JP2006256879A - シリコン単結晶引上装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震などによる突発的なトラブルでも大きな影響を受けることがないシリコン単結晶引上装置を提供する。
【解決手段】本シリコン単結晶引上装置は、ワイヤーを非接触状態で貫通して配置されたワイヤー揺動抑制リングと、ワイヤー揺動抑制リングを保持する複数のワイヤー揺動抑制ワイヤーと、ワイヤー揺動抑制ワイヤーの張力を検知するワイヤー張力検知手段を有し、ワイヤー張力検知手段により検知された張力を調整するワイヤー張力調整手段を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明はシリコン単結晶引上装置に係り、特に育成中のシリコン単結晶の揺れ抑制機構を備えたシリコン単結晶引上装置に関する。
従来、チョクラルスキー法(CZ法)を用いてシリコン単結晶(以下、単に単結晶という)を製造する場合は単結晶シリコンを種結晶として用い、これをシリコン融液に接触させた後、回転させながらゆっくりと引上げることで育成させている。
この育成工程中、地震などの理由により単結晶に揺れが生じた場合、その程度が小さい時は回転数を調整する程度で単結晶の育成への悪影響を回避できる。しかし、単結晶の揺れが大きい時は単結晶育成の中断、もしくは再溶融からのやり直しが強いられ、さらに、単結晶と部材の接触、あるいは単結晶の落下により炉内部材や炉本体そのものに損傷を与えるおそれがある。
なお、特許文献1には引上げ軸横振れ防止装置が、特許文献2にはCCDカメラを用いて単結晶の振れを検出する方法が、特許文献3にはシードホルダー及びワイヤーの支持体の回転軸心から振れを検出し、この検出された振れを防止しうるワイヤーの支点位置を算出し、その支点位置にワイヤーの支点を移動させる単結晶引上装置が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、大きな揺れが発生した場合は、特許文献1の第1図に示すガイド32を支点として、シードチャック23に揺れが発生してしまうため、単結晶落下等の問題が発生する可能性がある。また、特許文献2に記載の構成は、揺れを検出する方法であり、揺れを防止する手段は記載されていない。さらに、特許文献3に記載の構成では、揺れに応じて、ワイヤーの支点位置が横方向に移動してしまうため、単結晶育成時において、ルツボ内の融液の回転中心と、引上げて回転している単結晶の回転中心にズレが生じ、育成している単結晶が変形し、直径の制御が困難となるので好ましくない。
特開昭60−65789号公報 特開昭63−170296号公報 特開昭62−252396号公報
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、揺れの発生に伴いシリコン単結晶の育成条件を変更する必要がなく、特に揺れの程度が大きい場合にも再溶融の頻度を低減させることができ、地震などによる突発的なトラブルでも大きな影響を受けることがないシリコン単結晶引上装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明に係るシリコン単結晶引上装置は、炉本体に内装された石英ガラスルツボ内のシリコン融液にワイヤーに取付けられた種結晶を浸漬してシリコン単結晶を引上げるチョクラルスキー法を用いたシリコン単結晶引上装置において、
前記ワイヤーを非接触状態で貫通して配置されたワイヤー揺動抑制リングと、前記ワイヤー揺動抑制リングを保持する複数のワイヤー揺動抑制ワイヤーと、前記ワイヤー揺動抑制ワイヤーの張力を検知するワイヤー張力検知手段を有し、前記ワイヤー張力検知手段により検知された張力を調整するワイヤー張力調整手段を備えることを特徴とする。
好適には、前記ワイヤーは、前記ワイヤー揺動抑制リングの中心軸に、位置される。
また、好適には、前記ワイヤー揺動抑制ワイヤーは、可撓性である。
本発明に係るシリコン単結晶引上装置によれば、揺れの発生に伴いシリコン単結晶の育成条件を変更する必要がなく、特に揺れの度合が大きい場合にも再溶融の頻度を低減させることができ、地震などによる突発的なトラブルでも大きな影響を受けることがないシリコン単結晶引上装置を提供することができる。
以下、本発明に係るシリコン単結晶引上装置の一実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るシリコン単結晶引上装置の概念図である。
図1に示すように、本発明に係るシリコン単結晶引上装置1は、監視窓2aを備えた気密性の炉本体2と、炉本体2に内装された原料シリコン溶融用の石英ガラスルツボ3と、この石英ガラスルツボ3を支持する黒鉛ルツボ4と、この黒鉛ルツボ4を囲繞し石英ガラスルツボ3内の原料シリコンを加熱して溶融するヒータ5と、このヒータ5、石英ガラスルツボ3および黒鉛ルツボ4を囲繞し保温する保温材6を備えている。
また、チャンバー2には、不活性ガス供給装置7から不活性ガスGを供給する不活性ガス供給手段7aと、チャンバー2の炉本体底部2bを貫通し、チャンバー2外に不活性ガスGを排出する排出口8が設けられている。また、石英ガラスルツボ3は、ルツボ回転昇降機構9により回転昇降自在なルツボ回転軸10に取り付けられている。
さらに、炉本体2の上部には引上機構11が設けられている。この引上機構11には種結晶Sを固定するチャック12を具備するワイヤー13が昇降自在に設けられている。また、石英ガラスルツボ3の上方にはルツボ壁3aに対向して輻射シールド14が設けられ、この輻射シールド14は、育成する単結晶を同心円の軸として取り囲む構成になっている。
引上チャンバ2cにはワイヤー揺動防止機構15が設けられている。
詳しくは、このワイヤー揺動防止機構15は、図2に示すように、炉本体2の引上チャンバー2c外に均等角度、例えば120°の離間角度で離間配置されたワイヤー張力調整手段としてのサーボモータを備えた複数(図2では3個)のサーボ機構15aと、ワイヤー13が非接触状態で貫通して、配置されたワイヤー揺動抑制リング(以下、単にリングという。)15bと、このリング15bを保持し、複数のサーボ機構15aに接続されている同一長さの複数(図2では3本)のワイヤー揺動抑制ワイヤー(以下、単に揺動抑制ワイヤーという。)15cを備え、通常時では、この複数の揺動抑制ワイヤー15cには、等しく例えば、50〜100kgfの張力がかかるように、複数のサーボ機構15aにより調整されている。揺動抑制ワイヤー15cにはサーボ機構15a内に設けられたワイヤー張力検知手段、例えば、張力検知センサー15dが備えられている。さらに、サーボ機構15aは制御装置16に接続されており、この制御装置16により、張力検知センサー15dで検知された張力の変化に応じて、適時その張力を調整できる。
前記ワイヤーは、前記ワイヤー揺動抑制リングの中心軸に、位置されていることが好ましい。これにより、地震等によりワイヤーに揺動が発生した場合に、揺れに対するその調整が全方向に対して均等になる。
前記ワイヤー揺動抑制ワイヤーは、可撓性であることが好ましい。これにより、剛性を有する支持棒などで支持する場合に比べて、ワイヤーの揺動を吸収し、速やかに揺動を減衰することができる。
また、制御装置16はヒータ5への入力を制御するヒータ入力制御器5a、ガス導入制御手段7a、ルツボ回転昇降機構8を制御するルツボ回転昇降制御器8a、引上げ機構11を制御する引上げ機構制御器11a、引上げ機構11に取付けられ、引上げられる単結晶の重量を検知する重量検知センサー11b、育成された単結晶の直径を検知するCCDカメラ17などに接続されており、それぞれ適時制御することができる。
次に本発明に係るシリコン単結晶引上装置を用いたシリコン単結晶の引上げ方法について説明する。
図1に示すように、石英ガラスルツボ3に原料シリコンを充填し、石英ガラスルツボ3の周囲に配置されたヒータ5により加熱して溶融し、融液Mにする。
しかる後、ガス導入制御手段7aを制御し、不活性ガス供給装置7から炉本体2に不活性ガスGを導入し、ルツボ回転昇降機構9により石英ガラスルツボ3を回転させ、引上機構11のワイヤー13に設けられたチャック12に取付けられた種結晶を降下させて、融液Mに浸漬した後、引上機構11によりワイヤー13を巻取り、回転させて単結晶の育成を行う。
この育成過程において、地震などにより単結晶Ig及びワイヤー13が揺れると、ワイヤー13がリング15bに接触し、このリング15bを介して揺動抑制ワイヤー15cに張力の変化が生じる。この張力の変化は張力検知センサー15dによって検知され、この張力情報信号は制御装置16に送られる。
張力情報信号を受信した制御装置16は、サーボ機構15aを作動させ、ワイヤー13が揺れと反対方向すなわちワイヤー13がリング15bに接触した反対方向に位置する揺動抑制ワイヤー15cの張力を増加させて、ワイヤー13の通常の垂下位置に戻し、複数の揺動抑制ワイヤー15cの張力を均一に復帰させる。
これにより、育成中に単結晶Ig及びワイヤー13に揺動が発生しても、リング15bを支点としてワイヤー13の揺動は速やかに抑制されて、揺れが増幅する前に対処することが可能であり、揺れの発生により単結晶の回転数の調整など育成条件を変更したり、ルツボ内の融液面での育成環境、例えば、石英ルツボ内融液面回転中心と、単結晶の回転中心とのズレが瞬時に抑制されるため、育成している単結晶の変形等を抑制することが可能となり、再溶融の頻度を低減させることができるため、地震などによる突発的な揺れ発生時の被害を最小限に抑えることができる。
上記実施形態のシリコン単結晶引上装置によれば、ワイヤー揺動防止機構を備えることで、揺れの発生に伴い単結晶の育成条件を変更する必要がなく、特に揺れの度合が大きい場合にも再溶融の頻度を低減させることができ、地震などによる突発的なトラブルでも大きな影響を受けることがないシリコン単結晶引上装置が実現される。
図1に示すシリコン単結晶引上装置を用い直径300mm、長さ1m50cmのダミーインゴットをワイヤーに取付け、強制的に揺れを発生させて、揺れの経時変化を調べた(実施例)。
また、比較例としてワイヤー揺動防止機構を備えていないシリコン単結晶引上装置を用い同様の試験を行った。
結果を図3に示す。
実施例は揺動発生後約1分に揺れ幅のピークがあるが、そのピーク値も5.5mmと小さく、さらに、その揺動は速やかに減衰することがわかった。
これに対して、比較例は揺動発生後約3分に揺れ幅のピークがあり、そのピーク値も9.5mmと極めて大きく、さらに、その揺動は減衰が遅く長時間に渡ることがわかった。
本発明に係るシリコン単結晶引上装置の概念図。 本発明に係るシリコン単結晶引上装置に用いられるワイヤー揺動防止機構の概念図。 本発明に係るシリコン単結晶引上装置を用いた揺動抑制試験の結果図。
符号の説明
1 シリコン単結晶引上装置
2 炉本体
2c 引上チャンバー
3 石英ガラスルツボ
4 黒鉛ルツボ
5 ヒータ
6 保温材
7 不活性ガス供給装置
9 ルツボ回転昇降機構
10 ルツボ回転軸
11 引上機構
13 ワイヤー
15 ワイヤー揺動防止機構
15a サーボ機構
15b ワイヤー揺動抑制リング
15c ワイヤー揺動抑制ワイヤー
15d 張力センサー
16 制御装置

Claims (3)

  1. 炉本体に内装された石英ガラスルツボ内のシリコン融液にワイヤーに取付けられた種結晶を浸漬してシリコン単結晶を引上げるチョクラルスキー法を用いたシリコン単結晶引上装置において、前記ワイヤーを非接触状態で貫通して配置されたワイヤー揺動抑制リングと、前記ワイヤー揺動抑制リングを保持する複数のワイヤー揺動抑制ワイヤーと、前記ワイヤー揺動抑制ワイヤーの張力を検知するワイヤー張力検知手段を有し、前記ワイヤー張力検知手段により検知された張力を調整するワイヤー張力調整手段を備えることを特徴とするシリコン単結晶引上装置。
  2. 前記ワイヤーは、前記ワイヤー揺動抑制リングの中心軸に、位置されていることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶引上装置。
  3. 前記ワイヤー揺動抑制ワイヤーは、可撓性であることを特徴とする請求項1、2に記載のシリコン単結晶引上装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114481300A (zh) * 2020-11-12 2022-05-13 内蒙古中环协鑫光伏材料有限公司 一种单晶炉直拉对中校准系统及校准方法

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