JP2006251339A - 光ファイバケーブル及びその製造方法 - Google Patents

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正男 立蔵
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Abstract

【課題】 安価で、敷設・配線が容易な光ファイバケーブル及びその製造方法を提供するものである。
【解決手段】 本発明に係る光ファイバケーブル10は、少なくとも1本の光ファイバ心線12で構成された心線部材11をケーブルシース25で覆ってなるものであって、
心線部材11の周りに所定のピッチ及び所定のらせん半径で巻回されたクッション線材21と、
そのクッション線材21及び心線部材11の周りに被覆され、クッション線材21と固着、一体化されたケーブルシース25とを備え、
心線部材11をらせん形状にたわませ、余長を有した状態でケーブルシース25内に配置したものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、屋内配線用の光ファイバケーブル及びその製造方法に関するものである。
従来の屋内配線用の光ファイバケーブルの一例として、図9に示すものがある。図9に示すように、この光ファイバケーブル90は、テンションメンバ91の周りに複数本の光ファイバ心線92を撚り合わせ、その周りに押さえ巻きテープ93を巻回して束ね、その押さえ巻きテープ93の周りにケーブルシース94を被覆したものである。テンションメンバ91は、光ファイバケーブル90に張力が負荷された時の伸びを抑えるためのものであり、これによって、光ファイバケーブル90に負荷される応力を緩和させている。テンションメンバ91としては、鋼線に樹脂をコーティングしたもの、アラミド繊維やガラス繊維をエポキシ樹脂で固めたものなどがあげられ、後者においても、寸法調整のために樹脂コーティングを施すことが多い。
また、従来の屋内配線用の光ファイバケーブルの他の例として、図10に示すものがある。図10に示すように、この光ファイバケーブル100は、複数本の光ファイバ心線102の周りに抗張力繊維103を縦添えし、その抗張力繊維103の周りにケーブルシース104を被覆したものである。抗張力繊維103は、前述のテンションメンバ91と同様に、光ファイバケーブル100に張力が負荷された時の伸びを抑えるためのものである。抗張力繊維103の構成材としては、通常、アラミド繊維が用いられている。
一方、光ファイバケーブルに張力が負荷された時の伸びを抑制させたものとして、架空配線用の自己支持型光ファイバケーブルがある。例えば、テンションメンバの周りに光ファイバ心線を撚り合わせてなる光ファイバケーブルコアと薄肉中空パイプで構成されるダミー線を対よりし、この対より心と平行に支持線を設け、これらの外周に共通の保護被覆を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。また、少なくとも1本の光ファイバ心線の周囲に長繊維からなる緩衝材を縦添えし、それらを長手方向にわたって間欠的に接着し、緩衝材の周りに外部被覆を設けたものがある(例えば、特許文献2参照)。その他にも様々な光ファイバケーブルがある(例えば、特許文献3〜6参照)。
近年、光ブロードバンドサービスの普及に伴い、より低価格で、敷設・配線作業がより容易な光ファイバケーブルが求められている。特に屋内配線用の光ファイバケーブルは、垂直に敷設される場合もあるため、垂直敷設時においても光ファイバケーブルに過剰な応力が負荷されないようにする必要がある。
特開平8−110453号公報 特開2001−59926号公報 特開平9−166733号公報 特開2000−206380号公報 特開2000−206383号公報 特開2003−302559号公報
ところで、図9に示した光ファイバケーブル90は、テンションメンバ91が高価であることから、光ファイバケーブル90の製造コストが高くなるという問題があった。また、このテンションメンバ91の採用により、光ファイバケーブル90の重量が増大し、曲げ剛性が高くなるため、敷設・配線作業が困難になるという問題があった。
また、図10に示した光ファイバケーブル100は、図9に示した光ファイバケーブル90と異なり、軽量で曲げ剛性が低い(曲げ易い)という特長を有している。しかしながら、抗張力繊維103を構成するアラミド繊維が高価であるため、光ファイバケーブル100の製造コストが高くなるという問題があった。
ここで、テンションメンバ91や抗張力繊維103の構成材は、高い縦弾性係数(ヤング率)、例えば、少なくとも50GPaの縦弾性係数を有するものでなくてはならないため、代用材として単純に安価なものを用いることができない。
一方、特許文献1記載の光ファイバケーブルは、保護被覆層内に余長を有した状態で光ファイバケーブルコアを配置している。このため、温度変化に伴って光ファイバケーブルが伸縮しても、光ファイバケーブルコア、延いては光ファイバ心線に張力が負荷されるおそれはない。また、光ファイバケーブルコアが余長を有しているため、光ファイバケーブル同士を接続する際の作業性は容易である。
しかしながら、この光ファイバケーブルは、架空配線用であることから垂直敷設することを想定していない。また、この光ファイバケーブルは、テンションメンバを用いていることから、単位長さ当たりのケーブル重量が重いと共に高価となる。さらに、この光ファイバケーブルは、光ファイバケーブルコアとダミー線を対よりしてなるものであるため、光ファイバケーブルコアとダミー線がリジッドに固定されている。
このため、この光ファイバケーブルを垂直敷設すると、光ファイバケーブルコア及びダミー線が一緒になって垂直下向きに落下、移動し、光ファイバケーブルコアに大きな張力が負荷されるという問題があった。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、安価で、敷設・配線が容易な光ファイバケーブル及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成すべく本発明に係る光ファイバケーブルは、少なくとも1本の光ファイバ心線で構成された心線部材をケーブルシースで覆ってなる光ファイバケーブルであって、
心線部材の周りに所定のピッチ及び所定のらせん半径で巻回されたクッション線材と、 そのクッション線材及び心線部材の周りに被覆され、クッション線材と固着、一体化されたケーブルシースとを備え、
心線部材をらせん形状にたわませ、余長を有した状態でケーブルシース内に配置したものである。
ここで、心線部材は、少なくとも1本の光ファイバ心線で構成される芯部の周りに緩衝層を有することが好ましい。
クッション線材は、熱可塑性樹脂の繊維材又はテープ材の束で構成してもよい。また、クッション線材は、熱可塑性樹脂の発泡線材で構成してもよい。さらに、クッション線材は、熱可塑性樹脂のチューブ材で構成してもよい。
光ファイバ心線の光ファイバは、ホーリーファイバで構成してもよい。
光ファイバを除く他の構成材の縦弾性係数は50GPa未満であることが好ましい。
一方、本発明に係る光ファイバケーブルの製造方法は、少なくとも1本の光ファイバ心線で構成された心線部材をケーブルシースで覆ってなる光ファイバケーブルの製造方法であって、
心線部材の周りに所定のピッチ及び所定のらせん半径でクッション線材を巻回し、心線部材をらせん形状にたわませ、
そのクッション線材及び心線部材の周りにケーブルシースを被覆し、ケーブルシースとクッション線材を固着、一体化するものである。
ここで、クッション線材及び心線部材の周りにケーブルシースを押出被覆する際に、ケーブルシースとクッション線材を融着、一体化させることが好ましい。
本発明によれば、抗張力体を有していないにも関わらず、引張応力や曲げ応力が負荷された時に、光ファイバに張力が負荷されるおそれがないという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の好適一実施の形態に係る光ファイバケーブルの横断面図を図1に、図1の2−2線断面図を図2に示す。
図1に示すように、本実施の形態に係る光ファイバケーブル10は、主に、心線部材11、クッション線材21、及びケーブルシース25で構成される。心線部材11とクッション線材21でコア材が形成される。
心線部材11は、少なくとも1本の光ファイバ心線(図1中では8本を図示)12で構成される芯部13と、その芯部13の周りに設けられる緩衝層14で構成される。
芯部13を構成する各光ファイバ心線12は、図3に示すように、本体部である光ファイバ30とファイバ被覆部35で構成される。光ファイバ30は、石英ガラスで構成されるコア部31と、コア部31よりも低屈折率の石英ガラスで構成されるクラッド部32からなる。一方、緩衝層14は、隣接する光ファイバ心線同士の側圧を低減させるために設けられるものであり、芯部13の周りに緩衝繊維を縦添えして形成される。緩衝繊維としては、例えば、安価なポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維などが挙げられる。また、緩衝繊維は、後述するケーブルシース25の被覆時に、ケーブルシース25と緩衝層14を融着、一体化させないために、融点がケーブルシース25の融点よりも高い材料を構成材とすることが好適である。
ここで、芯部13の周りに緩衝繊維を縦添えした後、適宜、押さえ巻きテープなどを軽く巻回して、芯部13と緩衝層14を一体化させてもよい。また、芯部13の径が太い場合や、光ファイバ30として、後述するホーリーファイバや耐屈曲型SMファイバを用いた場合は、側圧が大きくても光損失が小さいので、緩衝層14を省略してもよい。これらの場合においても、芯部13の周りに押さえ巻きテープなどを軽く巻回して、芯部13を構成する各光ファイバ心線12を一体化させてもよい。
各光ファイバ心線12を構成する光ファイバ30としては、通常のシングルモードファイバ(以下、SMファイバという)に限定するものではなく、その他にも、ホーリーファイバやマルチモードファイバ(以下、MMファイバという)が挙げられる。ホーリーファイバは、曲げ損失が非常に小さい光ファイバであり、図4に示すように、クラッド部32の中央部に、同心円状に配置され、長手方向(図4中では図面と垂直な方向)全長にわたる空孔43を有しており、空孔43群の内部がコア部31となる。
SMファイバとしては、通常よく用いられる標準的なものに限らず、通常型SMファイバよりも比屈折率差を大きくし、モードフィールド径を小さくして曲げ特性を向上させた(曲げ損失を小さくした)耐屈曲型SMファイバを用いてもよい。また、光ファイバ30としてMMファイバを用いた光ファイバケーブル10は、屋内LAN用光ファイバケーブルに適用することができる。MMファイバは、一般に曲げ損失が大きいものの、MMファイバを伝送距離が短いLANに適用した場合、その特性を損なうことなく、十分に実用に耐えうる光ファイバケーブルを得ることができる。
クッション線材21は、繊維材(又はテープ材)の束、発泡した線材、又はチューブ材(薄肉中空チューブ材)で構成され、図2に示すように、心線部材11の周りに所定のピッチ及び所定のらせん半径で巻回されている。繊維材(又はテープ材)の束は、撚り合わせるなどによって一体化させることが望ましい。クッション線材21は、その名の通り、クッション性を有する線材であり、材質としては、熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどが挙げられる。また、クッション線材21は、後述するケーブルシース25の被覆時に、ケーブルシース25と融着、一体化されることが望ましいことから、融点がケーブルシース25の融点以下の材料(例えば、同質又はほぼ同質の材料)を構成材とすることが好適である。
ケーブルシース25は、コア材(クッション線材21及び心線部材11)の周りに被覆され、かつ、クッション線材21と固着、一体化される。ケーブルシース25の構成材としては、ポリエチレンが一般的であるが、特に限定するものではなく、その他にもナイロン、ポリウレタン、ポリオレフィン、各種の熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
光ファイバを除く他の構成材、すなわちファイバ被覆部35、緩衝層14、クッション線材21、及びケーブルシース25の縦弾性係数は、光ファイバの縦弾性係数以下、好ましくは50GPa未満とされる。これらの部材の構成材、特に緩衝層14及びクッション線材21の構成材において、50GPaを超える高い縦弾性係数が要求されないため、クッション性のみを満足する安価な材料を使用することができる。
次に、本実施の形態に係る光ファイバケーブルの製造方法を説明する。
先ず、クッション線材21を心線部材11の周りに所定のピッチで巻回し、コア材(クッション線材21及び心線部材11)を作製する。次に、この状態のコア材の周りに、ケーブルシース25を押出被覆する。その際、ケーブルシース25の内径が、コア材の外径より小さくなるように引落す。これにより、ケーブルシース25の内面がクッション線材21をシース中央に向けて押し込むため、図2に示したように、心線部材11がらせん形状にたわみ、長手方向(図2中では左右方向)に余長を有した状態となり、本実施の形態に係る光ファイバケーブル10が得られる。この時、クッション線材21の構成材の融点がケーブルシース25の構成材の融点以下となるように、かつ、緩衝層14の構成材の融点がケーブルシース25の構成材の融点よりも高くなるように、緩衝層14、クッション線材21、及びケーブルシース25の材料選定を行っておくことが好ましい。これによって、ケーブルシース25の押出被覆時に、クッション線材21の表面が部分溶融し、クッション線材21とケーブルシース25だけが融着、一体化される。また、ケーブルシース25の押出被覆時、心線部材11に負荷される張力ができるだけ小さくなるように、押出被覆条件(例えば、コア材走行速度、押出被覆温度など)が適宜調整される。コア材の作製工程とケーブルシース25の押出し工程は、連続した工程で行うことが好ましい。
光ファイバケーブル10のケーブルシース25内において、心線部材11は、ケーブルの径方向中心から偏在(偏心)した状態で、らせん状に配置されている。この偏在距離は、クッション線材21の量(外径)及びケーブルシース25の内径を調整することで、自在に調整することができる。
得られた光ファイバケーブル10は、ケーブルシース25内で心線部材11が固着フリーである。すなわち、光ファイバケーブル10において、クッション線材21は心線部材11の周りに巻回されたものであって、クッション線材21と心線部材11を対よりしたものではない。このため、クッション線材21と心線部材11は、リジッドに固定されず、ルーズな固定となる。
ここで、光ファイバケーブル10においては、クッション線材21と心線部材11の固定がルーズであることから、引張りや曲げなどの繰り返しによって、心線部材11が移動するおそれがある。このため、光ファイバケーブル10を敷設・配線する際は、ケーブル牽引端において、接着剤を用いたり、ケーブルシース25を加熱圧搾することで、心線部材11とクッション線材21、及び心線部材11とケーブルシース25を一体化させることが好ましい。また、光ファイバケーブル10を敷設・配線した後は、ケーブル両端において、接着剤などを用いて心線部材11とクッション線材21、及び心線部材11とケーブルシース25を一体化させることが好ましい。
光ファイバケーブル内における光ファイバ心線のらせん形状の計算モデルを図5に示す。図中のz方向(図5中では上下方向)がケーブル長手方向であり、らせん形状は実際の形状よりも誇張されている。
クッション線材と心線部材の間、及び心線部材とケーブルシースの間に隙間がないとし、図5に示すように、クッション線材のケーブル直径方向(図5中ではx−y平面)の寸法を2rとした場合、心線部材51のらせん半径はrとなる。心線部材51のらせんピッチをpとすると、1ピッチ当たりの心線部材51の長さLは全て同じ長さとなり、(1)式で表される。
Figure 2006251339
また、心線部材51の余長率α([心線部材の全長−光ファイバケーブルの全長]/光ファイバケーブルの全長)は、(2)式で表される。
Figure 2006251339
らせんピッチpと余長率αの関係を図6に示すように、らせんピッチpが同じであれば、らせん半径r(mm)が0.2、0.5、1、2、3と大きくなるにつれて、余長率αが大きくなる。また、らせん半径rを一定とした場合、らせんピッチpが小さくなるにつれて、余長率αが大きくなる。例えば、らせん半径rが2mm、らせんピッチpが30mmの時に、余長率αは約0.08(=8%)となる。この時、クッション性の高い熱可塑性樹脂でクッション線材を構成すると、ケーブルシースがケーブル長手方向に約8%伸張するまでの間、心線部材は余長分が真直に伸びるだけで、ほとんど張力が負荷されない。
ここで、一般的なケーブルシース構成材の線膨張係数は1×10-4程度であることから、100℃の温度変動に伴うケーブルシースの伸縮は1%程度にすぎない。また、ケーブルシースは、押出被覆時の残留歪みによって押出被覆後に徐々に収縮することがある。しかしながら、その収縮率はせいぜい2〜3%程度であり、かつ、光ファイバの余長率を増加させる変化である。よって、これらの伸縮率、収縮率は、心線部材の余長率αに比べて十分に小さいため、全く問題にならない。
光ファイバケーブルの敷設、配線時などにおいて、光ファイバケーブルに大きな張力が負荷されることがあるが、ケーブルシースに約8%の伸びが許容されるので、ケーブルシースの断面積を小さく(厚さを薄く)することができ、また、テンションメンバなどの抗張力材も不要となる。
例えば、内径が6mm、厚さが1mmのポリエチレン製ケーブルシースの場合、ポリエチレンの弾性率を100MPaとすると、ケーブルシースを5%伸張させるには110Nを要する。ここで、ケーブルに必要な引張強度を規定する際に、ケーブルの絶対強度ではなく、ケーブルの100mの自重に相当する張力(以下、100m自重相当張力という)を採用することがある。ケーブルの牽引時、垂直敷設・配線する際はケーブル重量、水平敷設・配線する際は摩擦力の影響がある。摩擦力もケーブル自重が関係していることから、100m自重相当張力は実用上重要な引張強度である。前述したポリエチレン製ケーブルシースでは、光ファイバ心線の心線数を多くしても、1m当たりの自重はせいぜい50g程度であるから、100m自重相当張力は50N程度となる。このポリエチレン製ケーブルシースに100m自重相当張力を負荷しても、ケーブルシースは約2.5%しか伸張しないため、ケーブルシースの伸びが約8%まで許容可能な光ファイバケーブルは、実用上十分であると言える。
また、一般に、光ファイバの曲げがきつい場合(図5中の曲げ半径Rが大きい場合)、光損失が増加したり、光ファイバの破断が生じるおそれがある。曲げ半径Rは、(3)式で表される。
Figure 2006251339
らせんピッチpと曲げ半径Rの関係を図7に示すように、らせんピッチpが同じであれば、らせん半径r(mm)が0.2、0.5、1、2、3と大きくなるにつれて、曲げ半径Rが大きくなる。また、らせん半径rを一定とした場合、らせんピッチpが大きくなるにつれて、曲げ半径Rが大きくなる。例えば、らせんピッチpが30mm、らせん半径rが2mmの場合、曲げ半径Rは約45mmとなる。この値は従来の一般的な光ファイバの許容曲げ半径(30mm)を上回っており、実用上十分であると言える。最近では、光ファイバの許容曲げ半径は、前述した耐屈曲型SMファイバの許容曲げ半径(15mmや7.5mm)が公称値として採用されるようになってきており、らせんピッチpやらせん半径rをより小さくして曲げ半径Rを小さくしても、十分対応可能である。耐屈曲型SMファイバの許容曲げ半径については、佐藤文昭外,“光アクセス用小径曲げ対応型光ファイバ”,「2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会予稿集」,B-10-30などを参照。また、図4に示したホーリーファイバは、曲げ損失が非常に小さいことから、曲げ損失に対する光ファイバケーブル設計上の制約、つまりらせん半径rの下限についての制約はほとんどなくなる。ただし、これらの光ファイバも、他の光ファイバと同様に、光ファイバ自体の機械的強度には限界があるため、大きな曲げ応力が負荷されると破断が生じる。
ガラスを素材とする光ファイバの破断は、光ファイバ表面の微細な傷が引張応力によって成長することで生じる。光ファイバに曲げ応力(引張応力)が負荷されると、曲げ内側で引張応力が最小、曲げ外側で引張応力が最大となり、周方向で異なる。曲げ外側に負荷される最大の引張応力(以下、曲げ最大応力という)σmaxは、(4)式で表される。ここで、Eは光ファイバの縦弾性係数(ヤング率)、dは光ファイバの直径である。
Figure 2006251339
らせんピッチpと、(3)式及び(4)式から算出された曲げ最大応力σmaxの関係を図8に示す。ここで、ヤング率Eは72GPa、光ファイバの直径dは標準サイズの0.125mmとした。
図8に示すように、らせんピッチpが30mm、らせん半径rが2mmの場合、曲げ最大応力σmaxはわずか0.1GPa程度であり、ほとんど無視することができる程度の全く問題のない応力レベルとなる。他のパラメータ(らせん半径、らせんピッチ)を採用し、曲げ最大応力σmaxが無視することができない程度の値となった場合は、光ファイバの直径dを更に小さくすることで、曲げ最大応力σmaxを低減させることができる。最近では、直径dが0.080mmの光ファイバも採用され始めており、また、その接続技術も確立されてきているため、極細の光ファイバを採用することについての問題は特にない。
以上に述べたように、本実施の形態に係る光ファイバケーブル10においては、心線部材11を取り囲むようにクッション線材21を巻回すことで、心線部材11がらせん形状にたわみ、余長を有した状態でケーブルシース25内に配置される。また、クッション線材21は、ケーブルシース25と固着、一体化されているものの、心線部材11とは固着されていない(ルーズに固定されている)。
このため、この光ファイバケーブル10を水平方向に敷設・配線すると、ケーブル牽引時、振動時、温度変動時、又は屈曲時(つまり、ケーブルの張力負荷時)に、ケーブルシース25のみに張力が負荷されて伸張し、その伸張に伴ってクッション線材21もケーブル長手方向に伸張する。一方、心線部材11は、クッション線材21及びケーブルシース25のいずれにも固着、一体化されていないため、ケーブル牽引時などにおいても、余長分(たわんでいた分)が伸びて真直になるだけである。その結果、心線部材11、延いては光ファイバ30に張力が負荷されるおそれはない。
また、心線部材11は、クッション線材21及びケーブルシース25のいずれにも固着、一体化されていないものの、クッション線材21によりその周囲を取り囲むように巻回されている。このため、心線部材11には十分な大きさの締付け力及びそれに伴う摩擦抵抗が作用している。よって、この光ファイバケーブル10を垂直方向に敷設・配線しても、この摩擦抵抗によって心線部材11が垂直下向きに落下、移動することはない。その結果、垂直敷設・配線時、心線部材11に光ファイバケーブル10の自重による張力が負荷されるおそれはない。
また、本実施の形態に係る光ファイバケーブル10は、その内部に、高価な抗張力体、すなわち、図9に示したテンションメンバ91や図10に示した抗張力繊維103を有していないにも関わらず、前述したように、引張応力や曲げ応力が負荷された時に、光ファイバ30に張力が負荷されるおそれがない。高価な抗張力体を必要としないため、光ファイバケーブル10の材料コストの低減を図ることができると共に、光ファイバケーブル自体の構造が簡易になることから、製造工程の簡略化を図ることができる。その結果、光ファイバケーブル10を安価に得ることができる。
本実施の形態に係る光ファイバケーブル10は、構内、局内、建物内などの屋内配線用の光ファイバケーブルとして好適である。特に、光ファイバ30として、曲げ損失の小さい耐屈曲型SMファイバやホーリーファイバを用いたものは、クッション線材21のらせんピッチpやらせん半径rの設計自由度が高いため、敷設・配線時に大きく屈曲される光ファイバケーブルに好適である。また、光ファイバ30として、MMファイバを用いたものは、MMファイバの特性を十分に活かせる屋内LAN用光ファイバケーブルに好適である。
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
本発明の好適一実施の形態に係る光ファイバケーブルの横断面図である。 図1の2−2線断面図である。 図1における光ファイバ心線の拡大横断面図である。 図3における光ファイバの一例を示す横断面図である。 光ファイバケーブル内における光ファイバ心線の計算モデルである。 らせんピッチpと余長率αの関係を示す図である。 らせんピッチpと曲げ半径rの関係を示す図である。 らせんピッチpと曲げ最大応力σmaxの関係を示す図である。 従来の光ファイバケーブルの一例を示す横断面図である。 従来の光ファイバケーブルの他の例を示す横断面図である。
符号の説明
10 光ファイバケーブル
11 心線部材
12 光ファイバ心線
21 クッション線材
25 ケーブルシース

Claims (9)

  1. 少なくとも1本の光ファイバ心線で構成された心線部材をケーブルシースで覆ってなる光ファイバケーブルであって、
    上記心線部材の周りに所定のピッチ及び所定のらせん半径で巻回されたクッション線材と、
    そのクッション線材及び心線部材の周りに被覆され、クッション線材と固着、一体化されたケーブルシースとを備え、
    心線部材をらせん形状にたわませ、余長を有した状態でケーブルシース内に配置したことを特徴とする光ファイバケーブル。
  2. 上記心線部材が、少なくとも1本の光ファイバ心線で構成される芯部の周りに緩衝層を有する請求項1記載の光ファイバケーブル。
  3. 上記クッション線材を、熱可塑性樹脂の繊維材又はテープ材の束で構成した請求項1又は2記載の光ファイバケーブル。
  4. 上記クッション線材を、熱可塑性樹脂の発泡線材で構成した請求項1又は2記載の光ファイバケーブル。
  5. 上記クッション線材を、熱可塑性樹脂のチューブ材で構成した請求項1又は2記載の光ファイバケーブル。
  6. 上記光ファイバ心線の光ファイバを、ホーリーファイバで構成した請求項1から5いずれかに記載の光ファイバケーブル。
  7. 上記光ファイバを除く他の構成材の縦弾性係数が50GPa未満である請求項1から6いずれかに記載の光ファイバケーブル。
  8. 少なくとも1本の光ファイバ心線で構成された心線部材をケーブルシースで覆ってなる光ファイバケーブルの製造方法であって、
    上記心線部材の周りに所定のピッチ及び所定のらせん半径でクッション線材を巻回し、心線部材をらせん形状にたわませ、
    そのクッション線材及び心線部材の周りにケーブルシースを被覆し、ケーブルシースとクッション線材を固着、一体化することを特徴とする光ファイバケーブルの製造方法。
  9. 上記クッション線材及び心線部材の周りにケーブルシースを押出被覆する際に、ケーブルシースとクッション線材を融着、一体化させる請求項8記載の光ファイバケーブルの製造方法。
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