しかしながら、特許文献1に記載の遊技機は、遊技球が始動入賞口に入賞すると、大当たり抽選の当否結果が液晶ディスプレイに表示されると同時に入賞装置の羽根役物が開放し、第1種の遊技ルールに準ずる遊技と第2種の遊技ルールに準ずる遊技とが常に同時進行する。このため、例えば、液晶ディスプレイに気を取られ、羽根役物の開放を見逃すことがないように注意深く遊技を行う必要が生じ、遊技の難易度が高くなるという問題がある。また、大当たりを契機に遊技ルールを切り換える特許文献2に記載の遊技機は、いずれか一方の遊技ルールにおいて、低確率である大当たりが得られるまでは2種類の遊技ルールに基づく遊技を楽しむことができず、1台の遊技機で2種類の遊技が行えるようにした価値が小さいという欠点がある。
本発明は、上記問題点を考慮し、遊技の難易度が高くなることを防ぎ、異なる遊技ルールに基づく遊技をバランスよく行うことができる遊技機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の遊技機は、始動入賞口に遊技球が入賞したときに、始動入賞口と異なる特定入賞口に遊技球が入賞することを補助する可動体を作動させるか否かを決める契機とする大当たり抽選を行う大当たり抽選手段と、大当たり抽選が行われてから所定時間の経過後に大当たり抽選の結果を表示する抽選結果表示手段とを備えた遊技機において、前記始動入賞口に遊技球が入賞することにより大当たり抽選が行われてからその結果を表示するまでの時間中に、前記始動入賞口に次の遊技球が入賞した場合を保留入賞とし、この保留入賞の発生ごとに行われた大当たり抽選の情報をその結果が表示されるまで記憶する抽選情報記憶手段と、保留入賞の発生ごとに保留入賞の数を1加算し、保留入賞の発生時に行われた大当たり抽選の結果を表示する時に保留入賞の数を1減算する保留入賞計数手段と、保留入賞の数が予め設定された上限数に達した状態で前記始動入賞口に遊技球が入賞したときに、前記抽選情報記憶手段による大当たり抽選の情報の記憶と、前記保留入賞計数手段による保留入賞の数の加算を禁止し、保留入賞を無効化する保留入賞無効化手段と、大当たり抽選に当選したときに前記可動体を作動させる第1の可動体制御手段と、前記保留入賞無効化手段により保留入賞が無効化されたときに前記可動体を作動させる第2の可動体制御手段とを備えたことを特徴とする。
前記第1の可動体制御手段は、大当たり抽選に当選した際に、予め定めた個数の遊技球が前記特定入賞口に入賞したことを終了条件とし、この終了条件が成立したときに前記可動体の作動を一度終了した後、前記可動体の作動した回数が予め定めた最大継続回数に達するまで前記可動体の作動を再開することを特徴とする。
前記特定入賞口の内部には、遊技球を検出する複数のセンサが設けられ、前記第2の可動体制御手段は、保留入賞が無効化された際に、前記可動体を予め定めた時間だけ作動させる通常モードと、前記可動体が作動する作動状態と前記可動体が作動しない非作動状態とを交互に切り換える特殊モードとを実行し、通常モードでは、前記可動体が作動したときに前記特定入賞口に入賞した遊技球が前記複数のセンサのうちの特定のセンサによって検出されたことを移行条件として特殊モードに移行し、特殊モードでは、予め定めた個数の遊技球が前記特定入賞口に入賞したこと、又は前記作動状態に切り換えられた回数が予め定めた最大作動回数に達したことを終了条件として、前記可動体の作動を終了することを特徴とする。
前記第2の可動体制御手段は、前記保留入賞計数手段により計数される保留入賞の数が前記上限数以下の所定数になるまで前記通常モードを実行し、前記始動入賞口に遊技球が入賞する度に前記可動体を作動させることを特徴とする。
前記抽選結果表示手段は、前記通常モードの実行中に、1回の大当たり抽選の結果を表示することに要する時間を、前記通常モードの実行前よりも長くすることを特徴とする
前記第2の可動体制御手段は、前記特殊モードの実行中に、前記抽選結果表示手段により大当たり抽選に当選したことが表示されたときは、前記特殊モードによる前記可動体の作動を終了し、前記第1の可動体制御手段は、大当たり抽選に当選したことによる前記可動体の作動を開始することを特徴とする。
前記抽選結果表示手段は、前記特殊モードの実行中に、1回の大当たり抽選の結果が表示されるまでの時間を、前記特殊モードにおける終了条件が満たされるまで延長することを特徴とする。
前記可動体は、前記特定入賞口を覆うことにより遊技球の入賞を禁止する位置と、前記特定入賞口を開放することより遊技球を前記特定入賞口に入賞させることを補助する位置とに変位する透明部材を備えていることを特徴とする。
また、始動入賞口に遊技球が入賞したときに、始動入賞口と異なる第1の特定入賞口に遊技球が入賞することを補助する第1の可動体を作動させるか否かを決める契機とする大当たり抽選を行う大当たり抽選手段と、大当たり抽選が行われてから所定時間の経過後に大当たり抽選の結果を表示する抽選結果表示手段とを備えた遊技機において、前記始動入賞口に遊技球が入賞することにより大当たり抽選が行われてからその結果を表示するまでの時間中に、前記始動入賞口に次の遊技球が入賞した場合を保留入賞とし、この保留入賞の発生ごとに行われた大当たり抽選の情報をその結果が表示されるまで記憶する抽選情報記憶手段と、保留入賞の発生ごとに保留入賞の数を1加算し、保留入賞の発生時に行われた大当たり抽選の結果を表示する時に保留入賞の数を1減算する保留入賞計数手段と、保留入賞の数が予め設定された上限数に達した状態で前記始動入賞口に遊技球が入賞したときに、前記抽選情報記憶手段による大当たり抽選の情報の記憶と、前記保留入賞計数手段による保留入賞の数の加算を禁止し、保留入賞を無効化する保留入賞無効化手段と、前記保留入賞無効化手段により保留入賞が無効化されたとき、前記始動入賞口及び前記第1の特定入賞口と異なる第2の特定入賞口に遊技球が入賞することを補助する第2の可動体を作動させる可動体制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項1記載の遊技機によれば、複数回の保留入賞が発生し、大当たり抽選の情報が上限の入賞数まで記憶された状態で始動入賞口に遊技球が入賞したときに、保留入賞を無効化するかわりに遊技球の入賞を補助する可動体を作動させるから、大当たり抽選に当選した時に遊技者に有利な遊技が実行される遊技ルールと、保留入賞が無効化された時に遊技者に有利な遊技が実行される遊技ルールとを適用した遊技機を実現できる。例えば、大当たり抽選の当選時には第1種の遊技ルールに基づく有利な遊技が実行でき、保留入賞が無効化された時には第2種の遊技ルールに基づく有利な遊技を実行できる。第2種の遊技ルールに基づく有利な遊技は、保留入賞が無効化された時だけであるため、異なるルールに基づく遊技が常に同時進行する遊技機に比べ、遊技の難易度が高くなることを抑制できる。また、従来の第1種のパチンコ機では、遊技者は、保留入賞が無効化されることを防ぐために保留入賞の数が上限に達する直前に遊技球の打ち出しを停止する止め打ちを行う必要があるが、本発明では保留入賞を無効化する方が遊技者に有利となる場合が生じるので、遊技者が面倒な止め打ちを行う必要がなくなる。また、第1種の遊技ルールに基づく遊技を行うときと、第2種の遊技ルールに基づく遊技を行うときとで、遊技球の打ち出し強さを変更する必要がなく、狙うべき打ち出し位置を維持できるから、遊技に必要となる操作が複雑にならず、年輩者等にも楽しみやすい遊技機が実現できる。
請求項2記載の遊技機によれば、大当たり抽選に当選した時には、第1種の遊技ルールに基づく有利な遊技を実現でき、従来の第1種のパチンコ機と同様に遊技が行えるから、遊技者が新たな遊技ルールに困惑することがなく、容易に適応できる遊技機とすることができる。また、従来の第1種のパチンコ機では、大当たり抽選に当選した時以外に作動することのなかった可動体が、保留入賞の無効化に伴って作動するから、遊技に意外性をもたせることができる。
請求項3記載の遊技機によれば、保留入賞が無効化された時に、第2種の遊技ルールに基づく有利な遊技を実現でき、従来の第2種のパチンコ機と同様に遊技を行えるから、第2種のパチンコ機を好む遊技者に受け入れられやすい遊技機を実現できる。また、第1種のパチンコ機で遊技を行ったことしかなく、第2種のパチンコ機で遊技を行った経験がない遊技者に、第2種のパチンコ機の面白味を伝えることができる。
請求項4記載の発明によれば、保留入賞が無効化されたことを契機に第2種の遊技ルールに基づく遊技が開始され、保留入賞の数が例えば残り1又は2に減少したときに第2種の遊技ルールに基づく遊技を終了させるから、保留入賞の発生を契機に行われた大当たり抽選の結果が数回分だけ表示されるまでの期間を、第2種の遊技ルールに基づく遊技を楽しむ期間として確保できる。また、始動入賞口に遊技球が入賞しない状態が偶発的に発生した場合には、第2の遊技ルールに基づく遊技が終了した後でも、保留入賞の発生を契機に行われた大当たり抽選の結果を数回分だけ表示させることができる。これにより、大当たり抽選の結果の表示もなされず、可動体も作動しない単調な遊技となる期間が生じることを少なくできる。
請求項5記載の発明によれば、1回の大当たり抽選の結果を表示するまでに要する時間を長くするから、遊技者が第2種の遊技ルールに基づく遊技を楽しむための時間をさらに長く確保できる。
請求項6記載の発明によれば、第1種の遊技ルールに基づく遊技の大当たり発生時に、第2種の遊技ルールに基づく大当たり遊技を中止し、第1種の遊技ルールに基づく大当たり遊技を行えるから、第2種の大当たり遊技により得られる賞球が、比較的少なくされた場合に、遊技者は第2種の遊技により遊技球を消費することを防ぎ、第1種の大当たり遊技により賞球を増やす遊技を行うことができる。また、大当たり抽選に当選したことが表示されたら、大当たり遊技を実行するという慣例的な遊技ルールを変更しないですむため、遊技者が慣れ親しんだ遊技を実行することができる。さらに、1つの入賞装置を使用して2種類の大当たり遊技を同時進行することは、遊技者を困惑させるのみならず、入賞装置の誤作動を招く等の点で無理があるから、第2種の遊技ルールに基づく遊技を中止することでこれらの点を防止できる効果も生じる。
請求項7記載の発明によれば、第2種の遊技ルールに基づく遊技で大当たりが発生することによる大当たり遊技が行われている間は、第1種の遊技ルールに基づく遊技で大当たり抽選に当選しても、第1種の遊技ルールに基づく大当たり遊技が開始されないから、第1種の大当たり遊技と第2種の大当たり遊技が同時に発生せず、第2種の大当たり遊技を中止しなくて済む。遊技者は、第1種の大当たり遊技と第2種の大当たり遊技とを連続して楽しむことができ、遊技の興趣を一層高めることができる。
請求項8記載の発明によれば、第2種の遊技ルールに基づく遊技が実行される際、特定入賞口の内部にある所定のセンサによって遊技球が検知されることを大当たりの発生契機とするから、遊技者は、透明部材を通して遊技球の行く先を見ることができ、遊技球の動きに注目し、期待感を高めながら遊技を行うことができる。
請求項9記載の発明によれば、第1種の遊技ルールに基づく大当たり遊技と、第2種の遊技ルールに基づく大当たり遊技とが、別々の可動体の作動によって実現されるので、従来の第1種のパチンコ機に特有の入賞装置と、第2種のパチンコ機に特有の入賞装置とを1台の遊技機に設けることができ、大当たり抽選の当選時には第1種の遊技ルールに基づく有利な遊技が実行でき、保留入賞が無効化された時には第2種の遊技ルールに基づく有利な遊技を実行できる。第2種の遊技ルールに基づく有利な遊技は、保留入賞が無効化された時のみに行われるため、異なるルールに基づく遊技が常に同時進行する遊技機に比べ、遊技の難易度が高くなることを抑制できる。
図1において、パチンコ機(遊技機)2には、遊技球が打ち出される遊技盤3が組み込まれ、遊技盤3の前にはガラス窓4が設けられた前面扉5が設けられている。遊技盤3には、複数の入賞口や遊技球の経路を変化させる障害釘や各種の構造物が設けられている。打ち出された遊技球は、時間をかけて遊技盤3の盤面上を落下する。盤面上を落下する遊技球の動きは、ガラス窓4を通して見ることができる。
前面扉5の下方には、打ち出す遊技球を入れておくための供給皿6と、遊技球を打ち出す際に操作される操作ハンドル7が設けられている。供給皿6は、打ち出した遊技球が入賞した時に賞球として払い出される遊技球を受けるためにも使用される。操作ハンドル7は、回す角度の大きさによって遊技球を打ち出す強さを調節できる。
図2において、遊技盤3は、その盤面上にガイドレール10が設けられ、ガイドレール10に囲まれた領域が遊技領域となる。遊技領域の中央部には、液晶表示パネルからなる特別図柄表示部11が設けられている。特別図柄表示部11の下には、始動入賞口12、アウト口13が設けられている。特別図柄表示部11の左側と右側にはそれぞれ通過入賞口14,15が設けられている。遊技領域の左下部と右下部には4つの通常入賞口16〜19が設けられている。始動入賞口12又は通常入賞口16〜19に遊技球が入ると、予め決められた個数の遊技球が賞球として払い出される。アウト口13に遊技球が入った場合は賞球の払い出しは行われない。
始動入賞口12に遊技球が入ると、賞球の払い出しに加え、大当たりを決めるための大当たり抽選が行われる。この大当たり抽選に当選すると、始動入賞口12とアウト口13の間に設けられた開閉板(可動体)21が開放する。開閉板21が開放すると、通常では塞がれている大入賞口(図3参照)29が現れる。開閉板21は、アウト口13に向かって落下する途中の遊技球を受け、大入賞口に遊技球が入賞することを補助する。大入賞口29に遊技球が入賞したときの賞球数は全ての入賞口の中で最も多く、開閉板21が開くことにより、打ち出した遊技球の大半が大入賞口に入賞し、多数の賞球が得られることになる。
大当たり抽選の当否の結果は特別図柄表示部11に表示される。特別図柄表示部11には、例えば1列が0〜9の数字からなる3列の特別図柄が表示される。始動入賞口12に遊技球が入賞すると、3列の特別図柄が上から下へ向かってスクロールする変動表示が開始される。特別図柄のスクロールは1列ずつ順次終了し、全ての図柄が停止したときに3つの同じ図柄が一直線状に揃っていると当たり、それ以外ではハズレとなる。3つの同じ図柄が一直線状に揃うためには、2つの同じ図柄が揃い、残り1つの図柄が揃えば当たりとなるリーチ状態を経由する。リーチ状態になると、特別図柄表示部11には通常時に表示される画像に加えて、当たりの信頼度を示す演出画像が表示され、当たりの信頼度が遊技者に告知される。
通過入賞口14,15のいずれかを遊技球が通過すると、始動入賞口12に設けられた電動チューリップ23を開放するか否かを決める小当たり抽選が行われる。電動チューリップ23はソレノイドの駆動により開閉する1対の可動片からなり、これが開放することで始動入賞口12の近傍を落下する遊技球を受けることができる。電動チューリップ23は、遊技球を受け、始動入賞口12に遊技球が入賞することを補助する。小当たり抽選に当選すると、電動チューリップ23が一定時間、例えば0.2秒開く。小当たり抽選の結果は、特別図柄表示部11の上に設けられた普通図柄表示部24により表示される。普通図柄表示部24は、当たりを示す「○」又はハズレ示す「×」の普通図柄を背後のランプを点灯させて表示する。普通図柄表示部24は、「○」又は「×」を交互に点灯させる変動表示を行い、最後に「○」か「×」のいずれかを点灯することによって小当たり抽選の結果を表示する。
普通図柄表示部24の左側と右側にはそれぞれ2個ずつ、合計4個の特別保留入賞表示ランプ26が設けられている。また、普通図柄表示部24の間の位置に、4個の普通保留入賞表示ランプ27が設けられている。特別保留入賞表示ランプ26と普通保留入賞表示ランプ27は、始動入賞口12、通過入賞口14,15に遊技球が入賞した際に発生する保留入賞の数をそれぞれ表示する。保留入賞とは、図柄の変動表示中に始動入賞口12,通過入賞口14,15に遊技球が入賞したことを契機に行われた大当たり抽選,小当たり抽選の情報が記憶され、その抽選結果の表示が保留されたものである。
始動入賞口12への入賞により発生する特別保留入賞の数と、通過入賞口14,15への入賞により発生する普通保留入賞の数は、ともに最大で4回の入賞分まで記憶される。すなわち、それぞれの図柄の変動表示中に始動入賞口12又は通過入賞口14,15への入賞が発生した場合でも、大当たり抽選,小当たり抽選を受ける権利が4回分まで保障される。特別保留入賞の数が4回に達した状態で始動入賞口12に遊技球が入賞した場合には、大当たり抽選の情報は記憶されず、大当たり抽選を受ける権利は無効となる。また、普通保留入賞の数が4回に達した状態で通過入賞口14,15に遊技球が入賞した場合も同様であり、小当たり抽選を受ける権利は無効となる。
特別保留入賞表示ランプ26は、特別図柄表示部11による図柄の変動表示中に、1個の遊技球が始動入賞口12に入るたびにランプを1つ点灯し、最大4つのランプが点灯する。また、1回の大当たり抽選の結果が表示された後、特別図柄の次の変動表示が開始されるとランプを1つ消灯する。同様に、普通保留入賞表示ランプ27は、普通図柄表示部24による図柄の変動表示中に、1個の遊技球が通過入賞口14,15に入るたびにランプを1つ点灯し、最大4個のランプが点灯する。また、1回の小当たり抽選の結果が表示され、次の普通図柄の変動表示が開始されるとランプを1つ消灯する。遊技者は、点灯したランプの数からそれぞれの保留入賞数を確認でき、大当たり抽選と小当たり抽選の各抽選結果の表示が終了するのを待つことなく遊技球を打ち続けることができる。
図3において、開閉板21は、開放する際に遊技盤3の盤面に平行な水平方向の軸を中心に回動する。アタッカ装置28は、開閉板21を開放することにより大入賞口29に遊技球が入ることを可能にする。大入賞口29の奥には、その左側にアタッカ入賞口30、右側にはV入賞口31とが設けられている。なお、遊技球が大入賞口29に入ることは正確には入賞を意味するものではなく、アタッカ入賞口30又はV入賞口31に遊技球が入ることで入賞となる。しかしながら、大入賞口29に遊技球が入ることは入賞が確定することになるため、本明細書では、遊技球が大入賞口29に入賞するという表現を用いている。
開閉板21は、透明な素材から形成されており、開閉板21が閉鎖された状態でも大入賞口29の内部を見ることができる。すなわち、遊技球がアタッカ入賞口30とV入賞口31のどちらに入賞したかを視認することができる。アタッカ入賞口30とV入賞口31の手前には、入賞振り分け部材32が設けられている。大入賞口29に入った遊技球は、入賞振り分け部材32により、入賞しやすい入賞口に向かって振り分けられ、アタッカ入賞口30とV入賞口31のいずれか一方に入る。入賞振り分け部材32は長方形の板からなり、アタッカ装置28の内部に設けられたソレノイドを駆動源とし、その中央部に設けられた回動軸(図示なし)を中心にシーソーのように傾き、一端側の部分が上がると他端側の部分が下がる。
入賞振り分け部材32は、アタッカ入賞口30に近い一端側の部分とアタッカ入賞口30との距離が小さく、また、V入賞口31に近い一端側の部分とV入賞口31との距離が大きくなるように斜めに設けられている。これにより、アタッカ入賞口30に近い一端側の部分が上がった時、大入賞口29に入った遊技球はアタッカ入賞口30にも入りやすいが、V入賞口31に比較的入りやすくなる。また、V入賞口31に近い一端側の部分が上がった時は遊技球がアタッカ入賞口30に入りやすくなり、V入賞口31には遊技球がほとんど入らなくなる。
図4において、制御部(保留入賞無効化手段、第1の可動体制御手段、第2の可動体制御手段)35は、パチンコ機2に設けられた各種センサの検知信号を受け、予めプログラムされた手順にしたがって各部の動作を制御するための制御信号を送る。始動口センサ36は、始動入賞口12に入った遊技球を検知し、制御部35に始動入賞検知信号を送る。通過口センサ37は、通過入賞口14,15にそれぞれ設けられ、通過入賞口14,15に入った遊技球を検知し、制御部35に通過入賞検知信号を送る。通常口センサ38は、通常入賞口16〜19にそれぞれ設けられ、通常入賞口16〜19に入った遊技球を検知し、制御部35に通常入賞検知信号を送る。アタッカ入賞口センサ39は、開閉板21が開放することでアタッカ入賞口30に入った遊技球を検知し、アタッカ入賞検知信号を制御部35に送る。V入賞口センサ40は、開閉板21が開放することでV入賞口31に入った遊技球を検知し、V入賞検知信号を制御部35に送る。なお、各センサは入賞口の数と同じ数が設けられているが、図面上ではこれを省略している。
賞球払い出し装置42は、制御部35からの賞球払い出し信号に示される数の遊技球を賞球として払い出す。制御部35は、始動入賞検知信号、通常入賞検知信号、アタッカ入賞検知信号、V入賞検知信号の受信時に払い出し信号を出力し、入賞の種別に応じて例えば4個,10個,15個の賞球の払い出しを賞球払い出し装置42に命令する。
電子抽選部43は、例えば0〜65535の範囲の乱数を発生させる乱数発生器と、乱数発生器から1つの乱数を抽出する乱数抽出回路とを備える。電子抽選部43は、制御部35から送られる抽選実行命令を受け、抽出された1つの乱数を大当たり判定部44又は小当たり判定部45に出力する。
大当たり判定部44は、乱数発生器により発生する全ての乱数範囲について当たりとハズレを割り当てた大当たり判定テーブルを有している。制御部35は始動入賞検知信号を受けて電子抽選部43に抽選実行命令を送り、電子抽選部43は抽出された乱数を大当たり判定部44に送る。大当たり判定部44は、抽出された乱数が当たりか否かを判定し、その判定結果を大当たり抽選の結果として制御部35に送る。小当たり判定部45は、電子抽選部43から送られた乱数が当たりか否かを判定するための小当たり判定テーブルを有している。電子抽選部43は、通過入賞検知信号を受信した制御部35からの抽選実行命令を受け、小当たり判定部45に乱数を送る。小当たり判定部45は、乱数の当否を判定し、その判定結果を小当たり抽選の結果として制御部35に送る。
抽選情報記憶部(抽選情報記憶手段)46は、特別保留入賞、普通保留入賞がそれぞれ発生した時に、電子抽選部43から出力された乱数値と、乱数値が大当たり判定部44又は小当たり判定部45により判定されることによって得られた当否の判定結果とからなる抽選情報を記憶する。記憶された抽選情報は、特別図柄、普通図柄のそれぞれの変動表示が1回終了するごとに読み出され、読み出された抽選情報は消去される。
保留入賞計数部(保留入賞計数手段)47は、特別保留入賞、普通保留入賞がそれぞれ発生した時に、保留入賞数記憶部48に記憶された特別保留入賞の数、普通保留入賞の数を1加算する。また、特別図柄、普通図柄のそれぞれの変動表示が1回終了し、次の抽選情報がそれぞれ読み出されるたびに、特別保留入賞の数、普通保留入賞の数を1減算する。保留入賞数判定部(保留入賞無効化手段)49は、保留入賞数記憶部48を参照し、特別保留入賞と普通保留入賞の発生数が0であるか否か、又は4であるか否か等を判定することにより、各保留入賞の発生数を監視する。
演出選択部50は、大当たり抽選を行う際に抽出された乱数を使用し、大当たり抽選の結果を示す特別図柄の順列パターンと、特別図柄の変動表示が行われる変動時間とを選択する。特別図柄の順列パターンには、「777」のように大当たり時に選択される3つの同じ数字が揃った組み合わせと、「732」「181」のようにハズレ時に選択される3つの同じ数字が揃わない組み合わせとがある。なお、ハズレ時の場合にも、「731」「152」のように同じ数字が全く揃わない完全なハズレを示す順列パターンと、「181」「252」のように左右両側の2つの数字が揃ったリーチ目の順列パターンとがあり、リーチ目の順列パターンは選択される確率が低く設定されている。
特別図柄の変動表示が行われる変動時間は、10秒,15秒,30秒等のように予めその長さが決められた複数の種類がある。通常では、変動時間が長くなるほど大当たり時に選択される確率が高く、変動時間が短くなるほどハズレ時に選択される確率が高くなる。演出データ記憶部51には、特別図柄の数字を示す画像データと、特別図柄の動きを規定する変動パターンデータと、特別図柄の背景として表示される演出画像の動画データが記憶されている。制御部35は、演出選択部50により選択された各種データを読み出し、特別図柄表示部11に特別図柄と演出画像を表示する。
制御部35は、アタッカ装置28を作動させる際、アタッカ装置28の作動状況を監視するために設定されたアタッカ制御フラグをオンにする。アタッカ制御フラグには、大当たり抽選に当選した時にオンされるアタッカ第1制御フラグと、保留入賞が無効化された時にオンされるアタッカ第2制御フラグと、アタッカ第2制御フラグがオンにされ、かつ遊技球がV入賞口31に入賞した時にオンされるアタッカ第3制御フラグの3種類がある。制御部35は、各アタッカ制御フラグをオンした時に、アタッカ制御フラグの種類に応じてアタッカ装置28を作動させる。
アタッカ第1制御フラグをオンした時、制御部35はアタッカ装置28を作動させ、開閉板21を開放する。また、入賞振り分け部材32を傾け、遊技球がV入賞口31に入賞しやすい状態にする。遊技球がV入賞口31に入賞すると、制御部35にV入賞検知信号が送られる。制御部35はこれを受けて、入賞振り分け部材32を今までとは反対の向きに傾け、遊技球がアタッカ入賞口30に入賞しやすい状態にする。制御部35は、アタッカ入賞口30とV入賞口31に入賞した遊技球の合計が予め決められた個数(例えば10個)になること、又は開閉板21の開放した時間が予め決められた長さ(例えば30秒)に達することを閉鎖条件とし、閉鎖条件のいずれか1つが成立すると開閉板21を閉鎖する。また、制御部35は、開閉板21の閉鎖前に、V入賞口31に少なくとも1つの遊技球が入賞したことを継続条件として、閉鎖された開閉板21を再度開放する。開閉板21は、継続条件が成立し続ける限り、上記の動作を予め決められた最大継続回数(例えば16回)だけ繰り返す。これにより、多数の遊技球が大入賞口29からアタッカ入賞口30又はV入賞口31に入賞し、多数の賞球を獲得できる第1の大当たり遊技が行われる。
アタッカ第2制御フラグをオンした時、制御部35は始動入賞口12に遊技球が入賞する度にアタッカ装置28を作動させ、開閉板21を開放する(通常モード)。開閉板21が開放するとき、入賞振り分け部材32は、アタッカ入賞口30に遊技球が入賞しやすく、V入賞口31に遊技球が入賞しにくい状態となっている。開閉板21は、予め定められた時間(例えば0.3秒)だけ開放すると閉鎖され、遊技球が次に始動入賞口12入賞するまで開放されない。
アタッカ第3制御フラグがオンした時、制御部35はアタッカ装置28を作動させ、
開閉板21を開放する(特殊モード)。また、入賞振り分け部材32を傾け、遊技球がV入賞口31に入賞しやすい状態にする。遊技球がV入賞口31に入賞すると、制御部35にV入賞検知信号が送られる。制御部35はこれを受けて、入賞振り分け部材32を今までとは反対の向きに傾け、遊技球がアタッカ入賞口30に入賞しやすい状態にする。開閉板21は、第2アタッカ制御フラグがオンされた時よりも長い時間(例えば0.6秒)だけ開放すると閉鎖され、所定時間の経過後(0.6秒後)に再度開放され、開放と閉鎖を所定間隔で交互に繰り返す。
制御部35は、アタッカ入賞口30とV入賞口31に入賞した遊技球の合計が予め決められた個数(例えば10個)になること、又は開閉板21の開放と閉鎖のサイクルが予め決められた回数(例えば18回)に達することを終了条件として、開閉板21の開閉動作を終了する。また、制御部35は、開閉板21の開閉動作が終了する前に、V入賞口31に少なくとも1つの遊技球が入賞したことを継続条件として、開閉板21の開閉動作を再開する。開閉板21は、継続条件が成立し続ける限り、上記の動作を予め決められた最大継続回数(例えば8回)だけ繰り返す。これにより、多数の遊技球が大入賞口29からアタッカ入賞口30又はV入賞口31に入賞し、多数の賞球を獲得できる第2の大当たり遊技が行われる。
次にパチンコ機2の作用について説明する。遊技を行う際には供給皿6に遊技球を供給すると、遊技球はパチンコ機2の内部の発射装置に送られる。操作ハンドル7を回すと、発射装置によって遊技盤3の遊技領域に向けて遊技球が1個ずつ打ち出される。遊技球は、障害釘等に衝突しながら遊技領域を落下し、始動入賞口12,アウト口13,通常入賞口16〜19のいずれかに入る。また、打ち出した遊技球の幾つかはその途中で通過入賞口14,15を通過する。
図5において、始動入賞口12に入った遊技球は始動口センサ36に検知される。始動口センサ36は、制御部35に始動入賞検知信号を送る。制御部35は、賞球払い出し装置42に賞球払い出し命令を送ると共に、電子抽選部43に抽選実行命令を送る。電子抽選部43は抽出した乱数を大当たり判定部44に送る。大当たり判定部44は、乱数の大当たり判定を行い、乱数とその当否結果を示す情報とからなる抽選情報を制御部35に送る。制御部35は、特別図柄が変動表示中であるか否かを確認する。特別図柄が変動表示中でなければ、抽選情報が演出選択部50に送られる。演出選択部50は、特別図柄の順列パターン、変動パターン、演出画像を選択し、これらの演出データを演出データ記憶部51から読み出して制御部35に送る。制御部35は、特別図柄表示部11の画面上で特別図柄の変動表示を開始する。
図6において、抽出された乱数が大当たり判定によって当選であると判定された場合、制御部35は、特別図柄の変動表示終了後にアタッカ第1制御フラグをオンに切り換え、アタッカ装置28を作動させる。なお、この時にアタッカ第3制御フラグがオンである場合はオフに切り換えられる(図7参照)。アタッカ装置28は開閉板21を開放し、10個の遊技球が大入賞口に入賞するか、開閉板21の開放時間が30秒に達したことを閉鎖条件として開閉板21を閉鎖する。開閉板21は、V入賞口31に遊技球が入賞したことを継続条件として開閉板21を再び開放する。開閉板21は、継続条件が成立し続ける限りこの開閉動作を継続し、継続回数が16回に達したときにアタッカ装置28の作動が終了する。この間、打ち出した遊技球の大半が大入賞口29からアタッカ入賞口30又はV入賞口31に入賞し、多数の賞球が供給皿6に払い出される。制御部35は、アタッカ装置28の作動終了後にアタッカ第1制御フラグをオフする。なお、この第1の大当たり遊技が行われている間は、特別図柄が変動表示中であるとみなされ、第1の大当たり遊技の終了後は、特別図柄の変動表示が終了したものとみなされる。
図5において、制御部35に抽選情報が送られた時に特別図柄が変動表示中であった場合、制御部35は保留入賞数判定部49に特別保留入賞の数が4回であるか否かを判定させる。保留入賞数判定部49は、保留入賞数記憶部48から特別保留入賞の数を読み出してこれが4回であるか否かを判定する。特別保留入賞の数が0回〜3回であった場合、保留入賞数判定部49は、制御部35に保留入賞成立信号を送る。制御部35は、保留入賞計数部47に特別保留入賞の数を1加算させるとともに、大当たり抽選の抽選情報を抽選情報記憶部46に書き込む。また、特別保留入賞表示ランプ26を1つ点灯させる。
特別保留入賞の数が4回であった場合、保留入賞数判定部49は制御部35に保留入賞不成立信号を送る。制御部35は、保留入賞不成立信号を受け、アタッカ第1制御フラグがオフであるか否か、すなわち、大当たり抽選の当選に伴ってアタッカ装置28が作動中であるか否かを確認する。制御部35は、アタッカ第1制御フラグがオフである時、アタッカ第2制御フラグをオンし、保留入賞不成立信号を受けた1回の入賞分に応じてアタッカ装置28を作動させる。
図7において、制御部35は、アタッカ第2制御フラグがオンすることに伴って、開閉板21を0.3秒開放(小開放)した後、開閉板21を閉鎖する。これ以降、制御部35は、始動入賞口12に遊技球が入賞するたびに、アタッカ第2制御フラグがオンであることが確認されると開閉板21を小開放する。遊技者は、開閉板21が小開放したときに、遊技球を大入賞口29に入賞させることができる。大入賞口29に入った遊技球は、アタッカ入賞口30とV入賞口31のいずれか一方に入る。開閉板21は透明な素材から形成されているので、大入賞口29に入った遊技球がどちらの入賞口に入るかを遊技者が確認することができる。このとき、遊技球は、入賞振り分け部材32によりアタッカ入賞口30に入賞しやすい状態となっており、V入賞口31には入賞しにくい状態となっている。
開閉板21が小開放した時に遊技球がV入賞口31に入賞すると、制御部35はアタッカ第2制御フラグをオフにした後、アタッカ第3制御フラグをオンし、アタッカ装置28を作動させる。アタッカ装置28は、開閉板21を小開放時よりも長い0.6秒開放した後に0.6秒閉鎖する動作を交互に繰り返す。このとき、大入賞口29に入った遊技球は、入賞振り分け部材32によりV入賞口31に入賞しやすくなっている。制御部35は、V入賞口31に遊技球が1つでも入賞したことが検知されると、入賞振り分け部材32を今までとは反対向きに傾け、遊技球がアタッカ入賞口30に入賞しやすい状態にする。開閉板21は、10個の遊技球が大入賞口に入賞するか、開閉板21の開放回数が18回に達したことを終了条件として開閉動作を終了する。また、開閉動作の終了前にV入賞口31に遊技球が入賞したことを継続条件として、開閉板21の開閉動作を再開する。アタッカ装置28は、継続条件が成立し続ける限り開閉板21の開閉動作を繰り返し、その継続回数が8回に達すると、その作動を終了する。この間、打ち出した遊技球の大半が大入賞口29からアタッカ入賞口30又はV入賞口31に入賞し、多数の賞球が供給皿6に払い出される。制御部35は、アタッカ装置28の作動終了後にアタッカ第3制御フラグをオフする。なお、アタッカ装置28の作動中に、アタッカ第1制御フラグがオンに切り換わると、制御部35は開閉板21を所定間隔で開閉する動作を中止させ、アタッカ第3制御フラグをオフする。
図5において、特別保留入賞の数が0回〜3回であった場合、保留入賞数判定部49は、制御部35に保留入賞成立信号を送る。制御部35は、保留入賞計数部47に特別保留入賞の数を1加算させるとともに、大当たり抽選の抽選情報を抽選情報記憶部46に書き込む。また、特別保留入賞表示ランプ26を1つ点灯させる。制御部35は、アタッカ第1制御フラグがオフであるか否か、すなわち大当たり抽選に当選したことに伴ってアタッカ装置28が作動中でないか否かを判定する。
制御部35は、アタッカ第1制御フラグがオフであり、かつ特別図柄の変動表示が終了したことを契機として、保留入賞数判定部49に特別保留入賞の数が1回以上であるか否かを判定させる。特別保留入賞の数が1回以上であると判定されると、制御部35は、保留入賞計数部47に特別保留入賞の数を1減算させると共に、抽選情報記憶部46に書き込まれた1番目の大当たり抽選の抽選情報を読み出す。また、特別保留入賞表示ランプ26を1つ消灯する。
制御部35は、アタッカ第2制御フラグがオンであるか否かを判定し、これがオフであると判定されると、読み出した抽選情報を演出選択部50に送り、演出選択部50は抽選情報に基づいて特別図柄の順列パターン及び変動パターン、演出画像等を選択する。制御部35は、特別図柄表示部11に特別図柄の変動表示を開始させる。
制御部35は、アタッカ第2制御フラグがオンである場合、保留入賞数判定部49に特別保留入賞の数が2以下であるか否かを判定させる。特別保留入賞の数が2以下になるのは、特別保留入賞が無効化された後、始動入賞口12に遊技球が入賞しなければ、2回分の特別保留入賞に係る大当たり抽選の結果が表示された状態のときである。制御部35は、特別保留入賞の数が2以下であると判定されると、アタッカ第2制御フラグをオフにし、読み出した抽選情報を演出選択部50に送る。上述と同様にして、演出選択部50は抽選情報に基づいて特別図柄の順列パターン及び変動パターン、演出画像等を選択する。制御部35は、特別図柄表示部11に特別図柄の変動表示を開始させる。
アタッカ第2制御フラグがオンであると判定され、保留入賞数判定部49により特別保留入賞の数が2以下でないと判定された場合、制御部35は、読み出した抽選情報を演出選択部50に送ると共に、特別図柄の変動時間として設定される時間の中で最も長い変動時間を選択させる変動時間変更命令を送る。演出選択部50は、抽選情報に基づいて特別図柄の順列パターンを選択した後、変動時間変更命令に基いて3列の特別図柄のうち最初に停止する特別図柄の変動時間が長く設定された変動パターンを選択し、この変動パターンに対応した演出画像を選択する。制御部35は、3列の特別図柄が1つも停止されずに通常よりも長い時間スクロールし続ける変動表示を特別図柄表示部11に開始させる。これにより、アタッカ第2制御フラグがオンとなっている間は、特別図柄の変動時間が長くなって大当たり抽選の結果が表示される処理時間が遅くなり、特別保留入賞の数が減少する速さが低下する。しかし、変更された特別図柄の変動時間よりも、遊技球が始動入賞口12に入賞する間隔が長くなると、特別保留入賞の数は減少し、制御部35は、特別保留入賞の数が2以下となった時、アタッカ第2制御フラグをオフにする。
以上のようにして、パチンコ機2では、多数の遊技球が短い時間に始動入賞口12に入賞し、特別保留入賞の数が予め設定された上限数である4に達した後、遊技球が始動入賞口12にさらに入賞すると、特別図柄の変動時間が長くなり、この期間に比較的多くの遊技球を始動入賞口12に入賞させることができるようになる。また、特別保留入賞の数が残り2以下となるまで、始動入賞口12に遊技球が入賞する度に、開閉板21が小開放し、遊技球をV入賞口31に入賞させる機会が得られる。開閉板21が小開放したとき、遊技球をV入賞口31に入賞させれば、開閉板21が、従来の第2種のパチンコ機における羽根役物に見立てた動作を行い、大当たり抽選に当選した時に行われる第1の大当たり遊技と異なる第2の大当たり遊技が行われる。
なお、本発明は上記実施形態に限られず、適宜の変更が可能である。例えば、上記実施形態のパチンコ機2は、大当たり抽選に当選したことが特別図柄表示部11に表示された時、第2の大当たり遊技が行われている場合は、これを中止して第1の大当たり遊技を開始させるようにしているが、第2の大当たり遊技が行われている間は、特別図柄の変動表示を終了しないようにしてもよく、第2の大当たり遊技が終了するまで、第1の大当たり遊技の開始を延期してもよい。また、アタッカ第2制御フラグがオンに切り換えられた後、遊技者の意志でアタッカ第2制御フラグをオフにできるように、遊技者の操作を検知する操作検知部材をパチンコ機2の外面に設けてもよい。さらに、本発明は、上記実施形態のように、アタッカ装置28を、大当たり抽選の当選時と保留入賞が無効化された時とで異なる動作を行わせることにより、1つの入賞装置で遊技者にとって有利な2通りの遊技が行えるようにしているが、これに限らず、例えば、アタッカ装置28を2つ備えたパチンコ機、或いはアタッカ装置28と周知の羽根役物とを備えたパチンコ機のように、2つの入賞装置を備えたパチンコ機として構成されていてもよい。
また、パチンコ機2は、始動入賞口12に遊技球が入賞すると、乱数の抽出と大当たり判定が行われた後に、特別保留入賞の数の保留入賞数判定が行われるが、これに限らず、始動入賞口12に遊技球が入賞した時に先ず保留入賞数判定部49により保留入賞数の判定を行い、各保留入賞の数が上限に達していない場合のみに乱数の抽出と、大当たり判定を行うようにしてもよい。すなわち、上記実施形態のように、保留入賞を取り消すために抽選を行った後にその抽選情報を消去して抽選を無効にすることに限られず、抽選そのものを行わないようにしてもよい。また、各保留入賞の数を加算しないようにするだけでなく、加算した後に即時減算し、実質的に保留入賞の数が加算されないようにしてもよい。
保留入賞の発生時に記憶される抽選情報は、抽出された乱数及びその当否結果を示す情報からなるものに限らず、乱数のみからなるもの、又は当否結果を示す情報のみからなるものであってもよく、大当たり判定はその抽選結果の表示が開始される直前に行ってもよい。また、保留入賞数判定部49から制御部35に保留入賞不成立信号が入力された際、アタッカ第2制御フラグをオンにするか否かの抽選を行ってもよい。また、制御部35に始動入賞検知信号が入力された際、大当たり抽選用の乱数とアタッカ第2制御フラグをオンにする抽選を行うための乱数とを抽出しておき、制御部35に保留入賞不成立信号が入力された時にはこれを活用し、保留入賞成立信号が入力された時にはその乱数を消去するようにしてもよい。
また、大当たり抽選の当選確率が低い低確率遊技から、大当たり抽選の当選確率が高い高確率遊技に切り替わる周知の確率変動タイプの遊技機に本発明を適用してもよい。確率変動タイプの遊技機は、高確率遊技中に、電動チューリップ23の開放時間が長くなり、始動入賞口12に遊技球が入賞しやすいために特別保留入賞が高い頻度で発生するため、特別図柄の変動時間を短くする時間短縮機能(時短機能)を有しているが、アタッカ第2制御フラグがオンにされている間のみ、特別図柄の変動時間を長くし、無効化された保留入賞が発生した時点で開閉板21を小開放させるようにしてもよい。また、本発明は、高確率遊技中に時短機能が有効となる遊技機のみならず、大当たり抽選に当選した後の低確率遊技中に特別図柄の変動回数が一定回数になるまで時短機能が有効となる遊技機に適用してもよい。
特別図柄と普通図柄は、液晶表示パネルからなる特別図柄表示部11に共に表示してもよい。特別図柄を表示するための表示装置として、液晶表示パネルを用いることに限らず、特別図柄と普通図柄が配列されたリールやルーレット等を用いてもよい。また、パチンコ機に限られず、アレンジボールやピンボール等の他の弾球遊技機に本発明を適用してもよい。