JP2006246732A - 核酸精製用支持体および精製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡便かつ迅速に核酸を精製することができる支持体及び核酸精製方法を提供することにある。
【解決手段】 核酸を含む試料から核酸を精製するために使用される核酸精製用支持体であって、前記支持体に核酸結合性物質を固定化した、前記支持体および核酸結合性物質を固定化した支持体と前記試料を接触させた後、前記試料と前記核酸結合性物質を固定化した支持体とを分離することを含む、前記方法。
【参考図】 なし
【解決手段】 核酸を含む試料から核酸を精製するために使用される核酸精製用支持体であって、前記支持体に核酸結合性物質を固定化した、前記支持体および核酸結合性物質を固定化した支持体と前記試料を接触させた後、前記試料と前記核酸結合性物質を固定化した支持体とを分離することを含む、前記方法。
【参考図】 なし
Description
本発明は、核酸を含有する試料を出発材料とした場合の核酸の精製に使用する支持体および核酸精製方法に関する。
衛生検査、臨床検査、および研究の分野において遺伝子の解析や同定を行なうにあたり、核酸を含む試料から核酸を精製する工程は極めて重要なものとなっている。通常、核酸を含む試料には多種多様な物質が共存しており、これらの共存物質が核酸を結合、切断、または増幅 (合成) する反応を妨害することがあるので、核酸を含有する試料から核酸を精製し妨害物質を除去することは前記反応を遂行させるために重要である。
核酸の代表的な精製方法としてフェノール・クロロホルム法が知られている (非特許文献1)。この方法は、フェノールやクロロホルムといった有機溶媒を使用した液液分配を繰返す上、エタノール沈殿により核酸を回収することから、作業が煩雑な上に時間がかかり、さらにフェノールのような腐食性、クロロホルムのような急性毒性を有する物質を使用することが問題となっている。
また、核酸を固相化して精製する方法が知られている(特許文献1)。この手法はフェノール・クロロホルム法と比較して核酸精製工程は迅速化されるものの、高濃度のカオトロピック物質を使用するため溶液の粘性が高くなることにより作業が困難となることがある(特許文献2)。加えて、本方法はカオトロピック物質やアルコールを使用することから、これらが妨害物質となるPCRを含む酵素反応への悪影響が指摘されている(特許文献2)。
そこで、上記手法を改善する方法として、試料中の核酸を、界面活性剤の存在下で固体支持体に接触させることにより支持体へ結合させ、核酸を当該支持体とともに試料より分離する方法が知られている(特許文献2)。しかし、核酸の精製に必要な各工程において二種以上の試薬を使用することから、操作が煩雑になる上、多検体をマニュアル処理するにあたっては試薬の取り違えといった人為的なエラーを誘発する可能性がある。また、自動的に処理する装置に適用させる場合には、システムが煩雑になるといった問題がある。
さらに、DNAが、超分子などの結合性物質の存在下、ガラスビーズやフィルターに固定化される方法が知られている(非特許文献2)。しかし、該方法はDNAを固定化する方法であり核酸を精製するものではなかった。
Molecular Cloning, 2nd; Cold Spring Habor Laboratory press,1989
第77回 日本生化学会大会 要旨4P-773, 生化学, 76, 8, p1128
特許第2680462号公報
特表平11−501504号公報
したがって、本発明は、上記問題点を解決し、簡便かつ迅速に核酸を精製することができる支持体および核酸精製方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を進める中で、所定の支持体に核酸結合性物質を固定化することにより食品や生体試料から核酸を精製できることを見出し、さらに研究を進めた結果、簡便かつ迅速に核酸を精製できる方法を完成するに至った。
すなわち、本発明は、核酸を含む試料から核酸を精製するために使用される核酸精製用支持体であって、前記支持体に核酸結合性物質を固定化した、支持体に関する。
また、本発明は、核酸を含む試料から核酸を精製する方法であって、核酸結合性物質を固定化した支持体および前記試料を接触させた後、前記試料と前記核酸結合性物質を固定化した支持体とを分離することを含む、方法に関する。
また、本発明は、核酸を含む試料から核酸を精製する方法であって、核酸結合性物質を固定化した支持体および前記試料を接触させた後、前記試料と前記核酸結合性物質を固定化した支持体とを分離することを含む、方法に関する。
特定の結合性物質存在下、DNAはガラスビーズ等に固定化することは知られているが、核酸結合性物質を所定の支持体に固定化することにより、試料から核酸を精製することは知られていない。本発明の支持体は、夾雑成分の極めて多い試料から核酸を簡便かつ迅速に精製することができるという優れた効果を奏するものであることから、関連産業に大きく貢献するものである。
本発明の核酸精製用支持体は、所定の支持体に核酸結合性物質が固定化されているため、該支持体と試料を接触させるのみで核酸を簡便かつ迅速に抽出、分離、精製をすることができる。
また、核酸結合性物質が正電荷を有するものについては、核酸との結合性が強くなり、より簡便かつ迅速に核酸を抽出、分離、精製をすることができる。
また、核酸結合性物質が正電荷を有するものについては、核酸との結合性が強くなり、より簡便かつ迅速に核酸を抽出、分離、精製をすることができる。
本発明の核酸精製方法は、核酸精製用支持体と試料を接触させるのみで核酸を精製することができるため、簡便かつ迅速に核酸を抽出、分離、精製をすることができる。
また、界面活性剤を共存させない方法については、PCR阻害物質を単一の溶液で簡便に除去することができるため、より迅速に核酸を抽出、分離、精製をすることができる。
さらに、本発明の精製方法は、核酸精製用支持体に結合した核酸から核酸を分離する必要がなく、該支持体をそのままPCRに供することができるので、簡便かつ迅速に核酸を同定することが可能である。
また、界面活性剤を共存させない方法については、PCR阻害物質を単一の溶液で簡便に除去することができるため、より迅速に核酸を抽出、分離、精製をすることができる。
さらに、本発明の精製方法は、核酸精製用支持体に結合した核酸から核酸を分離する必要がなく、該支持体をそのままPCRに供することができるので、簡便かつ迅速に核酸を同定することが可能である。
本発明の特徴の一つは、核酸結合性物質を所定の支持体に固定化することにある。
本発明における核酸とは、DNA、RNAのことをいう。安定性の観点から、DNAが好ましく使用される。
本発明における試料は、ハム、カレー、豆腐、かまぼこ等の食品の他、血液、尿、髄液、分泌液といった体液や、細胞などが挙げられる。細胞には血液細胞、体細胞、培養細胞、細菌が含まれるがこれに限定されるものではない。
本発明における核酸とは、DNA、RNAのことをいう。安定性の観点から、DNAが好ましく使用される。
本発明における試料は、ハム、カレー、豆腐、かまぼこ等の食品の他、血液、尿、髄液、分泌液といった体液や、細胞などが挙げられる。細胞には血液細胞、体細胞、培養細胞、細菌が含まれるがこれに限定されるものではない。
本発明において用いられる支持体は、特に限定されず、公知のいずれの支持体であってもよい。たとえば、ガラス、シリカ、ラテックスおよび磁性ラテックスなどの固体粒子、フィルム、フィルター、繊維、プレート、基板ならびに微細加工技術を利用したマイクロチップなどが挙げられる。これらの支持体のうち、フィルターや繊維のものは、試料を濾過するのみで核酸を精製することができるため好ましい。また、固体粒子は、核酸結合性物質が固定化され得る面積が広いため好ましい。さらに、試料から容易に回収でき、または、固体粒子を含んでいても容易に試料を濃縮できる、固体粒子が好ましい。特に、ラテックス粒子は,核酸結合性物質の吸着性能が高いことから好ましく用いられる。このような固体粒子の粒径は、0.05〜3μmであり、好ましくは0.1〜1.2μmである。
本発明において用いられる核酸結合性物質とは、核酸と結合し得る物質をいい、特に限定されるものではない。たとえば、正電荷を有するタンパク質ならびにシクロデキストリン、クラウンエーテル、デンドリマーおよびポリアミンなどの超分子が挙げられる。これらのうち、核酸と特に強く結合する正電荷を有するタンパク質が好ましい。ここで、正電荷を有するタンパク質とは、アルギニンやリシンなどの正電荷を有するアミノ酸を含有するタンパク質をいい、たとえば、プロタミン、ヒストンまたはそれらの塩もしくはそれらと類似の生化学的性状を有するタンパク質などが挙げられる。中でも核酸とより強く結合するプロタミンが好ましく用いられる。また、プロタミン、ヒストンまたはそれらの塩と類似の生化学的性状を有するタンパク質とは、アルギニンやリシンなどの正電荷を有するアミノ酸を含有する強塩基性のタンパク質をいい、プロタミン様タンパク質やヒストン様タンパク質が挙げられる。
このようなタンパク質のラテックス粒子への吸着量は、ラテックス粒子1mgあたり、1〜50μgであり、好ましくは3μg〜16μgである。なお、前記プロタミンにはプロタミンの硫酸塩、塩酸塩などの塩も含まれる。これらの核酸結合性物質は、1種でも2種以上組合せて用いてもよい。
このようなタンパク質のラテックス粒子への吸着量は、ラテックス粒子1mgあたり、1〜50μgであり、好ましくは3μg〜16μgである。なお、前記プロタミンにはプロタミンの硫酸塩、塩酸塩などの塩も含まれる。これらの核酸結合性物質は、1種でも2種以上組合せて用いてもよい。
本発明のもう一つの特徴は、核酸を含む試料から核酸を精製することにある。
たとえば次のような方法で行なうことができる。すなわち、核酸を含む試料と、核酸結合性物質を固定化した支持体とを接触せしめ、該核酸結合性物質に核酸を保持させ、試料と支持体とを分離することにより精製することができる。核酸の保持はその配列に依存しない。そして、支持体をそのまま、PCRといった核酸増幅反応に供することができる。
たとえば次のような方法で行なうことができる。すなわち、核酸を含む試料と、核酸結合性物質を固定化した支持体とを接触せしめ、該核酸結合性物質に核酸を保持させ、試料と支持体とを分離することにより精製することができる。核酸の保持はその配列に依存しない。そして、支持体をそのまま、PCRといった核酸増幅反応に供することができる。
核酸結合性物質を固定化した支持体は、あらかじめ調製しておいても、あらかじめ調製することなく試料、核酸結合性物質および支持体を同一容器内で接触させても形成させることができる。より正確に核酸を精製するためには、あらかじめ調製しておくことが好ましい。
該支持体の調製方法としては、たとえば、pH8.0に調整した10mMのリン酸などの緩衝液で支持体を洗浄した後、プロタミンを含む150mMの塩化ナトリウム含有該緩衝液と該支持体を混合させ、1mM EDTA含有pH8.0に調整した10mMのトリス緩衝液で洗浄することにより得ることができる。プロタミンを含む塩化ナトリウム含有緩衝液と支持体との混合時間は、プロタミンが支持体に固定化されるに充分な時間があればよく、1時間〜24時間で固定化が可能である。
前記核酸精製方法は、試料と支持体とを接触せしめた後、夾雑成分を除去するために洗浄を行なうこともできる。また、結合した核酸を溶出させてPCRを行なうことや、核酸を保持した支持体に少量の溶液を添加することによる再懸濁を行なうこともできる。本発明は、このような支持体への核酸の保持、洗浄、再懸濁を同一の溶液で行なうことができ、簡便に核酸を精製、PCRすることができる。ここで使用する溶液は、金属を捕捉してDNA分解酵素を阻害するもののであれば特に限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、そのナトリウム塩、カリウム塩などのキレート剤が挙げられる。これらのうち特にEDTAのナトリウム塩が好ましい。
試料と支持体の接触方法は、試料と支持体とを混合させたり、浸漬させたりする方法やカラムのような形態にした支持体に試料を通液する方法などがある。接触時間は、核酸が保持されるに充分な時間があればよく、1分〜5分程度で可能である。これにより、核酸結合性物質に核酸が保持される。また、試料と支持体とを分離する方法は、濾過、デカンテーション、遠心分離、磁気分離などで行なうことができる。
試料に細胞を用いた場合、細胞からの核酸の溶出には、キレート剤を含む緩衝液中での熱処理やキレート剤およびタンパク質分解酵素を含む緩衝液中でのインキュベーションによる細胞の分解に続く加熱処理によるタンパク質分解酵素の失活ならびに細胞の破壊などにより行なうことができる。このうち、キレート剤を含む緩衝液中での熱処理が好ましい。本発明の支持体を用いることにより、細胞からの核酸の溶出、核酸精製用支持体への核酸の保持、洗浄について同一組成の溶液で行なうことができる。
本発明の核酸精製方法においては、界面活性剤は必須ではないが、支持体と試料の接触工程、洗浄工程、溶出工程、再懸濁工程のいずれの場合でも界面活性剤を用いることができる。支持体に核酸を効率良く結合させるためには、界面活性剤を用いない方が好ましい。
本発明の支持体は、界面活性剤、タンパク質分解酵素、キレート剤、緩衝液を含んだ持ち運び可能な形態としたキットとしても提供することができる。キットとして提供することにより、利便性に優れ、より簡便かつ迅速に核酸を抽出、分離、精製をすることができる。
本発明の支持体は、界面活性剤、タンパク質分解酵素、キレート剤、緩衝液を含んだ持ち運び可能な形態としたキットとしても提供することができる。キットとして提供することにより、利便性に優れ、より簡便かつ迅速に核酸を抽出、分離、精製をすることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、実施例はこれらに限るものではない。
プロタミン固定化ラテックス粒子の調製
プロタミンには硫酸プロタミンを使用した。ラテックス粒子は粒径が0.7 μmのものを使用した。ラテックス粒子をpH8.0 に調整した10mMリン酸緩衝液で洗浄した後、硫酸プロタミンとラテックス粒子をpH8.0に調整した 10mM リン酸緩衝液、150mM NaCl中で1時間、混合した。そして、1mM EDTA含有pH8.0に調整した10mM トリス緩衝液 (TE) で洗浄し、プロタミン固定化ラテックス粒子を調製した。
プロタミンには硫酸プロタミンを使用した。ラテックス粒子は粒径が0.7 μmのものを使用した。ラテックス粒子をpH8.0 に調整した10mMリン酸緩衝液で洗浄した後、硫酸プロタミンとラテックス粒子をpH8.0に調整した 10mM リン酸緩衝液、150mM NaCl中で1時間、混合した。そして、1mM EDTA含有pH8.0に調整した10mM トリス緩衝液 (TE) で洗浄し、プロタミン固定化ラテックス粒子を調製した。
プロタミン固定化ラテックス粒子がDNAを保持し、プロタミン固定化ラテックス粒子にDNAを保持させたままPCRを行い、目的とする核酸断片を検出した例を示す。
(1)プロタミン固定化ラテックス粒子へのDNAの保持
Salmonella enteritidisの精製DNA溶液を試料とした。(a) Salmonella enteritidisのDNAをプロタミン固定化ラテックス粒子へ保持させることを目的として、 0.1% プロタミン固定化ラテックス粒子の懸濁液 35 μLと上記精製DNA溶液 14 μLとを混合し1時間室温で放置した。(b) コントロールとしてプロタミンを固定化していない0.1% ラテックス粒子の懸濁液 35 μLと上記精製DNA 溶液14 μLとを混合して1時間室温で放置した (コントロール1)。これらについて、遠心分離により保持されなかったDNAを含む上清を除いた後、保持されなかったDNAを完全に除くために(a)および(b)をそれぞれアガロースゲル電気泳動した。(a)および(b)はアガロースゲルのウェル内に留まったが、保持されなかったDNAはアガロースゲル中に取り込まれた。(a)および(b)をそれぞれウェルから回収し、TEで2回洗浄した後、TE 14 μLへ懸濁した。
(1)プロタミン固定化ラテックス粒子へのDNAの保持
Salmonella enteritidisの精製DNA溶液を試料とした。(a) Salmonella enteritidisのDNAをプロタミン固定化ラテックス粒子へ保持させることを目的として、 0.1% プロタミン固定化ラテックス粒子の懸濁液 35 μLと上記精製DNA溶液 14 μLとを混合し1時間室温で放置した。(b) コントロールとしてプロタミンを固定化していない0.1% ラテックス粒子の懸濁液 35 μLと上記精製DNA 溶液14 μLとを混合して1時間室温で放置した (コントロール1)。これらについて、遠心分離により保持されなかったDNAを含む上清を除いた後、保持されなかったDNAを完全に除くために(a)および(b)をそれぞれアガロースゲル電気泳動した。(a)および(b)はアガロースゲルのウェル内に留まったが、保持されなかったDNAはアガロースゲル中に取り込まれた。(a)および(b)をそれぞれウェルから回収し、TEで2回洗浄した後、TE 14 μLへ懸濁した。
(2)プロタミン固定化ラテックス粒子へDNAを保持させたままでのPCR
PCRポジティブコントロールプライマー(増幅産物のサイズ:約100bp)およびサルモネラ菌に特異的なプライマー(増幅産物のサイズ:約250bp)を含むPCR反応液40μLに対して、(a) Salmonella enteritidisの精製DNA溶液と反応させたプロタミン固定化ラテックス粒子の懸濁液10μL、(b) Salmonella enteritidisの精製DNA溶液と反応させたラテックス粒子の懸濁液10μL(コントロール1)、(c) Salmonella enteritidisの精製DNA溶液10μL(コントロール2)、(d) TE10μL(コントロール3)のそれぞれを別々に添加してPCRを行い、2%アガロースゲル電気泳動の後、臭化エチジウムにより染色した。
PCRポジティブコントロールプライマー(増幅産物のサイズ:約100bp)およびサルモネラ菌に特異的なプライマー(増幅産物のサイズ:約250bp)を含むPCR反応液40μLに対して、(a) Salmonella enteritidisの精製DNA溶液と反応させたプロタミン固定化ラテックス粒子の懸濁液10μL、(b) Salmonella enteritidisの精製DNA溶液と反応させたラテックス粒子の懸濁液10μL(コントロール1)、(c) Salmonella enteritidisの精製DNA溶液10μL(コントロール2)、(d) TE10μL(コントロール3)のそれぞれを別々に添加してPCRを行い、2%アガロースゲル電気泳動の後、臭化エチジウムにより染色した。
(c)および(d)は共にPCRポジティブコントロールプライマーによる増幅産物が検出されPCRが正常に進行したことが確認された一方で、(c)にのみサルモネラ菌に特異的なプライマーによる増幅産物が検出されたことからPCR反応溶液中にSalmonella enteritidisのDNAが持ち込まれたことによりサルモネラ菌に特異的なプライマーによる増幅産物が検出されることが確認された。
(a)および(b)は共にPCRポジティブコントロールプライマーによる増幅産物が検出されPCRが正常に進行したことが確認された一方で、(a)にのみサルモネラ菌に特異的なプライマーによる増幅産物が検出されたことから、プロタミン固定化ラテックス粒子にSalmonella enteritidisのDNAが保持されたことによりPCR反応液中にSalmonella enteritidisのDNAが持ち込まれサルモネラ菌に特異的な核酸断片が増幅されたことが確認された。
食品として豆腐を使用し、プロタミン固定化ラテックス粒子が食品培養検体中の細菌DNAを保持し、PCR阻害物質を除去した後、プロタミン固定化ラテックス粒子へ細菌DNAを保持させたままPCRを行い、目的とする核酸断片を検出した例を示す。
(1) 食品検体の培養とDNA粗抽出溶液の調製およびPCR
豆腐10gにSalmonella enteritidisを接種し9倍容の培地で一晩培養した。培養後のSalmonella enteritidisの菌数を選択培地により測定したところ、107CFU/mL(CFUはColony Forming Unitの略)だった。遠心操作により培養液1mLから菌体を集め、TE200μLを加え懸濁した後、100℃で10分間加熱することで溶菌させた。遠心操作により不溶物を除き、上清をDNA粗抽出溶液とした。
PCRポジティブコントロールプライマー(増幅産物のサイズ:約100bp)およびサルモネラ菌に特異的なプライマー(増幅産物のサイズ:約250bp)を含むPCR反応液40μLに対して上記DNA粗抽出溶液10μLを添加してPCRを行った。2%アガロースゲル電気泳動の後、臭化エチジウムにより染色したところ、PCRポジティブコントロールプライマーによる増幅産物およびサルモネラ菌に特異的なプライマーによる増幅産物は共に検出されなかった。
(1) 食品検体の培養とDNA粗抽出溶液の調製およびPCR
豆腐10gにSalmonella enteritidisを接種し9倍容の培地で一晩培養した。培養後のSalmonella enteritidisの菌数を選択培地により測定したところ、107CFU/mL(CFUはColony Forming Unitの略)だった。遠心操作により培養液1mLから菌体を集め、TE200μLを加え懸濁した後、100℃で10分間加熱することで溶菌させた。遠心操作により不溶物を除き、上清をDNA粗抽出溶液とした。
PCRポジティブコントロールプライマー(増幅産物のサイズ:約100bp)およびサルモネラ菌に特異的なプライマー(増幅産物のサイズ:約250bp)を含むPCR反応液40μLに対して上記DNA粗抽出溶液10μLを添加してPCRを行った。2%アガロースゲル電気泳動の後、臭化エチジウムにより染色したところ、PCRポジティブコントロールプライマーによる増幅産物およびサルモネラ菌に特異的なプライマーによる増幅産物は共に検出されなかった。
(2)プロタミン固定化ラテックス粒子の適用
Salmonella enteritidisのDNAをプロタミン固定化ラテックス粒子に保持させることを目的として、(1)で調製したDNA粗抽出溶液10μLと0.1%プロタミン固定化ラテックス粒子の懸濁液 25 μLを混合し、室温で1時間放置した。遠心操作により該プロタミン固定化ラテックス粒子を沈降させ上清を除いた後、TE10μLで懸濁した。該プロタミン固定化ラテックス粒子の洗浄操作は行なわなかった。
Salmonella enteritidisのDNAをプロタミン固定化ラテックス粒子に保持させることを目的として、(1)で調製したDNA粗抽出溶液10μLと0.1%プロタミン固定化ラテックス粒子の懸濁液 25 μLを混合し、室温で1時間放置した。遠心操作により該プロタミン固定化ラテックス粒子を沈降させ上清を除いた後、TE10μLで懸濁した。該プロタミン固定化ラテックス粒子の洗浄操作は行なわなかった。
PCRポジティブコントロールプライマー(増幅産物のサイズ:約100bp)およびサルモネラ菌に特異的なプライマー(増幅産物のサイズ:約250bp)を含むPCR反応液40μLに対して該プロタミン固定化ラテックス粒子の懸濁液10μLを添加してPCRを行った。2%アガロースゲル電気泳動の後、臭化エチジウムにより染色したところ、PCRポジティブコントロールプライマーによる増幅産物およびサルモネラ菌に特異的なプライマーによる増幅産物が検出された。
食品としてカレーを使用し、プロタミン固定化ラテックス粒子が食品培養検体中の細菌DNAを保持し、PCR阻害物質を除去した後、プロタミン固定化ラテックス粒子へ細菌DNAを保持させたままPCRを行い、目的とする核酸断片を検出した例を示す。
(1)食品検体の培養とDNA粗抽出溶液の調製およびPCR
カレー10mLにSalmonella enteritidisを接種し9倍容の培地で一晩培養した。培養後のSalmonella enteritidisの菌数を選択培地により測定したところ、107CFU/mL(CFUはColony Forming Unitの略)だった。遠心操作により培養液1mLから菌体を集め、TE200μLを加え懸濁した後、100℃で10分間加熱することで溶菌させた。遠心操作により不溶物を除き、上清をDNA粗抽出溶液とした。
PCRポジティブコントロールプライマー(増幅産物のサイズ:約100bp)およびサルモネラ菌に特異的なプライマー(増幅産物のサイズ:約250bp)を含むPCR反応液40μLに対して上記DNA粗抽出溶液10μLを添加してPCRを行った。2%アガロースゲル電気泳動の後、臭化エチジウムにより染色したところ、PCRポジティブコントロールプライマーによる増幅産物およびサルモネラ菌に特異的なプライマーによる増幅産物は共に検出されなかった。
(1)食品検体の培養とDNA粗抽出溶液の調製およびPCR
カレー10mLにSalmonella enteritidisを接種し9倍容の培地で一晩培養した。培養後のSalmonella enteritidisの菌数を選択培地により測定したところ、107CFU/mL(CFUはColony Forming Unitの略)だった。遠心操作により培養液1mLから菌体を集め、TE200μLを加え懸濁した後、100℃で10分間加熱することで溶菌させた。遠心操作により不溶物を除き、上清をDNA粗抽出溶液とした。
PCRポジティブコントロールプライマー(増幅産物のサイズ:約100bp)およびサルモネラ菌に特異的なプライマー(増幅産物のサイズ:約250bp)を含むPCR反応液40μLに対して上記DNA粗抽出溶液10μLを添加してPCRを行った。2%アガロースゲル電気泳動の後、臭化エチジウムにより染色したところ、PCRポジティブコントロールプライマーによる増幅産物およびサルモネラ菌に特異的なプライマーによる増幅産物は共に検出されなかった。
(2)プロタミン固定化ラテックス粒子の適用
Salmonella enteritidisのDNAをプロタミン固定化ラテックス粒子に保持させることを目的として、(1)で調製したDNA粗抽出溶液10μLと0.1%プロタミン固定化ラテックス粒子の懸濁液25μLを混合し、室温で1時間放置した。遠心操作により該固定化ラテックス粒子を沈降させ上清を除いた後、該プロタミン固定化ラテックス粒子をTEにより3回洗浄し、TE10μLで懸濁した。
Salmonella enteritidisのDNAをプロタミン固定化ラテックス粒子に保持させることを目的として、(1)で調製したDNA粗抽出溶液10μLと0.1%プロタミン固定化ラテックス粒子の懸濁液25μLを混合し、室温で1時間放置した。遠心操作により該固定化ラテックス粒子を沈降させ上清を除いた後、該プロタミン固定化ラテックス粒子をTEにより3回洗浄し、TE10μLで懸濁した。
PCRポジティブコントロールプライマー(増幅産物のサイズ:約100bp)およびサルモネラ菌に特異的なプライマー(増幅産物のサイズ:約250bp)を含むPCR反応液40μLに対して、該プロタミン固定化ラテックス粒子の懸濁液 10 μLを添加してPCRを行った。2%アガロースゲル電気泳動の後、臭化エチジウムにより染色したところ、PCRポジティブコントロールプライマーによる増幅産物およびサルモネラ菌に特異的なプライマーによる増幅産物が検出された。
(比較例1)
マイクロチューブにサンプル、固体支持体Dynabeads(登録商標;ダイナル アクシエセルスカプ)及び界面活性剤を混合し、室温で5分インキュベーションを行い、上清を捨てた。その後、洗浄緩衝液で洗浄を行ない、上清を捨てた。溶出緩衝液でDynabeads複合体から核酸を溶出させ、上清を新しいマイクロチューブに移し、これをPCRに供した。
本方法は、Dynabeads複合体から核酸を溶出させる必要があり、また、洗浄工程および溶出工程で異なる緩衝液を用いることから、本発明と比較して操作が煩雑である。
マイクロチューブにサンプル、固体支持体Dynabeads(登録商標;ダイナル アクシエセルスカプ)及び界面活性剤を混合し、室温で5分インキュベーションを行い、上清を捨てた。その後、洗浄緩衝液で洗浄を行ない、上清を捨てた。溶出緩衝液でDynabeads複合体から核酸を溶出させ、上清を新しいマイクロチューブに移し、これをPCRに供した。
本方法は、Dynabeads複合体から核酸を溶出させる必要があり、また、洗浄工程および溶出工程で異なる緩衝液を用いることから、本発明と比較して操作が煩雑である。
本発明によれば、夾雑成分の極めて多い試料から核酸を簡便かつ迅速に精製することができる。したがって、遺伝子をいち早く同定することができ、食品検査や臨床検査に大きく貢献するものである。
Claims (6)
- 核酸を含む試料から核酸を精製するために使用される核酸精製用支持体であって、前記支持体に核酸結合性物質を固定化した、前記支持体。
- 前記核酸結合性物質が、正電荷を有するタンパク質である、請求項1に記載の支持体。
- 前記正電荷を有するタンパク質が、プロタミン、ヒストンまたはそれらの塩もしくはそれらと類似の生化学的性状を有するタンパク質から選択される1種または2種以上である、請求項2に記載の支持体。
- 前記類似の生化学的性状を有するタンパク質が、プロタミン様タンパク質またはヒストン様タンパク質である、請求項3に記載の支持体。
- 核酸を含む試料から核酸を精製する方法であって、核酸結合性物質を固定化した支持体と前記試料を接触させた後、前記試料と前記核酸結合性物質を固定化した支持体とを分離することを含む、前記方法。
- 界面活性剤が共存しないことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
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JP2005064723A JP2006246732A (ja) | 2005-03-09 | 2005-03-09 | 核酸精製用支持体および精製方法 |
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- 2005-03-09 JP JP2005064723A patent/JP2006246732A/ja active Pending
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