JP2006250743A - π型インピーダンス回路網のインピーダンス測定方法および測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】配線インピーダンスYlineを考慮して、π型インピーダンス回路網の第1インピーダンス素子のインピーダンスを精度よく測定できるπ型インピーダンス回路網のインピーダンス測定方法および測定装置を提供する。
【解決手段】信号源の出力が送り出される信号出力部O1 と、入力電圧を測定する測定部Aと、リファレンス電圧を測定する測定部Rとを有するネットワークアナライザを使用し、π型インピーダンス回路網の2個の測定端子の一方の測定端子4を信号出力部O1 に接続すると共に他方の測定端子5を測定部Aに接続し、測定部A,Rの電圧の比を求めてπ型インピーダンス回路網の第1のインピーダンス素子のインピーダンスを測定する方法において、ネットワークアナライザに5種類の基準インピーダンスを接続して測定し、測定部A,Rの電圧の比を求める。
【選択図】 図2
【解決手段】信号源の出力が送り出される信号出力部O1 と、入力電圧を測定する測定部Aと、リファレンス電圧を測定する測定部Rとを有するネットワークアナライザを使用し、π型インピーダンス回路網の2個の測定端子の一方の測定端子4を信号出力部O1 に接続すると共に他方の測定端子5を測定部Aに接続し、測定部A,Rの電圧の比を求めてπ型インピーダンス回路網の第1のインピーダンス素子のインピーダンスを測定する方法において、ネットワークアナライザに5種類の基準インピーダンスを接続して測定し、測定部A,Rの電圧の比を求める。
【選択図】 図2
Description
本発明はπ型インピーダンス回路網におけるインピーダンス素子のインピーダンスを測定するインピーダンス測定方法および測定装置に関する。
従来より、π型インピーダンス回路網として図1に示されるような負荷容量付きの発振子Pが知られている。この負荷容量付き発振子Pは、発振子よりなる第1インピーダンス素子1と、負荷容量よりなる第2,第3インピーダンス素子(アドミタンス素子)2,3とを備えており、第1インピーダンス素子1は測定端子4と測定端子5との間に接続され、第2インピーダンス素子2は測定端子4と接地端子6との間、第3インピーダンス素子3は測定端子5と接地端子6との間にそれぞれ接続されている。
このようなπ型インピーダンス回路網の第1インピーダンス素子1のインピーダンスを求めるためには、まず第2,第3インピーダンス素子2,3のインピーダンス(アドミタンス)を測定し、その後で第1インピーダンス素子1のインピーダンスを計算で求めている。しかし、第2,第3インピーダンス素子2,3が存在するために、正確にインピーダンス素子1のみのインピーダンスを求めることが困難であるという問題がある。
このような問題を解消するため、特許文献1では、π型インピーダンス回路網における特定のインピーダンス回路素子のインピーダンスのみを正確に測定できるインピーダンス測定方法が提案されている。
このインピーダンス測定方法では、同軸ケーブルなどの伝送線路と第1〜第3のインピーダンス素子のインピーダンスとの合計6個の未知数のうち、第2,第3のインピーダンス素子のインピーダンスはCメータなど測定器で別に測定しておき、残りの4個の未知特性を求めるために4種類の基準インピーダンスをネットワークアナライザに接続して測定し、その測定値から第1のインピーダンス素子のインピーダンスを決定している。
このインピーダンス測定方法では、同軸ケーブルなどの伝送線路と第1〜第3のインピーダンス素子のインピーダンスとの合計6個の未知数のうち、第2,第3のインピーダンス素子のインピーダンスはCメータなど測定器で別に測定しておき、残りの4個の未知特性を求めるために4種類の基準インピーダンスをネットワークアナライザに接続して測定し、その測定値から第1のインピーダンス素子のインピーダンスを決定している。
図2は特許文献1に示された測定回路である。
ネットワークアナライザ10は、信号源11、信号出力部O1 ,O2 、測定部R,Aを有し、各測定部R,Aにはそれぞれ電圧計VR ,VA が接続されている。信号出力部O1 はπ型インピーダンス回路網Pの測定端子4に接続され、測定端子5は測定部Aに接続されている。また、信号出力部O2 と測定部Rとは相互に接続されている。
ネットワークアナライザ10は、信号源11、信号出力部O1 ,O2 、測定部R,Aを有し、各測定部R,Aにはそれぞれ電圧計VR ,VA が接続されている。信号出力部O1 はπ型インピーダンス回路網Pの測定端子4に接続され、測定端子5は測定部Aに接続されている。また、信号出力部O2 と測定部Rとは相互に接続されている。
図3は、図2の測定回路を回路モデルで表したものである。
ここで、Zxはπ型インピーダンス回路網Pの第1インピーダンス素子1のインピーダンス(なお、第1インピーダンス素子のインピーダンスZxを真値Zdut とオープン状態でのインピーダンスZopenとの2要素で示してある)、Y1 は第2インピーダンス素子2のアドミタンス、Y2 は第3インピーダンス素子3のアドミタンスである。
ここで、Zxはπ型インピーダンス回路網Pの第1インピーダンス素子1のインピーダンス(なお、第1インピーダンス素子のインピーダンスZxを真値Zdut とオープン状態でのインピーダンスZopenとの2要素で示してある)、Y1 は第2インピーダンス素子2のアドミタンス、Y2 は第3インピーダンス素子3のアドミタンスである。
ネットワークアナライザ10の信号源11から測定端子4に至る経路を入力回路12とし、測定端子5から電圧計VA に至る経路を出力回路13とし、信号源11から電圧計VR に至る経路をリファレンス回路14としてある。入力回路12、出力回路13およびリファレンス回路14の特性はそれぞれ行列で表される。
図3に示すように、従来では入力回路12の配線インピーダンスや出力回路13の配線インピーダンスは考慮されているが、接地端子6と入出力回路12,13のグランドとの間の配線インピーダンスは考慮されていない。入力回路12および出力回路13の配線インピーダンスの影響は、キャリブレーションにより除去することが可能であるが、接地端子6と入出力回路12,13のグランドとの間の配線インピーダンスはキャリブレーションでは除去できない。
周波数が低い領域では、この配線インピーダンスはさほど大きな影響を及ぼさないが、周波数が高くなるに従い(例えば50MHz以上)、この配線インピーダンスの影響を無視できなくなり、結果として測定精度が悪化するという問題を招く。
特許第2871506号公報
周波数が低い領域では、この配線インピーダンスはさほど大きな影響を及ぼさないが、周波数が高くなるに従い(例えば50MHz以上)、この配線インピーダンスの影響を無視できなくなり、結果として測定精度が悪化するという問題を招く。
そこで、本発明の目的は、配線インピーダンスYlineを考慮して、π型インピーダンス回路網の第1インピーダンス素子のインピーダンスを精度よく測定できるπ型インピーダンス回路網のインピーダンス測定方法および測定装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、2個の測定端子間に第1のインピーダンス素子が接続され、一方の測定端子と接地端子間および他方の測定端子と接地端子間にそれぞれ第2,第3のインピーダンス素子が接続されたπ型インピーダンス回路網の上記第1のインピーダンス素子のインピーダンスを測定する方法であって、信号源の出力が送り出される信号出力部O1 と、入力電圧を測定する測定部Aと、リファレンス電圧を測定する測定部Rとを有するネットワークアナライザを使用し、上記2個の測定端子の一方の測定端子を信号出力部O1 に接続すると共に他方の測定端子を測定部Aに接続し、上記測定部A,Rの電圧の比を求めて上記第1のインピーダンス素子のインピーダンスを測定する方法において、上記ネットワークアナライザに次の5種類の基準インピーダンスを接続して、上記測定部A,Rの電圧の比を求めることを特徴とするインピーダンス測定方法を提供する。
第1の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間をショート
第2の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZL を接続
第3の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZt2を接続し、信号出力部O1 とグランド間に既知のインピーダンスYt2を接続し、測定部Aとグランド間に既知のインピーダンスYt2を接続
第4の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZt1を接続し、信号出力部O1 とグランド間に既知のインピーダンスYt1を接続
第5の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間をショートし、信号出力部O1 とグランド間をショート
第1の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間をショート
第2の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZL を接続
第3の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZt2を接続し、信号出力部O1 とグランド間に既知のインピーダンスYt2を接続し、測定部Aとグランド間に既知のインピーダンスYt2を接続
第4の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZt1を接続し、信号出力部O1 とグランド間に既知のインピーダンスYt1を接続
第5の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間をショートし、信号出力部O1 とグランド間をショート
従来では、4種類の基準インピーダンスを測定していたが、接地端子と入出力回路のグランドとの間に存在する配線インピーダンスYlineを無視しているため、第1インピーダンス素子のインピーダンスを必ずしも精度よく求めることができない。これに対し、本発明では、従来にはない基準インピーダンスをさらに1種類追加し、これにより配線インピーダンスYlineを考慮した回路定数を求めることができる。この追加の基準インピーダンスとして、本発明では、信号出力部O1 と測定部Aとの間をショートし、信号出力部O1 とグランド間をショートしている。
このように基準インピーダンスとして1種類追加することで、配線インピーダンスYlineを含めた実際のπ型インピーダンス回路網に正確に対応した測定モデルの全ての未知数を求めることができる。その結果、第1インピーダンス素子のインピーダンスをさらに精度よく求めることができる。
このように基準インピーダンスとして1種類追加することで、配線インピーダンスYlineを含めた実際のπ型インピーダンス回路網に正確に対応した測定モデルの全ての未知数を求めることができる。その結果、第1インピーダンス素子のインピーダンスをさらに精度よく求めることができる。
本発明では、第2,第3のインピーダンス素子のインピーダンスY1,Y2を予め知る必要がある。例えば、Cメータなどの測定器を用いて容量測定を行うことで、Y1,Y2を簡単に測定できるし、別の方法で予め測定しておいてもよい。このY1,Y2と、第1〜第5の基準インピーダンスを用いた測定結果とから連立方程式を解くことにより、第1のインピーダンス素子のインピーダンスZxを求めることができる。
上記のようにして求めたインピーダンスZxには、オープン状態でのインピーダンスが含まれるため、真値ではない。そこで、信号出力部O1 と測定部Aとグランド間をそれぞれオープン状態にして測定し、その測定値から得られるインピーダンスZopenから、次式により第1のインピーダンス素子のインピーダンスの真値Zdut を求めることができる。
1/Zdut =1/Zx −1/Zopen
1/Zdut =1/Zx −1/Zopen
以上の説明のように、本発明によれば、配線インピーダンスYlineを考慮した測定モデルを作成し、合計5種類の基準インピーダンスを用いて測定することで、配線インピーダンスYlineを含めたπ型インピーダンス回路網の測定モデルの全ての未知数を求めることができる。その結果、第1インピーダンス素子のインピーダンスを精度よく求めることができる。
以下に、本発明の実施の形態を、実施例を参照して説明する。
−配線インピーダンスを考慮した測定回路モデル−
図4は、接地端子6と入出力回路12,13のグランドとの間に存在する配線インピーダンスYlineを考慮した測定回路モデルである。この測定回路モデルにおいて、各未知数を求める方法について以下に説明する。
図4は、接地端子6と入出力回路12,13のグランドとの間に存在する配線インピーダンスYlineを考慮した測定回路モデルである。この測定回路モデルにおいて、各未知数を求める方法について以下に説明する。
図4において、V:信号源電圧、I1 :入力回路への電流、I2 :リファレンス回路への電流、Vm:出力回路からの電圧、Im:出力回路からの電流、Vr:リファレンス回路からの電圧、Ir:リファレンス回路からの電流である。a1 〜d1 を入力回路のFパラメータ、a2 〜d2 を出力回路のFパラメータ、a3 〜d3 をリファレンス回路のFパラメータとすると、図4に示す回路は(1),(2)式で表現できる。
(1)式において、右辺の1番目の行列は入力回路の特性、2番目の行列はπ型インピーダンス回路網Pの特性、3番目の行列は出力回路の特性を示す。また、(2)式において、右辺の1番目の行列はリファレンス回路の特性を示す。
−Fパラメータの導出−
図5(a)は配線インピーダンスYlineを含むπ型インピーダンス回路網Pの回路モデルであり、図4のZx、Y1、Y2、Ylineと図5(a)のZ1〜Z4との対応は以下の通りである。
Z4=Zx
Z1=1/Y1
Z2=1/Y2
Z3=1/Yline
図5(a)に示す回路のFパラメータを
とする。図5(a)のままではFパラメータで表現できないため、図5(b)に変形すると、そのFパラメータは次式のように表現できる。
Δ−Y変換公式より、次式のようになる。
数式(3)と数式(4)とを解くことにより、次式のように図5(a)のFパラメータが求まる。
図5(a)は配線インピーダンスYlineを含むπ型インピーダンス回路網Pの回路モデルであり、図4のZx、Y1、Y2、Ylineと図5(a)のZ1〜Z4との対応は以下の通りである。
Z4=Zx
Z1=1/Y1
Z2=1/Y2
Z3=1/Yline
図5(a)に示す回路のFパラメータを
上記のようなFパラメータの導出方法を用いて、(1)式におけるπ型インピーダンス回路網PのFパラメータaz,bz,cz,dzを表すと、(6)〜(9)式となる。
(6)〜(9)式において、インピーダンスはZで表記し、アドミタンスはYで表記してある。
−Zxの計算式−
(6)〜(9)式よりZxを求めると、次式のようになる。
ただし、
Y=Y1+Y2+Yline
αm=Vr/Vm
k1=a1 a2 /a3
k2=b1 c2 /a3
k3=b1 a2 /a3
k4=a1 c2 /a3
とする。αmはネットワークアナライザの測定値であり、リファレンス電圧と出力電圧との比で与えられる。
(6)〜(9)式よりZxを求めると、次式のようになる。
Y=Y1+Y2+Yline
αm=Vr/Vm
k1=a1 a2 /a3
k2=b1 c2 /a3
k3=b1 a2 /a3
k4=a1 c2 /a3
とする。αmはネットワークアナライザの測定値であり、リファレンス電圧と出力電圧との比で与えられる。
(10)式におけるY1,Y2,Yline,k1〜k4の合計7個の未知数を導出することにより、インピーダンスZxを求めることができる。このうち、Y1,Y2については、従来と同様にCメータなどの測定器を用いて別個に測定できるが、残りの5個の未知数Yline,k1〜k4については、次に示すような5種類の基準インピーダンスをネットワークアナライザに接続して測定し、その測定値(Vr/Vm)から導出することができる。
−第1の基準インピーダンス−
まず、第1の基準インピーダンスをネットワークアナライザに接続して測定する。第1の基準インピーダンスは、図6の(a)のように、信号出力部O1 と測定部Aとの間をショートさせるものであり、信号出力部O1 と接地間、測定部Aと接地間はオープン状態とする。つまり、Zx=0,Y1=Y2=0である。
このときの測定値をαsとし、これを(10)式のαmに代入すると、
となる。よって、
αs=k1+k2 ・・・(11)
となる。
まず、第1の基準インピーダンスをネットワークアナライザに接続して測定する。第1の基準インピーダンスは、図6の(a)のように、信号出力部O1 と測定部Aとの間をショートさせるものであり、信号出力部O1 と接地間、測定部Aと接地間はオープン状態とする。つまり、Zx=0,Y1=Y2=0である。
このときの測定値をαsとし、これを(10)式のαmに代入すると、
αs=k1+k2 ・・・(11)
となる。
−第2の基準インピーダンス−
次に、第2の基準インピーダンスをネットワークアナライザに接続して測定する。第2の基準インピーダンスは、図6の(b)のように信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZL を接続したものである。つまり、Zx=ZL 、Y1=Y2=0である。
このときの測定値をαL とし、これを(10)式のαmに代入すると、
となる。
次に、第2の基準インピーダンスをネットワークアナライザに接続して測定する。第2の基準インピーダンスは、図6の(b)のように信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZL を接続したものである。つまり、Zx=ZL 、Y1=Y2=0である。
このときの測定値をαL とし、これを(10)式のαmに代入すると、
−第3の基準インピーダンス−
次に、第3の基準インピーダンスをネットワークアナライザに接続して測定する。第3の基準インピーダンスは、図6の(c)のように信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZt2を接続するとともに、信号出力部O1 と接地間、および測定部Aと接地間に既知のインピーダンスYt2を接続したものである。つまり、Zx=Zt2、Y1=Y2=Yt2である。
このときの測定値をαt2とし、これを(10)式のαmに代入すると、
となる。
次に、第3の基準インピーダンスをネットワークアナライザに接続して測定する。第3の基準インピーダンスは、図6の(c)のように信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZt2を接続するとともに、信号出力部O1 と接地間、および測定部Aと接地間に既知のインピーダンスYt2を接続したものである。つまり、Zx=Zt2、Y1=Y2=Yt2である。
このときの測定値をαt2とし、これを(10)式のαmに代入すると、
−第4の基準インピーダンス−
次に、第4の基準インピーダンスをネットワークアナライザに接続して測定する。第4の基準インピーダンスは、図6の(d)のように信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZt1を接続するとともに、信号出力部O1 と接地間に既知のインピーダンスYt1を接続し、測定部Aと接地間をオープン状態としたものである。つまり、Zx=Zt1、Y1=Yt1、Y2=0である。
このときの測定値をαt1とし、これを(10)式のαmに代入すると、
となる。
次に、第4の基準インピーダンスをネットワークアナライザに接続して測定する。第4の基準インピーダンスは、図6の(d)のように信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZt1を接続するとともに、信号出力部O1 と接地間に既知のインピーダンスYt1を接続し、測定部Aと接地間をオープン状態としたものである。つまり、Zx=Zt1、Y1=Yt1、Y2=0である。
このときの測定値をαt1とし、これを(10)式のαmに代入すると、
−第5の基準インピーダンス−
以上の第1〜第4の基準インピーダンスは特許文献1と同様であるが、さらに第5の基準インピーダンスをネットワークアナライザに接続して測定する。第5の基準インピーダンスは、図6の(e)のように信号出力部O1 と測定部Aとの間をショートさせるとともに、信号出力部O1 と接地間をショートさせ、かつ測定部Aと接地間をオープン状態としたものであり、Zx=0,Y1=∞,Y2=0である。
ここで計算を容易にするために、Y1=1/Z1、Y2=1/Z2として(10)式に代入し、(15)式を得る。
第5の基準インピーダンスを接続した状態(Zx=0,Z1=0)での測定値をαs2 とし、これを(15)式のαmに代入すると、
0=(αs2−k1−k2−k3Yline)Z2 ・・・(16)
となる。
(16)式のZ2≠0であるから、次式となる。
0=αs2−k1−k2−k3Yline ・・・(17)
以上の第1〜第4の基準インピーダンスは特許文献1と同様であるが、さらに第5の基準インピーダンスをネットワークアナライザに接続して測定する。第5の基準インピーダンスは、図6の(e)のように信号出力部O1 と測定部Aとの間をショートさせるとともに、信号出力部O1 と接地間をショートさせ、かつ測定部Aと接地間をオープン状態としたものであり、Zx=0,Y1=∞,Y2=0である。
ここで計算を容易にするために、Y1=1/Z1、Y2=1/Z2として(10)式に代入し、(15)式を得る。
0=(αs2−k1−k2−k3Yline)Z2 ・・・(16)
となる。
(16)式のZ2≠0であるから、次式となる。
0=αs2−k1−k2−k3Yline ・・・(17)
−未知数の決定−
以上のように第1〜第5の基準インピーダンスを接続したときの測定値から求められる(11)〜(14),(17)の連立方程式を解くことにより、k1〜k4、Ylineを決定することができる。その結果を(10)式に代入することによりZxを求めることができる。
なお、Y1,Y2については、上述のように容量測定などの手法により別に導出すればよい。測定方法は特許文献1に記載の通りである。
以上のように第1〜第5の基準インピーダンスを接続したときの測定値から求められる(11)〜(14),(17)の連立方程式を解くことにより、k1〜k4、Ylineを決定することができる。その結果を(10)式に代入することによりZxを求めることができる。
なお、Y1,Y2については、上述のように容量測定などの手法により別に導出すればよい。測定方法は特許文献1に記載の通りである。
Zopenは、測定部に何も接続しない状態で測定し、そのときの測定値を(10)式のαmに代入することにより得られる。最終的に得たいインピーダンスの真値Zdut は(18)式のように、Zx からZopenを差し引くことで得られる。
1/Zdut =1/Zx −1/Zopen ・・・(18)
1/Zdut =1/Zx −1/Zopen ・・・(18)
本発明にかかるπ型インピーダンス回路網は、図1に示されるような負荷容量付きの発振子に限るものではなく、2個の測定端子間に第1のインピーダンス素子が接続され、一方の測定端子と接地端子間および他方の測定端子と接地端子間にそれぞれ第2,第3のインピーダンス素子(あるいはアドミタンス素子)が接続された回路網であれば、測定可能である。
図2では、測定部Rと信号出力部O2 とをネットワークアナライザの外部で接続したが、測定部Rと信号出力部O2 とをネットワークアナライザの内部で常時接続しておいてもよい。したがって、本発明では信号出力部O2 を除外してある。
図2では、測定部Rと信号出力部O2 とをネットワークアナライザの外部で接続したが、測定部Rと信号出力部O2 とをネットワークアナライザの内部で常時接続しておいてもよい。したがって、本発明では信号出力部O2 を除外してある。
P 負荷容量付き発振子(π型インピーダンス回路網)
1 第1インピーダンス素子
2 第2インピーダンス素子
3 第3インピーダンス素子
4,5 測定端子
6 接地端子
10 ネットワークアナライザ
O1 信号出力部
A,R 測定部
Yline 配線インピーダンス
1 第1インピーダンス素子
2 第2インピーダンス素子
3 第3インピーダンス素子
4,5 測定端子
6 接地端子
10 ネットワークアナライザ
O1 信号出力部
A,R 測定部
Yline 配線インピーダンス
Claims (6)
- 2個の測定端子間に第1のインピーダンス素子が接続され、一方の測定端子と接地端子間および他方の測定端子と接地端子間にそれぞれ第2,第3のインピーダンス素子が接続されたπ型インピーダンス回路網の上記第1のインピーダンス素子のインピーダンスを測定する方法であって、
信号源の出力が送り出される信号出力部O1 と、入力電圧を測定する測定部Aと、リファレンス電圧を測定する測定部Rとを有するネットワークアナライザを使用し、上記2個の測定端子の一方の測定端子を信号出力部O1 に接続すると共に他方の測定端子を測定部Aに接続し、上記測定部A,Rの電圧の比を求めて上記第1のインピーダンス素子のインピーダンスを測定する方法において、
上記ネットワークアナライザに次の5種類の基準インピーダンスを接続して、上記測定部A,Rの電圧の比を求めることを特徴とするインピーダンス測定方法。
第1の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間をショート
第2の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZL を接続
第3の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZt2を接続し、信号出力部O1 とグランド間に既知のインピーダンスYt2を接続し、測定部Aとグランド間に既知のインピーダンスYt2を接続
第4の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZt1を接続し、信号出力部O1 とグランド間に既知のインピーダンスYt1を接続
第5の基準インピーダンス:信号出力部O1 と測定部Aとの間をショートし、信号出力部O1 とグランド間をショート - 上記第2,第3のインピーダンス素子のインピーダンスY1,Y2を容量測定により求め、これらY1,Y2と上記第1〜第5の基準インピーダンスを用いた測定結果とにより、第1のインピーダンス素子のインピーダンスZxを求めることを特徴とする請求項1に記載のインピーダンス測定方法。
- 上記信号出力部O1 と測定部Aとグランド間をそれぞれオープン状態にして測定し、その測定値から得られるインピーダンスZopenから、次式により第1のインピーダンス素子のインピーダンスの真値Zdut を求めることを特徴とする請求項2に記載のインピーダンス測定方法。
1/Zdut =1/Zx −1/Zopen - 2個の測定端子間に第1のインピーダンス素子が接続され、一方の測定端子と接地端子間および他方の測定端子と接地端子間にそれぞれ第2,第3のインピーダンス素子が接続されたπ型インピーダンス回路網の上記第1のインピーダンス素子のインピーダンスを測定する装置であって、
信号源の出力が送り出される信号出力部O1 と、入力電圧を測定する測定部Aと、リファレンス電圧を測定する測定部Rとを有し、上記信号出力部O1 を2個の測定端子の一方の測定端子に接続し、上記測定部Aを他方の測定端子に接続した状態で上記測定部A,Rの電圧の比を求めるネットワークアナライザと、
上記信号出力部O1 と測定部Aとの間をショートさせる第1の基準インピーダンスと、
上記信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZL を接続する第2の基準インピーダンスと、
上記信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZt2を接続し、信号出力部O1 とグランド間に既知のインピーダンスYt2を接続し、測定部Aとグランド間に既知のインピーダンスYt2を接続する第3の基準インピーダンスと、
上記信号出力部O1 と測定部Aとの間に既知のインピーダンスZt1を接続し、信号出力部O1 とグランド間に既知のインピーダンスYt1を接続する第4の基準インピーダンスと、
上記信号出力部O1 と測定部Aとの間をショートさせ、信号出力部O1 とグランド間をショートさせる第5の基準インピーダンスとを用い、
上記ネットワークアナライザに上記5種類の基準インピーダンスを接続したときの上記測定部A,Rの電圧を測定し、上記測定部A,Rの電圧の比を求めることを特徴とするインピーダンス測定装置。 - 上記第2,第3のインピーダンス素子のインピーダンスY1,Y2を容量測定により求め、これらY1,Y2と上記第1〜第5の基準インピーダンスを用いた測定結果とにより、第1のインピーダンス素子のインピーダンスZxを求めることを特徴とする請求項4に記載のインピーダンス測定装置。
- 上記信号出力部O1 と測定部Aとグランド間をそれぞれオープン状態にして測定し、その測定値から得られるインピーダンスZopenから、次式により第1のインピーダンス素子のインピーダンスの真値Zdut を求めることを特徴とする請求項5に記載のインピーダンス測定装置。
1/Zdut =1/Zx −1/Zopen
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JP2005068376A JP2006250743A (ja) | 2005-03-11 | 2005-03-11 | π型インピーダンス回路網のインピーダンス測定方法および測定装置 |
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