JP2006257494A - 成分設定方法及び成分設定装置、並びにプログラム - Google Patents

成分設定方法及び成分設定装置、並びにプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】成分値及び特性値を上下限値の範囲内に入れつつ目標値に近づけるための各成分の狙い値を設定する。
【解決手段】各成分及び各特性値の目標範囲(上限値、下限値、目標値)を読み込む(S11)。線形計画法により、各成分の特性値に関する定義及び各成分及び各特性値の目標範囲の定義である制約条件をみたしつつ、狙い値と目標値との差異を要素とするベクトルに関するノルムで表される評価関数を最小化する最適化問題を解くことにより、各成分の狙い値を決定する(S13)。
【選択図】図2

Description

本発明は、溶鋼に合金を投入して成分調整を行う際に、合金の種類及び投入量を決定するための溶鋼中の各成分の狙い値を決定するための成分設定方法及び成分設定装置、並びにプログラムに関するものである。
製鉄プロセスでは、製鋼工程において、合金を投入することにより溶鋼中の成分調整を行っている。ここで、調整する成分として、C、Si、Mn、Cr、P、V、Ni等の多くの元素を対象としている。そして、溶鋼に合金を投入することにより、溶鋼中のこれらの成分値を、チャージ毎に設定された上下限値内に入れつつ、なるべく目標値に近い値になるように調整する。
そこで、例えば、特許文献1には、溶鋼成分の目標範囲(上限値、下限値、最終目標値)、溶鋼成分の分析値、スラグ厚等から、元素の目標値(狙い値)の設定とそのための合金添加量を求める取鍋精錬炉における成分調整方法が開示されている。また、特許文献2には、合金材投入コストと、調整を行う合金元素の合金材投入後の目標含有量からのずれとのバランスを考慮して、合金材の投入量を決定する溶鋼の成分調整方法が開示されている。
特開平9−310114号公報 特開平9−316516号公報
一方、各チャージには、調整する成分である元素の成分値のみならず、複数の成分により規定される1または複数の特性値についても、上下限値及び目標値が設定される場合がある。以下に、特性値の例(式1〜3)を示す。
Figure 2006257494
Figure 2006257494
Figure 2006257494
ここで、各成分値を目標値に調整したとしても、式1〜3に示すような特性値が上下限値に入らない場合がありうる。この状況を、図9及び図10に示す具体例用いて、以下に説明する。図9及び図10は、あるチャージにおけるC−Mn平面でのC、Mn、Ceq(式2に示す特性値)の上下限値と目標値を示す図である。図9及び図10において、2本の縦の実線はCの上下限値を、縦の破線はCの目標値を表しており、2本の横の実線はMnの上下限値を、横の破線はMnの目標値を表しており、2本の斜めの破線(太線)はCeqが上下限となる直線を、斜めの破線(細線)はCeqが目標値となる直線を表している。
図9は、Si、Cr、Ni、Mo、Vの成分値が目標値となっている場合の例である。図9の場合は、Ceqが目標値となる直線は、CとMnの目標値の近くを通っているので、CとMnの目標値をそれぞれの成分の狙い値とすればCeqも目標値に近い値となることがわかる。一方、図10は、Si、Cr、Ni、Mo、Vの中のいくつかの成分値が上限値に近い値となっている場合の例である。ここで、溶鋼中に合金を投入して成分値を調整する手段では、成分値を上げることができても、成分値を下げることができない。従って、図10の場合、CとMnの双方に関して目標値をそれぞれの成分の狙い値としてしまうと、Ceqが上限値を外れてしまう。従って、図10の場合は、図中の*印をCとMnそれぞれの成分の狙い値とすると、C、Mn、Ceqの上下限値を満たすことが可能になる。尚、以上に説明した例においては、CとMnでCeqを調整する場合について説明したが、実際には、C、Mnのみならず、Si、Cr、Ni等を含めて特性値を調整する必要があり、更には、複数の特性値(例えば、式1に示す特性値及び式2に示す特性値)を同時に調整する必要がある場合もある。
しかしながら、従来技術(例えば、特許文献1または2に示す技術)によると、複数の成分により規定される1または複数の特性値を考慮して、各成分の狙い値を決定するには至らず、実際には、従来技術により計算された合金の投入量を参考にしつつ、操業者が、特性値を考慮に入れながら各成分の狙い値と合金投入量とを判断しており、高度な知識と経験が必要なために、各成分の狙い値の設定が困難であり、結果的に溶鋼の成分調整を精度良く行うことができないという問題が生じている。更に、近年は、製鋼製品の特性を厳格なものとするため、成分値と特性値の上下限値の範囲を狭める操業が指向されており、成分の狙い値の設定がより一層困難になってきている。
本発明の目的は、溶鋼に合金を投入して成分調整を行う際に、合金の種類及び投入量を決定するための溶鋼中の各成分の狙い値を決定するための、成分設定方法及び成分設定装置、並びにプログラムであって、成分値及び特性値を、上下限値の範囲内に入れつつ目標値に近づけるための、各成分の狙い値を設定することができ、その結果、溶鋼の成分調整を精度良く行うができる、成分設定方法及び成分設定装置、並びにプログラムを提供することである。
課題を解決するための手段及び効果
第一の発明に係る成分設定方法は、溶鋼に合金を投入して成分調整を行う際に、合金の種類及び投入量を決定するための溶鋼中の各成分の狙い値を決定するための成分設定方法であって、各成分値の上下限値と目標値、及び、前記成分により規定される1又は2以上の特性値の上下限値と目標値を設定する読み込みステップと、前記各成分値の目標値及び前記各特性値の目標値との差が小さく、且つ、前記各成分値の上下限値及び前記各特性値の上下限値との差が大きい値を、各成分の狙い値として決定する狙い値決定ステップと、を備えることを特徴とする。
第一の発明に係る成分設定装置は、溶鋼に合金を投入して成分調整を行う際に、合金の種類及び投入量を決定するための溶鋼中の各成分の狙い値を決定するための成分設定装置であって、各成分値の上下限値と目標値、及び、前記成分により規定される1又は2以上の特性値の上下限値と目標値を設定する読み込み手段と、前記各成分値の目標値及び前記各特性値の目標値との差が小さく、且つ、前記各成分値の上下限値及び前記各特性値の上下限値との差が大きい値を、各成分の狙い値として決定する狙い値決定手段と、を備えることを特徴とする。
これによると、各成分と各特性値に関する上下限値、目標値を用いて、各成分と各特性値に関する目標値との差が少なく、且つ、上下限値への接近を回避するような値を、各成分の狙い値として決定している。従って、成分値及び特性値が目標値に近い値でのみならず、実際の操業の結果として成分値が狙い値より多少変動したとしても、成分値及び特性値が上下限値から外れにくくなり、溶鋼の成分調整を精度良く行うことができる。
ここで、第一の発明に係る成分設定方法及び成分設定装置において、前記各成分の狙い値は、更に、前記各成分に関して測定又は推定した現状成分値を下回らない範囲で決定してよい。
これによると、各成分の現状成分値を下回らない範囲で、各成分の狙い値を決定している。従って、溶鋼中の成分の成分値を下げることができない合金投入による溶鋼の成分調整に対応することができる。
また、第二の発明に係る成分設定方法は、溶鋼に合金を投入して成分調整を行う際に、合金の種類及び投入量を決定するための溶鋼中の各成分の狙い値を決定するための成分設定方法であって、各成分値の上下限値と目標値、及び、前記成分により規定される1又は2以上の特性値の上下限値と目標値を設定する読み込みステップと、前記成分を、前記特性値を考慮した所定の条件を満たす決定成分と、当該決定成分以外の設定成分に分別する成分分別ステップと、前記各設定成分は、前記目標値、又は、手入力により入力した値を狙い値として設定し、前記各決定成分は、当該決定成分の成分値及び前記各特性値の前記目標値との差が小さく、且つ、当該決定成分の成分値及び前記各特性値の上下限値との差が大きい値を狙い値として決定する狙い値決定ステップと、を備えることを特徴とする。
第二の発明に係る成分設定装置は、溶鋼に合金を投入して成分調整を行う際に、合金の種類及び投入量を決定するための溶鋼中の各成分の狙い値を決定するための成分設定装置であって、各成分値の上下限値と目標値、及び、前記成分により規定される1又は2以上の特性値の上下限値と目標値を設定する読み込み手段と、前記成分を、前記特性値を考慮した所定の条件を満たす決定成分と、当該決定成分以外の設定成分に分別する成分分別手段と、前記各設定成分は、前記目標値、又は、手入力により入力した値を狙い値として設定し、前記各決定成分は、当該決定成分の成分値及び前記各特性値の前記目標値との差が小さく、且つ、当該決定成分の成分値及び前記各特性値の上下限値との差が大きい値を狙い値として決定する狙い値決定手段と、を備えることを特徴とする。
これによると、溶鋼中の成分を、所定の条件を満たす決定成分と、それ以外の設定成分に分別し、決定成分については、各決定成分と各特性値に関する上下限値、目標値を用いて、各決定成分と各特性値に関する目標値との差が少なく、且つ、上下限値への接近を回避するような値を狙い値として決定し、各設定成分については、目標値や操業者などの判断に基づいた手入力による狙い値を決定している。従って、成分値及び特性値が目標値に近い値でのみならず、実際の操業の結果として成分値が狙い値より多少変動したとしても、成分値及び特性値が上下限値から外れにくくなり、溶鋼の成分調整を精度良く行うことができるとともに、第一の発明に係る成分設定方法及び成分設定装置と比較して、狙い値の決定における計算負荷を低減し、高速に狙い値を計算することができる。
ここで、第二の発明に係る成分設定方法及び成分設定装置において、前記各設定成分は、更に、前記各設定成分に関して測定又は推定した現状成分値、又は、当該現状成分値と前記目標値のいずれか大きい方の値を狙い値として決定し、
前記各決定成分は、更に、前記各決定成分に関して測定又は推定した現状成分値を下回らない範囲で狙い値を決定してよい。
これによると、各決定成分については、現状成分値を下回らない範囲で狙い値を決定し、各設定成分については、現状成分値を反映した値を狙い値として決定できるようにしている。従って、溶鋼中の成分の成分値を下げることができない合金投入による溶鋼の成分調整に対応することができる。
尚、第一の発明及び第二の発明に係る成分設定方法及び成分設定装置において、前記狙い値は、線形計画法により算出してよい。
これによると、線形計画法により狙い値を算出している。従って、最適化手法として狙い値の高速計算を実現することができる。
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを上述したような成分設定装置として機能させることが可能なプログラムであり、上述したような成分設定装置と夫々同様の作用効果を奏する。なお、本発明のプログラムは、CD−ROM、FD、MOなどのリムーバブル型記録媒体やハードディスクなどの固定型記録媒体に記録して配布可能である他、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して配布可能である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。
[第一の発明の第一の実施形態]
まず、第一の発明の第一の実施形態に係る成分設定装置を、図1に基づいて説明する。図1は、第一の発明の第一の実施形態に係る成分設定装置のブロック図である。図1に示すように、第一の発明の第一の実施形態に係る成分設定装置10は、各成分及び各特性値の目標範囲11と、目標範囲読み込み機能12と、狙い値決定機能15とから構成される。尚、第一の発明の第一の実施形態に係る成分設定装置10により狙い値が決定されると、決定された狙い値に基づいて投入する合金の種類や量を算出し、溶鋼処理設備1の操業を行う。
ここで、図1に示されている成分設定装置10は、例えば汎用のコンピュータ(プロセスコンピュータ等)によって構成されている。かかるコンピュータには、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどのハードウェアが収納されており、ハードディスクには、当該コンピュータを成分設定装置1として機能させるためのプログラム(このプログラムは、CD−ROM、FD、MOなどのリムーバブル型記録媒体に記録しておくことにより、任意のコンピュータにインストールすることが可能である)を含む各種のソフトウェアが記憶されている。そして、これらのハードウェア及びソフトウェアが組み合わされることによって、成分設定装置10が構築されている。
各成分及び各特性値の目標範囲11は、各成分及び各特性値に関する上下限値と目標値(目標範囲)であり、操業者が手入力により予め記録媒体に記録する。そして、後述する目標範囲読み込み機能12に対して、各成分及び各特性値に関する上下限値と目標値(目標範囲)を出力する。本実施形態においては、溶鋼処理の対象とするチャージ(溶鋼)に含まれる成分をC、Si、Mn、Cr、P、V、Nb、Ni、Moとし、これらの成分で規定される特性値CE、Ceqを下記の式1、式2の通りとする。尚、製鋼工程にて調整する成分は左記以外にもあるが、ここでは各特性値に関連する成分のみを選択した。
Figure 2006257494
Figure 2006257494
そして、各特性値の上下限値と目標値(目標範囲)を下記の通り記録する。
Figure 2006257494
また、各成分の上下限値と目標値(目標範囲)を下記の通り記録する。
Figure 2006257494
目標範囲読み込み機能12は、予め記録媒体に記録された各成分及び各特性値の目標範囲11を読み込むためのものである。そして、狙い値決定機能15に対して、読み込んだ各成分及び各特性値の目標範囲を出力する。
狙い値決定機能15は、入力された各成分及び各特性値に関する上下限値と目標値(目標範囲)に基づいて、各成分の狙い値を決定するためのものである。後述する第一の発明の第一の実施形態に係る成分設定方法においてより詳細に説明するが、狙い値決定機能15では、線形計画法を用いて、各成分の狙い値を、各成分及び各特性値に関する目標値との差を少なくし、且つ、各成分及び各特性値に関する上下限値から離れた値で決定する。尚、決定された各成分の狙い値は、図示しない出力装置(ディスプレイやプリンタなど)に出力する。
次に、第一の発明の第一の実施形態に係る成分設定装置10を用いた成分設定方法を、図2のフローチャートに基づいて説明する。図2は、第一の発明の第一の実施形態に係る成分設定方法のフローチャートを示すものである。
まず、目標範囲読み込み機能12において、予め記録媒体に記録された各成分及び各特性値の上下限値と目標値(目標範囲)11を読み込む(ステップS11:目標範囲読み込みステップ)。ここで、各成分及び各特性値をi(i=C、Si、Mn、Cr、P、V、Nb、Ni、Mo、CE、Ceq)とすると、各成分及び各特性値の上限値をUi、下限値をLi、目標値をAiとする。
次に、狙い値決定機能15において、目標範囲読み込み機能12で入力された各成分及び各特性値に関する上下限値と目標値(目標範囲)に基づいて、各成分の狙い値を決定する(ステップS13:狙い値決定ステップ)。ここで、各成分及び各特性値の狙い値をXiとするとき、下記の式4及び式5の関係が成立する。
Figure 2006257494
そして、これらの各成分及び各特性値の狙い値と目標値との差異(di)を要素とするベクトルをdとし、各成分と各特性値に関する目標値との差を小さく、且つ、これらの値を上下限値との差を大きくする各成分の狙い値を、下記の式4、式5、式7の制約条件を満たしつつ、式6の評価関数を最小化する最適化問題を解くことにより決定する。
Figure 2006257494
ここで、評価関数における‖d‖は、ベクトルdに関するノルムを表し、ノルムの例として、式8に示す絶対値ノルム、式9に示す距離ノルム、式10に示す最大値ノルム、また、式8〜式10に示すノルムの荷重線形和等を用いることができる。
Figure 2006257494
尚、絶対値ノルムや距離ノルムを評価関数に用いると、各成分毎に狙い値を目標値に近づける効果がある。また、最大値ノルムを評価関数に用いると、最も上下限値に近い成分の狙い値を上下限値から遠ざける効果がある。
本実施形態においては、最適化問題を下記の線形計画法により解く。
決定変数をXi、d- i、d+ i、λとする。
非負制約を式11とする。
Figure 2006257494
CE、Ceqの定義に関する等式制約を式4、式5に示す。
Figure 2006257494
目標値との差の定義に関する等式制約を式12に示す。式12において、d- iとd+ iは各成分及び各特性値に対する狙い値と目標値との差異を表している。従って、Xi≠Aiの場合は、d- iまたはd+ iのいずれか一方が0となり、他方は正の値をとる。この正の値は、狙い値Xiが上下限を超すと、1を超す値となる。狙い値が目標値に近いほど0に近く、また、狙い値が上下限値に近いほど1に近い値となる。
Figure 2006257494
最も上下限値に近い値の定義に関する等式制約を式13に示す。尚、式13に示す制約で、d- iとd+ iはλ以下の値となるので、この制約を満たすλの最も小さな値は、d- iとd+ iの値の最大値となる。
Figure 2006257494
上下限制約を式14に示す。
Figure 2006257494
評価関数を式15に示す。尚、式15では、ノルムとして絶対値ノルム(右辺第1項)と最大値ノルム(右辺第2項)の荷重線形和を用いている。
Figure 2006257494
以上の線形計画法を解くことにより、以下の結果(表3)が得られる。尚、計算結果は決定された各成分の狙い値として出力装置に表示する(ステップS15)。
Figure 2006257494
また、図3に、C−Mn平面におけるC、Mn、CE、Ceqの上下限値と目標値、及び、CとMnの狙い値の計算結果を示す。図3において、3つの斜線(実線)はCEに関する上下限値及び目標値を表しており、3つの斜線(点線)はCeqに関する上下限値及び目標値を表している。また、各成分値と各特性値が上下限制約に入る範囲にハッチをいれ、CとMnの計算された狙い値を*印で表している。
表3及び図3から、各成分及び各特性値は、目標値に近い値であり、且つ、全ての上下限制約からも離れた値となっていることがわかる。
以上に説明したように、第一の発明の第一の実施形態に係る成分設定装置10及び成分設定方法によると、目標範囲読み込み機能12で読み込んだ各成分と各特性値に関する上下限値、目標値を用いて(図2に示すステップS11)、狙い値決定機能15において、各成分と各特性値に関する目標値との差が少なく、且つ、上下限値への接近を回避するような値を、各成分の狙い値として決定している(図2に示すステップS13)。従って、成分値及び特性値が目標値に近い値でのみならず、実際の操業の結果として成分値が狙い値より多少変動したとしても、成分値及び特性値が上下限値から外れにくくなり、溶鋼の成分調整を精度良く行うことができる。
また、狙い値決定機能15において、線形計画法により狙い値を算出している(図2に示すステップS13)。従って、最適化手法として狙い値の高速計算を実現することができる。
[第一の発明の第二の実施形態]
まず、第一の発明の第二の実施形態に係る成分設定装置を、図4に基づいて説明する。尚、第一の発明の第一の実施形態に係る成分設定装置と同じ部材については、同一の符号を付して、その説明を省略する。図4は、第一の発明の第二の実施形態に係る成分設定装置のブロック図である。図4に示すように、第一の発明の第一の実施形態に係る成分設定装置16は、各成分及び各特性値の目標範囲11と、目標範囲読み込み機能12と、各成分の現状成分値13と、現状成分値読み込み機能14と、狙い値決定機能17とから構成される。尚、第一の発明の第二の実施形態に係る成分設定装置16により狙い値が決定されると、決定された狙い値に基づいて投入する合金の種類や量を算出し、溶鋼処理設備1の操業を行う。
尚、図4に示されている成分設定装置16は、例えば汎用のコンピュータ(プロセスコンピュータ等)によって構成されている。かかるコンピュータには、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどのハードウェアが収納されており、ハードディスクには、当該コンピュータを成分設定装置1として機能させるためのプログラム(このプログラムは、CD−ROM、FD、MOなどのリムーバブル型記録媒体に記録しておくことにより、任意のコンピュータにインストールすることが可能である)を含む各種のソフトウェアが記憶されている。そして、これらのハードウェア及びソフトウェアが組み合わされることによって、成分設定装置16が構築されている。
各成分の現状成分値13は、各成分に関する現状成分値であり、溶鋼処理設備1で予め溶鋼中に含まれる各成分の現状成分値を随時測定して、記録媒体に記録する。そして、後述する現状成分値読み込み機能14に対して、各成分に関する現状成分値を出力する。本実施形態においては、各成分の現状成分値を下記の通り記録する。
Figure 2006257494
現状成分値読み込み機能14は、測定されて記録媒体に記録された各成分の現状成分値13を読み込むためのものである。そして、狙い値決定機能17に対して、読み込んだ各成分の現状成分値を出力する。
狙い値決定機能17は、入力された各成分及び各特性値に関する上下限値と目標値(目標範囲)に基づいて、各成分の狙い値を決定するためのものである。後述する第一の発明の第二の実施形態に係る成分設定方法においてより詳細に説明するが、狙い値決定機能17では、線形計画法を用いて、各成分の狙い値を、各成分及び各特性値に関する目標値との差を少なくし、且つ、各成分及び各特性値に関する上下限値から離れた値にあり、更に、各成分の現状成分値を下回らない範囲で決定する。尚、決定された各成分の狙い値は、図示しない出力装置(ディスプレイやプリンタなど)に出力する。
次に、第一の発明の第二の実施形態に係る成分設定装置16を用いた成分設定方法を、図5のフローチャートに基づいて説明する。図5は、第一の発明の第二の実施形態に係る成分設定方法のフローチャートを示すものである。
まず、目標範囲読み込み機能12において、予め記録媒体に記録された各成分及び各特性値の上下限値と目標値(目標範囲)11を読み込む(ステップS11:目標範囲読み込みステップ)。次に、現状成分値読み込み機能14において、各成分の現状成分値を読み込む(ステップS12:現状成分値読み込みステップ)。ここで、各成分及び各特性値をi(i=C、Si、Mn、Cr、P、V、Nb、Ni、Mo、CE、Ceq)とすると、各成分及び各特性値の上限値をUi、下限値をLi、目標値をAiとするとともに、各成分の現状成分値をNiとする。
次に、狙い値決定機能17において、目標範囲読み込み機能12で入力された各成分及び各特性値に関する上下限値と目標値(目標範囲)と、現状成分値読み込み機能14で入力された各成分の現状成分値に基づいて、各成分の狙い値を決定する(ステップS14:狙い値決定ステップ)。ここで、各成分及び各特性値の狙い値をXiとするとき、下記の式4及び式5の関係が成立する。
Figure 2006257494
上述した第一の発明の第一の実施形態に係る成分設定方法と同様に、各成分及び各特性値に関して、狙い値と目標値との差異(di)を要素とするベクトルをdとする。そして、各成分と各特性値に関する目標値との差を小さく、且つ、これらの値を上下限値との差を大きくし、更に、各成分の現状成分値を下回らない各成分の狙い値を、下記の式4、式5、式7、式16の制約条件を満たしつつ、式6の評価関数を最小化する最適化問題を解くことにより決定する。
Figure 2006257494
本実施形態においては、最適化問題を下記の線形計画法により解く。
決定変数をXi、d- i、d+ i、λとする。
非負制約を式11とする。
Figure 2006257494
CE、Ceqの定義に関する等式制約を式4、式5に示す。
Figure 2006257494
目標値との差の定義に関する等式制約を式12に示す。式12において、d- iとd+ iは各成分及び各特性値に対する狙い値と目標値との差異を表している。従って、Xi≠Aiの場合は、d- iまたはd+ iのいずれか一方が0となり、他方は正の値をとる。この正の値は、狙い値Xiが上下限を超すと、1を超す値となる。狙い値が目標値に近いほど0に近く、また、狙い値が上下限値に近いほど1に近い値となる。
Figure 2006257494
最も上下限値に近い値の定義に関する等式制約を式13に示す。尚、式13に示す制約で、d- iとd+ iはλ以下の値となるので、この制約を満たすλの最も小さな値は、d- iとd+ iの値の最大値となる。
Figure 2006257494
現状成分値を下回らない制約を式17に示す。
Figure 2006257494
上下限制約を式14に示す。
Figure 2006257494
評価関数を式15に示す。尚、式15では、ノルムとして絶対値ノルム(右辺第1項)と最大値ノルム(右辺第2項)の荷重線形和を用いている。
Figure 2006257494
以上の線形計画法を解くことにより、以下の結果(表5)が得られる。尚、計算結果は決定された各成分の狙い値として出力装置に表示する(ステップS15)。
Figure 2006257494
また、図6に、C−Mn平面におけるC、Mn、CE、Ceqの上下限値と目標値、及び、CとMnの狙い値の計算結果を示す。図6において、3つの斜線(実線)はCEに関する上下限値及び目標値を表しており、3つの斜線(点線)はCeqに関する上下限値及び目標値を表している。また、Mn値が現状値を下回らない範囲で、且つ、各成分値と各特性値が上下限制約に入る範囲にハッチをいれ、CとMnの計算された狙い値を*印で表している。
表5及び図6から、各成分及び各特性値は、目標値に近い値であり、且つ、全ての上下限制約からも離れた値となっていることがわかる。
以上に説明したように、第一の発明の第二の実施形態に係る成分設定装置16及び成分設定方法によると、現状成分値読み込み機能14で読み込んだ各成分に関する現状成分値を用いて(図5に示すステップS12)、狙い値決定機能17において、各成分の現状成分値を下回らない範囲で、各成分の狙い値を決定している(図5に示すステップS14)。従って、溶鋼中の成分の成分値を下げることができない合金投入による溶鋼の成分調整に対応することができる。
[第二の発明の実施形態]
まず、第二の発明の実施形態に係る成分設定装置を、図7に基づいて説明する。図7は、第二の発明の実施形態に係る成分設定装置のブロック図である。図7に示すように、第二の発明の実施形態に係る成分設定装置20は、各成分及び各特性値の目標範囲21と、目標範囲読み込み機能22と、各成分の現状成分値23と、現状成分値読み込み機能24と、成分分別機能25と、狙い値決定機能26とから構成される。尚、第二の発明の実施形態に係る成分設定装置20により狙い値が決定されると、決定された狙い値に基づいて投入する合金の種類や量を算出し、溶鋼処理設備1の操業を行う。
ここで、図7に示されている成分設定装置20は、例えば汎用のコンピュータ(プロセスコンピュータ等)によって構成されている。かかるコンピュータには、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどのハードウェアが収納されており、ハードディスクには、当該コンピュータを成分設定装置1として機能させるためのプログラム(このプログラムは、CD−ROM、FD、MOなどのリムーバブル型記録媒体に記録しておくことにより、任意のコンピュータにインストールすることが可能である)を含む各種のソフトウェアが記憶されている。そして、これらのハードウェア及びソフトウェアが組み合わされることによって、成分設定装置20が構築されている。
各成分及び各特性値の目標範囲21は、各成分及び各特性値に関する上下限値と目標値(目標範囲)であり、操業者が手入力により予め記録媒体に記録する。そして、後述する目標範囲読み込み機能12に対して、各成分及び各特性値に関する上下限値と目標値(目標範囲)を出力する。本実施形態においては、溶鋼処理の対象とするチャージ(溶鋼)に含まれる成分をC、Si、Mn、Cr、P、V、Nb、Ni、Moとし、これらの成分で規定される特性値CE、Ceqを下記の式1、式2の通りとする。尚、製鋼工程にて調整する成分は左記以外にもあるが、ここでは各特性値に関連する成分のみを選択した。
Figure 2006257494
Figure 2006257494
そして、各特性値の上下限値と目標値(目標範囲)を下記の通り記録する。
Figure 2006257494
また、各成分の上下限値と目標値(目標範囲)を下記の通り記録する。
Figure 2006257494
目標範囲読み込み機能22は、予め記録媒体に記録された各成分及び各特性値の目標範囲21を読み込むためのものである。そして、狙い値決定機能26に対して、読み込んだ各成分及び各特性値の目標範囲を出力する。
各成分の現状成分値23は、各成分に関する現状成分値であり、溶鋼処理設備1で予め溶鋼中に含まれる各成分の現状成分値を随時測定して、記録媒体に記録する。そして、後述する現状成分値読み込み機能24に対して、各成分に関する現状成分値を出力する。本実施形態においては、各成分の現状成分値を下記の通り記録する。
Figure 2006257494
現状成分値読み込み機能24は、測定されて記録媒体に記録された各成分の現状成分値23を読み込むためのものである。そして、狙い値決定機能26に対して、読み込んだ各成分の現状成分値を出力する。
成分分別機能25は、対象とする成分に対し、決定成分と設定成分に分別するためのものである。即ち、特性値は、
・対象とする溶鋼処理設備にて調整可能である
・特性値への感度が高い
・上下限値の範囲が広い
・成分調整が容易である
等の条件を満たす成分を主に用いて調整するため、これらの条件を満たす成分を決定成分とし、それ以外の成分を設定成分として分別する。本実施形態においては、決定成分をC、Si、Mn、Crとし、設定成分をP、V、Nb、Ni、Moとする。
狙い値決定機能26は、入力された各成分及び各特性値に関する上下限値と目標値(目標範囲)に基づいて、各成分の狙い値を決定するためのものである。後述する第二の発明の実施形態に係る成分設定方法においてより詳細に説明するが、狙い値決定機能26では、決定成分については、線形計画法を用いて、各決定成分の狙い値を、各決定成分及び各特性値に関する目標値との差を少なくし、且つ、各決定成分及び各特性値に関する上下限値から離れた値にあり、更に、各決定成分の現状成分値を下回らない範囲で決定する。そして、設定成分については、各設定成分の狙い値として、操業者2が手入力にて入力した値、各設定成分の目標値や現状成分値や目標値と現状成分値のいずれか大きい方の値等を決定する。尚、決定された各成分の狙い値は、図示しない出力装置(ディスプレイやプリンタなど)に出力する。
次に、第二の発明の実施形態に係る成分設定装置20を用いた成分設定方法を、図8のフローチャートに基づいて説明する。図8は、第二の発明の実施形態に係る成分設定方法のフローチャートを示すものである。
まず、目標範囲読み込み機能22において、予め記録媒体に記録された各成分及び各特性値の上下限値と目標値(目標範囲)21を読み込む(ステップS21:目標範囲読み込みステップ)。次に、現状成分値読み込み機能24において、各成分の現状成分値を読み込む(ステップS22:現状成分値読み込みステップ)。そして、成分分別機能25において、成分を決定成分と設定成分に分別する(ステップS23:成分分別ステップ)。ここで、各決定成分及び各特性値をi(i=C、Si、Mn、Cr、CE、Ceq)とすると、各決定成分及び各特性値の上限値をUi、下限値をLi、目標値をAiとするとともに、各決定成分の現状成分値をNiとする。また、各設定をj(j=P、V、Nb、Ni、Mo)とすると、各設定成分の上限値をUj、下限値をLj、目標値をAjとするとともに、各設定成分の現状成分値をNjとする。
次に、狙い値決定機能26において、目標範囲読み込み機能22で入力された各成分及び各特性値に関する上下限値と目標値(目標範囲)と、現状成分値読み込み機能24で入力された各成分の現状成分値24に基づいて、各成分(各決定成分及び各設定成分)の狙い値を決定する(ステップS24:狙い値決定ステップ)。
ここで、まず各設定成分の狙い値の決定方法について説明する。各設定成分の狙い値をBjとすると、本実施形態においては、P以外の成分については、式17の通り、各設定成分の目標値と現状成分値のいずれか大きい方の値を狙い値として決定する。Pについては、現状成分値を狙い値として決定する。
Figure 2006257494
以上の結果、設定成分jの狙い値は、以下の表6の通り決定される。尚、計算結果は決定された各設定成分の狙い値として出力装置に表示する(ステップS25)。
Figure 2006257494
次に、各決定成分の狙い値の決定方法について説明する。各決定成分及び各特性値の狙い値をXiとするとき、下記の式4及び式5の関係が成立する。
Figure 2006257494
そして、これらの各決定成分及び各特性値の狙い値と目標値との差異(di)を要素とするベクトルをdとし、各決定成分と各特性値に関する目標値との差を小さく、且つ、これらの値を上下限値との差を大きくし、更に、各決定成分の現状成分値を下回らない各決定成分の狙い値を、下記の式4、式5、式7、式16の制約条件を満たしつつ、式6の評価関数を最小化する最適化問題を解くことにより決定する。
Figure 2006257494
本実施形態においては、最適化問題を下記の線形計画法により解く。
決定変数をXi、d- i、d+ i、λとする。
非負制約を式11とする。
Figure 2006257494
CE、Ceqの定義に関する等式制約を式4、式5に示す。
Figure 2006257494
目標値との差の定義に関する等式制約を式12に示す。式12において、d- iとd+ iは各決定成分及び各特性値に対する狙い値と目標値との差異を表している。従って、Xi≠Aiの場合は、d- iまたはd+ iのいずれか一方が0となり、他方は正の値をとる。この正の値は、狙い値Xiが上下限を超すと、1を超す値となる。狙い値が目標値に近いほど0に近く、また、狙い値が上下限値に近いほど1に近い値となる。
Figure 2006257494
最も上下限値に近い値の定義に関する等式制約を式13に示す。尚、式13に示す制約で、d- iとd+ iはλ以下の値となるので、この制約を満たすλの最も小さな値は、d- iとd+ iの値の最大値となる。
Figure 2006257494
現状成分値を下回らない制約を式17に示す。
Figure 2006257494
上下限制約を式14に示す。
Figure 2006257494
評価関数を式15に示す。尚、式15では、ノルムとして絶対値ノルム(右辺第1項)と最大値ノルム(右辺第2項)の荷重線形和を用いている。
Figure 2006257494
以上の線形計画法を解くことにより、以下の結果(表7)が得られる。尚、計算結果は決定された各決定成分の狙い値として出力装置に表示する(ステップS25)。
Figure 2006257494
表7に示す値には、式4及び式5により、表6で設定された設定成分の狙い値が反映されている。また、本実施形態の線形計画法での計算における決定変数の個数は19個であり、第一の発明の実施形態の線形計画法での計算における決定変数の個数(34個)と比較すると非常に少なくなっており、成分設定装置の計算負荷を低減し、高速に狙い値を計算することができることがわかる。更に、第一の発明の第二の実施形態の計算結果(表5)と本実施形態での計算結果(表7)と比較すると、決定成分及び特性値の狙い値の差異は微小であり、本実施形態による決定成分と設定成分を分別して狙い値を決定した方法が妥当であることがわかる。
以上に説明したように、第二の発明の実施形態に係る成分設定装置20及び成分設定方法によると、成分分別機能25により溶鋼中の成分を、所定の条件を満たす決定成分と、それ以外の設定成分に分別し(図8に示すステップS23)、狙い値決定機能26において、決定成分については、目標範囲読み込み機能22で読み込んだ各決定成分と各特性値に関する上下限値、目標値を用いて、各決定成分と各特性値に関する目標値との差が少なく、且つ、上下限値への接近を回避するような値であり、更に、現状成分値を下回らない値を狙い値として決定し、各設定成分については、目標範囲読み込み機能22で読み込んだ各設定成分の目標値や操業者などの判断に基づいた手入力による狙い値を決定している(図8に示すステップS24)。従って、成分値及び特性値が目標値に近い値でのみならず、実際の操業の結果として成分値が狙い値より多少変動したとしても、成分値及び特性値が上下限値から外れにくくなり、溶鋼の成分調整を精度良く行うことができるとともに、第一の発明の実施形態による成分設定方法及び成分設定装置と比較して、狙い値の決定における計算負荷を低減し、高速に狙い値を計算することができる。また、溶鋼中の成分の成分値を下げることができない合金投入による溶鋼の成分調整に対応することができる。
また、狙い値決定機能15において、線形計画法により狙い値を算出している(図8に示すステップS24)。従って、最適化手法として狙い値の高速計算を実現することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその趣旨を超えない範囲において変更が可能である。
本実施形態においては、予め、各成分や各特性値に関して、上下限値や目標値が設定されているが、実際には、各成分や各特性値に関する上下限値や目標値の一部が設定されていない場合もありうる。この場合には、目標範囲読み込み機能及び目標範囲読み込みステップにおいて、各成分や各特性値に関する上下限値や目標値を設定するようにして良い。例えば、下限値が設定されていない場合は、下限値=0と設定する。また、目標値が設定されていない場合は、現状成分値が読み込まれていなければ目標値=下限値、現状成分値が読み込まれていれば目標値=max(下限値、目標値)とする。また、上限値が設定されていない場合は、上限値=非常に大きな値(100%)と設定する。
第一の発明の第一の実施形態に係る成分設定装置のブロック図である。 第一の発明の第一の実施形態に係る成分設定方法のフローチャートである。 第一の発明の第一の実施形態に係る成分設定装置及び成分設定方法に基づいて算出した狙い値の決定結果である。 第一の発明の第二の実施形態に係る成分設定装置のブロック図である。 第一の発明の第二の実施形態に係る成分設定方法のフローチャートである。 第一の発明の第二の実施形態に係る成分設定装置及び成分設定方法に基づいて算出した狙い値の決定結果である。 第二の発明の実施形態に係る成分設定装置のブロック図である。 第二の発明の実施形態に係る成分設定方法のフローチャートである。 あるチャージにおいて、Si、Cr、Ni、Mo、Vの成分値が目標値となっている場合の、C−Mn平面でのC、Mn、Ceqの上下限値と目標値を示す図である。 あるチャージにおいて、Si、Cr、Ni、Mo、Vの中のいくつかの成分値が上限値に近い値となっている場合に対し、C−Mn平面におけるC、Mn、Ceqの上下限値と目標値を示す図である。
符号の説明
10 成分設定装置
12 目標範囲読み取り機能
14 現状成分値読み取り機能
15 狙い値決定機能
16 成分設定装置
17 狙い値決定機能
20 成分設定装置
22 目標範囲読み取り機能
24 現状成分値読み取り機能
25 成分分別機能
26 狙い値決定機能
S11 目標範囲読み取りステップ
S12 現状成分値読み取りステップ
S13 狙い値決定ステップ
S14 狙い値決定ステップ
S21 目標範囲読み取りステップ
S22 現状成分値読み取りステップ
S23 成分分別ステップ
S24 狙い値決定ステップ

Claims (15)

  1. 溶鋼に合金を投入して成分調整を行う際に、合金の種類及び投入量を決定するための溶鋼中の各成分の狙い値を決定するための成分設定方法であって、
    各成分値の上下限値と目標値、及び、前記成分により規定される1又は2以上の特性値の上下限値と目標値を設定する目標範囲読み込みステップと、
    前記各成分値の目標値及び前記各特性値の目標値との差が小さく、且つ、前記各成分値の上下限値及び前記各特性値の上下限値との差が大きい値を、各成分の狙い値として決定する狙い値決定ステップと、を備えることを特徴とする成分設定方法。
  2. 前記各成分の狙い値は、更に、前記各成分に関して測定又は推定した現状成分値を下回らない範囲で決定することを特徴とする請求項1に記載の成分設定方法。
  3. 溶鋼に合金を投入して成分調整を行う際に、合金の種類及び投入量を決定するための溶鋼中の各成分の狙い値を決定するための成分設定方法であって、
    各成分値の上下限値と目標値、及び、前記成分により規定される1又は2以上の特性値の上下限値と目標値を設定する目標範囲読み込みステップと、
    前記成分を、前記特性値を考慮した所定の条件を満たす決定成分と、当該決定成分以外の設定成分に分別する成分分別ステップと、
    前記各設定成分は、前記目標値、又は、手入力により入力した値を狙い値として設定し、前記各決定成分は、当該決定成分の成分値及び前記各特性値の前記目標値との差が小さく、且つ、当該決定成分の成分値及び前記各特性値の上下限値との差が大きい値を狙い値として決定する狙い値決定ステップと、を備えることを特徴とする成分設定方法。
  4. 前記各設定成分は、更に、前記各設定成分に関して測定又は推定した現状成分値、又は、当該現状成分値と前記目標値のいずれか大きい方の値を狙い値として決定し、
    前記各決定成分は、更に、前記各決定成分に関して測定又は推定した現状成分値を下回らない範囲で狙い値を決定することを特徴とする請求項3に記載の成分設定方法。
  5. 前記狙い値は、線形計画法により算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の成分設定方法。
  6. 溶鋼に合金を投入して成分調整を行う際に、合金の種類及び投入量を決定するための溶鋼中の各成分の狙い値を決定するための成分設定装置であって、
    各成分値の上下限値と目標値、及び、前記成分により規定される1又は2以上の特性値の上下限値と目標値を設定する目標範囲読み込み手段と、
    前記各成分値の目標値及び前記各特性値の目標値との差が小さく、且つ、前記各成分値の上下限値及び前記各特性値の上下限値との差が大きい値を、各成分の狙い値として決定する狙い値決定手段と、を備えることを特徴とする成分設定装置。
  7. 前記各成分の狙い値は、更に、前記各成分に関して測定又は推定した現状成分値を下回らない範囲で決定することを特徴とする請求項6に記載の成分設定装置。
  8. 溶鋼に合金を投入して成分調整を行う際に、合金の種類及び投入量を決定するための溶鋼中の各成分の狙い値を決定するための成分設定装置であって、
    各成分値の上下限値と目標値、及び、前記成分により規定される1又は2以上の特性値の上下限値と目標値を設定する目標範囲読み込み手段と、
    前記成分を、前記特性値を考慮した所定の条件を満たす決定成分と、当該決定成分以外の設定成分に分別する成分分別手段と、
    前記各設定成分は、前記目標値、又は、手入力により入力した値を狙い値として設定し、前記各決定成分は、当該決定成分の成分値及び前記各特性値の前記目標値との差が小さく、且つ、当該決定成分の成分値及び前記各特性値の上下限値との差が大きい値を狙い値として決定する狙い値決定手段と、を備えることを特徴とする成分設定装置。
  9. 前記各設定成分は、更に、前記各設定成分に関して測定又は推定した現状成分値、又は、当該現状成分値と前記目標値のいずれか大きい方の値を狙い値として決定し、
    前記各決定成分は、更に、前記各決定成分に関して測定又は推定した現状成分値を下回らない範囲で狙い値を決定することを特徴とする請求項8に記載の成分設定装置。
  10. 前記狙い値は、線形計画法により算出することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の成分設定方法。
  11. 溶鋼に合金を投入して成分調整を行う際に、合金の種類及び投入量を決定するための溶鋼中の各成分の狙い値を決定するためのプログラムであって、
    各成分値の上下限値と目標値、及び、前記成分により規定される1又は2以上の特性値の上下限値と目標値を設定する目標範囲読み込み手段、
    前記各成分値の目標値及び前記各特性値の目標値との差が小さく、且つ、前記各成分値の上下限値及び前記各特性値の上下限値との差が大きい値を、各成分の狙い値として決定する狙い値決定手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
  12. 前記各成分の狙い値は、更に、前記各成分に関して測定又は推定した現状成分値を下回らない範囲で決定することを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
  13. 溶鋼に合金を投入して成分調整を行う際に、合金の種類及び投入量を決定するための溶鋼中の各成分の狙い値を決定するためのプログラムであって、
    各成分値の上下限値と目標値、及び、前記成分により規定される1又は2以上の特性値の上下限値と目標値を設定する目標範囲読み込み手段、
    前記成分を、前記特性値を考慮した所定の条件を満たす決定成分と、当該決定成分以外の設定成分に分別する成分分別手段、
    前記各設定成分は、前記目標値、又は、手入力により入力した値を狙い値として設定し、前記各決定成分は、当該決定成分の成分値及び前記各特性値の前記目標値との差が小さく、且つ、当該決定成分の成分値及び前記各特性値の上下限値との差が大きい値を狙い値として決定する狙い値決定手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
  14. 前記各設定成分は、更に、前記各設定成分に関して測定又は推定した現状成分値、又は、当該現状成分値と前記目標値のいずれか大きい方の値を狙い値として決定し、
    前記各決定成分は、更に、前記各決定成分に関して測定又は推定した現状成分値を下回らない範囲で狙い値を決定することを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
  15. 前記狙い値は、線形計画法により算出することを特徴とする請求項11〜14のいずれか一項に記載のプログラム。

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