JP2006257299A - 光拡散性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】初期着色が少なく、良好な光拡散性を保ちながら、光線透過率を高めた光拡散板の得られる光拡散性樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形してなる光拡散板を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、(B−1)平均粒径が0.01〜30μmの光拡散剤0.01〜20質量部、(B−2)平均粒径が50〜250μmの光拡散剤0.01〜20質量部、及び(C)蛍光増白剤0〜0.1質量部を配合してなるポリカーボネート系の光拡散性樹脂組成物、及びこの組成物を成形してなる厚み0.5〜3mmの光拡散板である。
【選択図】なし
【解決手段】(A)芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、(B−1)平均粒径が0.01〜30μmの光拡散剤0.01〜20質量部、(B−2)平均粒径が50〜250μmの光拡散剤0.01〜20質量部、及び(C)蛍光増白剤0〜0.1質量部を配合してなるポリカーボネート系の光拡散性樹脂組成物、及びこの組成物を成形してなる厚み0.5〜3mmの光拡散板である。
【選択図】なし
Description
本発明は、光拡散性樹脂組成物及び光拡散板に関する。更に、詳しくは、光拡散性に優れ、液晶ディスプレイ分野等における光拡散板用途、光学レンズ、導光板(導光体)、光拡散板等の光学素子、街路灯カバー、車両用及び建材用ガラス等におけるガラス代替用途に好適なポリカーボネート系の光拡散性樹脂組成物及びそれを用いて成形した光拡散板に関する。
近年、液晶ディスプレイ(LCD)の用途は、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)やモニターのみならず、テレビジョン(TV)にまで拡大されている。特に明るさが求められるTVに搭載される直下型バックライト用途の光拡散板(肉厚1〜3mm)は、508mm(20インチ)程度の画面サイズのものについては、アクリル樹脂製が主流である。しかしながら、アクリル樹脂は、耐熱性が低く、かつ吸湿性が高いために、寸法安定性が低く、結果として大画面サイズでは反り変形が生じるという問題がある。そこで、最近では、耐熱性、吸湿性の点でアクリル樹脂よりも優れるポリカーボネート(以下、PCと略記することがある。)樹脂が光拡散板のマトリックス樹脂として適用され、その需要が拡大しつつある(例えば、特許文献1及び2参照)。
従来、光拡散板用の樹脂組成としては、透明性樹脂に光拡散剤として、平均粒径1〜30μmの架橋アクリル樹脂や架橋シリコーン粒子を0.3〜20質量%程度添加することが好適とされてきた。透明性樹脂に光拡散剤を同量添加した場合、平均粒径が小さい光拡散剤程、光拡散性は高くなる一方、得られる光拡散板の光線透過率は低下するという関係にある。一方、平均粒径が30μmを越えるような粒子を添加した場合、光線透過率は上がるが光拡散性が低下する。光線透過率が高いと、ベースPCの黄色味が目立ちやすくなる。また、PCを光拡散板のマトリックス樹脂として用いた場合、他の透明性樹脂(アクリル樹脂、MS樹脂、環状オレフィン樹脂)に比べて耐光性が劣る為、バックライト中の蛍光管の光により黄変しやすい。そこで耐光コートまたは紫外線吸収剤の添加が必要となる。しかしながら、紫外線吸収剤を用いると得られる光拡散板は初期着色の問題が生ずる。
従来、光拡散板用の樹脂組成としては、透明性樹脂に光拡散剤として、平均粒径1〜30μmの架橋アクリル樹脂や架橋シリコーン粒子を0.3〜20質量%程度添加することが好適とされてきた。透明性樹脂に光拡散剤を同量添加した場合、平均粒径が小さい光拡散剤程、光拡散性は高くなる一方、得られる光拡散板の光線透過率は低下するという関係にある。一方、平均粒径が30μmを越えるような粒子を添加した場合、光線透過率は上がるが光拡散性が低下する。光線透過率が高いと、ベースPCの黄色味が目立ちやすくなる。また、PCを光拡散板のマトリックス樹脂として用いた場合、他の透明性樹脂(アクリル樹脂、MS樹脂、環状オレフィン樹脂)に比べて耐光性が劣る為、バックライト中の蛍光管の光により黄変しやすい。そこで耐光コートまたは紫外線吸収剤の添加が必要となる。しかしながら、紫外線吸収剤を用いると得られる光拡散板は初期着色の問題が生ずる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、初期着色が少なく、良好な光拡散性を保ちながら、光線透過率を高めた光拡散板を与える光拡散性樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形してなる光拡散板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、芳香族PC樹脂に、平均粒径の異なる2種類の光拡散剤及び場合により蛍光増白剤を配合することにより、更には、紫外線吸収剤、リン系安定剤等を配合することにより、初期の着色が少なく、良好な光拡散性を保ちながら、光線透過率を高めた光拡散板を与えるPC系の光拡散性樹脂組成物が得られることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の光拡散性樹脂組成物及び光拡散板を提供するものである。
すなわち、本発明は、以下の光拡散性樹脂組成物及び光拡散板を提供するものである。
(1)(A)芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、(B−1)平均粒径が0.01〜30μmの光拡散剤の少なくとも一種を0.01〜20質量部、(B−2)平均粒径が50〜250μmの光拡散剤の少なくとも一種を0.1〜20質量部及び(C)蛍光増白剤を0〜0.1質量部配合してなる光拡散性樹脂組成物。
(2)さらに、(D)耐光剤の少なくとも一種を0.01〜5質量部配合してなる前記(1)に記載の光拡散性樹脂組成物。
(3)さらに、(E)熱可塑性アクリル系樹脂を0.01〜1質量部配合してなる前記(1)又は(2)に記載の光拡散性樹脂組成物。
(4)さらに、(F)リン系安定剤0.001〜1質量部に配合してなる前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
(5)さらに、(G)芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率差が0.1以下のオルガノポリシロキサン0.01〜1質量部を配合してなる前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
(2)さらに、(D)耐光剤の少なくとも一種を0.01〜5質量部配合してなる前記(1)に記載の光拡散性樹脂組成物。
(3)さらに、(E)熱可塑性アクリル系樹脂を0.01〜1質量部配合してなる前記(1)又は(2)に記載の光拡散性樹脂組成物。
(4)さらに、(F)リン系安定剤0.001〜1質量部に配合してなる前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
(5)さらに、(G)芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率差が0.1以下のオルガノポリシロキサン0.01〜1質量部を配合してなる前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
(6)(B−1)成分又は(B−2)成分の光拡散剤が、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、シリカ粒子、石英粒子、シリカ繊維、石英繊維、ガラス繊維から選ばれたいずれか一種又は二種以上の組み合わせである前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
(7)(E)熱可塑性アクリル系樹脂が、粘度平均分子量1000〜20万を有するものである前記(3)〜(6)のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
(8)(F)リン系安定剤が、リン酸エステル化合物及び芳香族ホスフィン化合物から選ばれる少なくとも一種である前記(4)〜(7)のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
(9)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物を成形してなる厚み0.5〜3mmの光拡散板。
(7)(E)熱可塑性アクリル系樹脂が、粘度平均分子量1000〜20万を有するものである前記(3)〜(6)のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
(8)(F)リン系安定剤が、リン酸エステル化合物及び芳香族ホスフィン化合物から選ばれる少なくとも一種である前記(4)〜(7)のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
(9)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物を成形してなる厚み0.5〜3mmの光拡散板。
本発明によれば、初期の着色が少なく、良好な光拡散性を保ちながら、光線透過率を高めた光拡散板の得られる光拡散性樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形してなる光拡散板を提供することができる。
本発明のPC系の光拡散性樹脂組成物(以下、PC樹脂組成物と称することがある。)において、(A)成分の芳香族PC樹脂としては、通常、二価フェノールとホスゲン又は炭酸エステル化合物等のポリカーボネート前駆体とを反応させることにより製造したものを挙げることができる。具体的には、例えば、塩化メチレンなどの溶媒中において、公知の酸受容体や分子量調節剤の存在下、さらに、必要により分岐剤を添加し、二価フェノールとホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応により、あるいは二価フェノールとジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体とのエステル交換反応などによって製造されたものである。
用いられる二価フェノールとしては、様々なものがあるが、特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕が好適である。ビスフェノールA以外のビスフェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラメチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラクロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4'−ジヒドロキシフェニルエーテル;4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド;4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド;4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン;4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類、4,4'−ジヒロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル類などが挙げられる。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、炭酸エステル化合物としては、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートやジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート等が挙げられる。分子量調整剤としては通常、ポリカーボネートの重合に用いられるものなら、各種のものを用いることができる。具体的には、一価フェノールとして、例えば、フェノール,o−n−ブチルフェノール,m−n−ブチルフェノール,p−n−ブチルフェノール,o−イソブチルフェノール,m−イソブチルフェノール,p−イソブチルフェノール,o−t−ブチルフェノール,m−t−ブチルフェノール,p−t−ブチルフェノール,o−n−ペンチルフェノール,m−n−ペンチルフェノール,p−n−ペンチルフェノール,o−n−ヘキシルフェノール,m−n−ヘキシルフェノール,p−n−ヘキシルフェノール,p−t−オクチルフェノール,o−シクロヘキシルフェノール,m−シクロヘキシルフェノール,p−シクロヘキシルフェノール,o−フェニルフェノール,m−フェニルフェノール,p−フェニルフェノール,o−n−ノニルフェノール,m−ノニルフェノール,p−n−ノニルフェノール,o−クミルフェノール,m−クミルフェノール,p−クミルフェノール,o−ナフチルフェノール,m−ナフチルフェノール,p−ナフチルフェノール;2,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジ−t−ブチルフェノール;3,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,5−ジクミルフェノール;3,5−ジクミルフェノール;p−クレゾール,ブロモフェノール,トリブロモフェノールなどが挙げられる。これらの一価フェノールのなかでは、p−t−ブチルフェノール,p−クミルフェノール,p−フェニルフェノールなどが好ましく用いられる。
その他、分岐剤として、例えば、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;α,α',α"−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;1−〔α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α',α'−ビス(4"−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;フロログリシン,トリメリト酸,イサチンビス(o−クレゾール)等の官能基を3つ以上有する化合物を用いることもできる。
本発明において用いられるポリカーボネートは通常、粘度平均分子量が10,000〜100,000のものが好ましく、より好ましくは15,000〜40,000である。この粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式にて算出するものである。
[η]=1.23×10-5Mv0.83
本発明において用いられるポリカーボネートは通常、粘度平均分子量が10,000〜100,000のものが好ましく、より好ましくは15,000〜40,000である。この粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式にて算出するものである。
[η]=1.23×10-5Mv0.83
本発明のPC系の光拡散性樹脂組成物において、(B−1)成分及び(B−2)成分の光拡散剤は、光学的に透明で、かつ(A)成分の芳香族PC樹脂とは異なる屈折率を有する固体からなるものであればよく、この光拡散剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(B−1)成分の光拡散剤の平均粒径は、0.01〜30μm、好ましくは0.1〜20μmである。(B−1)成分の光拡散剤の平均粒径が0.01μmより小さくても、30μmより大きくても拡散性が小さくなる。
(B−2)成分の光拡散剤の平均粒径は、50〜250μm、好ましくは80〜200μmである。(B−2)成分の光拡散剤の平均粒径が50μmより小さいと光拡散性は高くなるが、光線透過率の向上効果が低下し、250μmを超えると得られる光拡散板の強度が低下する。
(B−1)成分及び(B−2)成分の光拡散剤の粒径は、株式会社日科機の粒子数・粒度分布アナライザーMODEL Zmを用いてコールカウンター法で測定した重量平均粒径である。
光拡散剤の具体例としては、架橋ポリメタクリル酸メチル(架橋PMMA)樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、シリカ粒子、石英粒子、シリカ繊維、石英繊維、ガラス繊維、シリカビーズ、シリコーン樹脂ビーズ及びガラスビーズ、並びにこれらと同材質の中空ビーズ及び不定形粉末,板状粉末などが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、光拡散性、屈折率の観点から、架橋PMMA樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、シリカ粒子、石英粒子、シリカ繊維、石英繊維及びガラス繊維が好ましく、架橋PMMA樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、シリカ粒子及び石英粒子が特に好ましい。
(B−1)成分の光拡散剤の平均粒径は、0.01〜30μm、好ましくは0.1〜20μmである。(B−1)成分の光拡散剤の平均粒径が0.01μmより小さくても、30μmより大きくても拡散性が小さくなる。
(B−2)成分の光拡散剤の平均粒径は、50〜250μm、好ましくは80〜200μmである。(B−2)成分の光拡散剤の平均粒径が50μmより小さいと光拡散性は高くなるが、光線透過率の向上効果が低下し、250μmを超えると得られる光拡散板の強度が低下する。
(B−1)成分及び(B−2)成分の光拡散剤の粒径は、株式会社日科機の粒子数・粒度分布アナライザーMODEL Zmを用いてコールカウンター法で測定した重量平均粒径である。
光拡散剤の具体例としては、架橋ポリメタクリル酸メチル(架橋PMMA)樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、シリカ粒子、石英粒子、シリカ繊維、石英繊維、ガラス繊維、シリカビーズ、シリコーン樹脂ビーズ及びガラスビーズ、並びにこれらと同材質の中空ビーズ及び不定形粉末,板状粉末などが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、光拡散性、屈折率の観点から、架橋PMMA樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、シリカ粒子、石英粒子、シリカ繊維、石英繊維及びガラス繊維が好ましく、架橋PMMA樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、シリカ粒子及び石英粒子が特に好ましい。
(B−1)成分及び(B−2)成分の光拡散剤の配合量は、(A)成分の芳香族PC樹脂100質量部に対してそれぞれ0.01〜20質量部であることを要し、好ましくは0.05〜5質量部である。この光拡散剤の配合量が0.01質量部以下であると、光拡散性が発現せず、輝度が低下し、20質量部を超えると光拡散性が過剰となり、輝度が低下する。
なお、PC系の光拡散性樹脂組成物中の光拡散剤は、電子顕微鏡(SEM)又は走査型レーザー顕微鏡を用いて、成形品の断面を1000倍程度に拡大して、その存在及び添加量を確認することができる。
なお、PC系の光拡散性樹脂組成物中の光拡散剤は、電子顕微鏡(SEM)又は走査型レーザー顕微鏡を用いて、成形品の断面を1000倍程度に拡大して、その存在及び添加量を確認することができる。
本発明のPC系の光拡散性樹脂組成物においては、場合により(C)成分の蛍光増白剤を添加することができる。該蛍光増白剤は、樹脂組成物の色調を白色もしくは青白色にするものであれば特に制限はない。該蛍光増白剤としては、例えば、スチルベン系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、ベンズオキサゾール系化合物、ナフタルイミド系化合物、ローダミン系化合物、クマリン系化合物及びオキサジン系化合物等が挙げられる。蛍光増白剤は、光線の紫外部のエネルギーを吸収し、このエネルギーを可視部に放射する作用を有するものである。該蛍光増白剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。該蛍光増白剤は、市販品を使用することができ、市販品としては、例えば、Blamkophor(バイエル(株)製、商品名)、Hakkol(昭和化学(株)製、商品名)、Hostalux、Leucophor(クライアントジャパン(株)製、商品名)、Illuminarl(昭和化工(株)製、商品名)、Kayaphor(日本化薬(株)製、商品名)、Kaycoll(日本曹達(株)製、商品名)、Mikawhite(日本化薬(株)・三菱化学(株)製、商品名)、Mikephor(三井ビーエーエスエフ染料(株)、商品名)、Nikkabright((株)日本化学工業所製、商品名)、Tasphor(バイエル(株)製、商品名)、Whitex(住友化学(株)、商品名)等を挙げることができる。
これら蛍光増白剤の配合量は、(A)成分の芳香族PC樹脂100質量部に対して0〜0.1質量部であり、より好ましくは0.0001〜0.05質量部である。この蛍光増白剤の配合量が0.0001質量部より少ないと色調改良効果が不十分であり、0.1質量部を超えると色ムラが発生し、色調が低下することがある。
これら蛍光増白剤の配合量は、(A)成分の芳香族PC樹脂100質量部に対して0〜0.1質量部であり、より好ましくは0.0001〜0.05質量部である。この蛍光増白剤の配合量が0.0001質量部より少ないと色調改良効果が不十分であり、0.1質量部を超えると色ムラが発生し、色調が低下することがある。
本発明のPC系の光拡散性樹脂組成物において、(D)成分の耐光剤は、紫外線吸収スペクトルにおける極大波長が290〜330nmである紫外線吸収剤である。該耐光剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、マロン酸エステル系化合物、オキサリルアラニド系化合物、及びベンゾトリアゾール系骨格を有する側鎖を持つアクリルポリマーから選ばれるものが好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
べンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、より好ましくは、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2'−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等を挙げることができる。
マロン酸エステル系化合物としては、例えば、ベンジリデンビスジエチルマロネート、4−メトキシフェニル−メチレン−ジメチルエステル等を挙げることができる。
オキサリルアラニド系化合物としては、炭素数1〜12の炭化水素基を有するオキサリルアラニド化合物等を挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系骨格を有する側鎖を持つアクリルポリマーとしては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)側鎖に2−(5−t−オクチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール基が結合した化合物等を挙げることができる。
(D)成分の耐光剤の配合量は、(A)成分の芳香族PC樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部である。この耐光剤の配合量が0.01質量部未満では耐光性の発現が不十分であり、5質量部を超えると初期の色調が低下することがある。
べンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、より好ましくは、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2'−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等を挙げることができる。
マロン酸エステル系化合物としては、例えば、ベンジリデンビスジエチルマロネート、4−メトキシフェニル−メチレン−ジメチルエステル等を挙げることができる。
オキサリルアラニド系化合物としては、炭素数1〜12の炭化水素基を有するオキサリルアラニド化合物等を挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系骨格を有する側鎖を持つアクリルポリマーとしては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)側鎖に2−(5−t−オクチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール基が結合した化合物等を挙げることができる。
(D)成分の耐光剤の配合量は、(A)成分の芳香族PC樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部である。この耐光剤の配合量が0.01質量部未満では耐光性の発現が不十分であり、5質量部を超えると初期の色調が低下することがある。
本発明のPC系の光拡散性樹脂組成物には、(E)成分として、粘度平均分子量が1000〜20万の熱可塑性アクリル系樹脂を配合することが好ましい。粘度平均分子量がこの範囲にあると、(A)成分の芳香族PC樹脂との相溶性が良好となる。なお、この粘度平均分子量(Mv)は、オストワルド型粘度計にて、25℃におけるクロロホルム溶液の極限粘度[η]を測定し、次の関係式により平均重合度PAを求め、計算した。logPA=1.613log([η]×104/8.29)
本発明に用いる熱可塑性アクリル系樹脂とは、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリル及びその誘導体のモノマー単位を繰り返し単位とするポリマーをいい、単独重合体又は上記単位を2種以上有する共重合体あるいはスチレン、ブタジエン等との共重合体をいう。具体的にはポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル(PMMA),ポリアクリロニトリル、アクリル酸エチル−アクリル酸−2−クロロエチル共重合体、アクリル酸−n−ブチル−アクリロニトリル共重合体、アクリルニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等である。これらの中でも、特に、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を好適に用いることができる。
このポリメタクリル酸メチル(PMMA)は公知のものでよく、通常、過酸化物、アゾ系の重合開始剤の存在下、メタクリル酸メチルモノマ−の塊状重合により製造される。
(E)成分の熱可塑性アクリル系樹脂の配合量は、(A)成分の芳香族PC樹脂100質量部に対して、通常0.01〜1質量部程度が好ましく、0.02〜0.8質量部程度がより好ましい。このアクリル系樹脂の配合量が0.01質量部未満ではベース樹脂マトリックスである(A)成分の芳香族PC樹脂の導光性が低下しやすく、結果として輝度が低下する恐れがある。また、この配合量が1質量部を超えると、アクリル系樹脂成分の相分離が激しくなり、白濁しやすいので、ベース樹脂マトリックスである(A)成分の芳香族PC樹脂の導光性が低下し、輝度が低下することがある。
本発明に用いる熱可塑性アクリル系樹脂とは、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリル及びその誘導体のモノマー単位を繰り返し単位とするポリマーをいい、単独重合体又は上記単位を2種以上有する共重合体あるいはスチレン、ブタジエン等との共重合体をいう。具体的にはポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル(PMMA),ポリアクリロニトリル、アクリル酸エチル−アクリル酸−2−クロロエチル共重合体、アクリル酸−n−ブチル−アクリロニトリル共重合体、アクリルニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等である。これらの中でも、特に、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を好適に用いることができる。
このポリメタクリル酸メチル(PMMA)は公知のものでよく、通常、過酸化物、アゾ系の重合開始剤の存在下、メタクリル酸メチルモノマ−の塊状重合により製造される。
(E)成分の熱可塑性アクリル系樹脂の配合量は、(A)成分の芳香族PC樹脂100質量部に対して、通常0.01〜1質量部程度が好ましく、0.02〜0.8質量部程度がより好ましい。このアクリル系樹脂の配合量が0.01質量部未満ではベース樹脂マトリックスである(A)成分の芳香族PC樹脂の導光性が低下しやすく、結果として輝度が低下する恐れがある。また、この配合量が1質量部を超えると、アクリル系樹脂成分の相分離が激しくなり、白濁しやすいので、ベース樹脂マトリックスである(A)成分の芳香族PC樹脂の導光性が低下し、輝度が低下することがある。
本発明のPC系の光拡散性樹脂組成物には、さらに、以下の(F)、(G)及び(H)成分を配合することができる。
(F)成分のリン系安定剤を配合すると、本発明のPC系光拡散性樹脂組成物における成形時の熱安定を向上させることができる。このリン系安定剤は、リン酸系化合物及び芳香族ホスフィン化合物から選ばれる化合物が好ましく、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。リン酸系化合物としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸及びこれらのエステル等が挙げられる。具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4'−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト及びベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましい。
(F)成分のリン系安定剤を配合すると、本発明のPC系光拡散性樹脂組成物における成形時の熱安定を向上させることができる。このリン系安定剤は、リン酸系化合物及び芳香族ホスフィン化合物から選ばれる化合物が好ましく、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。リン酸系化合物としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸及びこれらのエステル等が挙げられる。具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4'−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト及びベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましい。
(F)成分のリン系安定剤のうちの芳香族ホスフィン化合物としては、例えば、一般式(1)
P−(X)3 (1)
(式中、Xは炭化水素基であり、少なくともその1つは置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基である。)で表わされる芳香族ホスフィン化合物が挙げられる。
具体的には、トリフェニルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、ジフェニルオクタデシルホスフィン、トリス−(p−トリル)ホスフィン、トリス−(p−ノニルフェニル)ホスフィン、トリス−(ナフチル)ホスフィン、ジフェニル−(ヒドロキシメチル)−ホスフィン、ジフェニル−(アセトキシメチル)−ホスフィン、ジフェニル−(β−エチルカルボキシエチル)−ホスフィン、トリス−(p−クロロフェニル)ホスフィン、トリス−(p−フルオロフェニル)ホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィン、ジフェニル−β−シアノエチルホスフィン、ジフェニル−(p−ヒドロキシフェニル)−ホスフィン、ジフェニル−1,4−ジヒドロキシフェニル−2−ホスフィン、フェニルナフチルベンジルホスフィン等が挙げられる。中でも、特にトリフェニルホスフィンが好適に用いられる。
(F)成分のリン系安定剤の配合量は、(A)成分の芳香族PC樹脂100質量部に対して、通常0.001〜1質量部程度が好ましく、0.001〜0.5質量部程度がより好ましい。この配合量が0.001〜1質量部の範囲内であると、成形時の熱安定性を向上させることができる。
P−(X)3 (1)
(式中、Xは炭化水素基であり、少なくともその1つは置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基である。)で表わされる芳香族ホスフィン化合物が挙げられる。
具体的には、トリフェニルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、ジフェニルオクタデシルホスフィン、トリス−(p−トリル)ホスフィン、トリス−(p−ノニルフェニル)ホスフィン、トリス−(ナフチル)ホスフィン、ジフェニル−(ヒドロキシメチル)−ホスフィン、ジフェニル−(アセトキシメチル)−ホスフィン、ジフェニル−(β−エチルカルボキシエチル)−ホスフィン、トリス−(p−クロロフェニル)ホスフィン、トリス−(p−フルオロフェニル)ホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィン、ジフェニル−β−シアノエチルホスフィン、ジフェニル−(p−ヒドロキシフェニル)−ホスフィン、ジフェニル−1,4−ジヒドロキシフェニル−2−ホスフィン、フェニルナフチルベンジルホスフィン等が挙げられる。中でも、特にトリフェニルホスフィンが好適に用いられる。
(F)成分のリン系安定剤の配合量は、(A)成分の芳香族PC樹脂100質量部に対して、通常0.001〜1質量部程度が好ましく、0.001〜0.5質量部程度がより好ましい。この配合量が0.001〜1質量部の範囲内であると、成形時の熱安定性を向上させることができる。
(G)成分のオルガノポリシロキサンは、(A)成分の芳香族PC樹脂との屈折率差が0.1以下のものが好ましく、このオルガノポリシロキサンを配合すると、本発明のPC系の光拡散性樹脂組成物における成形時の熱安定を向上させることができる。また、上記屈折率差とすることにより、透明性が低下しにくい、光線透過率が低下しにくいという効果が得られる。
オルガノポリシロキサンとしては、フェニル基、ジフェニル基、ビニル基又はアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、各種ペントキシ基、各種ヘプトキシ基、各オクトキシ基など)を有するオルガノポリシロキサン、フェニル基とジフェニル基を有するオルガノポリシロキサン、ビニル基とアルコキシ基を有するオルガノポリシロキサン、フェニル基とアルコキシ基とビニル基を有するオルガノポリシロキサンが好ましい。より好ましくは、フェニル基、メトキシ基又はビニル基を有するオルガノポリシロキサンを挙げることができる。中でもフェニル基及び/又はジフェニル基、ビニル基及び/又はアルコキシ基を有するオルガノポリシロキサンが好ましい。
(G)成分のオルガノポリシロキサンの配合量は、(A)成分の芳香族PC樹脂100質量部に対して、通常0.01〜1質量部程度が好ましく、0.02〜1質量部程度がより好ましい。この配合量が0.01〜1質量部の範囲内であると、成形時の熱安定性をより向上させることができる。
オルガノポリシロキサンとしては、フェニル基、ジフェニル基、ビニル基又はアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、各種ペントキシ基、各種ヘプトキシ基、各オクトキシ基など)を有するオルガノポリシロキサン、フェニル基とジフェニル基を有するオルガノポリシロキサン、ビニル基とアルコキシ基を有するオルガノポリシロキサン、フェニル基とアルコキシ基とビニル基を有するオルガノポリシロキサンが好ましい。より好ましくは、フェニル基、メトキシ基又はビニル基を有するオルガノポリシロキサンを挙げることができる。中でもフェニル基及び/又はジフェニル基、ビニル基及び/又はアルコキシ基を有するオルガノポリシロキサンが好ましい。
(G)成分のオルガノポリシロキサンの配合量は、(A)成分の芳香族PC樹脂100質量部に対して、通常0.01〜1質量部程度が好ましく、0.02〜1質量部程度がより好ましい。この配合量が0.01〜1質量部の範囲内であると、成形時の熱安定性をより向上させることができる。
本発明のPC系の光拡散性樹脂組成物には、上記各成分の他に、必要に応じて各種添加剤を配合することができる。この各種添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、エステル系、等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系等の光安定剤、通常用いられる難燃化剤、難燃助剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤等が挙げられる。
本発明のPC系の光拡散性樹脂組成物は、通常用いられる方法で混練することにより製造することができる。例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等により行なうことができる。混練に際しての加熱温度は、通常、240〜280℃程度が適当である。
本発明のPC系の光拡散性樹脂組成物は、成形することにより光拡散板等の成形体とすることができる。光拡散板の場合、その厚みは、製品組み込み時にたわみにくい、反りにくいという点から、通常0.5〜3mm程度である。
光拡散板は、液晶ディスプレイ分野、光学部品の用途、ガラス代替用途で好適に使用することができる。光学部品としては、例えば、光学レンズ、導光板(導光体)、光拡散板等の光学素子などが挙げられ、ガラス代替用途としては、街路灯カバー、車両用及び建材用合わせガラスなどが挙げられる。
光拡散板は、液晶ディスプレイ分野、光学部品の用途、ガラス代替用途で好適に使用することができる。光学部品としては、例えば、光学レンズ、導光板(導光体)、光拡散板等の光学素子などが挙げられ、ガラス代替用途としては、街路灯カバー、車両用及び建材用合わせガラスなどが挙げられる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた材料の種類は、下記のとおりである。なお、(B−1)成分及び(B−2)成分の成形品中における存在、及び添加量の確認は電子顕微鏡(SEM)又はレーザー顕微鏡を用いて、成形品の断面を1000倍程度に拡大して確認することにより行なう。
(A)芳香族PC樹脂
タフロンFN1500(商品名、出光興産(株)製、粘度平均分子量18000、屈折率1.585)
(B)光拡散剤
MBX5:積水化成品工業(株)製、架橋アクリル粒子、
XX03BZ:積水化成品工業(株)製、架橋アクリル粒子、
XX02BZ:積水化成品工業(株)製、架橋アクリツ樹脂
(C)蛍光増白剤
ホルスタックKS:クラリアントジャパン(株)製、蛍光増白剤
(D)耐光剤
ケミソープ79:ケミプロ化成(株)製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
ホスタビンB−CAP:クラリアントジャパン(株)製、マロン酸エステル系紫外線吸収剤(最大吸収波長340nm(ジオキサン溶液))
(E)熱可塑性アクリル樹脂:三菱レーヨン(株)製、BR−83(粘度平均分子量40000)
(F)リン系安定剤
トリフェニルホスフィン:JC−263(商品名、城北化学(株)製)
(G)オルガノポリシロキサン:信越シリコーン(株)製、KR511(フェニル基、メトキシ基及びビニル基を有するオルガノポリシロキサン、屈折率1.518)
実施例及び比較例で用いた材料の種類は、下記のとおりである。なお、(B−1)成分及び(B−2)成分の成形品中における存在、及び添加量の確認は電子顕微鏡(SEM)又はレーザー顕微鏡を用いて、成形品の断面を1000倍程度に拡大して確認することにより行なう。
(A)芳香族PC樹脂
タフロンFN1500(商品名、出光興産(株)製、粘度平均分子量18000、屈折率1.585)
(B)光拡散剤
MBX5:積水化成品工業(株)製、架橋アクリル粒子、
XX03BZ:積水化成品工業(株)製、架橋アクリル粒子、
XX02BZ:積水化成品工業(株)製、架橋アクリツ樹脂
(C)蛍光増白剤
ホルスタックKS:クラリアントジャパン(株)製、蛍光増白剤
(D)耐光剤
ケミソープ79:ケミプロ化成(株)製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
ホスタビンB−CAP:クラリアントジャパン(株)製、マロン酸エステル系紫外線吸収剤(最大吸収波長340nm(ジオキサン溶液))
(E)熱可塑性アクリル樹脂:三菱レーヨン(株)製、BR−83(粘度平均分子量40000)
(F)リン系安定剤
トリフェニルホスフィン:JC−263(商品名、城北化学(株)製)
(G)オルガノポリシロキサン:信越シリコーン(株)製、KR511(フェニル基、メトキシ基及びビニル基を有するオルガノポリシロキサン、屈折率1.518)
実施例1〜12、比較例1〜6
表1に示す割合で各成分を混合した後、単軸混練押出機(口径40mmφ)にて280℃、スクリュー回転数100rpmの条件で混練し、ペレット化した。なお、表1において、各添加剤の量(phr)は、PC樹脂100質量部に対する値である。
このペレットを射出成形機にて、成形温度300℃、金型温度100℃の条件で評価用成形体(140mm角板、厚さ2mm)を作製し、下記の方法により評価した。結果を表2に示す。
(1)全光線透過率、ヘイズ
JIS K7105に記載の光線透過率測定法に準拠して測定した。
(2)色相評価
分光光度計(マクベス社製、LCM2020プラス)を用い、F光源、10度視野の条件でYI、色度(x、y)を測定した。
(3)輝度、輝度ムラの評価
508mm(20インチ)サイズの直下型バックライト上に上記成形品及び拡散フィルム(厚み100μm、ヘイズ50%)を固定し、ミノルタ製色彩色差計を用いて蛍光管直上及び、蛍光管直上と蛍光管の中間部の輝度を計測したものを平均し輝度を評価。また目視にて蛍光管のイメージが消えているかをもとに輝度ムラを判定した。
表1に示す割合で各成分を混合した後、単軸混練押出機(口径40mmφ)にて280℃、スクリュー回転数100rpmの条件で混練し、ペレット化した。なお、表1において、各添加剤の量(phr)は、PC樹脂100質量部に対する値である。
このペレットを射出成形機にて、成形温度300℃、金型温度100℃の条件で評価用成形体(140mm角板、厚さ2mm)を作製し、下記の方法により評価した。結果を表2に示す。
(1)全光線透過率、ヘイズ
JIS K7105に記載の光線透過率測定法に準拠して測定した。
(2)色相評価
分光光度計(マクベス社製、LCM2020プラス)を用い、F光源、10度視野の条件でYI、色度(x、y)を測定した。
(3)輝度、輝度ムラの評価
508mm(20インチ)サイズの直下型バックライト上に上記成形品及び拡散フィルム(厚み100μm、ヘイズ50%)を固定し、ミノルタ製色彩色差計を用いて蛍光管直上及び、蛍光管直上と蛍光管の中間部の輝度を計測したものを平均し輝度を評価。また目視にて蛍光管のイメージが消えているかをもとに輝度ムラを判定した。
本発明のポリカーボネート系の光拡散性樹脂組成物は、液晶ディスプレイ分野等おける光拡散板用途、光学レンズ、導光板(導光体)、光拡散板等の光学素子、街路灯カバー、車両用及び建材用ガラス等におけるガラス代替用途に好適である。
Claims (9)
- (A)芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、
(B−1)平均粒径が、0.01〜30μmの光拡散剤の少なくとも一種を0.01〜20質量部、
(B−2)平均粒径が50〜250μmの光拡散剤の少なくとも一種を0.1〜20質量部、
(C)蛍光増白剤を0〜0.1質量部配合してなる光拡散性樹脂組成物。 - さらに、(D)耐光剤の少なくとも一種を0.01〜5質量部配合してなる請求項1に記載の光拡散性樹脂組成物。
- さらに、(E)熱可塑性アクリル系樹脂を0.01〜1質量部配合してなる請求項1又は2に記載の光拡散性樹脂組成物。
- さらに、(F)リン系安定剤を0.001〜1質量部配合してなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
- さらに、(G)芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率差が0.1以下のオルガノポリシロキサンを0.01〜1質量部配合してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
- (B−1)成分又は(B−2)成分の光拡散剤が、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、シリカ粒子、石英粒子、シリカ繊維、石英繊維、ガラス繊維から選ばれたいずれか一種又は二種以上の組み合わせである請求項1〜5のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
- (E)熱可塑性アクリル系樹脂が、粘度平均分子量1000〜20万を有するものである請求項3〜6のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
- (F)リン系安定剤が、リン酸エステル化合物及び芳香族ホスフィン化合物から選ばれる少なくとも一種である請求項4〜7のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物を成形してなる厚み0.5〜3mmの光拡散板。
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- 2005-03-17 JP JP2005077822A patent/JP2006257299A/ja active Pending
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