JP2006247903A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機器の設置スペースの増大,特に,感光体周辺における機器の設置スペースの増大を極力回避しつつ,帯電ムラや感度ムラが併存する感光体についても画像の濃度ムラの発生を防止できること。
【解決手段】 感光体ドラム1の表面に複数ビーム光を一括走査させて露光する際に,その複数ビーム光の一部である第1ビーム光の露光量制御により静電潜像書き込み用の露光制御を行う。さらに,前記第1ビーム光を除く残りの第2ビーム光による露光量制御により感光体ドラム1の表面における特性分布(帯電ムラや感度ムラ)を補正する露光制御を行う。前記第2ビーム光の感光体ドラム1の表面における照射スポットの大きさは,前記第1ビーム光の前記照射スポットよりも大きい。さらに,前記第2ビーム光の前記照射スポットの径が,その第2ビーム光の前記感光体の表面における照射ピッチのほぼ2.5倍以上に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は,電子写真方式の画像形成装置に関し,特に,感光体表面の露光感度のムラや帯電のムラによって生じる露光後の電位の過不足を適正に調節する画像形成装置に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置(複写機,プリンタ,ファクシミリ装置等)では,帯電装置(帯電手段)により感光体の表面を所定の初期電位まで一様に帯電させ,その帯電済みの感光体表面にビーム光を走査させて,或いはドラム状の感光体の回転軸方向に配列されたLEDアレイ光源により露光することによって静電潜像が書き込まれる。
また,昨今,感光体に対する静電潜像書き込みの高速化を目的とし,1つの感光体に複数のビーム光を同時に一括走査させて複数ライン分の静電潜像書き込みを同時に行う画像形成装置が存在する。このような画像形成装置では,一般に,複数のビーム光を同時に出力するマルチビーム光源が用いられる。このマルチビーム光源を採用した場合,それ自体は1つのビーム光を出力するシングルビーム光源と比べてそれほど大きさは変わらず,また,ポリゴンミラー等の光走査手段やその前後のビーム光の光路調整を行う光学機器も共用できるので,設置スペースはあまり増加しない。特に,設置スペースの制約が大きい感光体周辺においては,新たな装置を何ら追加する必要がないというメリットがある。
一方,画像形成が行われる際には,まず,所定の画像処理手段により画像形成対象となる画像データに基づいて画素ごとの濃淡レベルを表す画素階調が決定され,予め帯電装置により帯電済みの感光体の表面を前記画像処理手段により決定された前記画素階調を所定の変換情報に基づいて露光量に変換され(通常は線形変換),これにより得られる露光量に従って露光手段により露光される。
ところで,感光体にはその表層部の膜厚や材料特性のばらつき等に起因する個体差があり,その表面を帯電装置により一定条件で一様に帯電させても,感光体ごとに固有の電位の分布が生じる。これがいわゆる帯電ムラである。また,初期電位が等しい領域各々を同一の露光量で露光しても,必ずしも同じ電位にまで下がるわけではなくばらつきが生じる。即ち,露光量の差異に対する電位低下量の差異の比(傾き)に分布(ムラ)がある状況であり,これがいわゆる感度ムラである。
このような各々固有の帯電ムラや感度ムラを有する感光体の表面の各領域について,前記画素階調から前記露光量への変換を同一の(共通の)変換情報に基づいて行うと,同じ露光量で露光しても領域ごとに露光後の電位が異なってしまい,トナーによって現像される濃度(現像濃度)が本来あるべき濃度に対して過不足が生じ,現像ムラ(濃度ムラ)となって表れる。
一般に,画像の濃淡を複数画素の前記画素階調の配列で表現する面積階調方式で階調表現を行う装置(いわゆるデジタル機)の場合,画像の濃淡を画素単位の濃淡のみで表現する装置(いわゆるアナログ機)に比べ,微小な感度ムラや帯電ムラが画像の濃度ムラとして表れにくいものの,空間周期が比較的大きな帯電ムラが存在する場合,面積階調方式で階調表現を行うデジタル機においても濃度ムラを防ぎきれない。
特に,CMYK(シアン,マゼンタ,イエロー,ブラック)の4色のトナー像を重ねるカラー画像形成装置では,CMYの3色のトナー像を重ねて混色グレーの画像を形成するが,露光後の感光体表面に帯電ムラがあると,CMYのバランスが崩れて均一な混色グレー像が形成されない(濃度ムラが生じる)。
例えば,特許文献1によれば,露光後の電位に5V以上の電位ムラがあると,濃度ムラが顕著に表れるとされている。このような現象は,特に,いわゆるタンデム式のカラー画像形成装置において顕著である。また,a−Si感光体(感光層がアモルファスシリコンからなる感光体)では,一般にOPC感光体よりも帯電ムラが大きいため,画像の濃度ムラがより顕著となる。かといって,a−Si感光体において,帯電ムラが5V以下であることを品質規格(合格レベル)とすると,歩留まりが著しく悪化して現実的でない。
これに対し,特許文献1には,静電潜像書き込み用の露光前に,初期電位の分布を補正するための補助露光手段を設ける技術が示されている。
また,特許文献2には,感光体の感度情報に基づいて露光量を補正する技術が,特許文献3には,感光体の回転位置ごとに感度ムラを補正する技術が,特許文献4には,感光体の露光位置ごとに感度ムラを補正する技術が,特許文献5には,感光体の感度分布データに従って感度ムラを補正する技術が各々示されている。
なお,特許文献1〜5に示される装置では,露光手段として,ポリゴンミラーによりビーム光を感光体上に走査させて露光するもの,或いはLEDアレイにより露光するものが採用されている。
特開2003−154706号公報 特開平10−31332号公報 特開2000−162834号公報 特開2004−61860号公報 特開2004−233694号公報
しかしながら,特許文献1に示されるように,静電潜像書き込み用の露光手段とは別個に独立した露光手段を感光体の周囲に設けることは,感光体周辺の設置スペースの制約が大きく,適用が困難な場合が多いという問題点があった。特に,タンデム式のカラー画像形成装置の場合,複数(通常は4つ)の感光体ごとに,その周囲に新たな露光手段を設けることは,スペース上及びコスト上の問題がより顕著となる。
また,特許文献2〜5に示される技術は,いずれも感光体の感度ムラを補正するもの,即ち,基準となる感光体の露光特性(露光量と電位低下量との関係)と制御対象となる感光体の露光特性とにおける傾き(露光量の差異に対する電位低下量の差異の比)の相違分を補正するものであるため,帯電済み感光体の露光前の初期電位に分布がある(帯電ムラがある)場合には,その電位分布がそのままオフセットとして残り,画像の濃度ムラが解消されないという問題点があった。
図10は,帯電ムラと感度ムラとが併存するa−Si感光体における前記画素階調とその画素階調に対応する露光量で露光した後の感光体の電位との関係を表すもの(図中,破線で表す)であり,図10(a)は露光量補正を行わない場合(太い破線g01で表す),同(b)は露光量の感度ムラ補正を行った場合(太い実線g02で表す)の各特性を表す。なお,図中,太い実線(g0)で表す特性は,基準となる(標準的な)感光体の特性(以下,基準特性という)を表す。
ここで,図10(a)に示すグラフは前記画素階調を横軸としているが,前記画素階調から前記露光量への変換を,ある一の変換式(係数は固定)或いは変換テーブルに基づいて行う限り,横軸を露光量と見ても等価である。即ち,図10(a)においては,基準となる感光体の特性を表すグラフ線g0と,制御対象となる測定対象である感光体の特性を表すグラフ線g01とは,いずれも同じ変換式(即ち,補正なし)に従って前記画素階調から前記露光量への変換が行われた例であるので,横軸を露光量に置き換えて露光特性(露光量に対する電位の特性(露光電位特性))であるとして見ても等価である。
図10(a)に示すように,一般に,感光体(特に,a−Si感光体)における露光量と電位との対応を表す露光電位特性においては,露光量が増大するにつれてほぼ線形的に露光後の電位が下がり,残留電位(最大露光量で露光後に残る電位)への収束領域(露光量の増加に対して電位が低下する傾きがごく緩やとなる範囲)を除く部分ではほぼ線形の露光特性を示す。例えば,図10(a)における測定対象の感光体の露光特性g01においては,前記画素階調をI2としたときの帯電量E2以下の範囲でほぼ線形の露光特性を示し,基準となる感光体の露光特性g0においては,前記画素階調をIs2としたときの帯電量Es2以下の範囲でほぼ線形の露光特性を示している。
また,測定対象の感光体に帯電ムラと感度ムラとが併存する場合,図10(a)に示すように,前記基準露光特性g0との間で,初期電位(露光前の帯電電位,即ち,y切片)の差異(帯電ムラ相当分)と,露光特性の傾きの差異(感度ムラ相当分)とが生じる。このような感光体に対し,露光量の感度ムラ補正(傾きを一致させる補正)を行うと,図10(b)に示すように,帯電ムラに対応する電位差(初期電位の差分)がオフセットとして残り,これが画像の濃度ムラの原因となる。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,機器の設置スペースの増大,特に,感光体周辺における機器の設置スペースの増大を極力回避しつつ,帯電ムラや感度ムラが併存する感光体についても画像の濃度ムラの発生を防止できる画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は,予め帯電済みの感光体の表面にビーム光を走査させて露光する電子写真方式の画像形成装置に適用されるものであり,1つの感光体ごとに複数のビーム光を出力する光源と,その複数のビーム光を一括して所定の主走査方向に走査させることにより前記感光体の表面を露光するポリゴンミラー等の光走査手段とを備え,その複数のビーム光の一部である1又は複数のビーム光(以下,第1ビーム光という)による露光量を制御することにより前記感光体の表面における静電潜像書き込み用の露光制御(以下,第1露光量制御という)を行うとともに,前記複数のビーム光のうち前記第1ビーム光を除く残りの1又は複数のビーム光(以下,第2ビーム光という)による露光量を制御することにより前記感光体の表面における特性分布を補正する露光制御(以下,第2露光量制御という)を行うものである。
これにより,前記第2ビーム光の露光量制御により,帯電ムラや感度ムラが併存する感光体についても画像の濃度ムラの発生を防止できる。しかも,ビーム光を増やすことについて光源自体の設置スペースはそれほど増大せず,また,複数ビーム光を一括走査させるので,光走査手段やその前後のビーム光の光路調整を行う光学機器も共用できるので,設置スペースはあまり増加しない。特に,設置スペースの制約が大きい感光体周辺においては,新たな装置を何ら追加する必要がない。
この場合,前記第1ビーム光の数よりも前記第2ビーム光の数の方が少なく構成されたものであっても十分である。
ところで,後述するように,前記第2ビーム光を高強度で集中的に照射すると,感光体表面にビーム光の照射ピッチに対応した電位分布(電位の凹凸)が生じ,返って画質を悪化させる要因ともなり得る。特に,前記第1ビーム光の数に対する前記第2ビーム光の数を少なくするほど,前記相2ビーム光の前記主走査方向に直交する副走査方向のビーム照射ピッチが大きくなり,前記電位分布が顕著となる。
また,静電潜像書き込みに際しては,短ピッチの画素ごとに比較的大きな露光量で集中的に露光を行う必要があるが,帯電ムラや感度ムラ(特性分布)は,一般に,画素ピッチよりも空間周期が比較的大きく,また,その補正に必要な単位面積当たり(画素当たり)の露光量は静電潜像書き込みに必要な露光量より低露光量で済む。
そこで,前記第2ビーム光の前記感光体の表面における照射スポットの大きさは,前記第1ビーム光の前記照射スポットよりも大きく形成されていることが好適である。
これにより,前記第2ビーム光による露光は,広く浅い(弱く)露光となり,感度ムラや帯電ムラの補正に好適である。
特に,前記第2ビーム光の前記照射スポットの径(例えば,前記主走査方向に略直交する副走査方向における径(長さ))が,その第2ビーム光の前記感光体の表面における照射ピッチ(例えば,前記副走査方向における照射ピッチ)のほぼ2.5倍以上に形成されたものであれば,後述するように,前記第2ビーム光の照射により生じる電位分布の最大偏差(平均電位に対する偏差)が,その電位分布に起因する画像の濃度ムラがほとんど視認されない条件である0.1%以下となり好適である。
ここで,前記第2ビーム光による露光量制御は,前記分割領域ごとに,その分割領域における電位特性と全ての前記分割領域に共通の所定の基準電位特性との差分に応じて露光量制御を行うことが考えられる。
これにより,帯電ムラや感度ムラが併存する感光体についても,前記第2ビーム光による露光によってその特性分布を無くす方向に均一化でき,画像の濃度ムラの発生を極力防止できる。
より具体的には,従来から行われているように,前記第1露光量制御においては,画素ごとの濃淡レベルを表す画素階調を,全ての前記分割領域に共通の係数を用いて比例換算した露光量を前記第1ビーム光による露光量として設定することが考えられる(以下,共通第1露光量制御という)。前記画素階調は,所定の画像データ,例えば,複写機における原稿からの読み取り画像データやプリンタにおける印刷ジョブ等の画像データに基づいて,所定の画像処理手段により決定されるものである。
また,前記分割領域ごとに前記画素階調を露光量に略比例換算する際の傾き情報を記憶手段に予め記憶しておき,前記第1露光量制御において,画素ごとに前記画像処理手段により決定される前記画素階調を前記分割領域ごとの前記傾き情報に従って略比例換算した露光量を前記第1ビーム光による露光量として設定すれば,前記分割領域各々における感度ムラ分について露光量の補正を行うことができる(以下,個別第1露光量制御という)。
この個別第1露光量制御においては,前記画素階調に応じて前記第1ビーム光の画素ごとの露光時間を調節するとともに,前記傾き情報に応じて前記第1ビーム光の前記分割領域ごとの露光強度を調節して露光量を制御することが考えられる。
一方,前記第2露光量制御においては,全ての前記分割領域に共通の所定の基準露光量と,前記分割領域各々における露光電位特性に対し全ての前記分割領域に共通の所定の基準電位を適用して得られる露光量と,の差分露光量を特定するかさ上げ露光量情報を記憶手段に予め記憶しておき,そのかさ上げ露光量情報に基づいて前記第2ビーム光による露光量を設定(制御)することが考えられる(以下,かさ上げ露光量設定という)。
ここで,前記分割領域各々における露光電位特性とは,前記分割領域各々における露光量(露光量=0を含む)と電位(初期電位及び露光後電位)との対応関係を表す特性を意味し,通常は,前記基準露光量及び前記基準電位は,前記露光電位特性のうちの略線形特性を示す範囲,即ち,前記露光電位特性における残留電位への収束領域を除く部分である略線形な露光電位特性の範囲において定められる。
例えば,前記基準電位及び前記基準露光量としては,例えば,全ての前記分割領域に共通の基準となる前記露光電位特性における初期電位と残留電位との略中点の電位及びその略中点の電位に対応する露光量(いわゆる半減露光量)とすることが好適である。
これにより,後述するように,前記分割領域各々における露光後電位を,露光量全範囲に渡って全体的に,或いは設定頻度の高い特定の露光量の範囲において前記基準となる露光電位特性に対して近づくように露光することができ,帯電ムラや感度ムラが併存する感光体についても画像の濃度ムラの発生を極力防止できる。特に,前記傾き情報に基づく前記第1露光量制御と併せて行えば,前記分割領域各々における露光後電位をほぼ同一レベルに均一化することが可能となる。
また,前記第1露光量制御として前記共通露光量制御が採用される場合,前記分割領域各々についての前記露光電位特性のうちの残留電位への収束領域を除く部分である略線形の露光電位特性における傾きと,全ての前記分割領域に共通の基準となる傾きと,の差分に関する差分傾き情報を記憶手段に予め記憶しておき,前記第2露光量制御において,前記かさ上げ露光量設定により設定される前記第2ビーム光の露光量に対し,前記画像処理手段により決定される前記画素階調を前記差分傾き情報に基づいて比例換算した露光量分の補正を行う(露光感度補正)ことも考えられる。
これによっても,前記分割領域各々における感度ムラ分について露光量の補正を行うことができる。
これら第2露光量制御においては,例えば,前記第2ビーム光の露光時間を調節することにより露光量を制御することが考えられる。
また,前記分割領域としては,ドラム状の前記感光体の表面をその軸方向若しくは周方向に複数分割した領域(一次元の分割),或いはその両方向に複数分割した領域(2次元の分割)が考えられる。例えば,1画素の幅或いは高さの単位で分割することや,複数画素分の幅や高さの単位で分割することが考えられる。
ここで,前記露光手段による露光は,前記分割領域の各位置を認識して行う必要があることはいうまでもない。一般に,前記感光体表面の軸方向(即ち,主走査方向)の露光位置については,前記露光手段(或いはその制御手段)において少なくとも画素単位で書き込み位置は認識(検出)されている。一方,前記感光体表面の周方向(副走査方向)の絶対位置については,画像形成に直接的に必要な情報ではないため,前記感光体の回転位置を検出する手段を設ける必要がある。
また,前記感光体がa−Si感光体である場合に,特に帯電ムラが顕著に表れることが多いため,本発明の適用に好適である。
また,複数色のトナーによりカラー画像形成を行う画像形成装置,特に複数の感光体により複数色のトナー像を重ねて画像形成を行うタンデム式の画像形成装置は,帯電ムラや感度ムラにより生じる画像の濃度ムラが形成画像においてより顕著に視認されるので,本発明の適用対象として好適である。
本発明によれば,複数のビーム光を一括走査し,その一部(第1ビーム光)で静電潜像を書き込む露光を行うとともに,残りのビーム光(第2ビーム光)で感光体の特性分布を補正する露光を行うので,その第2ビーム光の露光量制御により,帯電ムラや感度ムラが併存する感光体についても画像の濃度ムラの発生を防止できる。特に,帯電ムラが顕著に表れることが多いa−Si感光体が用いられる画像形成装置や,帯電ムラや感度ムラにより生じる画像の濃度ムラが形成画像においてより顕著に視認されるカラー画像形成装置への適用に好適である。
しかも,ビーム光を増やすことについて光源自体の設置スペースはそれほど増大せず,また,複数ビーム光を一括走査させるので,光走査手段やその前後のビーム光の光路調整を行う光学機器も共用でき,設置スペースはあまり増加しない。特に,設置スペースの制約が大きい感光体周辺においては,新たな装置を何ら追加する必要がない。
また,前記第2ビーム光の前記感光体の表面における照射スポットの大きさを,前記第1ビーム光の前記照射スポットよりも大きくし,特に,前記第2ビーム光の副走査方向における前記照射スポットの長さ(径)が,その第2ビーム光の前記感光体の表面における前記副走査方向における照射ピッチのほぼ2.5倍以上とすれば,前記第2ビーム光による露光は,広く浅い(弱く)露光となり,前記第2ビーム光の照射により生じる電位分布を,画像の濃度ムラがほとんど視認されない程度にまで抑えることができ好適である。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置Xを構成する画像形成部αの概略断面図,図2は画像形成装置Xにおける光走査ユニットYの概略斜視図,図3は画像形成装置Xの主要部の概略構成を表すブロック図,図4は感光体ドラム表面を露光するビーム光のスポット径条件ごとの露光後電位の分布を表すグラフ,図5は画像形成装置Xにおける感光体表面におけるビームスポットを表す概略図,図6は第1実施例に係る画素階調とビーム光の光量との関係を表すグラフ及びそのときの画素階調と電位との関係を表すグラフ,図7は第2実施例に係る画素階調とビーム光の光量との関係を表すグラフ及びそのときの画素階調と電位との関係を表すグラフ,図8は第3実施例に係る画素階調とビーム光の光量との関係を表すグラフ及びそのときの画素階調と電位との関係を表すグラフ,図9は第4実施例に係る画素階調とビーム光の光量との関係を表すグラフ及びそのときの画素階調と電位との関係を表すグラフ,図10は帯電ムラと感度ムラとが並存する感光体表面における従来の画素階調と露光後の電位との関係の一例を表すグラフである。
本発明の実施形態に係る画像形成装置Xの特徴は,1つの感光体ドラムに対して複数のビーム光を一括走査させて露光し,その複数のビーム光の一部による露光量を制御することにより前記感光体ドラムの表面における静電潜像書き込み用の露光制御を行う一方,残りのビーム光による露光量を制御することにより前記感光体ドラムの表面における特性分布(帯電ムラ等)を補正する点にある。
まず,図1に示す概略断面図を用いて,本発明の実施形態に係る画像形成装置Xが備える画像形成部αの構成について説明する。
画像形成装置Xは,トナーを用いて画像形成を行う複写機,プリンタ,ファクシミリ装置等の電子写真方式の画像形成装置である。
画像形成装置Xは,トナー像を形成して記録紙に画像形成を行う画像形成部αや,その記録紙を前記画像形成部αに供給する給紙部(不図示)及び画像形成の行われた記録紙の排出がなされる排紙部(不図示)等を備えている。
図1に示すように,前記画像形成部αは,トナー像を担持する感光体ドラム1,その感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる帯電装置3,前記感光体ドラム1表面にビーム光を走査させて露光することにより静電潜像を書き込む光走査ユニットY,その静電潜像にトナーを供給することによりトナー像として現像する現像装置2,そのトナー像を記録紙に転写させる転写ローラ4,トナー像を記録紙に転写後の前記感光体ドラム1表面の除電を行う除電装置5等を備えて概略構成される。

前記感光体ドラム1は,例えば,高硬度で性状が安定しているため耐久性に優れる一方,感度ムラに加えて帯電ムラが比較的顕著に表れやすいa−Si感光体等である。
前記帯電装置3は,前記感光体ドラム1の表面をその軸方向に沿って一様に帯電させるものであるが,前記感光体ドラム1に帯電ムラがある場合,前記帯電装置3による帯電後(露光前)の電位(初期電位)には分布が生じる。
前記現像装置2は,前記感光体ドラム1にトナーを供給する現像ローラを備え,その現像ローラに印加された電位(現像バイアス電位)と前記感光体ドラム1表面の電位との電位ギャップに応じて,前記現像ローラ上のトナーが前記感光体ドラム1の面上に引き寄せられ,前記静電潜像がトナー像として顕像化される。
次に,図2の斜視図を用いて,前記光走査ユニットYについて説明する。
前記光走査ユニットYは,前記感光体ドラム1に対し,複数本のビーム光(レーザ光)の出力及び走査を行なう機器として,光源Z,偏向ミラー8,ポリゴンミラー9,fθレンズ7,BDセンサ10等が,樹脂成型等により一体成型された筐体30に組み込まれてユニット化されたものである。
前記光源Zは,1つの前記感光体ドラム1に対して複数のビーム光を出力するいわゆるマルチビームレーザ光源であり,それら複数のビーム光の光軸の相対位置関係が予め調整されている。
前記ポリゴンミラー9は,前記光源Zから出力される複数のビーム光を一括して所定の主走査方向(前記感光体ドラム1の回転軸方向)に走査させるものであり,これにより一括走査される複数のビーム光が前記偏向ミラー8により前記感光体ドラム1の表面に導かれることにより,前記感光体ドラム1の表面が露光される(光走査手段の一例)。
前記BDセンサは,前記ポリゴンミラー9により走査されるビーム光が所定の基準位置(基準方向)にあることを検出する光センサであり,前記fθレンズ7は,前記感光体ドラム1表面におけるビーム光の走査速度が一定速度となるように調整するものである。
この光走査ユニットYによって前記感光体ドラム1各々の表面に走査されるビーム光により,前記帯電装置3により予め帯電済みの前記感光体ドラム1各々の表面に対し,後述する画像処理部12により決定される画素階調(各画素の濃淡レベルを表す階調)に基づく露光が行われ,静電潜像が書き込まれる。
図3は,画像形成装置Xの主要部の概略構成を表すブロック図である。
画像形成装置Xは,前記帯電装置3,前記光走査ユニットY,前記現像装置2及び前記除電装置5に加え,MPU及びその周辺装置であるROM,RAM等から構成され,当該画像形成装置Xの各構成要素を制御する制御部50,利用者に対する情報の表示手段であるとともに,利用者の操作に従って情報を入力する手段でもある液晶タッチパネル等の表示操作部51,各種画像処理を行う画像処理部52,EEPROM等の読み書き自在の記憶手段であり各種データを記憶するデータ記憶部53及び前記感光体ドラム1各々の回転方向の位置を検出する回転位置検出部54等を備えている。
前記画像処理部52は,所定の画像データに基づいて,画素ごとの濃淡レベルを表す画素階調をデジタル方式により決定する処理を実行する。前記画像データは,当該画像形成装置Xがプリンタやファクシミリ装置である場合は,外部装置から不図示の通信制御部を介して入力され,当該画像形成装置が複写機である場合は,不図示の画像読取部により原稿から読み取られるものである。
ここで,前記画像処理部52は,前記画像データに基づいて,複数画素からなる画素群(以下,単位画素群という)の単位で,描画(印字)する画素の配列,及び描画する画素の前記画素階調を決定する誤差拡散方式やスクリーン方式等の面積階調方式によって画像の濃度階調表現を行う。
前記データ記憶部53には,予め,前記感光体ドラム1各々について,その表面を複数に分割した分割領域ごとに,その分割領域における電位特性と全ての前記分割領域に共通の所定の基準電位特性との差分に応じた露光量調節情報が個別に記憶されている。例えば,前記分割領域各々の識別情報として,前記BDセンサ10及び前記制御部50により検出される主走査方向(前記感光体ドラム1の回転軸方向)のビーム光走査位置(照射位置)と前記回転位置検出部54の検出値との組み合わせを記憶しておき,さらにその組み合わせ(前記分割領域各々の識別情報)各々に対応づけて前記露光量調節情報を記憶しておく。その情報の具体的内容については後述する。
ここで,前記分割領域は,例えば,各画素に対応した領域(1画素分の幅(軸方向)×1ライン分の高さ(周方向))の領域や,前記画像処理部52における面積階調方式での画像処理で採用される前記単位画素群に対応した領域とすること等が考えられる。
前記回転位置検出部54の構成としては,例えば,前記感光体ドラム1の回転軸に回転式のポテンショメータを設けて回転位置を検出する構成や,前記感光体ドラム1の回転軸に突起部等の基準部を設け,その基準部の通過位置を接触型のスイッチやフォトカプラ等により検出し,その検出時点からの経過時間を計時する構成等が考えられる。
前記制御部50は,前記BDセンサ10から走査ビーム光が所定の基準位置にあるか否かを表す基準位置信号を,前記画像処理部52からは画像処理により決定された前記画素階調を,前記回転位置検出部54からは前記感光体ドラム1の回転位置信号を各々取得し,前記光源Zを制御することによってビーム光の光量制御を行う。その際,前記制御部50は,前記感光体ドラム1上における主走査方向(前記感光体ドラム1の回転軸方向)と副走査方向の各々におけるビーム光の照射位置を,前記基準位置信号及び前記感光体ドラム1の回転位置信号に基づいて認識し,これからビーム光を照射しようとしている位置(画素或いは前記分割領域)に対応する前記露光量調節情報を前記データ記憶部53から抽出(検索)して読み出す。
本画像形成装置Xでは,前記制御部50は,複数のビーム光のうちの一部(例えば,2本のビーム光のうちの1本,或いは3本のビーム光のうちの2本等)のビーム光(以下,第1ビーム光という)による前記感光体ドラム1の露光量について,前記画像処理部52により決定された前記画素階調に応じた露光量となるように前記光源Zを制御する。これにより,前記第1ビーム光によって前記感光体ドラム1上に前記画素階調に応じた静電潜像が書き込まれる(第1露光量制御手段の一例)。
さらに,前記制御部50は,複数のビーム光のうち前記第1ビーム光を除く残りのビーム光(以下,第2ビーム光という)による露光量を制御することにより前記感光体の表面における特性分布を補正する露光制御(以下,第2露光量制御という)を行うものである。
これにより,前記第2ビーム光の露光量制御により,帯電ムラや感度ムラが併存する感光体についても画像の濃度ムラの発生を防止できる。
ここで,後述するように,前記第1ビーム光の数よりも前記第2ビーム光の数の方が少なく構成されたものであっても十分である。
なお,第1露光量制御及び第2露光量制御の内容については後述する。
ところで,静電潜像書き込みに際しては,短ピッチの画素ごとに比較的大きな露光量で集中的に露光を行う必要があるが,帯電ムラや感度ムラ(特性分布)は,一般に,画素ピッチよりも空間周期が比較的大きく,また,その補正に必要な単位面積当たり(画素当たり)の露光量は静電潜像書き込みに必要な露光量より低露光量で済む。
そこで,前記光源Zにより出力される前記第2ビーム光の前記感光体の表面における照射スポットの大きさは,前記第1ビーム光の前記照射スポットよりも大きくなるように,スリットやコリメータレンズ等により予め調整されている。
これにより,前記第2ビーム光による露光は,広く浅い(弱く)露光となり,感度ムラや帯電ムラの補正に好適である。
また,所定の強度の前記第2ビーム光を局所的に集中照射すると,感光体表面に前記第2ビーム光の照射ピッチに対応した電位分布(電位の凹凸)が生じる。
図4は,前記感光体ドラム1の表面を露光するビーム光のスポット径条件ごとの露光後電位の分布を表すグラフであり,横軸は前記感光体ドラム1表面の副走査方向(周方向)の位置を,縦軸は露光後の電位を表す。
ここで,図4(a)は,前記感光体ドラム1の表面におけるビーム光の照射ピッチに対するスポット径の比R(以下,スポット比Rという)が1.5の場合,図4(b)は前記スポット比Rが2.5の場合,図4(c)は前記スポット比Rが3.0の場合を各々表す。ビーム光の強度は全て同じである。
また,図4(a)〜(c)各々において破線で表すグラフ線は,ビーム光を1ショットだけ照射した場合,実線で表すグラフ線は,ビーム光を所定の照射ピッチで断続的に照射した場合を表す。即ち,実線で表される露光後電位は,破線で表される露光後電位を合成したものである。
図4(a)〜(c)の破線グラフで示すように,ある位置に露光を行うと,その露光中心が最も露光後電位が下がり,その露光中心から離れるごとに所定のカーブに沿って電位が徐々に上昇する分布となる。また,そのカーブはビームスポットの径が小さいほど(光密度が大きいほど)急カーブになる。
このため,図4(a)の実線グラフに示すように,所定強度のビーム光のスポット径を小さくして所定の照射ピッチで照射(断続ショット)すると,照射ピッチに対応した大きな電位分布(電位の凹凸)が生じる。また,前記第1ビーム光の数に対する前記第2ビーム光の数を少なくするほど,前記相2ビーム光の前記副走査方向のビーム照射ピッチが大きくなるため,前記スポット比Rが小さくなり,前記スポット比Rが小さいほど電位分布が大きくなる。逆に,この電位分布は,図4(b),(c)の実線グラフに示すように,前記スポット比Rが大きいほど小さくなる。特に,前記スポット比Rを2.5以上とすると,ビーム光の照射により生じる電位分布の最大偏差(平均電位に対する偏差)が,その電位分布に起因する画像の濃度ムラがほとんど視認されない条件である0.1%以下となり好適である。
そこで,前記光源Zにより出力される前記第2ビーム光の前記感光体の表面における照射スポットの径は,ビーム光の出力時間によって照射幅を調節できない前記副走査方向において,その第2ビーム光の前記感光体の表面における照射ピッチのほぼ2.5倍以上に形成されるよう,スリットやコリメータレンズ等により予め調整されていることが望ましい。
図5は,前記第1ビーム光が2本,前記第2ビーム光が1本であり,その第2ビーム光の前記スポット比Rが2.5である場合の前記感光体ドラム1表面におけるビームスポットを模式的に表した図である。なお,前記感光体ドラム1表面は,2次元平面として表している。
2本の前記第1ビーム光及び1本の前記第2ビーム光を一括走査させた場合,前記副走査方向における前記第2ビーム光の照射ピッチは,前記第1ビーム光の照射ピッチ(即ち,同画素ピッチ(図中,破線の間隔))の2倍のピッチとなる(図中,一点鎖線の間隔)。
図5に示すように,前記第2ビーム光の前記副走査方向における照射スポット(斜線の部分)の長さを,その第2ビーム光の前記副走査方向における照射ピッチのほぼ2.5倍以上に調整すれば,前記第1ビーム光の数よりも前記第2ビーム光の数の方が少なく,その照射ピッチが広い場合であっても,前記第2ビーム光の照射により生じる電位分布に起因する画像の濃度ムラはほとんど視認されない程度に抑えることができる。
ここで,前記第2ビーム光の照射スポットは,副走査方向に伸びた楕円状の形状としているが,これは,主走査方向については,前記第2ビーム光の露光時間により露光範囲を調整できるからである。この場合,前記第2ビーム光による露光量は,ビーム光の強度(露光強度)によって調節すればよい。
もちろん,主走査方向についても幅広の照射スポット(前記スポット比R≧2.5)とし,露光強度を一定にしつつ露光時間(ビーム光の出力時間)の調節によって前記第2ビーム光による露光量を調節してもよい。
次に,露光量制御について説明する。
本画像形成装置Xは,製造段階等において,それに組み込まれた前記感光体ドラム1個々の露光特性を得るための特性評価試験に供される。より具体的には,前記特性評価試験(予めの実測)は,前記帯電装置3により帯電された(帯電済みの)前記感光体ドラム1に対し,前記分割領域ごとに複数の露光量の条件下で前記光源2による露光が行われるとともに,前記分割領域ごとの露光前の初期電位と露光後の電位とが実測され,前記分割領域各々の露光特性,即ち,露光量と露光後の電位との関係を表す特性(以下,実測露光特性という)が明らかにされる。図10(a)に示す太い破線グラフg0が,そのようにして明らかにされた露光特性の一例である。
ここで,前記分割領域各々の露光特性を測定する方法としては,例えば,前記分割領域各々について,密に露光量を切り替えて露光し,露光後の電位を測定すれば,正確な露光特性を測定できる。その他,図10(a)に示したように,露光特性の傾向(カーブの形)はある程度決まっており,係数のみ変更すれば共通の式で定式化できるのが一般的であるので,1又は複数の代表的な露光量で露光した後の電位を測定した結果に基づいて,露光特性を推定してもよい。
例えば,a−Si感光体ドラムであれば,残留電位は前記感光体ドラム1の表面の位置によらずほぼ一定であるので,初期電位と,前記略線形特性の範囲の1つの露光量で露光した後の電位とを測定すれば,十分な精度で露光特性を推定できる。
以下,前述した図10及び図6〜図9を用いて,前記制御部50によるビーム光の露光量制御について説明する。
前述したように,前記制御部50は,前記第1ビーム光と前記第2第2ビーム光との各々について個別に露光量制御(第1露光量制御と第2露光量制御)を行う。
また,図6〜図9に示す例は,a−Si感光体ドラム1の表面におけるある前記分割領域が,図10(a)に示した特性,即ち,帯電ムラと感度ムラとが併存する露光特性(g0)を有する場合について,前記第1ビーム光及び前記第2ビーム光の各光量をどのように設定(制御)するかの実施例である。
<第1実施例>
図6(b)は,図10(a)のグラフg01に示した露光特性を有する前記分割領域について,第1実施例に係る前記画素階調とビーム光の光量との関係表すグラフであり,図6(a)は,図6(b)の関係に従った露光を行った場合の前記画素階調と電位(初期電位及び露光後電位)との関係を表すグラフである。
前記制御部50は,前記第1ビーム光による露光量について,前記画素階調に応じた露光量となるように前記光源Zを制御する(第1露光量制御手段の一例)。
具体的には,図6(b)に一点鎖線で示すように,前記第1ビーム光による画素ごとの露光量を,前記画素階調の値に比例した露光量(比例換算した露光量)となるように調節する。その際,前記画素階調と露光量との関係における比例係数k0(傾き)は全ての前記分割領域について一定(共通)である。この線形特性(Ei=k0・I,Eiは露光量,Iは画素階調,k0は傾き)を,以下,第1ビーム基準光量設定特性という。
なお,図10(a)のグラフg0,g01に示した特性は,この第1ビーム基準光量設定特性(傾き=k0)に従ってビーム光の露光量設定が行われた場合の特性である。このことは,後述する図7〜図10においても同様である。
ここで,前記制御部50は,前記光源Zによるビーム光出力時間(以下,露光時間という)の調節によって前記第1ビーム光の露光量調節を行う。即ち,前記光源Zにおけるビーム光の強度レベルは一定にしたままで,露光時間(発光時間)を前記画素階調に比例した時間に設定する。
但し,前記光源Zにおけるビーム光出力開始時の立ち上がりロスがある場合には,その分を補うだけの露光時間は別途加算される。
さらに,前記制御部50は,前記第2ビーム光による露光量が,前記分割領域ごとに前記データ記憶部53に記憶された前記露光量調節情報に応じた露光量となるように前記光源Zを制御する(第2露光量制御手段の一例)。これにより,前記第2ビーム光は,前記分割領域各々における電位特性と全ての前記分割領域に共通の所定の基準電位特性との差分に応じた露光量となるように制御される。
具体的には,以下の制御を行う。
まず,予め,全ての前記分割領域について共通のある基準電位Vs1とこれに対応する基準露光量Es1とを予め定めておく。
例えば,全ての前記分割領域について共通のある基準露光電位特性(図10(a)のグラフg0)において,初期電位V0と残留電位VLとの中点の電位Vs1(=(V0+VL)/2)を前記基準電位Vs1とし,その基準電位に対応する露光量を前記基準露光量Es1とする。この基準露光量Es1は,前記基準露光電位特性におけるいわゆる半減露光量である。
さらに,予め,前記露光量調節情報として,前記基準露光量Es1と,前記分割領域各々における前記露光電位特性(図6(a)のg01:露光量と露光後電位との対応関係を表す特性)に対し前記基準電位Vs1を適用して得られる露光量E1との差分露光量であるかさ上げ露光量ΔE1(=E1−Es1,かさ上げ露光量情報の一例)を前記分割領域ごとに前記データ記憶部53に記憶しておく(かさ上げ露光量情報記憶手段の一例)。
その上で,前記制御部50は,前記光源Zを制御することにより,前記第2ビーム光(復路走査中のビーム光)について,前記分割領域ごとに,その分割領域に含まれる各画素の露光量を前記かさ上げ露光量ΔE1に設定して露光する(かさ上げ露光量設定手段の一例)。
これにより,各画素の合計露光量Eが,前記かさ上げ露光量ΔE1分だけかさ上げされ(E=k0・I+ΔE1),図6(a)に示すように,前記分割領域各々における露光後電位の特性gx1を,露光量全範囲(即ち,前記画素階調の全範囲)に渡って全体的に近づくように露光することができる。その結果,帯電ムラや感度ムラが併存する前記感光体ドラム1についても画像の濃度ムラの発生を極力防止できる。
ここで,前記基準露光量Es1を半減露光量とすることで,露光量全範囲に渡って全体的に前記基準となる露光電位特性g0に近づけることができる。これに対し,特定の露光量範囲内で露光する頻度が高いことが予めわかっている場合等には,前記基準となる露光電位特性g0において,前記特定の露光量範囲内の露光量(例えば,その範囲の中心露光量)を前記基準露光量Es1とし,これに対応する電位を前記基準電位Vs1とすることも考えられる。これにより,前記分割領域各々について,特に設定頻度の高い特定の露光量の範囲において前記基準となる露光電位特性g0に対して近づくように露光することができ,画像の濃度ムラの発生を極力防止できる。
ここで,前記制御部50は,前述したように,前記光源Zによる露光時間の調節若しくは露光強度の調節によって前記第2ビーム光の露光量調節を行う。即ち,前記光源Zにおけるビーム光の強度レベルは一定にしたままで,露光時間(発光時間)を前記かさ上げ露光量ΔE1に比例した時間に設定するか,若しくは露光時間は一定にしたままで,露光強度(発光強度)をΔE1に比例した強度に設定する。但し,露光強度により露光量調節を行う場合は,前述したように,主走査方向における前記第2ビーム光のスポット径も大きく広げておくことが望ましい。この場合も,ビーム光出力開始時の立ち上がりロスがある場合には,その分を補うだけの露光時間若しくは露光強度は別途加算される。
<第2実施例>
図7(b)は,図10(a)のグラフg01に示した露光特性を有する前記分割領域について,第2実施例に係る前記画素階調とビーム光の光量との関係表すグラフであり,図7(a)は,図7(b)の関係に従った露光を行った場合の前記画素階調と電位(初期電位及び露光後電位)との関係を表すグラフである。
この第2実施例では,前記第1ビーム光による露光量の制御については,前述の第1実施例と同じである。即ち,前記制御部50により,全ての前記分割領域に共通の比例係数k0に従って前記画素階調に比例した露光量(Ei=k0・I)となるように前記第1ビーム光の露光量が設定される(共通第1露光量制御手段の一例)。
一方,前記第2ビーム光の露光量制御が前述の第1実施例と異なる。
本第2実施例では,予め,前記露光量調節情報として,前記かさ上げ露光量ΔE1に加え,前記分割領域各々についての前記露光電位特性(図10(a)のg01)のうちの残留電位VLへの収束領域を除く部分である略線形の露光電位特性における傾きと,全ての前記分割領域に共通の基準となる傾きとの差分を表す差分傾きk2を前記分割領域ごとに予め前記データ記憶部53に記憶しておく(差分傾き情報記憶手段の一例)。この差分傾きk2は,前記画素階調を補正露光量に比例換算する際の傾きk2(以下,感度補正係数k2という)である。
即ち,この感度補正係数k2は,当該分割領域の露光感度がk1(露光量変化に対する電位変化(絶対値)を表す傾き)で表される場合に,k2=k1−k0として求められ,前記第1ビーム光の露光量Ei(=k0・I)に,この感度補正係数k2により前記画素階調を比例換算した露光量ΔE2(=k2・I)を画素ごとに加えれば,前記分割領域各々における感度ムラを補正できる。
そして,前記制御部50は,前記光源Zを制御することにより,前記第2ビーム光について,前記分割領域ごとに,その分割領域に含まれる各画素の露光量を,前記かさ上げ露光量ΔE1に,前記基準露光量Es1に対応する基準画素階調Is1(=Es1/k0)に対する前記画素階調Iの差分(Is1−I)を前記感度補正係数k2により比例換算した感度補正分の露光量ΔE2(=k2・(Is1−I))を加えた露光量(ΔE1+ΔE2)を設定して露光する。即ち,前記第2ビーム光について,前記かさ上げ露光量ΔE1に対し,前記画素階調を前記差分傾きk2に基づき比例換算した露光量ΔE2分の補正を行う(露光感度補正手段の一例)。
この場合も,前記制御部50は,前記光源Zによる露光時間若しくは露光強度の調節によって前記第2ビーム光の露光量調節を行う。
これにより,図7(a)に示すように,前記分割領域各々における露光後電位の特性gx2を,全ての前記分割領域に共通の基準となる露光電位特性g0にほぼ一致させることが可能となり,感度ムラ及び帯電ムラの両方をほぼ完全に補正することができる。
<第3実施例>
図8(b)は,図10(a)のグラフg01に示した露光特性を有する前記分割領域について,第3実施例に係る前記画素階調とビーム光の光量との関係表すグラフであり,図8(a)は,図8(b)の関係に従った露光を行った場合の前記画素階調と電位(初期電位及び露光後電位)との関係を表すグラフである。
この第3実施例は,実質的に前述の第2実施例と同様の露光量制御を行うものであるが,前記基準露光量を0(即ち,露光無し)とし,前記基準電位を前記基準露光電位特性g0における初期電位V0とした場合の例である。この場合,前記かさ上げ露光量ΔE1は,前記基準露光量(=0)と,前記分割領域各々における前記露光電位特性に対し前記基準電位V0を適用して得られる露光量E1’との差分の露光量(=E1’−0=E1’)となる。
また,前記基準画素階調Is1=0となるので,図8(b)に示すように,露光感度の補正分の露光量ΔE2=k2・Iとなる。
この場合も,前記制御部50は,前記光源Zによる露光時間若しくは露光強度の調節によって前記第2ビーム光の露光量調節を行う。
このような露光量制御によっても,図8(a)に示すように露光電位特性gx3を基準特性g0にほぼ一致させることができ,前述の第2実施例と同様の作用効果を奏する。
<第4実施例>
図9は,図10(a)のグラフg01に示した露光特性を有する前記分割領域について,第4実施例に係る前記画素階調とビーム光の光量との関係表すグラフである。
この第4実施例では,前記第2ビーム光による露光量については,前述の第1実施例と同様に,前記かさ上げ露光量ΔE1に設定する。但し,前記基準露光量Es1を0とし,前記基準電位を基準特性g0における初期電位V0とした場合の例である。
一方,前記第1ビーム光の露光量制御が前述の第1実施例と異なる。
即ち,前記データ記憶部53に,前記分割領域各々の露光感度を表す情報として,前記画素階調を露光量に比例換算する際の傾きk1を前記分割領域ごとに予め記憶しておき(傾き情報記憶手段の一例),前記制御部50により,前記第1ビーム光について,画素ごとに前記画像処理部52により決定される前記画素階調を前記分割領域ごとの前記傾きk1に従って比例換算した露光量(Ei=k1・I)を前記第1ビーム光による露光量として設定する(個別第1露光量制御手段の一例)。
この場合,前記制御部50が前記光源Zを制御することにより,例えば,前記画素階調に応じて前記第1ビーム光の画素ごとの露光時間を調節するとともに,前記傾きk1に応じて前記第1ビーム光の前記分割領域ごとの露光強度を調節(基準強度の(k1/k0)倍に設定)すること等によって露光量を制御すればよい。
このような制御により,前記分割領域各々における感度ムラについては前記第1ビーム光(往路)により補正され,帯電ムラについては前記第2ビーム光(復路)により補正される結果,前述の第2実施例及び第3実施例と同様の作用効果を奏する。
以上示したように,本発明によれば,複数のビーム光の内の一部を用いて,感光体の特性分布を補正する露光が行われるので,帯電ムラや感度ムラが併存する感光体についても画像の濃度ムラの発生を極力防止できる。
しかも,ビーム光を増やすことについて前記光源Z自体の設置スペースはそれほど増大せず,また,複数ビーム光を前記ポリゴンミラー9により一括走査させるので,光走査手段やその前後のビーム光の光路調整を行う光学機器も共用でき,設置スペースはあまり増加しない。特に,設置スペースの制約が大きい前記感光体ドラム1の周辺においては,新たな装置を何ら追加する必要がない。
また,本発明は,帯電ムラが顕著に表れることが多いa−Si感光体が用いられる場合,及び画像の濃度ムラが顕著に視認されるカラー画像形成装置に適用する場合に特に好適であるが,他の画像形成装置への適用も可能である。
また,前記分割領域は,前記感光体ドラム1表面をそのその軸方向及び周方向の両方に複数分割した領域とする場合に限らない。
例えば,主として前記感光体ドラム1の軸方向若しくは周方向のいずれかの帯電ムラや感度ムラが問題となる場合には,前記分割領域を前記感光体ドラム1の表面をその軸方向にのみ複数分割した領域(前記感光体ドラム1を輪切り状に分割した領域)若しくは周方向にのみ複数分割した領域とすることも考えられる。
また,以上示した本発明は,モノクロの画像形成装置に限らず,複数色のトナーによりカラー画像形成を行う画像形成装置,特に複数の感光体により複数色のトナー像を重ねて画像形成を行うタンデム式の画像形成装置に適用すればなお好適である。カラー画像形成装置では,帯電ムラや感度ムラにより生じる画像の濃度ムラが形成画像においてより顕著に視認されるので,本発明を適用すればその効果が顕著に表れる。
この場合,複数の感光体ドラム各々に対応する前記第1のビーム光及び前記第2のビーム光のセットをその感光体ドラムの数だけ出力する光源を設け,その光源から出力される複数のビーム光をポリゴンミラーにより一括走査し,走査されるビーム光を偏向ミラー等により,前記第1のビーム光及び前記第2のビーム光のセットごとに,対応する前記感光体ドラムへ導いて照射する構成とすればよい。
本発明は,画像形成装置への利用が可能である。
本発明の実施形態に係る画像形成装置Xを構成する画像形成部αの概略断面図。 画像形成装置Xにおける光走査ユニットYの概略斜視図。 画像形成装置Xの主要部の概略構成を表すブロック図。 感光体ドラム表面を露光するビーム光のスポット径条件ごとの露光後電位の分布を表すグラフ。 画像形成装置Xにおける感光体表面におけるビームスポットを表す概略図。 第1実施例に係る画素階調とビーム光の光量との関係を表すグラフ及びそのときの画素階調と電位との関係を表すグラフ。 第2実施例に係る画素階調とビーム光の光量との関係を表すグラフ及びそのときの画素階調と電位との関係を表すグラフ。 第3実施例に係る画素階調とビーム光の光量との関係を表すグラフ及びそのときの画素階調と電位との関係を表すグラフ。 第4実施例に係る画素階調とビーム光の光量との関係を表すグラフ及びそのときの画素階調と電位との関係を表すグラフ。 帯電ムラと感度ムラとが並存する感光体表面における従来の画素階調と露光後の電位との関係の一例を表すグラフ。
符号の説明
X…本発明の実施形態に係る画像形成装置
Y…光走査ユニット
Z…光源
1…感光体ドラム
2…現像装置
3…帯電装置
5…除電装置
9…ポリゴンミラー
50…制御部
51…表示操作部
52…画像処理部
53…データ記憶部
54…回転位置検出部

Claims (16)

  1. 1つの感光体ごとに複数のビーム光を出力する光源と,
    前記複数のビーム光を一括して所定の主走査方向に走査させることにより前記感光体の表面を露光する光走査手段と,
    前記複数のビーム光の一部である1又は複数の第1ビーム光による露光量を制御することにより前記感光体の表面における静電潜像書き込み用の露光制御を行う第1露光量制御手段と,
    前記複数のビーム光のうち前記第1ビーム光を除く1又は複数の第2ビーム光による露光量を制御することにより前記感光体の表面における特性分布を補正する露光制御を行う第2露光量制御手段と,
    を具備してなることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記第1ビーム光の数よりも前記第2ビーム光の数の方が少なく構成されてなる請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記第2ビーム光の前記感光体の表面における照射スポットの大きさが,前記第1ビーム光の前記照射スポットよりも大きく形成されてなる請求項1又は2のいずれかに記載の画像形成装置。
  4. 前記第2ビーム光の前記照射スポットの径が,該第2ビーム光の前記感光体の表面における照射ピッチの略2.5倍以上に形成されてなる請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記第2ビーム光の前記主走査方向に略直交する副走査方向における前記照射スポットの長さが,該第2ビーム光の前記感光体の表面における前記副走査方向における照射ピッチの略2.5倍以上に形成されてなる請求項3に記載の画像形成装置。
  6. 前記第2露光量制御手段が,前記感光体の表面を複数に分割した分割領域ごとに該分割領域における電位特性と全ての前記分割領域に共通の所定の基準電位特性との差分に応じて前記第2の光源のビーム光による露光量を制御してなる請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 前記第1露光量制御手段が,画素ごとの濃淡レベルを表す画素階調を全ての前記分割領域に共通の係数を用いて比例換算した露光量を前記第1の光源のビーム光による露光量として設定する共通第1露光量制御手段である請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 前記画素階調を露光量に比例換算する際の傾き情報を前記分割領域ごとに記憶する傾き情報記憶手段を具備し,
    前記第1露光量制御手段が,画素ごとの濃淡レベルを表す画素階調を前記分割領域ごとの前記傾き情報に従って比例換算した露光量を前記第1の光源のビーム光による露光量として設定する個別第1露光量制御手段である請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 前記第1露光量制御手段が,前記画素階調に応じて前記第1ビーム光の画素ごとの露光時間を調節するとともに,前記傾き情報に応じて前記第1ビーム光の前記分割領域ごとの露光強度を調節することにより露光量を制御してなる請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 全ての前記分割領域に共通の所定の基準露光量と,前記分割領域各々における露光量と電位との対応関係を表す露光電位特性に対し全ての前記分割領域に共通の所定の基準電位を適用して得られる露光量と,の差分露光量を特定するかさ上げ露光量情報を前記分割領域ごとに記憶するかさ上げ露光量情報記憶手段を具備し,
    前記第2露光量制御手段が,前記分割領域ごとに前記かさ上げ露光量情報に基づいて前記第2ビーム光の露光量を設定するかさ上げ露光量設定手段を具備してなる請求項6〜9のいずれかに記載の画像形成装置。
  11. 前記基準電位及び前記基準露光量が,全ての前記分割領域に共通の基準となる前記露光電位特性における初期電位と残留電位との略中点の電位及びその略中点の電位に対応する露光量である請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記第1露光量制御手段が前記共通第1露光量制御手段である場合に,
    前記分割領域各々についての前記露光電位特性のうちの残留電位への収束領域を除く部分である略線形の露光電位特性における傾きと全ての前記分割領域に共通の基準となる傾きとの差分に関する差分傾き情報を前記分割領域ごとに記憶する差分傾き情報記憶手段を具備し,
    前記第2露光量制御手段が,前記かさ上げ露光量設定手段により設定される前記第2ビーム光の露光量に対し,前記画像処理手段により決定される前記画素階調を前記差分傾き情報に基づいて比例換算した露光量分の補正を行う露光感度補正手段をさらに具備してなる請求項10又は11のいずれかに記載の画像形成装置。
  13. 前記第2露光量制御手段が,前記第2ビーム光の露光時間又は露光強度を調節することにより露光量を制御してなる請求項1〜12のいずれかに記載の画像形成装置。
  14. 前記分割領域が,ドラム状の前記感光体の表面をその軸方向と周方向との一方又は両方に複数に分割した領域である請求項6〜13のいずれかに記載の画像形成装置。
  15. 前記感光体がa−Si感光体である請求項1〜14のいずれかに記載の画像形成装置。
  16. 複数色のトナーによりカラー画像形成を行うものである請求項1〜15のいずれかに記載の画像形成装置。
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