレン基が特に好ましく、エチレン基とプロピレン基がブロック型、ランダム型に共重合してもよい。
p2がエチレン基の場合の繰り返し単位pnは6〜25が特に好ましい。また、プロピレン基との共重合型の場合は、プロピレンオキシド基の付加数がエチレンオキシド基の付加数より少ないことが好ましい。
p1が下記構造式(A)、(Rp2−O)がエチレンオキシ基であり、且つ、pnが7〜50の範囲内であることが特に好ましい。
Figure 2006259319
構造式Aにおいて、Rp3は置換基を有してもよい炭素数3〜15のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、または置換基を有してもよい炭素数4〜15の複素芳香族基(該置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、Br、Cl、I等のハロゲン原子、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシ−カルボニル基、炭素数2〜15のアシル基、下記構造式(B)、スルホン酸およびその塩を表す。)pmは1〜3の整数を表す。
Figure 2006259319
具体例として、代表的化合物を挙げる。
Figure 2006259319
本発明の処理方法に用いられる現像液および補充液の主成分は、珪酸、燐酸、炭酸、硼酸、フェノール類、糖類、オキシム類およびフッ素化アルコール類から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。pHは11より高く13.0未満の範囲であるアルカリ性水溶液であることが好ましい。さらに好ましくはpH11.0〜12.5であるある。これらのうちフェノール類、糖類、オキシム類およびフッ素化アルコール類の如き弱酸性物質としては、解離指数(pKa)が10.0〜13.2のものが好ましい。このような酸としては、Pergamon Press社発行のIONISATION CONSTANTS OF ORGANIC ACIDS INAQUEOUS SOLUTIONなどに記載されているものから選ばれ、具体的には、サリチル酸(同13.0)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(同12.84)、カテコール(同12.6)、没食子酸(同12.4)、スルホサリチル酸(同11.7)、3,4−ジヒドロキシスルホン酸(同12.2)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(同11.94)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(同11.82)、ハイドロキノン(同11.56)、ピロガロール(同11.34)、o−クレゾール(同10.33)、レゾルソノール(同11.27)、p−クレゾール(同10.27)、m−クレゾール(同10.09)などのフェノール性水酸基を有するフェノール類が挙げられる。
糖類としてはアルカリ中でも安定な非還元糖が好ましく用いられる。かかる非還元糖とは、遊離のアルデヒド基やケトン基を持たず、還元性を示さない糖類であり、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体および糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類され、何れも本発明に好適に用いられる。トレハロース型少糖類には、サッカロースやトレハロースがあり、配糖体としては、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体などが挙げられる。また糖アルコールとしてはD,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシットおよびアロズルシットなどが挙げられる。更に二糖類の水素添加で得られるマルチトールおよびオリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)が好適に用いられる。更には、2−ブタノンオキシム(同12.45)、アセトキシム(同12.42)、1.2−シクロヘプタンジオンオキシム(同12.3)、2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム(同12.10)、ジメチルグリオキシム(同11.9)、エタンジアミドジオキシム(同11.37)、アセトフェノンオキシム(同11.35)などのオキシム類、例えば2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール−1(同12.74)、トリフルオロエタノール(同12.37)、トリクロロエタノール(同12.24)などのフッ素化アルコール類が挙げられる。他にも、ピリジン−2−アルデヒド(同12.68)、ピリジン−4−アルデヒド(同12.05)などのアルデヒド類、アデノシン(同12.56)、イノシン(同12.5)、グアニン(同12.3)、シトシン(同12.2)、ヒポキサンチン(同12.1)、キサンチン(同11.9)などの核酸関連物質、他に、ジエチルアミノメチルスルホン酸(同12.32)、1−アミノ−3,3,3−トリフルオロ安息香酸(同12.29)、イソプロピリデンジスルホン酸(同12.10)、1,1−エチリデンジホスホン酸(同11.54)、1,1−エチリデンジスルホン酸1−ヒドロキシ(同11.52)、ベンズイミダゾール(同12.86)、チオベンズアミド(同12.8)、ピコリンチオアミド(同12.55)、バルビツル酸(同12.5)などの弱酸が挙げられる。これらの酸性物質は単独でも、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの酸性物質の中で好ましいのは、珪酸、燐酸、炭酸、スルホサリチル酸、サリチル酸及び非還元糖の糖アルコールとサッカロースであり、特に珪酸、D−ソルビット、サッカロース、還元水あめが適度なpH領域に緩衝作用があることと、低価格であることで好ましい。
これらの酸性物質の現像液中に占める割合は0.1〜30質量%が好ましく、更に好ましくは、1〜20質量%である。この範囲以下では十分な緩衝作用が得られず、またこの範囲以上の濃度では、高濃縮化し難く、また原価アップの問題が出てくる。これらの酸に組み合わせる塩基としては、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムが好適に用いられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて用いられる。現像液のpHが8.5以下の場合、このような現像液で現像可能な感光性平版印刷版から得られる印刷版の画像部は物理的に脆弱であり、印刷中の摩耗が早く十分な耐刷力が得られない。また、その画像部は化学的にも弱く、印刷中にインキ洗浄溶剤やプレートクリーナー等で拭いた部分の画像がダメージを受け、その結果、十分な耐薬品性が得られない。pHが13.0を越える様な高pHの現像液は皮膚や粘膜へ付着した場合の刺激性が強く、取扱いには十分な注意を必要とし好ましくない。
その他として、例えば、珪酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウム、メタ珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸リチウム、メタ珪酸アンモニウム、燐酸三カリウム、燐酸三ナトリウム、燐酸三リチウム、燐酸三アンモニウム、燐酸二カリウム、燐酸二ナトリウム、燐酸二リチウム、燐酸二アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素アンモニウム、硼酸カリウム、硼酸ナトリウム、硼酸リチウム、硼酸アンモニウム等があげられ、予め形成された塩の形で加えられてもよい。この場合も、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムをpH調整に加えることができる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も組み合わせて用いられる。もっとも好ましいものとして珪酸カリウム及び珪酸ナトリウムがあげられる。珪酸塩の濃度は、SiO2濃度換算で1.0〜3.0質量%が好ましい。また、SiO2とアルカリ金属Mのmol比(SiO2/M)が、0.25〜2の範囲であればなお好ましい。
尚、本発明で言う現像液とは現像のスタート時に使用される未使用の液だけでなく、PS版の処理によって低下する液の活性度を補正するために補充液が補充され、活性度が保たれた液(いわゆるランニング液)を含む。補充液は従って、現像液より活性度(アルカリ濃度)が高い必要があるので補充液のpHは13.0を超えていてもよい。
本発明に用いられる現像液および補充液には、現像性の促進や現像カスの分散、非画像部の現像カス再付着の抑制および印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々界面活性剤や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の好ましい例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、エチレンジアミンのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体付加物、脂肪酸ジエタノールアミド類、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、ラウロイルサルコシンナトリウム塩、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム塩、N−脂肪酸アシル−L−グルタミン酸塩、N−脂肪酸アシル−DL−アラニン塩、L−アルギニンヤシ油脂肪酸、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンナフチルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などのアニオン界面活性剤、アルキルアミン塩類、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などのカチオン性界面活性剤、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類などの両性界面活性剤が挙げられる。
以上挙げた界面活性剤の中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなどのポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それらの界面活性剤もまた包含される。更に好ましい界面活性剤は分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系の界面活性剤である。かかるフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニオン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などのカチオン型およびパーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基含有ウレタンなどの非イオン型が挙げられる。
上記の界面活性剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができ、現像液中に0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%の範囲で添加される。
本発明に用いられる現像液および補充液には現像性能を高めるために前記の他に以下のような添加剤を加えることができる。例えば特開昭58−75152号公報記載のNaCl、KCl、KBr等の中性塩、特開昭59−121336号公報記載の[Co(NH3)]6Cl3等の錯体、特開昭56−142258号公報記載のビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸ナトリウムの共重合体等の両性高分子電解質、特開昭59−75255号公報記載のSi、Ti等を含む有機金属界面活性剤、特開昭59−84241号公報記載の有機硼素化合物等が挙げられる。本発明に用いられる現像液および補充液には更に必要に応じて、防腐剤、着色剤、増粘剤、消泡剤および硬水軟化剤などを含有させることもできる。消泡剤としては例えば、特開平2−244143号公報記載の鉱物油、植物油、アルコール、界面活性剤、シリコーン等が挙げられる。硬水軟化剤としては例えば、ポリ燐酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸および1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸などのアミノポリカルボン酸およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸)および1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸やそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩を挙げることができる。このような硬水軟化剤はそのキレート化力と使用される硬水の硬度および硬水の量によって最適値が変化するが、一般的な使用量を示せば、使用時の現像液に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲である。この範囲より少ない添加量では所期の目的が十分に達成されず、添加量がこの範囲より多い場合は、色抜けなど、画像部への悪影響がでてくる。現像液および補充液の残余の成分は水である。
かかる組成の現像液で現像処理された版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を主成分とするフィニッシャーや保護ガム液で後処理を施される。本発明のPS版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができ、例えば、現像後→水洗→界面活性剤を含有するリンス液処理や現像→水洗→フィニッシャー液による処理がリンス液やフィニッシャー液の疲労が少なく好ましい。更にリンス液やフィニッシャー液を用いた向流多段処理も好ましい態様である。これらの後処理は、一般に現像部と後処理部とからなる自動現像機を用いて行われる。後処理液は、スプレーノズルから吹き付ける方法、処理液が満たされた処理槽中を浸漬搬送する方法が用いられる。また、現像後一定量の少量の水洗水を版面に供給して水洗し、その廃液を現像液原液の希釈水として再利用する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じてそれぞれの補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の後処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。このような処理によって得られた平版印刷版は、オフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
以下に、合成例、支持体作製例、実施例を具体的に示すが、本発明の実施態様は、これ等に限定されるものでない。尚、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
(バインダーの合成)
(アクリル系共重合体1の合成)
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタクリル酸30部、メタクリル酸メチル50部、メタクリル酸エチル20部、イソプロピルアルコール500部及びα、α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させた。その後、イソプロピルアルコールの沸点で1時間還流を行った後、トリエチルアンモニウムクロライド3部及びグリシジルメタクリレート25部を加えて3時間反応させ、アクリル系共重合体1を得た。GPCを用いて測定した質量平均分子量は約35,000、DSC(示差熱分析法)を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は約85℃であった。(固形分20%溶液)
(支持体の作製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質1050,調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。この脱脂アルミニウム板を、25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後、水洗した。次いで、このアルミニウム板を、0.3質量%の硝酸水溶液中で、25℃、電流密度100A/dm2の条件下に交流電流により60秒間、電解粗面化を行った後、60℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間のデスマット処理を行った。デスマット処理を行った粗面化アルミニウム板を、15%硫酸溶液中で、25℃、電流密度10A/dm2、電圧15Vの条件下に1分間陽極酸化処理を行い、更に3質量%ポリビニルホスホン酸で75℃で親水化処理を行って支持体を作製した。
この時、表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.65μmであった。
(感光性平版印刷版材料1の作製)
上記支持体上に、下記表1に示した光重合感光層塗工液を乾燥時1.6g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、90℃で2分間乾燥し、次いで、感光層上に下記組成の酸素遮断層塗工液を乾燥時1.8g/m2になるようになるようアプリケーターで塗布し、75℃で1.5分間乾燥して、感光層上に酸素遮断層を有する感光性平版印刷版試料1を作製した。
(光重合性感光層塗工液1)
付加重合可能なエチレン性二重結合単量体:
ウレタンアクリレート(U−4HA:新中村化学(株)社製) 29.6部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 9.5部
テトラエチレングリコールジメタクリレート 6.0部
高分子結合材:
アクリル系共重合体1(20%イソプロピルアルコール/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 165.0部
光重合開始剤:
2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビスイミダゾール 13.0部
増感色素:下記化合物 D−1 3.6部
本発明一般式(1)で表される化合物:1−a 0.3部
可視画剤:銅フタロシアニン顔料 14.0部
(MHI#454(35%)メチルエチルケトン分散液 :三国色素(株)社製)
界面活性剤:
エダプランLA411:MUNZING CHEMIE GMBH社製 0.1部
溶剤:
メチルエチルケトン 227.9部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 531.0部
(酸素遮断層塗工液1)(部は質量部である。)
ポリビニルアルコール(AL−06:日本合成化学社製) 89.5部
ポリビニルピロリドン(ルビテック K−30:BASF社製) 10.0部
界面活性剤(サーフィノール465:日信化学工業社製) 0.5部
水 900部
(感光性平版印刷版材料2〜34の作製)
光重合性感光層塗工液1の増感色素及び本発明の一般式(1)〜(5)で表される化合物を表1のように変更した光重合性感光層塗光液を使用して、感光性平版印刷版材料1と同様の方法で、感光性平版印刷版材料2〜34を作製した。
Figure 2006259319
Figure 2006259319
(画像形成)
作製した感光性平版印刷版材料は、405±5nm、60mWのレーザーを備えた光源を備えたプレートセッター(MAKO4:ECRM社製)を用いて、画像部、非画像部の面積比率が、1:9になるように露光エネルギー:70μJ/cm2、2400dpiの解像度で画像露光(露光パターンは、100%画像部と、175LPI 50%、5、4、3、2、1%のスクエアードットを使用した)(LPIとは1インチ、即ち2.54cm当たりの線数を表す)を行った。
次いで、版面温度が110℃になるように加熱するプレヒート部、現像前に酸素遮断層を除去するプレ水洗部、下記組成の現像液を充填した現像部、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のためのガム液(GW−3:三菱化学社製を2倍希釈したもの)を備えたCTP自動現像機(PHW32−V:Technigraph社製)で50ml/m2となるように補充液の補充を行い、20m2/L、および30m2/Lとなるように現像処理を行い、平版印刷版を得た。実際の製版時の版面温度は105〜120℃。加熱時間は20秒であった。感光性平版印刷版が現像液に接触している時間を現像時間とし、上記自動現像機を用いた現像時間は25秒であった。
下記組成の現像液を調製した。
現像液(1000ml 水溶液処方)
化合物P−1 3.0質量%
キレート剤(Dissolvin Na2−S アクゾノベル社製) 0.5質量%
水酸化カリウム 下記pHとなる添加量
残余の成分は水
pH 12.1
感度評価
前記プレートセッターでベタ画像を露光し、前長期保存性において感度低下せず、耐刷力に優れ記自動現像機で現像したのちの感光層を反射濃度計で、非画像部の砂目表面を基準とした反射濃度が、現像前の感光層の反射濃度に比べて95%以上の場合の露光エネルギーを画像形成感度とした。反射濃度計はグレタグマクベス社製D−196を使用した。
長期保存性評価
長期保存性の加速試験として、遮光防湿紙で包装した感光性平版印刷版材料を40℃環境下に3日、7日、14日静置保管し、前記方法で画像形成感度を評価し、保存による感度低下が少ないものが長期保存性が良好と判断した。
Figure 2006259319
表2から、本発明の感光性平版印刷版材料は、高感度で耐刷力に優れ、長期保存性において感度低下せず、耐刷力に優れていることがわかる。

Claims (9)

  1. 付加重合可能なエチレン性二重結合単量体、高分子結合材、光重合開始剤、増感色素及び下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
    Figure 2006259319
    (式中、R9は水素、置換基を有するアルキル基、カルボニル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、Xは硫黄、窒素、酸素原子のいずれかを表す。)
  2. 付加重合可能なエチレン性二重結合単量体、高分子結合材、光重合開始剤、増感色素及び下記一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
    Figure 2006259319
    (式中、R10は水素、置換基を有するアルキル基、カルボニル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、Yは窒素原子または、炭素原子のいずれかを表す。)
  3. 付加重合可能なエチレン性二重結合単量体、高分子結合材、光重合開始剤、増感色素及び下記一般式(3)で表される化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
    Figure 2006259319
    (式中、R1およびR2は置換基を有するアルキル基、アミノ基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。nは1〜20を表す。)
  4. 付加重合可能なエチレン性二重結合単量体、高分子結合材、光重合開始剤、増感色素及び下記一般式(4)で表される化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
    Figure 2006259319
    (式中、R3は水素、置換基を有するアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、R4は置換基を有するアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。R4とR5が環状になってもよい。X2は硫黄、窒素、酸素原子のいずれかを表す。)
  5. 付加重合可能なエチレン性二重結合単量体、高分子結合材、光重合開始剤、増感色素及び下記一般式(5)で表される化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
    Figure 2006259319
    (式中、R6は水素、置換基を有するアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、R7、R8は置換基を有するアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R7とR8が環状になっていても良い。)
  6. 前記光重合開始剤が、ヘキサアリールイミダゾールの二量体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  7. アルミニウム支持体上に請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性組成物を塗設した感光性層を有し、更に、その上にポリビニルアルコールを主成分とする酸素遮断層を有することを特徴とする感光性平版印刷版材料。
  8. 請求項7に記載の感光性平版印刷版材料を、405±10nmのレーザー光で露光したのちに、該感光性平版印刷版材料を90〜130℃に加熱し、15〜60秒間該温度を維持することを特徴とする画像形成方法。
  9. 請求項8に記載の画像形成方法により画像を形成した感光性平版印刷版材料から、下記一般式Pで表される化合物を含有するpH11〜12.5のアルカリ性水溶液で非画像部を除去することを特徴とする感光性平版印刷版の製版方法。
    Figure 2006259319
    (式中、Rp1は置換基を有してもよいアリール基を表す。Rp2は置換基を有しても良い炭素数1〜10のアルキレン基を表す。(該置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、Br、Cl、I等のハロゲン原子、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシ−カルボニル基、炭素数2〜15のアシル基を表す)。pnは3〜100の整数を表す。(Rp2−O)の部分は、上記範囲内であれば2種または3種の基であってもよい。Xp +はカリウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオンを表す。)
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