JP2006254651A - 回転電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ステータコアに生じる鉄損を低減可能な回転電機を提供する。
【解決手段】 ハウジング30において、ステータコア12の軸方向の一方端面は、絶縁部材60を介して第1の段差部ST1によって支持される。ステータコア12の軸方向の他方端面には、第2の段差部ST2と接合するように保持部材40が嵌合される。これにより、ステータコア12は、軸方向に沿って上下から挟持されることによって、ハウジング30に固定される。ステータコア12において、ヨーク部は方向性電磁鋼板を径方向に積層して形成される。そして、ヨーク部の断面とティース部とが接合されていることから、ティース部の磁束はヨーク部の断面に流れ込み、鋼板の断面を還流する渦電流が生じる。絶縁部材60は、渦電流が軸方向の上下に配されるハウジング30および保持部材40に流れ込むのを遮断することから、渦電流損が低減される。
【選択図】 図1
【解決手段】 ハウジング30において、ステータコア12の軸方向の一方端面は、絶縁部材60を介して第1の段差部ST1によって支持される。ステータコア12の軸方向の他方端面には、第2の段差部ST2と接合するように保持部材40が嵌合される。これにより、ステータコア12は、軸方向に沿って上下から挟持されることによって、ハウジング30に固定される。ステータコア12において、ヨーク部は方向性電磁鋼板を径方向に積層して形成される。そして、ヨーク部の断面とティース部とが接合されていることから、ティース部の磁束はヨーク部の断面に流れ込み、鋼板の断面を還流する渦電流が生じる。絶縁部材60は、渦電流が軸方向の上下に配されるハウジング30および保持部材40に流れ込むのを遮断することから、渦電流損が低減される。
【選択図】 図1
Description
この発明は、回転電機に関し、特に、回転電機の固定子の鉄損が小さい回転電機に関する。
固定子(以下、ステータとも称する)と回転子(以下、ロータとも称する)とからなる回転電機において、ステータは、複数のスロットが形成されたステータコアと、スロット間に設けられるティースに巻回されたコイルとから構成される。また、ロータは、ロータコアと、磁力を帯びた磁石と、回転軸となるシャフトとから構成される。
かかる構成において、コイルに電力が供給されることにより、磁界が発生する。発生した磁界に基づいて、ロータとステータとの間に磁束の流れが形成されることによって、ロータは回転力を得る。
このような回転電機のステータコアにおいては、電磁鋼板をプレスにより環状に打ち抜いてヨーク部とティース部とが一体となったコアシートを作成し、このコアシートを軸方向に積層して筒状のステータコアを形成する方法が従来から主流となっている。
一方、ステータコアの材料としては、ステータコアの鉄損を小さくするため、特定の方向(磁化容易方向)に流れる磁束に対しては磁化し易く、かつ鉄損の小さい方向性電磁鋼板を用いることが望ましい。なお、この方向性電磁鋼板において、磁化容易方向は、製造時の圧延方向(長手方向に相当)となる。
しかしながら、円筒状のヨーク部と、このヨーク部から半径方向で内方に突出したティース部とからなるステータコアにおいては、方向性電磁鋼板からコアシートを一体的に打ち抜くことができない。すなわち、一般に、ティース部には半径方向に磁束が流れ、ヨーク部には円周方向に磁束が流れるが、磁化容易方向は一方向であるため、ティース部およびヨーク部の両方の磁化容易方向と、磁束の流れる方向とを一致させることができない。そこで、磁化容易方向と、ステータコアを流れる磁束の方向とを一致させるために、ヨーク部とティース部とが分割して形成する製造方法がある。
たとえば特開昭60−2038号公報(特許文献1)は、外周に向かって開口するコイルスロットを有するティース部を形成し、このティース部の外周に方向性電磁鋼板を巻き重ねてヨーク部を形成することによって製造されたステータコアを開示する。
この公報に記載の発明によれば、コイルスロットの開口幅をコイルスロット内部の幅よりも広くとることができるため、コイルの巻線作業が容易となる。また、ステータコアの内周面には開口部が存在したいことから、鉄損を減少し回転電機の高効率化を図ることができる。さらに、コイルスロット内のコイルを固定するために絶縁紙が不要となるため、コイルスロット内のコイルの占積率を向上することができる。
さらに、回転電機において、ステータコアは、外装部材であるハウジングに固定される。このステータコアをハウジングに固定する方法としては、焼嵌めや圧入などが従来から一般的に用いられている。これらの方法によれば、ステータコアの外周面とハウジングの内周面とは、押圧力による塑性変形によって面接合される。このとき、ステータコアの外周面とハウジングの内周面との間には、面圧力による摩擦力が生じ、この摩擦力によって両者が固定される。
特開昭60−2038号公報
しかしながら、特許文献1に記載のステータコアにおいては、ティース部の先端部分は、ヨーク部の内周面の接線方向に垂直に当接することとなる。これにより、ティース部を流れる磁束は、ヨーク部の内周面の接線方向に対して垂直に流れる。このとき、磁束がヨーク部を流れると、アンペールの法則に従って、ヨーク部には磁束の変化を妨げる方向に渦電流が発生する。そして、この渦電流は、ヨーク部の内周面を流れる。ここで、ヨーク部は、方向性電磁鋼板が回転電機の径方向に積層されて構成されていることから、渦電流の流れる面積は、比較的大きいものとなる。その結果、渦電流に対する抵抗が小さくなり、渦電流が流れやすくなる。これは、渦電流による損失(渦電流損)が大きいという問題を生じる。
また、ステータを固定する方法については、電磁鋼板は、一般に、面方向に圧縮されると鉄損が悪化するという性質を持つことから、電磁鋼板を径方向に積層して構成されるステータコアにおいては、焼嵌めや圧入を行なうことによって、ヨーク部の外周面に径方向の大きな押さえ力が生じ、鉄損が悪化してしまう。これにより、回転電機自体の効率が低下することになる。
なお、最近では、焼嵌めや圧入による固定方法に対してより簡易な構成で、かつ鉄損を改善する固定方法として、回転電機の軸方向に沿って、ステータコアとケースとを直接的にボルト締結する固定方法が提案されている。しかしながら、当該方法は、ステータコアが軸方向に積層された電磁鋼板からなるステータについては適用可能であるものの、ヨーク部が電磁鋼板を径方向に積層して形成されるステータを適用範囲としたものではない。
したがって、ヨーク部が方向性電磁鋼板を径方向に積層して形成される回転電機においては、ステータの固定方法に起因するステータコアの鉄損の増加および回転電機の効率の低下を防ぐために、その固定方法を十分に検討する必要がある。
それゆえ、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ステータコアに生じる鉄損を低減可能な回転電機を提供することである。
この発明のある局面によれば、回転電機であって、ステータと、ステータに対して回転自在に設けられたロータとを備える。ステータは、鋼板を巻回しロータの径方向に積層した構造からなるヨーク部と、ティース部とを含む。回転電機は、ヨーク部のロータの回転軸方向の端面の少なくとも一方に配された絶縁部材をさらに備える。
好ましくは、鋼板は、その磁化容易方向がロータの周方向に一致するように巻回される。
好ましくは、ヨーク部は、ヨーク部の断面とティース部とが接合するように、ヨーク部の内周側に設けられた接合部を含む。
好ましくは、回転電機は、ステータおよびロータを収容するハウジングと、ステータをハウジングに固定する固定手段とをさらに備える。絶縁部材は、ヨーク部のロータの回転軸方向の端面とハウジングおよび固定手段の少なくとも一方との間に配される。
好ましくは、固定手段は、ハウジングの内周面に設けられ、ヨーク部のロータの回転軸方向の一方端面を支持する第1の段差部と、ヨーク部のロータの回転軸方向の他方端面を支持する保持部材と、ハウジングの内周面に設けられ、保持部材が固着される第2の段差部とを含む。絶縁部材は、ヨーク部のロータの回転軸方向の端面と第1の段差部および保持部材との少なくとも一方との間に配される。
好ましくは、絶縁部材は、ロータの回転軸方向を法線とする板状体である。
好ましくは、絶縁部材は、ヨーク部のロータの回転軸方向の端面と第1の段差部および保持部材との接合面の少なくとも一方を覆う絶縁性の塗膜である。
好ましくは、ステータは、ヨーク部とティース部との接合部分に形成された凹部領域をさらに含む。固定手段は、保持部材とステータコアの他方端面との間に配され、凹部領域に対して周方向に係合する突起部材をさらに含む。
好ましくは、ヨーク部は、ティース部に対して、ロータの回転軸方向の長さがより長く、凹部領域は、ヨーク部とティース部との接合部分に形成されるロータの回転軸方向の段差である。
好ましくは、固定手段は、ステータコアの外周面とハウジングの内周面との間に設けられた所定の間隔の隙間をさらに含む。
好ましくは、所定の間隔は、鋼板がロータの径方向に撓む量よりも大きい。
この発明によれば、鋼板を回転電機の径方向に積層して形成したヨーク部の回転軸方向の端面の少なくとも一方は絶縁部材によって非導通状態となることから、鋼板の断面を流れる渦電流が鋼板の外部に流れ込むのを遮断でき、渦電流による損失を低減することができる。
さらに、ヨーク部において、磁化容易方向が円周方向を指しており、ヨーク部を流れる磁束の方向と一致しているため、さらに鉄損を小さくすることができる。
また、この発明によれば、ヨーク部の接合部において、ヨーク部の回転軸に平行な断面とティース部とを接合させることより、ティース部からの磁束は、鋼板の断面に流入する。鋼板の断面はヨーク部の内周面に比べて面積が小さいことから、渦電流が流れにくく、渦電流損を低減することができる。
この発明によるステータをハウジングおよび固定手段により固定する場合において、ヨーク部の軸方向の端面とハウジングおよび固定手段との間の少なくとも一方を非導通状態とすれば、鋼板の断面を流れる渦電流がハウジングおよび固定手段に流れ込むのを遮断でき、渦電流による損失を低減することができる。
さらに、この発明によれば、ヨーク部の回転軸方向の端面を第1の段差部と保持部材とで支持することによってステータを固定することにより、ステータコアとハウジングとを直接的にボルト締結する従来のステータの固定構造に対して、ステータコアおよびこれを収容するハウジングの体格を低減することができるとともに、ステータを確実に固定することができる。
このとき、絶縁部材をロータの回転軸方向を法線とする板状体とすることにより、絶縁部材を回転電機の軸方向の高さを調整するシムとして機能させ、組立工程を容易にすることができる。
もしくは、絶縁部材を、ヨーク部のロータの回転軸方向の端面と第1の段差部および保持部材のいずれか一方との接合面を覆う絶縁性の塗膜とすることにより、部品点数を低減することができ、製造コストを抑えることができる。
また、固定手段として、ヨーク部とティース部との接合部分に形成された凹部領域に対して周方向に係合する突起部材を配することにより、ステータコアの回転抜けを容易に阻止できるため、ステータコアに与える面圧力を低減して鉄損の悪化を抑えることができる。
さらに、固定手段として、ステータコアの外周面とハウジングの内周面との間に設けられた所定の間隔の隙間を配することにより、ステータコアの鉄損を改善することができる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
図1は、この発明の実施の形態に従う回転電機の構造を示す断面図である。なお、図1(A)は、回転電機の解体図であり、図1(B)は、回転電機の完成図である。
図1(A)を参照して、回転電機は、ロータ(図示せず)と、ステータ10と、ロータおよびステータ10が一体化して収容されるハウジング30と、ステータ10をハウジング30に固定するための保持部材40と、絶縁部材60とを備える。
図示しないロータは、ハウジング30に対して、図示しない回転シャフトを介して回転可能に収容される。
ステータ10は、ロータの回転を制御するために、ロータの外周を取り囲むようにしてハウジング30の内部に固定的に収容される。ステータ10は、コイル20と、ステータコア12とを含む。
ステータコア12は、図1(A)に示すように、複数のコイル20が巻回されて固着される。ステータコア12の詳細な構造については、後述する。
ハウジング30は、環状のステータ10を収容するための円筒状の側面を有しており、その側面の内径が軸方向に沿って3段階に異なっている。詳細には、側面の最も底部に近い側において内径が最も小さく、側面の最も開口部に近い側において内径が最も大きい。さらに、これらの中間に位置する側面の中央部は、ステータコア12の外径にほぼ等しい大きさの内径となっている。
このため、図1(A)に示すように、ハウジング30の側面のうち、底部に近い側において、内径の差による第1の段差部ST1が形成される。同様に、開口部に近い側においても、内径の差による第2の段差部ST2が形成される。
保持部材40は、外径がハウジング30の開口部の内径と略同一であり、かつ内径がステータコア12の外径よりも小さい環状の形状を有する。
絶縁部材60は、第1の段差部ST1とステータコア12の軸方向の一方端面との間に配される。絶縁部材60は、たとえば板状体の絶縁シートまたは絶縁紙から第1の段差部ST1の径方向幅に略等しい環状体を打ち抜くことによって形成される。
そして、ハウジング30において、ステータコア12の軸方向の一方端面は、絶縁部材60を介して第1の段差部ST1によって支持される。さらに、ステータコア12の軸方向の他方端面には、第2の段差部ST2と接合するように保持部材40が嵌合される。
これにより、図1(B)に示すように、ステータコア12は、ハウジング30の側面に設けられた第1の段差部ST1と保持部材40とによって、軸方向に沿って上下から挟持されることによって、ハウジング30に固定される。
なお、保持部材40には、周方向に沿って所定の間隔で複数の貫通穴42が設けられる。ハウジング30においても、第2の段差部ST2の面上に、上記貫通穴の各々と対向するように複数の貫通穴が設けられる。対向する貫通穴において、保持部材40とハウジング30とがボルト締結されることにより、ステータコア12がハウジング30に固定される。
これによれば、ステータコアとハウジングとを直接的にボルト締結する従来のステータの固定構造に対して、ステータコアの外径に突出して設けられていた貫通穴の部分を省略できることから、ステータコアおよびこれを収容するハウジングの体格を低減することができる。また、ステータコアおよびハウジングの外形が凹凸のない円筒状となるため、これらの成形工程が簡素化され、製造コストの低減が図られる。
さらに、ステータコア12を直接的にボルト締結しないことから、コアシートのスプリングバックによるボルトの緩みが発生せず、ステータコア12を確実に固定することができる。
なお、絶縁部材60として絶縁シートまたは絶縁紙を用いることによって、絶縁部材60が回転電機の軸方向高さを調整するためのシムとして機能し、ステータコア12、ハウジング30および保持部材40の出来上がり時の寸法ばらつきを容易に吸収することができる。その結果、回転電機の組立工程が簡易化される。
図2は、図1に示す回転電機に適用されるステータコアの構造を説明するための平面図である。
図2を参照して、回転電機は、回転自在に固定されたロータ160と、ロータ160の外周に固設されるステータ10とを備える。
ステータ10は、ステータコア12と、ステータコア12に巻回されたコイル20とを含む。ステータコア12は、環状のヨーク部120と、ヨーク部120に挿入されたティース部140とからなる。
ティース部140は、径方向外方に向かって環状に配列された複数の櫛歯142を有する。コイル20は、この複数の櫛歯142の各々に巻回される。
ヨーク部120は、ティース部140の外端部に周方向から当接する接合部122を含む。接合部122は、周方向に所定の間隔を空けて複数個形成される。
図2に示すステータコア12の構造において、ヨーク部120は、方向性電磁鋼板を径方向に積層して形成される。このとき、方向性電磁鋼板の磁化容易方向が周方向を向くように積層される。
図3は、ステータコア12のヨーク部120の詳細な製造方法を示す図である。
図3を参照して、ヨーク部120は、帯状の方向性電磁鋼板124を巻回して形成される。詳細には、図3(A)に示すように、方向性電磁鋼板124が送りローラ200によって送られ、巻取り機202によって巻取られる。このときの巻取り方向は、方向性電磁鋼板124の磁化容易方向に一致させる。これにより、方向性電磁鋼板124は、磁化容易方向が周方向を向き、かつ径方向に積層された構造を形成する。
さらに、積層された方向性電磁鋼板124は、図3(B)に示すように、加熱機204により加熱されると、隣接する方向性電磁鋼板124同士が接着される。これにより、環状のヨーク部120が形成される。
図3(C)を参照して、形成されたヨーク部120は、グラインダ205によって内周側の複数箇所がV字状に切除される。この切除した箇所は、図2に示すティース部140との接合部122を構成する。接合部122は、図3(D)に示すように、回転軸方向に平行な断面が露出された状態となっている。
再び図2を参照して、ステータコア12のティース部140は、方向性電磁鋼板から打ち抜いた複数の櫛歯142が軸方向に積層されて形成される。
図4は、ステータコア12のティース部140の詳細な製造方法を示す図である。
図4(A)を参照して、帯状の方向性電磁鋼板144は、送りローラ300により、その磁化容易方向と同方向に送られた後、プレス機302によって所望の形状のティース形状体146が打ち抜かれる。なお、ティース形状体146とは、ティース部140が形成される前の帯状の部材を意味する。
ティース形状体146は、図4(B)に示すように、方向性電磁鋼板144の幅方向に複数の櫛歯142が並び、各櫛歯142の端部が方向性電磁鋼板144の磁化容易方向(方向性電磁鋼板144の送り方向)を向くように打ち抜かれる。
次に、ティース形状体146は、図4(C)に示すように、櫛歯142を揃えて積層される。積層されたティース形状体146は、巻取り治具304によって巻取られると(図4(D))、端部同士が溶接されてティース部140が完成する。このとき、ティース部140の櫛歯142は、それぞれ方向性電磁鋼板144の磁化容易方向を向いていることから、ティース部140の径方向と磁化容易方向とが一致することになる。
さらに、ティース部140は、各櫛歯142に図示しないコイル20が巻回されると、図5に示すように、ヨーク部120に、櫛歯142の外端部と接合部122とが接合するように挿入される。
図5を参照して、ヨーク部120とティース部140とが接合されると、その接合部122においては、ヨーク部120が櫛歯142の径方向の外端部に、周方向から当接する。これにより、櫛歯142を径方向に通過する磁束(図中の実線矢印に相当)は、ヨーク部120の周方向に流れ易くなる。
さらに、ヨーク部120に磁束が流れると(図中の点線矢印に相当)、ヨーク部120の内部には、アンペールの法則に従って、ヨーク部120に流れる磁束の変化を妨げる方向に渦電流が発生する。この渦電流は、図6(A)に示すように、方向性電磁鋼板の断面(軸方向に平行な断面)を矢印の方向に還流する。
ここで、本実施の形態によるステータコア12の構造と、先述した従来のステータコアの構造、すなわち、ヨーク部120の内周部に接合部を形成せず、ティース部140の先端がヨーク部120の内周面の接線方向に当接した構造とを比較する。
従来のステータコアの構造では、ティース部140を流れる磁束は、図6(B)に示すように、ヨーク部120の内周面の接線方向に対して垂直に流れることになる。そして、ヨーク部120の内周面には、その磁束の変化を妨げる方向に還流する渦電流が発生する。
そして、上述した製造方法に従って製造されたステータコア12は、コイル20が巻回された後、図1に示すように、ハウジング30に固定される。以下に、本実施の形態に従う回転電機におけるステータ10の固定構造について詳述する。
図7は、本実施の形態に従う回転電機におけるステータの固定構造の詳細を説明するための拡大断面図(図7(A))と、その模式図(図7(B))とである。
図7(A)を参照して、ステータコア12は、環状のヨーク部120と、ヨーク部120に挿入されたティース部140とを含む。
ティース部140は、径方向外方に向かって環状に配列された複数の櫛歯と、隣り合う櫛歯の径方向内端部同士を連結する連結部とを含む。複数の櫛歯の各々には、図6(A)のコイル20が巻回され(図示せず)、外端部においてヨーク部120に接合される。
ここで、ステータコア12においては、先述のように、ヨーク部120を磁化容易方向が周方向となるように方向性電磁鋼板を環状に積層して形成し、ティース部140を方向性電磁鋼板から打ち抜いた帯状のティース形状体を巻回して形成して製造される。このとき、ステータコア12は、ヨーク部120の軸方向の長さが、ティース部140の軸方向の長さよりも長くなるように形成される。
そして、このように形成したステータコア12において、ティース部140の複数の櫛歯の外端部とヨーク部120との接合部分には、それぞれ、軸方向の長さの違いによって凹部領域が形成される。この凹部領域は、以下に示す保持部材40に設けられた突起部材44と一体となって、ステータコア12の回転抜けを防止する働きをする。以下に、本実施の形態によるステータの固定構造の持つ回転抜け防止機能について説明する。
図7(B)を参照して、保持部材40は、ハウジング30の第2の段差部ST2と接合した際に、ステータコア12の凹部に対して嵌合する形状に成形された突起部材44が接合される。なお、本実施の形態では、突起部材44は、保持部材40と一体化して形成される構成としたが、各々を別部品として組付ける構成としてもよい。
この突起部材44は、詳細には、ステータコア12に環状に配列される複数の凹部領域のうちの回転軸に対して対称に位置する2つの凹部領域に対応するように形成される。この2つの凹部領域と、2つの突起部材44とがそれぞれ嵌合されることによって、ステータコア12が軸方向と同時に周方向にも固定され、回転トルクによる回転抜けが抑制される。
ステータコア12の回転抜けに対しては、従来のステータの固定構造においては、ステータコア12をボルト締結する、もしくはステータコア12の外周面から大きな押さえ力を加えることによる対応がなされていた。これらの構造によれば、ステータコア12を周方向に固定できる反面、スプリングバックによるボルトの緩みや面圧力による鉄損の悪化という問題を抱えていた。
これに対して、本実施の形態による回転電機によれば、ステータコア12の凹部領域と突起部材44とを嵌合するという簡易な構成でステータコア12を周方向にも固定できることから、ボルトの緩みや鉄損の悪化を招くことなく、ステータ10を確実に固定することができる。
さらに、本実施の形態による回転電機においては、ステータコア12の軸方向下方の端面とハウジング30の第1の段差部ST1との接合面に絶縁部材60が配されることを特徴とする。この絶縁部材60は、渦電流損を低減する効果を奏する。以下に、絶縁部材60のもたらす渦電流損低減の効果について詳細に説明する。
最初に、比較のために、図8に、絶縁部材60を有しないステータ10の固定構造を取り上げる。図8を参照して、ステータコア12の軸方向下方の端面とハウジング30の第1段差部ST1とは、絶縁部材60が介在せず、直接的に接合される。
ここで、ステータコア12を通過する磁束によって発生する渦電流を考える。この発明によるステータコア12において、ティース部140の先端がヨーク部120の断面に接合することから、渦電流は、図5(A)で示したように、方向性電磁鋼板の断面である小さい面積内を流れる。
しかしながら、図8のように、ハウジング30および保持部材40が導電体であるときには、ヨーク部120の軸方向の端面とハウジング30および保持部材40とが直接的に接合することによって、両者の間には、電気的な導通が生じる。これにより、ヨーク部120には、方向性電磁鋼板が積層されているにも関わらず、大きな渦電流の経路が形成される。その結果、渦電流損が増大してしまう。
そこで、本実施の形態では、ヨーク部120からハウジング30および保持部材40に跨る渦電流の経路を遮断する手段として、両者の接合面の少なくとも一方に絶縁部材60を配し、ヨーク部120とハウジング30および保持部材40とを互いに非導通状態とする。より詳細には、図7(B)に示すように、ヨーク部120の軸方向の一方端面とハウジング30の第1段差部ST1との間に絶縁部材60を配することによって、渦電流を遮断する。これにより、渦電流は、図5(A)で示したように、方向性電磁鋼板の断面のみを流れることとなり、渦電流損が抑えられる。
なお、本実施の形態では、絶縁部材60をヨーク部120の軸方向下方の端面に配する構成としたが、ヨーク部120の軸方向上方の端面に配し、保持部材40と絶縁させる構成としても同様の効果を得ることができる。すなわち、絶縁部材60は、ヨーク部120の軸方向端面の少なくとも一方に配されていれば良い。なお、上記の渦電流の経路は、ヨーク部120の軸方向の一方端面にのみ絶縁部材60を配することで、確実に遮断することが可能である。
また、絶縁部材60としては、絶縁シートおよび絶縁紙以外にも、ヨーク部120の軸方向端面もしくは第1の段差部ST1に絶縁性の塗膜を形成する構成としても良い。これによれば、部品点数を削減でき、製造コストを抑えることができる。
また、本実施の形態では、ハウジング30および保持部材40がいずれも導電体であることを前提としたものであるが、これらの少なくとも一方を非導電体で構成すれば、同様の効果を得ることができるとともに、絶縁部材60を省略することができる。
さらに、本実施の形態に係る回転電機は、図7(B)に示すように、ハウジング30において、絶縁部材60を介して第1の段差部ST1にステータコア12を接合させたときに、ヨーク部120の外周面とハウジング30の内周面との間において、所定の間隔の隙間50が形成されることを特徴とする。この隙間50は、本実施の形態によるステータコア12に対して、鉄損の改善に有効である。
以下に、図7(B)のステータの固定構造を参照して、以上の構造からなるステータコア12とハウジング30との間に設けた隙間50のもたらす効果について説明する。
ステータコア12は、先述のように、ヨーク部120が軸方向に上下から挟持されて固定される。このとき、ヨーク部120は、径方向に積層された方向性電磁鋼板からなり、その磁化容易方向が周方向に一致することから、挟持によって方向性電磁鋼板に働く面圧力は、磁化容易方向に対して垂直方向から与えられることになる。これは、方向性電磁鋼板にとって、磁化容易方向に引っ張り力が加えられることに等しい。方向性電磁鋼板は、この引っ張り力によって径方向に撓みが生じる。この撓みは、ステータコア12の外周面を弾性変形させる。
このとき、ステータコア12の外周面とハウジング30の内周面とが密着されていれば、ハウジング30から受ける周方向の面圧力によってステータコア12の弾性変形が抑制される。しかしながら、本実施の形態のように、両者の間に隙間50が介在するときには、この弾性変形が抑制されない。したがって、本実施の形態によれば、方向性電磁鋼板は、軸方向の上下からの面圧力に応じた引っ張り力を受けて、自在に弾性変形されることになる。
ここで、方向性電磁鋼板においては、磁路方向に対して圧縮されると鉄損が悪化し、磁路方向に引っ張られると鉄損が改善する性質を持つことが知られている。
したがって、本実施の形態に従うステータの固定構造を、径方向に積層された方向性電磁鋼板からなるヨーク部120を有するステータコア12に適用した場合、挟持によって生じる面圧力によって方向性電磁鋼板の磁路方向に引っ張り力が生じ、かつこの引っ張り力が隙間50によって抑制されることがないため、結果として、ステータコア12に生じる鉄損を改善することが可能となる。
なお、以上に述べた効果は、本実施の形態によるステータの固定構造を、電磁鋼板を軸方向に積層してなるステータコア12に適用した場合には得られないものであり、図2に示す構造のステータコア12と、図1に示す固定構造とを組み合わせることによって初めてもたらされるものである。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、回転電機および回転電機を動力源として搭載する車両に適用することができる。
10 ステータ、12 ステータコア、20 コイル、30 ハウジング、40 保持部材、42 貫通穴、44 突起部材、50 隙間、60 絶縁部材、120 ヨーク部、122 接合部、124 方向性電磁鋼板、140 ティース部、142 櫛歯、144 方向性電磁鋼板、146 ティース形状体、160 ロータ、200,300 送りローラ、202 巻取り機、204 加熱機、205 グラインダ、302 プレス機、304 巻取り治具、ST1 第1の段差部、ST2 第2の段差部。
Claims (11)
- ステータと、
前記ステータに対して回転自在に設けられたロータとを備え、
前記ステータは、
鋼板を巻回し前記ロータの径方向に積層した構造からなるヨーク部と、ティース部とを含み、
前記ヨーク部の前記ロータの回転軸方向の端面の少なくとも一方に配された絶縁部材をさらに備える、回転電機。 - 前記鋼板は、その磁化容易方向が前記ロータの周方向に一致するように巻回される、請求項1に記載の回転電機。
- 前記ヨーク部は、前記ヨーク部の前記回転軸に平行な断面と前記ティース部とが接合するように、前記ヨーク部の内周側に設けられた接合部を含む、請求項2に記載の回転電機。
- 前記ステータおよび前記ロータを収容するハウジングと、
前記ステータをハウジングに固定する固定手段とをさらに備え、
前記絶縁部材は、前記ヨーク部の前記ロータの回転軸方向の端面と前記ハウジングおよび前記固定手段の少なくとも一方との間に配される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機。 - 前記固定手段は、
前記ハウジングの内周面に設けられ、前記ヨーク部の前記ロータの回転軸方向の一方端面を支持する第1の段差部と、
前記ヨーク部の前記ロータの回転軸方向の他方端面を支持する保持部材と、
前記ハウジングの内周面に設けられ、前記保持部材が固着される第2の段差部とを含み、
前記絶縁部材は、前記ヨーク部の前記ロータの回転軸方向の端面と前記第1の段差部および前記保持部材の少なくとも一方との間に配される、請求項4に記載の回転電機。 - 前記絶縁部材は、前記ロータの回転軸方向を法線とする板状体である、請求項5に記載の回転電機。
- 前記絶縁部材は、前記ヨーク部の前記ロータの回転軸方向の端面と前記第1の段差部および前記保持部材との接合面の少なくとも一方を覆う絶縁性の塗膜である、請求項5に記載の回転電機。
- 前記ステータは、
前記ヨーク部と前記ティース部との接合部分に形成された凹部領域をさらに含み、
前記固定手段は、
前記保持部材と前記ステータコアの前記他方端面との間に配され、前記凹部領域に対して周方向に係合する突起部材をさらに含む、請求項5に記載の回転電機。 - 前記ヨーク部は、前記ティース部に対して、前記ロータの回転軸方向の長さがより長く、
前記凹部領域は、前記ヨーク部と前記ティース部との接合部分に形成される前記ロータの回転軸方向の段差である、請求項8に記載の回転電機。 - 前記固定手段は、前記ステータコアの外周面と前記ハウジングの内周面との間に設けられた所定の間隔の隙間をさらに含む、請求項9に記載の回転電機。
- 前記所定の間隔は、前記鋼板が前記ロータの径方向に撓む量よりも大きい、請求項10に記載の回転電機。
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